(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571638
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】選択的レーザ固化装置および方法
(51)【国際特許分類】
B29C 64/393 20170101AFI20190826BHJP
B22F 3/105 20060101ALI20190826BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20190826BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20190826BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20190826BHJP
B22F 3/16 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
B29C64/393
B22F3/105
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/00
B22F3/16
【請求項の数】25
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-518582(P2016-518582)
(86)(22)【出願日】2014年6月10日
(65)【公表番号】特表2016-527101(P2016-527101A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】GB2014051775
(87)【国際公開番号】WO2014199134
(87)【国際公開日】20141218
【審査請求日】2017年5月29日
(31)【優先権主張番号】1310276.9
(32)【優先日】2013年6月10日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1310398.1
(32)【優先日】2013年6月11日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391002306
【氏名又は名称】レニショウ パブリック リミテッド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン イアン フェラー
(72)【発明者】
【氏名】セリ ブラウン
【審査官】
田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0112672(US,A1)
【文献】
特開2000−263650(JP,A)
【文献】
特開2005−89863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/393
B22F 3/105
B22F 3/16
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 50/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末層が沈着可能な粉末床を担持するための構築プラットフォームと、
前記粉末床上に沈着される粉末材料を固化するための複数のレーザビームを生成する、少なくとも1つのレーザモジュールと、
各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、各レーザビームを別々に誘導するレーザスキャナであって、各レーザビームについての走査ゾーンが、レーザビームが前記レーザスキャナによって誘導され得る前記粉末床上の場所によって定められ、前記レーザスキャナが、各走査ゾーンが前記粉末床の総範囲よりも小さく、前記走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合うように構成されている、該レーザスキャナと、
前記粉末層のうちの少なくとも1層について、前記走査ゾーンが重なり合う領域内に位置決めされる前記粉末層の範囲を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成された処理ユニットと
を備え、
前記処理ユニットは、前記走査ゾーンが重なり合う領域内の第1の領域を走査するために前記複数のレーザビームのうちの第1のレーザビームを選択し、および前記走査ゾーンが重なり合う領域内の、前記第1の領域とは異なる、第2の領域を走査するために前記複数のレーザビームのうちの第2のレーザビームを選択するように配置されたことを特徴とする選択的レーザ固化装置。
【請求項2】
前記処理ユニットは、各レーザビームが、前記粉末層中の範囲を固化するために使用される総時間長に基づいて、前記走査ゾーンが重なり合う前記領域内に位置決めされる前記範囲を固化するために、複数の前記レーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項3】
前記処理ユニットは、各レーザビームが前記粉末層中の範囲を固化するために使用される総時間長がおおよそ等しくなるようにレーザを選択するように構成されることを特徴とする請求項2に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項4】
前記処理ユニットは、前記範囲のために使用される走査方策に基づいて、前記走査ゾーンが重なり合う前記領域内に位置決めされる前記範囲を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項5】
前記走査方策は、縞状または碁盤目状の走査方策であり、前記処理ユニットは、前記レーザビームによって走査される縞、または前記碁盤目状の正方形の数に基づいて、前記走査ゾーンが重なり合う前記領域内に位置決めされる前記範囲を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されることを特徴とする請求項4に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項6】
前記処理ユニットは、前記粉末層における固化された材料の島を形成するためのシェル/コアレーザ走査方策を使用するように、および可能な場合、シェルが前記複数のレーザビームのうち単一のレーザビームを使用して形成されるように、前記走査ゾーンが重なり合う前記領域内に位置決めされる前記シェルを走査するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項7】
前記粉末床を横切って気体流れを創出するように構成される入り口および出口を含み、前記処理ユニットは、前記気体流れの方向に基づいて、前記走査ゾーンが重なり合う前記領域内に位置決めされる前記領域を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項8】
前記レーザスキャナは、各走査ゾーンが他の走査ゾーンに重なり合うように構成されることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項9】
各走査ゾーンは、円弧、円形又は長方形であることを特徴とする請求項1に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項10】
前記レーザスキャナは、各走査ゾーンがあらゆる他の走査ゾーンと重なり合うように構成されることを特徴とする請求項8に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項11】
ある走査ゾーンの10%超、20%超、30%超、40%超、または50%超が、別の走査ゾーンと重なり合うことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項12】
前記粉末床は、長方形状を有し、前記レーザモジュールは、それぞれ円弧形状の走査ゾーンを有する4つのレーザビームを生成するように構成され、各円弧形状の走査ゾーンの円心は、実質的には長方形の前記粉末床の異なる隅部に位置決めされ、前記円弧の半径は前記走査ゾーンが重なり合うようになることを特徴とする請求項10に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項13】
窓を含む構築チャンバを含み、前記粉末床は前記構築チャンバ内に位置し、前記複数のレーザビームは前記窓を介して前記構築チャンバに入るように方向付けられることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項14】
前記処理ユニットは、構築されるべき1又は複数の物体の計画された場所について各粉末層中の範囲を走査する際に使用する前記レーザビームの選択に基づいて、各レーザビームが各粉末層を走査する時間長を決定し、前記決定された時間長に基づいて、前記粉末床中の前記1又は複数の物体の前記計画された場所を変更するように構成されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項15】
選択的レーザ固化処理において、粉末層の範囲を固化するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法であって、1または複数の物体が、粉末床上に粉末層を沈着することと、前記粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末にわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために別々に誘導され、各レーザビームについての走査ゾーンは、前記レーザビームが誘導され得る前記粉末床上の場所によって定められ、各走査ゾーンが前記粉末床の総範囲よりも小さく、前記レーザビームのうちの少なくとも2つについての前記走査ゾーンは重なり合い、
前記粉末層のうちの少なくとも1層について、前記レーザビームの前記走査ゾーンが重なり合う領域内に位置決めされる前記粉末層の範囲を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを選択するステップを含み、
前記選択するステップは、前記走査ゾーンが重なり合う領域内の第1の領域を走査するために前記複数のレーザビームのうちの第1のレーザビームを選択し、および前記走査ゾーンが重なり合う領域内の、前記第1の領域とは異なる、第2の領域を走査するために前記複数のレーザビームのうちの第2のレーザビームを選択することを含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
粉末層が沈着可能な粉末床を担持するための構築プラットフォームと、
前記粉末床上に沈着される粉末材料を固化するために、複数のレーザビームを生成する少なくとも1つのレーザモジュールと、
各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、各レーザビームを別々に誘導するレーザスキャナと、
構築される物体または複数の物体の前記粉末床の中の場所を、前記物体または複数の物体の走査が前記複数のレーザビーム間でどのように分割されるかに基づいて選択するように構成された処理ユニットと
を備えたことを特徴とする選択的レーザ固化装置。
【請求項17】
選択的レーザ固化処理において、物体の範囲を固化するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法であって、1または複数の物体が、粉末床上に粉末層を沈着することと、前記粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末にわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、別々に誘導され、
構築される物体または複数の物体の前記粉末床の中の場所を、前記物体または複数の物体の走査が前記複数のレーザ間でどのように分割されるかに基づいて選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
粉末層が沈着可能な粉末床を担持するための構築プラットフォームと、
前記粉末床上に沈着される粉末材料を固化するための複数のレーザビームを生成する、少なくとも1つのレーザモジュールと、
各粉末層上に、離間された場所から各レーザビームを別々に誘導するレーザスキャナであって、各レーザビームについての走査ゾーンが、前記レーザビームが前記レーザスキャナによって誘導され得る前記粉末床上の場所によって定められ、前記レーザスキャナが、前記走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合い、または同じ区域内にあるように構成されている、該レーザスキャナと、
前記粉末層のうちの少なくとも1層について、前記走査ゾーンが重なり合い/同じ区域内にある前記粉末層の領域の中の前記粉末層上の点を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを、前記点を走査するときの前記粉末層に対する前記レーザビームの角度を示すパラメータに基づいて選択するように構成された処理ユニットと
を備えたことを特徴とする選択的レーザ固化装置。
【請求項19】
選択的レーザ固化処理において、粉末層上の点を固化するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法であって、1または複数の物体が、粉末床上に粉末層を沈着することと、前記粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末にわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層上に、離間された場所から別々に誘導され、
各レーザビームについての走査ゾーンは、前記レーザビームがレーザスキャナによって誘導され得る前記粉末床上の場所によって定められ、前記レーザスキャナは、前記走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合い、または同じ区域内にあるように構成され、前記粉末層のうちの少なくとも1層について、前記走査ゾーンが重なり合い/同じ区域内にある前記粉末層の領域の中の前記粉末層上の点を固化するために、前記複数のレーザビームのうちどのレーザビームを使用すべきかを、前記点を走査するときの前記粉末層に対する前記レーザビームの角度を示すパラメータに基づいて選択するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項15または17に記載の方法を遂行させる命令を記憶したことを特徴とするデータキャリア。
【請求項21】
複数のレーザモジュールを含む3次元物体を創出するための選択的レーザ固化装置を制御する方法であって、
第1の照射範囲および第2の照射範囲、ならびに構築プラットフォームによって担持される粉末材料の層上の前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲との間に構成された重なり合う範囲を定めるステップと、
前記複数のレーザモジュールのうち第1のレーザモジュールを、前記第1の照射範囲および前記重なり合う範囲に割り当てるステップと、
前記複数のレーザモジュールのうち第2のレーザモジュールを、前記第2の照射範囲および前記重なりあう範囲に割り当てるステップと、
前記複数のレーザモジュールによって放射されるレーザビームが、前記重なり合う範囲の中に広がる前記物体を形成するために前記層の上に誘導される走査パターンおよび/または輪郭走査の区分を決定するステップと、
前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲との間に構成された前記重なり合う範囲に位置する前記走査パターンおよび/または前記輪郭の前記区分を、第1の部分と第2の部分とに分割するステップと、
前記走査パターンおよび/または前記輪郭の前記区分の前記第1の部分を前記第1のレーザモジュールに割り当てるステップと、
前記走査パターンおよび/または前記輪郭の前記区分の前記第2の部分を前記第2のレーザモジュールに割り当てるステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項22】
前記走査パターンは、縞状または碁盤目状の走査パターンであり、前記走査パターンの前記区分を前記分割することは、前記第1のレーザモジュールおよび前記第2のレーザモジュールのそれぞれに割り当てられた前記走査パターンの縞、または正方形の数に基づくことを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
複数のレーザモジュールと、
粉末材料の層を担持するための構築プラットフォームと、
第1の照射範囲および第2の照射範囲、ならびに前記構築プラットフォーム上に担持される粉末材料の層上の前記第1の照射範囲と前記第2の照射範囲との間に構成された重なり合う範囲を定め、前記複数のレーザモジュールのうち第1のレーザモジュールを、前記第1の照射範囲および前記重なり合う範囲に割り当て、前記複数のレーザモジュールのうち第2のレーザモジュールを、前記第2の照射範囲および前記重なりあう範囲に割り当て、前記レーザモジュールによって放射されるレーザビームが、前記重なり合う範囲の中に広がる3次元物体を形成するために前記層の上に誘導される走査パターンおよび/または輪郭走査の区分を決定し、前記重なり合う範囲に位置する前記走査パターンおよび/または輪郭の前記区分を、第1の部分と第2の部分とに分割し、前記走査パターンおよび/または前記輪郭の前記区分の前記第1の部分を前記第1のレーザモジュールに割り当て、前記走査パターンおよび/または前記輪郭の前記区分の前記第2の部分を前記第2のレーザモジュールに割り当てるように構成された処理ユニットと
を備えたことを特徴とする3次元物体を創出するための選択的レーザ固化装置。
【請求項24】
前記走査パターンは、縞状または碁盤目状の走査パターンであり、前記走査パターンの前記区分を前記分割することは、前記第1のレーザモジュールおよび前記第2のレーザモジュールのそれぞれに割り当てられた前記走査パターンの縞、または正方形の数に基づくことを特徴とする請求項23に記載の選択的レーザ固化装置。
【請求項25】
プロセッサによって実行されるとき、前記プロセッサに、請求項21に記載の方法を遂行させる命令を記憶したことを特徴とするデータキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選択的レーザ固化に関し、詳細には、選択的レーザ溶融処理および装置に関し、ここでは、多レーザビームが、層を固化するために使用され、層の個々の範囲が、異なるレーザビームによって固化される。
【背景技術】
【0002】
物体を創出するための付加製造方法またはラピッドプロトタイピング方法は、レーザビームを使用した、金属粉末材料など、材料の層ごとの固化を備える。粉末層が、構築チャンバ内の粉末床上に沈着され、レーザビームが、作製されている物体の横断面に対応する粉末層の一部を横切って走査される。レーザビームは、粉末を溶融させ、または焼結して、固化された層を形成する。層の選択的固化の後、粉末床は、新規に固化された層の厚さだけ低くされ、粉末のさらなる層が、要求応じて、表面をわたって広げられ、固化される。単一の構築では、1つより多い物体が構築可能であり、物体同士は、粉末床の中で離間される。
【0003】
4つのレーザビームを使用することが、特許文献1により知られており、各レーザビームは、粉末床の異なる四分儀の中の粉末を固化する。そのような構成は、異なる四分儀の中に位置決めされる物体または異なる物体の異なる部分が、異なるレーザビームにより同時に構築可能であるという理由から、構築速度を増加させることができる。しかしながら、レーザは、レーザのうちのいずれか1つについて、四分儀のうちの1つの中で、固化されるべき範囲が、その他の中でよりも大きい場合、構築中に活用されていないことがある。そのような層の場合、固化されるべき最も大きい範囲を備えた四分儀についてのレーザがその範囲の固化を完了する間、他の四分儀のレーザは、オフになる。そのため、固化されるべき最も大きい範囲を有する四分儀のレーザがかかる時間によって設定される構築の速度においては限界がある。レーザモジュールは、装置の非常に高価な部分であるため、レーザの数を増加させることにより装置の費用を著しく増加させるが、同時に構築の大きい継続期間の間、レーザのうちのいくつかを使用しないことは、望ましくない。
【0004】
特許文献2は、付加製造処理において、材料の層を溶融させるための複数のレーザビームを創出するための付加製造組立体を開示している。各レーザビームは、作業空間内の異なる領域に個々にかつ独立して方向付けられる。各領域は、隣接する領域内に重なり合う範囲を備える。レーザビームの各々の重なり合う延長部は、領域を分離する境界で、粉末にされた金属の一貫した溶融を提供する。隣接する領域の中の隣接するビームによって提供される重なり合う一部および溶融は、望ましくない不完全な溶融を防ぎ、または完了された部分内の結合線を防ぐ可能性もある。換言すると、各レーザビームは、重なり合う領域に方向付けられることができ、それにより、製作される部分が、その部分の形成中に金属粉末の完全な溶融および被覆を含むことになる。特許文献1と同様に、固化されるべき粉末の最も大きい範囲を有するレーザが、この範囲を固化するためにかかる時間によって設定される構築の速度においては限界がある。この時間中、他のレーザは、活用されないことになる。
【0005】
特許文献3は、複数のレーザビームによる3次元物品を製造する方法を開示している。各光学ビームは、構築範囲の粉末床全体を横切って専用のモジュールによって走査可能であり、粉末床の中の固化されるべき粉末の範囲は、各層について、各レーザによって走査されるべき範囲が等しくなるように、レーザに割り当てられる。特許文献4および特許文献5は、類似の構成を開示している。特許文献6は、3次元物体を創出するための装置を開示し、ただし、多レーザビームが、光硬化性樹脂を硬化するために使用される。各レーザビームは、層の予め決定された領域に方向付けられて、それらの領域を固化することができる。
【0006】
これらのすべての構成においては、レーザビームを走査するための固定式光学モジュールは、各モジュールが、粉末床の中の任意の場所に、対応するレーザビームを方向付けることができるように離間されていなくてはならず、各光学モジュールは、その場所に基づいて異なるように構成されていなくてはならない。これは、光学モジュールの準最適構成、および/または光学モジュールが、許容できる性能全体にわたって提供するモジュールの全域の非活用を要求する場合がある。
【0007】
特許文献7は、粉末層の選択的焼結による本体の急速創出のためのデバイスを開示している。デバイスは、一緒に供給されて粉末を焼結することができる2つのレーザビームを使用し、第1のレーザビームは、小さい焦点に合わせられ、第2のレーザビームは、大きい焦点に合わせられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】ドイツ特許出願公開第DE102005014483Al号
【特許文献2】米国特許出願公開第2013/0112672号明細書
【特許文献3】出願公開第2009−006509号公報
【特許文献4】出願公開第2002−144437号公報
【特許文献5】出願公開第2000−263650号公報
【特許文献6】米国特許第5536467号明細書
【特許文献7】ドイツ特許出願第DE19953000号明細書
【特許文献8】米国特許出願第61/791,636号明細書
【特許文献9】国際公開第WO2010/007396号
【特許文献10】米国特許第5753171号明細書
【特許文献11】国際公開第91/12120号パンフレット
【特許文献12】欧州特許出願第0406513号明細書
【特許文献13】欧州特許出願公開第1441897号明細書
【特許文献14】欧州特許出願公開第1993812号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、選択的レーザ固化装置が提供され、この選択的レーザ固化装置は、粉末層が沈着可能な粉末床と、粉末床上に沈着される粉末材料を固化するために、複数のレーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザモジュールと、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、各レーザビームを別々に誘導するためのレーザスキャナであって、各レーザビームについての走査ゾーンは、レーザビームがレーザスキャナによって誘導され得る粉末床上の場所によって定められ、レーザスキャナは、各走査ゾーンが粉末床の総範囲よりも小さく、走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合うように構成されている、レーザスキャナと、粉末層のうちの少なくとも1層について、走査ゾーンが重なり合う領域内に位置決めされる粉末層の範囲を走査するために、どのレーザビームを使用すべきかを選択するための処理ユニットとを備える。
【0010】
レーザビームの走査ゾーンを重ね合わせることによって、同じ範囲は、異なるレーザビームを使用して構築可能である。このようにして、どのレーザビームを使用すべきかを選ぶ際には柔軟性があり、それにより、処理ユニットは、指定された基準に基づいてレーザビームを選択することが可能になる。例えば、レーザビームは、各レーザビームが、粉末層の中の範囲を固化するために使用される総時間長に基づいて選択され得る。レーザビームは、各レーザビームが、粉末層の中の範囲を固化するために使用される総時間長における何らかの差を減らす、またはなくすように選択され得る。このようにして、レーザビームの非活用の期間は、減らされ、またはなくされさえする。レーザビームの選択は、我々の同時継続中の特許文献8に説明されるように、気体流れの方向において上流である粉末層の中の固化する範囲との均衡がとれたレーザビームの非活用の期間を減らすなどのために、競合因子間の均衡とすることができる。
【0011】
スキャナの性能は、レーザビームの異なる位置について変わる傾向がある。例えば、スキャナが回転可能なミラーを備える場合、ミラーの正確さは、角度に依存して変わることがある。さらには、スポットは、レーザビームが粉末床に垂直である位置から離れて移動されるにつれて、より楕円形になる。各レーザビームを別々に誘導するための光学系は、物理的に離間されている必要があるので、各レーザビームについて、特定の性能が達成されわたる走査ゾーンは、他のレーザビームについての対応する走査ゾーンと一致しない可能性がある。各走査ゾーンが粉末床の総範囲よりも小さくなるようにスキャナを構成することによって、重なり合う範囲内にある粉末床の範囲を走査するための柔軟性が保たれている間、スキャナが、他のレーザビームについての対応する範囲と重なり合わない特定の性能によりレーザビームをその中に方向付けることができる範囲が活用され得る。
【0012】
ある走査ゾーンの10%超、20%超、30%超、40%超、または50%超が、別の走査ゾーンと重なり合うことができる。レーザスキャナは、各走査ゾーンが別の走査ゾーン、好ましくは、すべての隣接する走査ゾーンに重なるように構成され得る。レーザスキャナは、各走査ゾーンがあらゆる他の走査ゾーンと重なり合うように構成され得る。
【0013】
各走査ゾーンは、円弧、または円とすることができる。例えば、粉末床は、長方形状をしていてよく、レーザモジュールは、円弧形状の走査ゾーンをそれぞれが有し、各円弧形状の走査ゾーンの円心が、実質的には、長方形の粉末床の異なる隅部に位置決めされ、円弧の半径が、走査ゾーンが重なり合うようなものである、4つのレーザビームを生成するように構成され得る。
【0014】
代替として、各走査ゾーンは、実質的には、長方形である。例えば、粉末床は、長方形状をしていてよく、レーザモジュールは、長方形走査ゾーンをそれぞれが有し、各走査ゾーンが、粉末床の異なる隅部と位置合わせされる、4つのレーザビームを生成するように構成され得る。
【0015】
処理ユニットは、範囲を走査するときの粉末層に対するレーザビームの角度を示すパラメータに基づいて、走査ゾーンが重なり合う領域内の粉末層の範囲を走査するために使用するレーザビームを選択するように構成され得る。
【0016】
レーザビームの走査ゾーンが重なり合う領域内に位置決めされる物体の範囲を走査するために使用するレーザビームの選択は、物体が構築される前に遂行され得る。処理ユニットは、構築されるべき1または複数の物体の計画された場所について各粉末層の中の範囲を走査する際に使用するレーザビームの選択に基づいて、各レーザビームが各粉末層を走査する時間長を決定し、決定された時間長に基づいて、粉末床の中の1または複数の物体の計画された場所を変更するように構成可能である。例えば、物体は、レーザが各層の中の範囲を走査する時間長における差を減らす、またはなくすために再位置決めされ得る。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、選択的レーザ固化処理において、粉末層の範囲を走査するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法が提供され、ここでは、1または複数の物体が、粉末床上に粉末の層を沈着することと、粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末をわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために別々に誘導され、各レーザビームについての走査ゾーンは、レーザビームが誘導され得る粉末床上の場所によって定められ、各走査ゾーンは、粉末床の総範囲よりも小さく、レーザビームのうちの少なくとも2つについての走査ゾーンは重なり合い、この方法は、粉末層のうちの少なくとも1層について、レーザビームの走査ゾーンが重なり合う領域内に位置決めされる粉末層の範囲を走査するために、どのレーザビームを使用すべきかを選択するステップを含む。
【0018】
この方法は、コンピュータ実装方法とすることができる。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、命令を記憶させたデータキャリアが提供され、この命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、本発明の第2の態様の方法を遂行させる。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、選択的レーザ固化装置が提供され、選択的レーザ固化装置は、粉末層が沈着可能な粉末床と、粉末床上に沈着される粉末材料を固化するために、複数のレーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザモジュールと、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、各レーザビームを別々に誘導するためのレーザスキャナと、構築される物体または複数の物体の粉末床の中の場所を、その物体またはその複数の物体の走査が複数のレーザビーム間でどのように分割されるかに基づいて、選択するための処理ユニットとを備える。
【0021】
本発明の第5の態様によれば、選択的レーザ固化処理において、物体の範囲を走査するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法が提供され、ここでは、1または複数の物体が、粉末床上に粉末の層を沈着することと、粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末をわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層の中の個々の範囲を固化するために、別々に誘導され、この方法は、構築される物体または複数の物体の粉末床の中の場所を、その物体またはその複数の物体の走査が複数のレーザ間でどのように分割されるかに基づいて、選択するステップを含む。
【0022】
この方法は、コンピュータ実装方法とすることができる。
【0023】
本発明の第6の態様によれば、命令を記憶させたデータキャリアが提供され、この命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、本発明の第5の態様の方法を遂行させる。
【0024】
本発明の第7の態様によれば、選択的レーザ固化装置が提供され、この選択的レーザ固化装置は、粉末層が沈着可能な粉末床と、粉末床上に沈着される粉末材料を固化するために、複数のレーザビームを生成するための少なくとも1つのレーザモジュールと、各粉末層上に、離間された場所から各レーザビームを別々に誘導するためのレーザスキャナであって、各レーザビームについての走査ゾーンは、レーザビームがレーザスキャナによって誘導され得る粉末床上の場所によって定められ、レーザスキャナは、走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合い、または同じ区域内にあるように構成されている、レーザスキャナと、粉末層のうちの少なくとも1層について、走査ゾーンが重なり合い/同じ区域内にある粉末層の領域の中の粉末層上の点を走査するために、レーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを、点を走査するときの粉末層に対するレーザビームの角度を示すパラメータに基づいて、選択するための処理ユニットとを備える。
【0025】
このようにして、点を走査するときにレーザビームによって創出されるスポットの品質は、粉末層の中の点を固化するために使用するレーザビームを選択するときに考慮され得る。例えば、点を走査するときの粉末床に対する角度が、レーザの別のものよりも小さいレーザビームを支持することは、結果的に、より優れた品質のスポット(より丸い、より小さい半径)が可能なときに使用されることにつながり得る。さらには、レーザビームの交差が、点を走査するときの粉末床に対する角度がより小さいレーザビームを支持することによって、制限/回避され得る。各レーザビームによって創出される熱レンジング影響、およびそのような熱レンジングが他のレーザビームに対して及ぼす影響を理由に、レーザビームの交差を回避することが望ましい場合がある。
【0026】
本発明のこの態様においては、レーザスキャナは、粉末床全体のほんの部分、または粉末床全体をわたって各レーザビームを誘導するように構成され得る。
【0027】
本発明の第8の態様によれば、選択的レーザ固化処理において、粉末層上の点を走査するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する方法が提供され、ここでは、1または複数の物体が、粉末床上に粉末の層を沈着することと、粉末層のうちの少なくとも部分を選択的に固化するために、沈着された粉末をわたって複数のレーザビームを走査することとを繰り返すことによって、層ごとに形成され、各レーザビームは、各粉末層上に、離間された場所から別々に誘導され、各レーザビームについての走査ゾーンは、レーザビームがレーザスキャナによって誘導され得る粉末床上の場所によって定められ、レーザスキャナは、走査ゾーンのうちの少なくとも2つが重なり合い、または同じ区域内にあるように構成され、この方法は、粉末層のうちの少なくとも1層について、走査ゾーンが重なり合い/同じ区域内にある粉末層の領域の中の粉末層上の点を走査するために、レーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを、点を走査するときの粉末層に対するレーザビームの角度を示すパラメータに基づいて、選択するステップを含む。
【0028】
本発明の第9の態様によれば、命令を記憶させたデータキャリアが提供され、この命令は、プロセッサによって実行されるとき、プロセッサに、本発明の第8の態様の方法を遂行させる。
【0029】
本発明の上記態様のデータキャリアは、非一時的データキャリアなどの命令をマシンに提供するための適切な媒体、例えば、フロッピーディスク、CD ROM、DVD ROM/RAM(−R/−RW、および+R/+RWを含む)、HD DVD、BIu Ray(登録商標)ディスク、(Memory Stick(登録商標)、SDカード、もしくはコンパクトフラッシュカードなどの)メモリ、(ハードディスクドライブなどの)ディスクドライブ、テープ、任意のマグネト/光学ストレージ、あるいはワイヤもしくは光ファイバにおける信号、またはワイヤレス信号、例えば、(Internetダウンロード、もしくFTP転送などの)ワイヤードまたはワイヤレスのネットワークをわたって送信される信号など、一時的データキャリアとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
次に、本発明の実施形態が、添付の図面を参照して、一例として説明されることになる。
【
図1】本発明の一実施形態によるレーザ固化装置の概略図である。
【
図2】別の側面からのレーザ固化装置の概略図である。
【
図3】
図1および
図2に示されるレーザ固化装置の平面図である。
【
図4】粉末層の中の固化されるべき範囲、およびレーザの走査ゾーンの例示的な例である。
【
図5】(a)は、線A−Aに沿う、本発明のさらなる実施形態によるレーザ固化装置の概略横断面図であり、(b)は、(a)に示されるレーザ固化装置の走査ゾーンの平面図である。
【
図6】(a)は、移動可能な光学モジュールを備えた本発明の別の実施形態によるレーザ固化装置の概略横断面図であり、(b)は、(a)に示されるレーザ固化装置の走査ゾーンの平面図である。
【
図7】
図6(a)および
図6(b)に示されるレーザ固化装置において使用するための光学モジュールの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1から
図3を参照すると、本発明の実施形態によるレーザ固化装置が、選択的レーザ溶融粉末104によって構築される物体103を担持するための構築プラットフォーム102を備える。プラットフォーム102は、物体103の連続層が形成されるにつれて、チャンバ101の中で低くされ得る。粉末の層104は、物体103が分注装置108およびワイパ109によって構築されるにつれて形成される。例えば、分注装置109は、特許文献9に説明される装置であってよい。レーザモジュール1、2、3、および4はそれぞれ、粉末104を溶融させるためのレーザビームを生成し、各レーザビームは、コンピュータ130の制御の下、対応する光学モジュール106aから106dによって要求応じて方向付けられる。レーザビームは、窓107を介して構築チャンバに入る。各レーザビームは、粉末床104の個々の範囲を固化するために、独立して誘導され得る。各レーザビームが粉末床104において誘導され得る場所域は、
図4に破線la、2a、3a、および4aによって例示される走査ゾーンを定める。各レーザビームについての走査ゾーンは、他のレーザビームについての走査ゾーンに重なり、それにより、粉末床の中の特定の領域について、1つより多いレーザビームが、その場所で構築されるべき物体を固化することができる。
【0032】
入り口112および出口110が、構築プラットフォーム102の上に形成される粉末床を横切って気体流れを生成するために構成されている。入り口112および出口110は、矢印118によって示されるように、入り口から出口への流れ方向を有する積層状流れを創出するように構成されている。気体は、出口110から入り口112までを気体再循環ループ111を通じて再循環される。ポンプ113が、入り口112および開口5、6で所望の気体圧力を維持する。フィルタ114が、再循環ループ111の中に設けられ、流れの中に閉じ込められるようになったコンデンセートを気体からフィルタリング除去する。1つより多い入り口112が、構築チャンバ101の中に設け得ることが理解されよう。さらには、再循環ループ111は、構築チャンバ101の外側に延在するのではなく、構築チャンバ101内に収容されてもよい。
【0033】
コンピュータ130が、プロセッサユニット131と、メモリ132と、ディスプレイ133と、キーボード、タッチスクリーンなどのユーザ入力デバイス135と、光学モジュール106aから106dおよびレーザモジュール1から4など、レーザ焼結ユニットのモジュールへのデータ接続部と、外部データ接続部135とを備える。メモリ132に記憶されたコンピュータプログラムが、
図4および
図5を参照して説明される方法を遂行するように処理ユニット131に命令する。
【0034】
STLファイルの形態などで、構築されるべき物体の幾何学的データが、例えば、外部データ接続部135をわたって、コンピュータ130によって受領される(201)。処理ユニット131は、構築プラットフォーム102上の物体の場所に関する情報を受領する(202)。この場所情報は、STLにおいてすでに定められていても、またはユーザが、ユーザ入力デバイス135を使用して、各物体が構築プラットフォーム102上のどこに位置決めされるべきであるかを選択してもよい。
【0035】
プロセッサユニット131は、各層について、固化されるべき粉末床の範囲と、これらの範囲を走査するために使用するレーザビーム1、2、3、4とを特定する。
図4に示される例においては、固化されるべき範囲は、いくつかの島5、6、および7を備える。島5、6、および7の異なる区分は、異なるレーザビーム1、2、3、および4の走査ゾーン内にある。例えば、島5の場合、ある区分がレーザビーム1だけによって、別の区分がレーザビーム1または2によって、さらなる区分がレーザビーム1または4によって、および最終区分がレーザビーム1、2、または4によって走査され得る。各区分、および区分の範囲を走査することができるレーザビーム1、2、3、4に基づいて、処理ユニット131は、各レーザビーム1、2、3、4が床を走査する総時間長が、システムに関する所与の他の制約にほぼ等しくなるように、または少なくとも可能な限り近くなるように、区分を走査するレーザビーム1、2、3、4を選択する。島5について示されるように、この島は、島5が走査ゾーン1a、2a、3a、および4aによってどのように二分されるか基づいて、区分に分離され得、処理ユニット131は、各区分を走査するために使用されるべきレーザビームを選択する。例においては、レーザビーム1が2つの最上区分を、レーザビーム4が下側左区分を、レーザビーム2が下側右区分を走査するために使用される。島6は、走査ゾーン1a、2a、3a、および4aの二分する線に沿って区分化されるだけでなく、処理ユニット131は、点線9によって示される追加の区分化を導入している。そのような追加の区分化は、各レーザビーム1、2、3、4についての所要の走査時間を得るために使用され得る。
【0036】
島を異なる区分に分ける第1の手段として、走査ゾーン1a、2a、3a、4aの境界を使用することは、これらの線が、異なるレーザビームの選択肢が利用可能である区分を画定するときに有益であり得る。しかしながら、たとえ島が走査ゾーンの境界によって二分されない場合であっても、その島は、2つ以上の走査ゾーンの重なり合う領域内にある場合、各レーザビーム1、2、3、および4についての所要の走査時間を得るようになおも区分化され得る。これは、島7によって例示され、島7は、線8に沿って2つの区分に分割され、一方の区分は、レーザビーム3によって、他方の区分は、レーザビーム4によって走査される。異なるレーザビーム1、2、3、および4によって走査される区分間の接触面は、(線8の拡大された区分によって例示されるように)隣接する区分を一緒に合わせるように波形または段付きの形状を有する。類似の構造が、すべての区分の接触面間で使用されてもよい。
【0037】
各レーザビームに割り当てられる総範囲がほぼ等しくなるように区分を選択することによって、各レーザビームについての走査時間は、ほぼ等しくすべきである。しかしながら、走査時間を決定する際に考慮する他の因子がある場合あり、それは、構築される層に依存し得る。
【0038】
例えば、物体を形成するための既知の「シェル/コア(shell and core)」方法においては、物体のコアは、大きい直径のレーザスポットを用いて走査することによって固化され、物体のシェル(外周面)は、小さい直径のレーザスポットを使用して形成され得る。そのような方法が、特許文献10、特許文献11、および特許文献12において開示されている。類似の技法が、この方法において使用可能である。物体のコア/シェルを形成するときのスポットサイズを変えることは、これらの異なる領域についてのレーザビームの走査速度に影響する場合がある。したがって、処理ユニット131は、異なるレーザビームに区分を割り当てるとき、これらの異なる走査速度を考慮し得る。これは、純粋に範囲に基づいてレーザビーム間の区分の分割を決定することだけでは、不十分な場合があり、(最終の物体において、物体の表面を形成する)区分の外縁部の長さが、レーザビームの走査時間を決定するときに考慮され得ることを意味することができる。例えば、
図4においては、島5は、不整形状である。上部左隅部における区分は、島5の他の区分、ならびに他の島6および7の他の区分と比較されるとき、縁部の長さと相対して小さい範囲を有する。したがって、小さい直径のレーザスポットを用いてシェルを形成する際の時間がより長いことに起因して、この区分を走査するには、類似の範囲の区分についてよりも長くかかることになる。そのため、一実施形態においては、区分についての走査時間を決定するとき、区分に含まれる縁部の長さが考慮される。
【0039】
さらなる実施形態においては、単一の島5、6、7の周囲のシェルは、可能な場合、島の異なる区分についてのシェルを、これらの異なる区分に割り当てられる異なるレーザビームにより形成するのではなく、単一のレーザビームによって形成され得る。これは、区分の接触面で、シェルを一緒に結合する必要性を回避することができる。しかしながら、シェルを形成する際にかかる時間は、シェルを形成する仕事が割り当てられるレーザビームについての走査時間を決定するとき、考慮されなくてはならない場合がある。
【0040】
物体の底層および上部層は、シェル/コア方法を使用して形成され得ず、そのため、そのような計算は、これらの層に適用することはできない。
【0041】
区分の形状も、区分を走査するためにかかる時間に影響する場合がある。例えば、長細い区分は、レーザビームの走査は、走査の方向が転換されるにつれて遅くなるという理由から、区分全体を横切って走査するラスタ走査(いわゆる「蛇行(meander)」走査)を使用して走査するためには、たとえ区分の範囲が同じである場合であっても、より広く短い区分よりも長くかかる可能性がある。長細い区分についての場合になるように変更転換が多くある場合には、これは、より幅広い区分についての場合になるようにほんのいくつかの方向転換と相対して、走査を遅らせることになる。これは、区分を走査するためにかかる時間を決定するときに考慮され得る。しかしながら、特許文献13、および特許文献14においてそれぞれ開示されているように、碁盤目状または縞状の走査など、区分の形状に起因する方向転換の影響を軽減する走査方策がある場合がある。縞の幅または碁盤目の正方形よりもはるかに大きい区分の場合、方向転換の数は、走査される形状によって支配されるのでなく、区分内に収まる縞、または碁盤目の正方形の数によって支配される(これは、区分の範囲に依存していることになる)。
【0042】
方向転換が走査速度に影響することがあり得るさらなる箇所は、シェル/コア方法においてシェルを形成するときの縁部である。具体的には、多数の方向転換を有する縁部の場合、走査速度は、同じ長さの縁部ではあるがほとんど方向転換がない場合よりも遅くなる。やはり、これは、レーザビームが区分を走査するためにかかる時間長を決定するとき、処理ユニット131の計算の因子となり得る。
【0043】
重なり合う領域内にある粉末床の範囲を固化するレーザビームを選択するとき、考慮され得るさらなる因子が、その場所でレーザビームによって創出されるスポットの形状である。典型的には、光学モジュール106aから106dは、レーザビームが粉末層の平面に垂直に方向付けされるとき、円形スポットを生成するように構成され得る。垂線から離れてレーザビームを方向付けることは、楕円形スポットを創出し、角度が大きくなればなるほど、スポットの半径も大きくなる。スポットのサイズおよび形状における変化は、固化された材料の特性を変え得る。したがって、処理ユニット131は、重なり合う領域内にある範囲/範囲内の点を固化するために使用するレーザビーム1、2、3、4を、範囲/点を固化するときのレーザビームの角度に基づいて、選択することができる。レーザビームが粉末層の平面に垂直である時の各走査ゾーンの(
図5(b)における点251aから251dによって例示される)参照点からの範囲/点の距離が、角度を表す値として使用され得る。例えば、各レーザビーム1、2、3、および4によって、層の中の固化されるべき粉末の範囲の量が、できるだけ、レーザ1と、2と、3と、4との間で等しく分割され得るが、範囲がレーザビーム1と、2と、3と、4との間でそれに沿って分割される線は、各走査ゾーンの参照点から固化されるべき範囲の中の各点の距離に基づいていることができる。
【0044】
固化されるべき各粉末床の範囲を走査する際に使用するレーザビーム1、2、3、4の選択の完了において、結果は、ユーザに表示されて、閲覧することができる。入力デバイスを使用して、ユーザは、物体の場所を調整することができ得、処理ユニット131は、物体の新規場所についての範囲を走査するために使用されるべきレーザビームを再選択する。これにより、ユーザは、構築される物体の走査時間を最小限にすることができる。
【0045】
一実施形態においては、処理ユニット131は、構築時間を最小限にするために粉末床の中の物体の場所を自動的に再調整する。
【0046】
構築を活動化すると同時に、処理ユニット131は、レーザビームを制御して、選択される形で粉末層を走査するように、光学モジュール106aから106dに命令を送る。
【0047】
別の実施形態においては、各レーザモジュールが粉末床104を固化するために単一のレーザビームを提供するのではなく、1または複数のレーザモジュールから生成されるレーザビームは、1つより多いレーザビームに光学的に分割可能であり、分割されたレーザビームの各部分は、粉末床に対して別々に誘導されることは理解されよう。そのような構成は、高出力のレーザモジュールに適切な場合があり、例えば、1KWのnd−YAGファイバレーザは、4つの個々のレーザビームに分割可能になり、各レーザビームは、金属粉末を溶融させるのに十分な出力を有する。さらなる実施形態においては、光学系は、そのレーザビーム、または各レーザビームが分割される部分の数は、ユーザによる、またはコンピュータによる選択に応答して再構成可能なように構成され得る。そのような構成は、装置が異なる材料とともに使用されることになるとき、適切な場合があり、それは、その材料の粉末を溶融させるために異なるレーザ出力を要求する。例えば、溶融点が高い材料の場合、レーザビームは、より少ない部分に分割可能であり(または、全く分割されない場合もある)、それに反して、溶融点がより低い材料の場合、レーザビームは、より大きい数の部分に分割可能である。
【0048】
図5(a)および
図5(b)は、4つの光学モジュール106a、106b、106c、106dを有するスキャナを備える装置のための走査ゾーン201a、201b、201c、および201dの代替の構成を示している。この構成においては、光学モジュールは、各レーザビーム1、2、3、4についての走査ゾーン201a、201b、201c、201dが、実質的に、長方形であるように構成されている。例えば、光学モジュール106a、106b、106c、106dは、レーザビームを方向付けるための2つの回転可能なミラーを備えることができ、ミラーは、粉末床204の作業表面の平面において2次元でビームを走査するために垂直軸の周囲を回転できる。各光学モジュール106a、106b、106c、106dは、実質的に、同じであり、光学モジュール106a、106b、106c、106dと相対して同じ場所で走査ゾーン201a、201b、201c、201dを生成する。したがって、光学モジュール106a、106b、106c、106dが、
図5(a)において距離Dによって示されるように、物理的に離間されているので、走査ゾーンは、レーザビーム1、2、3、4のうちのすべてではないが1または複数が方向付けられ得る粉末床104の領域210から217、およびレーザビーム1、2、3、4の4つすべてが方向付けられ得る中央領域218と、重なり合うが、同じ区域内にはない。
【0049】
図4を参照して説明されるのと同様の方法で、光学モジュールの走査ゾーンが重なり合う領域211、213、215、217、および218においては、処理ユニット131は、これらの領域内にある固化されるべき粉末床104の範囲を走査するために複数のレーザビーム1、2、3、4のうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択する。例えば、処理ユニット131は、できるだけ、各レーザビーム1、2、3、および4が、粉末の各層内の範囲を固化するために実質的に等しい時間長の間、使用されるように、レーザビームを選択することができる。
【0050】
次に、
図6(a)および
図6(b)を参照すると、さらなるレーザ固化装置が示されている。この装置においては、レーザスキャナは、トラック341に沿って移動可能な部材340上に実装される光学モジュール306aから306eを備える。このようにして、光学モジュール306aから306eは、構築チャンバ内を移動できる。
【0051】
図7は、光学ユニット306をより詳細に示している。各光学モジュール306は、レーザビームの焦点を合わせるためのレンズ339と、部材340の移動の方向に垂直な(
図6(b)における矢印によって表される)線に沿って粉末床304上に窓307を通じてレーザビームを誘導するための光学素子、この実施形態においてはミラー349とを収容した密封型筐体345を備える。ミラー349は、シャフト343上に実装されて、モータ344の制御の下、軸の周りを回転する。筐体は、レーザビームを担持する光学ファイバ336に筐体を接続するための接続部346を備える。各光学モジュール306は、部材340上に個々に移動可能に実装され得る。この実施形態においては、各モジュール306は、類似の長さの線をわたってレーザビームを誘導できる。
【0052】
光学素子349と、部材340との組み合わさった移動は、各レーザビームがそれぞれの走査ゾーン301aから301eに方向付けられることを可能にする。光学モジュールは、各走査ゾーン301a、301b、301c、301d、301eが、隣接する走査ゾーン301a、301b、301c、301d、301eと重なり合うように構成されている。第1の実施形態と同様に、各光学モジュール306は、処理ユニットによって制御され、処理ユニットは、走査ゾーン301a、301b、301c、301d、301eが重なり合う領域内にある固化されるべき粉末床304の範囲を走査するために、複数のレーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成されている。処理ユニットは、部材340が粉末床をわたって移動可能な速度を最大にするため、および/または各粉末層の指定された範囲の固化に要求される粉末床304をわたる部材340の通過数を最小限にするために、選択を行うことができる。
【0053】
さらなる実施形態においては、光学モジュール306aから306eは、線ではなく範囲をわたってレーザビームを方向付けるための移動可能な光学系を備える(すなわち、レーザビームは、光学系によって、ならびに部材340の移動によって、部材340の移動方向に移動可能である)。これは、走査ゾーンの重なり合う領域内にある粉末床の範囲を固化するために、どのレーザビームを使用すべきかを選択するとき、より大きな柔軟性を提供することができる。
【0054】
上記に説明された実施形態に対する代替および修正が、本明細書に定められる本発明の範囲から逸脱することなく行われ得る。例えば、レーザスキャナは、粉末床全体をわたって各レーザビームを誘導することができ得、処理ユニット131は、固化されるべき粉末層の範囲を走査するために、レーザビームのうちのどのレーザビームを使用すべきかを選択するように構成可能であり、それにより、各レーザが、範囲の固化中、ほぼ等しい時間長の間、使用され、固化されるべき範囲は、範囲を走査するときの粉末層に対するレーザビームの角度に基づいてレーザ間で分割される。