(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーの量が、使用されるモノマーの総モルの0.01〜0.1モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用する場合、用語
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は互換可能に使用され、1以上を意味する。
用語「及び/又は」は、生じ得る記載事例の一方又は両方を指すために用いられ、例えば、A及び/又はBは、(A及びB)並びに(A又はB)の両方を含む。
「主鎖」は、ポリマーの主となる連続鎖を指す。
「連結した」は、直列に結合していることを指し、例えば、連結した酸素原子は、エーテル酸素を指す。
「架橋」は、2つの予め形成されたポリマー鎖を、化学結合又は化学基を用いて接続することを指す。
「硬化部位」は、架橋に関与する場合がある、官能基を指す。
「共重合」は、モノマーが一緒に重合されてポリマー主鎖を形成することを指す。
「モノマー」は、重合を経てその後ポリマーの基本的構造の部分を形成することができる分子である。
「ポリマー」は、少なくとも50,000ダルトン、少なくとも100,000ダルトン、少なくとも300,000ダルトン、少なくとも500,000ダルトン、少なくとも750,000ダルトン、少なくとも1,000,000ダルトン、又は更には少なくとも1,500,000ダルトンの数平均分子量(Mn)を有するマクロ構造を指す。
【0010】
また、本明細書においては、端点による範囲の記載には、その範囲内に含まれる全ての数値(例えば、1〜10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98などが含まれる)が含まれる。
【0011】
また、本明細書においては、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
【0012】
本開示は、フルオロポリマーの重合を対象とし、式CF
2=CFO−R
f−CH=CH
2(式中、R
fは全フッ素化基である)の炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、重合中に使用される。下記に考察されるように、いくつかの実施形態では、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマー及び重合可能なオレフィン系モノマーの重合は、高固体を有しながら短時間枠内で重合することができる。いくつかの実施形態では、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマー及び重合可能なオレフィン系モノマーの重合から得られるガムは、酸受容体を必要とせず、かつ/又は例えば、圧縮永久歪みなどの改善された特性を有するポリマーを得ることができる。
【0013】
本開示の炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、式CF
2=CFO−R
f−CH=CH
2(式中、R
fは全フッ素化基である)を有する。炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、末端オレフィン炭化水素基(−CH=CH
2)及び対向する全フッ素化ビニルエーテル基(CF
2=CFO−)を含む。炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、Nakamuraらの米国特許第4,910,276号に開示されるような重合プロセス中のモノマーの環化を可能にする構造であるべきではない。換言すれば、本開示のフルオロポリマーは、主ポリマー鎖中に環状構造(5〜7員環を含むもの)を本質的に含まず、本質的に含まないとは、主ポリマー鎖中に5%未満、2%未満、1%未満、又は更には0.5%未満が生じることを意味する。それゆえ、式CF
2=CFO−R
f−CH=CH
2中のR
fは、ビニルエーテル基の酸素と対向するビニル基との間に2又は3個の連結した原子を含むべきではない(換言すれば、R
fは、−C−C−又は−C−C−C−を含むべきではない)。
【0014】
一実施形態では、R
fは、置換、非置換、飽和、直鎖、又は分枝鎖であり、所望により、ヘテロ原子(例えば、O又はN)を含む。一実施形態では、R
fは、−CF
2−、又は4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、若しくは更に20個の炭素原子を含む全フッ素化アルキレンラジカルから選択される。一実施形態では、R
fは、少なくとも1つのエーテル結合(すなわち、−C−O−C−)を含む。
【0015】
例示的な炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、CF
2=CFOC
4F
8CH=CH
2、CF
2=CFOC
5F
10CH=CH
2、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4CH=CH
2、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
4F
8CH=CH
2、及びこれらの組み合わせを含む。
【0016】
好ましくは、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、低量で存在し、例えば、重合可能なオレフィン系モノマー及び/又は下記に説明されるコモノマーよりも低い量で存在する。一実施形態では、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、フルオロポリマー中で使用されるモノマーの総モル数に基づいて、0より大きくかつ最大1.0モル%又は更に最大2モル%の量で存在する。一実施形態では、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、フルオロポリマー中で使用されるモノマーの総モル数に基づいて、少なくとも0.01、0.02、又は更に0.03モル%、及び最大でも0.05、0.08、0.1、0.12、0.14、又は更に0.2モル%の量で存在する。
【0017】
本開示の炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーは、重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーと重合して本明細書に開示されるフルオロポリマーをもたらすが、重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーは、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーとは異なる。
【0018】
重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーは、それらがラジカル重合能力を有する限り、特に限定されない。これらの重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーは、全フッ素化又は部分的にフッ素化されたモノマーであってもよい。かかるオレフィンは、典型的には、2〜20個の炭素原子を含有する。フッ素原子、及び場合によっては水素原子に加えて、オレフィンは、また、Cl原子及び/又は酸素エーテル原子を含んでもよい。
【0019】
例示的な重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーとしては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、フッ化ビニル、2−クロロペンタフルオロプロペン、及びCH
2=C(R)−Z−CR=CH
2(式中、Rは、独立して、H又はC1〜C6アルキルから選択され、Zは、直鎖又は分枝鎖C1〜C18フッ素化ラジカルであり、任意に連結した酸素原子を含有する)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0020】
他の例示的な重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーとしては、フッ素化及び全フッ素化ビニルエーテル及びアリルエーテルが挙げられ、それらは、アルキルエーテルアルコキシエーテル又はポリオキシアルキルエーテルであってもよい。かかるエーテルは、典型的には、次式の一般構造を有する。
【0021】
Rf−O−(CF
2)
n−CF=CF
2
式中、nは1又は0であり、Rfは、1個以上の酸素原子の割り込みがあってもよい又はなくてもよいアルキル残基を表す。かかるエーテルの例としては、ペルフルオロ(メチルビニル)エーテル(PMVE)、ペルフルオロ(エチルビニル)エーテル(PEVE)、ペルフルオロ(n−プロピルビニル)エーテル(PPVE−1)、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテル、及びCF
3−(CF
2)
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF(CF
3)−CF
2−O−CF=CF
2などの全フッ素化ビニルエーテル(PVE)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
これらの重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーに加えて、フルオロポリマーは、非フッ素化オレフィン系モノマーに由来する単位を含有してもよい。かかる非フッ素化オレフィン系モノマーは、典型的に、2〜20個の炭素原子を含み、Cl原子及び/又は酸素エーテル原子も含んでもよい。例示的な非フッ素化オレフィン系モノマーとしては、プロピレン(P)及びエチレン(E)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、及びその組み合わせが挙げられる。
【0023】
一緒に重合されるモノマーの例示的な組み合わせとしては、TFE/1,1,−ジフルオロエチレン/炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテル、VDF/HFP/炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテル、又はTFE/VDF/HFP/炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルが挙げられる。
【0024】
理論によって束縛されることを望むものではないが、本明細書に開示される炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、ポリマー鎖に沿って分枝点を導入すると考えられる。このことは、それがポリマーアーキテクチャを変化させて、1ポリマー鎖当たり3つ以上の末端基を可能にするため、有利である。
【0025】
フルオロポリマーの架橋について考察すると、臭素又はヨウ素原子が、重合中にポリマー鎖に組み込まれて架橋のための後続地点を可能にする。これらのハロゲンは、典型的に、ヨウ素化及び/又は臭素化連鎖移動剤又は臭素及び/又はヨウ素含有硬化部位モノマーを使用して組み込まれる。
【0026】
連鎖移動剤は、成長するポリマー鎖と反応し、連鎖成長を停止させることができる化合物である。連鎖移動剤が、典型的には、フルオロポリマーの分子量を制御するように添加される。本明細書に開示される炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、ヨウ素(又は臭素)含有連鎖移動剤の存在下で重合することにより、ポリマー鎖に沿って分枝点を導入するので、2超、4超、10超、20超、又は更に50超のヨウ素(又は臭素)原子を、1ポリマー鎖当たりに組み込むことができると考えられる。次いでこれらのハロゲン(ヨウ素又は臭素)をその後使用して、硬化反応においてフルオロポリマーを架橋することができ、より安定した架橋網がもたらされる。
【0027】
硬化部位モノマーは、典型的には、ポリマー鎖に沿って硬化部位を組み込むために添加されるが、これは、本明細書に開示される炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーがポリマー鎖に沿って分枝点を導入すると考えられるためであり、ヨウ素又は臭素含有連鎖移動剤が使用される場合、一実施形態では、硬化部位モノマーは、フルオロエラストマー組成物を製造するときでさえも必要でない場合がある。しかしながら、他の実施形態では、硬化部位モノマーを含めることにより、フルオロポリマー中に更に硬化部位の量を増加させることが望ましい場合がある。
【0028】
一実施形態では、本明細書に提供されるフルオロポリマーは、少なくとも1つの硬化部位を更に含んでもよい。好適な硬化部位は、過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲン原子である。過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンは、臭素又はヨウ素とすることができる。好ましくは、ハロゲンはヨウ素である。過酸化物硬化反応に関与することができるハロゲンは、主鎖の末端位置に位置する。しかしながら、更なる反応性硬化部位もまた存在する場合がある。典型的には、フルオロポリマー中に含有されるヨウ素、臭素、又はこれらの組み合わせの量は、フルオロポリマーの総重量に対して0.001〜5重量%、好ましくは、0.01〜2.5重量%、又は0.1〜1重量%若しくは0.2〜0.6重量%である。
【0029】
例示的な硬化部位モノマーとしては、CF
2=CHBr、CH
2=CHCH
2Br、CF
2=CFCF
2Br、CH
2=CHCF
2CF
2Br、CF
2=CHI、CH
2=CHCH
2I、CF
2=CFCF
2I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOC
4F
8I(MV4I)、CF
2=CFOC
2F
4I、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2CH
2I、CF
2=CFOC
4F
8CH
2CH
2I、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
本開示のフルオロポリマーは、既知の重合技術のうちのいずれかで得ることができるが、フルオロポリマーは、好ましくは、バッチ、半バッチ、又は連続的重合技術を含む、既知の様式で実行することができる、水性乳化重合プロセスを通して作製される。水性乳化重合プロセスに使用するための反応槽は、典型的には、重合反応中に内部圧力に耐えることができる加圧可能な槽である。典型的には、反応槽は、反応器含有物の完全な混合物を生産する機械撹拌機、及び熱交換システムを含む。任意の量のモノマー(複数可)が、反応器の槽に充填されてもよい。モノマーは、バッチ毎に、又は連続的若しくは半連続的な様式で充填されてもよい。半連続的とは、重合の過程中、複数のモノマーのバッチが、槽に充填されることを意味する。モノマーをケトルに添加する独立した比率は、時間をともなう特定のモノマーの消費率に依存する。好ましくは、モノマーの添加率は、モノマーの消費率、すなわちポリマーへのモノマーの変換であるに等しい。
【0031】
反応ケトルは、水で充填されるが、その量は重要ではない。水相には、一般にフッ素化界面活性剤、典型的には非テロゲン性(non-telogenic)フッ素化界面活性剤も添加されるが、フッ素化界面活性剤を添加しない水性乳化重合も実施されてもよい。使用する場合、フッ素化界面活性剤は、典型的には、0.01重量%〜1重量%の量で使用される。好適なフッ素化界面活性剤には、水性乳化重合で一般的に用いられる任意のフッ素化界面活性剤も挙げられる。一実施形態では、フッ素化界面活性剤は、一般式:
Y−R
f−Z−M
に対応するものであり、式中、Yは、水素、Cl、又はFを表し、R
fは、4〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖全フッ素化アルキレンを表し、Zは、COO
−又はSO
3−を表わし、Mは、アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンを表す。例示的なフッ素化界面活性剤としては、ペルフルオロオクタン酸及びペルフルオロオクタンスルホン酸などの全フッ素化アルカン酸のアンモニウム塩を含む。
【0032】
別の実施形態では、フッ素化界面活性剤は、一般式:
[R
f−O−L−COO
−]
iX
i+(VI)
のものであり、式中、Lは、直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化アルキレン基又は脂肪族炭化水素基を表し、R
fは、直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化脂肪族基、又は1つ以上の酸素原子で中断された直鎖部分フッ素化若しくは完全フッ素化基を表し、X
i+は、価数iを有する陽イオンを表し、iは、1、2、及び3である。具体的な実施例は、例えば、米国特許公開第2007/0015937号(Hintzerら)に記載されている。例示的な乳化剤としては、CF
3CF
2OCF
2CF
2OCF
2COOH、CHF
2(CF
2)
5COOH、CF
3(CF
2)
6COOH、CF
3O(CF
2)
3OCF(CF
3)COOH、CF
3CF
2CH
2OCF
2CH
2OCF
2COOH、CF
3O(CF
2)
3OCHFCF
2COOH、CF
3O(CF
2)
3OCF
2COOH、CF
3(CF
2)
3(CH
2CF
2)
2CF
2CF
2CF
2COOH、CF
3(CF
2)
2CH
2(CF
2)
2COOH、CF
3(CF
2)
2COOH、CF
3(CF
2)
2(OCF(CF
3)CF
2)OCF(CF
3)COOH、CF
3(CF
2)
2(OCF
2CF
2)
4OCF(CF
3)COOH、CF
3CF
2O(CF
2CF
2O)
3CF
2COOH、及びその塩が挙げられる。一実施形態では、界面活性剤の分子量は、1500、1000、又は更には500グラム/モル未満である。
【0033】
これらのフッ素化界面活性剤は、単独で使用されてもよく、又は2つ以上の混合物として組み合わせて使用されてもよい。界面活性剤の量は、使用される水の質量に基づいて、一般的に250〜5,000ppm(百万分率)、好ましくは250〜2000ppm、より好ましくは300〜1000ppmの範囲である臨界ミセル濃度よりかなり低い。
【0034】
連鎖移動剤は、フルオロポリマーの分子量を制御して、所望のゼロ剪断速度粘度を得、かつ/又はポリマー鎖の末端位置でハロゲン(I又はBr)を導入するように使用されてもよい。好適な連鎖移動剤の例としては、式R
fP
xを有するものが挙げられ、式中、Pは、Br又はI、好ましくはIであり、R
fは、所望により塩素原子を含有する場合がある、1〜12個の炭素原子を有するx価のアルキルラジカルである。典型的には、xは1又は2である。有用な連鎖移動剤としては、全フッ素化一ヨウ化アルキル、全フッ素化二ヨウ化アルキル、全フッ素化一臭化アルキル、全フッ素化二臭化アルキル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。具体例としては、CF
2Br
2、Br(CF
2)
2Br、Br(CF
2)
4Br、CF
2ClBr、CF
3CFBrCF
2Br、I(CF
2)
nI(式中、nは、3〜10の整数(例えば、I(CF
2)
4I)である)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0035】
水相に反応開始剤又は反応開始剤システムを添加することにより、モノマーの初期充填後、通常、重合を開始する。例えば、ペルオキシドをフリーラジカル反応開始剤として使用することができる。ペルオキシド開始剤の具体例としては、過酸化水素、ジアシルペルオキシド(例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジブチリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルアセチルペルオキシド、ジグルタル酸ペルオキシド及びジラウリルペルオキシド)、並びに更なる水溶性過酸及びその水溶性塩(例えばアンモニウム塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩)が挙げられる。過酸の例としては、過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に用いることができ、これらの例としては、tert−ブチルペルオキシアセテート及びtert−ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。使用することができる開始剤の更なる部類は、水溶性アゾ化合物である。開始剤として用いるために好適な酸化還元系としては、例えばペルオキソジスルフェートと亜硫酸水素又は二亜硫酸水素の組み合わせ、チオスルフェートとペルオキソジスルフェートの組み合わせ、又はペルオキソジスルフェートとヒドラジンの組み合わせが挙げられる。使用することができる更なる開始剤は、過硫酸、過マンガン酸、若しくはマンガン酸、又は複数のマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩である。用いられる開始剤の量は、典型的には、重合混合物の総重量に基づいて、0.03〜2重量%、好ましくは0.05〜10重量%である。開始剤の全量を、重合の開始時に添加してもよく、又は開始剤を、重合中に連続方式で重合に添加することができる。また開始剤の一部を開始時に添加し、重合中に残りを1回の又は別々の追加分として添加することができる。好ましくは、例えば鉄、銅、及び銀の水溶性塩のような促進剤も添加されてもよい。
【0036】
重合反応の開始中、密閉した反応ケトル及びその内容物が、反応温度まで適宜予熱される。重合温度は、20℃〜150℃であり、30℃〜110℃が好ましく、40℃〜100℃が最も好ましい。重合圧力は、典型的には、4〜30バール(0.4〜3MPa)、特に、8〜20バール(0.8〜2MPa)である。水性乳化重合システムは更に、緩衝剤及び錯体形成剤のような助剤を含んでもよい。
【0037】
重合の終了で取得することができるポリマー固体の量は、典型的には10重量%〜45重量%、好ましくは20重量%〜40重量%であり、得られるフルオロポリマーの平均粒径は、典型的には50nm〜500nmである。
【0038】
本明細書に開示される炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルを使用することによって、高固形分を依然として達成するのと同時に、重合時間を短縮できることが、明らかになっている。例えば、15時間未満、10時間未満、8時間未満、又は更には4時間未満の重合時間を使用し、同時に水性乳化重合反応を用いて、20%超、30%超、又は更には35%超の固体を依然として生成する場合がある。
【0039】
本開示では、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルは、2つの炭素−炭素二重結合を有し、それぞれが、異なる重合能力を有する。全フッ素化ビニルエーテルは、炭化水素オレフィンと比べて、はるかに容易に重合される。
【0040】
理論によって束縛されることを望むものではないが、本開示において使用される少量の炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルが、フルオロポリマーの部分分枝を生じさせ、ベルオキシド硬化の場合、炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルなしで作製されたポリマーと比較して、1鎖当たりの末端ヨウ素及び/又は臭素の量を著しく増加させる能力を可能にすると考えられる。結果として、下記の実施例に見られるように低圧縮永久歪み値を達成することを可能にする。
【0041】
炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルが、フルオロポリマーの機械特性及び/又は硬化挙動に良い影響を与えるポリマーアーキテクチャを生成すると考えられる。これは、特に少量で使用される場合に分岐ポリマーを生成することによって生じる場合がある。
【0042】
本明細書に開示されるような炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルは、重合中のポリマーの分枝に影響する場合がある。分枝又は非直線性の程度は、長鎖分枝指数(LCBI)によって特徴付けることができる。LCBIは、R.N.Shroff,H.Mavridis;Macromol.,32,8464〜8464(1999)& 34,7362〜7367(2001)に記載されるように、次の等式に従って決定することができる。
【0044】
上記の式では、分枝状ポリマーを溶融することができる溶媒中で、η
0,brは、温度Tで測定された分枝状ポリマーのゼロ剪断粘度(単位Pa・s)であり、[η]
brは、温度T’における分枝状ポリマーの固有粘度(単位mL/g)であり、a及びkは、定数である。これらの定数は、次の式から決定される:
【0045】
【数2】
式中、η
0,lin及び[η]
linは、それぞれ、対応する直鎖ポリマーの、それぞれ同じ温度T及びT’並びに同じ溶媒中で測定されたゼロ剪断粘度及び固有粘度を表す。したがって、当然のことながら、同一の溶媒及び温度を等式1及び2で使用することを条件とする限り、LCBIは、選ばれた測定温度及び溶媒の選択とは無関係である。ゼロ剪断粘度及び固有粘度は、典型的には、凍結固化ポリマーに関して決定される。
【0046】
いくつかのフルオロポリマーに関する値a及びkを、試験条件と共に以下の表に列挙する。
【0048】
上記の表において、ポリマー中のモノマー単位のインデックスは、それぞれの単位の量をモル%で示しており、試験条件は次のようである:
A:265℃での剪断粘度及び35℃でのメチルエチルケトン中の固有粘度
B:230℃での剪断粘度及び23℃でのジメチルホルムアミド中の固有粘度
C:230℃での剪断粘度及び110℃でのジメチルホルムアミド中の固有粘度。
【0049】
定数a値は、試験したポリマーと無関係であると思われ、k値は、ポリマーの組成及び使用した試験条件により異なることが上記の表から観察することができる。
【0050】
使用されるフルオロポリマーのLCBIは、少なくとも0.2の値を有する必要がある。しかしながら、分枝(したがって、LCBI値)のレベルが大き過ぎる場合、ポリマーは、有機溶媒に溶融できないゲル分率を有する場合がある。当業者は、日常的な実験によってLCBIの適切な値を容易に決定する場合がある。一般に、LCBIは、0.2〜5、好ましくは0.5〜1.5であろう。一実施形態では、LCBIは、0.2、0.5、1、1.5、2、2.5、4、又は更には6より大きい。
【0051】
本開示の一実施形態では、本開示の組成物は、ハロゲン化オレフィンなどの代替分枝剤を用いて調製した同一のポリマーと比較してより高いLCBI値を含む。
【0052】
一実施形態では、本開示のフルオロポリマーは、全フッ素化されている。換言すれば、ポリマー主鎖中の全てのC−H結合は、C−F結合で置き換えられているが、末端基は、フッ素化されていても、又はされていなくてもよい。一実施形態では、本開示のフルオロポリマーは、高度にフッ素化されており、これはポリマー主鎖中の80%、90%、95%、又は更には99%のC−H結合が、C−F結合で置き換えられていることを意味する。別の実施形態では、本開示のフルオロポリマーは、部分フッ素化されており、これはポリマー主鎖(末端基は除く)が、少なくとも1つのC−H結合及び少なくとも1つのC−F結合を含むことを意味する。
【0053】
上述のフルオロポリマーを使用して、フルオロエラストマー組成物を作成してもよい。フルオロエラストマー組成物は、硬化性フルオロエラストマー、及び1種以上の過酸化物硬化系を含有する。過酸化物硬化系は、典型的には、有機過酸化物を包含する。ペルオキシドは、活性化されると、フッ素化ポリマーを硬化させ、架橋(硬化)フルオロエラストマーを形成する。好適な有機過酸化物は、硬化温度でフリーラジカルを生成するものである。50℃を超える温度で分解するジアルキル過酸化物又はビス(ジアルキル過酸化物)が特に好ましい。多くの場合、ペルオキシ酸素原子に結合した第三級炭素原子を有するジ−第三級ブチルペルオキシドを使用することが好ましい。この種のペルオキシドで最も有用なものは、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキシン−3及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三級ブチルペルオキシ)ヘキサンである。他の過酸化物は、過酸化ジクミル、過酸化ジベンゾイル、過安息香酸第3ブチル、α,α’−ビス(tert−ブチルペルオキシ−ジイソプロピルベンゼン)、及びジ[1,3−ジメチル−3−(tert−ブチルペルオキシ)−ブチル]カーボネートなどの化合物から選択することができるがこれらに限定されない。一般に、フルオロポリマー100部当たり約1〜5部のペルオキシドを使用してもよい。
【0054】
硬化剤は、担体、例えば、シリカ含有担体上に存在してもよい。
【0055】
過酸化物硬化系はまた、1種以上の助剤を含んでもよい。典型的には、助剤としては、過酸化物と協働して、有用な硬化を与えることのできる多価不飽和化合物が挙げられる。こうした助剤は、フルオロポリマー100部当たり、0.1〜10部、好ましくはフルオロポリマー100部当たり2〜5部の量で添加することができる。有用な助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)−s−トリアジン、トリアリル−ホスファイト、N,N−ジアリルアクリルアミド、ヘキサアリルホスホラミド、N,N,N’,N’−テトラアルキルテトラフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジアリル−フタレート、及びトリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレートが挙げられる。トリアリルイソシアヌレートが特に有用である。
【0056】
硬化性フルオロエラストマー組成物は、酸受容体を更に含有してもよい。フルオロエラストマー耐蒸気性及び耐水性を改善するために酸受容体を添加してもよい。かかる酸受容体は、無機、又は無機酸受容体と有機酸受容体とのブレンドであってもよい。無機酸受容体の例としては、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、二塩基性亜リン酸鉛、酸化亜鉛、炭酸バリウム、水酸化ストロンチウム、炭酸カルシウム、ハイドロタルサイト等が挙げられる。有機酸受容体としては、エポキシ、ステアリン酸ナトリウム、及びシュウ酸マグネシウムが挙げられる。特に好適な酸受容体としては、酸化マグネシウム及び酸化亜鉛が挙げられる。酸受容体の混合物も同様に使用してもよい。酸受容体の量は、一般に、使用する酸受容体の特性により異なる。典型的には、使用する酸受容体の量は、フッ素化ポリマー100部当たり0.5〜5部である。一実施形態では、酸化亜鉛は、本開示の硬化性フルオロエラストマー組成物中に必要ではない。
【0057】
硬化性フルオロエラストマー組成物は、従来のゴム加工設備の中で、フッ素化ポリマー、過酸化物硬化組成物、及び所望により添加剤を混合し、固体混合物、即ち付加的成分を含有する固体ポリマー(当該技術分野においては「コンパウンド」とも呼ばれる)を提供することによって調製されてもよい。他の成分を含有するかかる固体ポリマー組成物を生成するための、この成分の混合プロセスは、典型的には「コンパウンド化」と呼ばれる。かかる設備としては、ラバーミル、バンバリーミキサ等の密閉式ミキサ、及び混合押出成形機が挙げられる。混合中の混合物の温度は、典型的に、約120℃を超えて上昇しない。混合中、構成要素及び添加剤は、結果として得られるフッ素化ポリマー「コンパウンド」又はポリマーシート全体を通して均一に分散される。その後、この「コンパウンド」は、押出されるか又は、例えば、キャビティ又はトランスファー成形型などの成形型内でプレス成形され、続いてオーブン硬化することができる。代替実施形態では、硬化をオートクレーブの中で行うことができる。
【0058】
硬化は、典型的には、硬化性フルオロエラストマー組成物を熱処理することによって達成される。熱処理は、硬化フルオロエラストマーを作るのに有効な温度でかつ有効な時間行われる。最適条件は、フルオロエラストマーを機械的及び物理的特性に関して試験することにより調べることができる。典型的には、硬化は、120℃超又は150℃超の温度で実行される。典型的な硬化条件としては、160℃〜210℃又は160℃〜190℃の温度での硬化が挙げられる。典型的な硬化期間としては、3〜90分が挙げられる。硬化は、加圧下で行われるのが好ましい。例えば、10〜100bar(1〜10MPa)の圧力を印加してもよい。硬化プロセスが完全に完了するのを確実にするために、後硬化サイクルが適用されてもよい。後硬化は、170℃〜250℃の温度で1〜24時間の期間行われてもよい。
【0059】
硬化されたフルオロエラストマーは、高温及び/又は腐食性物質に曝される系、例えばとりわけ自動車、化学処理、半導体、航空宇宙、及び石油産業用途における封止、ガスケット、及び成型品として特に有用である。このフルオロエラストマーは封止用途で使用されてもよいため、エラストマーが圧縮下で良好に機能することが重要である。圧縮封止は、容易に圧縮され、かつ嵌合表面上に押し戻す結果として得られる力を発達させるエラストマーの能力に基づく。この結果として得られる力を幅広い環境条件にわたって時間に応じて維持する材料の能力は、長期安定性にとって重要である。熱膨張、応力緩和、及び熱エージングの結果、初期封止力は、時間と共に減衰するであろう。圧縮永久歪みを測定することにより、様々な条件下、特に200℃、225℃、232℃、250℃、及び更には275℃などの高温条件下におけるエラストマー材の封止力保持性を評価することができる。
【0060】
成形物品を調製するためにフルオロエラストマーを使用してもよい。かかる物品は、硬化性フルオロエラストマー組成物を提供し、かつ充填剤、顔料、可塑剤、潤滑剤等などの更なる成分をこの硬化性組成物に添加することによって調製される場合がある。典型的な充填剤としては、例えば、シリカ含有材料、又はカーボンブラック、グラファイト、煤等などのカーボン粒子が挙げられる。あるいは、これら成分は、コンパウンド化工程において既に添加されていてもよく、コンパウンド中に導入される。組成物の成形物品への成形は、例えば、造形された成形型の中で組成物を硬化することによって、又は当該技術分野において既知の方法を用いて、例えば、打抜き切断等により硬化組成物を成形することによって行ってもよい。
【0061】
以下は、本開示の例示的な実施形態である。
【0062】
実施形態1.(i)重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーと、(ii)CF
2=CFO−R
f−CH=CH
2(式中、R
fは、全フッ素化基であり、所望により連結したO原子を含むが、但し、R
f基が、ビニルエーテル基の酸素原子とビニル基との間に2又は3個の連結した原子を含まないことを条件とする)から選択された炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーと、の重合に由来するフルオロポリマーを含む組成物。
【0063】
実施形態2.R
fが、置換、非置換、飽和、直鎖、又は分枝鎖であり、所望により、連結した酸素原子を含む、実施形態1に記載の組成物。
【0064】
実施形態3.R
fが、−CF
2−及び4〜10個の炭素原子を含む全フッ素化アルキレンラジカルのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0065】
実施形態4.炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、CF
2=CFOC
4F
8CH=CH
2、CF
2=CFOC
5F
10CH=CH
2、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4CH=CH
2、及びCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
4F
8CH=CH
2のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【0066】
実施形態5.重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、及びCH
2=C(R)−Z−C(R)=CH
2(式中、Rは、独立して、H又はC1〜C6アルキルから選択され、Zは、直鎖又は分枝鎖C1〜C18フッ素化ラジカルであり、所望により酸素原子を含有する)のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【0067】
実施形態6.フルオロポリマーが、連鎖移動剤に更に由来する、実施形態1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【0068】
実施形態7.連鎖移動剤が、全フッ素化一ヨウ化アルキル、全フッ素化二ヨウ化アルキル、全フッ素化一臭化アルキル、及び全フッ素化二臭化アルキルのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態6に記載の組成物。
【0069】
実施形態8.フルオロポリマーが、硬化部位モノマーに更に由来する、実施形態1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【0070】
実施形態9.硬化部位モノマーが、CF
2=CHBr、CH
2=CHCH
2Br、CF
2=CFCF
2Br、CH
2=CHCF
2CF
2Br、CF
2=CHI、CH
2=CHCH
2I、CF
2=CFCF
2I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOC
4F
8I、CF
2=CFOC
2F
4I、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2CH
2I、及びCF
2=CFOC
4F
8CH
2CH
2Iのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態8に記載の組成物。
【0071】
実施形態10.炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーの量が、使用されるモノマーの総モルの0.01〜0.1モル%である、実施形態1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【0072】
実施形態11.実施形態1〜10のいずれか一項に記載の組成物及び硬化剤を含む、硬化性組成物。
【0073】
実施形態12.硬化剤が、ペルオキシドであり、所望により助剤を含む、実施形態11に記載の硬化性組成物。
【0074】
実施形態13.ペルオキシドが、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(2−t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、及びこれらの組み合わせから選択される、実施形態11に記載の硬化性組成物。
【0075】
実施形態14.助剤が、トリアリルイソシアヌレート、トリ(メチル)アリルイソシアヌレート、及びトリアリルシアヌレートのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態12又は13のいずれか一項に記載の硬化組成物。
【0076】
実施形態15.実施形態11〜14のいずれか一項に記載の硬化性組成物を含む物品を含む、硬化物品。
【0077】
実施形態16.硬化物品が、金属酸化物及び金属水酸化物のうちの少なくとも1つから選択される酸受容体を本質的に含まない、実施形態15に記載の硬化物品。
【0078】
実施形態17.フルオロポリマーを作製する方法であって、重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーと、CF
2=CFO−R
f−CH=CH
2(式中、R
fが、フッ素化基であるが、但し、R
fが、ビニルエーテル基の酸素原子とビニル基との間に2又は3個の連結した原子を含まないことを条件とする)から選択される炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーと、を提供することと、開始剤の存在下でモノマーを重合することと、を含む、方法。
【0079】
実施形態18.炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーの量が、使用されるモノマーの総モル数の0.01〜0.1モル%である、実施形態17に記載の方法。
【0080】
実施形態19.R
fが、置換、非置換、飽和、直鎖、又は分枝鎖であり、所望により、連結した酸素原子を含む、実施形態17又は18のいずれか一項に記載の方法。
【0081】
実施形態20.R
fが、−CF
2−及び4〜10個の炭素原子を含む全フッ素化アルキレンラジカルのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態17〜19のいずれか一項に記載の方法。
【0082】
実施形態21.炭化水素オレフィン含有ペルフルオロビニルエーテルモノマーが、CF
2=CFOC
4F
8CH=CH
2、CF
2=CFOC
5F
10CH=CH
2、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4CH=CH
2、及びCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
4F
8CH=CH
2のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【0083】
実施形態22.重合可能なフッ素化オレフィン系モノマーが、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、及びCH
2=C(R)−Z−C(R)=CH
2(Rが、独立して、H又はC1〜C6アルキルから選択され、Zが、直鎖又は分枝鎖C1〜C18フッ素化ラジカルであり、所望により酸素原子を含有する)のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態17〜21のいずれか一項に記載の方法。
【0084】
実施形態23.連鎖移動剤の存在下でモノマーを重合することを更に含む、実施形態17〜22のいずれか一項に記載の方法。
【0085】
実施形態24.連鎖移動剤が、全フッ素化一ヨウ化アルキル、全フッ素化二ヨウ化アルキル、全フッ素化一臭化アルキル、及び全フッ素化二臭化アルキルのうちの少なくとも1つから選択される、実施形態23に記載の方法。
【0086】
実施形態25.硬化部位モノマーの存在下でモノマーを重合することを更に含む、実施形態17〜24のいずれか一項に記載の方法。
【0087】
実施形態26.硬化部位モノマーが、CF
2=CHBr、CH
2=CHCH
2Br、CF
2=CFCF
2Br、CH
2=CHCF
2CF
2Br、CF
2=CHI、CH
2=CHCH
2I、CF
2=CFCF
2I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOC
4F
8I、CF
2=CFOC
2F
4I、CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OC
2F
4I、CH
2=CHCF
2CF
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2I、CF
2=CFOCF
2CF
2CH
2CH
2I、及びCF
2=CFOC
4F
8CH
2CH
2I(MV4EI)のうちの少なくとも1つから選択される、実施形態25に記載の方法。
【0088】
実施形態27.硬化部位モノマーの非存在下でモノマーを重合することを更に含む、実施形態17〜24のいずれか一項に記載の方法。
【実施例】
【0089】
本開示の利点及び実施形態を以降の実施例によって更に説明するが、これら実施例において列挙される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に制限するものと解釈されるべきではない。これらの実施例では、すべての百分率、割合及び比率は、特に指示しない限り重量による。
【0090】
すべての材料は、例えば、Sigma−Aldrich Company(Saint Louis,Missouri)などの一般の化学製品供給業者から入手したか若しくは入手可能であり、又は従来の方法によって合成してもよい。
【0091】
以下の実施例では、これらの略語を使用する。phr=ゴムの百分率、g=グラム、min=分、mol=モル、mmol=ミリモル、hr=時間、℃
=セルシウス度、mL=ミリリットル、L=リットル、psi=ポンド/平方インチ、psig=ポンド/平方インチゲージ圧、MPa=メガパスカル、GCMS=ガスクロマトグラフ質量分析法、FNMR=フーリエ変換核磁気共鳴分光法、及びN−m=ニュートンメートル。
【0092】
【表2】
【0093】
方法
ムーニー粘度
ムーニー粘度値を、121℃で、大きなローター(ML 1+10)を使用して、MV2000測定器(Alpha Technologies(Ohio)から入手可能)によりASTM D 1646−06 Type Aに記載のものと同様の方法で測定した。結果はムーニー単位で報告されている。
【0094】
硬化レオロジー
硬化レオロジー試験を、硬化していないコンパウンドされた試料を使用して、Monsanto Company(Saint Louis,Missouri)によって商標名Monsanto Moving Die Rheometer(MDR)Model 2000型として販売されているレオメータを使用して、ASTM D5289−93aに従い、177℃で、前加熱なし、経過時間30分、及び0.5度arcで実施した。最小トルク(M
L)、及び平坦域又は最大トルク(M
H)が得られない場合は特定の期間中に到達する最も高いトルクの両方を、測定した。また、トルクがM
Lより上に2単位増加する時間(t
s2)、トルクがM
L+0.5(M
H−M
L)に等しい値に到達する時間、(t’50)、及びトルクがM
L+0.9(M
H−M
L)に到達する時間、(t’90)、並びにM
L及びM
Hでのtan(デルタ)も測定した。tan(デルタ)は、引張損失弾性率と引張貯蔵弾性率との比率に等しい(tan(デルタ)がより低いということはより弾性であることを意味する)。結果を表1に報告する。
【0095】
O−リング成形及び圧縮永久歪み
0.139インチ(3.5mm)の断面厚さを有するOリングを、成形し(177℃で10分間の硬化)、引き続き200℃の空気中で8時間の後硬化を行った。Oリングを、表2及び3の通りの様々な時間及び温度での25%の初期たわみで、ASTM 395−89方法Bに記載のものと同様の方法に従って圧縮永久歪み試験に供した(3回ずつ分析した)。
【0096】
MV4I CF
2=CFOC
4F
8Iの調製
機械攪拌機、コンデンサ、追加漏斗、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコを、15℃で撹拌しながら151g(3.9mol)のNaBH
4及び1250gのイソプロパノールで充填した。米国特許第6,624,328号(Guerra)の実施例の章A〜Cに記載の通りに作製された750g(1.97mol)のCF
2=CFOC
4F
8SO
2Fの添加を、35℃で5時間にわたって行い、1時間撹拌した。その後600g(2.0mol)の33%のH
2SO
4を25℃で添加した後、1250gの水に溶解した520gのNaClが続き、生成物の上相を単離した。生成物の上相の第2の抽出を、750gの水に溶解した310gのNaClを添加することによって行い、生成物の上相を単離した。回転式蒸発によって溶媒を除去して、1867gのCF
2=CFOC
4F
8SO
2H還元水性生成物溶液を与えた。機械攪拌機、コンデンサ、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコを、400gのアセトニトリル及び600gの水と一緒に、377g(1.48mol)のヨウ素及び352g(1.48mol)のNa
2S
2O
8で充填し、50℃で撹拌した。1867gのCF
2=CFOC
4F
8SO
2H還元水性生成物溶液の添加を、2時間にわたって行った。この反応を、最高72℃で16時間加熱させた。この反応物を、25℃に冷却し、100gの水中20gのNaHSO
3を添加して水溶液を脱色した。相分離後、より低い生成物相を、300gの蒸留水で洗浄し、蒸留して558gのMV4I、CF
2=CFOC
4F
8Iを得、FNMR及びGCMSによって確定した。
【0097】
MV4EI CF
2=CFOC
4F
8CH
2CH
2Iの調製
600mlのParr反応器内に、3g(0.01mol)のt−ブチル−2−エチルヘキサン酸ペルオキシドと共に200g(0.47mol)のCF
2=CFOC
4F
8I MV4Iを真空充填することによって、上述のMV4Iへのエチレンの添加を行った。反応器を、65℃に加熱し、14g(0.5mol)のエチレンを、18psi(0.12MPa)の反応器圧で1時間にわたって添加した。反応器を、25℃に冷却し、214gを排出した。真空蒸留により、105℃/46mmの沸騰を与え、
19FNMRによって決定されるように、72%のCF
2=CFOC
4F
8CH
2CH
2I MV4EI及び18.8%の環状ICH
2CH
2CF
2−(CFOC
4F
8)として、192gの105℃/46mmでの沸騰を与えた。
【0098】
MV4Eの調製
CF
2=CFOC
4F
8SO
2FのClCF
2CFClOC
4F
8SO
2Fへの塩素化:機械攪拌機、コンデンサ、及び熱電対を装備した1リットルの3首丸底フラスコに、米国第6,624,328号に記載の通りに調製した1000g(2.63mol)のCF
2=CFOC
4F
8SO
2F(MV4S)を充填し、187g(2.64mol)の塩素を、気泡を発生して入れた。この反応を、2時間の添加にわたって最高50℃に加熱させた。添加後反応温度を25℃に下降させ、生成物を88℃/60mmで蒸留して99.1%の収率で1176g(2.61mol)得た。
【0099】
ClCF
2CFClOC
4F
8SO
2FからClCF
2CFClOC
4F
8SO
2Hへの還元及びClCF
2CFClOC
4F
8Iへのヨウ素化:機械攪拌機、コンデンサ、追加漏斗、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコを、1500gのテトラヒドロフラン中180g(4.7mol)のNaBH
4で充填し、撹拌した。1176g(2.61mol)のClCF
2CFClOC
4F
8SO
2Fの添加を、50℃で4時間にわたって行い、65℃で1時間反応させた。900g(3.0mol)の33%のH
2SO
4を室温で添加し、混合物を濾過して固体を除去した。溶液を、生成物を含有する上相で相分離し、溶媒を回転式蒸留した。更なる水を添加してテトラヒドロフランの大部分を除去した。1155gの濃縮還元生成物に1128gの水を添加することによって、希釈した。2つの同等のバッチで、ヨウ素化を行った。第1のバッチを、500gのアセトニトリル及び750gの水と一緒に371g(1.46mol)のヨウ素及び347g(1.46mol)のNa
2S
2O
8を有する、機械攪拌機、コンデンサ、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコに、還元溶液の半分を添加することによって行った。この反応を、1時間の添加にわたって最高72℃に加熱し、1時間この温度を保持した。この反応物を、25℃に冷却し、500gの水中100gのNaHSO
3を添加して水溶液を脱色した。相分離後、より低い生成物相を、300gの水で洗浄した。第2のバッチを、同様に反応させた。組み合わせた生成物を、還元工程及びヨウ素化工程を通して、94℃/58mmで蒸留して78%の収率で1008g(2.04mol)を得た。
【0100】
ClCF
2CFClOC
4F
8IからClCF
2CFClOC
4F
8CH
2CH
2Iへのエチレン添加:2つの同等のバッチで、エチレン添加を行った。第1のバッチを、600mlのParr反応器内に6.6g(0.03mol)のt−ブチル−2−エチルヘキサン酸ペルオキシド(TBPEHとしてUnited Initiators(Elyria,OH)から入手可能)と共に502g(1.01mol)のClCF
2CFClOC
4F
8Iを真空充填することによって、行った。反応器を65℃に加熱して、28.8g(1.02mol)のエチレンを、18psi(0.12MPa)の反応器圧で2時間にわたって添加した。反応器を、25℃に冷却し、530g(1.01mol)を排出した。第2のバッチを、同様に反応させた。組み合わせた生成物を、99%の収率で1054g(2.02mol)を与えた。
【0101】
ClCF
2CFClOC
4F
8CH
2CH
2IからClCF
2CFClOC
4F
8CH=CH
2へのナトリウムメトキシドを用いたデヒドロヨウ素化:機械攪拌機、コンデンサ、追加漏斗、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコ中に、1000gのメタノール中の1054g(2.02mol)のClCF
2CFClOC
4F
8CH
2CH
2Iを充填し、撹拌した。490g(2.26mol)の25重量パーセントナトリウムメトキシドを、最高32℃まで昇温して1時間にわたって添加した。この混合物を、65℃で1時間加熱した。この反応を25℃に冷却した後、1500gの水を添加して相分離を起こした。底部の生成物を、真空下で加熱して残渣メタノール及び水を除去して、96%の収率で762g(1.93mol)のClCF
2CFClOC
4F
8CH=CH
2を得た。
【0102】
ClCF
2CFClOC
4F
8CH=CH
2からCF
2=CFOC
4F
8CH=CH
2への亜鉛を用いた脱塩素化:機械攪拌機、コンデンサ、追加漏斗、及び熱電対を装備した5リットルの3首丸底フラスコを、250g(3.85mol)の亜鉛粉末、及び950gのジメチルホルムアミド及び30gの臭素で充填した。762g(1.93mol)のClCF2CFClOC4F8CH=CH2の添加を、75℃を下回る温度を維持しつつ2時間にわたって行った。添加後、ポットを122℃に加熱して生成物をレシーバに蒸留し、ポット温度が152℃に達するまで加熱を継続した。フッ素化物生成物を、200gの水で洗浄し、蒸留して、1.4%のCF
2=CFOC
4F
8Hとともに、沸点が114℃でF及びHNMRによる98%の純度を有する556g(1.75mol)のCF
2=CFOC
4F
8CH=CH2(MV4E)を89%の収率で得た。
【0103】
6つの工程プロセスは、1000g(2.63mol)のMV4Sで開始して556g(1.72mol)のMV4Eを得る、65%の全体収率を与えた。
【0104】
マイクロエマルションAの調製
窒素流入口及び流出口及びIKA UltraTurraxミキサを装備した1000mLの3首丸底フラスコに、17g(40mmol)のMV4I(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2I)と、13g(40mmol)のMV4E(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2CH=CH
2)と、64g(142mmol)のDIOFBと、6gの、1.5重量%の「FLUORINERT FC−70」を添加したCF
3OCF
2CF
2CF
2OCHFCF
2CO
2Hの30%水溶液と、110gの脱イオン水と、を充填した。得られる混合物を、窒素雰囲気下で5分間ミキサの最大設定(23,800rpm)で撹拌した。この混合物は、室温で数時間安定している不透明マイクロエマルションを形成した。このマイクロエマルションを、ペルフルオロエラストマーの調製に使用した。
【0105】
マイクロエマルションBの調製
マイクロエマルションBを、35gのMV4I及び100gの水を使用したことを除いて、マイクロエマルションAと同様に調製した。
【0106】
マイクロエマルションCの調製
マイクロエマルションCを、MV4Iを使用せず135gの水を使用したことを除いて、マイクロエマルションAと同様に調製した。
【0107】
マイクロエマルションDの調製
窒素流入口及び流出口並びにIKA UltraTurraxミキサを装備した1000mLの3首丸底フラスコに、50g(154mmol)のMV4E(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2CH=CH
2)と、6gの、1.5重量%の「FLUORINERT FC−70」を添加したCF
3OCF
2CF
2CF
2OCHFCF
2CO
2Hの30%水溶液と、300gの脱イオン水と、を充填した。得られる混合物を、窒素雰囲気下で5分間ミキサの最大設定(23,800rpm)で撹拌した。
【0108】
マイクロエマルションEの調製
マイクロエマルションEを、60gのDIOFBを使用したことを除いて、マイクロエマルションDと同様に調製した。
【0109】
マイクロエマルションFの調製
マイクロエマルションFを、60gのDIOFB及び25gのMV4Eを使用したことを除いて、マイクロエマルションDと同様に調製した。
【0110】
マイクロエマルションGの調製
マイクロエマルションGを、32gのMV4I及び300gの水を使用し、MV4Eを使用しなかったことを除いて、マイクロエマルションAと同様に調製した。
【0111】
マイクロエマルションHの調製
マイクロエマルションHを、25gのMV4E及び90gのDIOFBを使用したことを除いて、マイクロエマルションGと同様に調製した。
【0112】
マイクロエマルションIの調製
窒素流入口及び流出口及びIKA UltraTurraxミキサを装備した1000mLの3首丸底フラスコに、35g(82mmol)のMV4I(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2I)と、13g(40mmol)のMV4E(CF
2=CFOCF
2CF
2CF
2CF
2CH=CH
2)と、48g(106mmol)のDIOFBと、6gの、1.5重量%の「FLUORINERT FC−70」を添加したCF
3OCF
2CF
2CF
2OCHFCF
2CO
2Hの30%水溶液と、113gの脱イオン水と、を充填した。得られる混合物を、窒素雰囲気下で5分間ミキサの最大設定(23,800rpm)で撹拌した。
【0113】
マイクロエマルションJの調製
マイクロエマルションJを、13gのMV4E、64gのDIOFB、及び135gの水を使用したことを除いて、マイクロエマルションDと同様に調製した。
【0114】
マイクロエマルションKの調製
マイクロエマルションKを、34gのMV4EI、13gのMV4E、32gのDIOFB、及び125gの水を使用したことを除いて、マイクロエマルションDと同様に調製した。
【0115】
ペルフルオロエラストマーの一般的な調製
4リットルの反応器を、2450gの脱イオン水で充填し、72℃に加熱し、一連の3回の真空吸引及び窒素による真空遮断を実行することによって不活性化した。第3回目の真空吸引からの反応器の真空を用いて、反応器を、58gの、1.5重量%の「FLUORINERT FC−70」を添加したCF
3OCF
2CF
2CF
2OCHFCF
2CO
2Hの30%水溶液と、種々の量の過硫酸アンモニウム(APS)(表1に示される通り)と、4.26gの28%の水酸化アンモニウムと、で充填した。得られる混合物を、650rpmで撹拌して、真空を、25gのペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)で遮断した。その後、反応器圧を、PMVEとテトラフルオロエチレン(TFE)との3:1の混合で、190psig(1.3MPa)に上昇させた。その後、680gのPMVE、675gのTFE、及び種々の量のマイクロエマルション(表1に示される通り)を、190psig(1.3MPa)の反応器圧を維持するような速度で反応器に添加した(実際の実行時間については表1を参照のこと)。添加が完了したら、撹拌機を150rpmに減速させ、バッチを38℃に冷却し、過剰な圧力を大気開放した。得られるラテックスは、34%の固形分及び2.90のpHを有した。ポリマーラテックスを、3000グラムの蒸留水及び37.5グラムのMgCl
2・6H
2Oの撹拌した塩の水溶液に添加することによって凝固させた。すべてのラテックスが添加されると、混合物を、更に10分間撹拌した。その後、水/ガムスラリーを、チーズクロスを通して濾過し、収集したガムを、脱イオン水ですすいだ。この洗浄手順を、合計4回の洗浄にわたって繰り返した。その後、ガムを、130℃で16時間空気循環オーブン内で乾燥させた。
【0116】
実施例1〜12(EX1〜EX12)及び比較例A(CEA)
ポリマーを、マイクロエマルション及び表1に詳述の量を用いて「ペルフルオロエラストマーの一般的な調製」の章で記載した方法で作製した。表1には、試料のそれぞれに対する重合時間及び得られる分散の固形分も示される。
【0117】
【表3】
【0118】
注:EX1については、2.4gのDIOFBは、マイクロエマルションへの添加ではなく、むしろPMVEとのブレンドであった。
【0119】
実施例1〜12及び比較例Aから得られるポリマーを、上述の「ムーニー粘度」方法に従い試験し、121℃で(ML1+10)として報告した。また、得られるポリマーを、中性子放射化分析を用いてヨウ素の含有量を試験し、フルオロポリマー中のヨウ素の重量%として報告した。結果を表2に示す。
【0120】
【表4】
【0121】
上の表1に記載のポリマーガムのそれぞれを、個別に、2ロール式ミルで次のようにコンパウンド化した:100部のポリマーガム、20部のカーボンブラック、2.5部の助剤、2.5部のペルオキシド、及び示されている場合5部のZnO。コンパウンド化したポリマーを、上述の通り「硬化レオロジー」及び「O−リング成形及び圧縮永久歪み」に従って試験し、結果を、表3及び4に報告する。
【0122】
【表5】
【0123】
【表6】
【0124】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の予測可能な修正及び変更が当業者にとって自明であろう。本発明は、説明のみを目的として本出願に記載される実施形態に限定されるべきではない。