特許第6571642号(P6571642)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571642大環状化合物及びそのアニオンクエンチャーとしての使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571642
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】大環状化合物及びそのアニオンクエンチャーとしての使用
(51)【国際特許分類】
   C07F 5/02 20060101AFI20190826BHJP
   C07C 309/06 20060101ALI20190826BHJP
   G01N 27/62 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   C07F5/02 DCSP
   C07C309/06
   G01N27/62 V
【請求項の数】16
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-520522(P2016-520522)
(86)(22)【出願日】2014年6月23日
(65)【公表番号】特表2016-527206(P2016-527206A)
(43)【公表日】2016年9月8日
(86)【国際出願番号】EP2014063147
(87)【国際公開番号】WO2014206931
(87)【国際公開日】20141231
【審査請求日】2017年6月19日
(31)【優先権主張番号】1356002
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513210666
【氏名又は名称】ユニベルシテ デクス マルセイユ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE D‘AIX−MARSEILLE
(73)【特許権者】
【識別番号】508106611
【氏名又は名称】サントル ナシオナル ド ラ ルシェルシュ シアンティフィック (セーエヌエールエス)
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(72)【発明者】
【氏名】パラン、ジャン−リュック
(72)【発明者】
【氏名】シュル、オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーレ、モマル
【審査官】 山本 吾一
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/62
C07C 309/04
C07F 5/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】
(式中:
【化2】
は、単結合又は二重結合を表し;
mは、1又は2を表し;
nは、1、2又は3を表し;
pは、1又は2を表し;
及びX、Nを表し;
及びそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、C、N又はSを表し;
Mはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、ホウ素及びガリウムから選択される金属を表し;
及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子を表し、又はR及びRはMと共に単環又は多環を形成し、又はR又はRの1つがなくてもよく;
m−は、トリフルオロメチルスルホネート基(CFSO)、BF基、PF基、SbF基、ハロゲン、アセテート基(CHCOO)、オキサレート基(C2−)、サルフェート基(SO2−)、ホスフェート基(HPO2−)、タータラート基(C)を表し;
qは、Xがモノアニオン(m=1)又はジアニオン(m=2)であるかに応じて、それぞれ(n+1)又は(n+1)/2を表し;
Aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、
− ハロゲン(F、Cl、Br、I);
− C−C15アルキル;
− (C−C)アルキル−アリール;
− (C−C)アルキル−ヘテロアリール;
− (C−C)アルキル−シクロアルキル;
− (C−C)アルキル−ヘテロ環;
− ((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル);
− B(R
− N(R
− OR
− O(CO)R
− OSi(R
− SR
− N(R,T
− NCS;
− NO
− NHCOR
− NHCSR
− N=CHN(R
− CN;
− COOR
− COR
− CON(R
− COO
− COSR
− Si(R
− P(=Z)(R10
から選択される1つ又は複数の基によって任意に置換されており;
rは、1〜5の整数を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、OH、Rを表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、O−アルキル基、OH基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、OR、NRを表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、COR基、RC=NH基を表し;
10は同一であっても異なっていてもよく、R基、O−アリール基、O−ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、スルホネート、ホスフィネート、ホスフェート、リンからのアニオン、アンチモンからのアニオン、ホウ素からのアニオンを表し;
Yは同一であっても異なっていてもよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド又はアンモニウムを表し;
Zは同一であっても異なっていてもよく、O又はSを表し;
及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
− H
− ハロゲン、例えば、F、Cl、Br、I;
− B(R
− N(R
− OR
− O(CO)R
− OSi(R
− SR
− N(R,T
− N=C=O;
− NCS;
− NO
− NHCOR
− NHCSR
− N=CHN(R
− CN;
− COOR
− COR
− CON(R
− COO
− COSR
− P(=Z)(R10
を表し、又はR及びRはX及びXと共にシクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し;
はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、H、ハロゲン、NHR11、OHを表し;
11は同一であっても異なっていてもよく、R、COR、COOR,Si(Rを表す)の化合物。
【請求項2】
nが1又は2を表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
及びRが、アルキル基を表し、又はMと共に単環若しくは多環を形成する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
及びRが、アルキル基を表し、又はR及びRがMと共に9員の多環を形成して、基:
【化3】
を形成する、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、アリール基、又はヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、C−C15アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基;(C−C)アルキル−ヘテロアリール基;(C−C)アルキル−シクロアルキル基;(C−C)アルキル−ヘテロ環基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rが1〜5の整数を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
Aが、アリール基、又はヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、C−C15アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基;又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rが1〜5の整数を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
Aが、フェニル基、ピリジン基又はカルバゾール基を表し、これらは、C−C15アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基;又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rが1〜5の整数を表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
及びRがHを表す、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
、Xの1つがNを表し、他の1つがCを表すか、又はX及びXがCを表す、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
がHを表す、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
式(Ib):
【化4】
(式中、B、A、q、m、X、R、R、R及びRは、請求項1〜10に記載の定義を有し、Bはホウ素を表す。)の請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
Aが、
【化5】
であり、R12が、C−C15アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基であり、rが1〜5の整数を表す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
アニオンをクエンチングするための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
アニオンを検出するための、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
媒体を処理するための、請求項13に記載の化合物の使用。
【請求項16】
媒体の定性分析及び定量分析のための、請求項14に記載の化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、放射性元素からの元素、特にアニオン、好ましくはモノアニオンの検出及び/又はクエンチングを可能にする化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
イオン、特にそのアニオン組成を決定するための、媒体、例えば、天然の水性液体媒体(地下水)、汚染液体媒体(例えば、汚染水)、溶媒、生体媒体、液体食品媒体(水、ミルクなど)の定性分析及び定量分析は、存在する様々なイオンを1つずつ検出することが一般に要求されるので、複雑であることが分かる。
【0003】
従って、媒体中に存在するイオン、特にアニオン、好ましくはモノアニオンを容易且つ迅速に検出及び定量化する単純且つ効率的な手段を提供する必要性が存在する。
【0004】
さらに、例えば、ウランの核分裂生成物であるヨウ素から特に生じるイオンは、原子力事故(accident)又は小事故(incident)の後に水に容易に溶解し得る。放射性元素の漏出は、公衆衛生に関して甚だしい結果を有し得る、重大なレベルの放射線被爆や汚染水から食物連鎖への放射性元素の組込みを引き起こすかもしれない。
【0005】
放射性元素のいくつかはまた、医療分野においても使用され、例えば、ヨウ素は甲状腺癌を治療するために使用される。しかしながら、これらの使用は、多くの廃棄物、特に廃水又は事故で汚染された水の生成を引き起こす。
【0006】
従って、これらの放射性廃棄物を処理する可能性を与える、特に、例えば水中に含有される放射性イオンを検出及び/又はクエンチングする可能性を与える効率的な方法を提供する利益がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明の目的は、元素、特にイオン、好ましくはアニオン、例えばモノアニオンのクエンチングを可能にする化合物を提供することである。
【0008】
さらに、本発明の目的は、アニオンの選択的なクエンチングを可能にする化合物を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、様々な媒体、特に水性媒体中の元素、特にアニオンの検出を可能にする化合物を提供することである。
【0010】
さらに、他の目的は、後に続く本発明の記載を読む際に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの目的は、式(1):
【0012】
【化1】
【0013】
の化合物に関する本発明によって達成される。
式中:
【0014】
【化2】
【0015】
は、単結合又は二重結合を表し;
mは、1又は2を表し;
nは、1、2又は3を表し;
pは、1又は2を表し;
はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、N、P又はSを表し;
、X、Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、C、N、O、P又はSを表し;
Mはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、好ましくは同一であり、ホウ素、アルミニウム及びガリウムから選択される金属を表し;
及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ハロゲン原子を表し、又はR及びRはMと共に単環又は多環を形成し、又はR又はRの1つがなくてもよく;
m−は、トリフルオロメチルスルホネート基(CFSO)、BF基、PF基、SbF基、ハロゲン、アセテート基(CHCOO)、オキサレート基(C2−)、サルフェート基(SO2−)、ホスフェート基(HPO2−)、タータラート基(C)を表し;
qは、Xがモノアニオン(m=1)又はジアニオン(m=2)であるかに応じて、それぞれ(n+1)又は(n+1)/2を表し;
Aはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、アリール基、ヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、
− ハロゲン(F、Cl、Br、I);
− C−C15アルキル、好ましくはC−C10アルキル;
− (C−C)アルキル−アリール、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル;
− (C−C)アルキル−ヘテロアリール;
− (C−C)アルキル−シクロアルキル;
− (C−C)アルキル−ヘテロ環;
− ((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル);
− B(R
− N(R
− OR
− O(CO)R
− OSi(R
− SR
− SSi(R
− N(R,T
− N=C=O;
− NCS;
− NO
− NHCOR
− NHCSR
− N=CHN(R
− CN;
− COOR
− COR
− CON(R
− COO
− COSR
− Si(R
− P(R10
− P(=Z)(R10
− Ge(R
− Sn(R
から選択される1つ又は複数の基によって任意に置換されており;
rは、1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、OH、Rを表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、O−アルキル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、OH基を表し、好ましくはRは同一であっても異なっていてもよく、H、O−アルキル基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、OR、NRを表し;
は同一であっても異なっていてもよく、H、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、COR基、RC=NH基を表し;
10は同一であっても異なっていてもよく、R基、O−アリール基、O−ヘテロアリール基を表し;
は同一であっても異なっていてもよく、ハロゲン、スルホネート、ホスフィネート、ホスフェート、リンからのアニオン(例えば、PF)、アンチモンからのアニオン(例えば、SbF)、ホウ素からのアニオン(例えば、BF)を表し;
Yは同一であっても異なっていてもよく、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、ランタニド又はアンモニウムを表し;
Zは同一であっても異なっていてもよく、O、S、NR10基を表し;
及びRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、
− H
− ハロゲン、例えば、F、Cl、Br、I;
− B(R
− N(R
− OR
− O(CO)R
− OSi(R
− SR
− SSi(R
− N(R,T
− N=C=O;
− NCS;
− NO
− NHCOR
− NHCSR
− N=CHN(R
− CN;
− COOR
− COR
− CON(R
− COO
− COSR
− Si(R
− P(R10
− P(=Z)(R10
− Ge(R
− Sn(R
を表し、又はR及びRはX及びXと共にシクロアルキル基、ヘテロ環基、アリール基又はヘテロアリール基を形成し;
はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、H、ハロゲン、NHR11、OHを表し;
11は同一であっても異なっていてもよく、R、COR、COOR,Si(Rを表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】化合物1・2Iの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Brのイミダゾリウムのppm(横軸)についてのプロトン化学シフトを説明する。
図2】化合物1・2Iの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Brの1,3−ビスイミダゾリウム−フェニル基の2位のppm(横軸)についてのプロトン化学シフトを説明する。
図3】ヨウ化カリウムの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Brのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンのppm(横軸)についての化学シフトを説明する。
図4】ヨウ化カリウムの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Brのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンのppm(横軸)についての化学シフトを説明する。
図5】ヨウ化カリウムの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Clのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンのppm(横軸)についての化学シフトを説明する。
図6】ヨウ化カリウムの添加した当量数(縦軸)に対する化合物1・2Clのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンのppm(横軸)についての化学シフトを説明する。
図7】塩化リチウムを添加する前後の化合物1・2Iのプロトンの化学シフトを説明する(第1のグラフは添加前の化学シフトであり、第2のグラフは添加後の化学シフトである)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
pの値は、原子X、Xの原子価を満足するために当業者によって決定されてもよいと理解されるべきである。
【0018】
、X、X、X、B、R及びRは、同じ環:
【0019】
【化3】
【0020】
の内部で同一であっても異なっていてもよく、又は式(I)の化合物において同一若しくは異なる環:
【化4】
【0021】
を形成するために同一であっても異なっていてもよいと理解されるべきである。
【0022】
、R及びMは、式(I)の化合物において同一又は異なるMR基を形成するために同一であっても異なっていてもよいと理解されるべきである。
【0023】
従って、式(I)の化合物において、基:
【0024】
【化5】
【0025】
は全て同一又は異なると理解されるべきである。また、式(I)の化合物において、MR基は全て同一又は異なると理解されるべきである。また、式(I)の化合物において、A基は全て同一又は異なると理解されるべきである。
【0026】
好ましくは、式(I)の化合物において、nは1又は2、好ましくは1を表す。
【0027】
好ましくは、式(I)の化合物において、Aは、アリール基、特にC−C12アリール基、又はヘテロアリール基、特に5〜13員のヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、特に、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基;(C−C)アルキル−ヘテロアリール基;(C−C)アルキル−シクロアルキル基;(C−C)アルキル−ヘテロ環基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0028】
好ましくは、式(I)の化合物において、Aは、アリール基、特にC−C12アリール基、又はヘテロアリール基、特に5〜13員のヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、特に、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基;又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0029】
好ましくは、Aは、フェニル基、ピリジン基又はカルバゾール基を表し、これらは、特に、アルキル基、特に(C−C15)アルキル基、好ましくは(C−C10)アルキル基、又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。好ましくは、Aは、
【0030】
【化6】
【0031】
好ましくは
【0032】
【化7】
【0033】
を表し、R12は、アルキル基、特にC−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基;又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)を表し、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0034】
好ましくは、式(I)の化合物において、Xm−は、トリフルオロメチルスルホネート基、BF基、PF基又はSbF基を表し、qはn+1を表す。好ましくは、式(I)の化合物において、Xm−は、トリフルオロメチルスルホネート基を表し、qはn+1を表す。
【0035】
好ましくは、式(I)の化合物において、XはNを表し、X、X、Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、C又はNを表す。1つの実施形態では、式(I)の化合物において、X、XはNを表し、X、Xの1つはNを表し、他の1つはCを表す。他の実施形態では、好ましくは、式(I)の化合物において、X、XはNを表し、X、XはCを表す。
【0036】
好ましくは、式(I)の化合物において、Mはホウ素を表す。
【0037】
好ましくは、式(I)の化合物において、R及びRはHを表す。
【0038】
好ましくは、式(I)の化合物において、R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はMと共に単環(例えば、5〜6員の単環)若しくは多環(例えば、9〜15員の多環)、好ましくは多環を形成する。
【0039】
好ましくは、式(I)の化合物において、R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はR及びRがMと共に9員の多環を形成し、好ましくはビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルによって基:
【0040】
【化8】
【0041】
好ましくは基:
【0042】
【化9】
【0043】
を形成する。
【0044】
好ましくは、式(I)の化合物において、BはHを表す。
【0045】
好ましくは、式(I)の化合物において、
−X及びXはNを表し;及び/又は
−X、Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、C又はNのいずれかを表し;及び/又は
−X、XはNを表し、X、Xの1つがNを表し、他の1つがCを表し;及び/又は
−X、XはNを表し、X、XはCを表し;及び/又は
−Mはホウ素を表し;及び/又は
−Aは、アリール基、特にC−C12アリール基、又はヘテロアリール基、特に5〜13員のヘテロアリール基、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、特に、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表し;及び/又は
−Aは、フェニル基、ピリジン基又はカルバゾール基を表し、これらは、特に、アルキル基、特にC−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表し;及び/又は
−Aは、
【0046】
【化10】
【0047】
好ましくは
【0048】
【化11】
【0049】
を表し、R12は、アルキル基、特にC−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)を表し、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表し;
−pは1を表し;及び/又は
−R及びRはHを表し;及び/又は
−nは1又は2を表し;及び/又は
−nは1を表し;及び/又は
−Mはホウ素を表し;及び/又は
−R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はMと共に単環(例えば、5〜6員の単環)若しくは多環(例えば、9〜15員の多環)、好ましくは多環を形成し;
−R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はR及びRがMと共に9員の多環、好ましくはビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イル基を形成し;及び/又は
−BはHを表す。
【0050】
好ましくは、式(I)の化合物は、式(Ia)の化合物である。
【0051】
【化12】
【0052】
式中、B、A、q、X、m、n、R〜Rは、上記の定義を有し、Mは同一であり、ホウ素、アルミニウム及びガリウムから選択される金属を表す。
【0053】
式(Ia)の化合物において、R基及びR基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、B基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、A基は全て同一又は異なると理解されるべきである。
【0054】
好ましくは、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物である。
【0055】
【化13】
【0056】
式中、B、A、q、m、n、X、R、R、R及びRは、上記の定義を有し、Bはホウ素を表す。
【0057】
式(Ia)の化合物において、B基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、R基は全て同一又は異なると理解されるべきである。式(Ia)の化合物において、A基は全て同一又は異なると理解されるべきである。
【0058】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はMと共に単環(例えば、5〜6員の単環)若しくは多環(例えば、9〜15員の多環)、好ましくは多環を形成する。好ましくは、R及びRは、アルキル基、特にC−C10アルキル基、例えばC−Cアルキル基を表し、又はR及びRがMと共に9員の多環、好ましくはビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イル基を形成する。
【0059】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、R及びRはHを表す。
【0060】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、BはHを表す。
【0061】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、Aは、アリール又はヘテロアリール、単環又は多環のいずれかを表し、これらは、特に、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基で任意に置換されていてもよく、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0062】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、Aは、
【0063】
【化14】
【0064】
好ましくは
【0065】
【化15】
【0066】
を表し、R12は、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基を表し、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0067】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、R及びRはHを表し、BはHを表し、Aは、アリール又はヘテロアリール、単環又は多環のいずれかを表し、これらは任意に置換されていてもよい。
【0068】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、R〜RはHを表し、B、BはHを表し、Aは、
【0069】
【化16】
【0070】
好ましくは
【0071】
【化17】
【0072】
を表し、R12は、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル−O)−O−((C−C)アルキル)基を表し、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表す。
【0073】
好ましくは、Aは、
【0074】
【化18】
【0075】
を表す。
12は、C−C15アルキル基、好ましくはC−C10アルキル基、(C−C)アルキル−アリール基、好ましくは(C−C)アルキル−フェニル基又は−((C−C)アルキル)−O−((C−C)アルキル)基を表し、rは1〜5の整数、好ましくは1〜3の整数を表し、
【0076】
【化19】
【0077】
は、イミダゾール環の窒素原子に対する結合部位を表す。
【0078】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、nは1を表す。
【0079】
好ましくは、式(Ib)の化合物において、Xm−は、トリフルオロメチルスルホネート基、BF基、PF基又はSbF基を表し、qはn+1を表す。好ましくは、式(Ib)の化合物において、Xm−は、トリフルオロメチルスルホネート基を表し、qはn+1を表す。
【0080】
本発明において、下記の用語は、別段の指示がない限り、下記の意味を有する。
−「アルキル」又は「アルキル−」は、1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜15個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子、例えば1〜5個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖の飽和炭化水素鎖、特に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシルを表し;
−「アリール」又は「アリール−」は、5〜20個の炭素原子、好ましくは5〜12個の炭素原子を含む単環又は多環の芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基又はナフチル基を表し;
−「ヘテロアリール」又は「ヘテロアリール−」は、1つ又はいくつかのヘテロ原子(同一又は異なり、窒素、酸素、硫黄及びリンで形成される群から選択される)を更に含む単環又は多環の芳香族炭化水素基(各環は5又は6員を含む)を表し、ヘテロアリール基の例は、ピリジル基、キノリル基、イミダゾリル基、テトラゾリル基であり(このリストは限定ではない);
−「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を指定し;
−「シクロアルキル」又は「シクロアルキル−」は、3〜30個の炭素原子を持つ環状アルキル基を表し、例として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシルなどを挙げることができ;
−「ヘテロ環」は、3〜10個の炭素原子及び1〜3個のヘテロ原子(好ましくは窒素、酸素、硫黄)を含む飽和又は不飽和環基を表し、例として、テトラヒドロフランを挙げることができる。
【0081】
また、本発明の目的は、式(II)のn+1化合物と式(III)のn+1化合物との間の反応を含む式(I)の化合物の調製方法である。
【0082】
【化20】
【0083】
n、p、M、A、R、R、R、R、B、X、X、X、X及びXは上記で定義した通りである。
【0084】
好ましくは、本発明の方法は、80℃〜150℃の間に含まれる温度で適用される。
【0085】
好ましくは、本発明の方法は、溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、ジクロロエタン、ジクロロメタン、トルエン、トリフルオロメチルベンゼン、ジメチルスルホキシドから選択される)の存在下で適用される。
【0086】
また、本発明の目的は、アニオンを検出するための式(I)の化合物の使用である。好ましくは、本発明の範囲内において、これらのアニオンはモノアニオンである。好ましくは、本発明の範囲内において、アニオンは、ハロゲン化物(halides)、カルボキシレート、硝酸エステル(nitrates)から選択される。好ましくは、アニオンは、ハロゲン化物及びカルボキシレートから選択される。好ましくは、アニオンは、陰電荷が、単一の原子(非局在化されておらず、例えば、ハロゲン化物(臭化物、塩化物、フッ化物、ヨウ化物))又は2つの原子(例えば、カルボキシレート)に集中しているアニオンである。
【0087】
理論に拘束されることを意図しないが、アニオンは、本発明に従う式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物によって形成されるかご(cage)内に入り、水素結合又は静電相互作用により、このかご内で安定化されるであろう。ポジティブモードでの質量分析による解析は、アニオンの種類を決定すると共にアニオンを定量化する可能性を与えるであろう。
【0088】
従って、本発明は、本発明に従う式(I)の化合物との媒体の接触及び得られた媒体の質量分析による分析を含む、媒体、特に液体媒体の定性分析及び定量分析の方法に関する。媒体は、如何なる液体媒体、例えば、天然の媒体(川、水源、地下水)、食品媒体(水、ミルク)、生体媒体、汚染媒体(例えば、化学元素、放射性元素などによって汚染された水)、溶媒などであり得る。有利に、媒体のアニオンの想定される組成に関して、分析されるべき媒体中で本発明に従う化合物の過剰使用は、各アニオン、好ましくはモノアニオンの単一の注入検出及び定量化を可能にする。
【0089】
また、本発明は、媒体、好ましくは液体媒体の定性分析及び定量分析のための本発明に従う化合物の使用に関する。
【0090】
また、本発明は、媒体、特に液体媒体中のアニオン、好ましくはモノアニオン、特に放射性モノアニオンをクエンチングするための本発明に従う化合物の使用に関する。
【0091】
本発明の範囲内において、クエンチングは、後で説明されるように可逆であってもよいことが理解されるべきである。
【0092】
有利に、式(I)の化合物の構造によれば、特にAの種類によれば、アニオンは、選択的且つ任意に可逆的にクエンチングされ得るであろう。
【0093】
好ましくは、本発明の目的は、式(I)、(Ia)又は(Ib)、好ましくは(Ib)の化合物(式中、Aは、塩素、フッ素又は酢酸アニオンを検出及びクエンチングするためのフェニル基又はピリジン基を表す)の使用である。
【0094】
好ましくは、本発明の目的は、式(I)、(Ia)又は(Ib)、好ましくは(Ib)の化合物(式中、Aは、ヨウ素イオンを検出及びクエンチングするためのカルバゾール基を表す)の使用である。
【0095】
如何なる理論によって拘束されることを意図しないが、アニオンは、本発明に従う式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物によって形成されるかご内に入り、水素結合又は静電相互作用により、このかご内で安定化されるであろう。
【0096】
本発明の化合物が有する、アニオンをクエンチングする能力は、様々な媒体の処理、特に廃水又は汚染水(特に放射性元素、例えばヨウ化セシウムで汚染された)の処理において、当該化合物を使用することができる可能性を有利に与える。
【0097】
従って、本発明はまた、処理されるべき媒体中への本発明に従う式(I)の化合物の添加を含む、廃水又は汚染水(特に放射性元素を持つ)を処理する方法に関する。好ましくは、処理方法は、除染方法(特に、廃水中に含有され得る放射性アニオンを除去するための)である。好ましくは、本発明の目的は、式(I)、(Ia)又は(Ib)、好ましくは(Ib)の化合物(式中、Aは、塩素、フッ素又は酢酸アニオンをクエンチング及び除去するためのフェニル基又はピリジン基を表す)の使用である。
【0098】
好ましくは、本発明は、式(I)、(Ia)又は(Ib)、好ましくは(Ib)の化合物(式中、Aは、ヨウ素イオンをクエンチング及び除去するためのカルバゾール基を表す)の使用に関する。
【0099】
有利に、本発明の化合物は、支持体、例えば固体支持体上に接合され(grafted)、これは、例えば濾過により、所望のアニオンをクエンチングする本発明の化合物を回収する可能性を有利に与える。接合は、特にシリカタイプ若しくはグラフェン(カーボンナノチューブ)の表面又はポリマー上に、当業者に公知の標準的な方法で行われる。
【0100】
有利に、クエンチングは可逆的であり得る。この可逆性は、目的が媒体からアニオンを抽出し、それを回収することができることである場合に特に有利であり得る。本発明による化合物においてクエンチングしたアニオンを回収するために、本発明に従う錯体化合物/アニオンは、別のアニオンの塩の溶液に入れられるべきであり、他のアニオンは、上記したアニオンから好ましくは選択され、且つ本発明の化合物中の既にクエンチングされたアニオンと異なる。別のアニオンの塩を含む溶液は、例えば、塩化物、ヨウ化物、臭化物、フッ化物溶液など、例えば、ヨウ化カリウム、塩化リチウムであり得る。溶液中の他のアニオンの濃度は、クエンチングされたアニオンと本発明の化合物との間の会合定数に依存する。一般に、会合定数が高いと、より高濃度の他のアニオンを有することが適切であろう。
【実施例】
【0101】
本発明は、今回、それらの範囲に限定されない実施例によって説明されるであろう。
【0102】
(実施例1:本発明に従う式(I)の化合物の調製)
化合物1:
【0103】
【化21】
【0104】
不活性窒素又はアルゴン雰囲気下の反応器において、1,3−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼン(300mg、1.4mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、ヘキサン中の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルトリフルオロメタンスルホネートの0.5M溶液(1.4mmol、2.8mL、2.0当量)を20℃でシリンジを用いて急速に添加し、次いで反応混合物を100℃で16時間攪拌した。次に、溶液を室温まで戻し、形成された固体を濾過によって単離し、10mLのジエチルエーテルで洗い、次いで溶媒残留物を除去するために真空下に置いた。白色固体(650mg、0.67mmol、95%)を得た。
【0105】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.37(bs,4H)、1.64−1.93(m,24H)、7.78(s,4H)、7.86−7.99(m,8H)、8.20(s,4H)、9.21(s,4H)
13C NMR(100MHz、DMSO−d)δ(ppm)19.4(HMQC)、23.2、30.0、120.4、121.7、123.2、123.9、131.5、135.8(2C)
19F NMR(376MHz、DMSO−d)δ(ppm)−77.8(s,CF
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)6.9(bs,B)
HRMS(ES、[M−2OTf]2+)[C40482+の計算値:330.7102;検出値:330.7109;(ES、[M−OTf])[C4148S]の計算値:811.4;検出値:811.3
FT−IR(ATR)v(cm−1)3120(w)、3074(w)、2921(w)、2858(m)、1606(w)、1539(w)、1491(w)、1449(w)、1274(w)、1257(s)、1222(w)、1152(s)、1082(w)、1030(w)、1006(w)、919(w)、873(w)、835(w)、828(w)、793(w)、737(w)、688(w)、632(w)
【0106】
化合物2:
【0107】
【化22】
【0108】
アルゴン雰囲気下の反応器において、3,6−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)−9−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エチル)−9H−カルバゾール(900mg、2.0mmol、2.0当量)を3mLのアセトニトリルに溶解した。次に、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルトリフルオロメタンスルホネートの溶液(ヘキサン中で0.5M、2.0mmol、4mL、2.0当量)を室温にて1回で添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応媒体を室温まで冷却した後、次に溶媒を蒸発させ、残留物を、溶媒の混合物(10%MeOH/CHCl)を用いることにより、シリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。溶媒の蒸発後、白色固体(1.21g、0.85mmol、85%)を得た。
【0109】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)1.31−1.91(m,28H)、3.29(s,3H)、3.38−3.47(m,16H)、3.80(t,4H,J=5.5Hz)、4.50(t,4H,J=5.0Hz)、7.48(s,4H)、7.61−7.66(m,8H)、7.75(s,4H)、8.96(s,4H)、9.17(s,4H)
13C NMR(100MHz、CDCl)δ(ppm)23.4、30.3、43.9、58.8、69.5、70.4、70.5、70.7、71.7、111.0、113.8、119.3、120.0、123.3、123.5、128.1、134.9、141.1
HRMS(ES、[M−2OTf]2+)[C6682102+の計算値:566.3307;検出値:566.3306;(ES、[M−OTf])[C678210S]の計算値:1281.6140;検出値:1281.6143
ESI MS(MeOH)m/z[M−2OTf]2+[C6682102+の計算値:566.3;検出値:566.5;[M−OTf][C678210S]の計算値:1281.6;検出値:1281.4
【0110】
化合物3:
【0111】
【化23】
【0112】
不活性窒素又はアルゴン雰囲気下の反応器において、1,2−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼン(200mg、0.95mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、ヘキサン中の9−ヨード−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの1.0M溶液(0.95mmol、0.95mL、2.0当量)を20℃でシリンジを用いて急速に添加し、次いで反応混合物を100℃で16時間攪拌した。次に、溶液を室温まで冷却し、形成された固体を濾過し、10mLのジエチルエーテルで洗い、次いで溶媒残留物を除去するために真空下に置き、白色固体(283mg、0.31mmol、63%)を得た。
【0113】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.30−1.47(m,12H)、1.62−1.90(m,16H)、7.10(s,4H)、7.71(s,4H)、7.91−7.96(m,4H)、8.04−8.08(m,4H)、9.04(s,4H)
13C NMR(100MHz、DMSO−d)δ(ppm)19.4、23.3、29.7、30.0、122.0、124.6、129.2、132.1、132.2、138.5
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)6.2(bs,B)
HRMS(ES、[M−2I]2+)[C40482+の計算値:330.7102;検出値:330.7109;(ES、[M−I])[C4048I]の計算値:789.3227;検出値:789.3245
ESI MS(MeOH)m/z[M−2I]2+[C40482+の計算値:331.2;検出値:331.0;[M−I][C4048I]の計算値:789.3;検出値:789.3
FT−IR(ATR)v(cm−1)3413(w)、3099(w)、3092(w)、3033(w)、2914(w)、2893(w)、2887(w)、1539(m)、1341(w)、1330(w)、1138(w)、1103(w)、1079(w)、929(w)、831(w)、769(w)、737(w)、688(w)、646(w)
【0114】
化合物4:
【0115】
【化24】
【0116】
アルゴン雰囲気下の反応器において、9−ヘキシル−3,6−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)−9H−カルバゾール(200mg、0.52mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルトリフルオロメタンスルホネートの溶液(ヘキサン中で0.5M、0.52mmol、1.0mL、2.0当量)を室温にて1回で添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応媒体を室温まで冷却した後、次に溶媒を蒸発させ、残留物を、溶媒の混合物(10%MeOH/CHCl)を用いることにより、シリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。溶媒の蒸発後、白色固体(0.34g、0.25mmol、99%)を得た。
【0117】
H NMR(400MHz、CDCl)δ(ppm)0.80(t,6H,J=7.0Hz)、1.19−1.84(m,44H)、4.57(t,4H,J=7.3Hz)、7.81−8.0(m,12H)、8.29(s,4H)、8.68(s,4H)、9.09(s,4H)
13C NMR(100MHz、CDCl)δ(ppm)13.9、14.2、22.4、23.4、26.8、28.9、30.3、31.4、50.8、110.5、114.1、119.5、120.2、123.3、123.6、128.0、136.1、140.8
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)3.0(bs,B)
HRMS(ES、[M−2OTf]2+)[C6478102+の計算値:504.3293;検出値:504.3300;(ES、[M−OTf])[C657810SBの計算値:1157.6111;検出値:1157.6140
ESI MS(MeOH)m/z[M−2OTf]2+[C6478102+の計算値:504.3;検出値:504.3;[M−OTf][C657810SBの計算値:1157.6;検出値:1157.8
【0118】
化合物5:
【0119】
【化25】
【0120】
不活性窒素又はアルゴン雰囲気下の反応器において、1,4−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼン(200mg、0.95mmol、3.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、ヘキサン中のヨード−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンの1.0M溶液(0.95mmol、0.95mL、3.0当量)を20℃でシリンジを用いて急速に添加し、次いで反応混合物を100℃で16時間攪拌した。次に、溶液を室温まで戻し、形成された固体を濾過によって単離し、10mLのジエチルエーテルで洗い、次いで溶媒残留物を除去するために真空下に置いた。白色固体(415mg、0.31mmol、95%)を得た。
【0121】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.30−1.90(m,42H)、7.75−7.81(m,6H)、8.03−8.14(m,12H)、8.26−8.33(m,6H)、9.35−9.44(m,6H)
13C NMR(100MHz、DMSO−d)δ(ppm)19.2、23.2、30.1、122.7、122.8、123.1、123.8、135.1
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)2.9(bs,B)
HRMS(ES、[M−2I]2+)[C607212I]2+の計算値:560.2658;検出値:560.2658
FT−IR(ATR)v(cm−1)3440(w)、3426(w)、3411(w)、3113(w)、3089(w)、3071(w)、3014(w)、2980(w)、2920(w)、2889(w)、2847(w)、1645(m)、1577(w)、1533(w)、1486(w)、1450(w)、1417(w)、1377(w)、1333(w)、1277(w)、1261(w)、1255(w)、1219(w)、1155(w)、1108(w)、1080(w)、1065(w)、991(w)、925(w)、879(w)、760(w)、715(w)、645(w)
【0122】
化合物6:
【0123】
【化26】
【0124】
アルゴン雰囲気下の反応器において、9−ベンジル−3,6−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)−9H−カルバゾール(250mg、0.64mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルトリフルオロメタンスルホネートの溶液(ヘキサン中で0.5M、0.64mmol、1.3mL、2.0当量)を室温にて1回で添加した。反応混合物を100℃で16時間攪拌した。反応媒体を室温まで冷却した後、次に溶媒を蒸発させ、残留物を、溶媒の混合物(10%MeOH/CHCl)を用いることにより、シリカゲルのクロマトグラフィーで精製した。溶媒の蒸発後、白色固体(0.41g、0.31mmol、97%)を得た。
【0125】
H NMR(400MHz、MeOD−DMSO)δ(ppm)1.30−2.01(m,28H)、5.88(s,4H)、7.16−7.32(m,10H)、7.90−7.94(m,8H)、8.02(d,4H)、8.24(s,4H)、8.67(s,4H)、8.10(s,4H)
13C NMR(100MHz、MeOD−DMSO−d)δ(ppm)19.3、23.2、30.1、47.9、111.6、114.3、121.6、121.9、122.0、123.6、126.7、127.5、128.3、128.7、135.0、137.0、140.7
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)2.2(bs,B)
ESI MS(MeOH)m/z[M−OTf][C676610F]の計算値:1169.5;検出値:1169.6
【0126】
化合物7:
【0127】
【化27】
【0128】
不活性窒素又はアルゴン雰囲気下の反応器において、1,3−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)ベンゼン(300mg、1.4mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、ジクロロメタン中のジブチル(((トリフルオロメチル)スルホニル)オキシ)ボランの1.0M溶液(1.4mmol、1.4mL、2.0当量)を20℃でシリンジを用いて急速に添加し、次いで反応混合物を100℃で16時間攪拌した。次に、溶液を室温まで戻し、形成された固体を濾過によって単離し、10mLのジエチルエーテルで洗い、次いで溶媒残留物を除去するために真空下に置いた。白色固体(512mg、0.53mmol、76%)を得た。
【0129】
H NMR(400MHz、DMF−d)δ(ppm)0.88(t,12H,J=7.4Hz)、0.96−1.22(m,16H)、1.30−1.42(m,8H)、7.86(s,4H)、7.95−8.14(m,6H)、8.35(s,4H)、8.49(s,2H)、9.33(s,4H)
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)6.4(bs,B)
HRMS(ES、[M−2OTf]2+)[C40562+の計算値:334.7415;検出値:334.7428;(ES、[M−OTf])[C4156SBの計算値:819.4328;検出値:819.4345
ESI MS(MeOH)m/z[M−2OTf]2+[C40562+の計算値:335.3;検出値:335.3;[M−OTf][C4156S]の計算値:819.6;検出値:819.6
【0130】
化合物8:
【0131】
【化28】
【0132】
不活性窒素又はアルゴン雰囲気下の反応器において、2,6−ジ(1H−イミダゾール−1−イル)ピリジン(200mg、0.95mmol、2.0当量)を2mLのアセトニトリルに溶解した。次に、ヘキサン中の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン−9−イルトリフルオロメタンスルホネートの0.5M溶液(0.95mmol、1.9mL、2.0当量)を20℃でシリンジを用いて急速に添加し、次いで反応混合物を100℃で16時間攪拌した。次に、溶液を室温まで冷却し、形成された固体を濾過によって単離し、10mLのジエチルエーテルで洗い、次いで溶媒残留物を除去するために真空下に置いた。白色固体(432mg、0.45mmol、95%)を得た。
【0133】
H NMR(400MHz、DMSO−d)δ(ppm)1.42(bs,4H)、1.63−2.03(m,24H)、7.82(s,4H)、7.07(d,4H,J=8.0Hz)、8.36(s,4H)、8.50(t,2H,J=8.0Hz)、9.64(s,4H)
13C NMR(100MHz、DMSO−d)δ(ppm)18.7(HMQC)、23.3、30.3、115.5、120.7、124.4、134.8、144.3、146.0
19F NMR(376MHz、DMSO−d)δ(ppm)−77.7(s,CF
11B NMR(128MHz、DMSO−d)δ(ppm)6.9(bs,B)
ESI MS(MeOH)m/z[M−2OTf]2+[C3846102+の計算値:332.2;検出値:332.0
FT−IR(ATR)v(cm−1)3494(w)、3142(w)、2928(w)、2879(w)、2849(w)、1611(w)、1526(w)、1469(w)、1344(w)、1255(s)、1222(w)、1167(w)、1079(w)、1030(w)、1010(w)、923(w)、838(w)、813(w)、764(w)、736(w),640(w)
【0134】
(実施例2:化合物1を用いたアニオンの錯体化についてのH NMR分光法による研究)
会合定数Kaは、DMSO中、298KにてH NMR分光法による滴定によって決定した。対応するアニオンを持つ濃縮溶液のアリコートを、DMSO中の化合物1(10−2M)の希釈溶液を含有するNMRチューブに引き続いて加えた。ソフトウェアWineqNMR2の一部を用い、滴定中にレシーバーに関する1つ又は複数のシグナルの化学シフトを追跡することによって会合定数を決定した。
下記の表は、得られた会合定数を示す。
【0135】
【表1】
【0136】
これらの結果は、本発明の化合物がアニオンと親和性があり、アニオンと本発明の化合物との間に相互作用が形成されることを示す。また、これらの結果は、Aがフェニル基を表す本発明の化合物が、フッ化物、臭化物、アセテートやヨウ化物との親和性が大きいことを示す。
【0137】
(実施例3:化合物2を用いたヨウ素アニオンの錯体化についての蛍光分析による研究)
<典型的な測定(ヨウ素イオンを持つ)>
会合定数はまた、記載した溶媒(DCM(ジクロロメタン)又は1:1のアセトニトリル/水混合物)中、298Kにて蛍光分析における滴定によって決定した。分析されるべきアニオンの溶液のアリコートを、化合物2(10−7M)の希釈溶液を含有する、1cmの光路を持つ石英セルに引き続いて加えた。以下の方法によって会合定数を計算した。
【0138】
<非蛍光性錯体の形成>
以下のモデルは、1/1のアニオン/マクロ環の化学量論をもつデータを分析するために使用される。
化合物2+アニオン → 化合物2−アニオン
蛍光 非蛍光
蛍光強度が非錯体化合物の濃度に比例するような方法
錯体化合物の割合は、以下の方法によって表される。
【0139】
【数1】
【0140】
:如何なる配位子なしの初期蛍光強度(励起284nm、発光390nm)
:錯体の解離定数
:非錯体化合物2の初期濃度(ここでは10−7M)
:添加したアニオン濃度
この方法では、x=f(A)がプロットされ、Kが決定される。
【0141】
<結果>
励起284nm、発光387nm
下記の表は、得られた会合定数を示す。
得られた会合定数(ACN=アセトニトリル、DCM=ジクロロメタン)
【0142】
【表2】
【0143】
これらの結果は、Aがカルバゾール基を表す本発明の化合物とヨウ化物との間の強い親和性を示す。
【0144】
(実施例4:アニオンの錯体化の可逆性についてのH NMR分光法による研究)
<実施例4.1 化合物1・2Iと1・2Brとの間の競争>
化合物1・2Iは、OTfがヨウ素で置換された本発明の化合物1に相当する
化合物1・2Brは、OTfが臭素で置換された本発明の化合物1に相当する。
ヨウ素アニオン及び臭素アニオンの錯体化における競争は、d−DMSO中、298KにてH NMR分光法による滴定によって決定した。d−DMSO中の化合物1・2Iの濃縮溶液0〜5当量を、重水素化されたDMSO中の化合物1・2Br(5.0.10−3M)の希釈溶液を含有するNMRチューブに引き続いて加えた。化合物1・2Brのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンの化学シフト、及び0〜5当量の化合物1・2Iを添加した後の化合物1・2Brの1,3−ビスイミダゾリウム−フェニル基の2位におけるプロトンの化学シフトの分析は、図1及び2にそれぞれ記載した。これらの図は、平均的な化学シフトが各プロトンについて得られているので、ヨウ素アニオン及び臭素アニオンの錯体化の可逆性を明確に示す。
【0145】
<実施例4.2 臭素アニオンの錯体化の可逆性についてのH NMR分光法による研究)
臭素アニオンの錯体化の可逆性は、溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中、298KにてH NMR分光法による滴定によって決定した。溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中のヨウ化カリウムの濃縮溶液0〜100当量を、溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中の化合物1・2Br(2.5.10−3M)の希釈溶液を含有するNMRチューブに引き続いて加えた。化合物1・2Brのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンの化学シフト、及び0〜100当量のヨウ化カリウムを添加した後の化合物1・2Brの1,3−ビスイミダゾリウム−フェニル基の2位におけるプロトンの化学シフトの分析は、図3及び4にそれぞれ記載した。これらの図は、平均的な化学シフトが各プロトンについて得られているので、臭素アニオンの錯体化の可逆性を明確に示す。
【0146】
<実施例4.3 塩素アニオンの錯体化の可逆性についてのH NMR分光法による研究)
化合物1・2Clは、OTfがヨウ素で置換された本発明の化合物1に相当する。
塩素アニオンの錯体化の可逆性はまた、溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中、298KにてH NMR分光法による滴定によって決定した。溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中のヨウ化カリウムの濃縮溶液0〜100当量を、溶媒の混合物d6−DMSO/d6−アセトン(4:1)中の化合物1・2Cl(2.5.10−3M)の希釈溶液を含有するNMRチューブに引き続いて加えた。化合物1・2Clのイミダゾリウム基の2位におけるプロトンの化学シフト、及び0〜100当量のヨウ化カリウムを添加した後の化合物1・2Clの1,3−ビスイミダゾリウム−フェニル基の2位におけるプロトンの化学シフトの分析は、図5及び6にそれぞれ記載した。これらの図は、平均的な化学シフトが各プロトンについて得られているので、塩素アニオンの錯体化の可逆性を明確に示す。
【0147】
<実施例4.4 ヨウ素アニオンの錯体化の可逆性についてのH NMR分光法による研究)
溶媒の混合物d−DMSO/d−アセトン(4:1)中の塩化リチウム溶液1.0当量を、溶媒の混合物d−DMSO/d−アセトン(4:1)中の化合物1・2I(2.5.10−3M)の溶液を含有するNMRチューブに加えた。塩化リチウムを添加する前後の化合物1・2Iのプロトンの化学シフトを図7(第1のグラフは添加前の化学シフトであり、第2のグラフは添加後の化学シフトである)に図示する。これらの図は、平均的な化学シフトが各プロトンについて得られているので、ヨウ素アニオンの錯体化の可逆性を明確に示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7