特許第6571647号(P6571647)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフトの特許一覧

特許6571647インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス
<>
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000002
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000003
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000004
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000005
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000006
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000007
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000008
  • 特許6571647-インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571647
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】インラインロータ−ステータ分散機、及び反応プロセス
(51)【国際特許分類】
   B01J 19/18 20060101AFI20190826BHJP
   B01F 7/26 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B01J19/18
   B01F7/26 A
【請求項の数】10
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-526830(P2016-526830)
(86)(22)【出願日】2014年10月29日
(65)【公表番号】特表2017-501019(P2017-501019A)
(43)【公表日】2017年1月12日
(86)【国際出願番号】EP2014073256
(87)【国際公開番号】WO2015063175
(87)【国際公開日】20150507
【審査請求日】2017年10月19日
(31)【優先権主張番号】13005179.0
(32)【優先日】2013年11月1日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】バリー・ファン・ゼッテン
(72)【発明者】
【氏名】ゼーバスティアン・ダーム
(72)【発明者】
【氏名】リースベット・ヨンゲン
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−533912(JP,A)
【文献】 英国特許出願公開第02108407(GB,A)
【文献】 特開2004−002732(JP,A)
【文献】 特表2013−509299(JP,A)
【文献】 特開2003−135949(JP,A)
【文献】 特開2012−187474(JP,A)
【文献】 特開昭61−164631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 19/00、19/18
B01D 53/94
B01F 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学物質の急速な反応及び析出のための反応炉装置(1)であって、
入口ゾーン(2)を画定するハウジングと、
前記入口ゾーン(2)内で同心円状に位置し、前記反応炉装置(1)に固定された、底部の開口部を備える離間した歯(7,7’)の1つ以上のリング(5)を含む、1つのステータディスク(3)と、
前記ステータ(3)に対して回転軸(9)を中心に回転するように構成され、前記入口ゾーン(2)内に同心円状に位置する上部の開口部を備える、離間した歯(8、8’)の1つ以上のリング(6)を含む、1つのロータディスク(4)と、
第1反応材料を、前記入口ゾーン(2)に供給するために、第1径方向位置に、偏心して位置する第1の入口(10)と、
少なくとも1つの、更なる反応材料を前記入口ゾーン(2)に供給するための、他の入口の前記径方向位置とは異なる径方向位置において、偏心して位置する、少なくとも1つの更なる入口(10’)であって、前記入口ゾーン(2)に供給された前記材料はその後、前記ステータ、及びロータの前記1つ以上のリング(5、6)に近づく、更なる入口(10’)と、
前記コレクタゾーン(12)に回収される生成物を除去するための出口(13)と、を含み、
前記ステータリングの離間した歯(7、7’)、及び前記ロータリングの前記離間した歯(8、8’)は、径方向において互いに交互に隣接しており、前記ステータリング(5)は、前記離間した歯の前記開口部が、内部ロータリング(6)から開始して、前記入口(10、10’)から前記出口(13)への連絡のみを形成するようにして、前記ロータリング(6)と上部から係合し、
第1反応材料を供給するための前記第1の入口(10)、及び更なる反応材料を供給するための前記少なくとも1つの更なる入口(10’)は、前記反応材料が、前記入口(10、10’)を通じて供給されたあとに、最初に前記内部ロータリングの前記離間した歯(8)にぶつかるように位置している、反応炉装置(1)。
【請求項2】
前記外部ステータリングの前記離間した歯は、互いに0.5〜5mmの間隔を有する、請求項1に記載の反応炉装置。
【請求項3】
前記内部ロータリングの前記離間した歯は、互いに0.5〜5mmの間隔を有する、請求項1に記載の反応炉装置。
【請求項4】
前記ステータリング、及び前記ロータリングの前記離間した歯は、矩形、菱型、台形、及び円形から成る群から選択される形状を有する、請求項1に記載の反応炉装置。
【請求項5】
径方向で互いに交互に隣接している、前記ステータリングの前記離間した歯(7、7’)、及びロータリングの前記離間した歯(8、8’)は、0.05〜2mmの空隙間隔を有する、請求項1に記載の反応炉装置。
【請求項6】
第1反応材料を供給するための前記第1の入口(10)、及び少なくとも1つの更なる反応材料を供給するための前記少なくとも1つの更なる入口(10’)は、それらの偏心の位置を前提としてこれらの間の間隔が最大になるように位置する、請求項1に記載の反応炉装置。
【請求項7】
第1反応材料を供給するための前記第1の入口(10)、及び少なくとも1つの更なる反応材料を供給するための前記少なくとも1つの更なる入口(10’)は、前記反応材料が、前記入口を通じて供給されたあとに、最初に前記内部ロータリングの前記離間した歯にぶつかるように位置している、請求項6に記載の反応炉装置。
【請求項8】
少なくとも2つの材料が、前記第1の及び少なくとも1つの更なる入口(10、10’)を通じて、請求項1〜7の1つ以上に記載の前記反応炉に供給され、前記生成物が前記装置の前記出口(13)から回収される、化学物質の急速な反応及び析出のためのプロセス。
【請求項9】
生成される前記生成物は、水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及びこれらの混合物から成る群から選択されるアニオン、並びにアルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、希土類、及びこれらの混合物から成る群から選択される金属カチオンの、金属化合物粒子である、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
50Pa×s超の粘稠度を有する、触媒材料の前駆体の粘稠性の懸濁液が生成される、請求項8又は9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学物質の急速な混合及び析出のための特別な装置に関する。特に、本発明は、少なくとも2つの反応物質のストリームが合流する(ここに、有利には分散液又は懸濁液を含む更なるストリームが任意により追加される)際に、そこから固体金属化合物粒子が形成される高濃度の溶解材料を含む、少なくとも2つの液体ストリームを非常に高速で混合することを可能にする、反応炉を提示している。
【背景技術】
【0002】
化学物質を互いに反応させるために、これらを混合することは、特に工業規模の目的における、物理化学、及び技術研究の極一般的な領域である。特に、非常に高速の反応(すなわち、20ミリ秒未満の規模)に関し、反応物質の強力な混合における問題は決定的になり、これは通常、反応は均質な反応環境のみにおいて最適に生じるためである。この技術分野において、多くの研究が行われてきた(特許文献1;M.Zlokarnik in Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry,http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/14356007.b02_25/full)。高速混合、及び化学化合物の反応の問題は、製造される化合物が、過飽和溶液から析出させなければならないときに、更に顕著なものとなり得る。
【0003】
まず、析出プロセスは典型的には、析出における結晶形成が非常に急速に生じるときに、小さな粒子を生じる。生じる反応には、核生成及び成長が挙げられ、反応速度は既存の粒子により影響を受けることが既知である(非特許文献1)。
【0004】
また析出プロセス中に使用される条件は、粒子の粒径、及び構造を画定する。プロセスは、混合中に溶解材料を過飽和にする工程を含む。混合速度、及び過飽和のレベルは、粒径形成において重要な役割を果たす。先行技術による混合装置は、衝突ジェットミキサー、高圧ホモジナイザー、及びスタティックミキシングとこれに続く噴霧乾燥を含む。これらの装置のいずれも、析出プロセスが非常に高速であり、生じる懸濁液が非ニュートン流体である場合には、連続的プロセスで使用することができない。流体の非ニュートン特性により、析出された粒子は、流出ストリームにおける速度勾配が小さい場合に、析出装置の壁部に粘着する。したがって、混合装置の目詰りが生じ得る。
【0005】
この問題の解決法は、反応炉の容積を低減させることであるが、ある点において(例えば、小さい容積の容器、及び高い材料濃度)これは典型的には、反応炉システムの一部の、又は全部の閉塞に繋がり、これは、材料の不均一性、又は更に反応炉がそれ以上動作不能となることを意味し得る。この問題の別の解決法は、溶解材料を低濃度にして反応炉を動作させることであるが、これは、処理容積当たりの収率を高めて対費用効果及び持続可能性を改善することにより、プロセスを強化することが一般的傾向であるため、望ましくない。
【0006】
いくらかの特許出願は、化学物質を高速で混合及び調製することの問題に対処する。例えば、特許文献2は、回転面反応炉で、粒子(特にナノ粒子であるが、これに限定されない)を生成するためのプロセスを記載する。反応炉を使用して、回転面上で、溶液から生成される材料を析出する。従来的な撹拌タンク反応炉に関連する、凝集の問題を生じずに、密な寸法分布を大量製造することが請求される。
【0007】
析出プロセスにおける粒子の製造のための、方法及び対応する装置が、特許文献3に提示される。ここでは、2つ以上のステータを含むステータアセンブリ、及び2つ以上のロータを含むロータアセンブリを含む反応炉に、2つの反応物質のストリームが供給される。反応材料の第1のストリームが、第1径方向位置において、第1の入口を介して供給され、第2径方向位置に第2反応材料を供給する、第2の入口が予測される(foreseen)。特許文献2におけるように、この装置による第1の入口は、装置の中央に実際に位置する、ロータの回転軸に配置される。
【0008】
インラインロータステータ分散機は、化学物質の単一のストリームを分配するための既知の装置である。この目的のためのロータステータ分散機は、例えば、IKA(登録商標)と称される企業により製造される(http://www.ikaprocess.com/Produkte/Pilotanlagen-Technikum-cph-40/magic-LAB-csb-MLAB/)。上記インラインロータステータ分散機は、化学物質の様々な混合及び分配に適している。様々な材料スループットのために様々なモデルが存在し、モデルによって、ロータは、最大26.000RPMの速度に達することがあり、これによりロータ付近で乱流が生じる(レイノルズ数>10.000)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2011/083157号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/008083号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2011/0105719号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】M.Perez et al.著、Implementation of classical nucleation and growth theory useful precipitation,Acta Materials 2008,(56),2119〜2132
【非特許文献2】F.Schuth;M.Hesse;K.U.Unger;Precipitation and Coprecipitation. In Handbook of Heterogeneous Catalysis,2;G.Ertl,H.Knozinger,F.Schuth,J.Weitkamp,Eds.;WILEY−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA:Weinheim,2008;1,100〜119
【非特許文献3】J.A.Dumesic;G.W.Huber;M.Boudart;Introduction.In Handbook of Heterogeneous Catalysis,2;G.Ertl,H.Knozinger,F.Schuth,J.Weitkamp,Eds.;WILEY−VCH Verlag GmbH & Co.KGaA:Weinheim,2008;1,1〜2
【非特許文献4】Peter Eastwood;The exhaust environment,Critical Topics in Exhaust Gas Aftertreatment,1;Research Studies Press Ltd:Baldock、2000
【非特許文献5】Peter Eastwood;The exhaust environment,Critical Topics in Exhaust Gas Aftertreatment,1;Re−search Studies Press Ltd:Baldock,2000;25
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
それでも、急速な反応、特に以降の析出工程を可能にするために、少なくとも2つの反応材料の急速な混合を可能にする、設備の必要性が依然として存在している。本発明の装置は、連続的な方法で、高い材料濃度の溶液/懸濁液から析出物を生じるための、堅牢な方法を提示することができる。本発明は特に、非常に短時間で生じ、かつ他の方法では反応炉の目詰りを引き起こすような、析出反応のために特に有用である。特に、本発明のプロセスは、研究所、及び工業的規模の両方において、堅牢かつ連続的な方法で、反応炉装置から導出されるべき非常に粘稠な製品ストリームを生じるものと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明の請求項1の特徴によって特徴づけられる装置によって達成される。本発明の更なる好ましい態様は、請求項1に従属する、以降の請求項に記載されている。請求項8〜10は、急速な混合及び析出反応を行う有利なプロセスを対象としている。
【0013】
化学物質の急速な混合及び析出のための反応炉装置(1)であって、
入口ゾーン(2)を画定するハウジングと、
入口ゾーン(2)内で同心円状に位置し、反応炉装置(1)に固定された、底部の開口部を備える、離間した歯(7,7’)の1つ以上のリング(5)を含む、1つのステータディスク(3)と、
ステータ(3)に対して回転軸(9)を中心に回転するように構成され、入口ゾーン(2)内に同心円状に位置する、上部の開口部を備える、離間した歯(8、8’)の1つ以上のリング(6)を備える1つのロータディスク(4)と、
第1反応材料を、入口ゾーン(2)に供給するために、第1径方向位置に、同心円状に位置する第1の入口(10)と、
少なくとも1つの、更なる反応材料を入口ゾーン(2)に供給するための、他の入口の径方向位置とは異なる径方向位置において、同心円状に位置する、少なくとも1つの更なる入口(10’)であって、
入口ゾーン(2)に供給される材料はその後、ステータ(5)及びロータ(6)の、1つ以上のリングに接近する、入口(10’)と、
任意により、回転軸(9)を中心として同心円状に位置するロータ(4)/ステータ(3)アセンブリに更なる反応材料を供給するための更なる入口と、
コレクタゾーン(12)に回収される製品を除去するための出口(13)と、を含み、
ステータリングの離間した歯(7、7’)、及びロータリングの離間した歯(8、8’)は、径方向において互いに交互に隣接しており、ステータリング(5)は、離間した歯の開口部が、任意により内部ロータリング(6)から開始して、入口(10、10’)から出口(13)への連絡のみを形成するようにして、ロータリング(6)と上部から係合し、
第1反応材料を供給するための第1の入口(10)、及び更なる反応材料を供給するための少なくとも1つの更なる入口(10’)は、反応材料が、入口(10、10’)を通じて供給されたあとに、最初に内部ロータリングの離間した歯(8)にぶつかるように位置している、反応炉装置(1)を提供することにより、本発明に内在する問題が、非常に有利でありながら、容易な方法で解決される。反応装置に供給される少なくとも2つの材料ストリームが、径方向に偏心位置において装置に導入されるという事実により、1つ以上のリング(6)を含むロータディスク(4)と接触する際に同時に、これらが急速に加速される。これらのストリームはまず小さな液滴に分散し、これは非常に容易に、迅速に均質な反応環境を達成するために、互いに急速に混合する。材料が出口(13)に到達する唯一の方法は、ロータ、及びステータリングの歯(7、7’、8、8’)の間の間隔を通過し、これらを通じて出口(13)へと移動することである。このような予測される反応は、ここでは、より有利な反応条件で生じる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の反応装置を例示した図である。
図2】本発明の反応装置を例示した図である。
図3】離間した歯(7、7’)の、ロータの離間した歯(8、8’)への係合を例示した図である。
図4】スタータ及びロータリングの歯の単純化された上面図である。
図5】本発明のロータ−ステータ反応炉を備える、実施例1において調製されたOSC材料のXRD回折パターンを示した図である。
図6】本発明のロータ−ステータ反応炉を備える、実施例1において調製されたOSC材料を含むエージングさせた三元触媒の0.990〜1.010のλ値のλウィンドーにおけるCO、NO、及びHCの変換効率を示した図である。
図7】実施例2の参照OSC材料のXRD回折パターンを示した図である。
図8】実施例2において調製されたOSC材料を含むエージングさせた三元触媒の0.990〜1.010のλ値のλウィンドーにおけるCO、NO、及びHCの変換効率を示しした図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
反応装置(1)は、当業者により構成され、基本的な化学反応に適合させることができる。好ましい設計は、本明細書において既に引用された文献に示されている。特に、IKA(登録商標)インライン分散機の提示にあたって選択される構成は、本発明の装置を製造するための基礎と捉えられる。
【0016】
本装置において使用されるステータディスク(3)は主に、上部に開いた金属プレートから成り、これは、下部に開口部を備える、離間した歯(7、7’)の1つ以上のリング(5)を含み、ロータの回転軸を中心に同心円状に位置し、ハウジング(1)に固定されている(図1)。歯の間に開口部を有する歯状の障害物(7、7’)を含み、開口部は、底部に開いており、2つの隣接する歯の間に一定の間隔を含む。好ましい態様において、本発明は、外部ステータリングの離間した歯が互いに、0.5〜5mm、好ましくは0.6〜3mm、及び最も好ましくは0.75〜2mm(図4、歯7’)の間隔を有する、上記の装置を対象としている。
【0017】
本装置において使用されるロータディスク(4)は同様に、ステータ(3)に対して回転軸(9)を中心に回転するように構成され、入口ゾーン(2)内に同心円状に位置する、上部の開口部を備える、離間した歯(8、8’)の1つ以上のリング(6)を備える、底部が閉じた、成形された材料から作製される。図1に従い、ロータリング(6)は、ロータディスク(4)によって担持される、開口部を上部に備える、離間した歯(8、8’)を含み、これは凹状を示し、よって入口ゾーン(2)の底部を形成している。これは、次の事実を生じる。入口ゾーン(2)に供給される反応材料が、ロータディスク(4)の回転によって加速され、遠心力の影響が働いて、材料が、ロータディスク(4)の離間した歯(8)を通じて、第1ロータリングと、第1ステータリング(15)との間の容積を通じて、ステータディスク(3)の離間した歯(7)を通じて、ステータリングとロータリング(16)との間の容積を通じて、再びロータディスク(4)の離間した歯(8’)を通じて、ロータリングとステータリング(17)との間の容積を通じて推進され、その後ステータディスク(3)の最終的な離間した歯(7’)で合流する(ディスク当たり、離間した歯の2つのリングのみが適用される場合)。その後製品は、回収ゾーン(12)に入ることがあり、ここで製品は、出口(13)を通じて反応炉から出る(図4)。ロータディスク(4)の底部プレートに衝突する反応材料の加速を向上させる、更なる方法が有利に適用されてもよい(例えば、特許文献3の図3に#148として示されるように)。
【0018】
ロータディスク(4)の1つ以上のリング(6)は、隣接する離間した歯(8、8’)を含み、これらは一定の長さのこれらの間に開口部を示している(図4)。好ましくはこれらは、ロータ(4)の内部リングにおいて、互いに0.5〜5mm、好ましくは、0.6〜3mm、及び最も好ましくは0.75〜2mmの間隔を有する(図4の歯8)。ステータ、及びロータリングの両方において、有利に、1つの歯及び開口部は、4〜25mm、好ましくは5〜20mm、及び最も好ましくは6〜16mmの合計長さに及ぶ。歯と開口部長さの比率は、好ましくは2:1〜12:1、より好ましくは3:1〜11:1、及び最も好ましくは4:1〜10:1である。より大きな外側ロータ、及びステータリングにおいて、各歯と1つの開口部の好ましい合計長さは、リングの開口部の数が、内側ロータリングの開口部の数と等しくなるようなものである。この機構は、内側リングがステータリング(5)であるか、又はロータリング(6)であるかにかかわらず、同様に適用され、本発明により両方の実施形態が可能であり、内部リングがロータリング(6)である方が好ましい。上記の値を採用することが一般的な方法であると考えられ、これは、およそ10〜20cmの直径を有する反応炉設計、他の反応炉寸法、及び反応の問題に関連する。
【0019】
ロータリング開口部、及びステータリング開口部の両方が、矩形、菱型、台形、及び丸型から成る群から選択される一定の形状を呈し得る。歯及び開口部の寸法、形状、及び方向は、析出物が形成される方法、及び当然、得られる粒径に影響を及ぼし得る。当業者は、その潜在的な問題に対して好ましい解決法をもたらすために、両方の態様に対応することができる。
【0020】
供給される材料の良好な混合を得るため、ロータの回転する歯が、ステータの回転しない歯と近接し、空隙容積(15、16、17)において非常に高い剪断速度が生じる、本発明の反応装置が好ましい。したがって、径方向で互いに隣接している、ステータリングの離間した歯(7、及び7’)、及びロータリングの離間した歯(8、及び8’)が、0.05〜2mm、好ましくは0.1〜0.8mm、及び最も好ましくは0.2〜0.5mmの空隙(15,16、17)間隔を形成する、反応装置が特に好ましい。図3は、図1の拡大された部分を示しており、ロータリングとステータリングの離間した歯の係合が、より詳細に表示されている。図4の上方透視図は、好ましい液体の入口(10、10’)、ステータリングの歯(7、7’)、及びロータリングの歯(8、8’)、間隙容積(15、16、17)、回収ゾーン(12)、及び反応炉出口(13)の、単純化した図を示している。入口ゾーン(2)が、ステータリング及びロータリングの接続部により出口から遮蔽されていることが明らかに示されている。入口ゾーン(2)に存在するいずれかの材料が、ロータリングの回転する離間した歯、及びステータリングの静止し離間した歯により、本発明の装置から出なければならない。
【0021】
本発明により、第1の、及び少なくとも1つの更なる入口(10、10’)は、本質的にカバー(11)に位置する(図2)。好ましい態様において、2つの入口が存在し、カバー(11)を通じ、(好ましくは液体の)第1の入口(10)送達管が第1材料の供給を行い、第2の入口(10’)送達管が更に、好ましくはまた、第1材料とは異なる液体材料を供給する。これらの2つの入口の供給(双方の偏心ストリームが等しくなくてはならない先行技術とは対照的に)、入口ゾーン(2)に上記のストリームを供給する偏心で位置する送達管によって実現される。好ましくは、第1反応材料を供給するための第1の入口(10)、及び少なくとも1つの更なる反応材料を供給するための少なくとも1つの更なる入口(10’)は、それらの偏心の位置を前提としてこれらの間の間隔が最大になるように位置する。好ましい態様において、本発明の反応装置は2つの入口を有し、第1反応材料を供給するための第1の入口(10)、及び第2反応材料を供給するための第2の入口(10’)は両方とも、ロータ軸(9)に対して(好ましくは対称的に)相対する側に位置する。
【0022】
本発明により、第1反応材料を供給するための第1の入口(10)、及び更なる反応材料を供給するための少なくとも1つの更なる入口(10’)は、反応材料が、入口を通じて供給されたあとに、最初に内部ロータリング(8)の離間した歯にぶつかるように位置している。好ましくは、この実施形態において、2つの入口が存在し、上記のように、対称的に配置されている。これにより、供給される材料が更なる反応のために合流する前に、反応材料の加速、及び小さな液滴への分割が行われることを確実にする。これは、生じる反応材料の高い粘稠度に繋がる、非常に高い濃度を優れた方法で扱うことができるために、有利な方法で機能する。生成される材料は、ゾーン(12)で回収され、当業者の知識に従って、出口(13)から引き出すことができる。
【0023】
カバー(11)は任意により、回転軸(9)を中心とした同心状の位置において、入口ゾーン(2)に反応材料を更に供給するために、なお更なる入口(14)を有するために、使用されてもよい(図2)。この入口(14)を通じ、析出が生じるはずである、固体粒子を既に含んだ水性懸濁液及び/又は分散液が、供給され得る。上記固体粒子は例えば、通常、自動車排気触媒における担体材料とみなされる材料、例えば、希土類酸化物、高融点金属酸化物、混合酸化物、ゼオライト材料、及びこれらの混合物であり得る。これらはとりわけ、シリカ、アルミナ、セリウム酸化物、セリウムジルコニウム酸化物、他の希土類酸化物でドープしたセリウム−ジルコニウム酸化物、ランタン−アルミナ、ゼオライト、ゼオタイプ、チタン酸化物、及びこれらの混合物を含み得る。これらの更なる入口が使用されない場合、これは単純に閉止されていてもよい。
【0024】
本発明の更なる実施形態において、化学物質の急速な反応及び析出のプロセスが提示され、少なくとも2つの材料が、第1及び少なくとも1つの更なる入口(10、10’)を通じて、任意により入口(14)を通じて、本発明による反応炉に供給され、最終生成物が装置の出口(13)から回収される。入口(14)を通じて供給される材料は、有利に分散液、又は懸濁液であり得る。反応炉装置(1)に関して直前に言及した有利で好ましい態様は、本プロセスにも同様に適用可能である。
【0025】
本プロセスの更なる好ましい実施形態において、担体材料のスラリー、及び析出させる反応物を既に混合させた、析出のための材料の懸濁液及び/又は分散液が入口(14)を通じて送達されてもよく、上記反応物の析出を開始するための更なる材料が、入口(10)及び(10’)の一方又は両方を通じて追加されてもよい。
【0026】
本発明により生成される製品は好ましくは、水酸化物、オキシ水酸化物、酸化物、及びこれらの混合物から成る群から選択されるアニオン、並びにアルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、希土類、特にセリウム、ランタン、イットリウム、プラセオジム、ネオジム、及びこれらの混合物から成る群から選択される金属カチオンによる、小さな金属化合物粒子である。これらの材料は、自動車触媒作用において活性な材料、例えば、貴金属、特にプラチナ、パラジウム、及びロジウム、又はアルカリ土類、例えば、バリウム、及びストロンチウム、又は希土類、例えば、セリウム、又は混合酸化物、例えば、セリウム−ジルコニウム酸化物の担体として機能し得る。自動車触媒作用において活性な材料を担持する担体材料は、本発明の装置を適用する、ある段階においてその場で生成されてもよい。担体材料の、分散液、又は懸濁液は、入口(14)を介して導入され、担体に活性材料を析出させるための溶液が、入口10、及び10’を通じて導入され、よって触媒前駆体が形成される。
【0027】
本発明のプロセスは、2つの有利な溶液、及び任意により分散液、又は懸濁液が一緒に混合され、析出される、全ての化学反応に適用され得る。装置は、好ましくは、50Pa×s以上、100Pa×s未満の粘稠度を有する触媒材料の前駆体の、中程度から高い粘稠度の懸濁液を得るように適用され得る。
【0028】
本発明の範囲内において、当業者は、急速な反応に役立つ、急速な混合及び析出は、ミリ秒の時間尺度、より好ましくは20ミリ秒未満、及び更により好ましくは10ミリ秒未満(t1/2)で最も実行可能であることを理解する。ここで注目する反応は、好ましくは、中和反応の種類によるものである。この点において、金属水酸化物を形成する酸塩基反応が、非常に好ましい。これらの反応は、当業者に既知である(非特許文献2)。
【0029】
非常に好ましいプロセスにおいて、生成される材料は、アルミニウム、ジルコニウム、銅、鉄、コバルト、ニッケル、マンガン、希土類(例えば、セリウム、ランタン、イットリウム、プラセオジム、ネオジム)、貴金属(例えば、プラチナ、パラジウム、及びロジウム)、及びこれらの混合物から成る群から選択される、小さな金属水酸化物粒子である。上記生成される材料は通常、それが析出される液体から分離され、洗浄され、乾燥され、焼成される。
【0030】
ゼオライトは(フレームワークタイプに依存する)3〜10オングストロームの均一なポア/チャネル/カゴ構造を有する秩序だった3D構造及び構造全体を通して触媒的に活性なカチオンの分散を可能にするためのイオン交換を進める能力を特徴とする微孔性結晶性アルミノシリケート材料である。
【0031】
ゼオタイプはゼオライトの構造的アイソタイプ/同形体であるが、結合したシリカアルミナ四面体が導出されるフレームワーク構造の代わりに、それらは、例えば、アルミナ−ホスフェート(ALPO)、シリカ−アルミニウム−ホスフェート(SAPO)、金属−アルミナ−ホスフェート(Me−ALPO)又は金属−シリカ−アルミナ−ホスフェート(MeAPSO)に基づく。
【0032】
ゼオライト材料はゼオライト又はゼオタイプの構造表現形式(structural formalisms)に基づく材料である。
【0033】
従来的な沈殿槽と比較して、本発明の反応炉は、急速な混合及び析出工程を通じて、粘稠な材料(50Pa×s以上、100Pa×s未満)を生成する、反応に対して有利に適用される。最も有利には、反応炉は、非常に高い粘稠度(100Pa×s超)を避けるような方法で操作される。いくつかの場合において、高粘稠度の状態の材料は、懸濁液のpHに依存する。本プロセスにおいては、懸濁液のpHを規定値に非常に速く固定するため、高い粘稠度の生成物を生じるpH領域が適切に回避され得る。これは、撹拌槽反応炉におけるよりも、達成するのが容易である。
【0034】
本発明の装置に容器が適用される、偏心位置において、ロータは既に、非常に高い径方向速度を有しており、したがって、供給される溶液をすぐに加速することができる。したがって、区画を含む小さな反応炉の形成、及び材料ストリームの混合のための時間が、かなりの程度改善される。これは、形成される析出物内における、非常に均質で、小さな粒子と、非常に高い粘稠性の製品ストリームを連続的な方法で取り扱う能力とに繋がる。この組合せは、本発明の反応炉を、触媒材料の生成のプロセス強化のために(例えば、自動車排気浄化プロセス)理想的なものとする。触媒は、高い表面積を達成するための、小さな粒径を有するものとして既知である(非特許文献3)。反応させる材料ストリームが、内部ロータリング、及びその離間した歯に直接供給される好ましい配置において、本発明の利点を更に強調することができる。これは、先行技術によっては予測されることも、明らかにされることもなかった。
【0035】
(実施例1)
本実施例は、ガソリンエンジンの、排出ガスを浄化するための三元触媒の調製に関する。三元触媒の活性は、様々なパラメータ、とりわけ、貴金属組成物、分散液、ウォッシュコート組成物、及び酸素吸蔵能力(OSC)に関連するものとして当業者に既知である(非特許文献4)。
【0036】
セリウム、ジルコニウム、ランタン、及び酸化プラセオジム(US2011/0097252 A1)を含むOSC材料が、40重量%CeO、50重量%ZrO、5重量%Pr、5重量%Laの組成で調製された。
【0037】
混合された金属硝酸塩溶液が、以下のように調製された。固体硝酸が、3988.0gの脱イオン水に追加された:2038.6g(NHCe(NO、212.6g La(NO・6HO、及び211.0gPr(NO・6HO。Zrは、酸化物の20重量%のZrを含む、4000.0gの硝酸ジルコニル二水和物の水溶液である、溶液に追加された。生じた水溶液は、1時間にわたり、軽く撹拌された。
【0038】
ベースとして、25重量%のNH溶液が使用された。
【0039】
反応炉として、離間した歯(8、及び8’)の2つのリングを備える1つのロータ、及び離間した歯(7、及び7’)の2つのリングを備える1つのステータを有する標準的IKA(登録商標)magic LAB(登録商標)分散機(http://www.ikaprocess.com/Produkte/Pilotanlagen-Technikum-cph-40/magic-LAB-csb-MLAB/)が使用された。標準的なカバーは、第1液体入口(10)、及び第2液体入口(10’)を有するカバーと交換された(図2)。ロータリングは、8235rpmで回転された。
【0040】
混合された金属容器は、第1液体入口(10)に接続され、基部は、二次入口(10’)に接続された。補助入口(14)は閉鎖された。pH電極が、反応炉出口(18)に配置された。
【0041】
基部は、ギアポンプで、100g/分の速度でポンピングされた。金属硝酸塩は、蠕動ポンプで、330g/分の速度でポンピングされた。pHはおよそ8.5であった。反応炉出口(13)から出る析出物は、ビーカーに回収され、これはアンカー攪拌器により、軽く撹拌された。
【0042】
反応が終了すると、529gのラウリン酸粉末(WO98/45212 A1)が追加され、析出物は、1時間にわたって撹拌され、その後Buchnerフィルターで濾過された。9.61脱イオン水でケーキが洗浄された。
【0043】
洗浄したケーキは、110℃で24時間にわたり乾燥され、500μm未満の粒径へと乾式粉砕され、空中で600℃で、4時間にわたり焼成された。
【0044】
調製された材料は、標準X線回折(XRD)、及び標準的なN物理吸着(BET)方法によって分析された。XRDデータは、実質的に純粋な相の材料(95%超、図5)を示す。調製された材料の微結晶の寸法は、線拡大(line broadening)/シェラー式を使用して判定され、4.5nmであった。新しい表面積は113m/gであった。
【0045】
ウォッシュコートは、調製されたOSC材料、硫酸バリウム、酢酸ランタン、ランタンドープしたアルミナ、硝酸パラジウム、硝酸ロジウム、酢酸、及び水酸化テトラエチルアンモニウムを一緒に混合することによって作製された。ウォッシュコートは、6μm未満のd50、及び20μm未満のd90の平均粒径まで、DYNO(登録商標)−MILLによって粉砕された。
【0046】
チャネルが両端で開いている、コージェライトフロースルーハニカム基材が、ウォッシュコートの支持体として使用された。基材は15.24cmの長さ、10.16の直径、93cm−2の細胞密度、及び0.1mmの肉厚を有する。
【0047】
基材をウォッシュコートに浸漬することによって三元触媒が調製され、余剰なウォッシュコートが排出され、加圧気体により余剰なウォッシュコートが吹き飛ばされ、基材が120℃の空気流により30分間乾燥させられ、静止した空気中において500℃で、4時間にわたり焼成される。触媒の焼成されたウォッシュコートの量は659gであり、45.32%の調製されたOSC材料、7.31%のBaSO、2.39%のLa、43.85%のAl、0.92%のPd、及び0.08%のRhの組成を有する。
【0048】
三元触媒は、950℃における、38時間の燃料カットエージング(EP1541220 A1と類似)によってエージングさせた。
【0049】
一酸化炭素(CO)、未燃炭化水素(HC)、及び酸化窒素(NO)における三元触媒の最適な変換効率は、「λウィンドー」(非特許文献5)として既知の化学量論に基づく空気燃料比の狭い範囲内にある。450℃でエージングされた触媒の変換効率は、λウィンドー内のガソリンエンジンの排出ガスのλ値を0.990〜1.010まで変化させる(sweeping)ことによって試験された。変化させている間、触媒の上流、及び下流の排気組成物は、排出ガス分析器によって測定された。λウィンドーにおいて、平均CO変換率77%、NOで85%、及びHCで93%と判定された(図6)。
【0050】
比較例1:
この実施例は、実施例1におけるOSC材料と同じ組成を有する市販のOSC材料を含む、基準三元触媒の調製に関する。より具体的に、Solvay RhodiaのOptalys(商標)OSC材料が、市販の材料として使用された。
【0051】
上記の市販の材料は、実施例1のXRD(図7)、及びBETと同じ方法を使用して測定され、7.3nmの新しい結晶寸法、及び81m/gの新しい表面積を示した。
【0052】
上記の市販のOSC材料において、実施例1に従って三元触媒が調製及びエージングされた。CO、NO、及びHCの450℃における変換が、実施例1に従って測定された。λウィンドーにおいて、平均CO変換率65%、NOで75%、及びHCで92%と判定された。
【0053】
実施例1及び比較例1
実施例1及び比較例1から、本発明の実施例1のロータステータ装置で調製したOSC材料は、より良好に分散されていることが明らかであり、これは、比較例1の同じ組成による市販材料よりも、小さい粒子、及びより高い比表面積を有するためである。ロータ−ステータ反応炉によるこのより良好なOSC材料の分散は、λウィンドーにおけるより優れた三元触媒性能に繋がる。実施例1と比較例1を比較すると、ロータ−ステータ反応炉が、より優れた性能を有するより良い分散触媒材料に繋がることが明らかである。
【0054】
図1は、カバー(11’)における適切な配置の入口を除き、IKA(登録商標)のmagic LAB(登録商標)分散機に基づく、本発明の反応装置を例示している。これらは図2に示され、ここではロータ軸(9)に対して偏心位置にあり、反応炉装置(1)のカバー(11)に固定されている。11を11’と交換することにより、本発明の反応装置になる。
【0055】
図3は更に、離間した歯(7、7’)の、ロータの離間した歯(8、8’)への係合を例示している。
【0056】
図4は、スタータ及びロータリングの歯の単純化された上面図を示している。
【0057】
図5は、本発明のロータ−ステータ反応炉を備える、実施例1において調製されたOSC材料のXRD回折パターンを示している。
【0058】
図6は、本発明のロータ−ステータ反応炉を備える、実施例1において調製されたOSC材料を含むエージングさせた三元触媒の0.990〜1.010のλ値のλウィンドーにおけるCO、NO、及びHCの変換効率を示している。
【0059】
図7は、実施例2の参照OSC材料のXRD回折パターンを示す。
【0060】
図8は、実施例2において調製されたOSC材料を含むエージングさせた三元触媒の0.990〜1.010のλ値のλウィンドーにおけるCO、NO、及びHCの変換効率を示している。
【符号の説明】
【0061】
1 ・・・反応炉装置
2 ・・・入口ゾーン
3 ・・・ステータ
4 ・・・ロータ
5 ・・・ステータリング
6 ・・・ロータリング
7 ・・・第1(内側)ステータリングの離間した歯
7’ ・・・任意の第2ステータリングの離間した歯(第3ステータリングの7’’など)
8 ・・・第1(内部)ロータリングの離間した歯
8’ ・・・任意の第2ステータリングの離間した歯(第3ステータリングの8’’など)
9 ・・・回転軸
10、10’ ・・・第1及び第2液体反応物の入口
11、11’ ・・・反応炉装置のカバー
12 ・・・回収ゾーン
13 ・・・反応炉出口
14 ・・・中央位置における任意の入口
15 ・・・第1ロータリングと、第1ステータリングとの間の間隙容積
16 ・・・第1ステータリングと、第2ロータリングとの間の間隙容積
17 ・・・第2ロータリングと、第2ステータリングとの間の間隙容積
18 ・・・反応炉出口にpH電極を配置するための位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8