(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記消臭繊維層における、前記接着剤組成物の固形分及び前記化学吸着型消臭剤の含有割合が、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、10〜90質量%及び10〜90質量%である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の消臭マスク。
前記消臭繊維層を構成する繊維が、ポリエチレン樹脂を含む繊維を含有し、該ポリエチレン樹脂の含有割合は、前記消臭繊維層を構成する前記繊維の全体に対して10〜80質量%である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の消臭マスク。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、化学吸着型消臭剤を接着剤組成物により繊維の表面に接合させた複合繊維を含む消臭繊維層(以下、「消臭繊維層(L1)」という)を備える本体部を有する消臭マスクである。化学吸着型消臭剤は、硫化水素、メルカプタン類、二硫化ジメチル、二酸化硫黄等を含む硫黄系悪臭ガスに対する消臭性能を有する、銅元素及び亜鉛元素から選ばれた少なくとも1種を含む成分(以下、「化学吸着型消臭剤(X)」という)であり、接着剤組成物は、ポリエステル、ポリビニルアルコール、セルロース類、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキサイド及びポリビニルピロリドンから選ばれた少なくとも1種を含有する。本発明の消臭マスクの構造は、特に限定されず、平面構造又は立体構造とすることができる。立体構造の場合、プリーツ型、オメガプリーツ型、カップ型等とすることができる(
図5、
図6、
図7等参照)。上記本体部において、消臭繊維層(L1)は、少なくとも、鼻及び口を覆うように配設されており、好ましくは本体部と同じ大きさである。
本発明の消臭マスクにおいて、後述するように、上記本体部は、硫黄系悪臭ガス以外の悪臭ガスに対する消臭性能を有する化学吸着型消臭剤を含む他の消臭繊維層(以下、「消臭繊維層(L2)」という)や、消臭剤以外の成分を含む繊維層、繊維のみからなる繊維層(以下、これらを「繊維層(L3)」という)を、更に備えてもよい。上記本体部が、消臭繊維層(L2)又は繊維層(L3)を備える場合もまた、鼻及び口を覆うように配設されていることが好ましい。
【0011】
上記消臭繊維層(L1)は、好ましくは、化学吸着型消臭剤(X)が、接着剤組成物に由来する接着層を介して繊維の表面に接合された複合繊維を含む繊維集合体からなる。この繊維集合体は、更に、化学吸着型消臭剤(X)が表出するように繊維の本体に埋設されている複合繊維、化学吸着型消臭剤(X)を含む全ての消臭剤を備えない繊維(通常繊維)、他の化学吸着型消臭剤を備える繊維等を含んでもよい。
尚、上記本体部に含まれる消臭繊維層(L1)の数は、特に限定されず、1層でも、2層以上でもよい。2層以上の場合、各消臭繊維層(L1)の間に、消臭繊維層(L2)又は繊維層(L3)を備えることが好ましい。
【0012】
上記消臭繊維層(L1)を構成する繊維集合体に含まれる複合繊維、通常繊維等の繊維部分の平均径は、通常、5〜30μmであり、好ましくは10〜25μmである。
また、上記消臭繊維層(L1)を構成する繊維集合体は、織布、不織布及び編布のいずれに基づくものであってもよいが、所望の厚さの設定が容易であり、製造コストが安価であり、通気性のコントロールがし易いことから、不織布の形態を有することが好ましい。
【0013】
上記不織布に含まれる繊維は、好ましくは樹脂繊維であり、この樹脂繊維を構成する樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリビニルエステル、ポリメタクリル酸エステル、レーヨン等が挙げられる。これらの樹脂のうち、接着剤組成物による接着性に優れることから、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン及びレーヨンが好ましく、ポリエステル、ポリエチレン及びポリプロピレンがより好ましい。尚、上記不織布は、1種のみの樹脂からなる繊維の集合体であってよいし、2種以上の樹脂からなる繊維の集合体であってよいし、2種以上の樹脂からなる芯鞘型繊維の集合体であってもよい。また、樹脂繊維は、高分子用添加剤として、従来、公知の酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤、抗菌剤、防かび剤、補強剤、安定剤等を含んでもよい。
本発明において、上記消臭繊維層(L1)は、好ましくは、ポリエチレン樹脂を含む繊維を含有する不織布により形成されたものであって、ポリエチレン樹脂の含有割合が、上記消臭繊維層を構成する樹脂繊維の全体に対して、好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%の不織布により形成されたものである。既述のように、上記本体部は、消臭繊維層(L2)や、繊維層(L3)を、更に備えることができるが、一体化した本体部とするための一般的な方法である、溶着法を適用すると、例えば、150℃を超える温度では、各繊維集合体を溶着した際に不快臭が発生し、繊維に吸着することがあり、それより低い温度で溶着可能なポリエチレン樹脂含有繊維を含むことが好ましい。
上記繊維集合体が不織布の形態を有する場合、ニードルパンチ法や水流絡合法等により交絡されている不織布、サーマルボンド法により製造された不織布及びスパンボンド法により製造された不織布が好ましい。
【0014】
上記化学吸着型消臭剤(X)は、銅元素及び亜鉛元素から選ばれた少なくとも1種を含む成分である。本発明においては、このような成分を単独で用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記化学吸着型消臭剤(X)としては、金属銅、銅元素を含む化合物、金属亜鉛、亜鉛元素を含む化合物等が挙げられる。
銅元素を含む化合物としては、酸化物(他の酸化物との複合酸化物を含む);水酸化物;リン酸、硫酸等の無機酸の塩;酢酸、蓚酸、アクリル酸等の有機酸の塩;錯体等が挙げられる。これらのうち、硫黄系悪臭ガスに対する消臭性能の観点から、酸化物及びリン酸塩が好ましく、特に好ましくは、CuO・SiO
2複合酸化物及びZrCu(PO
4)
2・H
2O(銅リン酸ジルコニウム水和物)である。尚、後者の化合物は、例えば、層状リン酸ジルコニウムZr(HPO
4)
2・H
2Oと、2価の銅塩とを反応させることにより得ることができ、反応生成物には、層状リン酸ジルコニウムZr(HPO
4)
2・H
2OにおけるHPO
4のHの一部が残っていたり、Naに置換されたりしたものが含まれることがあるといわれている。
また、亜鉛元素を含む化合物としては、酸化物(他の酸化物との複合酸化物を含む);水酸化物;リン酸、硫酸、ケイ酸等の無機酸の塩;酢酸、蓚酸、アクリル酸等の有機酸の塩;錯体等が挙げられ、具体的には、酸化亜鉛、酸化アルミニウム亜鉛、ケイ酸亜鉛、ケイ酸アルミニウム亜鉛、層状アルミノケイ酸亜鉛等が挙げられる。これらのうち、酸化亜鉛が好ましい。
【0015】
上記化学吸着型消臭剤(X)の形状は、特に限定されない。尚、この化学吸着型消臭剤(X)の大きさについては、これが粒状物の場合、レーザー回折式粒度分布測定機で測定したメジアン径は、消臭効率の観点から、好ましくは0.05〜100μm、より好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは0.2〜30μmである。化学吸着型消臭剤(X)が大きすぎると、表出する消臭剤の単位質量あたりの表面積が小さく、十分な消臭効果が得られない場合や、所望の目付量を設定した際に、消臭繊維層(L1)を備える本体部における十分な通気度が得られない場合がある。
また、上記化学吸着型消臭剤(X)は、悪臭成分と接触する効率が高いほど、優れた消臭効果も得られることから、比表面積は、好ましくは10〜800m
2/g、より好ましくは30〜600m
2/gである。比表面積は、窒素吸着量から算出するBET法により測定することができる。
【0016】
上記消臭繊維層(L1)における化学吸着型消臭剤(X)の含有量は、好ましくは1g/m
2以上、より好ましくは3g/m
2以上、更に好ましくは5g/m
2以上である。尚、消臭繊維層(L1)への化学吸着型消臭剤(X)の含有量が多くなるにつれ、消臭繊維層(L1)の通気度が低下するため、上限は、通常、30g/m
2である。また、上記化学吸着型消臭剤(X)の含有割合は、消臭繊維層(L1)を構成する繊維の質量を100質量部とした場合に、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは10〜40質量部である。
【0017】
本発明の消臭マスクは、上記のように、消臭繊維層(L1)と、他の化学吸着型消臭剤を含む消臭繊維層(L2)とを備える態様とすることができるが、消臭繊維層(L1)が更に他の化学吸着型消臭剤を含む態様とすることもでき、硫黄系悪臭ガスの消臭効果を低下させることなく、他の悪臭ガスに対応させることもできる。例えば、アンモニア、トリメチルアミン等の悪臭成分を含む悪臭ガスの消臭剤である、4価金属のリン酸塩、ゼオライト、非晶質複合酸化物;酢酸、イソ吉草酸等の悪臭成分を含む悪臭ガスの消臭剤である、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ハイドロタルサイト系化合物;アルデヒド等の悪臭成分を含む悪臭ガスの消臭剤であるヒドラジン系化合物、アミノグアニジン塩等を繊維の表面に接合させてなる複合繊維を用いることができる。
【0018】
上記4価金属のリン酸塩は、好ましくは、下記一般式(1)で表される化合物であり、水に対して不溶性又は難溶性である。
H
aM
b(PO
4)
c・nH
2O (1)
(式中、Mは、4価の金属原子であり、a、b及びcは、式:a+4b=3cを満たす整数であり、nは0又は正の整数である。)
上記一般式(1)におけるMとしては、Zr、Hf、Ti、Sn等が挙げられる。
4価金属のリン酸塩の好ましい具体例としては、リン酸ジルコニウム(Zr(HPO
4)
2・H
2O)、リン酸ハフニウム、リン酸チタン、リン酸スズ等が挙げられる。これらの化合物には、α型、β型、γ型等、種々の結晶系を有する結晶質のものと非晶質のものがあるが、いずれも好ましく用いることができる。
【0019】
上記ゼオライトは、好ましくは、合成ゼオライトであり、水に対して不溶性又は難溶性である。ゼオライトの結晶構造は、多様であるが、公知のゼオライトは、いずれも使用でき、構造としては、A型、X型、Y型、α型、β型、ZSM−5等がある。
【0020】
上記非晶質複合酸化物は、上記ゼオライト以外の化合物であり、好ましくは、Al
2O
3、SiO
2、MgO、CaO、SrO、BaO、ZrO
2、TiO
2、WO
2、CeO
2、Li
2O、Na
2O、K
2O等から選ばれた少なくとも2種により構成される非晶質の複合酸化物である。この複合酸化物は、水に対して不溶性又は難溶性である。特に好ましい化合物は、X
2O−Al
2O
3−SiO
2(Xは、Na、K、及びLiから選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属原子)で示される非晶質複合酸化物が、消臭性能に優れる。尚、非晶質であることは、粉末X線回折測定を行ったときに、結晶面に基づく明らかな回折シグナルが認められないことを意味し、具体的には、横軸に回折角、縦軸に回折シグナル強度をプロットしたX線回折チャートに、尖度の高い(いわゆるシャープな)シグナルピークがほとんど現れないものである。
【0021】
上記ハイドロタルサイト系化合物は、ハイドロタルサイト構造を有し、好ましくは、下記一般式(2)で表される化合物であり、水に対して不溶性又は難溶性である。
M
1(1−x)M
2x(OH)
2A
n−(x/n)・mH
2O (2)
(式中、M
1は2価の金属原子であり、M
2は3価の金属原子であり、xは0より大きく0.5以下の数であり、A
n−は炭酸イオン、硫酸イオン等のn価の陰イオンであり、mは正の整数である。)
上記ハイドロタルサイト系化合物としては、酸性ガスに対して、より優れた消臭効果を有することから、マグネシウム−アルミニウムハイドロタルサイトが特に好ましい。尚、ハイドロタルサイトの焼成物、即ち、ハイドロタルサイト化合物を約500℃以上の温度で焼成し、炭酸根や水酸基が脱離することにより得られる化合物もハイドロタルサイト系化合物に含まれる。
【0022】
上記ヒドラジン系化合物としては、アジピン酸ジヒドラジド、カルボヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、シュウ酸ジヒドラジド等が挙げられる。
また、上記アミノグアニジン塩としては、アミノグアニジン塩酸塩、アミノグアニジン硫酸塩、アミノグアニジン重炭酸塩等が挙げられる。
【0023】
上記消臭繊維層(L1)が他の化学吸着型消臭剤を含む場合、その含有割合は、特に限定されないが、化学吸着型消臭剤(X)の質量を100質量部とした場合に、好ましくは10〜100質量部、より好ましくは20〜90質量部、更に好ましくは25〜80質量部である。
【0024】
上記化学吸着型消臭剤(X)等の消臭剤は、特定の高分子を含む接着剤組成物に由来する接着層を介して、繊維の表面に接合されている。この高分子は、ポリエステル、ポリビニルアルコール、セルロース類、デンプン、ポリアクリルアミド、ポリアルキレンオキサイド及びポリビニルピロリドンから選ばれた少なくとも1種であり、好ましくは水系分散体又は水溶液とすることができる高分子である。上記特定の高分子を用いた消臭マスクは、密閉環境において保管等された場合に、不快な臭気を発生させることなく、その後、快適に使用することができる。上記接着剤組成物に含まれる高分子は、1種のみであってよいし、2種以上であってもよい。
【0025】
ポリエステルとしては、芳香族系ポリエステル及び脂肪族系ポリエステルのいずれでもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。また、上記ポリエステルは、飽和ポリエステル及び不飽和ポリエステルのいずれでもよい。上記ポリエステルとしては、酸成分と、ヒドロキシル基含有成分とを用いて得られた重縮合体からなる飽和ポリエステルが好ましく、−SO
3H、−SO
3Na、−SO
3−、−COOH、−COO
−、−OPO(OH)
2、−OPO(OH)O
−等の親水性基が結合したポリエステルであってもよい。
【0026】
上記酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、安息香酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、グルタル酸、スベリン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、テトラヒドロテレフタル酸、テトラヒドロオルソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、これらのジ、トリ、若しくは、テトラカルボン酸のメチルエステル、又は、無水物等が挙げられる。
【0027】
また、親水性基を有する酸成分としては、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−スルホン酸アンモニウムイソフタル酸、4−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、4−メチルスルホン酸アンモニウムイソフタル酸、2−スルホン酸ナトリウムテレフタル酸、5−スルホン酸カリウムイソフタル酸、4−スルホン酸カリウムイソフタル酸、2−スルホン酸カリウムテレフタル酸等のスルホン酸塩系化合物等が挙げられる。
【0028】
上記ヒドロキシル基含有成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノール系エチレンオキサイド付加物、ビスフェノール系プロピレンオキサイド付加物、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジオール、水添ビスフェノールA、スピログリコール、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノール、レゾルシノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等が挙げられる。
【0029】
上記ポリエステルは、溶融重合法、溶液重合法、固相重合法等の公知の方法により得られたものとすることができる。
また、親水基は、公知の方法により導入することができるが、−COO
−を導入する場合には、例えば、無水トリメリット酸、トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロールプロピオン酸等を用いた重縮合反応の後、アミノ化合物、アンモニア又はアルカリ金属塩を用いて中和反応に供する方法等が適用される。
【0030】
上記ポリビニルアルコールは、通常、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステルを用いて得られた樹脂であり、例えば、以下の方法(A)又は(B)により得られた樹脂、更には、第1〜3級アミノ基若しくは第4級アンモニウム基をポリビニルアルコールの主鎖又は側鎖に有する樹脂を用いることができる。
【0031】
(A)ビニルエステルを重合し、その後、重合体をケン化することにより得られたポリビニルアルコール
(B)ビニルエステルと、エチレン性不飽和単量体とを共重合し、その後、共重合体をケン化することにより得られたポリビニルアルコール
【0032】
上記方法(B)において用いることができるエチレン性不飽和単量体としては、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、ペンチレン、へキシレン、シクロヘキシレン、シクロヘキシルエチレン、シクロヘキシルプロピレン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びそのナトリウム塩、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0033】
セルロース類としては、エチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、メチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース等が挙げられる。
【0034】
デンプンとしては、酸化デンプン、エーテル化デンプン、エステル化デンプン等の変性デンプン等が挙げられる。
【0035】
ポリアクリルアミドとしては、アクリルアミド(又はメタクリルアミド)と、カチオン性単量体及びアニオン性単量体から選ばれた少なくとも1種と、架橋剤等の他のモノマーとの共重合によって得られたものとすることができる。
【0036】
ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド共重合体、これらのポリアルキレンオキサイドと、多価カルボン酸若しくはその無水物又はその低級アルキルエステルとを反応させて得られたもの、これらのポリアルキレンオキサイドと、ジイソシアネートとを反応させて得られたもの等が挙げられる。
【0037】
ポリビニルピロリドンとしては、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−4−ピロリドン等のビニルピロリドンの単独重合体(即ち、ポリビニルピロリドン)、ビニルピロリドンと、ビニル系単量体とを用いて得られた共重合体等が挙げられる。
上記ビニル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、乳酸ビニル等の脂肪酸ビニルエステル類;シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類;ヒドロキシブチルアリルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル等のアリルエーテル類等が挙げられる。
【0038】
上記高分子としては、化学吸着型消臭剤(X)と繊維との接着性に優れ、消臭マスクが、密閉環境において保管等された場合に、不快な臭気を発生させることなく、その後、より快適に使用することができることから、ポリエステル、ポリビニルアルコール及びセルロースが好ましい。
【0039】
上記消臭繊維層(L1)における、接着剤組成物の固形分(接着剤組成物に由来する固形分)の含有量は、特に限定されないが、化学吸着型消臭剤(X)を含む消臭剤を100質量部とした場合に、好ましくは10〜200質量部、より好ましくは30〜100質量部、更に好ましくは40〜60質量部である。
【0040】
上記消臭繊維層(L1)において、化学吸着型消臭剤(X)に対する、接着剤組成物の固形分の比率が高いほど、化学吸着型消臭剤(X)の繊維表面への接着性が高まってその脱落を抑制することができる。その一方で、接着剤組成物の固形分の比率が低いほど、化学吸着型消臭剤(X)を表出させやすくなるので、化学吸着型消臭剤(X)が悪臭ガスに含まれる悪臭成分と接触しやすくなり、優れた消臭効果が得られる。従って、化学吸着型消臭剤(X)の脱落を抑制しつつ、効率よく表出させて、優れた消臭効果を得るための、接着剤組成物の固形分と、化学吸着型消臭剤(X)との含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは10〜90質量%及び10〜90質量%であり、より好ましくは20〜50質量%及び50〜80質量%である。
【0041】
上記消臭繊維層(L1)の通気度は、消臭効果が十分に得られることから、好ましくは40〜400cm
3/(cm
2・s)であり、より好ましくは60〜350cm
3/(cm
2・s)、更に好ましくは100〜300cm
3/(cm
2・s)である。
【0042】
また、上記消臭繊維層(L1)の目付量は、本体部における通気性及び消臭効果が十分に得られることから、好ましくは15〜100g/m
2であり、より好ましくは20〜90g/m
2、更に好ましくは30〜80g/m
2である。
【0043】
次に、必要により備えることができる消臭繊維層(L2)及び繊維層(L3)について、説明する。消臭繊維層(L2)は、他の化学吸着型消臭剤が接着剤により繊維の表面に接合されてなる複合繊維を含むものであり、消臭剤が異なる以外は、消臭繊維層(L1)の構成と同様とすることができる。そして、上記本体部が消臭繊維層(L2)を備える場合、消臭繊維層(L2)の数は、特に限定されず、1層でも、2層以上でもよい。
【0044】
上記消臭繊維層(L2)における他の化学吸着型消臭剤の含有量は、好ましくは1g/m
2以上、より好ましくは3g/m
2以上、更に好ましくは5g/m
2以上である。尚、消臭繊維層(L2)への化学吸着型消臭剤の含有量が多くなるにつれ、消臭繊維層(L2)の通気度が低下するため、その上限は、通常、30g/m
2である。また、上記他の化学吸着型消臭剤の含有割合は、消臭繊維層(L2)を構成する繊維の質量を100質量部とした場合に、好ましくは2〜60質量部、より好ましくは5〜50質量部、更に好ましくは10〜40質量部である。
【0045】
上記消臭繊維層(L2)の通気度は、消臭効果が十分に得られることから、好ましくは40〜400cm
3/(cm
2・s)であり、より好ましくは60〜350cm
3/(cm
2・s)、更に好ましくは100〜300cm
3/(cm
2・s)である。
【0046】
また、上記消臭繊維層(L2)の目付量は、本体部における通気性及び消臭効果が十分に得られることから、好ましくは15〜100g/m
2であり、より好ましくは20〜90g/m
2、更に好ましくは30〜80g/m
2である。
【0047】
また、繊維層(L3)は、消臭剤や他の作用を付与する成分を含まない層であり、繊維のみからなる以外は、消臭繊維層(L1)の構成と同様とすることができる。この繊維層(L3)は、消臭繊維層(L1)及び(L2)の保護層、防塵層等として用いることができる。
上記繊維層(L3)の通気度は、消臭効果を低下させることなく通気性が十分に得られることから、好ましくは40〜400cm
3/(cm
2・s)であり、より好ましくは50〜300cm
3/(cm
2・s)、更に好ましくは60〜250cm
3/(cm
2・s)である。尚、上記繊維層(L3)を防塵層として用いる場合には、この繊維層(L3)の通気性が、消臭繊維層(L1)の通気性より低いことが好ましい。
【0048】
上記繊維層(L3)の目付量は、本体部における通気性が十分に得られることから、好ましくは10〜60g/m
2であり、より好ましくは15〜50g/m
2、更に好ましくは20〜40g/m
2である。
【0049】
本発明の消臭マスクにおいて、消臭繊維層(L1)を含む本体部の通気性が高いほど、呼吸はし易くなるが、悪臭ガスと化学吸着型消臭剤(X)との反応性は低下する。上記本体部の通気度は、好ましくは20〜80cm
3/(cm
2・s)であり、より好ましくは25〜50cm
3/(cm
2・s)。これにより、硫黄系悪臭ガスに対する消臭性能に優れ、マスクの使用時に清浄な空気で呼吸することができる。
【0050】
本発明に係る本体部は、
図1〜
図3に例示される。
図1は、消臭繊維層(L1)10のみからなるマスク本体部1を示す図であり、繊維11と、化学吸着型消臭剤(X)13と、接着剤組成物によりこれらの繊維11及び化学吸着型消臭剤(X)13を接着された接着部15とを備える。上記のように、消臭繊維層(L1)10は、他の化学吸着型消臭剤を含むことができ、この場合も、通常、接着剤組成物により繊維11及び他の化学吸着型消臭剤が接着されている。
図2は、消臭繊維層(L1)10と、他の繊維層20とを備えるマスク本体部1を示す図であり、他の繊維層20は、消臭繊維層(L2)又は繊維層(L3)とすることができる。
また、
図3は、他の繊維層20と、消臭繊維層(L1)10と、他の繊維層22とを、順次、備えるマスク本体部1を示す図であり、他の繊維層20及び他の繊維層22は、その構成を同一若しくは異なるとした消臭繊維層(L2)又は繊維層(L3)とすることができる。
【0051】
上記本体部1の構造は、平面構造又は立体構造とすることができる。例えば、
図5に示されるオメガプリーツ型の立体構造のマスクとする場合には、
図4に示される折り畳み加工された本体部1とすることができる。
【0052】
本発明の消臭マスク100は、鼻及び口を覆う物品であることから、通常、本体部1の周縁に、耳の裏側に係止する部材(耳掛け部)2又は後頭部を周回する部材(バンド)3が配設されている(
図5、
図6、
図7参照)。
【0053】
図5及び
図6に示される耳掛け部2は、本体部1を着用者の顔面に保持するために左右一対設けられる。耳掛け部2は、その長手方向に弾性力を発揮する弾性部材により形成されていることが好ましく、本体部1は、通常、その形状を維持させるために伸縮性及び可撓性を有さないので、耳掛け部2のみに弾性力を付与することにより、本体部1が鼻及び口を確実に覆うことを容易にすることができる。
【0054】
また、本発明の消臭マスク100は、着用時の固定をより確実なものとするために、ノーズワイヤ5を備えるものとすることができる(
図5、
図6、
図7参照)。ノーズワイヤ5の構成材料は、特に限定されないが、例えば、
図5及び
図6のように、本体部上部4を顔面の凹凸に沿わせることが容易であることから、可撓性又は柔軟性を有し、保形性を付与することができる金属又は樹脂であることが好ましい。尚、ノーズワイヤ5は、本体部1の内部に配設されていてもよいし、表出していてもよい。
【0055】
本発明の消臭マスクは、消臭繊維層10を含む本体部1用のシート(S)を作製する工程と、このシート(S)を所定形状に加工する工程とを備える方法により製造することができる。その後、必要に応じて、耳の裏側に係止する部材(耳掛け部2用)又は後頭部を周回する部材(バンド3用)を接続する工程、ノーズワイヤを配設する工程等を備えることができる。
【0056】
シート(S)を作製する工程では、以下の方法が例示される。
(1)消臭剤を含まない繊維からなる基布(織布又は不織布)の全体に、化学吸着型消臭剤(X)と接着剤組成物とを含む消臭剤含有加工液を塗布(パディング、浸漬、コーティング、スプレー、プリント等)した後、乾燥し、基布を構成する繊維の表面に、化学吸着型消臭剤(X)を接着させ、実質的に、消臭繊維層(L1)のみからなるシート(S)を製造する方法
(2)消臭剤を含まない繊維からなる基布(織布又は不織布)の全体に、化学吸着型消臭剤(X)と接着剤組成物とを含む消臭剤含有加工液を塗布(パディング、浸漬、コーティング、スプレー、プリント等)した後、乾燥し、基布を構成する繊維の表面に、化学吸着型消臭剤(X)を接着させた消臭繊維層(L1)用の消臭シートを作製し、次いで、この消臭シートと、消臭剤を含まない他の繊維からなる織布又は不織布とを接合(接着剤の利用、交絡処理等)して、消臭繊維層(L1)と他の繊維層(L3)とからなるシート(S)を製造する方法
(3)消臭剤を含まない繊維からなる基布(織布又は不織布)の断面の一部(1面側表層又は内部のみ)に、化学吸着型消臭剤(X)と接着剤組成物とを含む消臭剤含有加工液を塗布(パディング、浸漬、コーティング、スプレー、プリント等)又は注入した後、乾燥し、基布を構成する繊維の表面に、化学吸着型消臭剤(X)を接着させ、消臭繊維層(L1)と、消臭剤を含まない繊維層(L3)とからなるシート(S)を製造する方法
(4)化学吸着型消臭剤(X)が、表出するように、繊維の基部表面に埋設された複合繊維からなる織布又は不織布を用いて、必要により、交絡処理(ニードルパンチ法等)に供して、実質的に、消臭繊維層(L1)からなるシート(S)を製造する方法
(5)化学吸着型消臭剤(X)が、表出するように、繊維の基部表面に埋設された複合繊維からなる織布又は不織布と、消臭剤を含まない他の繊維からなる織布又は不織布とを接合(接着剤の利用、交絡処理等)して、消臭繊維層(L1)と他の繊維層(L3)とからなるシート(S)を製造する方法
(6)消臭剤を含まない繊維からなる基布(織布又は不織布)の該繊維に、化学吸着型消臭剤(X)を接触させた状態で、熱処理又は化学処理を行い、化学吸着型消臭剤(X)を、基布を構成する繊維の表面に定着させ、実質的に、消臭繊維層(L1)からなるシート(S)を製造する方法
【0057】
本発明においては、(1)の展着加工法が特に好ましい。尚、消臭繊維層(L1)に、化学吸着型消臭剤(X)及び他の化学吸着型消臭剤を併含させる場合には、化学吸着型消臭剤(X)と、他の化学吸着型消臭剤と、接着剤とを含む消臭剤含有加工液を用いることが好ましい。
また、シート(S)が、他の化学吸着型消臭剤を含む消臭繊維層(L2)を備えるようにする場合には、消臭繊維層(L1)と同様の方法で、実質的に、消臭繊維層(L2)のみからなる消臭シートを作製することが好ましい。
【0058】
上記方法(1)等における消臭剤含有加工液に含まれる化学吸着型消臭剤及び接着剤組成物は、既述の通りである。特に、上記消臭剤含有加工液に含まれる化学吸着型消臭剤のメジアン径は、円滑な展着加工ができることから、好ましくは0.05〜100μmである。尚、メジアン径が小さいほど、単位質量あたりの表面積が大きくなり、消臭効率に優れ、展着加工がしやすく、更に加工後の脱落等も発生し難いため好ましいが、メジアン径が0.05μm未満の化学吸着型消臭剤を用いると、化学吸着型消臭剤が接着層の内部に埋もれて、表出しない不具合や、展着加工の際に化学吸着型消臭剤が二次凝集を起こし、織布又は不織布の表面でダマが形成され、加工後に脱落する不具合を招く。尚、化学吸着型消臭剤のメジアン径は、より好ましくは0.1〜50μm、更に好ましくは0.2〜30μmである。
【0059】
尚、化学吸着型消臭剤の種類によっては、消臭繊維層において近接併存することで消臭効果が低減することもあるため、複数の化学吸着型消臭剤を定着させる場合には、複数の化学吸着型消臭剤を含む消臭剤含有加工液を調製した後、そのまま、展着加工に用いるか、1種のみの化学吸着型消臭剤を含有する消臭剤含有加工液を、複数調製した後、別々に用いて、展着加工するか、を選択して行う必要がある。
【0060】
接着剤組成物と化学吸着型消臭剤とを配合した消臭剤含有加工液を用いる場合、化学吸着型消臭剤に対する、接着剤組成物に含まれる特定の高分子の比率が高いほど、化学吸着型消臭剤の固定力が高まって化学吸着型消臭剤の脱落が抑制される点では好ましい。その一方で、高分子接着剤の比率が小さいほど、化学吸着型消臭剤を表出させやすく、その結果、化学吸着型消臭剤が悪臭ガスに含まれる悪臭成分と接触しやすくなり、優れた消臭効果が得られる。従って、化学吸着型消臭剤を効率よく表出させて、優れた消臭効果を得るために、接着剤組成物の固形分及び化学吸着型消臭剤の含有割合は、両者の合計を100質量%とした場合に、それぞれ、好ましくは10〜90質量%及び10〜90質量%の範囲であり、より好ましくは20〜50質量%及び50〜80質量%の範囲である。
【0061】
上記消臭剤含有加工液には、接着剤組成物に含まれる高分子の種類に応じた添加剤を加えることにより、消臭性能以外の作用を付与させたり、展着加工性を向上させたりすることができる。添加剤としては、分散剤、消泡剤、粘度調整剤、界面活性剤、顔料、染料、芳香剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗アレルゲン剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、化学吸着型消臭剤の消臭効果の低下や消臭不織布の通気性に影響を及ぼさないように、適宜、選択する必要がある。
【0062】
消臭剤を含まない繊維からなる基布(織布又は不織布)に対する、化学吸着型消臭剤を含有する消臭剤含有加工液による展着加工方法は、上記の通りである。パディング法及び浸漬法による展着加工は、基布(織布又は不織布)表面への消臭剤の均一な定着が可能となり、消臭剤の気層面への表出が多くなるため、優れた消臭性能を有する消臭繊維層(L1)用の消臭シートを効率よく製造する、好ましい加工方法である。パディング法としては、パッドドライ法、パッドスチーム法等が挙げられる。得られた塗膜付き基布は、乾燥して、消臭剤含有加工液の媒体を、適宜、除去することにより、接着剤組成物が機能を発揮して、化学吸着型消臭剤が基材を構成する繊維の表面に接着される。本発明にかかる化学吸着型消臭剤(X)は、含水能力が高い傾向にあり、消臭剤含有加工液が媒体として水を含む場合には、水を乾燥除去しにくい。よって、生産性を考慮して、塗膜付き基布を、高温で乾燥させる必要がある。しかしながら、150℃を超える温度を、塗膜付き基布へ負荷すると、不快臭が発生することがあるため、消臭剤を接着剤成分により繊維に接合させる工程の乾燥温度は、好ましくは110℃〜150℃の範囲、より好ましくは120℃〜140℃の範囲であり、特に、生産性と不快臭発生の抑制を考慮すると、123℃〜138℃の範囲が更に好ましい。乾燥時間は、特に限定されないが、好ましくは2〜10分、より好ましくは2分〜5分である。このような条件で乾燥することによって、消臭繊維層(L1)用の消臭シートを得ることができる。
【0063】
消臭剤含有加工液を用いて、消臭繊維層10用の消臭シートを製造する場合には、化学吸着型消臭剤(X)を、均一に、基布を構成する繊維の表面に接合させるため、また、通気性と厚みの設定を容易とするために、基布として、ニードルパンチ法により製造された不織布、サーマルボンド法により製造された不織布、又は、スパンボンド法により製造された不織布を用いることが好ましい。
【0064】
シート(S)を作製した後、本体部1を所定形状に加工する工程、耳の裏側に係止する部材(耳掛け部2用)又は後頭部を周回する部材(バンド3用)を接続する工程、ノーズワイヤを配設する工程等は、公知の方法を適用することができる。
【0065】
本発明の消臭マスクは、排泄物処理場、畜産農場、下水処理場、汚物処理場、ゴミ処理場、肥料工場、化学工場、病院、介護施設、漁港、被災現場等の各作業現場や家庭における作業時の悪臭の発生する場所での使用に好適である。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、下記において、部及び%は、特に断らない限り、質量基準である。
【0067】
1.消臭マスク用の素材
詳細は後述するが、消臭マスクは、下記の不織布シートからなる基材と、表1に示した消臭剤及び表2に示した接着剤組成物(水溶液又は水分散液)を含む消臭剤含有加工液とを用いて消臭不織布を作製した後、この消臭不織布と、他の不織布等を用いて、
図4及び
図5に示されるオメガプリーツ型のマスクを製造した。
(不織布シートW1)
ポリプロピレン樹脂と、ポリエチレン樹脂とを1:1の質量比で含む繊維、及び、ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維を1:1の質量比で含む不織布がニードルパンチ法により交絡処理されたもの
(不織布シートW2)
ポリプロピレン樹脂繊維とポリエチレン樹脂繊維とを1:1の質量比で含む不織布がサーマルボンド法により製造されたもの
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示した消臭剤の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布を用いて体積基準により測定したメジアン径である。
また、消臭剤の消臭容量を算出するための試験方法は、以下の通りである。
消臭剤0.01gをテドラーバッグに入れ、密封後、臭気強度5の濃度の200倍に相当する、硫化水素(1600ppm)、メチルメルカプタン(40ppm)、アンモニア(8000ppm)、メチルメルカプタン(40ppm)、酢酸(380ppm)又はアセトアルデヒド(2000ppm)を含むガス2Lを封入し、その24時間後に各悪臭成分の濃度(残存ガス成分濃度)をガス検知管で測定し、以下の式により消臭容量(mL/g)を得た。
消臭容量(mL/g)=[2000(mL)×(初期悪臭ガス成分濃度(ppm)−残存ガス成分濃度(ppm))×10
−6]/0.01(g)
【0070】
【表2】
【0071】
2.消臭マスクの評価方法
(1)消臭マスクの通気度
消臭マスクの本体部の断面方向について、JIS L1096:2010に規定されたフラジール形法により通気度を測定した。単位は、cm
3/(cm
2・s)である。
【0072】
(2)消臭マスクの消臭性能
以下のようにして、悪臭成分低減率の測定、及び、臭気強度の官能試験を行った。
(a)悪臭成分低減率の測定
予め、所定の濃度の悪臭成分を含むように調製した悪臭ガスを、消臭マスクの本体部の1面側から他面側へ通過させることにより、消臭試験を実施した。具体的には、袋に収容した悪臭ガスを、ガステック社製気体採取器「MODEL GV−100」(型式名)を用いて吸引させつつ、経路にて面積5cm
2の消臭マスクを通過させた後、気体検知管により通過ガス中の悪臭成分の濃度を測定した。
下記の試験に供する硫黄系悪臭ガスとして、6段階臭気強度表示法に基づく臭気強度5に相当する硫化水素(8ppm)及び臭気強度5の20倍に相当するメチルメルカプタン(4ppm)を含むガスを通気させた。また、他の悪臭ガスとして、6段階臭気強度表示法に基づく臭気強度5に相当するアンモニア(40ppm)、酢酸(1.9ppm)又はアセトアルデヒド(10ppm)を含むガスを通気させた。
そして、通気後、それぞれの悪臭成分に対応するガス検知管(硫化水素用気体検知管:No.70L、メチルメルカプタン用気体検知管:No.4LK、アンモニア用気体検知管:No.3L、酢酸用気体検知管:No.81L、アセトアルデヒド用気体検知管:No.92L)を用いて通過ガス中の各悪臭成分の濃度を測定し、以下の式により悪臭成分低減率を求めた。
悪臭成分低減率=[(通気前悪臭成分濃度−通気後悪臭成分濃度)/通気前悪臭成分濃度]×100
【0073】
(b)臭気強度の官能試験
臭気強度5の濃度の硫化水素ガス(8ppm)2Lを臭気袋に充填し、6人の被験者に臭気袋内の臭いを嗅がせて硫化水素の臭いを認知させた後、消臭マスクを着用した状態で各々6名が臭気袋内の臭いを嗅ぎ、以下の基準に従って、臭気強度を判定した。6人の臭気強度を平均し、官能試験での臭気強度とした。臭気強度の値が小さいほど、マスクの消臭効果が高いことを意味する。
臭気強度0:無臭。
臭気強度1:感知できる臭い。
臭気強度2:何の臭いか分かる弱い臭い。
臭気強度3:楽に感知できる臭い
臭気強度4:強い臭い。
臭気強度5:強烈な臭い。
【0074】
(3)消臭マスク自体の臭い及び消臭繊維層の変色の評価
以下の(c)、(d)及び(e)に示すように、消臭マスクを一定期間、保管した後の臭気濃度測定、快・不快度測定等を行った。
(c)消臭マスクの臭気濃度
サンプリングバッグに、消臭マスクを10枚入れて密閉した後に、5Lの無臭空気を入れて恒温機へ入れ、35℃で24時間又は50℃で30日間保管した。その後、マスクから発生した気体を回収し、その濃度(臭気濃度)を三点比較式臭袋法により測定した。この三点比較式臭袋法は、人間の嗅覚を利用して、ある臭気の強さを数量的に測定する方法であり、実用性の点で秀れている。
具体的な方法は以下の通りである。まず、6人の被験者(臭いを嗅ぐ人)にポリエステル製の袋(容積3L)を3個与える。そのうちの2個の袋には無臭の空気が,残りの1個の袋(Z)にはマスクから回収した気体が入っている。各被験者に、3個の袋の中の気体の臭いを嗅いでもらい、袋(Z)を決定してもらう。その後、袋(Z)内の気体を無臭の空気で希釈し、再度、3個の袋の中から袋(Z)を決定してもらう。袋(Z)内の気体を、以下のように段階的に希釈して、同じ操作を継続し、被験者が袋(Z)を選び出すことが困難となったときの希釈倍率を「消臭マスクの臭気濃度」とする。
この希釈倍率をもって、消臭マスクの臭気濃度とした。尚、袋(Z)の中の気体の希釈倍率は、10倍、30倍、100倍、300倍、1000倍、3000倍、10000倍の順であり、本実験で採用した結果は、被験者の中で一番嗅げた人と一番嗅げなかった人を除いた、4人の平均値である。
臭気濃度の値が小さいほど、人の閾値に近くなり、消臭マスクの臭気が小さいことを意味する。
【0075】
(d)快・不快度
サンプリングバッグに、消臭マスクを10枚入れて密閉した後に、5Lの無臭空気を入れて恒温機へ入れ、50℃で30日間保管した。その後、6人の被験者にこれらのマスクを着用させ、鼻で5回呼吸し、臭いを嗅いでもらった。このときの臭いの質を、表3に示す基準に従って判定し、6人の平均値を、快・不快度評価の結果とした。
【表3】
【0076】
(e)変色
サンプリングバッグに、消臭マスクを入れて密閉した後に、5Lの無臭空気を入れて恒温機へ入れ、50℃で30日間保管した。その後、消臭繊維層の表面における色差を、日本電産工業社製測色色差計「Σ80」(型式名)にて測定し、新品のものと比較し、ΔEを得た。ΔEの値が小さいほど、変色の程度が小さいことを意味する。
【0077】
3.消臭不織布の製造
上記の不織布シートからなる基材と、表1に示した消臭剤と、表2に示した接着剤組成物(水溶液又は水分散液)を含む消臭剤含有加工液とを用いて、消臭マスクを構成する消臭繊維層の形成に用いる消臭不織布を製造した。
【0078】
製造例1(消臭不織布D1の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、リン酸ジルコニウムが6部、及びポリエステルの樹脂固形分が6部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、及びリン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、CuO・SiO2複合酸化物の展着量が6g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D1を作製した(表4参照)。
【0079】
製造例2(消臭不織布D2の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、リン酸ジルコニウムが6部、及びポリエステルの樹脂固形分が6部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、及びリン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S2を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW2に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、135℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW2の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D2を作製した(表4参照)。
【0080】
製造例3(消臭不織布D3の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、含水酸化ジルコニウムが5部、及びポリビニルアルコールの樹脂固形分が2.2部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、含水酸化ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S3を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、含水酸化ジルコニウムの展着量が5g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、135℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D3を作製した(表4参照)。
【0081】
製造例4(消臭不織布D4の作製)
酸化亜鉛が8部、リン酸ジルコニウムが6部、及びポリエステルの樹脂固形分が7部の質量比率になるように、酸化亜鉛粉末、リン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW2に、酸化亜鉛の展着量が8g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW2の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D4を作製した(表4参照)。
【0082】
製造例5(消臭不織布D5の作製)
酸化亜鉛が8部、含水酸化ジルコニウムが5部、及びポリエステルの樹脂固形分が6.5部の質量比率になるように、酸化亜鉛粉末、含水酸化ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、酸化亜鉛の展着量が8g/m
2、含水酸化ジルコニウムの展着量が5g/m
2となるように、均一に浸漬塗布した後、125℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D5を作製した(表4参照)。
【0083】
製造例6(消臭不織布D6の作製)
銅リン酸ジルコニウム(ZrCu(PO
4)
2・H
2O)が8部、ケイ酸アルミニウムが6部、及びセルロースが2.8部の質量比率になるように、銅リン酸ジルコニウム粉末、ケイ酸アルミニウム粉末、及び接着剤組成物S5を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW2に、銅リン酸ジルコニウムの展着量が8g/m
2、ケイ酸アルミニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、140℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW2の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D6を作製した(表4参照)。
【0084】
製造例7(消臭不織布D7の作製)
アモルファス酸化亜鉛が8部、ハイドロタルサイトが5部、及びポリビニルアルコールの樹脂固形分が2.6部の質量比率になるように、アモルファス酸化亜鉛粉末、ハイドロタルサイト粉末、及び接着剤組成物S4を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、アモルファス酸化亜鉛の展着量が8g/m
2、ハイドロタルサイトの展着量が5g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、135℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D7を作製した(表4参照)。
【0085】
製造例8(消臭不織布D8の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲルが4部、及びポリエステルの樹脂固形分が5部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲル粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲルの展着量が4g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D8を作製した(表4参照)。
【0086】
製造例9(消臭不織布D9の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、アモルファスゼオライトが6部、及びポリエステルの樹脂固形分が6部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、アモルファスゼオライト粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW2に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、アモルファスゼオライトの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW2の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D9を作製した(表4参照)。
【0087】
製造例10(消臭不織布D10の作製)
表面処理酸化亜鉛が8部、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲルが4部、及びポリエステルの樹脂固形分が6部の質量比率になるように、表面処理酸化亜鉛粉末、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲル粉末、及び接着剤組成物S2を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、表面処理酸化亜鉛の展着量が8g/m
2、アジピン酸ジヒドラジド30%担持シリカゲルの展着量が4g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、135℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D10を作製した(表4参照)。
【0088】
製造例11(消臭不織布D11の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、リン酸ジルコニウムが6部、及びアクリル系樹脂の固形分が6部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、リン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S6を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D11を作製した(表4参照)。
【0089】
製造例12(消臭不織布D12の作製)
CuO・SiO
2複合酸化物が6部、リン酸ジルコニウムが6部、及びウレタン系樹脂の固形分が6部の質量比率になるように、CuO・SiO
2複合酸化物粉末、リン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S8を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、CuO・SiO
2複合酸化物の展着量が6g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D12を作製した(表4参照)。
【0090】
製造例13(消臭不織布D13の作製)
酸化チタンが8部、リン酸ジルコニウムが6部、及びポリエステルの樹脂固形分が7部の質量比率になるように、酸化チタン粉末、リン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S1を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、酸化チタンの展着量が8g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D13を作製した(表4参照)。
【0091】
製造例14(消臭不織布D14の作製)
酸化チタンが8部、リン酸ジルコニウムが6部、及びアクリル系樹脂の樹脂固形分が7部の質量比率になるように、酸化チタン粉末、リン酸ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S6を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、酸化チタンの展着量が8g/m
2、リン酸ジルコニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、135℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D14を作製した(表4参照)。
【0092】
製造例15(消臭不織布D15の作製)
活性炭が8部、含水酸化ジルコニウムが5部、及びポリビニルアルコールの樹脂固形分が2.6部の質量比率になるように、活性炭粉末、含水酸化ジルコニウム粉末、及び接着剤組成物S3を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、活性炭の展着量が8g/m
2、含水酸化ジルコニウムの展着量が5g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D15を作製した(表4参照)。
【0093】
製造例16(消臭不織布D16の作製)
酸化亜鉛が8部、ケイ酸アルミニウムが6部、及びアクリル系樹脂の固形分が7部の質量比率になるように、酸化亜鉛粉末、ケイ酸アルミニウム粉末、及び接着剤組成物S7を用いて、固形分濃度が10%の消臭剤含有加工液を調製した。次いで、この消臭剤含有加工液を、不織布シートW1に、酸化亜鉛の展着量が8g/m
2、ケイ酸アルミニウムの展着量が6g/m
2となるように、均一にパディング塗布した後、130℃で乾燥して、消臭剤が不織布シートW1の1面側から他面側の全体に均一に接着された消臭不織布D16を作製した(表4参照)。
【0094】
【表4】
【0095】
4.消臭マスクの製造
上記で作製した消臭不織布と、ポリプロピレン樹脂繊維を用いてスパンボンド法により得られた目付量25g/m
2の不織布(以下、「不織布W5」という)と、ポリプロピレン樹脂繊維を用いてメルトブロー法により得られた目付量25g/m
2の不織布(以下、「防塵不織布L3」という)と、ポリプロピレン樹脂繊維を用いてスパンボンド法により得られた目付量20g/m
2の不織布(以下、「不織布W6」という)とを、いずれも、175mm×165mの大きさとし、これらを用いて、従来、公知の製造方法及び製造装置に基づき、
図4及び
図5に示される、オメガプリーツの立体構造を有する消臭マスク100を製造し、各種評価に供した。その結果を表5〜表7に示す。
【0096】
実施例1(消臭マスクM1の製造及び評価)
最外層から、不織布W5、製造例1で得られた消臭不織布D1、防塵不織布L3、及び、不織布W6を、この順に重ねた後、175mm×95mmの大きさの長方形となるように、オメガプリーツ30の折り畳み加工を行った(
図4参照)。その後、この積層物からなるマスク本体部1における所定の位置にノーズワイヤ5を挿入した状態で、積層物の周縁部を融着した。次いで、マスク本体部1の両端に、耳かけ部2を超音波融着により形成し、
図5において符号100で示される、オメガプリーツの立体構造を有する消臭マスクM1を得た。
その後、得られた消臭マスクM1を用いて、マスク本体部1における通気度測定と、硫化水素、メチルメルカプタン及びアンモニアの各悪臭成分の低減率測定と、臭気強度の官能試験と、エージング前後の消臭マスク自体の評価とを行った。その結果を表5に示す。
【0097】
実施例2(消臭マスクM2の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例2で得られた消臭不織布D2を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM2を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表5に示す。
【0098】
実施例3(消臭マスクM3の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例3で得られた消臭不織布D3を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM3を得た。その後、得られた消臭マスクM3を用いて、マスク本体部1における通気度測定と、硫化水素、メチルメルカプタン及び酢酸の各悪臭成分の低減率測定と、臭気強度の官能試験と、エージング前後の消臭マスク自体の評価とを行った。その結果を表5に示す。
【0099】
実施例4(消臭マスクM4の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例4で得られた消臭不織布D4を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM4を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表5に示す。
【0100】
実施例5(消臭マスクM5の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例5で得られた消臭不織布D5を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM5を得た。その後、実施例3と同じ評価を行った。その結果を表5に示す。
【0101】
実施例6(消臭マスクM6の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例6で得られた消臭不織布D6を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM6を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表6に示す。
【0102】
実施例7(消臭マスクM7の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例7で得られた消臭不織布D7を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM7を得た。その後、実施例3と同じ評価を行った。その結果を表6に示す。
【0103】
実施例8(消臭マスクM8の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例8で得られた消臭不織布D8を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM8を得た。
その後、得られた消臭マスクM8を用いて、マスク本体部1における通気度測定と、硫化水素、メチルメルカプタン及びアセトアルデヒドの各悪臭成分の低減率測定と、臭気強度の官能試験と、エージング前後の消臭マスク自体の評価とを行った。その結果を表6に示す。
【0104】
実施例9(消臭マスクM9の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例9で得られた消臭不織布D9を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM9を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表6に示す。
【0105】
実施例10(消臭マスクM10の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例10で得られた消臭不織布D10を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM10を得た。その後、実施例8と同じ評価を行った。その結果を表6に示す。
【0106】
比較例1(消臭マスクM11の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例11で得られた消臭不織布D11を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM11を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表7に示す。
【0107】
比較例2(消臭マスクM12の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例12で得られた消臭不織布D12を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM12を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表7に示す。
【0108】
比較例3(消臭マスクM13の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例13で得られた消臭不織布D13を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM13を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表7に示す。
【0109】
比較例4(消臭マスクM14の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例14で得られた消臭不織布D14を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM14を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表7に示す。
【0110】
比較例5(消臭マスクM15の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例15で得られた消臭不織布D15を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM15を得た。
その後、得られた消臭マスクM15を用いて、マスク本体部1における通気度測定と、硫化水素、メチルメルカプタン及び酢酸の各悪臭成分の低減率測定と、臭気強度の官能試験と、エージング前後の消臭マスク自体の評価とを行った。その結果を表7に示す。
【0111】
比較例6(消臭マスクM16の製造及び評価)
消臭不織布D1に代えて、製造例16で得られた消臭不織布D16を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、消臭マスクM16を得た。その後、実施例1と同じ評価を行った。その結果を表7に示す。
【0112】
【表5】
【0113】
【表6】
【0114】
【表7】
【0115】
表5〜表7から、以下のことが分かる。実施例1〜10のすべてにおいて、悪臭成分低減率80%以上の高い消臭性能を示し、官能試験では1.2以下の無臭に近いレベルの臭気強度まで悪臭を低減することができた。一方、比較例3〜5は、化学吸着型消臭剤ではない硫黄系ガスを吸着する消臭剤を消臭繊維層に用いた例であり、悪臭成分低減率及び官能試験臭気強度と共に消臭性能が劣っていた。また、実施例1〜10は、35℃×24時間保管後及び50℃×30日保管後ともに、臭気濃度が100以下と低濃度であり、快・不快度は−1以上であった。また、色差ΔEは3.2以下でありほとんど変色しなかった。これに対して、比較例1、2、4及び6は、本発明に含まれない接着剤を消臭繊維層に用いた例であり、35℃×24時間保管後の臭気濃度は400以上、50℃×30日保管後の臭気濃度は1200以上と高い臭気濃度を示し、更に、快・不快度は−2以下であった。また、比較例1、2、4及び6は、50℃×30日保管後の臭気濃度が、35℃×24時間保管後の臭気強度の3倍以上に増幅し、色差ΔEの値が10以上となり変色も顕著であった。
以上より、消臭マスクが高い硫黄系ガス消臭性能を得るためには、消臭繊維層に硫黄系ガスを吸着する化学吸着型消臭剤を用い、且つ、消臭マスク自体の臭気を低減させ、更に、消臭マスク自体の臭気の増幅を抑制し、変色を小さくするためには、硫黄系ガスを吸着する化学吸着型消臭剤が特定の接着剤によって繊維に接着されていることが必要となる。