特許第6571649号(P6571649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571649
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】湾曲基板上の光検出器アレイ
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/481 20060101AFI20190826BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 31/02 20060101ALI20190826BHJP
   H01L 31/0232 20140101ALI20190826BHJP
【FI】
   G01S7/481 Z
   G01J1/02 Q
   H01L31/02 B
   H01L31/02 D
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-531760(P2016-531760)
(86)(22)【出願日】2014年7月23日
(65)【公表番号】特表2016-535269(P2016-535269A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】US2014047846
(87)【国際公開番号】WO2015017213
(87)【国際公開日】20150205
【審査請求日】2016年3月11日
【審判番号】不服2018-13349(P2018-13349/J1)
【審判請求日】2018年10月5日
(31)【優先権主張番号】13/955,583
(32)【優先日】2013年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】317015065
【氏名又は名称】ウェイモ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ドロー,ピエール−イヴス
(72)【発明者】
【氏名】プラハール,ティモシー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ペネコット,ゲタン
【合議体】
【審判長】 中塚 直樹
【審判官】 櫻井 健太
【審判官】 濱野 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第5818035(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0115875(US,A1)
【文献】 特開平4−203997(JP,A)
【文献】 特開2001−284567(JP,A)
【文献】 特開2004−253509(JP,A)
【文献】 特開2013−085212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G01J 1/00 - 1/60
G01J 11/00
H01L 21/339
H01L 27/14
H01L 27/144- 27/148
H01L 29/762
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲形状を有する焦点面を設定する光学システムと、
フレキシブルプリント回路基板と、
前記フレキシブルプリント回路基板上に搭載された複数の光検出器と、
少なくとも第1の締具および第2の締具を備えるクランプと
を備え、
前記第1の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有し、前記第2の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有し、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記焦点面の前記湾曲形状と実質的に共形になり、前記複数の光検出器中の光検出器のそれぞれが、前記焦点面上のそれぞれの位置に来るように、前記クランプが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を保持するように構成され、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出器の各光検出器が前記焦点面上のそれぞれの位置に配置され、
前記複数の光検出器中の各光検出器が、前記第1の締具と前記第2の締具との間において、前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続される、装置。
【請求項2】
前記フレキシブルプリント回路基板が複数の位置合わせ孔を備え、前記クランプに対して前記フレキシブルプリント回路基板を位置決めするように、前記クランプが前記複数の位置合わせ孔を貫通して延在する複数のダウエルピンを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のダウエルが、前記第1の締具または前記第2の締具の少なくとも1つにある対応する孔を通って延在する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記複数の光検出器中の各光検出器が、それぞれアバランシェフォトダイオードを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の光検出器中の光検出器が、複数の列に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記光学システムがレンズを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記レンズが、非球面およびトロイダル面を有する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の光検出器中の光検出器が複数の列に配置され、前記トロイダル面が、前記列に平行な方向に第1の曲率を有し、前記列に垂直な方向に第2の曲率を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
平坦な形のフレキシブルプリント回路基板上に複数の光検出器を、各光検出器が前記フレキシブルプリント回路基板上にそれぞれの2次元位置を有するように搭載すること、
前記複数の光検出器が搭載された前記フレキシブルプリント回路基板を、湾曲された前記フレキシブルプリント回路基板が光学システムによって設定される焦点面の湾曲形状に実質的に共形になるように湾曲させること、および、
前記複数の光検出器中の各光検出器が、前記焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、前記湾曲されたフレキシブルプリント回路基板を前記光学システムに対して配置すること
を含み、
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、少なくとも第1の締具と第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を挟持することを含み、前記第1の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凸面を有し、前記第2の締具が、前記焦点面の前記湾曲形状に対応する凹面を有し、
前記湾曲されたフレキシブルプリント回路基板を前記光学システムに対して配置することが、前記第1の締具と前記第2の締具との間に前記フレキシブルプリント回路基板を保持すること、及び、前記フレキシブルプリント回路基板が、前記第1の締具の前記凸面と前記第2の締具の前記凹面に追従することによって前記複数の光検出器の各光検出器を前記焦点面上のそれぞれの位置に配置することを含み、
前記フレキシブルプリント回路基板上に前記複数の光検出器を搭載することが、前記第1の締具と前記第2の締具との間において、前記複数の光検出器中の各光検出器を前記フレキシブルプリント回路基板の少なくとも1つのそれぞれの伝導トレースに電気的に接続するステップを含む、方法。
【請求項10】
前記複数の光検出器中の光検出器が、前記フレキシブルプリント回路基板上の複数の列に配置される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、前記列に平行な方向に前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることが、前記列に垂直な方向に前記フレキシブルプリント回路基板を湾曲させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記フレキシブルプリント回路基板が複数の位置合わせ孔を有し、少なくとも1つの前記締具が複数の対応する孔を有し、前記複数の位置合わせ孔および対応する孔を貫通して複数のダウエルピンを挿入することによって、前記フレキシブル基板が前記締具に対して位置決めされる、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記光学システムがレンズを備える、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記レンズが、非球面およびトロイダル面を有する、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 本明細書に別段の指定がない限り、本節に記述される事項は、本願における特許請求の範囲に対する先行技術にはならず、本節に含まれることによって先行技術であると認めるものではない。
【0002】
[0002] 光検出測距(LIDAR)デバイスは、周囲に光を送出し、周囲の物体から反射されてLIDARデバイスに戻る送出光の一部を受光することによって、その周囲の物体を検出することができる。受光された光は1つまたは複数の光検出器によって検出することができる。たとえば、LIDARデバイスは、受光した光を1つまたは複数の光検出器上に集束させる光学システムを備えることができる。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 一態様では、例示的実施形態が、湾曲形状を有する焦点面を設定する光学システムと、フレキシブル基板と、フレキシブル基板に搭載された複数の光検出器と、クランプとを備える装置を提示する。クランプは、少なくとも第1の締具および第2の締具を備える。第1の締具は、焦点面の湾曲形状に対応する凸面を有する。第2の締具は、焦点面の湾曲形状に対応する凹面を有する。クランプが、第1の締具と第2の締具との間にフレキシブル基板を保持するように構成され、それによって、フレキシブル基板が、焦点面の湾曲形状と実質的に共形になり、複数の光検出器中の光検出器のそれぞれが、焦点面上のそれぞれの位置に来る。
【0004】
[0004] 別の態様では、例示的実施形態が方法を提示する。その方法は、平坦な形のフレキシブル基板上に複数の光検出器を、各光検出器がフレキシブル基板上にそれぞれの2次元位置を有するように、搭載するステップを含む。方法は、複数の光検出器が搭載されたフレキシブル基板を、湾曲されたフレキシブル基板が光学システムによって設定される湾曲焦点面に実質的に共形になるように、湾曲させるステップをさらに含む。さらに、方法は、複数の光検出器中の各光検出器が、焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、湾曲済みのフレキシブル基板を光学システムに対して配置するステップを含む。
【0005】
[0005] さらに別の態様では、例示的実施形態が、平坦な形のフレキシブル基板上に複数の光検出器を、各光検出器がフレキシブル基板上にそれぞれの2次元位置を有するように、搭載する手段と、複数の光検出器が搭載されたフレキシブル基板を、湾曲されたフレキシブル基板が光学システムによって設定される湾曲焦点面に実質的に共形になるように、湾曲させる手段と、複数の光検出器中の各光検出器が、焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、湾曲済みのフレキシブル基板を光学システムに対して配置する手段とを備えるシステムを提示する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】[0006]例示的実施形態による、光学システムと、光学システムによって設定された焦点面上に配置された光検出器のアレイとを備える装置の構成図である。
図2】[0007]例示的実施形態による、2つ締具間に保持されたフレキシブル基板上に光検出器のアレイを備えるアセンブリの上面図である。
図3】[0008]例示的実施形態による、図2のアセンブリの側面図である。
図4】[0009]例示的実施形態による、湾曲焦点面上に光検出器を配置する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0010] 以下の詳細な説明では、添付図面を参照しながら、開示されるシステム、デバイス、および方法の様々な特徴および機能を説明する。図面では、別途指示のない限り、同様な記号は同様な構成要素を示す。本発明に記載される例示的なシステム、デバイス、および方法の実施形態は、限定するものではない。開示されるシステム、デバイス、および方法の態様によっては、広く様々な異なる構成で改変し組み合わせることができ、その全てが本明細書において予期されるものであることは当業者にとって容易に理解することができる。
【0008】
[0011] 用途によっては、光学システムによって設定される湾曲した焦点面上の正確な位置に多数の光検出器(たとえばアバランシェダイオード)を配置することが望ましいことがある。この配置を達成するために、光検出器を、平坦な形のフレキシブルプリント回路基板(PCB)または他のフレキシブル基板上の所望の位置に搭載することができる。搭載プロセスは、基板上に光検出器の正確な2次元配置を行うことができるダイボンダマシンまたは他のコンピュータ制御式「ピックアンドプレイス」システムを使用して実施することができる。
【0009】
[0012] 次いで、光検出器が搭載されたフレキシブル基板を、湾曲焦点面の形状に実質的に共形の形状にすることができる。この形状形成は、2つの締具の間でフレキシブル基板を挟持することによって達成することができる。一方の締具は、湾曲焦点面の形状に対応する凸面を有することができ、他方の締具は、湾曲焦点面の形状に対応する凹面を有することができる。フレキシブル基板が両締具の間に保持されると、フレキシブル基板は、両締具の凹面および凸面の湾曲形状と共形になる。
【0010】
[0013] 締具は、両締具を一体にボルト締めし、または他の手段によって、それらの間のフレキシブル基板と共に保持することができる。さらに、締具に対するフレキシブル基板の望ましい横方向位置決めを行うために、ダウエルピンを、締具とフレキシブル基板との対応する孔を通して挿入することができる。
【0011】
[0014] 非限定的な例示的用途は、光検知測距(LIDAR)システムにおける複数の戻り光パルスの検出である。LIDARシステムは、周囲に光の投射パルスを送出し、周囲の1つまたは複数の物体から反射された戻りパルスを検出し、投射パルスの送出と、対応する反射パルスの受光との間の時間遅れに基づいてその1つまたは複数の物体への距離を求めることによって、LIDARシステムの周囲の1つまたは複数の物体の位置を検出することができる。光の投射パルスを送出し、複数の方向での時間遅れを測定することによって、周囲の「ポイントクラウド」マップを創出することができる。
【0012】
[0015] LIDARは、単なる用途例に過ぎないことを理解されたい。本明細書に記述される装置および方法は、湾曲焦点面で光を検出するために光検出器が使用される場合のあらゆる用途に使用することができる。
【0013】
[0016] 図1は、光学系システムとその光学系システムによって設定される湾曲焦点面上に配置された多数の光検出器とを備える例示的装置100を示す。この例では、光学システムが、非球面120およびトロイダル面130を有するレンズ110として示されている。レンズ110は、湾曲焦点面140上に光を集束させるように構成されている。多数の光検出器150が、湾曲焦点面140上に光検出器150が位置するように配置され曲げられたフレキシブル基板160上に搭載されている。
【0014】
[0017] 装置100では、レンズ110は、様々な方向から来る光を、諸光検出器150のうちの様々なそれぞれの光検出器上に集束させることができる。図1に示されるように、入射光線170は、レンズ110によって屈折されて、湾曲焦点面140上の対応する光検出器150a上に集束する。レンズ110の光軸に対して或る角度にある別の入射光線180は、レンズ110によって屈折されて、湾曲焦点面140上の対応する光検出器150b上に集束する。
【0015】
[0018] 図1の例では、光学システムが、特定の形状を有するレンズ110として示されているが、光学システムは、湾曲焦点面を形成する他のタイプのレンズおよび/または他の要素を備えることができる。たとえば、光学システムは、1つまたは複数の反射、屈折、または回折要素を備えることができる。光学システムは、また、1つまたは複数のフィルタ要素、偏光要素、または非線形光学要素を備えることもできる。さらに、光学システムは、上に列挙した光学要素、または上記以外の当業者には周知の光学要素のそれぞれの1つまたは複数を組合せて備えることができる。その組合せの配置は、単一の共通光軸を有する必要はなく、あるいはいかなる軸についても対称である必要はない。
【0016】
[0019] 光学システム(たとえばレンズ110)は、また、他の機能を果たすこともできる。たとえば、LIDARシステムは、光学システムを通して送光する1つまたは複数の光源を備えることができる。さらに、各光源は、光検出器150中の対応する光検出器と対をなすことができ、それによって、光源によって光学システムを通って送出され、周囲の物体によって反射された光が、光学システムによって、その光源に対応する光検出器上に集束される。
【0017】
[0020] 図1に示された特定の焦点面140は、単に例示目的のために使用され、光検出器150の可能な配置または光学システムの構成を限定しようとするものではない。焦点面140は、回転軸周りに対称でありまたは対称面を有する必要(図1が暗示するような)はない。実際は、焦点面140は、光学システムによって形成されるいかなる湾曲面でもよい。
【0018】
[0021] 図1に示されるフレキシブル基板160上の光検出器150の規則的な配置は、説明上の例として用いるためのものである。一般に、フレキシブル基板160上の光検出器150の配置は、規則的である必要はなく、特定の用途の必要性に応じるいかなるパターンでもよい。たとえば、装置100が、車両に取り付けられたLIDARシステムの一部である場合、車両の周囲で特に関心のある領域に関してより高解像度の情報を得ることが有益であり得る。その結果、光検出器150は、特に関心のある領域に対応する位置において、より高密度にフレキシブル基板160上に分布させることができる。
【0019】
[0022] 図2および3は、光検出器210のアレイが光学システム(図示せず)の焦点面に対応する湾曲面上に配置されている、非限定的な例示的アセンブリ200を示す。図2はアセンブリ200の上面図を示し、図3は側面図を示す。アセンブリ200は、フレキシブルPCB220上に搭載され、フレキシブルPCB220上のそれぞれの伝導トレース230に接続された光検出器210のアレイを備える。伝導トレース230は、フレキシブルPCB220上のコネクタ240に電気的に接続されている。この例では、光検出器210は、アバランシェフォトダイオードであり、互いにずれた4本の平行な列に配置されている。この配置は、各光検出器が対応する光源と対になっているLIDARシステム(図示せず)の複数の光源に対応し得る。
【0020】
[0023] 一例では、アセンブリ200がレンズと共に使用される。アセンブリ200は、図1に示された装置100のような、レンズまたは他の光学システムが湾曲焦点面を形成する装置で使用することができる。レンズは、非球面およびトロイダル面を有することができる。トロイダル面は、光検出器210の列に平行な方向に対応する第1の曲率と、光検出器210の列に垂直な方向に対応する第2の曲率とを有することができる。
【0021】
[0024] フレキシブルPCB220は、上側締具250と下側締具260との間に挟持され、両締具が、ボルト270によって一体に固定されている。図3に示されるように、上側締具250は湾曲凸面255を有し、下側締具260は湾曲凹面265を有する。これら湾曲面は、互いに対応し、焦点面の湾曲形状に対応する。フレキシブルPCB220は、それを上側締具250と下側締具260との間に配置し、両締具をボルト270によって一体に固定することによって、焦点面の湾曲形状に成形される。光学システムの湾曲焦点面にその形状が対応する湾曲面間に挟持されることによって、フレキシブルPCB220は、その上に搭載された光検出器210を、レンズまたは他の光学システムの湾曲焦点面に対応する空間的湾曲形状上に位置させるように配置する。
【0022】
[0025] 図2に示されるように、1対の位置合わせ孔280が、上側締具250、フレキシブルPCB220を貫通して下側締具260内まで延在することができる。位置合わせ孔280は、対応するダウエルピンを受け入れて、締具250、260に対するフレキシブルPCB220の位置合わせを機械的に確保することができる。ダウエルピンと孔とのシステムは、例示的装置200の組立を補助する働きをすることもできる。
【0023】
[0026] 図2および3に示されるように、例示的装置200は、それぞれ単体の機械加工構成要素である上側締具250と下側締具260とを備える。これは、実施形態で使用される締具の形を限定することを意図するものではない。すなわち、上側締具の構成要素と下側締具の構成要素とをフレキシブル基板の周りに一体に固定してフレキシブル基板を焦点面の湾曲形状に成形することができる限り、上側締具および/または下側締具を、それぞれ、1つまたは複数の構成要素から製作してもよい。
【0024】
[0027] 例示的アセンブリ200の締具250、260は、ボルト270を用いて一体に固定されているところが示されているが、これは、非限定的例としてのものである。締具は、クリップ、接着剤、溶接、外部クランプ、1つまたは複数の磁石、液圧もしくは空気圧の外部適用、または当業者に周知の、構成要素を取り付ける別の方法のいずれをも含めて、他の手段によって取り付けることができる。
【0025】
[0028] さらに、位置合わせ孔280および対応するダウエルピンの使用は、締具250、260に対して基板220を位置決めする非限定的な例示的方式としてのものである。孔の位置および数は、例示的装置200とは異なってもよい。孔は、1つまたは両方の締具を完全に貫通してもよく、または部分的な貫通であってもよい。ダウエルは、締具とは別であってもよく、あるいは1つまたは複数の締具の構造の一部分であってもよい。ダウエルは、アセンブリの一部分として残ってもよいし、製造中に使用されるだけでその後取り除かれてもよい。位置合わせ孔またはダウエルピンに頼らない、基板を締具と位置合わせする代替方法を使用することもできる。
【0026】
[0029] 一例では、例示的アセンブリ200のフレキシブルPCB220上に配置される光検出器要素210は、アバランシェフォトダイオードである。他の例では、光検出器要素には、フォトトランジスタ、アバランシェフォトトランジスタ、フォトダイオード、光電池、フォトレジスタ、焦電検出器、CMOSアクティブ画像センサ、CCD素子、または当業者に周知の他のあらゆる光検出器要素を含めることができる。さらに、複数の光検出器要素は、1つタイプのセンサのみを備える必要はなく、様々なタイプの混合体を備えることができる。さらに、光検出器は、電磁スペクトルの可視、紫外、および/または赤外部分の光の波長を検出するように構成することができる。一部の例では、光検出器に達する波長を制限するために、光検出器上にフィルタを配置することができる。
【0027】
[0030] さらに、光検出器210の検出システムへの電気接続は、フレキシブルPCB220上のそれぞれの伝導トレース230およびコネクタ240とは別の方式で果たすことができる。たとえば、光検出器は、フレキシブル基板または締具から独立させることができ、または何らかの方式で機械的または電気的にそれらに接合することができる個々のワイヤ配線やケーブル配線によって、検出システムに接続することができる。接続は、フレキシブル基板から独立していてもよく、またはフレキシブル基板上にパターン形成されてもよいRFマイクロストリップラインによって果たすこともできる。光検出器は、列挙されていないが当業者には周知の他の方法によって接続することもできる。フレキシブル基板上への光検出器の搭載は、例示のように、それぞれのトレースに接合することによって達成することができ、または、接着剤もしくは当業者に周知の他の方法を使用することによって達成することができる。
【0028】
[0031] 例示的アセンブリ200の光検出器210は、互いにずれた平行な列中の規則的な間隔で、フレキシブル基板220上に配置されているが、特許請求の範囲の実施形態は、光学システムの光学場の所望のサンプリングに応じるいかなるパターンにでも、光検出器をフレキシブル基板上に配置することができる。その配置は、1つの列のみで構成してもよく、あるいは複数の列で構成してもよく、列内の光検出器の配置は、規則的でもよく、任意の間隔を有してもよい。光検出器は、正方形、6角形、または他の規則的な碁盤目状のパターンに配置してもよく、または不規則なパターンに配置してもよい。
【0029】
[0032] 図2および3に示された例示的アセンブリ200のフレキシブル基板は、フレキシブルPCB220である。ただし、他のフレキシブル基板を使用することもできる。基板は、金属でもよく、光検出器を電気ノイズから遮蔽する接地板として作用するように構成することができる。フレキシブル基板は、また、光学システムによって設定される湾曲光学面と共形に撓めることができ、光検出器を指定位置に付着することができる他の材料から製作することもできる。
【0030】
[0033] 図3に示された締具250、260間のフレキシブルPCB220の撓曲は、特許請求の範囲に記載の装置の1つの可能な実施形態を例示するものである。撓曲は、光学システムの湾曲焦点面に実質的に対応するいかなる湾曲にも従うことができる。さらに、撓曲は、1方向のみである必要はなく、フレキシブル基板の撓む能力に応じて2方向でもよい。撓曲は、基板上の光検出器の列の方向に対して平行でもよく、基板上の光検出器の配置に対して任意の角度であってもよい。撓曲は、また、複数方向であってもよい。
【0031】
[0034] 光学システムの焦点面の湾曲形状と締具内のPCB220の湾曲形状との整合の精度もまた、たとえば、湾曲PCB220上の光検出器210において達成すべき焦点の精度に応じて変化し得る。たとえば、光検出器210がそれぞれ、光検出器210上への光の集束においてある程度の不正確さを許容することができるような、十分に大きい感光面積を有する場合がある。その結果、光学システムの焦点面に対する光検出器210の位置のある程度のずれは許容可能になり得る。
【0032】
[0035] 図4は、湾曲焦点面上のそれぞれの3次元位置に光検出器を配置する非限定的な例示的方法400を示す。方法400は、複数の光検出器を平坦な形のフレキシブル基板上に搭載するステップ(ブロック410)と、湾曲されたフレキシブル基板が光学システムによって設定される焦点面の湾曲形状に実質的に共形になるように、フレキシブル基板を湾曲させるステップ(ブロック420)と、複数の光検出器中の各光検出器が、焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、湾曲済みのフレキシブル基板を光学システムに対して配置するステップ(ブロック430)とを含む。
【0033】
[0036] 方法400の例示的実行形態では、平坦な形のフレキシブル基板上に複数の光検出器を搭載するステップ(ブロック410)が、ピックアンドプレイス機を用いてフレキシブルPCB上にアバランシェフォトダイオードを平行な列で配置するステップと、次いで、それらフォトダイオードをPCB上のそれぞれの伝導トレースにダイボンドするステップとを含む。光検出器の複数列への配置は、方法400の例示的実施形態として示されたものであり、限定するものではない。光検出器は、単一の列、あるいは繰返し式の正方形もしくは6角形パターンまたは別のパターンで配置してもよい。
【0034】
[0037] 方法400のさらに別の例として、フレキシブル基板を、湾曲されたフレキシブル基板が光学システムによって設定される焦点面の湾曲形状に実質的に共形になるように、湾曲させるステップ(ブロック420)が、フレキシブルPCBを2つの締具間に挟持するステップを含むことができる。締具の一方は、レンズによって形成される湾曲焦点面の形状に対応する凸面を有し、締具の他方は、湾曲焦点面の形状に対応する凹面を有する。フレキシブルPCBと締具とは、対応する位置合わせ孔を有する。ダウエルが、フレキシブルPCBおよび締具の位置合わせ孔を通して挿入されて、締具に対するフレキシブルPCBの位置を確保する。次いで、フレキシブルPCBが、締具間で押圧されることによって、湾曲焦点面の形状に成形される。次いで、締具が一体にボルト締めされる。これらを行うことによって、光検出器が、光学システムの焦点面の湾曲形状に対応する空間的湾曲形状に沿って位置するように、フレキシブルPCB上に搭載される。
【0035】
[0038] 複数の光検出器中の各光検出器が、焦点面上のそれぞれの3次元位置に来るように、湾曲済みのフレキシブル基板を光学システムに対して配置するステップ(ブロック430)の例は、フレキシブルPCBをそれらの間に保持する締具をハウジング内の或る位置に搭載し、光学アセンブリをハウジング内の別の位置に搭載するステップを含むことができる。これらの位置に搭載すると、フレキシブルPCBを、光学システムによって設定される湾曲焦点面に配置することができる。一部の例では、ハウジングはLIDARプラットフォームの一部であり得る。一部の例では、光学システムは、非球面とトロイダル面とを有するレンズなどのレンズを備えることができる。
【0036】
[0039] フレキシブルPCB上へのアバランシェフォトダイオードの前述の搭載は、方法400の非限定的な例示的実施形態としてのものである。たとえば、アバランシェフォトダイオードは、使用することができる光検出器のタイプの特定の例である。使用される光検出器要素には、フォトトランジスタ、アバランシェフォトトランジスタ、フォトダイオード、光電池、フォトレジスタ、焦電検出器、CMOSアクティブ画像センサ、CCD素子、または当業者に周知の他のあらゆる光検出器要素を含めることができる。さらに、フレキシブル基板に搭載する光検出器には、多数のタイプの光検出器を含めることができる。光検出器は、電磁スペクトルの可視、紫外、および/または赤外部分の光の波長を検出するように構成することができる。一部の例では、光検出器に達する波長を制限するために、光検出器上にフィルタを配置することができる。
【0037】
[0040] さらに、フレキシブル基板は、フレキシブルPCBでもよく、あるいは全体的もしくは部分的に導電性でも非導電性でもよいあらゆるフレキシブル材料から製作することができる。例示的実行形態で使用されたダイボンディングの代替として、フレキシブル基板に光検出器を搭載するステップは、接着剤の使用、または当業者に周知の他の搭載方法を含むことができる。さらに、検出システムへの光検出器の電気的接続には、フレキシブル基板から独立しまたはそれに組み込まれた個々のワイヤ、マイクロストリップライン、または当業者に周知の他の方法を含めることができる。
【0038】
[0041] 2つの湾曲締具間にフレキシブル基板を挟持するステップは、方法400の単に一つの可能な実施形態に過ぎない。たとえば、剛な機械的構成要素が、湾曲焦点面の湾曲形状に対応する湾曲面を有してもよい。接着剤を使用して、フレキシブル基板をその剛な構成要素に固定し、それによって、フレキシブル基板に搭載された光検出器の位置が、焦点面の湾曲形状に実質的に共形になるようにすることができる。別の非限定的例では、湾曲焦点面の湾曲形状にその湾曲が整合する湾曲スロットを有する機械加工構成部品を使用することができる。光検出器が搭載されたフレキシブル基板を湾曲スロットに挿入し、それによって湾曲焦点面に対応する湾曲面上に光検出器を位置させることができる。あるいは、フレキシブル基板を指定の形状に湾曲させその湾曲を維持する当業者に既知のあらゆる方法を、特許請求の範囲に記載の、光学システムの湾曲焦点面の形状への基板の湾曲を果たすために採用することができる。
【0039】
[0042] 同様に、光検出器の列に平行な方向に沿ってフレキシブル基板を湾曲させるための締具の使用は、湾曲焦点面の形状と共形になるように基板を湾曲させる非限定的例として示されたものである。基板は、光検出器の列に垂直な方向に湾曲させることができ、または両方向に湾曲させることができる。さらに、基板は、光検出器の位置が光学システムの焦点面の湾曲形状に対応するように、フレキシブル基板上の光検出器の配置に対していかなる1つまたは複数の方向にでも湾曲させることができる。
【0040】
[0043] フレキシブル基板を湾曲させるために締具が使用される場合、例示的実施形態で説明したように(すなわちボルトによって)締具同士を互いに取り付けることができ、または他の方法によってそれらを取り付けることができる。たとえば、締具は、クリップ、溶接、接着剤、1つまたは複数の磁石、液圧もしくは空気圧力、または当業者に周知の別の取付方法のいずれによっても取り付けることができる。
【0041】
[0044] 図4に示された例示的実施形態400中の工程の順序付けは、単に例示目的のためのものであり、特許請求の範囲に記載の方法の可能な実行形態を限定するものではないことに留意されたい。それら工程は、いかなる順序で実行してもよく、または同時に行うこともできる。
【0042】
[0045] 様々な例示的態様および例示的実施形態が本明細書に開示されてきたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかになるであろう。本明細書に開示された様々な例示的態様および例示的実施形態は、説明目的のためのものであり、限定するためのものではなく、真の範囲および意図は、添付特許請求の範囲によって示される。
図1
図2
図3
図4