(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571654
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】生体電位測定用平面磁気共鳴セーフケーブル
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20190826BHJP
A61B 5/0408 20060101ALI20190826BHJP
A61B 5/0478 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
A61B5/055 390
A61B5/04 300R
A61B5/055ZDM
【請求項の数】15
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-537453(P2016-537453)
(86)(22)【出願日】2014年11月27日
(65)【公表番号】特表2017-500103(P2017-500103A)
(43)【公表日】2017年1月5日
(86)【国際出願番号】IB2014066379
(87)【国際公開番号】WO2015087189
(87)【国際公開日】20150618
【審査請求日】2017年11月24日
(31)【優先権主張番号】61/914,414
(32)【優先日】2013年12月11日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】オニール,フランシス パトリック
(72)【発明者】
【氏名】レイ,エドゥアルド マリオ
(72)【発明者】
【氏名】フォラー,ドナルド アラン
【審査官】
後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】
特開平05−253199(JP,A)
【文献】
米国特許第05530353(US,A)
【文献】
米国特許第06032063(US,A)
【文献】
特表2005−503211(JP,A)
【文献】
国際公開第2006/093223(WO,A1)
【文献】
特表2002−542867(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/175457(WO,A1)
【文献】
国際公開第2006/031317(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04−5/05
A61B 5/055
G01R 33/20−33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一平面内に互いに平行に配置された4本以上の導電ワイヤと、
力がかかっていなければ平面状の構成に戻る、前記4本以上の導電ワイヤを一平面内に互いに平行に保持する非陽子放出性のサブストレートとを有し、
前記サブストレートは、前記導電ワイヤを平行かつ共通平面内に取り囲み保持する、巻きやひねりに抵抗するフラットフォームジャケットを含む、
磁気共鳴(MR)セーフケーブル。
【請求項2】
前記サブストレートは、前記導電ワイヤを一平面内に互いに平行に保持するように、長手方向に離間した複数のケーブルコムを含み、各コムはワイヤの一つを受け止め平行に一平面内にアンカーするように構成された複数のスロットを含む、
請求項1に記載のMRセーフケーブル。
【請求項3】
前記サブストレートは、前記導電ワイヤを少なくとも4mmだけ隔てて一共通平面内に固定する、
請求項1または2に記載のMRセーフケーブル。
【請求項4】
前記フラットフォームジャケットはクローズドセルフォームを含む、
請求項1ないし3いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項5】
前記フラットフォームジャケットは、各導電ワイヤと外表面との間に少なくとも2.5mmのフォームを含む、
請求項1ないし4いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項6】
各導電ワイヤは、非導電コアの周りに螺旋状に巻かれ、絶縁材料でカバーされた高抵抗ワイヤを含む、
請求項1ないし5いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項7】
各導電ワイヤは前記サブストレート内に配置された個別抵抗素子を含む、
請求項1ないし6いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項8】
前記サブストレートを取り囲む保護シールドをさらに含む、
請求項1ないし7いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項9】
前記4本以上の導電ワイヤを張力緩和し、ワイヤを所定の接続に向けて誘導する、前記サブストレートの各端に取り付けられたエンドキャップをさらに含む、
請求項1ないし8いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項10】
各ワイヤをECG電極と接続する前記ケーブルの一端に配置されたコネクタと、
前記ワイヤを患者モニターに接続する前記ケーブルの他端に配置されたコネクタとをさらに含む、
請求項1ないし9いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項11】
前記サブストレートはさらに、
集積回路、ノッチフィルタ、ローパスフィルタ、電源リード、センサ、及び光ファイバーのうちの少なくとも一つを収容する、
請求項1ないし10いずれか一項に記載のMRセーフケーブル。
【請求項12】
磁気共鳴(MR)セーフケーブルを使用する方法であって、
少なくとも4つの電極を被験者に取り付け、
被験者または被験者支持台により支持されて、前記被験者に沿って前記MRセーフケーブルを配置するステップであって、前記MRセーフケーブルは一平面内に平行に配置され、巻きやひねりに抵抗するフォームジャケットに収容された少なくとも4本の導電ワイヤを含むステップと、
前記少なくとも4本の導電ワイヤの第1端の対応するコネクタのうちの一つに取り付けられたコネクタを、前記電極に接続するステップと、
前記導電ワイヤの第2端に取り付けられたコネクタを、患者モニターに接続するステップと、
前記導電ワイヤを平行かつ一平面内に包み込む、力がかかっていなければ平面状の構成に戻る、前記MRセーフケーブルの非陽子放出性サブストレートを用いて、前記少なくとも4本の導電ワイヤを一平面内かつ平行に保持するステップとを含む、
方法。
【請求項13】
前記MRセーフケーブルが磁気共鳴スキャナーのイメージング領域に部分的に配置された前記磁気共鳴スキャナーで前記被験者をイメージングするステップをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
磁気共鳴(MR)セーフケーブルを生産する方法であって、
力がかかっていなければ平面状の構成に戻る、非陽子放出性のサブストレートで、少なくとも4本の導電ワイヤを平行かつ一平面内に伸ばすステップと、
伸ばされた前記少なくとも4本の導電ワイヤを、前記サブストレートに含まれる巻きやひねりに抵抗するフラットフォームジャケットでコーティングするステップとを含む、
方法。
【請求項15】
前記フラットフォームジャケットの各端に、前記導電ワイヤに張力緩和を提供するエンドキャップを適用するステップをさらに含む、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
下記の説明は概して磁気共鳴(MR)イメージングに関する。具体的にMRイメージング中に心電計(ECG)と共に応用でき、具体的にそれを参照して説明する。しかし、言うまでもなく、その他の使用例にも応用でき、必ずしも上記の応用例に限定されない。
【背景技術】
【0002】
MRイメージングは、イメージング手順中にECGモニタリングなどの生体電位測定を行うことが多い。患者はMR手順中にECGその他のモニターでバイタルサインをモニターされ、状態を確認される。ECGモニターは画像キャプチャのトリガーやゲートとしてMRイメージングで使われ得る。例えば、被験者の心臓が一定の位相で画像に現れるように、または画像中のモーションアーティファクトを補償するように、画像をトリガーできる。
【0003】
ECGモニタリングは、患者の身体の異なる点に取り付けられた電極を用いる。電極は、身体から、心臓の位相を示す弱い電気信号を検知する。電極は、検知された信号をECGモニターに送信するリードに取り付けられる。ECGモニターは信号を分析し、及び/又は信号を視覚的に表示する。各リードは、電極をECGモニターに接続し、取り付けられた電極からECGモニターに信号を送る導電ワイヤ又はトレースを含む。電極及びそれに対応するリードの数は可変であり、これは一人の患者の電極をECGモニターに接続するワイヤ数は可変であることを意味する。リードは、呼吸モニターなどの、患者の他の生体電位測定用のリードも含み得る。
【0004】
磁気共鳴スキャナーは、患者のイメージングのために強磁場を使い、この強磁場はECGトレース又はワイヤなどの導電ワイヤに電流を誘導し得る。スキャナーの磁場はECGワイヤに電流を誘導し、潜在的に間違った心拍測定値を与え、または波形検出スキームからのECG R波をわかりにくくし得る。ワイヤは摩擦電気効果に敏感であり、患者の動きに対して過敏である。ワイヤ間のクロストークは送信される信号に干渉し得る。ワイヤのループにより、一以上のワイヤが同じまたは別のリードワイヤのごく近くでループしていると、干渉が増大し得る。ディスクリートワイヤは、ECG信号の伝達において矛盾が発生し不正確になることがある。ワイヤ、ケーブル、及び/又は絶縁材料の選択が適切でなく、陽子を放射するものであると、画像にアーティファクトが生じることがある。
【0005】
患者の安全のため、ワイヤを含むケーブルの材料の選択及び構成には注意を要する。鉄を含む材料はスキャナーの強磁場中で自動的に動き、患者や医療従事者を傷つける可能性がある。磁場中の非MR ECGケーブルに誘導される電流により、ワイヤが加熱され、患者にやけどを負わせることもあり得る。
【0006】
MRケーブルに対する現在のアプローチでは、一般的に、網組またはツイストされ、MRスキャナーからのノイズを拾いにくくした高抵抗ワイヤが用いられている。網組またはツイストされたワイヤ束は次いで絶縁される。幾つかのアプローチでは、次いで磁場からの干渉をさらに最小化するシールドが追加される。しかし、これらのアプローチは、ツイストまたは網組されたワイヤ間のクロストークにまだ取り組んでおり、ワイヤのループにより生じる問題を解決していない。また、ワイヤのツイストまたは網組、及びシールドなどのコンポーネントの追加により、ケーブルのコストが増大する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、上記の問題等を解決する生体電位測定用の新しい改良された平面型磁気共鳴セーフケーブルを開示する。
【0008】
一態様では、磁気共鳴(MR)セーフケーブルは、一平面内に互いに平行に配置された4本以上の抵抗制御型導電ワイヤと、前記4本以上の抵抗制御型導電ワイヤを一平面内に互いに平行に保持する固く非陽子放出性サブストレートとを含む。
【0009】
他の一態様では、磁気共鳴(MR)セーフケーブルを使用する方法は、少なくとも4つの電極を被験者に取り付けるステップを含む。前記MRセーフケーブルは、被験者または被験者支持台により支持されて、被験者に沿って配置される。MRケーブルは一平面内に平行に配置された少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤを含む。少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤの第1端の対応するコネクタのうちの一つに取り付けられたコネクタが電極に接続される。抵抗制御型導電ワイヤの第2端に取り付けられたコネクタが患者モニターに接続される。一平面内の平行な4本以上の抵抗制御型導電ワイヤが、MRセーフケーブルの固い非陽子放出性のサブストレートで保持される。このサブストレートは抵抗制御型導電ワイヤを平行に一平面内に包み込む。
【0010】
他の一態様では、磁気共鳴(MR)セーフケーブルを生産する方法は、少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤを平行かつ一平面内に伸ばすステップと、伸ばされた前記少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤを固いフォームジャケットでコーティングするステップとを含む。
【0011】
一利点は、ケーブルが強磁場中で動作しても、生体電位測定のために信頼性がより高く繰り返し可能である。
【0012】
他の一利点は、静磁場及びグラジエント磁場から電極及び抵抗トレース中の干渉電流の誘導の変化を低減することにある。
【0013】
他の一利点は、ケーブル中の抵抗トレース間の動きを無くして、摩擦効果及びマイクロフォン効果を低減することにある。
【0014】
他の一利点は、各リードに電流が等しく誘導され、共通モードフィルタにより相殺できる可能性を大きくすることにある。
【0015】
他の一利点は、強磁場における患者の安全性にある。
【0016】
他の一利点は、安定し、分散した高抵抗トレースにある。
【0017】
他の一利点は、MRイメージングにおいてアーティファクトを生じないケーブルにある。
【0018】
さらに別の効果は、下記の詳細な説明を読んで理解すれば、本技術分野の当業者に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
本発明は、様々なコンポーネントとその構成、及び様々なステップとその構成の形を取る。図面は好ましい実施形態を例示することのみを目的とし、本発明を限定するものと解してはならない。
【
図1】
図1A乃至Cはそれぞれ、生体電位測定用平面型磁気共鳴セーフケーブルの一実施形態を示す上面図、断面図、及び側面図である。
【
図2】
図2A及び2Bは、生体電位測定用平面型磁気共鳴セーフケーブルの他の一実施形態を示す上面図及び横断面図である。
【
図3】抵抗制御型導電ワイヤの一実施形態を示す模式図である。
【
図4】保護シールド付き平面型磁気共鳴セーフケーブルの他の一実施形態を示す模式図である。
【
図5】抵抗制御型導電ワイヤ間に追加的コンポーネントを有する平面型磁気共鳴セーフケーブルの他の一実施形態を示す模式図である。
【
図6】抵抗制御型導電ワイヤに隣接して追加的コンポーネントを有する平面型磁気共鳴セーフケーブルの他の一実施形態を示す断面図である。
【
図7】MRスキャナーとECGモニターを有する平面型磁気共鳴セーフケーブルの他の一実施形態を示す模式図である。
【
図8】生体電位測定用の平面型磁気共鳴セーフケーブルの一実施形態を生産する方法を示すフローチャートである。
【
図9】生体電位測定用の平面型磁気共鳴セーフケーブルの一実施形態を使用する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1Aを参照して、生体電位測定用の平面型磁気共鳴(MR)セーフケーブル10の一実施形態を示す上面図である。
図1Bには、MRセーフケーブル10が断面図で示され、
図1Cには、MRセーフケーブル10が側面図で示されている。図示したケーブル10は、4本の抵抗制御型導電ワイヤ12が共通平面中に互いに平行に配置されている。他の実施形態では、ケーブルは、任意数(例えば、4乃至12本)のワイヤが共通平面中に互いに平行にあるように構成し得る。ワイヤは強磁場中でECG信号などの生理的信号を伝達する。強磁場は磁気共鳴イメージング(MRI)スキャナーの磁場であり得る。抵抗制御型導電ワイヤは、一実施形態では、隣接するワイヤ間に少なくとも4mmの距離16があるが、他の距離も想定される。
【0021】
ケーブル10は、共通平面中に互いに平行に4本以上の抵抗制御型導電ワイヤを有する固い平面状サブストレート14を含む。サブストレートは非陽子放出性材料によりできている。固い平面状サブストレートは、平行かつ共通平面内にある複数の導電ワイヤを取り囲み保持するフォームプラスチックジャケット(foam plastic jacket)を含む。導電ワイヤを平行かつ共通平面内に保持することにより、誘導電流が同じワイヤに等しく誘導され、それゆえ「コモンモード」により、より容易にフィルタ除去できる。フォームジャケットはワイヤが患者に接触しないように熱的及び電気的に絶縁する。一実施形態によるフォームは、各抵抗制御型導電ワイヤと外表面との間に少なくとも2.5mmのフォーム18を含む。フォームはオープンセルフォームまたはクローズドセルフォームを含み得る。クローズドセルフォームは清浄化が容易である。
【0022】
固い平面状サブストレートの両端に取り付けられたエンドキャップ20は、4本以上の抵抗制御型導電ワイヤを張力緩和し、ワイヤを所定の接続に誘導する。例えば、各ワイヤは、コネクタと、サブストレートまたはフォームジャケットの端との間で張力緩和22をサポートし得る。エンドキャップはケーブルを把持しコネクタにフィットさせる剛体面を提供し得る。エンドキャップによりケーブルの全体的なすり減りが減少する。ケーブルの一端に配置されたコネクタ24は、各ワイヤをECG電極のコンタクトに接続(例えば、クリップ)する。他端に配置されたコネクタ26は、ワイヤを患者モニターに接続(例えば、プラグ)する。コネクタはカラーコード、マーク、形状などによりキーイングされ得る。これにより、医療従事者は各コネクタに対して対応する所定の接続を容易に特定できる。コネクタは、個別リード27及び電極コネクタとともに示したような個別コネクタであってもよいし、患者モニターコネクタとともに示したようなユニタリーコネクタであってもよい。ユニタリーコネクタは、張力緩和、組織化、及び順序付けられた接続を追加的に提供するウェビング(webbing)を含み得る。リード27は、長さが異なるリードを有する図示したようなジグザグ構成とすることができ、または長さが同じリードを有する直線状構成とすることができる。
【0023】
ケーブルは、格納を容易にするため、フォームジャケットまたはサブストレート中のネック28を含み得る。例えば、ケーブルは大きいコイルに巻かれ、格納のために一時的ファスナーで縛ることもできる。ファスナーを取ると、ケーブルは伸びて平面位置に戻る。
【0024】
図2A乃至2Bを参照して、生体電位測定用平面状磁気共鳴セーフケーブル10の他の一実施形態を示す模式図である。
図2Aにおいて、ケーブル10が上面図に示され、
図2Bにおいて、ケーブル10が断面図に示されている。図示したように、固い平面状サブストレート14は、共通平面内に互いに平行に5本の抵抗制御型導電ワイヤ12を保持する。サブストレート14はMR不活性材料または陽子を放出しない材料を含む。固いサブストレート14は、抵抗制御型導電ワイヤ12を共通平面内に、一定の離間かつ互いに平行に保持するように離間された複数のケーブルコム(cable combs)30を含む。各コム30はスロット32を含み、各スロットは隣接するワイヤに平行なワイヤの一つを、及び共通平面内のワイヤを集合的に保持する。
【0025】
各抵抗制御型導電ワイヤは、個別抵抗、RFチョークなどの電気ショック防止コンポーネント34を含み得る。例えば、所定の又は可変の抵抗は、各ワイヤの抵抗を制御するため、そのワイヤに接合される。ワイヤ12は、ノッチフィルタ、ローパスフィルタ、集積回路、センサなど、一以上の追加的コンポーネントを個別に又は集合的に含み得る。フィルタはECG信号の周波数以外の周波数の電流をブロックできる。
【0026】
図2Aと
図2Bの実施形態は、例えば製造時にケーブルコム(cable combs)を用い、
図2Aと
図2Bのサブストレートをフォームジャケットに集積して、
図1A乃至1Cの実施形態に集積し得る。
【0027】
図3を参照して、抵抗制御型導電ワイヤ12の一実施形態を模式的に示す。抵抗制御型導電ワイヤは、細い高抵抗ワイヤ40が非導電コア42の周りに螺旋状に巻かれているものを含む。細い高抵抗ワイヤ40はニッケル銅合金を含み得る。抵抗制御型導電ワイヤ12は絶縁材料カバー44を含み得る。非導電コア42と絶縁材料カバー44はMR不活性材料からできている。
【0028】
図4を参照して、平面型磁気共鳴セーフケーブル10の他の一実施形態を断面図に模式的に示す。ケーブルは、非鉄箔または銅メッシュなどの保護シールド46が抵抗制御型導電ワイヤを囲んでいるものを含み得る。保護シールドはさらに電気的干渉からワイヤ12を保護する。保護シールドは、図示したように外部カバーとして配置され、または点線で示したようにフォームジャケットに集積される。
【0029】
図5を参照して、平面型磁気共鳴セーフケーブル10の他の一実施形態を断面図に模式的に示す。これは、光ファイバー、アンテナリード、センサリード、集積回路、電源リードなどの追加的な光学的または導電コンポーネント50を有する。導電コンポーネントは、抵抗制御型導電ワイヤ間に、及び/又は
図6に示したようにワイヤ12に隣接して配置され得る。
【0030】
図7を参照して、MRスキャナー62の磁場60中にある平面型磁気共鳴セーフケーブル10の他の一実施形態を模式的に示す。MRスキャナー62は断面図で示している。図示したケーブル10は、被験者の電極64に、及びECGモニター、呼吸モニターなどの患者モニター66に、リード27により接続されている。MRスキャナーは磁石コイル68から水平または垂直の静磁場B0を発生する。MRスキャナーはグラジエントコイル70からグラジエント磁場すなわちB1磁場を発生する。MRスキャナーは、ローカル及び/又はホールボディRFコイル72で被験者の組織中に共鳴を誘導する。ケーブル10は、さまざまなコイルにより発生する磁場及びRF場がある中で、被験者に取り付けられた電極から、検知された生理的信号を受け取り、その生理的信号を患者モニターに送る。
【0031】
ケーブル10は、抵抗制御型導電ワイヤを平面内に平行に保持する。ケーブルサブストレートは巻きやひねりに抵抗する固いジャケットを形成する。サブストレートはほぼまっすぐな電路でケーブルに戻る。ケーブルは、力がかかっていなければ、平面状の構成に戻り、例えば平らな表面上に置けば、まっすぐかつ平坦になる。
【0032】
図8を参照して、生体電位測定用の平面型磁気共鳴セーフケーブル10の一実施形態を生産する方法を示すフローチャートである。ステップ80において、少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤ12が、平行かつ共通平面内に伸ばされる。ワイヤは2つのケーブルコム(cable combs)間などの2つのライン間で垂直に伸ばされる。このステップは、光ファイバー、アンテナ、パワーケーブルなどの共通平面中の追加的リードを伸ばすステップを含み得る。このステップは、個別抵抗素子、集積回路、センサなどを追加するステップを含み得る。
【0033】
ステップ82において、固いフォームジャケットは、引き延ばされた少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤをコーティングする。固いフォームジャケットは、ワイヤを平行かつ共通平面内に保持または固定する。一実施形態では、フォームジャケットは加圧成型される。ケーブルコムは固いフォームジャケットに集積し得る。
【0034】
ステップ84において、フォームジャケットの各端にエンドキャップを取り付けるステップは、張力緩和になる。エンドキャップは、別のステップとして、フォームジャケット(foam jacket)に集積または追加され得る。
【0035】
ステップ86において、少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤは、第1端において電極コネクタで終端され、第2端において患者モニターコネクタで終端される。このステップはコネクタまたはリードにキーを加えるステップを含む。
【0036】
図9を参照して、生体電位測定用の平面型磁気共鳴セーフケーブル10の一実施形態を使用する方法を示すフローチャートである。ステップ90において、少なくとも4本の電極が被験者に取り付けられる。
ステップ92において、MRセーフケーブルが、被験者に沿って配置される。MRセーフケーブルは、平行に平面内に配置された少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤを含む。このステップは、格納構成から動作構成にMRセーフケーブルをリリースするステップを含み得る。
【0037】
少なくとも4本の抵抗制御型導電ワイヤの第1端の対応するコネクタのうちの一つに取り付けられたコネクタがステップ94において電極に接続される。抵抗制御型導電ワイヤの第2端に取り付けられたコネクタは、ステップ96において患者モニターに接続される。
【0038】
ステップ98において、抵抗制御型ワイヤを平行かつ平面内に(parallel planar configuration)包み込む、MRセーフケーブルの固く、非陽子放出性またはMR不活性のサブストレートを用いて、4本以上の抵抗制御型導電ワイヤを平面内かつ平行な構成に保持する。ワイヤは、生体電位測定のため、ECG信号を電極から患者モニターに送る。固いサブストレートは、
図1A乃至1C、2A乃至2B、3乃至7を参照して説明したケーブルの実施形態、またはこれらの組み合わせを含み得る。
【0039】
ステップ100において、被験者は磁気共鳴スキャナーと、それに接続されたMRセーフケーブルとで画像化され得る。このステップは、ECG信号などの生理的信号を、分析され及び/又は表示される画像化と同時に、MRセーフケーブルで送信するステップを含む。イメージングは、例えば、トリガーされた又はゲーティングされたイメージングなどの送信信号の処理を含み得る。
【0040】
言うまでもなく、ここに説明する具体的実施形態に関して、ある構造的特徴及び/又は機能的特徴を、確定された要素及び/又はコンポーネントに組み込まれるものとして説明した。しかし、これらの特徴は、場合によっては、同じまたは同様の利益のために、他の要素及び/又はコンポーネントに組み込まれても良い。また、言うまでもなく、実施形態の異なる態様は、必要に応じて選択的に利用して、所望のアプリケーションに適した他の代替的な実施形態を実現し、それにより他の代替的な実施形態により、それに組み込まれた態様の利点を実現するようにしてもよい。
【0041】
例えば、リードワイヤ12は、巻き、ねじれ、またはその他の相互的な動きに抵抗するその他の関係で配置することもできる。一例では、リードワイヤは、第1と第2の隣接する平行な平面中に交互に配置される。
【0042】
また、言うまでもなく、ここに説明の具体的な要素またはコンポーネントは、その機能をハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせにより好適に実装することができる。また、言うまでもなく、共に組み込まれるとしてここに説明した要素は、好適な状況では、スタンドアロンの要素であってもよいし、そうでなければ分割されていてもよい。同様に、具体的な要素により実行されるものとして説明した複数の具体的な機能は、個別に動作して個別の機能を実行する複数の区別できる要素により実行されてもよいし、一定の個別機能が分割され、調和して動作する複数の区別できる要素により実行されてもよい。交互に、互いに区別できるとしてここに説明及び/又は図示した一部の要素またはコンポーネントは、場合によっては、物理的にまたは機能的に結合していてもよい。
【0043】
要するに、本明細書は好ましい実施形態を参照して記載されている。明らかに、本明細書を読んで理解すれば、修正と変更に想到することができる。本発明は、添付した請求項とその均等の範囲内に入るこのような修正及び変更はすべて含むものと解釈しなければならない。すなわち、言うまでもなく、上に開示した及びその他のさまざまな特徴と機能、またはそれらの代替物は、結合して、その他の多くの異なるシステムまたはアプリケーションにしてもよい。また、現時点では予想できない代替物、修正、バリエーションまたはそれらの改良が、後で当業者によって行われても良く、これらは次の特許請求の範囲に含まれる。