(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面を参照した下記の説明は、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内において定められる本発明の実施形態の包括的な理解を助けるために提供されるものであり、この理解を助けるために様々な特定の詳細な説明を含むが、単なる1つの実施形態にすぎない。従って、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、ここに説明する実施形態の様々な変更及び修正が可能であることは、当該技術分野における通常の知識を有する者には明らかである。また、明瞭性と簡潔性の観点から、当業者には既知の機能や構成に関する具体的な説明を省略する。
【0014】
以下の説明及び請求項に使用する用語及び単語は、辞典的意味に限定されるものではなく、本発明の理解を明確且つ一貫性があるようにするために使用される。したがって、本発明の実施形態の説明が単に実例を提供するためのものであって、特許請求の範囲とこれと均等なものに基づいて定義される発明をさらに限定する目的で提供されるものでないことは、本発明の技術分野における通常の知識を持つ者には明らかであろう。
【0015】
本願明細書に記載の各構成要素は、文脈中で特に明示しない限り、複数形を含むことは、当業者には理解できるであろう。したがって、例えば、「コンポーネント表面(a component surface)」との記載は、1つ又は複数の表面を含む。
【0016】
「実質的に(substantially)」という用語は、提示された特徴、パラメータ、又は値が正確に設定される必要はないが、許容誤差、測定誤り、測定精度限界及び当業者に知られている他の要素を含む偏差又は変化が、これら特性が提供しようとする効果を排除しない範囲内で発生しうることを意味する。
【0017】
本開示の実施形態の基本概念は、マルチメディアデータと関連した情報の有効範囲を示すために有効範囲情報をシグナリングすることにある。有効範囲情報は、時間、メディアデータ、又は送信パケットの観点で示される。以下では、「時間」及び「時間ドメイン」との用語は、同一の意味で交互に使用される。同様に、「メディアデータ」及び「メディア(データ)ドメイン」との用語は同一の意味で交互に使用され、「送信パケット」及び「パケットドメイン」との用語は、同一の意味で交互に使用される。
【0018】
以下では、上述した基本概念をムービングピクチャーエクスパーツグループ(Moving Picture Experts Group:MPEG)メディアトランスポート(MPEG Media Transport:以下、「MMT」と称する)システムに関連して説明するが、これは、説明の便宜のためにすぎず、本開示が必ずしもMMTシステムのみに適用されるものではない。
【0019】
具体的に、本開示の実施形態は、MMTシステムにおいて、MMTアセットの送信特性を指定するアセット配信特性(ADC)(又は、トランスポート特性情報)に関する有効範囲情報を送信するための方法を提供する。
【0020】
図1は、本開示の実施形態によるMMTアセット、メディアプロセッシングユニット(MPUs)、及びADCを含むMMTフローを示す図である。
【0021】
MMTシステムにおいて、符号化されたメディアデータ及びそれに関連したメタデータのセットは、パッケージ100と呼ばれるMMTフローとして定義される。
【0022】
パッケージ100は、1以上のMMTアセット110及び120を含む。MMTアセットは、ビデオ、オーディオ、テキスト、ファイルなどのようなマルチメディアプレゼンテーションを生成するために使用可能なマルチメディアデータを意味する。例えば、映画に関連して、タイトル“A”の映画コンテンツのためのパッケージは、Aのビデオアセット、Aのオーディオアセット、Aのテキストアセットを含み得る。
【0023】
MMTアセット110及び120のそれぞれは、少なくとも1つのMPUを含む。
図1において、第1のMMTアセット(MMTアセット1)110は、4個のMPU111、112、113、及び114を含み、第2のMMTアセット(MMTアセット2)120は、3個のMPU121、122、及び123を含む。MPUは、MMTストリームを独立して処理するユニットである。例えば、MMT送信エンティティは、データをMPUに分割しMPUを処理し、MMT受信エンティティは、データをMPUにて受信し、データを復元するためにMPUを処理する。
【0024】
パッケージ100は、MMTアセット毎に対応するMMTアセットの送信特性を提供するための各MMTアセットに対応するADC(又はトランスポート特性情報)を含む。すなわち、ADC115は、MMTアセット1 110の送信特性を示し、ADC125は、MMTアセット2 120の送信特性を示す。状況によっては、ADC情報は、アセットのためのものではなく、1つのMPUのためのものであってもよい。これについては、本開示の第1の実施形態で後ほど詳細に説明する。
【0025】
以下では、本開示の実施形態によるADC情報の構成について詳細に説明する。
【0026】
本開示の実施形態によると、ADC情報は、データの有効範囲を示す「有効範囲情報」を含む。したがって、ADC情報は、時間ドメイン有効期間情報を含むか(第1の実施形態及び第4の実施形態)、メディアドメインMPUシーケンス番号情報を含むか(第2の実施形態)、又はパケットドメインパケットシーケンス番号情報を含むことにより(第3の実施形態)、ADC情報の有効範囲を示す。
【0027】
第1の実施形態
本開示の第1の実施形態によると、ADC情報は、時間ドメインにおけるADC情報の有効期間に関する情報を含む。
【0028】
具体的に、対応するADC情報がどのくらいの期間(すなわち、時間)有効であるかを示すために、ADC情報は、「有効性開始時間(Validity_start_time)」情報及び「有効性持続期間(Validity_duration)」情報を含む。有効性開始時間(Validity_start_time)情報は、(アップデートされた)ADC情報が有効となる時間を示し、‘有効性持続期間(Validity_duration)’情報は、有効性開始時間から(アップデートされた)ADC情報が有効な期間を示す。
【0029】
時間ドメインにおいて、ADC情報がADC有効範囲情報を含む場合に、中間ノードであるメディアアウェアネットワークエレメント(Media Aware Network Element:MANE)又はMMT受信エンティティは、受信されるMMTフローからシグナリングメッセージのみを抽出し、シグナリングメッセージからADCのみを抽出することにより、他のすべてのMPU又は他のすべての情報を受信する必要なしに、ADC有効範囲情報を容易に検出することができるという長所がある。
【0030】
MANE又はMMT受信エンティティが有効性開始時間情報及び有効性持続期間情報を一旦受信すれば、MANE又はMMT受信エンティティは、有効性持続期間情報により示される期間中に、新たなADC情報を必ずしも受信する必要はない。有効性持続期間情報により示される期間が経過した後には、MANE又はMMT受信エンティティは、新たなMMTPパケットを受信し、新たなMMTPパケット内のアップデートされたADCを検索することにより、新たなADC情報を取得できる。したがって、時間ドメインにおいて、ADC有効範囲情報がADC情報に含まれる場合には、ADCの有効範囲を判定することが容易であるという長所がある。しかしながら、時間ドメイン有効範囲情報が提供される場合に、MMTフローが他のネットワークの中間ノードを通過する間に、パケット損失又はボトルネックのような外部の要因によりトラフィック特性が歪んでしまうと、ADC情報自体が正確でなくなることがある。中間ノード220は、ルータ又はMANEであってもよい。
【0031】
必要な場合には、有効性開始時間情報なしに有効性持続期間情報のみがADC情報に含まれていてもよい。この場合、MANE又はMMT受信エンティティは、ADC情報を有するMMTパケットヘッダに含まれるタイムスタンプ情報を用いてタイムスタンプにより示される時点以後、有効性持続期間情報により示される期間内に、対応するADC情報が有効であると設定する。
【0032】
言い換えれば、有効性開始時間情報なしに有効性持続期間情報のみがADC情報に含まれる場合には、ADC情報を有するMMTPパケットヘッダ内のタイムスタンプ情報は、有効性開始時間情報として機能する。
【0033】
有効性開始時間情報及び/又は有効性持続期間情報に加えて、ADC情報は、ADC_level_flag情報を含んでいてもよい。ADC_level_flag情報は、ADC情報がアセットのためのものであるか又はMPUのためのものであるかを示す1ビットフラグ情報である。ADC情報は、ADC情報のサイズを考慮して、アセットベース又はMPUベースで送信される。したがって、ADC情報が対応するアセットのための情報を含むか又はMPUのための情報を含むかは、ADC_level_flagにより示される。例えば、ADC_level_flagが「0」に設定される場合に、ADCシグナリングメッセージは、アセットのための情報を含む。一方、ADC_level_flagが「1」に設定される場合には、ADCシグナリングメッセージは、1つのMPUのための情報を含む。
【0034】
下記の表1は、本開示の第1の実施形態による時間ドメインでADC有効範囲情報を含むADC情報の一例を示す。
【0035】
【表1】
表1の各メッセージエレメントは、次のような意味を有する。
【0036】
Message_id:ADCメッセージの識別子を示す。
【0037】
Version:ADCメッセージのバージョンを示す。
【0038】
Length:バイト単位でADCメッセージの長さを示す32ビットフィールドであり、次のフィールドの開始点からADCメッセージの最後のバイトまでをカウントする。値「0」は、このフィールドに対して有効でない。
【0039】
Loss_tolerance:アセットの配信に対して要求される損失許容範囲を示す。loss_tolerance属性の値は、所定のテーブルでリストされる。
【0040】
Jitter_sensitivity:エンドツーエンド間のアセットの配信のための下部配信ネットワークの必要とされるジッターレベルを示す。Jitter_sensitivity属性の値は、所定のテーブルでリストされる。
【0041】
Class_of_service:サービスを異なるクラスに分類し、特定の方式でビットストリームのそれぞれのタイプを管理する。例えば、MANEは、特定の方式でビットストリームのそれぞれのタイプを管理できる。このフィールドは、ビットストリーム属性のタイプを示す。
【0042】
Bitdirection_indicator:「1」に設定される場合には、双方向配信が要求されることを示す。「0」に設定される場合には、双方向配信が要求されないことを示す。
【0043】
Bitstream_descriptorVBRType:class_of_serviceが「1」である場合に、「Bitstream_descriptorType」のために使用される。
【0044】
Bitstream_descriptorCBRType:class_of_serviceが「0」である場合に、「Bitstream_descriptorType」のために使用される。
【0045】
sustainable_rate:アセットの連続した配信に対して保証される最小ビットレートを定義する。sustainable_rateは、トークンバケツモデルでは消耗率に対応する。sustainable_rateは、秒当たりのバイトで表現される。
【0046】
buffer_size:アセットの配信のための最大バッファサイズを定義する。バッファは、sustainable_rateより高い過度な瞬間ビットレートを吸収し、バッファサイズは、オーバーフローを回避可能な程度に十分に大きくなければならない。バッファサイズは、トークンバケツモデルのバケツ深さに対応する。一定のビットレート(CBR)アセットのバッファサイズは、0である。バッファサイズは、バイトで表現される。
【0047】
peak_rate:アセットを連続して配信中のピークビットレートを定義する。ピークビットレートは、毎MFU_period間の最大ビットレートである。ピークレートは、毎秒当たりのバイトで表現される。
【0048】
MFU_period:アセットを連続して配信中のMFUの期間を定義する。MFU_periodは、2つの連続したMFUの1番目のバイト間の送信時間の時間間隔として測定される。MFU_periodは、ミリ秒の単位で表現される。
【0049】
max_MFU_size:MFU_period*peak_rateであるMFUの最大サイズを示す。max_MFU_sizeは、バイト単位で表現される。
【0050】
flow_label(7ビット):フローIDを示す。アプリケーションは、ネットワークリソースがセッションの間に一時的に留保されるフローQoS当たりの動作を実行する。1つのフローは、ネットワークリソースがパッケージ内のADC又はトランスポート特性に従って留保されるビットストリーム又はビットストリームのグループとして定義される。このフィールドは、「0」から「127」までの暗示的なシーケンス番号である。任意の番号は、セッションの間に一時的に割り当てられ、復号器(プロセッサ)が割り当てられネットワークリソースを留保できるすべての個別のフローを示す。
【0051】
packet_id(16ビット):このフィールドは、1つのアセットを他のものと識別するために使用できる整数である。このフィールドの値は、パッケージが属しているアセットのasset_idから得られる。packet_idとasset_idとのマッピング関係は、シグナリングメッセージの一部としてMMTパッケージテーブルによりシグナリングされる。個別の値は、シグナリングメッセージ及びフォワードエラー訂正(FEC)リペアフローに割り当てられる。packet_idは、配信セッションのライフタイムを通して、同一のMMT送信エンティティにより配信されるすべてのMMTフローに対して固有の値を有する。AL−FECのために、packet_idとFECリペアフローとの間のマッピング関係は、AL−FECメッセージで提供される。
【0052】
ADC_level_flag(1ビット):含まれたADC情報がアセットのためのものであるか又はMPUのためのものであるかを示す。「0」に設定される場合に、ADCシグナリングメッセージは、アセットのための情報を含む。「1」に設定される場合に、ADCシグナリングメッセージは、1つのMPUのためのADC情報を含む。
【0053】
Validity_start_time(32ビット):アップデートされたADCメッセージが有効となり始める時間を示す。
【0054】
Validity_duration(32ビット):含まれたADC情報の有効性持続期間をミリ秒の単位で示す。
【0055】
例えば、「Validity_start_time(32ビット)」は、ADC情報が有効となり始める時間を示し、「Validity_duration(32ビット)」は、含まれたADC情報の有効期間をミリ秒の単位で示す。
【0056】
第2の実施形態
本開示の第2の実施形態によると、ADCに対する有効なMPUシーケンス番号情報は、ADC情報内にADC有効範囲情報として含まれる。例えば、「有効なMPUシーケンス情報」は、ADC情報に含まれる。
【0057】
具体的に、有効なMPUシーケンス情報は、「有効MPUシーケンス開始番号(Valid_MPU_Sequence_Start_Number)」及び/又は「有効MPUシーケンス終了番号(Valid_MPU_Sequence_End_Number)」を含む。
【0058】
「Valid_MPU_Sequence_Start_Number」は、対応するADC情報が有効となり始めるMPUシーケンス番号を示し、「Valid_MPU_Sequence_End_Number」は、対応するADC情報の有効性が終了するMPUシーケンス番号を示す。例えば、ADC情報が適用されるMPUシーケンス番号の開始及び終了を示す情報は、ADC情報に含まれることにより対応するADCの有効範囲を示す。
【0059】
このような情報を受信したMANE又はMMT受信エンティティは、受信されるMMTパケットのペイロードヘッダに含まれたMPUシーケンス番号から対応するMPUのADCを確認できる。あるいは、受信されたMMTパケットからMPUを復元し、対応するMPUのADCをMPUのMPUボックスに含まれたMPUシーケンス番号から確認できる。
【0060】
ADC有効範囲情報がメディアドメインに含まれていれば、対応するADC情報がどのMPUのためのものであるかは明確に示される。したがって、ADC情報により説明されたトラフィック特性がネットワークでのボトルネックのような要因により実際のトラフィック特性とは異なるとしても、その差は大きくならないという長所がある。
【0061】
他方、メディアサービスプロバイダが大きなMPUサイズを設定し、したがって、少ない数のMPUが1つのアセット内に含まれる場合には、精密なADC情報を提供することが難しいことがある。
【0062】
しかしながら、場合によっては、「Valid_MPU_Sequence_Start_Number」情報なしに「Valid_MPU_Sequence_End_Number」のみがADC情報に含まれていてもよい。この場合、MANEがADC情報を受信した後に、「Valid_MPU_Sequence_End_Number」により示される時間まで対応するADC情報が有効であることを判定することができる。対応する情報は、ADC情報及びMPUの送信順序が変更されない場合のみに意味がある。
【0063】
下記の表2は、本開示の第2の実施形態に従って、メディアドメインADC有効範囲情報を含むADC情報の一例を示す。
【0064】
【表2】
「有効MPUシーケンス開始番号(Valid_MPU_Sequence_Start_Number)(32ビット)」は、ADC情報が有効となり始めるMPUシーケンス番号を示し、「有効MPUシーケンス終了番号(Valid_MPU_Sequence_End_Number)(32ビット)」は、ADC情報の有効性が終了するMPUシーケンス番号を示す。
【0065】
第3の実施形態
本開示の第3の実施形態によると、MMTパケットドメインにおけるADCに対して有効なMMTパケットシーケンス番号に関する情報が、ADC有効範囲情報としてADC情報内に含まれる。例えば、「有効パケットシーケンス情報(valid packet sequence information)」がADC情報に含まれる。具体的に、有効パケットシーケンス情報は、「有効パケットシーケンス開始番号(Valid_packet_Sequence_Start_Number)」及び/又は「有効パケットシーケンス終了番号(Valid_packet_Sequence_End_Number)」を含む。
【0066】
「Valid_packet_Sequence_Start_Number」は、対応するADC情報が有効となり始めるパケットのシーケンス番号を示し、「Valid_packet_Sequence_End_Number」は、対応するADC情報の有効性が終了するパケットのシーケンス番号を示す。例えば、ADC情報が適用されるパケット番号の開始及び終了を示す情報は、ADC情報に含まれることにより対応するADCの有効範囲を示す。
【0067】
中間ノード(例えば、MANE)又はMMT受信エンティティは、MMTパケットのパケットヘッダに含まれているパケットシーケンス番号(Packet_Sequence_Number)を用いて受信されたMMTパケットのADCを確認することができる。
【0068】
このように、パケットドメインADC有効範囲情報がADC情報に含まれる場合に、対応するADC情報により記述されたパケットは、パケットレベルでパケットヘッダ情報を読み出すことにより確認される。したがって、ADCの有効範囲は、特定の複雑な過程なしに確認される。
【0069】
必要な場合には、「Valid_packet_Sequence_Start_Number」情報なしに「Valid_packet_Sequence_End_Number」情報のみがADC情報に含まれる。この場合に、ADCが含まれたパケットのシーケンス番号が検出された後に、対応するパケットから「Valid_packet_Sequence_End_Number」情報の個数だけのパケットまで対応するADC情報が有効なものと確認できる。しかしながら、これは、ADC情報及びパケットの送信順序が変更されない場合のみに可能である。
【0070】
下記の表3は、本開示の第3の実施形態に従ってパケットドメインでADC有効範囲情報を含むADC情報の一例を示す。
【0071】
【表3】
「Valid_packet_Sequence_Start_Number(32ビット)」は、対応するADC情報が有効となり始めるパケットシーケンス番号を示し、「Valid_packet_Sequence_End_Number(32ビット)」は、対応するADC情報の有効性が終了するパケットシーケンス番号を示す。
【0072】
第4の実施形態
本開示の第4の実施形態は、 時間ドメインADC有効期間を示すADC有効範囲情報を含むADC情報の他の例である。
【0073】
具体的に、対応するADC情報がどのくらいの期間有効であるかを示すために、パラメータ「Validity_start_time」、「Validity_duration_in_time」、及び「Next_Update_in_time」をADC情報に含めることができる。「Validity_start_time」は、ADC情報が有効となり始める時点を示し、「ADC_Validity_duration」は、ADCの有効な持続期間を示す。
【0074】
「Validity_start_time」及び「Validity_duration_in_time」は、メディアビデオ内の時点である「メディアレベル時間」として示すこともでき、又はウォールクロックタイム(協定世界時(UTC))として示すこともできる。
【0075】
「メディアレベル時間」は、対応するメディア内での時間を意味する。例えば、1時間のビデオメディアで「Validity_start_time」が10分であり、「ADC_Validity_duration」が2分である場合には、現在のADCの有効な期間は、1時間のビデオメディアで10分から12分までの期間となる。他方、UTCは、実生活で使用される標準時間を意味する。例えば、「Validity_start_time」は、12時10分0秒に設定でき、「ADC_Validity_duration」は、2分に設定できる。
【0076】
「Validity_start_time」及び「ADC_Validity_duration」の値がメディアレベル時間である場合に、ADC情報は、パラメータ「Next_Update_in_time」を含んでいてもよい。「Next_Update_in_time」は、現在のADC情報の後にアップデートされるADC情報が送信されるか又は受信されなければならない場合のウォールクロックタイムを示す。「Next_Update_in_time」は、絶対的な時間値として示すこともでき、又は現在のADCの送信時間又は「Validity_Start_Time」からの時間遅延を示すオフセット値として示すこともできる。
【0077】
下記の表4は、本開示の第4の実施形態に従って時間ドメインADC有効範囲情報を含むADC情報のもう1つの例を示す。
【0078】
【表4】
表4を参照すると、現在のADC情報の有効期間を示すために、ADC情報は、「Validity_Start_Time」及び「ADC_Validity_duration」を含む。また、ADC情報は、次のADC情報が受信されるべき時間を示すために「Next_Update_in_time」を含む。
【0079】
「Validity_Start_Time」及び「ADC_Validity_duration」を時間で区切る(time-segmenting)ことにより、複数の有効期間情報をADC情報に含めてもよい。
【0080】
表4において、「Number_of_timesegments」は、現在のADC情報に含まれている「Validity_Start_Time」及び「Validity_duration_in_time」により定義される時間区間の個数を示す。このとき、異なるADC値が、それぞれの時間区間毎に適用される。表4の例において、「bitstream_descriptor」の値は、各時間区間に対して変わってもよい。
【0081】
また、「Validity_Start_Time」及び「ADC_Validity_duration」により定義される時間区間のそれぞれにマッピングされたパラメータは、1つのADC情報内にリストとして含まれ得る。表4の例では、パラメータ「flow_label」、「sustainable_rate」、「buffer_size」、「peak_rate」、「max_MFU_size」、及び「mfu_period」は、1つの時間区間にマッピングされる。
【0082】
表4における「Next_Update_in_time」について、現在のADC情報の後にアップデートされる次のADC情報は、現在のADC情報の送信時間の後に「Next_Update_in_time」に対応する時間で送信される。したがって、受信器(例えば、MANE)は、「Next_Update_in_time」を受信し、「Next_Update_in_time」の値により示される時間で次のADC情報を受信する。
【0083】
第5の実施形態
本開示の第5の実施形態によると、ADC有効範囲情報が複数のメディアドメイン対して選択的に構成される場合、フラグをADC情報に含めて、ADC有効範囲情報がどのディアドメインに対するものかを示す。
【0084】
具体的に、ADCの有効範囲についての情報が複数のメディアドメインのうちのどのメディアドメインに対するものかを示すために、「Validity_domain_mode」とのパラメータが、ADC情報に含まれていてもよい。
【0085】
下記の表5は、本開示の第5の実施形態に従って、「Validity_domain_mode」とのパラメータを含むADC情報の一例を示す。
【0086】
【表5】
第6の実施形態
本開示の第6の実施形態は、MMTシグナリングメッセージを受信する中間ノード、例えば、MANEが実行すべき動作に関するガイド情報がADC情報に含まれる実施形態である。
【0087】
本開示の第6の実施形態では、MMTシグナリングメッセージを受信するMANEにより実行されるべき動作を示すために、「Configuration_Type」フィールドがADC情報に含まれてもよい。「Configuration_Type」が0に設定される場合には、対応するMMTパケットを受信するMANEは、MMTパケットを次のノードに転送する。一方、「Configuration_Type」が1に設定される場合には、MANEは、対応するMMTパケットの最終の宛先がMANEではないとしても、自身の構成が変更されなければならないか、又は対応するMMTパケットに参考されるべき情報が少なくとも含まれると判定し、対応するMMTパケットをデカプセル化する。「Configuration_Type」フィールドは、MMTPパケットヘッダで定義される。例えば、「Configuration_Type」フィールドは、MMTPパケットヘッダの「Pravate_User_Data」で定義される。
【0088】
「Configuration_Type」フィールドがMMTPパケットヘッダに含まれる場合には、MANEは、対応するMMTPパケットに含まれる情報の重要性及びMMTPパケットのデカプセル化の必要性を判定できる。したがって、MANEは、MMTPパケットに含まれた「Configuration_Type」フィールドの値を使用すれば、すべてのMMTパケットをオープンし復元する必要がない。
【0089】
図2は、本開示の実施形態によるMMT送信エンティティ、中間ノード、及びMMT受信エンティティの動作及び構造を示す図である。
【0090】
図2を参照すると、MMT送信エンティティ210は、MMTパケットの生成及び送信を行う。中間ノード220は、MMTパケットをMMT受信エンティティ230に転送する。パケット転送のために、中間ノード220は、必要な場合に、ネットワークリソースを予約する。
【0091】
まず、MMT送信エンティティ210の構造及び動作について説明する。
【0092】
MMT送信エンティティ210は、ADC情報収集部211、ADC有効範囲情報生成部212、ADC信号生成部213、ネットワークリソース予約処理部214、及びMMTパケット送信部215を含む。
【0093】
ADC情報収集部211は、コンテンツプロバイダ又はサービスプロバイダからADC情報を収集し、収集されたADC情報をADC有効範囲情報生成部212及びADC信号生成部213に提供する。
【0094】
ADC有効範囲情報生成部212は、本開示の実施形態に従って、受信したADC情報を用いて、ADCの有効範囲を示すADC有効範囲情報を生成する。上述したように、ADC有効範囲情報は、時間ドメイン(第1の実施形態)、メディアドメイン(第2の実施形態)、又は、パケットドメイン(第3の実施形態)で識別子として生成される。
【0095】
ADC信号生成部213は、時間ドメインでのメディアアセットに関するトラフィック特性情報を含むADC情報をADC情報収集部211から受信し、当該ADC情報を送信するために適切に処理する。
【0096】
ネットワークリソース予約処理部214は、MMTで定義されない付加的なプロトコルとしてMMTトラフィックを送信するためのリソース予約プロトコル(RSVP)を処理する。MMTパケット送信部215は、ADC情報を含むMMTパケットを送信する。
【0097】
次いで、中間ノード220の構造及び動作について説明する。
【0098】
中間ノード220は、MMTパケット受信処理部221、ADC検出部222、有効範囲情報検出部223、有効範囲識別及びマッピング部224、及びネットワークリソース予約処理部225を含む。
【0099】
MMTパケット受信処理部221は、MMT送信エンティティ210からMMTパケットを受信し、MMTパケットを処理せず、受信したMMTパケットをMMT受信エンティティ230に転送するか、又は本開示の実施形態に従って、受信したMMTパケットをADC検出部222に送信する。
【0100】
ADC検出部222は、中間ノード220を通過するMMTパケットをモニタリングし、MMTパケットからADC情報を含むシグナリングメッセージを検出する。例えば、ADC検出部222は、MMTパケットヘッダの「Type」フィールド及びメッセージの「message_id」に基づいて、対応するメッセージがADC情報を含むか否かを判定できる。また、ADC検出部222は、ADC情報のアップデートが必要であるか否かを判定し、必要な場合には、アップデートされたADC情報を受信する。さらに、ADC検出部222は、必要な場合には、MMT送信エンティティ210からADC情報をリクエストする。
【0101】
有効範囲情報検出部223は、ADC検出部222により検出されたADC情報からADCの有効範囲を判定する。具体的に、有効範囲情報検出部223は、時間ドメイン(第1の実施形態)、メディアドメイン(第2の実施形態)、又はパケットドメイン(第3の実施形態)の識別子を用いてADCの有効範囲を検出する。
【0102】
有効範囲識別及びマッピング部224は、有効範囲情報検出部223により検出された有効範囲情報から特定のADCの有効範囲に対応する時間ドメイン、メディアドメイン、又はパケットドメインの指示子(例えば、時間、MPU、又はパケット)を識別し、対応するADC情報を識別された指示子にマッピングする。
【0103】
ネットワークリソース予約処理部225は、MMTで定義されない付加的なプロトコルとしてMMTトラフィックを送信するためのリソース予約プロトコル(RSVP)を処理する。ネットワークリソース割り当て部(図示せず)は、自身のネットワークリソースを特定のトラフィックに割り当てる。
【0104】
最後に、MMT受信エンティティ230の構造及び動作について説明する。
【0105】
MMT受信エンティティ230は、MMTパケット受信部231、ADC検出部232、動的リソース管理部233、バッファ管理部234、及びネットワークリソース予約処理部235を含む。
【0106】
MMTパケット受信部231は、MMTパケットを受信し、受信したMMTパケットを処理し、処理されたMMTパケットをADC検出部232に送信する。
【0107】
ADC検出部232は、受信されたMMTパケットをモニタリングし、MMTパケットからADC情報を含むシグナリングメッセージを検出する。例えば、ADC検出部232は、MMTパケットヘッダの「Type」フィールド及びメッセージの「message_id」に基づいて、対応するメッセージがADC情報を含むか否かを判定できる。
【0108】
動的リソース管理部233は、検出されたADC情報に基づくトラフィック特性を考慮して、ネットワークリソースリクエストを効率的にアップデートする。MMT受信エンティティ230の動的リソース管理部233は、RSVPがMMT送信エンティティ210にて実行される場合に、参照として使用できる(例えば、アップデートが実行されるか否か及びアップデートレベル)。また、動的リソース管理部233は、MMT受信エンティティ230により確保されるべきバッファ情報のためにADC情報を活用できる。バッファ管理部234は、バッファ情報に基づいてバッファを管理する。
【0109】
ネットワークリソース予約処理部235は、MMTで定義されない付加的なプロトコルとしてMMTトラフィックを送信するためのRSVPを処理する。
【0110】
クレーム及び発明の詳細な説明に従う本発明の様々な実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの組み合せの形態で実現できる。
【0111】
このような任意のソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に記憶されることができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、1つ以上のプログラム(ソフトウェアモジュール)を記憶し、1つ以上のプログラムは、指示を含み、電子装置で1つ以上のプロセッサにより実行される場合に、この指示は、電子装置が本開示の方法を実行するようにする。
【0112】
このような任意のソフトウェアは、例えば、削除が可能であるか又は再記録が可能であるかにかかわらず、読み出し専用メモリ(ROM)のような記憶装置のような揮発性又は不揮発性記憶装置、又は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリチップ、メモリ装置、又はメモリ集積回路(IC)、又は、例えば、コンパクトディスク(CD)、ディジタル多用途ディスク(DVD)、磁気ディスク、又は磁気テープなどの光学的又は磁気的に読み取り可能な非一時的な機械可読(例えば、コンピュータ可読)記憶媒体に記憶することができる。記憶装置及び記憶メディアは、本発明の様々な実施形態を具現する指示を含むプログラム又はプログラムを格納するのに適合した非一時的な機械可読記憶媒体の様々な実施形態である。したがって、本発明の様々な実施形態は、本開示のクレームのうちのいずれか1つでクレームされた装置又は方法を実現するためのコードを含むプログラム及びこのようなプログラムを記憶する非一時的な機械可読記憶媒体を提供する。
【0113】
以上、本発明を具体的な実施形態を参照して詳細に説明してきたが、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく様々な変更が可能であるということは、当業者には明らかであり、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載及びこれと均等なものの範囲内で定められるべきものである。