特許第6571680号(P6571680)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571680
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】マイクロニードルデバイスシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 37/00 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   A61M37/00 510
【請求項の数】1
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-562700(P2016-562700)
(86)(22)【出願日】2015年12月4日
(86)【国際出願番号】JP2015084193
(87)【国際公開番号】WO2016088886
(87)【国際公開日】20160609
【審査請求日】2017年12月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-247191(P2014-247191)
(32)【優先日】2014年12月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000160522
【氏名又は名称】久光製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】九門 孝志
【審査官】 田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/187392(WO,A1)
【文献】 特開2014−217520(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/058746(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0125743(US,A1)
【文献】 特表2007−535346(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/126101(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面が皮膚接触面であり、他方面が裏面であり、一部が皮膚穿刺領域であるシートの面に略沿って複数のマイクロニードルが形成され、前記シートが厚さ方向に屈曲されると前記皮膚穿刺領域における前記マイクロニードルが前記皮膚接触面から皮膚に穿刺可能に立ち上がる、シート状マイクロニードルと、
前記シート状マイクロニードルに設けられた粘着剤層と、
前記粘着剤層に剥離可能に取り付けられたライナーと、
を有するマイクロニードルデバイスと、
前記マイクロニードルデバイスを厚さ方向に屈曲させる屈曲部を有し、前記屈曲部に沿って移動可能に前記マイクロニードルデバイスが装着される補助具と、
を備え、前記ライナーは、前記マイクロニードルを立ち上げる機能を有し、前記粘着剤層は、前記シートにおいて、前記皮膚穿刺領域の前記裏面を除く部位に設けられている、マイクロニードルデバイスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルデバイスシステムに関する。本願は、2014年12月5日に、日本に出願された特願2014−247191号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
皮膚を介して薬物を投与する手段の1つとして、マイクロニードルが知られている。例えば、特許文献1には、シートの主面に略沿って該シートに形成された複数のマイクロニードルを備え、前記シートが曲げられることで前記マイクロニードルが前記主面から立ち上がり、立ち上がった該マイクロニードルが皮膚に刺さる、マイクロニードル・シートが開示されている。
【0003】
このようなシート状マイクロニードルを備えるマイクロニードルデバイスも知られている。例えば、特許文献1には、適用時に皮膚に接する基材の貼付面に、上記のシート状マイクロニードルが固着され、且つ剥離フィルムにより保護された、マイクロニードルデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/187392号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたマイクロニードルデバイスは、シート状マイクロニードルの片面全体が基材の貼付面に固着されたものである。このため、シート状マイクロニードルを厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードルの立ち上がりに改善の余地があった。
【0006】
そこで、本発明は、シート状マイクロニードルを備え、マイクロニードルの立ち上がりが改善されたマイクロニードルデバイスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下の通りである。
(1)片面が皮膚接触面であり、他方面が裏面であり、一部が皮膚穿刺領域であるシートの面に略沿って複数のマイクロニードルが形成され、前記シートが厚さ方向に屈曲されると前記皮膚穿刺領域における前記マイクロニードルが前記皮膚接触面から皮膚に穿刺可能に立ち上がる、シート状マイクロニードルと、前記シート状マイクロニードルに設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層に剥離可能に取り付けられたライナーと、を有するマイクロニードルデバイスと、前記マイクロニードルデバイスを厚さ方向に屈曲させる屈曲部を有し、前記屈曲部に沿って移動可能に前記マイクロニードルデバイスが装着される補助具と、を備えるマイクロニードルデバイスシステム。
(2)前記粘着剤層は、前記シートにおいて、前記皮膚穿刺領域の前記裏面を除く部位に設けられている、(1)に記載のマイクロニードルデバイスシステム。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、シート状マイクロニードルを備え、マイクロニードルの立ち上がりが改善されたマイクロニードルデバイスシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】シート状マイクロニードルの一実施形態を示す斜視図である。
図2A】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図2B図2Aのマイクロニードルデバイスの平面図である。
図2C図2Aのマイクロニードルデバイスの平面図である。
図3図2Aのマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図4】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図5図4のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図6】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図7図6のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図8】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図9図8のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図10】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図11図10のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図12】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図13図12のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図14】マイクロニードルが皮膚を穿刺している状態を示す断面図である。
図15】マイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す斜視図である。
図16A】皮膚上に固定されたマイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す断面図である。
図16B図16Aの領域rの拡大図である。
図17】皮膚上で屈曲されたシート状マイクロニードルが皮膚を穿刺する様子を示す断面図である。
図18】マイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す断面図である。
図19】一実施形態に係るマイクロニードルデバイスの構造を示す斜視図である。
図20】(a)及び(b)は、マイクロニードルデバイスの使用例を説明する図である。
図21】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図22図21のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図23】マイクロニードルデバイスの一実施形態を示す断面図である。
図24図23のマイクロニードルデバイスを皮膚に適用した状態を示す断面図である。
図25】マイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す斜視図である。
図26】部材Aの構造を示す斜視図である。
図27A】皮膚上に固定されたマイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す断面図である。
図27B図27Aの領域rの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、場合により図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
一実施形態において、本発明は、片面が皮膚接触面であり、他方面が裏面であり、一部が皮膚穿刺領域であるシートの面に略沿って複数のマイクロニードルが形成され、前記シートが厚さ方向に屈曲されると前記皮膚穿刺領域における前記マイクロニードルが前記皮膚接触面から皮膚に穿刺可能に立ち上がる、シート状マイクロニードルと、前記シート状マイクロニードルに設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層に剥離可能に取り付けられたライナーと、を有するマイクロニードルデバイスと、前記マイクロニードルデバイスを厚さ方向に屈曲させる屈曲部を有し、前記屈曲部に沿って移動可能に前記マイクロニードルデバイスが装着される補助具と、を備えるマイクロニードルデバイスシステムを提供する。
なお、本明細書において、皮膚穿刺領域とは、シート状マイクロニードル上の領域であって、実際に皮膚を穿刺するマイクロニードルが存在する領域を意味する。
【0012】
<シート状マイクロニードル>
まず、シート状マイクロニードルについて説明する。図1は、シート状マイクロニードルの一実施形態を示す斜視図である。シート状マイクロニードル100は、片面が皮膚接触面113であり、他方面が裏面115であるシート110を備える。シート110には、シート110の面に略沿って複数のマイクロニードル118が形成されている。
【0013】
これらのマイクロニードル118は、シート110の長手方向及び幅方向のそれぞれにおいて整列するように並んでおり、すべてのマイクロニードル118の先端はシートの一端(図1では手前方向)を向いている。
【0014】
シート状マイクロニードル110及びマイクロニードル118の材質は特に制限されず、例えば、ステンレス鋼、チタン、ニッケル−チタン合金、タンタル、コバルト−クロム合金、マグネシウム合金等の金属;ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、乳酸−グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)等の生分解性樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン等の合成樹脂;プルラン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸等の多糖類;ポリリジン、ポリグルタミン酸などのポリアミノ酸;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等の合成高分子等の水溶性高分子;セラミック等が挙げられる。これらの材質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。マイクロニードル118の材質は、生体適合性があることが好ましい。本明細書において、「生体適合性がある」とは、生体又は生体由来成分との接触において、生体又は生体由来成分の機能を損なうことなく、且つ、安全に用いられる性質をいう。具体的には、血液に対する抗血栓性、タンパク質に対する低吸着性、生体に対する非癒着性や非炎症性、細胞に対する非毒性、生体組織に対する非刺激性等が挙げられる。
【0015】
マイクロニードル118は、例えばエッチングにより形成することができる。シート110が金属である場合、薬液を用いてシート110を溶解させることによりマイクロニードル118を形成することができる。また、シート110が非金属である場合、例えばレーザー等でシート110を打ち抜くことによりマイクロニードル118を形成することができる。
【0016】
図1に示すマイクロニードル118は三角形状であるが、マイクロニードルの形状は皮膚に穿刺可能であれば特に制限されない。シート状マイクロニードル100の製造において、マイクロニードル118をシート110の皮膚接触面113から立ち上げておく必要がない。このため、シート状マイクロニードル100は、容易かつ安価に製造することができる。
【0017】
シート状マイクロニードル100の寸法は、特に制限されない。シート状マイクロニードル100の厚みは、例えば5〜1000μmであってもよく、例えば10〜300μmであってもよい。また、シート状マイクロニードル100の長手方向の長さは、例えば0.1〜50cmであってもよく、例えば1〜20cmであってもよい。シート状マイクロニードル100の幅は、例えば0.1〜60cmであってもよく、例えば1〜30cmであってもよい。シート状マイクロニードル100の長さ及び幅は、例えば薬物の投与量を考慮して調整してもよく、例えば生体の大きさを考慮して調整してもよい。
【0018】
マイクロニードル118に関するパラメータも特に制限されない。具体的には、マイクロニードル118の高さは10〜10000μmであってもよく、例えば100〜1000μmであってもよい。また、マイクロニードル118の密度は、例えば0.05〜10000本/cmであってもよく、例えば1〜5000本/cmであってもよい。
【0019】
シート状マイクロニードル100が、その厚さ方向に屈曲されると、皮膚穿刺領域120におけるマイクロニードル118が皮膚接触面113から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル118が皮膚に刺さる。
【0020】
<マイクロニードルデバイス>
続いて、マイクロニードルデバイスの実施形態について説明する。しかしながら、マイクロニードルデバイスは、以下の実施形態に限られるものではなく、種々の変更が可能である。
【0021】
[第1実施形態]
図2A〜Cは、マイクロニードルデバイスの第1実施形態を示す断面図である。図2Aでは、マイクロニードルデバイス600aが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。
【0022】
マイクロニードルデバイス600aは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の皮膚穿刺領域120を除く皮膚接触面113(皮膚接触面113における皮膚穿刺領域120以外の領域)に積層された粘着剤層610とを備える。粘着剤層610は、マイクロニードルデバイス600aを皮膚に適用したときに、マイクロニードルデバイス600aを皮膚に固定する機能を有するものである。また、粘着剤層610は、薬物を含有していてもよい。また、シート状マイクロニードル100の裏面115の皮膚穿刺領域120には、粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。
【0023】
本実施形態では、マイクロニードルデバイス600aの外面の皮膚接触面113上及び粘着剤層610上に、ライナー650が取り付けられている。本明細書において、マイクロニードルデバイスの外面とは、シート状マイクロニードルの厚さ方向の両側の面であり、シート状マイクロニードルの側面ではない部分を意味する。ライナー650は、マイクロニードルデバイス600aを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。
【0024】
図2B及びCに、マイクロニードルデバイス600aの平面図を示す。図2Bは、マイクロニードルデバイス600aからライナー650を剥離したものを、シート状マイクロニードル100の皮膚接触面113側から見た平面図である。図2Bに示すように、マイクロニードルデバイス600aでは、シート状マイクロニードル100の皮膚接触面113の皮膚穿刺領域120を除く領域(皮膚穿刺領域120と重ならない領域)に、粘着剤層610が積層されている。また、図2Cは、マイクロニードルデバイス600aを、シート状マイクロニードル100の裏面115側から見た平面図である。
【0025】
(粘着剤層)
粘着剤層を構成する粘着基材としては、特に制限されず、スチレン系ブロック共重合体、天然ゴム、ポリイソブチレン樹脂、ポリイソプレン樹脂、シリコーン樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
【0026】
粘着剤層は、粘着付与樹脂を含有していてもよい。粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体(例えば、ロジン、ロジンのグリセリンエステル、水添ロジン、水添ロジンのグリセリンエステル、ロジンのペンタエリストールエステル等)、脂環族飽和炭化水素樹脂(例えば、アルコンP100、荒川化学工業)、脂肪族炭化水素樹脂(例えば、クイントンB170、日本ゼオン)、テルペン樹脂(例えば、クリアロンP−125、ヤスハラケミカル)、マレイン酸レジン等が挙げられる。粘着付与樹脂は1種を単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0027】
粘着剤層は、可塑剤を含有していてもよい。可塑剤としては、石油系オイル(例えば、パラフィン系プロセスオイル、流動パラフィン、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(例えば、オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油、ラッカセイ油)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(例えば、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(例えば、液状ポリブテン、液状イソプレンゴム)、液状脂肪酸エステル類(例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル)、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、サリチル酸グリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クロタミトン等が挙げられる。なかでも、流動パラフィン、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル、セバシン酸ジエチル、ラウリン酸ヘキシルが好ましく、特に、液状ポリブテン、ミリスチン酸イソプロピル、流動パラフィンが好ましい。可塑剤は1種を単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0028】
粘着剤層は、吸収促進剤を含有していてもよい。吸収促進剤としては、皮膚での吸収促進作用が認められている化合物のいずれでもよく、例えば炭素数6〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸、炭素数2〜10の飽和又は不飽和の脂肪アルコール、炭素数6〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸のエステル類、炭素数6〜20の飽和又は不飽和の脂肪酸のアミド類、エーテル類、芳香族系有機酸、芳香族系アルコール、芳香族系有機酸エステル又はエーテル(以上は飽和、不飽和のいずれでもよく、また、環状、直鎖状分枝状のいずれでもよい)、さらに、乳酸エステル類、酢酸エステル類、モノテルペン系化合物、セスキテルペン系化合物、エイゾン(Azone)、エイゾン(Azone)誘導体、ピロチオデカン、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類(Span系)ポリソルベート系(Tween系)、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油系(HCO系)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ショ糖脂肪酸エステル類、植物油等が挙げられる。具体的には、カプリル酸、カプリン酸、カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリン酸メチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、サリチル酸、サリチル酸メチル、サリチル酸エチレングリコール、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、クレゾール、乳酸セチル、乳酸ラウリル、酢酸エチル、酢酸プロピル、ゲラニオール、チモール、オイゲノール、テルピネオール、l−メントール、ボルネオロール、d−リモネン、イソオイゲノール、イソボルネオール、ネロール、dl−カンフル、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノラウレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ショ糖モノラウレート、ポリソルベート20、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HCO−60、ピロチオデカン、オリーブ油などが挙げられ、特にオレイン酸、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリン酸ジエタノールアミド、グリセリンモノカプリレート、グリセリンモノカプレート、グリセリンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ピロチオデカン等が好ましい。吸収促進剤は1種を単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0029】
粘着剤層は、例えば以下のような方法で製造することができる。例えば、粘着剤層の材料を混合して熱融解させ、剥離ライナーに塗工後、シート状マイクロニードルの所定位置に転写すればよい。あるいは、粘着剤層の材料を混合し、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、低級アルコール、シクロヘキサン等の有機溶媒に溶解させ、剥離ライナー上に伸展後、有機溶媒を所定の温度で乾燥除去し、シート状マイクロニードルの所定位置に転写してもよい。
【0030】
粘着剤層の厚みには特に制限はなく、例えば20〜1000μmであってもよく、例えば50〜500μmであってもよい。
【0031】
(薬物)
本実施形態のマイクロニードルデバイスにおいて、シート状マイクロニードルは薬物送達用であってもよい。薬物は、粘着剤層に含有させてもよく、シート状マイクロニードルの材質自体に含有させてもよい。あるいは、シート状マイクロニードルの表面又は空隙等に、塗布・印刷、埋め込み、積層等によって薬物を担持させてもよく、シート状マイクロニードルの皮膚への適用前、又は適用後に、適用部位に直接薬物を塗布してもよい。あるいは、薬物の貯蔵槽(薬物含有部)を別途に設けてもよい。薬物の貯蔵層としては、例えば、後述する第6実施形態のマイクロニードルデバイス600fにおける粘着剤層630等が挙げられる。
【0032】
マイクロニードルデバイスを用いて適用可能な薬物としては、特に制限はなく、例えば、抗生物質、抗真菌剤、抗腫瘍剤、強心剤、不整脈治療剤、血管拡張剤、降圧剤、利尿剤、降圧利尿剤、循環器用剤、抗血小板薬、止血剤、抗高脂血症剤、解熱・鎮痛・消炎剤、抗リウマチ、弛緩剤、鎮咳去たん剤、抗潰瘍剤、鎮静剤、抗てんかん剤、抗うつ剤、抗アレルギー剤、糖尿病治療剤、抗結核剤、ホルモン剤、麻薬拮抗剤、骨吸収抑制剤、血管新生阻害剤,局所麻酔剤等が挙げられる。
【0033】
(ライナー)
ライナーの材質としては、特に制限されず、金属;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、テフロン(登録商標)、(メタ)アクリル酸エステル樹脂等の樹脂;エラストマー類等が挙げられる。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸は、メタクリル酸又はアクリル酸を意味する。
【0034】
ライナーの表面は、例えば、シリコーン系剥離処理剤、フッ素系剥離処理剤、長鎖アルキル系剥離処理剤、脂肪酸アミド系剥離処理剤、シリカ粉等の剥離処理剤により離型処理されていてもよい。
【0035】
(支持体)
後述するように、マイクロニードルデバイスは支持体を備えていてもよい。支持体の材質としては、特に制限されず、金属;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル;エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリウレタン(PU)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン;ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、テフロン(登録商標)、(メタ)アクリル酸エステル樹脂等の樹脂;エラストマー類等が挙げられる。
【0036】
本明細書において、ライナーは容易に剥離可能なフィルムであり、支持体は剥離することができない、又は剥離することが想定されていないフィルムである。フィルムが容易に剥離可能であるか否かは、例えば、フィルム表面が離形処理されているか否かによって決まる。
【0037】
図3は、マイクロニードルデバイス600aを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600a’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600a’では、マイクロニードルデバイス600aの皮膚Sへの適用時に、ライナー650が剥離されている。また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層610により、マイクロニードルデバイス600a’を皮膚S上に固定することができる。
【0038】
[第2実施形態]
図4は、マイクロニードルデバイスの第2実施形態を示す断面図である。図4では、マイクロニードルデバイス600bが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。
【0039】
マイクロニードルデバイス600bは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の皮膚穿刺領域120を除く皮膚接触面113(皮膚接触面113における皮膚穿刺領域120以外の領域)に積層された粘着剤層610とを備える。粘着剤層610は、マイクロニードルデバイス600bの平面視において、シート状マイクロニードル100よりも外側まで延びた領域612を有している。
【0040】
粘着剤層610は、マイクロニードルデバイス600bを皮膚に適用したときに、マイクロニードルデバイス600bを皮膚に固定する機能を有するものである。また、粘着剤層610は、薬物を含有していてもよい。また、シート状マイクロニードル100の裏面115の皮膚穿刺領域120には、粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。
【0041】
本実施形態では、マイクロニードルデバイス600bの外面の皮膚接触面113上及び粘着剤層610上に、ライナー650が取り付けられている。もう一方の外面である、シート状マイクロニードル100の裏面115上及び粘着剤層610の領域612上には、支持体660が配置されている。ライナー650及び支持体660は、マイクロニードルデバイス600bを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については、上述したものと同様である。
【0042】
本実施形態のマイクロニードルデバイスは、構造が単純であるため、容易に製造することができる。また、本実施形態のマイクロニードルデバイスは、支持体660を備えることにより、例えば、後述する第3実施形態のマイクロニードルデバイスシステムでシート状マイクロニードル100を屈曲させる際に、粘着剤層610が部材Aの円柱部100Aに接着して固着化すること、あるいは、粘着剤層610同士が接着して固着化することを防止することができる。なお、支持体660の上記の効果は、後述するマイクロニードルデバイスのうち、支持体660を備えるものについて共通である。
【0043】
図5は、マイクロニードルデバイス600bを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600b’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600b’では、マイクロニードルデバイス600bの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、裏面115側の支持体660は残されている。
残った支持体660は、マイクロニードルデバイス600b’を保護することができる。
また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層610により、マイクロニードルデバイス600b’を皮膚S上に固定することができる。
【0044】
[第3実施形態]
図6は、マイクロニードルデバイスの第3実施形態を示す断面図である。図6では、マイクロニードルデバイス600cが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。
【0045】
マイクロニードルデバイス600cは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の皮膚穿刺領域120を除く皮膚接触面113(皮膚接触面113における皮膚穿刺領域120以外の領域)に積層された粘着剤層610と、シート状マイクロニードル100の裏面115の一部(裏面115における皮膚穿刺領域120を除く領域)に積層された粘着剤層620とを備える。粘着剤層610は薬物を含有していてもよい。また、シート状マイクロニードル100の裏面115の皮膚穿刺領域120には、粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。
【0046】
本実施形態では、マイクロニードルデバイス600cの外面の皮膚接触面113上及び粘着剤層610上に、ライナー650が取り付けられている。もう一方の外面である、シート状マイクロニードル100の裏面115上及び粘着剤層620におけるシート状マイクロニードル100とは反対側の面623上に支持体660が配置されている。ライナー650及び支持体660は、マイクロニードルデバイス600cを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については、上述したものと同様である。
【0047】
図7は、マイクロニードルデバイス600cを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600c’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600c’では、マイクロニードルデバイス600cの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、裏面115側の支持体660は残されている。
残った支持体660は、マイクロニードルデバイス600c’を保護することができる。
また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層610により、マイクロニードルデバイス600c’を皮膚S上に固定することができる。
【0048】
[第4実施形態]
図8は、マイクロニードルデバイスの第4実施形態を示す断面図である。図8では、マイクロニードルデバイス600dが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。
【0049】
マイクロニードルデバイス600dは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の裏面115の一部(裏面115における皮膚穿刺領域120を除く領域)に積層された粘着剤層620とを備える。粘着剤層620は、マイクロニードルデバイス600dの平面視において、シート状マイクロニードル100よりも外側まで延びた領域622を有しており、この領域の粘着力によってマイクロニードルデバイスを皮膚に固定することができる。粘着剤層620は、薬物を含有していてもよい。
【0050】
本実施形態では、マイクロニードルデバイス600dの外面、すなわち、シート状マイクロニードル100の裏面115上、粘着剤層620におけるシート状マイクロニードル100とは反対側の面623上に支持体660が配置されており、皮膚接触面113上及び粘着剤層620の領域622上に、ライナー650が取り付けられている。
【0051】
ライナー650及び支持体660は、マイクロニードルデバイス600dを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。
すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については、上述したものと同様である。本実施形態のマイクロニードルデバイスは、構造が単純であるため、容易に製造することができる。
【0052】
マイクロニードルデバイス600dのシート状マイクロニードル100の裏面115において、皮膚穿刺領域120には粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。
【0053】
図9は、マイクロニードルデバイス600dを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600d’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600d’では、マイクロニードルデバイス600dの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、裏面115側の支持体660は残されている。
残った支持体660は、マイクロニードルデバイス600d’を保護することができる。
また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600d’を皮膚S上に固定することができる。
【0054】
[第5実施形態]
図10は、マイクロニードルデバイスの第5実施形態を示す断面図である。図10では、マイクロニードルデバイス600eが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。本実施形態のマイクロニードルデバイスは、上述した第2実施形態及び第4実施形態のマイクロニードルデバイスを組み合わせたものである。
【0055】
マイクロニードルデバイス600eは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の皮膚穿刺領域120を除く皮膚接触面113(皮膚接触面113における皮膚穿刺領域120を除く領域)に積層された粘着剤層610と、シート状マイクロニードル100の裏面115の一部(裏面115における皮膚穿刺領域120を除く領域)に積層された粘着剤層620とを備える。粘着剤層620は、シート状マイクロニードル100よりも外側まで延びた領域622を有している。粘着剤層610又は粘着剤層620は、薬物を含有していてもよい。
【0056】
本実施形態では、マイクロニードルデバイス600eの外面、すなわち、シート状マイクロニードル100の裏面115上、粘着剤層620におけるシート状マイクロニードル100とは反対側の面623上に支持体660が配置されており、皮膚接触面113上、粘着剤層610上及び粘着剤層620の領域622上に、ライナー650が取り付けられている。ライナー650及び支持体660は、マイクロニードルデバイス600eを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については、上述したものと同様である。
【0057】
マイクロニードルデバイス600eのシート状マイクロニードル100の裏面115において、皮膚穿刺領域120には粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。
【0058】
図11は、マイクロニードルデバイス600eを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600e’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600e’では、マイクロニードルデバイス600eの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、裏面115側の支持体660は残されている。残った支持体660は、マイクロニードルデバイス600e’を保護することができる。また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層610及び粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600e’を皮膚S上に固定することができる。
【0059】
マイクロニードルデバイス600e’では、粘着剤層610だけでなく、粘着剤層620の領域622によってもマイクロニードルデバイス600e’を皮膚S上に固定することができるため、より強固にマイクロニードルデバイス600e’を固定することができる。
【0060】
[第6実施形態]
図12は、マイクロニードルデバイスの第6実施形態を示す断面図である。図12では、マイクロニードルデバイス600fが備えるシート状マイクロニードル100の幅方向の断面を含む断面が示されている。
【0061】
マイクロニードルデバイス600fは、シート状マイクロニードル100と、シート状マイクロニードル100の裏面115の一部(裏面115における皮膚穿刺領域120を除く領域)に積層された粘着剤層620と、シート状マイクロニードル100の裏面115の一部(裏面115の皮膚穿刺領域120)に積層された粘着剤層630とを備える。
粘着剤層620は、シート状マイクロニードル100よりも外側まで延びた領域622を有しており、この領域の粘着力によってマイクロニードルデバイスを皮膚に固定することができる。また、粘着剤層630の粘着力はマイクロニードル118の立ち上がりを阻害しない程度の弱さに調整されている。また、粘着剤層620又は粘着剤層630は薬物を含有していてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、マイクロニードルデバイス600fの外面、すなわち、粘着剤層620におけるシート状マイクロニードル100とは反対側の面623上、粘着剤層630におけるシート状マイクロニードル100とは反対側の面633上に支持体660が配置されており、皮膚接触面113上及び粘着剤層620の領域622上に、ライナー650が取り付けられている。ライナー650及び支持体660は、マイクロニードルデバイス600fを保護する機能を有している。更に、後述するように、皮膚接触面113側のライナー650は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118を立ち上げる機能も有している。すなわち、皮膚接触面113側のライナー650は、マイクロニードル立ち上げ用ライナーであるともいえる。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については、上述したものと同様である。
【0063】
図13は、マイクロニードルデバイス600fを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600f’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600f’では、マイクロニードルデバイス600fの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、裏面115側の支持体660は残されている。残った支持体660は、マイクロニードルデバイス600f’を保護することができる。また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600f’を皮膚S上に固定することができる。また、粘着剤層630が薬物を含有している場合、マイクロニードル118が穿刺した皮膚を介して、当該薬物を効率よく生体に投与することができる。
【0064】
[第7実施形態]
図21は、マイクロニードルデバイス600hの構造を示す断面図である。マイクロニードルデバイス600hは、上述したマイクロニードルデバイス600dのうち、裏面115における皮膚穿刺領域120に支持体660を有しないものである。すなわち、マイクロニードルデバイス600hにおいて、支持体660は、粘着剤層620の面623上に配置されている。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については上述したものと同様である。
【0065】
図22は、マイクロニードルデバイス600hを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600h’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600h’では、マイクロニードルデバイス600hの皮膚Sへの適用時に、皮膚接触面113側のライナー650が剥離されており、粘着剤層620の面623上の支持体660は残されている。残った支持体660は、粘着剤層620を保護することができる。また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600h’を皮膚S上に固定することができる。
【0066】
マイクロニードルデバイス600h’においては、裏面115における皮膚穿刺領域120に支持体660を有していないため、皮膚穿刺領域120における裏面115側から薬物を効率よく生体に投与することが可能である。
【0067】
[第8実施形態]
図23は、マイクロニードルデバイス600iの構造を示す断面図である。マイクロニードルデバイス600iは、上述したマイクロニードルデバイス600dにおいて、支持体660の代わりにライナー650を配置した構造を有している。すなわち、シート状マイクロニードル100の裏面115上、粘着剤層620の面623上にライナー650が配置されており、皮膚接触面113上及び粘着剤層620の領域622上にもライナー650が取り付けられている。粘着剤層、薬物、ライナー及び支持体の材質については上述したものと同様である。
【0068】
図24は、マイクロニードルデバイス600iを皮膚に適用した状態(マイクロニードルデバイス600i’)を示す図である。皮膚に適用されたマイクロニードルデバイス600i’では、マイクロニードルデバイス600iの皮膚Sへの適用時に、シート状マイクロニードル100の裏面115上及び粘着剤層620の面623上に配置されていたライナー650、並びに、皮膚接触面113側に配置されていたライナー650が剥離されており、粘着剤層620の面623は露出している。また、マイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、皮膚Sを穿刺している。また、粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600i’を皮膚S上に固定することができる。
【0069】
マイクロニードルデバイス600i’においては、裏面115における皮膚穿刺領域120に支持体660を有していないため、皮膚穿刺領域120における裏面115側から薬物を効率よく生体に投与することが可能である。また、シート状マイクロニードル100の裏面115上に、例えば薬物含有フィルムを積層した場合に、粘着剤層620の面623を用いて当該薬物含有フィルムを固定することができる。
【0070】
[その他の実施形態]
上述したマイクロニードルデバイスの各実施形態は適宜組み合わせてもよい。例えば、マイクロニードルデバイス600b、600c、600e等においても、マイクロニードルデバイス600h、600iと同様に、支持体660の一部又は全部を有しない構造としてもよい。
【0071】
<マイクロニードルデバイスシステム>
[第1実施形態]
一実施形態において、本発明は、片面が皮膚接触面であり、他方面が裏面であり、一部が皮膚穿刺領域であるシートの面に略沿って複数のマイクロニードルが形成され、前記シートが厚さ方向に屈曲されると前記皮膚穿刺領域における前記マイクロニードルが前記皮膚接触面から皮膚に穿刺可能に立ち上がる、シート状マイクロニードルと、前記シート状マイクロニードルに設けられた粘着剤層と、前記粘着剤層に剥離可能に取り付けられたライナーと、を有するマイクロニードルデバイスと、前記マイクロニードルデバイスを厚さ方向に屈曲させる屈曲部を有し、前記屈曲部に沿って移動可能に前記マイクロニードルデバイスが装着される補助具と、を備えるマイクロニードルデバイスシステムを提供する。
【0072】
まず、マイクロニードルの皮膚穿刺時に必要とされる力とその方向について説明する。図14は、シート状マイクロニードル100のマイクロニードル118が、皮膚Sを穿刺している状態を示す、シート状マイクロニードル100の長手方向の断面図である。マイクロニードル118を皮膚に穿刺するためには、図14に示すように、シート状マイクロニードルを厚さ方向に屈曲させた状態から、屈曲点Pを皮膚穿刺方向に移動させる力F1、シート状マイクロニードル100を折り曲げ曲率を作り出す力F2、シート状マイクロニードル100の一部を皮膚に固定する力F3が少なくとも必要である。力F2はシート主面に対して垂直方向にかけてもよい。
【0073】
更に、マイクロニードルの穿刺を達成するためには、力F1〜F3の大小関係が適切でなければならない。具体的には、力F1により屈曲点Pを皮膚穿刺方向に移動させるためには、力F3は、常に力F1よりも大きくなければならない。また、マイクロニードル118を皮膚に穿刺するうえで、穿刺に適した曲率を持たせるためには、力F2が0より大きい力でなければならない。つまり、F1≦F3及びF2>0の2つの条件が同時に成立する時、マイクロニードル118を皮膚に対して連続的に穿刺することができる。また、力F2を更に強めると、マイクロニードル118をより深くまで穿刺することができる。シート状マイクロニードル100が、例えば幅4mmの粘着剤層で皮膚に固定されている場合、力F3の大きさは24.7N以上であるとよい。
【0074】
図15は、マイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す斜視図である。以下、補助具700を用いて、上述した第4実施形態のマイクロニードルデバイス600dのマイクロニードル118で皮膚を穿刺する過程を説明する。
【0075】
本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムは、マイクロニードルデバイス600dと補助具700とを備える。まず、補助具700について説明する。図15に示すように、補助具700は、矩形型の基板710と、基板710に設けられた2つのスリット状の貫通孔712及び713と、基板710の片面718に積層された粘着剤層720を備えている。以下、基板710の面718とは反対側の面を面715と称する。なお、図15では、基板710が透明であるため粘着剤層720が透けて見えている。また、ライナー650も透明であるため、シート状マイクロニードル100が透けて見えている。後述するように、基板710のうち、貫通孔712よりも貫通孔713側の部分は、マイクロニードルデバイス600dを厚さ方向に屈曲させる屈曲部として機能する。
【0076】
図15では、皮膚接触面113側の外面に取り付けられたライナー650は、シート状マイクロニードル100の長手方向よりも長く、ライナー650がシート状マイクロニードル100に接触していない領域が存在している。
【0077】
まず、ユーザは、ライナー650の一端を、貫通孔712及び貫通孔713に通して、マイクロニードルデバイス600dを補助具700にセットし、マイクロニードルデバイスシステムを組み立てる。より具体的には、ユーザは、皮膚接触面113側の外面に取り付けられたライナー650の一端を、貫通孔712の面715側から面718側に向かって通し、更に、貫通孔713の面718側から面715側に向かって通す。
【0078】
上記操作により、ライナー650は、図16Aに示すように、貫通孔712と貫通孔713の間において、面718側に位置することとなる。
【0079】
続いて、ユーザは、図15に示すように、貫通孔712と貫通孔713の間の面718側において、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させ、この状態を維持したまま、粘着剤層720を用いて補助具700を薬剤の適用部位に貼付する。
【0080】
図16Aは、上記の操作により、皮膚S上に固定された補助具700の長手方向の断面図である。図16Aに示すように、補助具700は、粘着剤層720により皮膚S上に固定されており、シート状マイクロニードル100が、面715側から面718側に向かって貫通孔712に通され、皮膚S上で厚さ方向に屈曲されている。ここで、基板710のうち、貫通孔712よりも貫通孔713側の部分は、マイクロニードルデバイス600dを厚さ方向に屈曲させる屈曲部として機能している。
【0081】
図16Bは、図16Aにおける領域rの拡大図である。図16Bに示すように、本実施形態においては、シート状マイクロニードル100の一端は、粘着剤層640によって皮膚S上に固定される。また、シート状マイクロニードル100の一端は、更に、粘着剤層720により皮膚S上に固定されていてもよい。
【0082】
続いて、ユーザは、ライナー650の一端をつまんで図16Aに矢印で示す方向、すなわち貫通孔712及び粘着剤層640によって固定された一端から遠ざかる方向に引く。この操作により、シート状マイクロニードル100が、ライナー650に案内されて貫通孔712を通り、皮膚Sと補助具700の基板710との間の空間に入る。
【0083】
シート状マイクロニードル100は、この空間内で180度屈曲される。すると、図17に示すように、屈曲された部分に位置するマイクロニードル118が、皮膚接触面113から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル118が皮膚Sを穿刺する。
【0084】
この過程について更に詳細に説明する。図17に示すように、補助具700の基板710と皮膚Sとの距離Dを制限することにより、皮膚Sに垂直な方向に力F2が発生する。その結果、力F2によって折り曲げられたシート状マイクロニードル100から、マイクロニードル118が立ち上がる。
【0085】
ここで、ユーザが力F1でライナー650を引くことにより、粘着剤層620の領域622及び粘着剤層720と皮膚接触面との粘着力による抗力F3と、粘着剤層620の領域622とライナー接触面との粘着力による抗力F4が発生する。その結果、屈曲点Pが連続的に移動し、折り曲げられた位置にあるマイクロニードル118を皮膚に穿刺することができる。そのとき、力F3の最大強度は力F1よりも大きく、力F4の最大強度は力F1より小さい必要がある。屈曲点Pの移動に寄与する力F1とマイクロニードル118の立ち上げに寄与する力F2が同時に発生することで、マイクロニードル118を皮膚に穿刺することができる。なお、図17においては、図示した断面の位置の関係から粘着剤層620は見えていない。
【0086】
ユーザが、ライナー650の全体が補助具700から引き出されるまでライナー650を引くと、シート状マイクロニードル100の全体が皮膚Sに穿刺される。また、このとき、図15における粘着剤層620の領域622により、シート状マイクロニードル100が皮膚S上に固定される。
【0087】
ユーザは、この後に補助具700を皮膚Sから剥がすことができる。また、ユーザは、皮膚バリア貫通が目的の場合等ではシート状マイクロニードル100をすぐに剥がしてもよいし、シート状マイクロニードル100が薬物を保持する場合等では所定の時間にわたってシート状マイクロニードル100を皮膚Sに適用し続けてもよい。
【0088】
本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムは、ライナー650が貫通孔713を通過する構成であることにより、ライナー650をより正確にまっすぐ引くことが容易である。しかしながら、本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムの変形例において、貫通孔713が存在しない構成としてもよい。この場合、ライナー650は、基板710の面718側を通過させて、貫通孔712から遠ざかる方向に引けばよい。
【0089】
また、上記実施形態のマイクロニードルデバイスシステムにおいて、シート状マイクロニードル100は、粘着剤層620に加えて粘着剤層640によって皮膚S上に強固に固定されている。しかしながら、本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムの別の変形例において、粘着剤層640が存在しない構成としてもよい。
【0090】
[第2実施形態]
図18は、マイクロニードルデバイスシステムの別の実施形態を示す断面図である。本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムは、補助具1500と、ロール状に巻かれたマイクロニードルデバイス600gとを備えている。マイクロニードルデバイス600gは、上述したマイクロニードルデバイス600bにおいて、ライナー650を除去し、更に、支持体660の代わりにライナー650を剥離可能に取り付けた構成を備えるものである。
【0091】
補助具1500は、筐体1510と、マイクロニードルデバイスの取り付け部1520と、マイクロニードルデバイスを厚さ方向に屈曲させる屈曲部1550と、ライナー巻き取り部1530と、ガイド1540及び1560とを備えている。
【0092】
マイクロニードルデバイス600gは、屈曲部1550に沿って移動可能に補助具1500に装着され、マイクロニードルデバイスシステムが形成されている。
【0093】
図18に示すように、ユーザは、マイクロニードルデバイスシステムを皮膚Sに押し付けながら矢印の方向に移動させる。すると、マイクロニードルデバイス600bが屈曲部1550に沿って移動し、屈曲部1550で厚さ方向に屈曲され、シート状マイクロニードル100の皮膚穿刺領域120におけるマイクロニードル118が、シート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル118が皮膚Sを穿刺する。シート状マイクロニードル100は、粘着剤層610により、皮膚S上に固定される。すなわち、本実施形態では、補助具1500を移動させる力が、上述した力F1に相当する。また、マイクロニードルデバイス600gから剥離されたライナー650は、ライナー巻き取り部1530に巻き取られる。
【0094】
上述したように、マイクロニードルデバイス600gにおいて、シート状マイクロニードル100の裏面115の皮膚穿刺領域120には、粘着剤層が積層されていない。このため、マイクロニードル118の立ち上がりが良好である。
【0095】
本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムでは、マイクロニードルデバイス600gに代えて、任意の実施形態のマイクロニードルデバイスを用いることができる。
【0096】
本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムにより、マイクロニードルデバイスを容易に皮膚に適用することができる。また、マイクロニードルデバイスシステムの移動距離を調整することにより、マイクロニードルデバイスの適用量(皮膚に適用されるマイクロニードルデバイスの面積)を容易に調整することができる。
【0097】
[第3実施形態]
図25は、マイクロニードルデバイスシステムの一実施形態を示す斜視図である。本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムは、上述した第1実施形態のマイクロニードルデバイスシステムにおいて、部材Aを更に備えるものである。
【0098】
図26は、部材Aの構造を示す斜視図である。部材Aは、円柱部100Aと、円柱部100Aの両端を支持する支持部110Aとを備える。
【0099】
図25に示すように、部材Aは、マイクロニードルデバイスが屈曲された部分におけるシート状マイクロニードル100の裏面115側に円柱部100Aが接するように配置される。支持部110Aの、円柱部100Aとは反対側の端部は、補助具700の貫通孔713の面718側から面715側に向かって通されている。
【0100】
図27Aは、本実施形態のマイクロニードルデバイスシステムが皮膚S上に固定された状態を示す断面図である。図27Aでは、補助具700の長手方向の断面図が示されている。図27Bは、図27Aにおける領域rの拡大図である。図27Aに示すように、補助具700は、粘着剤層720により皮膚S上に固定されており、シート状マイクロニードル100が、面715側から面718側に向かって貫通孔712に通され、皮膚S上で厚さ方向に屈曲されている。また、部材Aの円柱部100Aがマイクロニードルデバイスの屈曲された部分に接して配置されている。
【0101】
ここで、基板710のうち、貫通孔712よりも貫通孔713側の部分は、マイクロニードルデバイス600dを厚さ方向に屈曲させる屈曲部として機能している。また、部材Aの円柱部100Aもマイクロニードルデバイス600dを厚さ方向に屈曲させる屈曲部として機能しているということができる。
【0102】
ユーザは、部材Aの支持部110Aの一端をつまんで図27Aに矢印で示す方向、すなわち貫通孔712及び粘着剤層640によって固定された一端から遠ざかる方向に引く。この操作により、シート状マイクロニードル100が、ライナー650に案内されて貫通孔712を通り、皮膚Sと補助具700の基板710との間の空間に入る。
【0103】
シート状マイクロニードル100は、この空間内で180度屈曲され、上述した第1実施形態のマイクロニードルデバイスシステムの場合と同様にして、屈曲された部分に位置するマイクロニードル118が、皮膚接触面113から立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル118が皮膚Sを穿刺する。
【0104】
<マイクロニードルデバイスの皮膚への適用>
マイクロニードルデバイスは、以下に説明するように、補助具を用いずに皮膚に適用することもできる。
【0105】
上述した第4実施形態のマイクロニードルデバイス600dを例に説明する。図19は、マイクロニードルデバイス600dの構造を示す斜視図である。図20(a)は、マイクロニードルデバイス600dを適用する様子を段階的に説明する模式図であり、図20(b)は、図20(a)の各段階におけるシート状マイクロニードル100を、長手方向の断面図で示したものである。
【0106】
まず、ユーザは、皮膚接触面113側のライナー650の一端を剥がして粘着剤層620の領域622の一部を露出させ、この露出部分を皮膚Sに貼る。続いて、ユーザは、シート状マイクロニードル100が鋭角で屈曲するように、皮膚接触面113側のライナー650を徐々に剥がしながら、シート状マイクロニードル100が固着された粘着剤層620の領域622を皮膚Sに貼っていく。
【0107】
すると、シート状マイクロニードル100の屈曲された部分に位置するマイクロニードル118がシート状マイクロニードル100の皮膚接触面113から一列ずつ立ち上がり、立ち上がったマイクロニードル118が次々に皮膚Sに刺さる。
【0108】
本実施形態においても、ユーザはシート状マイクロニードル100の適用面積を調整して所望の量の薬物を投与することができる。マイクロニードルデバイス600dにおいて、シート状マイクロニードル100の裏面115の皮膚穿刺領域120には、粘着剤層が積層されていない。このため、シート状マイクロニードル100を厚さ方向に屈曲させた時のマイクロニードル118の立ち上がりが良好であり、効率よく皮膚を穿刺することができる。また、粘着剤層620の領域622により、マイクロニードルデバイス600dを皮膚S上に固定することができる。また、粘着剤層620が薬物を含有している場合、マイクロニードル118が穿刺した皮膚を介して、当該薬物を効率よく生体に投与することができる。
【実施例】
【0109】
次に実施例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0110】
[実施例1]
厚さ5μmのステンレス製のシートに、図1に示すような配置で三角形のマイクロニードルを形成し、シート状マイクロニードルを得た。各マイクロニードルの長さは500μmとし、マイクロニードルの先端の角度は45度とした。このシート状マイクロニードルの裏面の皮膚穿刺領域を除く部分に、シート状マイクロニードルからはみ出すように粘着剤層を積層した。続いて、シート状マイクロニードルの皮膚接触面側及び裏面側の外面にそれぞれライナーを取り付け、図15に示すようなマイクロニードルデバイスシステムを作製し、実施例1のマイクロニードルデバイスシステムとした。
【0111】
[実施例2]
厚さ10μmのステンレス製のシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例2のマイクロニードルデバイスシステムを得た。
【0112】
[実施例3]
マイクロニードルの先端の角度を25度にした以外は、実施例2と同様にして、実施例3のマイクロニードルデバイスシステムを得た。
【0113】
<マイクロニードルの立ち上がりの評価>
図16Aにおける皮膚Sの代わりに透明なアクリル板を用いて、図16Aと同様にしてアクリル板に実施例1〜3のマイクロニードルデバイスシステムを適用し、マイクロニードルが立ち上がる様子を観察した。
【0114】
より具体的には、まず、補助具の粘着剤層を透明なアクリル板に貼付した。続いて、シート状マイクロニードルが取り付けられたライナーの端をつまんで図16Aの矢印で示す方向に引っ張りながら、折り曲げられて露出された粘着剤層をアクリル板に貼付していき、アクリル板の反対方向からマイクロニードルの立ち上がりを評価した。
【0115】
その結果、実施例1〜3のいずれのマイクロニードルデバイスシステムにおいても、マイクロニードルが良好に立ち上がることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0116】
本発明により、シート状マイクロニードルを備え、マイクロニードルの立ち上がりが改善されたマイクロニードルデバイスシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0117】
100…シート状マイクロニードル、110…シート、113…皮膚接触面、115…裏面、118…マイクロニードル、120…皮膚穿刺領域、600a,600b,600c,600d,600e,600f,600g,600h,600i,600a’,600b’,600c’,600d’,600e’,600f’,600h’,600i’…マイクロニードルデバイス、610,620,630,640,720…粘着剤層、622,r…領域、623,633…面、650…ライナー、660…支持体、700,1500…補助具、710…基板、712,713…貫通孔、715,718…面、1510…筐体、1520…マイクロニードルデバイス取り付け部、1550…屈曲部、1530…ライナー巻き取り部、1540,1560…ガイド、F1,F2,F3,F4…力、D…距離、S…皮膚、P…屈曲点、A…部材、100A…円柱部、110A…支持部。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27A
図27B