(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571693
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】車輪とギアのアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B64C 25/34 20060101AFI20190826BHJP
B64C 25/40 20060101ALI20190826BHJP
F16D 3/16 20060101ALI20190826BHJP
F16H 1/06 20060101ALI20190826BHJP
F16H 55/08 20060101ALI20190826BHJP
F16H 55/30 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
B64C25/34
B64C25/40
F16D3/16 Z
F16H1/06
F16H55/08 A
F16H55/30 Z
【請求項の数】19
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-574507(P2016-574507)
(86)(22)【出願日】2015年3月13日
(65)【公表番号】特表2017-510506(P2017-510506A)
(43)【公表日】2017年4月13日
(86)【国際出願番号】GB2015050740
(87)【国際公開番号】WO2015136302
(87)【国際公開日】20150917
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】1404636.1
(32)【優先日】2014年3月14日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】510286488
【氏名又は名称】エアバス オペレーションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】AIRBUS OPERATIONS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100202636
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 麻菜美
(72)【発明者】
【氏名】アルノー ディディー
(72)【発明者】
【氏名】フレイザー ウィルソン
【審査官】
志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0233969(US,A1)
【文献】
実開昭55−175626(JP,U)
【文献】
登録実用新案第031144(JP,Z1)
【文献】
国際公開第2014/023941(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 25/34
B64C 25/40
F16D 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、
前記車輪に取り付けられ、一緒に回転可能なリングギアと、
前記リングギアに前記車輪のハブを取り付けて、それらの間にトルクを伝達するための、インターフェイスとを備えている車輪アセンブリであって、
前記インターフェイスは、
前記アセンブリの回転軸の周りに実質的に円形のアレイ状に配置される、実質的に径方向を向いた開口部のアレイと、
前記開口部に配置される複数の接続部材であり、前記接続部材のそれぞれは、実質的に径方向を向いた長手方向軸を有し、前記接続部材は、前記車輪のハブ及び前記リングギアの少なくとも一方に対して自由に動いて、前記リングギアと前記車輪のハブとの間の径方向の相対移動を許す、複数の接続部材とを備え、
前記リングギア又は前記車輪の一方に印加されるトルクが、前記接続部材を介して他方に伝達され、前記リングギアは、前記車輪のリムの径方向変形から実質的に隔離されるようにした、
車輪アセンブリ。
【請求項2】
前記インターフェイスは、前記車輪のハブと前記リングギアとの間の接続経路に径方向の隙間を提供する、請求項1に記載の車輪アセンブリ。
【請求項3】
前記インターフェイスは、前記車輪のリム又は前記リングギアに対して側方の延伸部を備え、それが設けられる前記車輪又は前記リングギアの回転軸の方向に延在する、請求項1又は2に記載の車輪アセンブリ。
【請求項4】
前記側方の延伸部は、前記車輪及び前記リングギアの少なくとも1つに設けられ、前記車輪及び前記リングギアの少なくとも1つから、前記車輪の回転軸に対して平行な方向に延在するグローアウトを備える、請求項3に記載の車輪アセンブリ。
【請求項5】
前記側方の延伸部は、前記車輪又は前記リングギアの1つに設けられる、一連の側方に延在するタブを備える、請求項3に記載の車輪アセンブリ。
【請求項6】
前記インターフェイスは、前記側方の延伸部と、前記車輪のリム及び前記リングギアの1つに設けられた複数のタブとの間に設けられ、前記タブは、前記車輪又は前記リングギアの回転軸の方向に延在する、請求項3又は4に記載の車輪アセンブリ。
【請求項7】
前記インターフェイスは、
前記車輪及び前記リングギアの一方と、
前記車輪のハブ及び前記リングギアの他方に接続されるインターフェイス接続部材との間に設けられる、
請求項1〜6のいずれかに記載の車輪アセンブリ。
【請求項8】
前記インターフェイス接続部材は、前記車輪アセンブリの別のコンポーネントである、請求項7に記載の車輪アセンブリ。
【請求項9】
前記インターフェイス接続部材は、ブレーキバーである、請求項7又は請求項8に記載の車輪アセンブリ。
【請求項10】
前記接続部材は、前記車輪及び前記リングギアの一方に対して固定され、他方に対して径方向に可動である、請求項1〜9のいずれかに記載の車輪アセンブリ。
【請求項11】
前記接続部材は、ネジ山を介して前記車輪及び前記リングギアの一方に対して固定される、請求項10に記載の車輪アセンブリ。
【請求項12】
前記接続部材は、前記車輪及び前記リングギアの両方に対して自由に動く、請求項1〜9のいずれかに記載の車輪アセンブリ。
【請求項13】
前記接続部材の少なくとも1つは、前記車輪と前記リングギアとの間の弾性接続を提供する、請求項1〜12のいずれかに記載の車輪アセンブリ。
【請求項14】
前記リングギアと前記車輪との間の接続経路に配置される弾性スペーサを備える、請求項13に記載の車輪アセンブリ。
【請求項15】
前記リングギアは、ローラーギア、スプロケットであるか、又は駆動を前記車輪に、又は前記車輪から伝達するための他の任意タイプの駆動インターフェイシングコンポーネントである、請求項1〜14のいずれかに記載の車輪アセンブリ。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかの前記車輪アセンブリを備える、航空機着陸装置のための駆動システム。
【請求項17】
前記駆動システムは、着陸装置の車軸、メインフィッティング又はスライダに剛接続されたブラケットによって支持される、請求項16に記載の航空機着陸装置のための駆動システム。
【請求項18】
前記ブラケットは、前記ブラケットの迅速な着脱を可能にする、半月状のクランプを備える2つのラグを含む、請求項17に記載の航空機着陸装置のための駆動システム。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれかの前記車輪アセンブリ又は前記駆動システムを備える、航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機車輪のハブにリングギア又はスプロケットを取り付けるための取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機は、飛行場の場所間で地上タキシングする必要がある。一例は、滑走路と航空機の乗客が乗り降りする場所(例えば、ターミナルゲート)との間のタキシングである。典型的には、このようなタキシングは、航空機を前方に進ませるために、航空機のエンジンからの推進力を用いて、着陸装置の車輪を回転させることにより達成される。地上タキシング速度は比較的低速度でなければならないので、エンジンは非常に低い出力で駆動しなくてはならない。このことは、このような低い出力では推進効率が低くなるので、比較的大量の燃料が消費されることを意味する。このことは、空港周辺の局所的な大気汚染と騒音公害の増大につながる。さらに、エンジンが低い出力で駆動するときであっても、通常、地上タキシング速度を抑えるために、車輪にブレーキをかける必要があり、ブレーキの摩耗度が大きくなる。
【0003】
旅客機の後退、例えば、ターミナルゲートから離れる際に、主エンジンを用いることは禁止されている。後進させることが必要なとき、又は主エンジンの推進力によって地上タキシングが実行できない他の状況においては、レッカー車を用いて航空機を方々に操縦している。このようなプロセスは、労力を要し、費用がかかる。
【0004】
従って、地上タキシング操作中に、航空機着陸装置の車輪に動力を供給するための駆動システムが必要である。また、このような駆動システムを用いて、着陸前に車輪を予め回転させ、接地時に車輪が初期着陸速度又はそれに近い速度で既に回転しているようにすることも所望される。このような着陸前のスピンアップは、着陸時のタイヤの摩耗を低減させ、着陸中に着陸装置に伝達される荷重を低減させると考えられる。
【0005】
近年では、航空機が地上にある間の車輪の駆動と、着陸前の車輪のスピンアップとの双方のための、いくつかの自律型地上タキシングシステムが提案されている。
【0006】
一例が米国特許出願公開第2006/0065779号に開示されており、これは、車輪が自由に回転できるモードと、車輪が電気モーターによって駆動されるモードとの切り替えにクラッチを用いる、航空機の前脚車輪駆動システムを提案している。クラッチは、着陸前にモーターが車輪を予め回転させることができるように操作することもできる。
【0007】
このような従来のシステムは、車輪の周りの多くのスペースがブレーキシステムによって占められる主着陸装置に組み込めるようにするために非常に多くのスペースを要することから、通常は、前脚着陸装置に限られている。しかしながら、前脚着陸装置は、地上タキシング操作中、概して、着陸装置によって支持される垂直荷重のごく一部(航空機の重量の約5%)を支持するに過ぎない。従って、航空機の地上タキシングを確かなものとするのには、駆動される前脚着陸装置の車輪と地面との間の静止摩擦力が不十分なことがある。このようなことは、航空機の重心が後部寄りにあるときや、地表が滑りやすいときに、特に関係する。
【0008】
前脚着陸装置に限定されない従来の装置が、国際公開第2011/023505号に開示されている。この開示システムは、アクチュエータを用いてピニオンギアを動かし、車輪ハブに取り付けられたリングギアと駆動係合させたり、駆動係合を解除したりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0065779(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2011/023505(A2)号
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様にて提供する車輪アセンブリは、車輪と、
車輪に取り付けられ、一緒に回転可能なリングギアと、
リングギアに車輪ハブを取り付けて、それらの間にトルクを伝達するための、インターフェイスとを備えている車輪アセンブリであって、
インターフェイスは、
アセンブリの回転軸の周りに実質的に円形のアレイ状に配置される、実質的に径方向を向いた開口部のアレイと、
開口部に配置される複数の接続部材であり、接続部材のそれぞれは、実質的に径方向を向いた長手方向軸を有し、接続部材は、車輪のハブ及びリングギアの少なくとも一方に対して自由に動いて、リングギアと車輪ハブとの間の径方向の相対移動を許す、複数の接続部材とを備え、
リングギア又は車輪の一方に印加されるトルクが、接続部材を介して他方に伝達され、リングギアは、車輪のリムの径方向変形から実質的に隔離されるようにした、車輪アセンブリを提供する。
【0011】
本発明の車輪アセンブリは、トルクがインターフェイスを経て伝達されるのを許しながら、車輪のリムの径方向変形から、リングギアを隔離させる。
【0012】
インターフェイスは、車輪のハブとリングギアとの間の接続経路に径方向の隙間を提供してもよい。
【0013】
インターフェイスは、車両のリム又はリングギアに対して側方の延伸部を備えてもよく、延伸部は、それが設けられる車輪又はリングギアの回転軸の方向に延在する。
【0014】
側方の延伸部は、車輪及びリングギアの1つに設けられるグローアウト(grow−out)を備えてもよい。
【0015】
側方の延伸部は、車輪又はリングギアの1つに設けられる、一連の横方向に延在するタブを備えてもよい。
【0016】
インターフェイスは、側方の延伸部と車輪のリム及びリングギアの一方に設けられた複数のタブのとの間に設けられてもよく、タブは車輪又はリングギアの回転軸の方向に延在する。
【0017】
インターフェイスは、
車輪及びリングギアの1つと、
車輪ハブ及びリングギアの他方に接続されるインターフェイス接続部材との間に設けられてもよい。
【0018】
インターフェイス接続部材は、車輪アセンブリの別のコンポーネントであってもよい。インターフェイス接続部材は、好ましくはブレーキバーであってもよい。
【0019】
接続部材は、車輪及びリングギアの一方に対して固定され、他方に対して径方向に可動でもよい。
【0020】
接続部材は、ネジ山を介して車輪及びリングギアの一方に対して固定されてもよい。
【0021】
接続部材は、車輪及び前記リングギアの両方に対して自由に動いてもよい。
【0022】
接続部材の少なくとも1つは、車輪とリングギアとの間の弾性接続を提供してもよい。
【0023】
弾性スペーサが、リングギアと車輪との間の接続経路に配置されてもよく、それ自体がリングギアと車輪との間に配置されてもよい。
【0024】
リングギアは、ローラーギア、スプロケットであるか、又は実質的に環形状をしている車輪に、又は車輪から駆動を伝達するための、任意タイプの駆動インターフェイシングコンポーネントであってもよい。
【0025】
本発明は、さらに、本発明の車輪アセンブリを備える、航空機着陸装置のための駆動システムを提供する。
【0026】
好適には、駆動システムは、着陸装置の主脚に取り外し可能に取り付けられる。従って、駆動システムは、保守のため及び/又は長距離の運行に航空機が用いられ、その巡航での航空機の重量ペナルティのために、駆動伝達システムを用いることが経済的ではない場合に、取り外すことができる。
【0027】
駆動システムは、バネ部(例えば、ストラット)又は非バネ部(例えば、スライダー又は車軸又はボギー)上の着陸装置に外部から取り付けてもよい。駆動システムは、着陸装置に枢動可能に取り付けられてもよい。駆動ピニオンを担持する出力シャフトは、駆動ピニオンの回転軸からずれた、実質的に水平な枢動軸の周りを回転してもよい。リングギアは、枢動軸の周りの回転によって係合したり外れたりできる、第1及び第2のギアの1つであってもよい。駆動システムのモーターは、枢動軸の周りを駆動ピニオンと一緒に動くことができ、或いは、代替的に、モーターは枢動軸に対して静止していてもよく、又は、さらに代替的に、モーターは、駆動ピニオンが枢動軸を中心とする円弧を経て動くように、枢動軸の周りを回転してもよい。
【0028】
駆動ピニオン及び/又は被駆動ギアは、ギアと、それが回転可能に取り付けられるシャフトとの間に、等速ジョイント又は同様の装置を含んでもよい。これは、着陸装置がそれるときに、駆動係合を確実に維持できるようにするのに役立つ。
【0029】
着陸装置は、ただ1つの駆動可能な車輪を有していてもよい。代替的には、2つ以上の着陸装置の車輪は1つ以上のモーターによって駆動されてもよい。差動装置がモーターと駆動ピニオンとの間に用いられてもよい。モーターは、例えば電動式又は油圧式としてもよい。
【0030】
車輪に取り付けられるギアは、有意なトルク拡大ギア比を発現させるために、駆動ピニオンよりも大きい直径を有することが好ましい。このようにして直径の大きいハブを使用することによって、質量の最適解を達成できる。
【0031】
航空機に組み込む場合、着陸装置は、駆動伝達装置に電力を供給し、その動作を制御するための、電力供給制御システムと共に用いることができる。
【0032】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】第1の実施形態による駆動システムの等角図である。
【
図2】
図1の駆動システムのさらなる等角図である。
【
図3】第2の実施形態による駆動システムの、選択されたコンポーネントの等角図である。
【
図4】荷重下での車輪リムの変形モードの概略図である。
【
図5】荷重下での車輪リムの別の変形モードの概略図である。
【
図6】本発明によるリングギア取り付け構造を示す図である。
【
図11】本発明に係るリングギア接続部材を示す図である。
【
図12】本発明に係るリングギアの接続部材を示す図である。
【
図13】本発明のインターフェイス車輪アセンブリの機能を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
2つの車輪を有する航空機着陸装置に適用される例示実施形態が示されるが、実施形態の原理は、単一車輪のみを含む任意数の車輪を有する着陸装置に適用されてもよい。本発明の車輪とギアのインターフェイスは、任意の駆動システムに適用して、対応するスプロケット又はピニオンに係合させることができる。主着陸装置によって支持される重量は、車輪と地面との間に最適な静止摩擦力を与えて、航空機の地上タキシングの信頼度を高めるとみなされるため、図示の実施形態は、主着陸装置(即ち、翼構造又は翼周辺の胴体構造に取り付けられる着陸装置)に適用することができる。しかしながら、本発明の車輪アセンブリを組み込む駆動システムは、代替的に前脚着陸装置(即ち、航空機の機首寄りの、操縦可能な着陸装置)に適用されてもよい。図示する主着陸装置は、単一通路の旅客機(約150〜200名)に適用可能であるが、本発明は、民間機、軍用機、ヘリコプター、旅客機(乗客50名未満、乗客100〜150名、乗客150〜250名、乗客250〜450名、乗客450名以上)、貨物輸送機及びティルトロータ機等を含む、種々のタイプ及び重量の航空機に広く適用可能である。
【0035】
図1及び
図2に示す着陸装置10は、上部の伸縮部12a(メインフィッティング)及び下部の伸縮部(スライダ)を有する、衝撃を吸収する伸縮自在の主脚12を含む。上部の伸縮部12aは、その上端(図示せず)が、航空機の胴体又は翼(図示せず)に取り付けられる。下部の伸縮部12bは、主脚の両側に1つずつの一対の車輪16(図面の明瞭化のため、
図1及び
図2においては一方の車輪16だけを示してある)を支える車軸14を支持する。車輪16は、タキシング又は着陸といったような航空機の地上移動を可能にするために、車軸14を中心に回転するように配置される。
【0036】
車輪16は、それぞれ、リム18aを有するハブ18によって支持されるタイヤ17を備え、ハブ18は、その外周にてタイヤ17を保持する。ハブ18(好ましくは、リム18a)には、被駆動ギア20が、車輪16と一緒に回転し得るように取り付けられる。被駆動ギア20は、複数の個別のカップリングによって車輪16に取り付けてもよく、剛性又はフレキシブルなアタッチメントを提供することができる。代替的に、その取り付けは、車輪16又は被駆動ギア20のいずれかから軸方向に突出する連続延伸リムを形成するフランジを介してもよい。
【0037】
駆動システム50は、ギアボックス70を介して駆動シャフト54にトルクを伝達するモーター52を含む。駆動システム50は、着陸装置の車軸14に剛接続されたブラケット56によって支持される。ブラケット56は、車軸14へのブラケット56の迅速な着脱を可能にする、半月状のクランプを備える2つのラグを含む。モーター52は、例えば、ボルト締めによって、ブラケット56に固定的に接続される。ギアボックス70は、このギアボックス70のいずれかの側に配置されるブラケット56の各アーム上のピボットラグ82にて、ブラケット56に枢動可能に接続される。
【0038】
駆動軸の回りを駆動シャフト54が回転し得るように、駆動シャフト54には駆動ピニオン60が取り付けられている。駆動ピニオン60、駆動シャフト54及びギアボックス70は、ブラケット56(車軸14に最も近い端部における)と、ギアボックス70、より具体的にはギアボックスのハウジング84との間に延在する、直接駆動のローラーねじによる電気機械式のリニアアクチュエータといったような、リニアアクチュエータ(ポジショナー)58によって枢動可能である。それ故に、アクチュエータ58の直線運動は、ギアボックス70及びスプロケット60の、ピボット82の回りの回転運動に変換される。従って、駆動システム50は、駆動ピニオン60が被駆動ギア20とかみ合わないニュートラル構成(図示せず)と、駆動ピニオン60が被駆動ギア20とかみ合い係合する被駆動構成(
図1、
図2及び
図3に示す)とのどちらかの状態をとることができる。ニュートラル構成では、車輪16は、例えば離陸及び着陸中、自由に回転することができるが、一方、非駆動構成においては、車輪16は、例えば地上タキシングの間、駆動システム50によって駆動させることができる。
【0039】
図1及び
図2の実施形態において、被駆動ギア20はローラーギア34を備え、駆動ピニオン60はスプロケットを備える。ローラーギアは、対応するギア又はスプロケットの歯と係合して、それらの間に駆動力を伝達するために、その外周に配置されるローラーのリングから成るギアである。
【0040】
図示のローラーギア34は、剛性の環状リング35と、ピンに取り付けられるローラーを支持するために、環状リング35の両側から突出している一連のピンとによって形成することができる。ピンによって回転可能に支持される第1系列のローラー36Aが、環状リング35の片側に設けられ、ピンによって回転可能に支持される第2系列のローラー36Bが、環状リングの反対側に設けられている。各系列のローラー36A、36Bは、環状リングの周りに延在して無限軌道を形成する。第1及び第2の側方の環状リング39A、39Bが、第1及び第2系列のローラー36A、36Bを挟んでいる。第1系列のローラー36Aを支持するピン38は、環状リング35と第1の側方環状リング39Aとの間に延在し、第2系列のローラー36Bを支持するピン38は、環状リング35と第2の側方環状リング39Bとの間に延在する。従って、環状リング35は、ピンを支持するための中央スパインを形成し、ピンは中央スパインから片持ち支持される。環状リング35は、ローラーギア34をハブ18に取り付けるための取り付け手段を提供する、複数の軸方向に延在する接続延伸タブ(図示せず)を備えることができる。従って、環状リング35、39A及び39Bは、ローラーギアにローラーを取り付けるためのローラー取り付け部材として作用する。以下、もっと詳細に説明するように、本発明による他の取り付け手段を用いて、ハブ18にローラーギア34を取り付けることもできる。
【0041】
駆動ピニオン60は、ローラーギア34のローラー36とかみ合うことができる、径方向に延在するスプロケット歯の2つの同軸リングを有するスプロケットを備える。即ち、スプロケット歯の各リングは、被駆動ギア20のローラーリングの1つとかみ合うように配置される。
【0042】
図3は、代替の好ましい実施形態を示し、被駆動ギア20は、ローラーギアの代わりにスプロケットを備え、駆動ピニオンはスプロケットの代わりにローラーギアを備えている。従って、駆動ピニオンは、ローラーの2つの同軸リングを有するローラーギア64を備え、被駆動ギア20は、スプロケット歯の2つの同軸リングを有するスプロケット66によって置き換えられている。全てのその他の点において、駆動システムは
図1及び
図2を参照して上述したものと同じであり、以下に詳述する駆動システムの特徴は双方の実施形態に等しく当てはまる。ローラーギア64は、ローラーギア34と同じように構成することができるが、その直径は遥かに小さく、従ってローラーの数も少ないことは勿論である。
【0043】
スプロケット−ローラーギア配置の利点は、かみ合う歯付きギア配置よりも、車輪と車軸の変形に対してより寛容であることである。着陸装置の車輪及び車軸は、地上タキシング中に高い荷重を受け、結果的に変形し、車輪に固定された被駆動ギアもこのような変形に応じて必然的に変形する。かみ合う歯付きギアは、このような変形には不寛容であり、典型的な歯付きリムギアは、ベアリング、フレキシブルなインターフェイス、又は同様のものを介して車輪から隔離する必要がある。これに対し、本発明のスプロケットとローラーの配置は、そのような改装なしに、変形を許容することができる。
【0044】
このような配置は、軽量で、高い構造強度を有するという利点もある。ローラーの主な故障モードは、ピンのせん断破壊によるものであり、各ローラーを中間スリーブや、ブッシュ又は他の部品を用いずにそれぞれのピンに直接取り付けることにより、ピンの直径を最大化してせん断強度を最大にすることができる。
【0045】
上述の実施形態の変形例において、駆動ピニオンは、単一列の歯を有するスプロケットとして形成してもよく、被駆動ギアも、単一列のローラーを有するローラーギアとして形成してもよい。さらなる変形例において、駆動ピニオンは、代替的に、単一列のスプロケット歯を有するスプロケット(図示せず)として形成される、被駆動ギアと係合させるための単一のローラーリングを備えてもよい。
【0046】
図は、車輪16のうちの1つを駆動するための駆動システム50の特徴のみを示しているが、これらの特徴は他の車輪16にも反映されることが想定される。即ち、1つの駆動システム50は、車輪16のそれぞれに設けられるものとみなす。4つ以上の車輪16を有する着陸装置10の場合、駆動システム50は、車輪16のそれぞれに設けるか、それらのうちの2つだけに設けてもよい。車輪16のうちの2つのみに駆動システム50を設ける実施形態においては、着陸前に未駆動の車輪をスピンアップさせるために、さらなるモーター(図示せず)を設けて、地上タキシングを2つの駆動システム50によって達成する必要がある。他の実施形態では、1台のモーター52を2つの駆動システム50で共有してもよい。
【0047】
図は、着陸装置の車軸14に剛接続されたブラケット56によって支持される駆動システム50のみを示しているが、駆動システム50は、代替的に、上部の伸縮部12a(メインフィッティング)又は下部の伸縮部(スライダ)に取り付けられてもよい。
【0048】
図4及び
図5は、乗り物、特に航空機が、車輪によって支えられているときに発生し得る変形の、異なるモードを概略的に示している。破線401は、荷重がかかっていないときの、車輪リムの公称円周を示す。実線402は、車輪の車軸に、かなりの重量がかかり、地面403による反動を受ける場合に生じ得る、“楕円化”の現象を示している。そこで、
図1〜
図3に示したリングギアが車輪ハブのリムに固定して取り付けられている場合を考えると、リングギアも車輪の車輪リムと一緒に変形することが分かる。このような変形は、
図1の車輪の車軸14からリングギア20の外周までの径方向の距離を変化させ得る。従って、これは、リングギア20と適切にかみ合わせるために、ピニオンギア60を車軸14から所定のところに保持するのに必要とされる距離を変化させる可能性がある。従って、車輪ハブの楕円化のこのような問題に対処する必要がある。
【0049】
図5は、別の変形の場合を概略的に示し、この場合にも、破線の円401は、無荷重状態における、車輪リムの公称形状を示している。実線502は、車輪ハブがかなりの荷重下でどのように変形するかを誇張して概略的に示している。図示したように、平坦化が生じるのは、地面503に近い底縁部であり、これは、車輪リムの上側をわずかに変形させるも、実線502が破線401のわずか下にあることがわかる。
【0050】
さらに、車輪アセンブリは熱サイクルを受けることがよくある。これは、周囲温度の変化に起因したり、また、車輪に保持されるか、又はそれに取り付けられたブレーキアセンブリによって生成される熱にも起因したりする。乗り物にブレーキをかけると、ブレーキは運動エネルギーを熱エネルギーに変換するため、車輪及び周囲のコンポーネントの温度を上昇させる。温度サイクルは、航空機では特に大きく、巡航高度では、着陸装置は概して非常に低い温度で、氷点を大きく下回っているからであり、ひとたび航空機が着陸すると、次に航空機にブレーキをかけることによって、熱に変換し、ブレーキシステムから分散させる高レベルの運動エネルギーをもたらす航空機の大きなサイズと速度とに起因して大量の熱が発生する。これは、通常の使用中に車輪アセンブリにおける、全てのコンポーネントの温度を大きく変化させる。こうした温度変化は、コンポーネントを膨張又は収縮させ、異なる素材が使用されているところでは、コンポーネントの寸法が異なる量だけ変化し、これらのコンポーネントが固定して接続されている場合、コンポーネントに追加の応力を引き起こすことがある。車輪は、重量を軽量化するために軽量合金で形成することができ、一方、車輪に取り付けられるギア又はスプロケットは、例えば鋼のような、高強度の合金又は金属で形成される。従って、熱膨張は、これらのコンポーネントが互いに固定して接続されている場合に応力を引き起こす。
【0051】
こうした問題に対処しようとして、本発明者らは車輪ハブにリングギアを接続するための新規のインターフェイスを考案した。
【0052】
このような新規のインターフェイスを備える車輪ハブアセンブリを
図6に示す。アセンブリ600は車輪601を含み、車輪601は車輪リム602を備え、車輪リム602は、タイヤを支えるように構成されている。リム602は、中央のハブ部分603の周りに配置され、
図4及び
図5に概略的に示したように、荷重が車輪リム602に、地上からタイヤを介してかかると、車輪が取り付けられた車軸を介して、また、中央のハブ部分603を介して伝達される反力が、車輪リム602の変形を引き起こす可能性がある。リングギア700は、車輪601に取り付けられ、車輪601は、車輪リム602及び中央の車輪ハブ603を備える。
【0053】
車輪リム602の径方向の変形から、リングギア700を隔離するために、車輪リム602にリングギア700を接続するインターフェイスに径方向の隙間を設けることができる。図示の実施形態において、これは、リングギア700の内径を車輪リムのフランジ又は延伸部604の外径よりも大きく形成することによって提供される。これは、延伸部604とリングギア700との間に、所定量の径方向の自由な動き、つまり“遊び”を作る。このようにして、径方向の隙間又は径方向の相対移動の自由度を提供するインターフェイスを設け、車輪とリングギアとを接続することができる。図示のフランジ604は、車輪リム602の‘グローアウト’(grow−out)又は側方延伸部として設けられている。この延伸部又は‘グローアウト’は、車輪の回転軸に対して実質上平行な方向に延在する。車輪601にリングギア700を接続しているインターフェイシングの部分間にこのような隙間を設ける場合、車輪601とリングギア700との間にトルクを伝達できる機構を設ける必要がある。このようなトルクは、リングギアに与えられる駆動入力を車輪に伝達して、車輪アセンブリが取り付けられている乗り物を駆動するために提供されなくてはならない。逆に、ブレーキをかける目的のためにリングギア700が用いられる場合には、車輪が取り付けられている乗り物又は航空機にブレーキをかけるために、リングギアから車輪601に、反対の、ブレーキングトルクを伝達する必要がある。
【0054】
本発明のインターフェイスは、トルクの伝達のために、リングギア700及び車輪601の少なくとも一方に、リングギア又は車輪の回転軸の周りに実質的に円形のアレイ状に配置される開口部のアレイと、開口部に配置され、開口部に対して自由に動く複数の対応する接続部材とを設けることにより提供する。コネクタのそれぞれは、実質的に径方向の長手方向軸に向けられており、その軸に沿って、コネクタが配置されている開口部に対して自由に動くため、開口部又はコネクタのいずれかの、車輪又はリングギアの回転軸に対する、径方向の動きは、他方には伝達されない。
【0055】
図6に示した配置では、複数の開口部が、フランジ604に設けられ、開口部の平面は車輪の半径方向に対して実質的に垂直であり、開口部を貫通する軸は、車輪に対して実質的に径方向である。開口部のこのような配置は、開口部を貫通する軸が、車輪又はリングギアに対して径方向であるため、径配向と称され、これらの開口部は車輪又はリングギアに対して径方向に向けられるとみなされる。
【0056】
開口部606に位置する接続部材が、使用中に外れたり抜け落ちたりするのを防ぐために、接続部材及び開口部には、開口部606に接続部材を保持するためのネジ山を設けることができる。代替的な配置では、接続部材は、開口部606を通って自由に並進できるも、リングギア700に接続部材を接続するためにネジ山をリングギア700に設けてもよい。さらなる代替的な配置では、接続部材は、リングギア700と車輪601との双方における開口部を通って自由にスライドしてもよい。接続部材が開口部から抜け落ちたり外れたりするのを防ぐために、接続部材には、この場合、保持手段を設けるのがよく、これは車輪とリングギアの各端部か、これらの間に設けて、保持部材を開口部に可動自在に保持し、開口部を経て外れるのを防ぐことができる。
【0057】
図7は、
図6の配置のさらなる詳細を示している。ここで分かるように、接続部材607は、リングギア700から横方向に延在するタブ701内に位置する。横方向に延在するとは、リングギア700の回転軸の方向に延在することを意味している。その配置は、反対にすることもでき、フランジ604に相当するフランジは、車輪601の上の代わりリングギア700の上に位置させてもよく、タブ701に相当するタブは、接続部材607を介する必要な係合を提供するために、車輪601の上に、好ましくはそのリム602に設けることができる。
【0058】
オプション機構として、
図7に、ナットとネジ山のコンポーネント608により図示されるように、1つ以上の固定又は弾性の保持手段を、1つ以上の開口部に設けることができる。これが有益であるのは、固定又は弾性接続部が何もないときは、リングギア700が車輪601に対して過度に自由に動いてしまい、過度に振動したり、ガタガタしたりするからである。従って、リングギアと車輪アセンブリの外周上の少なくとも一箇所608又はアセンブリ上の2つ以上の箇所での実質的な固定接続は有益である。しかしながら、このような固定接続を完全に剛性のアセンブリとして構成することは、コネクタ607の径方向の自由な移動によって可能にする、径方向の変位の恩恵の一部又は全てを失うことになる。従って、接続アセンブリ608は、リングギアと車輪との間の接続経路に弾性コンポーネントを内蔵するのがよい。これは、所定の荷重がかかる場合に、径方向の変位を可能にし、高荷重時にコネクタ608の箇所での車輪リムに対するリングの変位を可能にする。このような高い荷重は、
図4及び
図5に例示した荷重例に起因する、車輪リムの変形によって誘発されたりする。このような構成は、車輪単独の振動又は回転によって誘発されるような、軽い荷重時の有意な動きにも抗して、車輪601上のリングギア700の過度の振動又はガタツキを防ぐことができる。
【0059】
図8は、下から図示した接続部608を有する
図6のアセンブリのさらなる詳細を示しており、ここではねじ付きの要素が通る開口部606に、ねじ付きの要素の頭部が係合しているのを見ることができる。コネクタ608と開口部606との間に弾性部材を位置させて、車輪リムとリングギアとの間のそのような接続で、多少の弾性変位を許すことができる。
【0060】
図9は、本発明の車輪601を示しており、ここではリングギア700が取り付けられていないフランジ604を見ることができ、開口部606の位置がより明確に見え、車輪リム602にフランジ604を設けるために作成されるグローアウト又は側方延伸部に形も見ることができる。
【0061】
本発明のインターフェイス部によって提供される、所望の径方向の隙間又は‘遊び’は、リングギア700の内径とフランジ604の外径との間に、上述した実施形態において例示した方法で提供することができるが、代替的配置によって提供することもできる。所望する径方向の動きの自由度は、リングギアと車輪601との間の接続を提供する、任意のインターフェイシングの部分間に提供することができ、このような自由度は、必ずしもリングギア700の内径にて与える必要も、フランジ604の外径にて与える必要もない。代替的に、車輪リムから延在するか、車輪の他の機構から代替的に延在する一連のタブ又は延伸部を設けることもできる。インターフェイス部の接続機構は、リブ605や、車輪リム又はリブ605又はハブ603に取り付けられる他のコンポーネント等の、中間機構に接続されてもよい。この接続機能を提供する航空機の車輪アセンブリの、共通のコンポーネントは、車輪アセンブリのブレーキコンポーネントを支えるブレーキバーである。従って、本発明のインターフェイス部を提供する接続部材は、車輪アセンブリのブレーキバーか、或いは代替的に、車輪アセンブリのその他の中間部材に接続してもよい。
【0062】
図10は、本発明のリングギア700を示し、接続部材607は、リングギアに設けたタブ701における開口部に位置する。
図7及び
図8に示したように、1つの固定コネクタ608は、開口部の1つに位置し、リングギア700と車輪601との間に弾性接続を提供するための弾性部材を含むことができる。
【0063】
図11及び
図12は、例示実施形態のアセンブリにおいて用いることができるコネクタ部材の例を示している。コネクタ部材100は、リングギアの開口部に位置する、第1の部分101と、車輪リムの開口部に位置する、第2の部分102とを有する。第1の部分101及び第2の部分102のどちらかには、それが位置することになる、開口部又はキャビティの対応するネジ山と係合するネジ山を設けてもよい。工具をコネクタ部材に挿入し、コネクタ部材を回転させ、それを固定して取り付ける、対応する開口部又はキャビティのネジ山に係合させるために、回転駆動機構103を設けてもよい。部分101又は102のどちらかは、ネジ切りされていない滑らかな外面とすることができ、その部分と、対応するリングギア又は車輪の開口部との間に小さい隙間嵌めを設けて、コネクタ部材が、それを受け入れる開口部に対して、長手方向軸に沿って並進でき、リングギアの、車輪ハブの変形からの所望の隔離を提供する。
図12では、コネクタ部材を回転させるために、プレーナ又はクロスヘッド型の工具又はねじ回しを受け入れるための、さらなる代替的な駆動機構を見ることができる。
【0064】
図13は、本発明の機能部がどのようにリングギア700を車輪リム602における変形から隔離するかの概略図を示している。矢印131の方向に作用する荷重は、車輪リムをその荷重の方向に圧縮させるため、車輪ハブの側面は矢印132の方向に外側に撓む。この図では、接続部材607は、リングギア700に接続され、車輪リム602に接続されるか、又は車輪リム602に形成された、開口部内を内向きと外向きに自由に動くことができる。このように、リム602は変形することができ、ギア700は実質的にその変形による影響を受けない。従って、矢印134の方向又は反対方向のトルクは、リングギア700と車輪リム602との間に伝達される。1つ以上の弾性スペーサ133を、リングギアと車輪リムとの間の接続経路に位置されて、低荷重レベル下でのリングギアの過度な動きを防ぎ、上述のような不必要なガタツキや振動を防ぐことができる。接続部材607は細長形とすることができ、前出の図に例示したように、円形外形の実質的に円筒状とすることができる。接続部材の1つ以上は、ギア及び/又は車輪と一体的に形成されてもよい。
【0065】
さらなる自由度が、一般に‘ローズジョイント’と称される球面軸受けに1つ以上の接続部材の一端又は両端に取り付けることによって提供される。これは、球面軸受け又はローズジョイントがどこに位置するかに応じて、リングギア及び/又は車輪に対して、接続部材の或る程度の角度偏向並びに上述したそれらの長手方向軸に沿う長手方向の撓みを許容することができる。
【0066】
従って、本発明のインターフェイスによって提供される隙間又は径方向動きの自由度は、本発明の車輪及びリングギアに設けられるフランジと、対応するタブ又は延長部の組との間に提供されると認識されたい。それは、代替的には、車輪及び/又はリングギアに取り付けられる中間コンポーネント間に提供することもでき、或いはリングギア及び車輪ハブのそれぞれに設けられる、一対のフランジ又は延長部604の間に提供することもできる。2つのコンポーネントのうちの少なくとも一方に対して並進できる接続部材を設けた、径方向に向けられた開口部は、車輪ハブの径方向の変形から、リングギアを径方向に隔離させる。トルクは、2つのコンポーネントを接続する径方向に向いた接続部材にせん断力を生成することによって、車輪ハブとリングギアとの間で伝達することができる。図面では、コンポーネントを完全に貫通する開口部を記述したが、開口部は、その中で、接続部材を長手方向に動かせる適切なキャビティとしてもよい。
【0067】
上述した構成のそれぞれにおいて、スプロケットとローラーギア/ローラーチェーンとの間のかみ合いを介して駆動を達成する原理は、被駆動ギアがスプロケットを備え、駆動ピニオンがローラーギア/ローラーチェーンを備える場合、及びその逆の場合にも適用することができる。本発明を1つ以上の好ましい実施形態につき説明したが、添付の請求項にて規定される本発明の範囲から逸脱しない範囲で、種々の変形や修正が可能である。