(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571695
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】電子音響トランスデューサを備える電子音響部品
(51)【国際特許分類】
H03H 9/145 20060101AFI20190826BHJP
H03H 9/72 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
H03H9/145 Z
H03H9/72
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-575494(P2016-575494)
(86)(22)【出願日】2014年6月24日
(65)【公表番号】特表2017-528021(P2017-528021A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2014063296
(87)【国際公開番号】WO2015197111
(87)【国際公開日】20151230
【審査請求日】2017年1月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】500480274
【氏名又は名称】スナップトラック・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】リ, シアン イ
(72)【発明者】
【氏名】シャマリ, ステファン
(72)【発明者】
【氏名】コウ, ソク フォン
【審査官】
橋本 和志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−287680(JP,A)
【文献】
特開昭51−042446(JP,A)
【文献】
特開2009−060412(JP,A)
【文献】
特開昭49−107156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H9/00−9/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子音響部品であって、
圧電基板(PSU)と、
前記圧電基板(PSU)上に配設された第1の電子音響トランスデューサと、
前記圧電基板(PSU)上に配設された第2の電子音響トランスデューサと、を有し、当該第2の電子音響トランスデューサは、
1つの第1のバスバー(BB)および1つの第2のバスバー(BB)と、
複数の電極フィンガ(EF)であって、各々の電極フィンガ(EF)が、縦方向(X)に沿って延伸し、横方向(Y)で互いに隣接して配設された、複数のサブトラック(ST1...STN)に分割された、複数の電極フィンガ(EF)と、
を備え、
各々の電極フィンガ(EF)は、前記第1および第2のバスバー(BB)のいずれか1つに接続されており、
前記サブトラック(ST)の少なくとも第1のサブトラックは、複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントを備え、かつ複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントを有する1つの付随するサブトラック(ST)を有し、
前記第1のサブトラック(ST1)の複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントは、前記付随するサブトラック(ST)の複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントに対して相対的に、前記第1の電子音響トランスデューサとの音響結合が減少するように、縦方向(X)に沿ってλ/2の距離でずれており、
前記λは音響波長である、
ことを特徴とする電子音響部品。
【請求項2】
前記バスバー(BB)および前記電極フィンガ(EF)は、LiTaO3,LiTaNbO3,および/または石英を含む1つの圧電基板(PSU)上に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載の電子音響部品。
【請求項3】
前記バスバー(BB)および前記電極フィンガ(EF)は、1つのLT42圧電基板(PSU)上に配設されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の電子音響部品。
【請求項4】
前記第2の電子音響トランスデューサは、リーキー波モードの利用のために構成されていることを特徴とする、請求項1乃至3に記載の電子音響部品。
【請求項5】
前記第1のサブトラック(ST1)の複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントは、前記付随するサブトラック(ST)の複数の電極フィンガ(EF)の複数のセグメントに対して、相対的に傾けられていることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項6】
2,3,4,5,6,7,8,9,または10個のサブトラックを備えることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項7】
前記複数の電極フィンガ(EF)は、前記第1および第2のバスバー(BB)に対して、相対的に傾けられていることを特徴とする、請求項1乃至4及び6のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項8】
前記電極フィンガ(EF)の一方の端部の他方の端部に対する、前記縦方向(X)に沿ったずれがλとなっていることを特徴とする、請求項7に記載の電子音響部品。
【請求項9】
各々のサブトラック(ST)が、当該サブトラックに付随した、λ/2のずれた距離を有するサブトラックを含むことを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項10】
隣接するサブトラック(ST)の間の距離Dは、4λ≦D≦6λであることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項11】
前記第1の電子音響トランスデューサは、前記第2の電子音響トランスデューサの隣に縦方向(X)側で離間して配設されていることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項12】
前記第1のサブトラック(ST1)を出発する音響波が縦方向(X)で当該第1のサブトラックに付随するサブトラック(ST)を出発する音響波と打ち消し合うように干渉することを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項13】
前記第1のサブトラック(ST1)、および当該第1のサブトラック(ST1)と当該第1のサブトラックに付随するサブトラックと(ST)の間の中間部の、異なるメタライジング比ηが、1つの導波構造を確立することを特徴とすることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【請求項14】
前記圧電基板(PSU)上に配設された第3および第4の電子音響トランスデューサ(TD)をさらに備え、前記第1、第2、第3、および第4の電子音響トランスデューサ(TD)は、2×2の行列配置に配設されていることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の電子音響部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は
、電子音響トランスデュー
サを備える、たとえばRFフィルタ部品のような
電子音響部品に関する。
【背景技術】
【0002】
電子音響トランスデューサは、たとえばモバイル通信装置のRFフィルタ部品に用いることができる。電子音響トランスデューサを備えるRFフィルタは、音響波で動作する。電磁波と比較して音響波の速度が遅いので、空間的なサイズは極小化される。このようなフィルタを備える電子音響部品は、SAW(SAW=Surface Acoustic Wave),GBAW(GBAW=Guided Bulk Acoustic Wave),またはBAW(BAW=Bulk Acoustic Wave)で動作するものであってよい。SAW,GBAW,またはBAWで動作するトランスデューサは、既に高い集積密度に達しているが、しかしながら、これらの部品はますます多くの機能を提供するようになっているコンシューマ製品に用いられるので、さらなるサイズ低減がますます重要となっている。
【0003】
増加した集積密度を有する部品の1つの問題は、近接して配設されたトランスデューサ間の相互作用である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、さらなる小型化を可能とする電子音響トランスデューサを提供することであり、そして電子音響トランスデューサを備える電子音響部品を提供することである。
【0005】
1つの電子音響トランスデューサは、1つの第1および第2のバスバーを備える。このトランスデューサは、さらに複数の電極フィンガおよび2つ以上の複数のサブトラックを備える。従来のトランスデューサのように、各々の電極フィンガは、これら2つのバスバーの1つに電気的に接続されている。各々のサブトラックは、縦方向に沿って延伸しており、そして全てのサブトラックは、横方向に互いに隣接して配設されている。少なくとも1つの第1のサブトラックは、上記の電極フィンガ(複数)のセグメント(複数)を含んでおり、そして上記の複数のサブトラックに含まれる、1つの付随したサブトラックを有しており、ここでこの付随したサブトラックも、電極フィンガ(複数)のセグメント(複数)を含んでいる。この第1のサブトラックの電極フィンガのセグメントは、これに付随したサブトラックの電極フィンガのセグメントに対して相対的に、縦方向に沿って距離S=λ/2ずれている。ここでλは、上記の電極フィンガのパターンによって励起され得る音響波の音響波長である。
【0006】
リーキー波を利用するSAWトランスデューサのようなトランスデューサは、境界条件を満足するために、SAWまたはBAWのような音響波を放射する必要がある。このような放射された波は、上記のトランスデューサを出て縦方向に進む。この縦方向は、トランスデューサにおいて励起される波の従来の伝播方向である。この縦方向に沿ってこのトランスデューサの隣に他の1つのトランスデューサが配設されていると、これらの放射された波は、このさらなるトランスデューサに進入し、これらのトランスデューサ間の不要な音響カップリングを生じ得る。このカップリングは音響特性の劣化の原因となり、そしてこのようなトランスデューサを有するフィルタの信号品質は、特に阻止帯域において、極めて劣化する。たとえば、第1のトランスデューサから放射されたBAWは、圧電基板の底面で反射されて、第1のトランスデューサと同じ基板の面上に配設されている第2のトランスデューサに進入し得る。
【0007】
上述のトランスデューサは、他の1つのトランスデューサにおいては望ましくない波を放射し得る、1つの第1のサブトラックを有する。しかしながら、このトランスデューサはさらに1つのこれに付随したサブトラックを有し、このサブトラックも同様に、望ましくない波を放出し得る。この波は、そのずれ距離S=λ/2により、上記の第1のサブトラックから放射された波に対し相対的に180°の位相ずれを有する。この第1のサブトラックの波およびこの第1のサブトラックに付随したサブトラックの波が共に同時に到着する所ではどこでも、実質的な打消しが得られ、そして隣接するトランスデューサ間の望ましくない音響カップリングが除去される。
【0008】
しかしながら、異なるサブトラックの電極フィンガのそれぞれのセグメントを電気的に接続している導体パターン(複数)が回折を生じ得るので、上記のトランスデューサを用いたRFフィルタの挿入損失は増大し得る。
【0009】
しかしながら、このトランスデューサが適切に設計されていれば、良い効果が悪い効果を上回り、そして改善されたRFフィルタ部品を可能とする改善されたトランスデューサが得られる。
【0010】
少なくとも1つのサブトラック、すなわち上記の第1のサブトラックが上述のような付随したサブトラックを有している限り、本発明による電子音響トランスデューサのサブトラックの数は制限されない。しかしながら、複数のサブトラックが存在し、ここで各々のサブトラックがそれぞれの付随したサブトラックを備えることも可能である。たとえば、サブトラックの数Nが偶数である場合、N/2個のサブトラックのペアが存在し、各々のペアはそれぞれ付随するサブトラックの効果を相殺する。1つのサブトラックとその付随するサブトラックは、互いに直接隣接して配設されていてよい。しかしながらこのサブトラックとこれに付随するサブトラックとの間に、1つ以上の他のサブトラックが配設されていることが可能である。たとえば、約半数のサブトラックが、1つのサブトラックとその付随するサブトラックとの間に配設されることが可能である。さらに詳細には、Nがサブトラックの数である場合、N/2−1個のサブトラックが各々のサブトラックとこれらに対応する付随するサブトラックとの間に配設されてよい。
【0011】
従来のトランスデューサと同様に、バスバー(複数)および電極フィンガ(複数)、およびこれらのそれぞれのセグメント(複数)は、圧電材料上に配設されており、この圧電材料は単結晶基板であってよい。この圧電材料は、LiTaO
3(タンタル酸リチウム),LiNbO
3(ニオブ酸リチウム),および/または石英を含んでよい。
【0012】
本トランスデューサで利用される音響波は、レイリー波,リーキー波,SH波(Sheer Horizontal waves;横方向剪断波),および他の従来使用されている波であってよい。
【0013】
本発明のアイデアは、材料パラメータに依存せずに、放射された波の悪い効果を低減することである。この結果本発明のアイデアは、いかなる従来のトランスデューサにも適用することができる。この結果、波の伝播方向を規定する、従来知られているオイラー角を用いることができる。
【0014】
特にLT42の圧電基板は、上記のバスバーおよび電極フィンガを担持するのに適している。LT42基板は、42RYカットのLiNbO
3基板である。
【0015】
こうして上記のトランスデューサは、リーキーモードの利用に特化されることが可能となる。こうして、このトランスデューサが動作している場合にリーキーモードが励起される。
【0016】
各々の電極フィンガは、上記の2つのバスバーの1つに電気的に接続されており、これより1つの電位に接続される。異なるバスバーに接続されている、隣接している電極フィンガが、圧電効果によってRF信号を音響波に変換するために、あるいはこの逆の変換を行うために使用される。しかしながらこの電極フィンガは、縦方向に沿って、それぞれ付随して対応するサブトラックに対応してずれていてよいセグメント(複数)を有している。
【0017】
この結果、斜めの導体セグメント(複数)が1つのフィンガのそれぞれのセグメント(複数)を電気的に接続してよく、ここでこれらのセグメントは、異なるサブトラックに属しているが、ただし隣接したサブトラックに属している。これらの斜めの導体セグメントは、こうして縦方向に対し1つの角度で斜めの方向に向いており、この方向はこの縦方向に沿った相対的なずれに依存し、そして隣接するサブトラック間の横方向に沿った距離に依存している。
【0018】
上記の斜めのフィンガセグメント(複数)は、上記のサブトラックにおける電極フィンガのフィンガセグメント(複数)と同じ材質を含んでよい。しかしながら、上記の斜めのフィンガセグメント(複数)の密度および/または上記の斜めのフィンガセグメントのメタライジング比ηは、これらに対応する、上記のサブトラック(複数)におけるフィンガセグメント(複数)の値から変更されていてよい。
【0019】
サブトラックの数は、2,3,4,5,6,7,8,9,または10であってよい。しかしながら、偶数個のサブトラックが好ましい。
【0020】
さらに、サブトラックの数は、100,1,000,1,000,000,本質的には無限大まで増加することができ、これに応じてそれぞれのサブトラックの幅が減少し、一方隣接するサブトラックのずれもまた低減される。こうして隣接するサブトラック間の距離もまた低減される。N→無限大への移行が達成されると、トランスデューサの電子音響的に活性な領域が電子音響的に活性な斜めの電極フィンガによって覆われた1つのトランスデューサが得られる。
【0021】
この結果、斜めのフィンガセグメント(複数)が、無限大の数の直接隣接したサブトラックを、これに対応する無限小の幅で確立することが可能である。
【0022】
これらの電極フィンガの一方の端部の、これらの電極フィンガの他方の端部に対する縦方向に沿った相対的なずれが、λとなることが可能である。
【0023】
全ずれ量λを用いて、N/2個の複数のサブトラックおよびこれらのサブトラックに対応して付随する、相対的な位相ずれがλ/2のサブトラックを容易に得ることができる。
【0024】
各々のサブトラックが、ずれ距離S=λ/2を有する付随するサブトラックを有することが可能である。
【0025】
隣接するサブトラック間で上記の横方向に沿った距離Dが、4λまたは6λに等しく、あるいは4λ〜6λの値であることが可能である。とりわけ、サブトラックの数が2であり、そしてこれら2つのサブトラック、第1のサブトラックおよびその付随するサブトラックが、距離D、4λ≦D≦6λの距離で分離されていてよい。
【0026】
上記のトランスデューサを、もう1つのトランスデューサの隣に配設することが可能である。このもう1つのトランスデューサは、上述したように縦方向で隣接して構築されていてよい。
【0027】
しかしながら、第1のトランスデューサが、1つのサブトラックとその付随するサブトラックとの間で90°の位相ずれを有し、もう1つのトランスデューサが同様に、1つのサブトラックとその付随するサブトラックとの間で90°の位相ずれを有して配設され、第1のトランスデューサの位相ずれともう1つのトランスデューサの位相ずれとが加算されて180°となり、相殺する干渉を生じることも可能である。
【0028】
さらに、上記の第1のサブトラックを出発する音響波が縦方向でこの第1のサブトラックに付随するサブトラックを出発する音響波と打ち消し合うように干渉することが可能でありまた望ましく、特にもう1つの電子音響フィルタ素子が配設されている位置で打ち消し合うように干渉することが望ましい。
【0029】
上記の第1のサブトラック、およびこの第1のサブトラックとこの付随するサブトラックとの間の中間部の、異なるメタライジング比ηが、1つの導波構造を確立することが可能である。さらにこのような導波構造は、異なる質量負荷によって得ることができる。この異なる質量負荷は、異なる密度の電極材料によって、あるいはサブトラック(複数)またはこれらのサブトラック間の帯状部分におけるさらなる材料の堆積によって得ることができる。
【0030】
音響波の速度は、上記の圧電材料の表面における金属の質量負荷に依存し、他に基板材料のヤング率のようなパラメータに依存する。音響波の速度が変化する界面で、回折効果が生じる。このような界面は、1つのサブトラックとこれに隣接するサブトラックとの間の界面、あるいは1つのサブトラックと隣接するサブトラックとの間の、斜めの電極フィンガセグメント(複数)を有する帯状部分である。この結果回折効果は、特にバンドパスフィルタの通過帯域において、挿入損失を悪化させるが、横方向への音響波の放出が低減された導波構造を得ることができる。さらに、ピストンモードのような望ましい音響モードを得ることが可能であり、あるいはピストンモードの純度の程度を向上することができる。
【0031】
トランスデューサを有する1つの電子音響部品が、1つ以上のトランスデューサを備えることが可能である。 特に、1つの電子音響部品は、2つのトランスデューサを備えてよく、この内少なくとも1つのトランスデューサは、上述のトランスデューサである。上述のようなトランスデューサと、このトランスデューサに隣接して配設された従来のトランスデューサとを、特に縦方向に配設したものを用いて、これらのトランスデューサ間の音響カップリングを極小とすることができる。
【0032】
さらに、この部品がさらに2つのトランスデューサを備え、ここで4つのトランスデューサが、2×2の行列配置に配設されることが可能である。これらのトランスデューサの内の2つ、特に横方向に隣り合って配設されたものは、上述したタイプのものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明によるトランスデューサの動作原理と、それに限定するものでない実施形態が以下の概略図に示される。
【
図1】N個のサブトラックを有する1つのトランスデューサ、およびこのトランスデューサの向きに対する縦方向Xと横方向Yの関係を示す。
【
図2】2つのサブトラックをゆする1つの実施形態を示す。
【
図3】斜めの電極フィンガ(複数)によって実現されている、実質的に無限大の数(N=無限大)のサブトラックを有する1つの実施形態を示す。
【
図5】4個のトランスデューサを有する1つのRFフィルタへの応用を示す。
【
図6】改善されたトランスデューサによって得られる帯域外阻止性能の改善を示す。
【
図7】改善されたトランスデューサのさらなる有益な態様を示す。
【
図8】改善されたトランスデューサのさらなる有益な態様を示す。
【0034】
図1は、2つのバスバーBBを備える1つのトランスデューサTDを示す。複数の電極フィンガEFは、各々の電極フィンガEFがこれら2つのバスバーBBの1つに正確に接続されるように、接続されている。このトランスデューサは、N個の複数のサブトラックを備える。これらのサブトラックは、このトランスデューサの電子音響的に活性な領域である。各々のサブトラックは、上記のバスバーBBに対して垂直な電極フィンガ(複数)のセグメント(複数)を有する。それぞれのサブトラックの対応する電極フィンガのセグメント(複数)は、隣接するサブトラックのそれぞれ対応するセグメント(複数)と、斜めの導体パターンによって電気的に接続されている。隣接する電極フィンガは、異なるバスバーに接続されており、これらのバスバーに印加されたRF信号を音響波に変換し、あるいはこの逆の変換を行う。主に音響波の速度および隣接する電極フィンガ間の距離が、このトランスデューサの共振周波数および反共振周波数を決定する。これらの電極フィンガで励起された音響波は、縦方向Xに沿って伝播する。サブトラック(複数)STは、こうして縦方向Xに沿って延伸する帯状部分(複数)を形成し、これら隣接するサブトラック(複数)の帯状部分(複数)は横方向Yで隣接して次々に配設されている。これらのサブトラックの少なくとも1つでは、第1のサブトラックおよびその付随するサブトラックの縦方向Xに沿ったずれはλ/2となっている。この第1のサブトラックから放出された音響波(ここではST
2)、およびその付随するサブトラックから放出された音響波(ここではST
N)は、縦方向Xに沿った位置で打ち消し合うように干渉する。この、縦方向Xに沿った位置にもう1つのトランスデューサが配設されてよい。数Nには基本的に制限がない。Nが増加し、無限大となると、
図3に示すような結果となる。
【0035】
図2は、2つのサブトラックST
1およびST
2を有する1つのトランスデューサTDを示す。この結果サブトラックの総数Nは2となる。縦方向Xに沿った、これら2つのサブトラックの間のずれは、λ/2となる。横方向Yに沿った、これら2つのサブトラック間の距離は、Dで示されている。
【0036】
図3は、数学的にN→∞に移行することにより、得られる1つのトランスデューサTDを示し、このトランスデューサは、上記のバスバーの延伸方向に対して90°以外の角度を有する斜めの電極フィンガを配設することによって得られる。 縦方向Xに沿った、各々のフィンガの2つのフィンガ端部間のずれSは、好ましくはλである。
【0037】
図4は、音響トラックの異なる部分で質量負荷を変化することによって導波構造を形成するアイデアを示す。ここではサブトラックの数はN=2であり、そしてこれら2つのサブトラック間の領域のメタライジング比ηは、これら2つのサブトラックにおけるメタライジング比ηに対して、これら2つのサブトラック間で横方向Yに沿った波の速度が増加するように選択されている。さらに、スタブ状のフィンガが、それぞれのバスバーに接続されてよく、こうして導波構造がさらに形成される。この音響波は、ギャップ領域、すなわち1つの極性の1つの電極フィンガをこれに対応する反対の極性の電極パターンから分離する領域において、最大の値を取り得る。
【0038】
図5は、1つの圧電基板PSUのレイアウトの1つのアイデアを示し、ここでは上記のTDのアイデアによるトランスデューサ(複数)が配設されている。各々のトランスデューサは、第1のサブトラックST
1および第2のサブトラックST
2を備え、これらは縦方向にそって基本的に距離λ/2ずれている。これら2つのトランスデューサの右側に隣接して、縦方向に沿った位置で、さらなるトランスデューサ(複数)が配設されており、これらはその左側のトランスデューサ(複数)と電気的に接続されている。いずれの場合でも、右側のトランスデューサ(複数)は、左側のトランスデューサ(複数)と音響的にカップリングされているが、ただし左側のトランスデューサの分割されたトラックの特性のために、音響カップリングの悪い影響は大幅に低減されている。
【0039】
圧電基板PSUは、グラウンドGNDと接続するため、あるいは信号SIGの接続のためのさらなるコンタクトパッドを備えてよい。
【0040】
以上により、本発明によるアイデアを用いて、隣接するトランスデューサ間の距離を最小にすることができ、一方上記の音響カップリングの悪い影響が低減されている。
【0041】
図6は、上述のようなトランスデューサを備える1つのデュプレクサの、周波数に依存した挿入損失(行列要素S21)を示す。比較のため、従来のデュプレクサの挿入損失も示されている。本発明による改善されたデュプレクサは、回折効果により、通過帯域において0.3dB大きな挿入損失を有しているが、これに対応する阻止帯域における従来のデュプレクサ(特性曲線IL1)のスパイクが本デュプレクサ(特性曲線IL2)では低減または除去されている。
【0042】
図6は、バンドV用の1つのフィルタおよびバンドVIII用の1つのフィルタに対する特性曲線を示す。
【0043】
同様な改善が
図7に示されており、ここで特性曲線IL3は、従来のバンドV用のフィルタの挿入損失を示し、これに対し特性曲線IL4は、本発明による、斜めの電極フィンガを有する改善されたトランスデューサを備える、たとえば無限大の数のサブトラックを有するバンドパスフィルタの挿入損失を示す。
【0044】
図8は、通過帯域の下の周波数における本発明による改善を示し、ここで特性曲線IL5は従来のバンドパスフィルタの挿入損失を示し、これに対して特性曲線IL6は、本発明による、斜めの電極フィンガを有する改善された、バンドVIII用のフィルタの挿入損失を示す。
【0045】
本発明のアイデアは、上記の図示された実施形態あるいはトランスデューサあるいは部品に限定されない。反射器,ダミーフィンガ,スプリットフィンガ電極,等のさらなる電極パターンを備えるトランスデューサおよび/または部品も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
BB : バスバー
D : 隣接するサブトラック間のこれらの横方向の距離。
EF : 電極フィンガ
GND : グラウンド接続部
IL1, ...,IL6 : 挿入損失(行列要素S
21)
PSU : 圧電基板
S : 縦方向に沿ったずれ
SIG : 信号接続部
ST
1, ...,ST
N : サブトラック
TD : トランスデューサ
V : 音響波速度
X : 縦方向
Y : 横方向
η : メタライジング比
λ : 音響波波長