(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、添付図面を参照して具体的に説明する。特に、プラズマ処理システムに適用される高周波電源を例に説明する。
【0026】
図1は、本発明に係る高周波電源の内部構成を示すブロック図である。
【0027】
図1に示す高周波電源1は、振幅が第1レベルになるハイレベル期間と、振幅が第1レベルより低い第2レベルになるローレベル期間とを有するパルス状の高周波電力を出力する。高周波電源1は、2個のパワーアンプと両パワーアンプの出力電力を合成する電力合成回路とを備えている。電力合成回路は、入力された電力をすべて出力する状態から、すべて熱消費することで出力を0にする状態まで、入力される2つの電圧信号の位相差θに応じて合成割合を変化させることができる。高周波電源1は、2個のパワーアンプに入力される2つの高周波電圧v
a,v
bの位相差θを2つの値(第1の位相差θ1および第2の位相差θ2(>θ1))で切り替えることにより、電力合成回路からの出力を、パルス状の高周波電力とする。すなわち、所定期間において位相差θを第1の位相差θ1とすることで、電力合成回路からの出力を第1レベルの電力とし(ハイレベル期間)、続く所定期間において位相差θを第2の位相差θ2とすることで、電力合成回路からの出力を第2レベルの電力とし(ローレベル期間)、これを繰り返すことで、パルス状の高周波電力を出力する。
【0028】
高周波電源1は、AC−DC変換部2、DC−DC変換部3、DC−RF変換部4、RF合成部5、フィルタ回路6、電力検出部10、PWM信号生成部7、高周波信号生成部8、および、制御部9を備えている。DC−RF変換部4とRF合成部5とを含む部分は、負荷に高周波電力を出力する高周波生成部Uを構成している。DC−RF変換部4は、同一構成の2つのDC−RF変換部4A,4Bを備えている。第1のDC−RF変換部4Aから出力される電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bから出力される電力P
Bとは、RF合成部5で合成されて、高周波電源1の出力端に接続される負荷(プラズマ処理装置。図示省略)に出力される。
【0029】
AC−DC変換部2は、商用電源からDC−DC変換部3への入力電圧(直流電圧)V
ccを生成する回路ブロックである。AC−DC変換部2は、例えば、4個の半導体整流素子をブリッジ接続した整流回路で商用電源から入力される商用電圧を整流し、平滑回路で整流後のレベルを平滑化して直流電圧V
ccを生成する周知の電源回路で構成される。
【0030】
DC−DC変換部3は、AC−DC変換部2から入力される直流電圧V
ccを任意の電圧値の直流電圧V
dcに変換して、DC−RF変換部4に出力する回路ブロックである。
【0031】
DC−DC変換部3は、例えば、
図2に示す、インバータに整流回路を組み合わせた周知のDC−DCコンバータで構成される。
図2の回路例は、4個の半導体スイッチ素子Q
Aをブリッジ接続したブリッジ回路からなるインバータ301にトランスT1を介して整流回路302を接続した回路である。整流回路302は、4個の半導体整流素子D
Aをブリッジ接続し、その一対の出力端に平滑用のコンデンサCを並列に接続した回路である。整流回路302の一対の出力端は、DC−DC変換部3の出力端a,a'にそれぞれ接続されている。半導体スイッチ素子Q
Aには、バイポーラトランジスタ、電界効果型トランジスタ、IGBT等が用いられ、半導体整流素子D
Aにはダイオードが用いられる。
【0032】
DC−DC変換部3は、PWM信号生成部7より入力されるPWM信号S
PWMに基づいて、インバータ301の4個の半導体スイッチ素子Q
Aをオン状態とオフ状態とで切り替える。PWM信号S
PWMのデューティ比(以下、PWMデューティ比という)に応じた直流電圧V
dcが、DC−DC変換部3から出力される。PWMデューティ比が大きいほど、直流電圧V
dcが大きくなる。
【0033】
DC−RF変換部4は、DC−DC変換部3から入力される直流電力を予め設定された高周波電力に変換する回路ブロックである。高周波電力の出力周波数は、2.0MHzや13.56MHzなどのプラズマ処理用に規定された周波数である。DC−RF変換部4内には同一構成の2つのDC−RF変換部4A,4Bが設けられている。
【0034】
第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bは、
図3に示すハーフ・ブリッジ型のD級アンプで構成される。同図に示すD級アンプは、一対の電源端子b,b'の間に2つの同一タイプの半導体スイッチ素子Q
Bの直列回路を接続し、2つの半導体スイッチ素子Q
Bの接続点nと出力端子cとの間に出力回路401を接続した構成である。出力回路401は、直流カット用のコンデンサと、コンデンサとリアクトルのL型回路とを縦属接続したフィルタ回路である。トランスT2は、一対の半導体スイッチ素子Q
Bの駆動を行うドライブ回路を構成している。トランスT2は、一次巻線に高周波電圧vが入力され、一方の二次巻線(
図3では上側の二次巻線)から高周波電圧vと同相の高周波電圧v'を出力し、他方の二次巻線(
図3では下側の二次巻線)から高周波電圧vと逆相の高周波電圧−v'を出力する。高周波電圧v'は一方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では上側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力され、高周波電圧−v'は他方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では下側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力される。トランスT2の一次巻線に入力される高周波電圧vは、2.0MHzや13.56MHzなどのプラズマ処理用に規定された出力周波数fの正弦波電圧である。
【0035】
第1のDC−RF変換部4Aの電源端子bと電源端子b'は、それぞれ第2のDC−RF変換部4Bの電源端子bと電源端子b'に接続され、電源端子bと電源端子b'の間にDC−DC変換部3の出力端子a,a'から出力される直流電圧V
dcが供給される。一対の半導体スイッチ素子Q
BにはNチャネル型のMOSFETが用いられるが、バイポーラトランジスタ等の他の種類のトランジスタを用いることができる。また、一対の半導体スイッチ素子Q
BをNチャネル型とPチャネル型を組み合わせたコンプリメンタリ型にしてもよい。この場合は、トランスT2の二次巻線は一つでよく、高周波電圧v'をそれぞれNチャネル型のMOSFETとPチャネル型のMOSFETのゲートに入力すればよい。
【0036】
第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの各トランスT2の一次巻線に入力される高周波電圧v
a,v
b(添え字のa,bはそれぞれ第1DC−RF変換部4Aと第2のDC−RF変換部4Bに対応することを示す。以下、同じ。)は、高周波信号生成部8で生成される。高周波信号生成部8は、v
a=A・sin(ω・t+φ
a)、v
b=A・sin(ω・t+φ
b)で表わされる高周波電圧v
a,v
bを生成する。なお、角周波数ω=2πfであり、以下でも、出力周波数fの代わりに角周波数ωを用いる場合がある。高周波電圧v
aの初期位相φ
aは0[deg]に固定されており、高周波電圧v
bの初期位相φ
bは可変である。高周波信号生成部8は、制御部9から入力される位相差θ=φ
b−φ
aの情報に基づいて高周波電圧v
bの初期位相φ
b(=θ)を変化させる。位相差θの変化のさせ方については後述する。なお、初期位相φ
bを0[deg]に固定して、初期位相φ
aを可変としてもよいし、初期位相φ
a、φ
bとも可変としてもよい。例えば、初期位相φ
aを0[deg]から−90[deg]まで変更可能とし、初期位相φ
bを0[deg]から90[deg]まで変更可能として、位相差θ=90[deg]の場合はφ
a=−45[deg]、φ
b=45[deg]を設定するようにしてもよい。
【0037】
第1のDC−RF変換部4Aでは、高周波電圧v
a=A・sin(ω・t)がトランスT2の一次巻線に入力されると、トランスT2の一方の二次巻線から同相の高周波電圧v
a'=A'・sin(ω・t)が出力され、トランスT2の他方の二次巻線から逆相の高周波電圧−v
a'=−A'・sin(ω・t)が出力される。同相の高周波電圧v
a'は、一方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では上側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力され、逆相の高周波電圧−v
a'は、他方の半導体スイッチ素子Q
B(
図3では下側の半導体スイッチ素子Q
B)に入力される。2つの半導体スイッチ素子Q
Bは、Nチャネル型MOSFETであるから、一方の半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧v
a'のハイレベル期間にオン動作をし、他方の半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧−v
a'のハイレベル期間にオン動作をする。すなわち、2つの半導体スイッチ素子Q
Bは、高周波電圧v
a'の半周期毎に交互にオン・オフ動作を繰り返す。
【0038】
2つの半導体スイッチ素子Q
Bが交互にオン・オフ動作を繰り返すことによって、接続点nの電圧v
nは、v
a'>0の期間に「V
dc」となり、v
a'≦0の期間に接地レベルとなるように矩形波状に変化する。その矩形波が出力回路401で直流分とスイッチングノイズとを除去されて、出力端子c,c'から高周波電圧v
aを増幅した高周波電圧v
PA=V・sin(ω・t)として出力される。
【0039】
第2のDC−RF変換部4Bは、上述した第1のDC−RF変換部4Aと同様の動作を行い、入力された高周波電圧v
bを増幅した高周波電圧v
PB=V・sin(ω・t+θ)を出力する。
【0040】
なお、本実施形態では、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bをハーフ・ブリッジ型のアンプで構成しているが、フル・ブリッジ型やプッシュ・プル型のアンプで構成してもよい。また、スイッチングアンプに限定されず、リニアアンプを用いるようにしてもよい。
【0041】
RF合成部5は、DC−RF変換部4から出力される2つの高周波電力P
A,P
Bを合成する回路ブロックである。RF合成部5は、例えば、
図4に示す伝送トランスT3と抵抗Rとからなるハイブリッド回路によって構成される。ハイブリッド回路は、1つのサム・ポートN
Sと2つの入力ポートN
A,N
Bを有し、入力ポートN
Aに入力される交流電圧と入力ポートN
Bに入力される交流電圧に位相差があると、入力電力のうち位相差に応じた一部の電力を抵抗Rで熱消費し、残りの電力を出力する機能を有する。
【0042】
図4に示すように、第1のDC−RF変換部4Aから出力される高周波電圧v
PAは、一方の入力ポートN
Aに入力され、第2のDC−RF変換部4Bから出力される高周波電圧v
PBは、他方の入力ポートN
Bに入力され、サム・ポートN
Sから高周波電圧v
PXが出力される。
【0043】
サム・ポートN
Sに接続される負荷のインピーダンスが「R
o/2」の場合(RF合成部5と負荷とがインピーダンス整合をしている場合)のサム・ポートN
Sから出力される高周波電流i
PXと高周波電圧v
PXは、高周波電圧v
PA,v
PBをそれぞれv
PA=V・sin(ω・t)、v
PB=V・sin(ω・t+θ)とすると、下記のようになる。
【0044】
抵抗Rの両端の電圧v
Rは、
v
R=v
PA−v
PB=V・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)] …(1)
であり、入力ポートN
A,N
Bから伝送トランスT3に流れ込む電流i
A,i
Bと抵抗Rを流れる電流i
Rは、
i
A=v
PA/R
o=V・sin(ω・t)/R
o…(2)
i
B=v
PB/R
o=V・sin(ω・t+θ)/R
o…(3)
i
R=v
R/(2・R
o)
=V・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)]/(2・R
o)…(4)
である。
【0045】
したがって、伝送トランスT3の一次巻線と二次巻線に流れる電流i
LA,i
LBは、
i
LA=i
A−i
R=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/(2・R
o)…(5)
i
LB=i
B+i
R=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/(2・R
o)…(6)
で表わされ、サム・ポートN
Sから出力される高周波電流i
PXと高周波電圧v
PXは、
i
PX=i
LA+i
LB=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/R
o…(7)
v
PX=i
PX・(R
o/2)
=V・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]/2
=V・[sin{(ω・t+θ/2)−θ/2}+sin{(ω・t+θ/2)+θ/2}]/2
=V・[sin(ω・t+θ/2)・cos(θ/2)−cos(ω・t+θ/2)・sin(θ/2)
+sin(ω・t+θ/2)・cos(θ/2)+cos(ω・t+θ/2)・sin(θ/2)]/2
=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)…(8)
となる。
【0046】
出力ポートN
Sから出力される電力P
Xと抵抗Rで消費される電力P
Rを求めると、
P
X=v
PX2/(R
o/2)=2・v
PX2/R
o
=V
2・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]
2/(2・R
o)
=2・[V・cos(θ/2)]
2・sin
2(ω・t+θ/2)/R
o…(9)
P
R=v
R2/(2・R
o)
=V
2・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)]
2/(2・R
o)
=V
2・[sin{(ω・t+θ/2)−θ/2}
−sin{(ω・t+θ/2)+θ/2}]
2/(2・R
o)
=V
2・[sin(ω・t+θ/2)・cos(θ/2)−cos(ω・t+θ/2)・sin(θ/2)
−sin(ω・t+θ/2)・cos(θ/2)−cos(ω・t+θ/2)・sin(θ/2)]
2/(2・R
o)
=V
2・[−2cos(ω・t+θ/2)・sin(θ/2)]
2/(2・R
o)
=2・[V・sin(θ/2)]
2・cos
2(ω・t+θ/2)/R
o…(10)
となる。
【0047】
入力ポートN
A,N
Bから入力される電力P
A,P
Bは、P
A=V
2・sin
2(ω・t)/R
o、P
B=V
2・sin
2(ω・t+θ)/R
oであるから、RF合成部5に入力される電力P
inは、
P
in=P
A+P
B=V
2・[sin
2(ω・t)+sin
2(ω・t+θ)]/R
o
である。一方、RF合成部5から出力される電力P
Xと抵抗Rで熱消費される電力P
Rの合計電力P
sumは、
P
sum=P
X+P
R
=V
2・[sin(ω・t)+sin(ω・t+θ)]
2/(2・R
o)
+V
2・[sin(ω・t)−sin(ω・t+θ)]
2/(2・R
o)
=V
2・[2sin
2(ω・t)+2sin
2(ω・t+θ)]/(2・R
o)
=V
2・[sin
2(ω・t)+sin
2(ω・t+θ)]/R
o
であるから、P
in=P
sumである。
【0048】
したがって、θ=0[deg]であればP
R=0となり、入力電力P
inがそのまま出力電力P
XとなってRF合成部5から出力され、θ=180[deg]であればP
X=0となり、RF合成部5からの出力が0になる。そして、0[deg]<θ<180[deg]のときは、入力電力P
A,P
Bを位相差θに応じた所定の割合η(θ)で合成した合成電力が、出力電力P
XとしてRF合成部5から出力される。
【0049】
位相差θに応じた所定の割合η(θ)は、(9)式に示されるようにcos
2(θ/2)であり、この特性は、
図5の特性(イ)に示すようになる。電力の合成割合η(θ)は、位相差θが0[deg])の場合に100%であり、位相差θが大きくなるのに応じてcos
2(θ/2)の特性で単調に小さくなり、位相差θが180[deg]の場合に0%になる。本実施形態では、位相差θを第1の位相差θ1(例えば20[deg])と第2の位相差θ2(例えば160[deg])とで切り替えることで、合成割合が大きい状態η(θ1)と小さい状態η(θ2)とで切り替え、出力電力P
Xを、パルス状の高周波電力とする。なお、第1の位相差θ1を20[deg]とし、第2の位相差θ2を160[deg]としているのは、後述するように第1の位相差θ1および第2の位相差θ2を変化させることで出力電力制御を行うため、第1の位相差θ1および第1の位相差θ2の変動幅を持たせるためである。なお、第1の位相差θ1は、例えば0[deg]から90[deg]まで値とし、第2の位相差θ2は、例えば90[deg]から180[deg]までの値としてもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、第1の位相差θ1および第2の位相差θ2を、0[deg]から180[deg]までの範囲の値として設定しているが、これに限られない。例えば、180[deg]から360[deg]までの範囲の値として設定してもよいし、0[deg]から−180[deg]までの範囲の値として設定してもよい。
【0051】
なお、
図5の特性(イ)は、サム・ポートN
Sに接続される負荷のインピーダンスが「R
o/2」の場合の例であるが、サム・ポートN
Sに接続される負荷のインピーダンスが「R
o/2」と異なる場合でも、位相差θを0[deg]から180[deg]の範囲で変化させることにより、RF合成部5から出力される電力P
Xの大きさを制御することができる。
【0052】
RF合成部5に用いるハイブリッド回路は、
図4に示した回路構成に限られない。例えば、
図6に示す回路構成のハイブリッド回路をRF合成部5に用いることもできる。
図6に示すハイブリッド回路は、伝送トランスT3の一次巻線と二次巻線の両端をそれぞれコンデンサC'で接続した回路構成を有し、一次巻線の両端と二次巻線の両端の4つの端子が不平衡の入出力端子となっている。RF合成部5として用いる場合は、一次巻線の一方の端子p1が合成電力の出力端子となり、一次巻線の他方の端子p2と二次巻線の一方の端子p3が入力端子となり、二次巻線の他方の端子p4は熱消費用の抵抗Rを接続する端子となる。
【0053】
図4に示す回路構成では位相差θが0[deg]の場合は抵抗Rでの消費電力P
Rがゼロになったが、
図6に示す回路構成では、位相差θが90[deg]の場合に抵抗Rでの消費電力P
Rがゼロになり、位相差θが90[deg]からずれると、そのずれ分に応じた電力P
Rが抵抗Rで消費される。すなわち、
図6に示す回路構成の場合は、電力合成の割合η(θ)が
図4に示す回路構成に対して90[deg]進むので、
図5の特性(ロ)に示すように、cos
2(θ/2+π/2)=sin
2(θ/2)の特性になる。この場合、第1の位相差θ1および第2の位相差θ2を、−90[deg]から90[deg]までの範囲の値として設定すればよい。また、例えば、90[deg]から270[deg]までの範囲の値として設定してもよい。
【0054】
RF合成部5は、ハイブリッド回路と同様の機能を果たすものであれば、他の回路であってもよい。例えば、特開2008−28923号公報に記載の高周波電力合成器や実開平4−48715号公報に記載の出力合成回路を用いることができる。
【0055】
フィルタ回路6は、例えば、2つのコンデンサと1つのリアクトルのπ型回路で構成されるローパスフィルタ(LPF)である。フィルタ回路6は、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXおよび高周波電流i
PXの高調波を除去して基本波成分を負荷側に出力する機能を果たす。なお、フィルタ回路6は、ローパスフィルタ(LPF)であれば、コンデンサとリアクトルのπ型回路に限定されるものではない。
【0056】
電力検出部10は、高周波電源1が出力する例えば進行波電力P
fを検出するものである。電力検出部10は、方向性結合器を含み、その方向性結合器から高周波電圧v
outに含まれる進行波電圧v
fと反射波電圧v
rを検出する。そして、電力検出部10は、進行波電圧v
fを進行波電力P
fに変換して制御部9に出力する。また、反射波電圧v
rを反射波電力P
rに変換して制御部9に出力することもできる。
【0057】
PWM信号生成部7は、DC−DC変換部3を駆動するためのPWM信号S
PWMを生成し、そのPWM信号S
PWMをDC−DC変換部3に出力する。PWM信号生成部7は、あらかじめ設定されたPWMデューティ比に応じて、PWM信号S
PWMを生成する。DC−DC変換部3から出力される直流電圧V
dcを大きくしたい場合は、大きなデューティ比が設定される。また、DC−DC変換部3から出力される直流電圧V
dcを小さくしたい場合は、小さなデューティ比が設定される。なお、上記のPWMデューティ比は、後述するパルスのハイレベル期間の目標出力電力P
fs1に基づいて設定される。例えば、目標出力電力P
fs1とPWMデューティ比との関係を示すテーブルや関係式を有しており、そのテーブルや関係式に基づいてPWMデューティ比が設定される。そのため、目標出力電力P
fs1が変更されない限りPWMデューティ比は一定であるので、DC−DC変換部3から出力される直流電圧V
dcも一定である。
【0058】
高周波信号生成部8は、第1のDC−RF変換部4A内の半導体スイッチ素子Q
Bの駆動を制御する高周波電圧v
aと第2のDC−RF変換部4B内の半導体スイッチ素子Q
Bの駆動を制御する高周波電圧v
bとを生成する。高周波信号生成部8は、制御部9から入力される振幅A、出力周波数f、位相差θに基づいて高周波電圧v
a,v
bを生成して、高周波電圧v
aを第1のDC−RF変換部4Aに出力し、高周波電圧v
bを第2のDC−RF変換部4Bに出力する。
【0059】
高周波信号生成部8には、
図7に示すように、正弦波の高周波電圧v
aを発生する第1の高周波発生回路8aと、制御部9から入力される位相差θを用いて高周波電圧v
aに対して位相差θを有する正弦波の高周波電圧v
bを発生する第2の高周波発生回路8bと、が含まれる。第1の高周波発生回路8aおよび第2の高周波発生回路8bは、ダイレクト・ディジタル・シンセサイザーで構成される。
【0060】
第1の高周波発生回路8aには、高周波電圧v
aの振幅A、出力周波数fおよび初期位相φ
a(=0[deg])の情報が制御部9から入力される。出力周波数fは、上述したようにプラズマ処理システムに規定された2.0MHz、13.56MHz等の周波数である。初期位相φ
aは任意の値に設定可能であるが、本実施形態では、0[deg]に設定されている。第2の高周波発生回路8bにも高周波電圧v
bの振幅A、出力周波数fおよび初期位相φ
bの情報が入力されるが、θ=φ
b−φ
a、φ
a=0[deg]より、制御部9から出力される位相値θが初期位相φ
bの情報として入力される。φ
a≠0[deg]に設定した場合は、制御部9から出力される位相差θに初期位相φ
aを加算した値(θ+φ
a)が初期位相φ
bの情報として入力される。振幅Aおよび出力周波数fの情報は、第1の高周波発生回路8aに入力される振幅Aおよび出力周波数fの情報と同一である。なお、振幅Aおよび出力周波数fを変更しない場合は、第1の高周波発生回路8aおよび第2の高周波発生回路8bに、あらかじめ設定しておいても良い。
【0061】
第1の高周波発生回路8aは、振幅A、出力周波数fおよび初期位相φ
aの情報を用いてA・sin(2πf・t)=A・sin(ω・t)で表わされる高周波電圧v
a(ディジタル信号。
図8のv
a参照)を発生する。同様に、第2の高周波発生回路8bは、振幅A、出力周波数fおよび制御指令値θの情報を用いてA・sin(2πf・t+θ) =A・sin(ω・t+θ)で表わされる高周波電圧v
b(ディジタル信号。
図8のv
b参照)を発生する。
【0062】
制御部9は、高周波電源1が出力する進行波電力P
fと、第1,第2の高周波発生回路8a,8bで生成される2つの高周波電圧v
a,v
bの位相差θを制御する回路ブロックである。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を備えるマイクロコンピュータによって構成される。CPUがROMに記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、高周波電源1が出力する進行波電力P
f、および、2つの高周波電圧v
a,v
bの位相差θ等が制御される。
【0063】
制御部9は、ユーザによる入力装置(図示省略)からの入力、または、予め設定されたプログラムによる自動入力によって、パルス状の高周波電力のパルス周波数、および、パルス状の高周波電力の第1レベルと第2レベルとのデューティ比(以下、パルスデューティ比という)を入力される。例えば、パルス周波数としては、高周波電圧v
a,v
bよりも周波数の低い(周期の長い)所定の周波数(例えば10kHz)が設定され、パルスデューティ比としては例えば50%が設定される。制御部9は、パルス周波数およびパルスデューティ比に基づいて、パルス状の高周波電力のパルス波形を指令するための出力制御信号を生成する。そして、制御部9は、出力制御信号のハイレベル期間に位相差θを第1の位相差θ1とし、ローレベル期間に位相差θを第2の位相差θ2とするように切り替える。
【0064】
出力制御信号のハイレベル期間に位相差θが第1の位相差θ1になるので、高周波信号生成部8から出力される高周波電圧v
a,v
bの位相差θが第1の位相差θ1になり、第1のDC−RF変換部4Aから出力される高周波電圧v
PAと第2のDC−RF変換部4Bから出力される高周波電圧v
PBとの位相差θも第1の位相差θ1になる。そして、第1の位相差θ1に応じて合成された出力電力P
XがRF合成部5から出力される。本実施形態では、第1の位相差θ1を20[deg]としているので、ハイレベル期間の出力電力P
Xは、第1のDC−RF変換部4Aより出力される電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bより出力される電力P
Bとを合わせた電力P
inの約95%になる(電力P
inの約5%がRF合成部5で熱消費される)。
【0065】
また、出力制御信号のローレベル期間に位相差θが第2の位相差θ2になるので、高周波信号生成部8から出力される高周波電圧v
a,v
bの位相差θが第2の位相差θ2になり、第1のDC−RF変換部4Aから出力される高周波電圧v
PAと第2のDC−RF変換部4Bから出力される高周波電圧v
PBとの位相差θも第2の位相差θ2になる。そして、第2の位相差θ2に応じて合成された出力電力P
XがRF合成部5から出力される。本実施形態では、第2の位相差θ2を160[deg]としているので、ローレベル期間の出力電力P
Xは、電力P
inの約5%になる(電力P
inの約95%がRF合成部5で熱消費される)。
【0066】
これにより、RF合成部5から出力される出力電力P
Xが、電力P
inの約95%であるハイレベル期間と、電力P
inの約5%であるローレベル期間とを有するパルス状の高周波電力になる。
【0067】
図9は、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXの波形を示す図である。高周波電圧v
PXは、位相差θが第1の位相差θ1のときに、振幅が大きいハイレベルになり、位相差θが第2の位相差θ2のときに、振幅が小さいローレベルになる。したがって、RF合成部5から出力される高周波電力P
Xは、パルス状の高周波電力になる。
【0068】
また、制御部9は、高周波電源1から負荷に出力される高周波電力(進行波電力P
f)を、制御目標に制御する、フィードバック制御を行う。制御目標として、ハイレベル期間の目標出力電力P
fs1とローレベル期間の目標出力電力P
fs2とが設定される。ユーザは、目標出力電力P
fs1およびP
fs2を、入力装置(図示省略)を操作して手動で入力したり、予め設定したプログラムにより自動で入力させたりすることができる。
【0069】
制御部9は、出力制御信号のハイレベル期間の間、電力検出部10から入力される進行波電力P
fの検出値と目標出力電力P
fs1の偏差ΔP1(=P
fs1−P
f)を演算し、その偏差ΔP1に基づいて当該偏差ΔP1をゼロにするための制御指令値を生成する。そして、制御部9は、制御指令値に基づいて第1の位相差θ1を変化させることで、進行波電力P
fを制御する。これにより、進行波電力P
fが目標出力電力P
fs1になるように、フィードバック制御される。また、制御部9は、出力制御信号のローレベル期間の間、電力検出部10から入力される進行波電力P
fの検出値と目標出力電力P
fs2の偏差ΔP2(=P
fs2−P
f)を演算し、その偏差ΔP2に基づいて当該偏差ΔP2をゼロにするための制御指令値を生成する。そして、制御部9は、制御指令値に基づいて第2の位相差θ2を変化させることで、進行波電力P
fを制御する。これにより、進行波電力P
fが目標出力電力P
fs2になるように、フィードバック制御される。
【0070】
なお、第1の位相差θ1および第2の位相差θ2を変化させることで進行波電力P
fを制御するのではなく、DC−DC変換部3が出力する直流電圧V
dcを変化させることで、進行波電力P
fを制御するようにしてもよい。この場合、制御部9が生成した制御指令値をPWM信号生成部7に出力し、PWM信号生成部7が、制御指令値と生成したキャリア信号とから、三角波比較法によりPWM信号S
PWMを生成すればよい。また、制御部9が、高周波信号生成部8に出力する振幅Aを制御指令値に基づいて変化させることで、出力電力制御を行うようにしてもよい。
【0071】
以上のように、本実施形態に係る高周波電源1によれば、DC−RF変換部4に第1のDC−RF変換部4Aと第2のDC−RF変換部4Bを設けるとともに、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの高周波電力P
A,P
Bを合成するRF合成部5を設け、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bに入力される高周波電圧v
a,v
bの位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えるようにした。これにより、RF合成部5から出力される出力電力P
Xは、位相差θが第1の位相差θ1のときには電力P
inの約95%になり、位相差θが第2の位相差θ2のときには電力P
inの約5%になって、ハイレベル期間とローレベル期間とを有するパルス状の高周波電力になる。位相差θの切り替えは高速に行うことができるので、第1レベルと第2レベルとの切り替えのパルス周波数を高くしたパルス状の高周波電力を出力することができる。
【0072】
また、本実施形態に係る高周波電源1によれば、DC−DC変換部3が出力する直流電圧V
dcが一定(目標出力電力P
fs1が一定の場合)のままで、パルス状の高周波電力を出力することができる。したがって、直流電圧V
dcが変化することで生じるオーバーシュートやアンダーシュートが発生しない。
【0073】
なお、本実施形態では、進行波電力P
fを、制御目標に制御する場合を例にして説明しているがこれに限られない。例えば、負荷に供給される高周波電力(進行波電力P
f−反射波電力P
r)を、制御目標に制御するようにしてもよい。
【0074】
上記実施形態では、DC−RF変換部4として同一構成の第1のDC−RF変換部4Aと第2のDC―RF変換部4Bとを設け、両DC−RF変換部4A,4Bの出力電力P
A,P
BをRF合成部5で合成する構成としていたが、3個以上のDC−RF変換部を設け、各DC−RF変換部の出力電力を合成する構成にしてもよい。
【0075】
図10,
図11は、高周波生成部U'に同一構成の3個のDC−RF変換部を設ける場合のDC−RF変換部4'とRF合成部5'の回路構成を示す図である。DC−RF変換部4'には第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bと同一構成の第3のDC−RF変換部4Cが追加され、RF合成部5'にはRF合成部5と同一構成の第1のRF合成部5Aと第2のRF合成部5Bが設けられている。
【0076】
図10,
図11の回路構成は、
図1に示すDC−RF変換部4とRF合成部5に第3のDC−RF変換部4Cと第2のRF合成部5Bを追加し、RF合成部5Aの出力電力と第3のDC−RF変換部4Cの出力電力を第2のRF合成部5Bで合成する構成と見ることができる。
【0077】
同一構成の3個のDC−RF変換部を設ける場合、DC−RF変換部4'内の第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの出力電圧v
PA,v
PBを位相差θ=0で駆動し、第3のDC−RF変換部4Cの出力電圧v
PCを出力電圧v
PA,v
PBに対して位相差θを設けて駆動するように制御する第1の方法と、第2のDC−RF変換部4Bの出力電圧v
PBを第1のDC−RF変換部4Aの出力電圧v
PAに対して位相差θを設けて駆動し、第3のDC−RF変換部4Cの出力電圧v
PCを第1のRF合成部5Aの出力電圧v
PXに対して位相差ψを設けて駆動するように制御する第2の方法とが考えられる。
【0078】
図10は、第1の方法の場合のDC−RF変換部4'とRF合成部5'の回路構成を示し、
図11は、第2の方法の場合のDC−RF変換部4'とRF合成部5'の回路構成を示している。
【0079】
図10に示す第1の方法では、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bと第1のRF合成部5Aの部分を等価な1つのDC−RF変換部に置き換えることができるので、高周波生成部U'は、上述した高周波生成部U(
図1参照)と実質的に同じとなる。すなわち、第1のRF合成部5Aは第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bをそのまま合成する機能を果たし、第2のRF合成部5Bが負荷への出力電力P
Zを位相差θに応じて調整する機能を果たす。
【0080】
第1,第2,第3のDC−RF変換部4A,4B,4Cに入力する高周波信号v
1,v
2,v
3の波形をv
1=A
1・sin(ω・t+φ
1)、v
2=A
2・sin(ω・t+φ
2)、v
3=A
3・sin(ω・t+φ
3)とすると、
図10に示す第1の方法では、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bに、例えば、v
a=A・sin(ω・t)(A
1=A
2=A、φ
1=φ
2=0)の高周波信号が入力される。
【0081】
RF合成部5A,5Bの入力ポートと出力ポートが整合しているとすると、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの出力電圧v
PA,v
PBは、v
PA=v
PB=V・sin(ω・t)で表されるから、第1のRF合成部5Aの出力電圧v
PXは、(8)式より、
v
PX=V・sin(ω・t)
で表される。したがって、第3のDC−RF変換部4Cにv
b=A・sin(ω・t+θ)(A
3=A、φ
3=θ)の高周波信号を入力し、第3のDC−RF変換部4Cからv
PC=V・sin(ω・t+θ)を出力させると、第2のRF合成部5Bから、
v
PZ=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)
の出力電圧v
PZが出力される。
【0082】
第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの出力電力P
A,P
Bは第1のRF合成部5Aで熱消費されることなく合成されるから、第1のRF合成部5Aから(P
A+P
B)の電力P
Xが出力されるが、第2のRF合成部5Bではその出力電力P
Xと第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cが(9)式に示す合成式により合成され、
P
Z=2・[V・cos(θ/2)]
2・sin
2(ω・t+θ/2)/R
o
で表される電力P
Zが出力される。
【0083】
したがって、
図10に示す第1の方法では、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることによって、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの出力電力P
A,P
Bの合計電力P
X=(P
A+P
B)と第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cとの合成量を切り替え、電力P
Zをパルス状の高周波電力として出力することができる。
【0084】
一方、
図11に示す第2の方法は、第1のRF合成部5Aと第2のRF合成部5Bの両方で負荷への出力電力P
Zが調整される。第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bにそれぞれv
a=A・sin(ω・t)(φ
1=0)とv
b=A・sin(ω・t+θ)(φ
2=θ)の高周波信号を入力し、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bからそれぞれ出力電圧v
PA=V・sin(ω・t)、v
PB=V・sin(ω・t+θ)が出力されるとすると、第1のRF合成部5Aの出力電圧v
PXは、(8)式より
v
PX=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)
で表される。
【0085】
第3のDC−RF変換部4Cに位相差θに応じて振幅A
3およびφ
3を調整したv
c=A・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2+ψ)(A
3=A・cos(θ/2)、φ
3=θ/2+ψ)の高周波信号を入力し、第3のDC−RF変換部4CからV・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2+ψ)の出力電圧v
PCを出力させるように制御すれば、第2のRF合成部5Bから
v
PZ=V・cos(θ/2)・cos(ψ/2)・sin(ω・t+θ/2+ψ/2)
で表される出力電圧v
PZが出力され、
P
Z=2・[V・cos(θ/2)・cos(ψ/2)]
2・sin
2(ω・t+θ/2+ψ/2)/R
o
で表される出力電力P
Zが出力される。
【0086】
したがって、
図11に示す第2の方法では、位相差ψを固定して、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることによっても、逆に、位相差θを固定して、位相差ψをψ1とψ2とで切り替えることによっても、電力P
Zをパルス状の高周波電力として出力することができる。すなわち、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることによって、第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bとの合成量を切り替えることで、電力P
Zをパルス状の高周波電力として出力することができる。また、位相差ψをψ1とψ2とで切り替えることによって、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bの出力電力P
A,P
Bの合成電力P
Xと第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cとの合成量を切り替え、電力P
Zをパルス状の高周波電力として出力することもできる。
【0087】
図12,
図13は、高周波生成部U"に同一構成の4個のDC−RF変換部を設ける場合のDC−RF変換部4"とRF合成部5"の回路構成を示す図である。DC−RF変換部4"には第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bと同一構成の第3のDC−RF変換部4Cと第4のDC−RF変換部4Dが追加され、RF合成部5"にはRF合成部5と同一構成の第1のRF合成部5Aと第2のRF合成部5Bと第3のRF合成部5Cが設けられている。
【0088】
RF合成部5"内の第1のRF合成部5Aは、DC−RF変換部4"内の第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bを合成し、第2のRF合成部5Bは、DC−RF変換部4"内の第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cと第4のDC−RF変換部4Dの出力電力P
Dを合成する。また、RF合成部5"内の第3のRF合成部5Cは、第1のRF合成部5Aの出力電力P
Xと第2のRF合成部5Bの出力電力P
Yを合成する。
【0089】
同一構成の4個のDC−RF変換部を設ける場合でも2つの方法が考えられる。第1の方法は、第1のDC−RF変換部4Aの出力電圧v
PAと第2のDC−RF変換部4Bの出力電圧v
PBとの間に位相差θを設けるとともに、第3のDC−RF変換部4Cの出力電圧v
PCと第4のDC−RF変換部4Dの出力電圧v
PDとの間に位相差θを設けて駆動する方法である。第1の方法は、
図1に示すDC−RF変換部4とRF合成部5の構成を2つ設け、両構成から出力される2つの電力を第3のRF合成部5Cで合成する方法に相当する。
【0090】
図12は、第1の方法の場合のDC−RF変換部4"とRF合成部5"の回路構成を示している。第1ないし第4のDC−RF変換部4A,4B,4C,4Dに入力する高周波信号v
1,v
2,v
3,v
4の波形をv
1=A
1・sin(ω・t+φ
1)、v
2=A
2・sin(ω・t+φ
2)、v
3=A
3・sin(ω・t+φ
3)、v
4=A
4・sin(ω・t+φ
4) とすると、
図12に示す第1の方法では、v
1=v
a=A・sin(ω・t)(A
1=A,φ
1=0)、v
2=v
b=A・sin(ω・t+θ)(A
2=A,φ
2=θ)、v
3=v
a=A・sin(ω・t)(A
3=A,φ
3=0)、v
4=v
b=A・sin(ω・t+θ)(A
4=A,φ
4=θ)となる。
【0091】
図12に示す回路構成では、第1のRF合成部5Aで第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bとが位相差θに基づく所定の割合で合成され、第2のRF合成部5Bで第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cと第4のDC−RF変換部4Dの出力電力P
Dとが位相差θに基づく所定の割合で合成される。
【0092】
RF合成部5A,5B,5Cの入力ポートが整合しているとすると、第1のRF合成部5Aの出力電力P
Xと第2のRF合成部5Bの出力電力P
Yは、(9)式より
P
X=P
Y=2・V
2・cos
2(θ/2)・sin
2(ω・t+θ/2)/R
o
で表される。そして、第3のRF合成部5Cでは出力電力P
Xと出力電力P
Yが熱消費されることなく合成されるから、第3のRF合成部5Cからは、
P
Z=P
X+P
Y=4・V
2・cos
2(θ/2)・sin
2(ω・t+θ/2)/R
o
の出力電力P
Zが負荷に出力される。
【0093】
したがって、
図12に示す第1の方法では、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることによって、第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bとの合成量を切り替えることで電力P
Xをパルス状の高周波電力として出力し、第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cと第4のDC−RF変換部4Dの出力電力P
Dとの合成量を切り替えることで電力P
Yをパルス状の高周波電力として出力する。そして、電力P
Xと電力P
Yとが第3のRF合成部5Cで合成されて、出力電力P
Zもパルス状の高周波電力となる。
【0094】
第2の方法は、第1のDC−RF変換部4Aの出力電圧v
PAと第2のDC−RF変換部4Bの出力電圧v
PBを同一の位相で制御し、第3のDC−RF変換部4Cの出力電圧v
PCと第4のDC−RF変換部4Dの出力電圧v
PDを同一の位相で制御し、第1のRF合成部5Aの出力電圧v
PXと第2のRF合成部5Bの出力電圧v
PYとの間に位相差θを設ける方法である。
【0095】
図13は、第2の方法の場合のDC−RF変換部4"とRF合成部5"の回路構成を示している。
図13に示す回路構成では、第1のRF合成部5Aで第1のDC−RF変換部4Aの出力電力P
Aと第2のDC−RF変換部4Bの出力電力P
Bとがそのまま合成され、第2のRF合成部5Bで第3のDC−RF変換部4Cの出力電力P
Cと第4のDC−RF変換部4Dの出力電力P
Dとがそのまま合成される。そして、第3のRF合成部5Cで第1のRF合成部5Aの出力電力P
Xと第2のRF合成部5Bの出力電力P
Yとが位相差θに基づく所定の割合で合成される。
【0096】
例えば、第1,第2のDC−RF変換部4A,4Bに入力する高周波信号v
1,v
2の波形をv
1=v
2=v
a=A・sin(ω・t)(A
1=A
2=A,φ
1=φ
2=0)とすると、第1のRF合成部5Aの出力電圧v
PXは、(8)式より、
v
PX=V・sin(ω・t)
で表される。また、第3,第4のDC−RF変換部4C,4Dに入力する高周波信号v
3,v
4の波形をv
3=v
4=v
b=A・sin(ω・t+θ)(A
3=A
4=A,φ
3=φ
4=θ)とすると、第2のRF合成部5Bの出力電圧v
PYは、(8)式より、
v
PY=V・sin(ω・t+θ)
で表される。
【0097】
したがって、第3のRF合成部5Cからは、(8)式より、
v
PZ=V・cos(θ/2)・sin(ω・t+θ/2)]
の出力電圧v
PZが出力され、(9)式より、
P
Z=2・[V・cos(θ/2)]
2・sin
2(ω・t+θ/2)/R
o
の出力電力v
PZが負荷に出力される。
【0098】
したがって、
図13に示す第2の方法では、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることによって、第1のRF合成部5Aの出力電力P
X(=P
A+P
B)と第2のRF合成部5Bの出力電力P
Y(=P
C+P
D)との合成量を切り替え、電力P
Zをパルス状の高周波電力として出力することができる。
【0099】
図1に示した実施形態では、第1のDC−RF変換部4Aの出力電圧v
PAの初期位相φ
aを固定し、第2のDC−RF変換部4Bの出力電圧v
PBの初期位相φ
bを変化させることによって位相差θ=φ
b−φ
aを変化させるようにしたが、初期位相φ
bを固定し、初期位相φ
aを変化させることによって位相差θ=φ
b−φ
aを変化させるようにしてもよい。また、初期位相φ
a,φ
bの両方を変化させることによって位相差θ=φ
b−φ
aを変化させるようにしてもよい。
【0100】
上記実施形態では、RF合成部5が2つのRF電力を合成する回路構成の場合について説明したが、RF合成部5を3つ以上のRF電力を合成する回路で構成してもよい。3つ以上のRF電力を合成する回路としては、例えば、
図14に示す回路を用いることができる。
【0101】
例えば、
図14(b)の電力合成回路を用いて3つのRF電力を合成する場合、入力端子1,2,3にそれぞれ入力される入力電圧v
a,v
b,v
cをv
a=A・sin(ω・t+φ
a)、v
b=B・sin(ω・t+φ
b)、v
c=C・sin(ω・t+φ
c)、実効値をV
arms,V
brms,V
crmsとすると、電力合成回路には、入力電力P
a=V
arms2/R、P
b=V
brms2/R、P
c=V
crms2/Rが入力される。v
a=v
b=v
cでなければ、回路内の3個の抵抗Rには差分電圧v
ab=v
a−v
b、v
bc=v
b−v
c、v
ca=v
c−v
aがそれぞれ生じるので、差分電圧v
ab、v
bc、v
caの実効値をV
abrms、V
bcrms、V
carmsとすると、3つの抵抗RでそれぞれP
ab=V
abrms2/R、P
bc=V
bcrms2/R、P
ca=V
carms2/Rの電力が熱消費される。
【0102】
したがって、入力電圧v
a,v
b,v
cの間で相互に位相差θ
ab,θ
bc,θ
caを設けることにより、電力合成回路から入力電力P
in=P
a+P
b+P
cの一部の電力(P
ab+P
bc+P
ca)を熱消費させ、残りの電力P
in−(P
ab+P
bc+P
ca)を負荷に出力させることができる。4つ以上のRF電力を入力する場合についても同様である。
【0103】
上記実施形態では、高周波電源1に負荷としてプラズマ処理装置を接続したプラズマ処理システムを例に高周波電源1の出力制御を説明したが、本発明は、
図15に示すように、高周波電源1とプラズマ処理装置11との間にインピーダンス整合装置12を設けた場合にも適用することができる。
【0104】
インピーダンス整合装置12を設ける場合は、プラズマ処理装置8のインピーダンス(負荷インピーダンス)が変動してもインピーダンス整合装置12によって高周波電源1とプラズマ処理装置12とのインピーダンス整合が行われるが、インピーダンス整合装置12がインピーダンス整合処理をしている過渡的な期間は不整合状態であるから、インピーダンス整合装置12を備えたプラズマ処理システムでも本発明に係る高周波電源1の出力制御方法は、有効である。
【0105】
上記実施形態は、複数の高周波電力を合成する高周波生成部Uを備え、位相差θを第1の位相差θ1と第2の位相差θ2とで切り替えることで、例えばハイレベル期間とローレベル期間とを有するパルス状の高周波電力を出力することを要旨とするから、プラズマ処理システム用の高周波電源に限定されるものではない。
【0106】
上記実施形態では、負荷に出力される高周波電圧v
outの波形を正弦波形としたが、台形波やデッドタイムを有する矩形波でもよい。
【0107】
上記実施形態では、制御部9が高周波信号生成部8に出力する位相差θを2つの値θ1およびθ2で切り替えることにより、高周波電力の振幅を第1レベルと第2レベルとで切り替える、パルス状の高周波電力を出力する場合について説明したが、これに限られない。例えば、高周波電力の振幅を3つ以上のレベルで切り替えるようにしてもよい。
【0108】
図16(a)は、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXの振幅を3つのレベルで切り替えた場合の波形を示している。制御部9が高周波信号生成部8に出力する位相差θを、第1の位相差θ1(例えば20[deg])、第2の位相差θ2(例えば90[deg])および第3の位相差θ3(例えば160[deg])の3つの値で切り替えるようにすることで、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXの波形は、
図16(a)に示す波形のように、3つのレベルで変化する。したがって、RF合成部5から出力される高周波電力P
Xは、振幅が3つのレベルで切り替えられる。
【0109】
また、位相差θを複数の固定値の間で切り替えるのではなく、時間tに応じて変化する所定の関数の値としてもよい。
【0110】
例えば、位相差θを時間tの一次関数θ=a・t+b(a、bは定数)とすると、RF合成部5での合成割合η(θ)が
図5に示す特性(イ)となるので、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXの波形は、
図16(b)に示す波形のように、正弦波状に変化する。したがって、RF合成部5から出力される高周波電力P
Xは、正弦波状に変化する。
【0111】
また、高周波電力P
Xを所望の波形状に変化させたい場合は、高周波電圧v
PXの波形が所望の波形状になるように、位相差θを変化させればよい。すなわち、上記のように、合成割合η(θ)は(cos
2(θ/2))であるので、所望の合成割合ηのときの位相差θは、下記(11)式で表すことができる。
θ=2・cos
-1(√η) …(11)
【0112】
そのため、例えば、高周波電圧v
PXの波形を
図16(c)に示す波形(三角波状の波形)とする場合には、
図16(c)に示す波形に対応する合成割合ηになるように位相差θを時間tに応じて変化させればよい。つまり、上記(11)式において、合成割合ηを、
図16(c)に示す波形を表す関数x(t)とすればよい。この概念を応用すれば、自由に合成割合ηを設定することができる。例えば、
図16(d)に示す波形のように、三角波状の波形と一定のレベルの波形とを組み合わせてもよいし、
図16(e)に示す波形のように、正弦波状の波形と一定のレベルの波形とを組み合わせてもよい。
【0113】
なお、
図16(b)〜(e)においては、RF合成部5での合成割合η(θ)がゼロになるときがあり、出力がゼロになることがある。出力がゼロになることを望まないのであれば、位相差θが180[deg]にならないように、位相差θの算出式を調整すればよい。
【0114】
また、高周波電圧v
PXの波形を、
図9に示す波形において、プラズマ着火時にオーバーシュートを設けた波形(
図16(f)参照)とすることもできる。このような波形にするためには、位相差θを第1の位相差θ1(例えば20[deg])とする第1の期間t1と、位相差θを第2の位相差θ2(例えば160[deg])とする第2の期間t2とを繰り返す波形において、プラズマ着火時に、第1の期間t1の前にオーバーシュートを設けるための第3の期間t3を設け、当該第3の期間t3では、位相差θを例えば下記(12)式とすればよい。なお、Tは第3の期間t3の長さである。これにより、プラズマ着火時(第3の期間t3の開始時:t=0)に位相差θ=0で合成割合ηが最大で、第3の期間t3の間に位相差θが増加して合成割合ηが減少し、第3の期間t3の終了時(t=T)に、位相差θ=θ1となるようにすることができる。なお、第3の期間t3の間、位相差θを「0」とするようにしてもよい。高周波電圧v
PXの波形を、
図16(f)に示すオーバーシュートが含まれるような波形とすることにより、プラズマが未着火の場合に負荷に出力される高周波電圧voutが高くなるので、プラズマの着火性を良くすることができる。
θ=(θ1/T)・t …(12)
【0115】
図16に記載した各波形、および、(12)式などの算出式は一例であり、位相差θを適切に設定することで、RF合成部5から出力される高周波電圧v
PXの波形を様々な波形とすることができ、RF合成部5から出力される高周波電力P
Xの波形を所望の波形にすることができる。
【0116】
本発明に係る高周波電源は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る高周波電源の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。