特許第6571729号(P6571729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571729
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】染料着色体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20190826BHJP
   B32B 27/22 20060101ALI20190826BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20190826BHJP
   B32B 27/28 20060101ALI20190826BHJP
   B41M 5/52 20060101ALI20190826BHJP
   C08L 27/06 20060101ALI20190826BHJP
   C08K 5/435 20060101ALI20190826BHJP
   C08K 5/103 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B32B27/30 101
   B32B27/22
   B32B27/18 Z
   B32B27/28
   B41M5/52 400
   C08L27/06
   C08K5/435
   C08K5/103
【請求項の数】7
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-156931(P2017-156931)
(22)【出願日】2017年8月15日
(65)【公開番号】特開2018-130949(P2018-130949A)
(43)【公開日】2018年8月23日
【審査請求日】2017年8月15日
(31)【優先権主張番号】106105129
(32)【優先日】2017年2月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515166510
【氏名又は名称】謙華科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】リィゥ ゼェアウェイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン シンイー
(72)【発明者】
【氏名】チィゥ インクゥイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユーヂェン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン クァンルゥン
(72)【発明者】
【氏名】ホァン チィェンシィァン
【審査官】 堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−071058(JP,A)
【文献】 特開平10−338750(JP,A)
【文献】 特開平04−310793(JP,A)
【文献】 特開昭59−224844(JP,A)
【文献】 特開平05−185749(JP,A)
【文献】 特開2007−260970(JP,A)
【文献】 国際公開第99/054146(WO,A1)
【文献】 特開平07−132687(JP,A)
【文献】 特開平06−171250(JP,A)
【文献】 特開2000−052668(JP,A)
【文献】 特開2007−118413(JP,A)
【文献】 特開平04−310794(JP,A)
【文献】 特開2008−036945(JP,A)
【文献】 特開2006−056139(JP,A)
【文献】 特開2013−103446(JP,A)
【文献】 特開昭57−044682(JP,A)
【文献】 特開平05−238166(JP,A)
【文献】 特開平03−239590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
B41M5/00−5/52
C08K5/103
C08K5/435
C08L27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
(a)ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせを含有し、含有量が染料着色層の総重量100重量部に対して60〜85重量部である高分子重合体と、(b)融点が40℃よりも高く、含有量が染料着色層の総重量100重量部に対して10〜35重量部であり、下記の化学構造を有する可塑剤と、
【化1】
( RはH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルであり、R及びRは同じでも異なっていてもよく且つそれぞれ独立にH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキル、環C−Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cヒドロキシアルキル、1つ又は複数のC−C14アリール置換を有する直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルである。)
(c)含有量が染料着色層の総重量100重量部に対して2〜8重量部である熱安定剤と、を含み、前記基材の一方側に位置する少なくとも1つの染料着色層と、
を備える染料着色体。
【請求項2】
前記ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニルの含有量は、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル〈PVC−VA〉共重合体の総重量100重量部に対して10〜20重量部である請求項1に記載の染料着色体。
【請求項3】
前記可塑剤は、p−トルエンスルホンアミド、p−エチルベンゼンスルホンアミド、p−プロピルベンゼンスルホンアミド、p−イソプロピルベンゼンスルホンアミド、p−n−ブチルベンゼンスルホンアミド、p−tert−ブチルベンゼンスルホンアミド、N−メチルp−トルエンスルホンアミド、N−エチルp−トルエンスルホンアミド、N−ブチルp−トルエンスルホンアミド、及びそれらの組み合わせから選ばれる請求項1に記載の染料着色体。
【請求項4】
染料着色層と基材との間に設置される接着層を更に備える請求項1に記載の染料着色体。
【請求項5】
基材を提供する工程と、
染料着色層材料を形成するために、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重
合体又はそれらの組み合わせを含有する高分子重合体を染料着色層の総重量100重量部に対して60〜85重量部と、下記の化学構造を有する可塑剤を染料着色層の総重量100重量部に対して10〜35重量部と、
【化2】
(RはH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルであり、R及びRは同じでも異なっていてもよく且つそれぞれ独立にH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキル、環C−Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cヒドロキシアルキル、1つ又は複数のC−C14アリール置換を有する直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルである。)
染料着色層の総重量100重量部に対して2〜8重量部の熱安定剤とを混合する工程と、
前記染料着色層材料を溶融して、染料着色層メルトを形成するために加熱する工程と、
前記染料着色層メルトを用いて前記基材の少なくとも一方の側にラミネートするように染料着色層を形成する工程と、
を備える染料着色体の製造方法。
【請求項6】
前記基材と前記染料着色層との間に位置する接着層を前記基材表面にコーティングする工程を更に備える請求項5に記載の染料着色体の製造方法。
【請求項7】
前記基材と前記染料着色層との間に位置する接着層を、前記基材表面に染料着色層と共に押出する工程を更に備える請求項5に記載の染料着色体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染料着色層に関し、特に、ラミネートで形成されたポリ塩化ビニル染料着色層に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、映像の録画方法は、持続的に発展し、インクジェット用インク、感熱性転写、電子写真、ハロゲン化銀感光性材料、印刷インキ、録音ペン等を利用する方法を含む。感熱性転写の録画方法は、常に高品質のフルカラー録画に使用され、印刷する際に、黄色染料、マゼンタ染料及びインディゴ染料の染料層を含む染料供給素子(dye−donor element)をそれぞれ熱処理し、感熱性転写染料を加熱することで、染料を気化させ、その後、染料層及び染料受容素子(dye−receiving element)を対向させてエンボス加工し、染料を熱拡散させて染料受容素子〈又は染料着色体〉に転写させる。
【0003】
よく見られる染料受容素子〈又は染料着色体〉は、基材と、加熱過程において染料を受容することのできる高分子重合体を含む少なくとも1つの前記基材の一方側に位置する染料着色層〈又は染料受容層〉と、を備える。転写過程において、高温の染料は、染料着色層〈又は染料受容層〉の分子間に迅速に移動し、非転写の状態で安定を維持して静止しなければならない。染料着色層の選用は、転写のし易さ、耐光性、耐熱性、各種の化学物質に対する色止め性、合成のし易さ、吸光度〈optical density〉等の映像イメージングの品質を決定する。
【0004】
図1を参照されたい。図1は、従来の感熱性転写録画方法の模式図である。従来の感熱性転写録画方法として、下記のことを含む。加熱素子12とローラ14を対向的に設置し、転写過程において、リボン30と印画紙20とを矢印方向に沿って移動させる。リボン〈染料供給素子〉30は、染料受容温度の損失を避けるように、直接に加熱素子12に接触される。印画紙〈染料着色体〉20は、リボン30とローラ14との間に挟まれ、基材22及び染料着色層24を含む。加熱素子12がリボン30を加熱する場合、リボン30の染料26は、受熱して印画紙20の染料着色層24に迅速に移動し、染料着色層24の高分子重合体により吸収される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この方法に使用される熱転写染料は染料と染料着色層との互換性及び工程の各方面の制限により、この方法の要求する全ての性能を満たす高分子重合体は、かなり少ない。染料着色層としてよく見られる材料は、ポリ塩化ビニル〈PVC〉及びポリカーボネート〈PC〉を含む。ポリ塩化ビニル又はポリカーボネートは、一般的に、コーティング〈coating〉の形態で基材に形成される。しかしながら、コーティングにその他の溶剤を使用する必要があるので、溶剤の回収処理や環境汚染リスク等の問題があり、且つコーティング工程は複雑であり、高いコストを必要とする。ラミネートを使用して染料受容高分子重合体を基材に形成すると、ポリカーボネートが加水分解しやすいため、長時間の乾燥工程を増加する必要があり、ラミネートの加工温度も300℃の高温に達し、且つポリカーボネートの吸光度がポリ塩化ビニルより低い。ポリ塩化ビニルは、染料着色層として良好な吸光度を有するが、ラミネートの方式で染料着色層を基材に形成すると、ポリ塩化ビニルの剛度が強く、流動性が悪く、基材にラミネートすれば、膜厚の不均一が発生しやすく、ひいては膜面の状態が悪く、「結晶点」が大量に生成し、印刷時に染料を均一に染料着色層に分布させることができず、最終的に映像にホワイトポイントが生成してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の解決しようとする問題に基づき、本発明は、経済的利益を有するラミネートプロセスによる染料着色体を提供する。前記染料着色体は、基材と、少なくとも1つの前記基材の一方側に位置する染料着色層〈又は染料受容層〉と、を備える。前記染料着色層は、膜面の状態が優れ、染料との互換性が高く、且つ熱誘導転写を行うと共に高い吸光度、高い耐熱性を有し、染料着色層材料をラミネートすることで製造される。当該染料着色層材料は、高分子重合体、可塑剤及び熱安定剤を含む。高分子重合体は、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせを含む。高分子重合体の含有量は、染料着色層材料の総重量100重量部に対して60〜85重量部である。可塑剤は、融点が40℃より高く、且つ含有量が染料着色層材料の総重量100重量部に対して10〜35重量部である。熱安定剤の含有量は染料着色層材料の総重量100重量部に対して2〜8重量部である。
【0007】
本発明は、前記基材の表面を処理する工程と、染料着色層材料を溶融状態まで加熱する工程と、溶融状態の染料着色層材料を押出して成膜する工程と、溶融状態の染料着色層材料を前記処理された基材表面の一つに注ぐ工程と、を備える染料着色体の製造方法を更に提供する。
【0008】
本発明の提供する染色着色層材料では、コーティングプロセスで別に添加する溶剤を必要としなく、加工温度が低く、流動性に優れ、吸光度が高く、結晶点の状態が顕著に改善され、映像の画質が大幅に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上記、その他の態様及び特徴をより明らかに理解するために、添付図面に合わせて、明細書の内容を参照されたい。
図1】従来の感熱性転写録画方法の模式図である。
図2】染料着色体の構造模式図である。
図3】本発明による染料着色体の製造方法の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示内容の記述を詳細で完備にするために、以下、本発明の実施形態と具体的な実施例に対して、例示的な説明をするが、これは本発明の具体的な実施例を実施又は適用する唯一な形式ではない。以下で開示する各実施例は、更に記載又は説明せずに、有益な場合に互いに組み合わせ又は取り替えたり、一実施例にその他の実施例を付加することができる。以下の説明において、読者に下記実施例を十分に理解させるために、数多くの特定な細部を記述する。しかしながら、これらの特定な細部がなくても、本発明の実施例を実行することもできる。
【0011】
本発明の一部の実施例は、染料着色層材料を提供する。染料着色層材料は、高分子重合体からなり、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体、可塑剤及び熱安定剤を含む。染料着色層材料の詳細な成分及び本発明の染料着色層を利用して形成した染料着色体、及び染料着色体を形成する方法については、以下で説明する。
【0012】
染料着色層材料は、高分子重合体を含む。染料着色層材料の総重量100重量部に対して60〜85重量部のポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル〈PVC−VA〉共重合体又はそれらの組み合わせを含む。高分子重合体の好ましい含有量は、染料着色層材料の総重量100重量部に対して65〜75重量部である。ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体における酢酸ビニル〈vinyl acetate〉の含有量は、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル〈PVC−VA〉共重合体の総重量100重量部に対して、約10〜20重量部である。染料着色層材料に使用される高分子重合体は、平均分子量が約24kDa〜82kDaであり、その重合度〈degree of polymerization;DP〉が約400〜1300である。
【0013】
染料着色層材料は、染料着色層材料の総重量100重量部に対して10〜35重量部である可塑剤を更に含む。可塑剤を添加した染料着色層材料は、高分子重合体の柔軟性を増加することができ、加熱後の染料着色層材料の流動性が高く、膜厚の均一性が改善される。可塑剤の含有量が10重量部より小さい場合、染料着色層材料の剛度が大き過ぎ、高分子重合体を不均一に分布させ、染料着色層の成膜膜厚が不均一になり、且つ結晶点が発生することがある。可塑剤の含有量が35重量部より大きい場合、熱誘導転写時にリボン〈染料提供素子〉と接着しやすく、且つ印刷した後に像のボケが発生することがある。可塑剤の含有量は、好ましくは、染料着色層材料の総重量100重量部に対して20〜30重量部であり、より好ましくは20〜28重量部である。
【0014】
染料着色層の流動性は、染料着色層を基材にラミネートする厚さ及び成形後の染料着色層の粒子分布状態に関わっている。ポリ塩化ビニルのほぼゼロ流動性である特性により、染料着色層は、ラミネートの形態によって形成することができない。下記比較例1のような低過ぎる流動性により、高分子重合体の分布が不均一になり、成膜の厚さが同一ではなく、結晶点の現象が発生する可能性がある。このため、可塑剤を添加することで、染料着色層の流動性を効果的に増加し、染料着色層を基材に形成する工程をより順調にし、厚さを同一にする効果を達成させることができ、また、高い流動性によって、所望の染料着色層の厚さを更に制御することもできる。
【0015】
本発明の一部の実施例によれば、染料着色層材料に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル系、クエン酸エステル系、水素化ベンゼン環系、カルボン酸エステル系、安息香酸エステル系、スルホニルアミド系、リン酸エステル系、グリコール/ポリエーテル系、ステアリン酸エステル及びそれらの組み合わせから選ばれる。本発明の一部の実施例によれば、融点が40℃より高い可塑剤、例えばペンタエリトリチルテトラステアレート〈Pentaerythrityl tetrastearate;PETS、下記の式1に示す〉、2−ヒドロキシエチルステアレート〈2−Hydroxyethyl stearate、下記の式2に示す〉及びそれらの組み合わせを選用するが、これらに制限されない。ペンタエリトリチルテトラステアレートの融点は約60〜66℃であり、2−ヒドロキシエチルステアレートの融点は55〜60℃である。
【化1】
【化2】
【0016】
染料着色層の主な材料が固体の状態で混合できるように、融点が40℃よりも高い可塑剤を選用する。より具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの吸油性が悪いので、液状の可塑剤をポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの粉末と混合すると、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの分散が悪く、混合物が不均一になる状況が発生しやすい。融点が高い可塑剤は、常温で固体であり、粉末に研磨されて、常温状態で同様に固体であるポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの粉末と均一に混合することができる。造粒過程において、例えば、スクリューローリング、加熱押出成形の後の製作工程で、染料着色層材料が不均一に分散することで結晶点が容易に発生しないように、先に可塑剤粉末をポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの粉末と共に均一に混合する。
【0017】
本発明の一部の実施例によれば、染料着色層に添加された可塑剤としては、融点が40℃よりも高く且つベンゼン環を有するフタル酸エステル系可塑剤、例えば、フタル酸ジシクロヘキシル〈Dicyclohexyl Phthalate;DCHP、例えば下式3〉、フタル酸ジフェニル〈Diphenyl Phthalate;DPP、例えば下式4〉及びそれらの組成物からなる群から選用されてよいが、これらに限定されない。フタル酸ジシクロヘキシルの融点は約63〜67℃であり、フタル酸ジフェニルの融点は約72〜76℃である。
【化3】
【化4】
【0018】
本発明の一部の実施例によれば、染料着色層に添加された可塑剤としては、下式5を有する、融点が40℃よりも高く且つベンゼン環を有するスルホニルアミド系を選用する。
【化5】
【0019】
はH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルであり、R及びRは同じでも異なっていてもよく且つそれぞれ独立にH、直鎖又は分岐鎖C−Cアルキル、環C−Cアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cハロアルキル、直鎖又は分岐鎖C−Cヒドロキシアルキル、1つ又は複数のC−C14アリール置換を有する直鎖又は分岐鎖C−Cアルキルである。ベンゼン環を有するスルホンアミドは、例えば、p−トルエンスルホンアミド〈p−Toluenesulfonamide;PTSA、例えば下式6〉、p−エチルベンゼンスルホンアミド〈p−Ethylbenzenesulfonamide;p−EBSA、例えば下式7〉、p−プロピルベンゼンスルホンアミド〈p−Propylbenzenesulfonamide;p−PBSA、例えば下式8〉、p−イソプロピルベンゼンスルホンアミド〈p−Isopropylbenzenesulfonamide、例えば下式9〉、p−n−ブチルベンゼンスルホンアミド〈p−n−Butylbenzenesulfonamide;p−n−BBSA、例えば下式10〉、p−tert−ブチルベンゼンスルホンアミド〈p−tert−Butylbenzenesulfonamide、例えば下式11〉、N−メチル−p−トルエンスルホンアミド〈N−methyl−p−toluenesulfonamide;MTSA、例えば下式12〉、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド〈N−ethyl−p−toluenesulfonamide;N−E−PTSA、例えば下式13〉、N−プロピルp−トルエンスルホンアミド、N−ブチル−p−トルエンスルホンアミド〈N−butyl−p−toluenesulfonamide、例えば下式14〉、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミド〈N−Cyclohexyl−p−toluenesulfonamide、例えば下式15〉及びそれらの組成物からなる群であってよいが、これらに限定されない。p−トルエンスルホンアミドの融点は約134〜139℃であり、p−エチルベンゼンスルホンアミドの融点は約111℃であり、p−プロピルベンゼンスルホンアミドの融点は約98〜110℃であり、p−イソプロピルベンゼンスルホンアミドの融点は約103〜106℃であり、p−n−ブチルベンゼンスルホンアミドの融点は約93〜95℃であり、p−tert−ブチルベンゼンスルホンアミドの融点は約135〜142℃であり、N−メチルp−トルエンスルホンアミドの融点は約76〜80℃であり、N−エチル−p−トルエンスルホンアミドの融点は約63〜71℃であり、N−ブチル−p−トルエンスルホンアミドの融点は約41℃であり、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドの融点は約85〜89℃である。
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【0020】
本発明の一部の実施例によれば、染料着色層に添加される可塑剤は、融点が40℃よりも高い安息香酸エステル系、例えば、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエート〈2,2−Dimethyl−1,3−propanediol dibenzoate;NPG dibenzoate、例えば下式16〉、1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート〈1,4−Cyclohexane dimethanol dibenzoate、例えば下式17〉、グリセリルトリベンゾエート〈Glyceryl tribenzoate、例えば下式18〉、ショ糖ベンゾエート〈Sucrose benzoate、例えば下式19〉及びそれらの組み合わせを選用するが、これらに制限されない。2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエートの融点は約45〜55℃であり、1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエートの融点は約117〜118℃であり、グリセリルトリベンゾエートの融点は約68〜73℃であり、ショ糖ベンゾエートの融点は約93〜100℃である。
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【0021】
本発明の一部の実施例によれば、染料着色層に添加される可塑剤としては、融点が40℃よりも高く且つベンゼン環を有するリン酸エステル系、例えば、トリフェニルホスフェート〈Triphenyl phosphate;TPP、例えば下式20〉を選用するが、これに制限されない。トリフェニルホスフェートの融点は約48〜50℃である。
【化20】
【0022】
融点が40℃よりも高く且つベンゼン環構造を有する可塑剤を選用すれば、染料着色層の成膜時の流動性を増加するだけでなく、可塑剤のベンゼン環がペンタエリトリチルテトラステアレート、アセチル化モノグリセリド及び2−ヒドロキシエチルステアレートの長い炭素鎖と比べて、染料着色層の高分子重合体の極性を増加して、染料着色層の高分子重合体の極性の増加によって、染料がより容易に吸収され、より高い吸光度〈optical density〉を達成する。染料着色層材料における可塑剤、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組み合わせの成分割合は、所望の製品の仕様に応じて微調整してよい。例えば、流動性が高い染料着色層材料を必要とすると、可塑剤とポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体との割合を適切に増加すればよい。また、剛度を適切に増加する必要があると、ポリ塩化ビニルを添加すればよい。本発明の一部の実施例によれば、ポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体は、染料着色層材料に混合して又は単独に存在してよい。例えば、染料着色層は、ポリ塩化ビニルを含まず、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体のみを含んでよい。
【0023】
本発明による染料着色層材料は、高分子重合体のクラッキングを防止するために、2〜8重量部の熱安定剤、例えば、鉛安定剤、金属石鹸系安定剤、有機錫安定剤、有機アンチモン安定剤、及びバリウム/カドミウム、バリウム/カドミウム/亜鉛、バリウム/亜鉛、カルシウム/亜鉛、カルシウム/亜鉛/錫、カルシウム/マグネシウム/錫/亜鉛複合金属安定剤からなる群から選ばれるものを更に含むが、これらに制限されない。熱安定剤の例として、三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、二塩基性ステアリン酸鉛、二塩基性フタル酸鉛、アルキルフェノールバリウム、2−エチルヘキサン酸バリウム、ラウリン酸バリウム、安息香酸バリウム、ネオデカン酸バリウム、ステアリン酸バリウム、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛、安息香酸亜鉛、アセチルアセトネート亜鉛、ステアリン酸亜鉛、メチル錫、ジラウレートジオクチル錫、ジラウレートジブチル錫、マレイン酸ジブチル錫、メチルメルカプタン錫、ブチルメルカプタン錫、オクチルメルカプタン錫、ジブチルマレイン酸錫を含む。本発明の染料着色層の材料は、必要に応じて、当業者の既知の添加剤を含み、例として、スリップ剤、加工助剤、難燃剤及び酸化防止剤等を含むが、これらに限定されない。スリップ剤は、例えば、ポリエチレンワックス〈PEワックス〉又はステアリン酸エステルであってよい。スリップ剤としてのステアリン酸エステルは、例えば、ペンタエリトリチルテトラステアレートであってよい。加工助剤は、染料着色層材料の混練及び成膜に寄与し、例えば、アクリル酸系樹脂又はメタクリル酸系樹脂であってよいが、これらに限定されず、一種又は多種のアクリル酸エステル系モノマーを乳化重合してなる高分子重合体である。当該アクリル酸エステル系モノマーは、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸イソボルニル、メタクリル酸イソボルニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル及びメタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸グリシジルエステル(GMA)、メタクリル酸シクロヘキシルエステル(CHMA)、アクリル酸ヒドロキシプロピル(HPA)、メタクリル酸ヒドロキシプロピル(HPMA)又はそれらの組成物からなる群から選ばれるが、これらに限定されない。
【0024】
図2を参照されたい。本発明の染料着色層材料によって染料着色体100及び200を形成することができる。染料着色体100は、基材410及び染料着色層510を含む。染料着色体100及び200を形成する具体的な方法については、以下のように詳しく説明される。
【0025】
図3を参照されたい。図3は、染料着色体を形成する模式図を示す。まず、基材の表面は処理されてよい。基材としては、紙、プラスチックフィルム、織布及び不織布等であってよい。基材410aは、巻き戻しリール312に入って展開し、リール314aを通過する。平坦化された基材410aは、予熱ローラ316によって予熱された後、リール314b及び314cを通過して、コロナ318の手段で変性基材410aの表面を処理する。この表面コロナ処理は、ラミネートプロセスの工程において、ラミネート層材料の基材表面への付着に寄与する。コロナ318は、高電圧、高周波を利用して、基材410aの表面構造を改変することで、溶融状態のラミネート層材料をより容易に基材に付着させることができる。基材410aとしては、例えば、紙、プラスチックフィルム、織布及び不織布であってよいが、これらに限定されない。表面処理された基材410bは、続いてリール314dの中で移動し、ゴムローラ320を通過して、T状の金型〈T−die〉322のリップバルブの下に達する。
【0026】
T状の金型322は、ローリングシステム342と連通されることができる。染料着色層材料は、60〜85重量部のポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組成物、10〜35重量部の融点が40℃よりも高い可塑剤及び2〜8重量部の熱安定剤を含み、必要に応じて適量なスリップ剤、加工助剤、難燃剤及び酸化防止剤等の添加剤を添加してもよい。染料層材料の固体、乾燥粉末を均一に混合し、更に、均一に混合された粉末をローリングシステム342に送入する。ローリングシステムは、例えば、シングルスクリュー又は二重スクリューローリングシステムであってよい。染料層材料粉末がローリングシステム342を通過した後ゴム粒子512を形成する。スクリューの圧力及び回転速度を調整することで、大きな粒子又は小さな粒子の染料着色層ゴム粒子512を形成することができる。染料着色層ゴム粒子512を溶融して可塑化した後T状の金型322に送入して押出し、押出すると共に染料着色層材料をも更に170〜195℃まで加熱し、染料着色層メルト514が流線形溶融状態で押出され、押出引張した後コロナ処理された基材410bの表面に付着する。
【0027】
T状の金型322の加熱温度は、染料着色層の材料成分割合に基づいて異なる。例えば、ポリ塩化ビニル−エテニルエタノエート〈PVC−VA〉共重合体の割合が高く、特にそのうちのエテニルエタノエート割合が高い場合〈例えば、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体の15重量部〉、必要な加熱温度が低い。加熱された染料着色層メルト514は、溶融されてメルト状態になり、スクリューの押出回転速度を調整することで全体のメルト流動速度を調整し、又はT状の金型322のリップバルブを調整することで染料着色層メルト514の薄膜の厚さを改変することができる。
【0028】
溶融状態の染料着色層ゴム粒子512は、リップバルブを経過して、コロナ処理された基材410bの表面に注がれる。染料着色層材料の全ての原料が固体粉末の状態で十分に混合し、ローリングシステム342を通過して、金型322で加熱して押出され、均一に分散された染料着色層メルト514は結晶点を形成しにくく、更に、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はその混合物と可塑剤そのものの高い流動性を加えて、加熱溶融の環境で、染料着色層メルト514を均一に分布させて基材410bの上に注ぐことができる。染料着色層材料に被覆された基材410cは、続いて冷却ローラ324に行進してロールプレスされて貼り合わせられ、更に、切断ローラ326、膜厚検出システム328等の工程を経過して、最後に、巻取り軸332に入って図2に示す染料着色体100を完成する。図2の染料着色体100は、基材410と、基材410と平坦に結合する均一に分布しフラットな染料着色層510と、を含む。
【0029】
スクリューの押出回転速度、リップバルブを制御して染料着色層メルト514のラミネート速度を調整し、更に染料着色層510の厚さを制御する以外、基材のリール314a−314eの速度を調整することで染料着色層510の厚さを制御することもできる。より具体的には、染料着色層メルト514のラミネート速度が変わらず、基材リール314a−314eの速度が高い時、基材410の表面における染料着色層510の厚度が小さい。基材リール314a−314eの速度が低い時、T状の金型322のリップバルブが基材410bの同一表面に留まる時間が長く、単位時間内に染料着色層メルト514が基材410bの表面に付着された量も増加するので、染料着色層510の厚度が厚くなる。染料着色層メルト514を注ぐことで、染料着色層510を基材410の表面に形成する。染料着色層510の厚さは、ラミネート過程において異なるパラメータを調整することで達成される。基材410の厚さは、一般的に140〜220ミクロン〈μm〉であり、ラミネートにより形成された染料着色層510の厚さは7−50ミクロンであり、好ましい厚さは10〜30ミクロンである。
【0030】
なお、図2を参照されたい。染料着色体200は、必要に応じて、染料着色層510と基材410との間に設置された接着層610を含んでよい。接着層610は、コーティングにより基材の表面に形成されてよい。当該塗布方式としては、ブレードコーティング、バーコーティング(bar coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、グラビア印刷コーティング(gravure coating)、スライドコーティング(slide coating)、カーテンコーティング(curtain coating)又はスプレーコーティング(spray coating)を採用してもよく、スロットダイコーティング(slot die coating)及びグラビア印刷コーティング(gravure coating)が好ましい。また、染料着色層メルト514と共に押し出す〈co−extrude〉ように基材410bに形成してもよい。接着層610の設置により、染料着色層510と基材410との密着度を更に強化することができる。接着層610の材料としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体(ethylene−vinyl acetate copolymer;EVA)系樹脂、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral;PVB)系樹脂、塩化ビニル酢酸エチル共重合体(vinyl chloride ethylacetate)系樹脂、アクリル酸/メタクリル酸系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、シリコーン(silicone)系樹脂、ポリウレタン(polyurethane;PU)系樹脂、熱可塑性ポリウレタン(thermoplastic polyurethane;TPU)、塩素化ポリプロピレン(chlorinated polypropylene)、酢酸ビニル(vinyl acetate)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol)、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体系樹脂又はそれらの組み合わせであってよいが、これらに限定されない。本発明の一部の実施例によれば、染料着色体を両面構造にするために、染料着色層は、基材の両側表面に設けられてよい。
【0031】
染料着色層材料の製造例
表1に挙げた成分及び割合に基づいて、本発明の染料着色層材料を調製し、且つローリングシステムに送入し、染料着色層ゴム粒子を形成した。ただし、ローリングシステムの温度パラメータは110〜150℃であった。
【表1】
【0032】
PVC−1:ポリ塩化ビニル(サプライヤー:台湾プラスチック、品番:B−60)。PVC−2:ポリ塩化ビニル(サプライヤー:台湾プラスチック、品番:S−65)。PVC−3:ポリ塩化ビニル(サプライヤー:華夏、品番:H−61)。PVC−4:ポリ塩化ビニル(サプライヤー:華夏、品番:H−66)。PVC−5:ポリ塩化ビニル(サプライヤー:大洋、品番:S−108(SG7))。PVC−VA−1:ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量8%)(サプライヤー:台湾プラスチック、品番:C−8)。PVC−VA−2:ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量13%)(サプライヤー:日信、品番:SOLBIN C)。PVC−VA−3:ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量12〜14%)(サプライヤー:陶氏、品番:VYHH)。PVC−VA−4:ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル含有量12.5%)(サプライヤー:台湾プラスチック、品番:C−15)。DCHP:フタル酸ジシクロヘキシルエステル(サプライヤー:岳陽森科化工、品番:Sk−102)。PETS:ペンタエリトリチルテトラステアレート(サプライヤー:Lonza、品番:PETS)。N−E−PTSA:N−エチルp−トルエンスルホンアミド(サプライヤー:向陽化工、品番:N−Ethyl−p−toluenesulfonamide)。Glyceryl tribenzoate:グリセリルトリベンゾエート(サプライヤー:岳陽森科化工、品番:SK−1302)。NPG dibenzoate:2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールジベンゾエート(サプライヤー:TCI、品番:N0573)。PTSA:p−トルエンスルホンアミド(サプライヤー:向陽化工、品番:p−Toluenesulfonamide)。DINCH:1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステル(サプライヤー:BASF、品番:Hexamoll(登録商標) DINCH(登録商標))。DINP:フタル酸ジイソノニル(サプライヤー:南亜、品番:DINP)。有機錫:Methyl−Tin(サプライヤー:保泰、品番:TM−381)。PEワックス:Hi−wax(サプライヤー:三井、品番:4202E)。ACR:メチル/ブチルアクリル酸共重合樹脂(サプライヤー:保泰、品番:KM−3551)。
【0033】
実施例1
製造例1の染料着色層のコロイド粒子を使用し、ラミネート機に投入してスクリューによって溶融して可塑化された後にT−dieに送って押出し、染料着色層材料を流線形の溶融状態で押圧し絞り出した後に接着層を有する紙基材(サプライヤー:中華紙漿、品番:銅版ニホンジカ紙)に付着させ、次に、冷却ローラのロールプレスにより染料着色体に貼り合わせた。ラミネート機のパラメータは、以下の通りであった。スクリュー温度は155〜185℃であり、T−dieダイヘッド温度は195℃であり、冷却ローラ温度は40℃であり、制限弁の回転速度は75rpmであり、基材リールの速度は75M/minであり、得られた染料着色層の平均膜厚は約16ミクロンであった。
【0034】
実施例2〜9
製造例2−9の染料着色層コロイド粒子及び実施例1と同様な製造方式をそれぞれ使用した。
【0035】
比較例1〜4
製造例10〜13の染料着色層コロイド粒子及び同実施例1と同様な製造方式をそれぞれ使用した。
【0036】
比較例5
PVC(サプライヤー:台湾プラスチック、型番:C−15)13.6重量部、可塑剤(サプライヤー:南亜、型番:DINP)4.6重量部、スリップ剤(サプライヤー:三井、品番:4202E)0.4重量部、助剤(サプライヤー:保泰、品番:KM−3551)0.4重量部、熱安定剤(サプライヤー:保泰、品番:TM−381)1.0重量部、メチルエチルケトン40重量部、トルエン40重量部によって、コーティング型染料着色層材料を調製し、且つ接着層を有する紙基材(サプライヤー:中華紙漿、品番:銅版ニホンジカ紙)に塗布し、100〜110℃で乾燥し、得られた染料着色層の平均膜厚は約16ミクロンであった。
【0037】
ブランク試験:PVC(サプライヤー:台湾プラスチック、型番:C−15)15重量部、助剤(サプライヤー:保泰、品番:KM−3551)0.4重量部、熱安定剤(サプライヤー:保泰、品番:TM−381)1.0重量部、メチルエチルケトン40重量部、トルエン40重量部によって、コーティング型染料着色層材料を調製し、且つ接着層を有する紙基材(サプライヤー:中華紙漿、品番:銅版ニホンジカ紙)に塗布し、100〜110℃で乾燥して、得られた染料着色層の平均膜厚は約16ミクロンであった。
【0038】
表2は、それぞれサンプルに対して流動性テスト、結晶点の評価、ファジィ評価、吸光度テスト等の比較を行った結果を示す。
【表2】
【0039】
流動性テスト
PVCラミネートを行う時に、T−dieの両側エッジにPVCによって詰められるか否か、ラミネートの膜厚の均一性の差異が過大であるか否かを観察した。O:T−dieの両側エッジにPVCによって詰められ、膜厚誤差が±5μm以下であった。△:T−dieの両側エッジにPVCによって詰められ、膜厚誤差が±5μm以上であった。X:T−dieの両側エッジにPVCによって詰められなかった。
【0040】
結晶点の評価
上記のサンプルを幅30cm長さ20cmの大きさに切り取り、肉眼で染料着色層の結晶点の状態を観察した。O:染料着色層に顕著な結晶点がない(0.2〜0.5cm 0個、0.02〜0.2cm≦10個)。△:染料着色層に少量の結晶点を有する(0.2〜0.5cm≦2個、0.02〜0.2cm≦20個)。X:染料着色層に顕著な結晶点があった(0.2以上≦10個、0.02〜0.2cm:<100個)。XX:染料着色層に深刻な結晶点があった(0.2以上>10個、0.02〜0.2cm:>100個)。
【0041】
ファジィの評価
熱昇華印刷後の写真を70℃の環境で一週間置いて、次に肉眼で写真の解像度を観察した。O:写真映像の解像度が変わらなかった。△:写真映像の解像度がわずかに変わった。X:写真映像の解像度が顕著に変わった。
【0042】
吸光度の測試
上記のサンプルを印刷できるような大きさに切り取って、次にHiti P720プリンタを使用して印刷し、且つ印刷には黄色染料、マゼンタ染料及びインディゴ染料を含む染料層のHiti P720専用リボン(サプライヤー:誠研)を使用し、黄色、マゼンタ、インディゴ及びフルブラックの画像(印刷エネルギーレベル0)を印刷し、且つ吸光度計測器(機器商品型番:X−rite i1)を利用して画像の反射吸光度を測定した。
【0043】
本発明の提供する染料着色層材料は、常温で固体であり、粉末の形態で混合して、均一な染料着色層材料の原料を得、ローリングにより造粒し、更に加熱し、ラミネートの形態で基材の表面に形成される。ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合体又はそれらの組成物及び可塑剤を使用したので、低い加熱温度で、染料着色層材料メルトを形成することができる。従来のコーティングの形成方式に比べて、ラミネートプロセスには付加的な溶剤を使用する必要がなく、溶剤の回収処理リスク及びコーティングのプロセス手順が複雑である等の問題を解決した以外、反りの問題を大幅に低下させた。染料着色層の厚さも異なるパラメータによって容易に制御することができ、ひいては20ミクロンよりも低い。融点が40℃よりも高い可塑剤を添加することにより、染料着色層材料を固体状態で混合することができる以外、更に染料着色層材料の着色層材料メルトの流動性を向上させることができ、より均一な材料分布を示し、結晶点の発生確率を減少させ、全体の吸光度を向上させる。
【0044】
本発明の実施形態を前述の通りに開示したが、これは、本発明を限定するものではなく、当業者であれば、本発明の精神と範囲から逸脱しない限り、多様の変更や修正を加えてもよく、したがって、本発明の保護範囲は、後の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0045】
12 加熱素子
14 ローラ
20 印画紙
22、410、 410a 基材
24、 510 染料着色層
26 染料供給層
30 リボン
100、200 染料着色体
312 巻き戻しリール
314a−314e リール
316 予熱ローラ
318 コロナ
320 ゴムローラ
322 T状の金型
324 冷却ローラ
326 切断ローラ
328 膜厚検出システム
332 巻取り軸
342 ローリングシステム
410b 表面処理された基材
410c 染料着色層材料を被覆する基材
512 染料着色層ゴム粒子
514 染料着色層メルト
610 接着層
図1
図2
図3