(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を基に詳細に説明する。なお、説明の便宜上、各図において適宜示す矢印UPを車両上方向、矢印FRを車両前方向、矢印LHを車両左方向とする。したがって、以下の説明で、特記することなく上下、前後、左右の方向を記載した場合は、車両上下方向の上下、車両前後方向の前後、車両左右方向(車幅方向)の左右を示すものとする。
【0030】
図1に示されるように、車両12には、車両12の前方側の視界を確保するための左右一対のヘッドランプユニット14が備えられている。すなわち、車両12の右側前端部には、ヘッドランプユニット14Rが配置され、車両12の左側前端部には、ヘッドランプユニット14Lが配置されている。
【0031】
ヘッドランプユニット14R及びヘッドランプユニット14Lは、それぞれ車幅方向外側部分を構成するロービームユニット16と、車幅方向内側部分を構成するハイビームユニット18と、を含んで構成されており、車幅方向において左右対称に構成されている。
【0032】
ロービームユニット16は、車両12の前方側の路面におけるロービーム配光エリアに光(可視光)を照射するように構成されている。そして、ハイビームユニット18は、ロービームユニット16によって照射されるロービーム配光エリアよりも上斜め前方側のハイビーム配光エリアに光(可視光)を照射するように構成されている。更に、本実施形態に係る車両用照明装置10が、ロービームユニット16の車幅方向外側に備えられている。
【0033】
<第1実施形態>
まず、第1実施形態に係る車両用照明装置10について説明する。
図2に示されるように、車両用照明装置10は、光(可視光)を照射する複数の光源20と、各光源20から照射された光を入射させる開口部32を有する遮光部材30と、遮光部材30の開口部32を通過して入射された光を、対象(一例として、車両12と衝突するおそれがある、路肩を歩く歩行者や路肩を走る自転車等であり、以下「歩行者P」という:
図5参照)へ向けて出射する投影レンズ34と、を備えている。
【0034】
光源20は、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等の高輝度光源であり、制御部50(
図4参照)に電気的に接続された基板22上に2列に並べられて設けられている。より詳細には、
図3に示されるように、光源20は、樹脂製の基板22の前面(一方の面)に車幅方向に1列にほぼ隙間無く7個並んで、かつ車両上下方向にほぼ隙間無く2個(2列に)並んで配置されている。
【0035】
つまり、光源20は、基板22上に2次元マトリックス状に14個(=7×2)並んで設けられている。なお、基板22上に設ける光源20の個数は、図示の14個に限定されるものではない。また、光源20は、図示を簡略化するために、模式的に矩形状(正方形状)に描いて表現しているが、この矩形状に限定されるものではない。
【0036】
図2に示されるように、基板22は、金属製の放熱部材24上に設けられている。放熱部材24は、車両前後方向が法線方向となる略矩形平板状の本体部25の後面に、車幅方向が法線方向となる矩形平板状の複数のフィン26(
図13も参照)が一体に突設されて構成されている。つまり、基板22は、その後面(他方の面)が本体部25の前面に取り付けられ、フィン26によって、光源20から発生する熱が大気へ放熱されるようになっている。
【0037】
また、放熱部材24は、投影レンズ34を保持する樹脂製のホルダー28の後端部に一体的に取り付けられている。ホルダー28は、前後方向を光軸方向とする略円筒状に形成されており、ホルダー28の後部開口が放熱部材24の本体部25によって塞がれる構成になっている。
【0038】
投影レンズ34は、平面視及び側面視で、その前面34Aが前方側へ凸となる湾曲面形状に形成されており、その後面34Bが平面状に形成されている。そして、投影レンズ34の後側周縁部には、径方向外側へ同心円状に張り出す張出部35が全周に亘って(周方向に)一体に形成されており、その張出部35が、ホルダー28の前端部(以下「座面」という)28Aにレーザー溶着によって接合されている。
【0039】
つまり、前方側から照射されたレーザービーム(図示省略)が、ホルダー28の座面28Aに突き当てられた張出部35を透過して、そのホルダー28の座面28Aを溶融することにより、その張出部35が、ホルダー28の座面28Aに溶着(接合)されるようになっている。これにより、ホルダー28の前部開口が投影レンズ34によって塞がれる構成になっている。
【0040】
また、投影レンズ34は、遮光部材30の開口部32を通過して後面34Bに入射された光を、その後面34Bから前面34Aへ透過させることにより平行光として、その前面34Aから出射するように構成されている。これにより、車両12の前方側へ、平行光とされた光(可視光)が照射される(照射光Vとされる)ようになっている。
【0041】
遮光部材30は、ホルダー28内に支持部材(図示省略)を介して設けられている。遮光部材30は、その対角線の長さがホルダー28の内径よりも小さい矩形平板状に形成されており、
図3に示されるように、遮光部材30の略中央部には、車両上下方向が長手方向とされ、かつ上下2個の光源20よりも一回り小さい矩形状の開口部32が車幅方向に1列に7個(等間隔に)並んで形成されている。
【0042】
つまり、各開口部32の上下方向中央部に上下2個の各光源20の境界部20Aが位置するように、各光源20の前方側に(上下2個の各光源20と光軸方向に対向するように)遮光部材30が配置されている。この開口部32を通過した光(可視光)が、投影レンズ34の後面34Bへ入射され、投影レンズ34の前面34Aから出射されるようになっている。
【0043】
また、
図4に示されるように、車両用照明装置10は、対象としての歩行者Pを認識する認識手段としてのセンサー(イメージセンサー)52と、複数の光源20のうち、センサー52によって認識された歩行者Pの位置に対応する光源20のみを点灯させる制御手段としての制御部50と、を備えている。
【0044】
つまり、この車両用照明装置10は、制御部50が、センサー52によって検知(認識)した結果に基づいて、複数の光源20の中から点灯すべき光源20を適宜選択して制御することにより、車両12と衝突するおそれがある(路肩を歩く)歩行者Pの少なくとも足元へ光(可視光)を照射(投影)できるようになっている。
【0045】
以上のような構成とされた第1実施形態に係る車両用照明装置10において、次にその作用について説明する。
【0046】
少なくともロービームユニット16の光源(図示省略)を点灯させた状態(車両12の前方側におけるロービーム配光エリアに光が照射された状態)での車両12の夜間走行中(信号や踏切等で一時的に停車する場合を含む)にあっては、センサー52により、路肩を歩く歩行者Pを検知し続ける。
【0047】
そして、そのセンサー52により、例えば車両12の進行方向左側の路肩を歩く、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pを検知(認識)したら、制御部50により、車両用照明装置10の複数の光源20のうち、センサー52によって認識した歩行者Pの位置に対応する光源20のみを点灯させる。すると、その光源20から照射された光が、遮光部材30の開口部32を通過し、更に投影レンズ34を後方から前方へ透過する。これにより、
図5に示されるように、その歩行者Pへ照射光Vが照射される。
【0048】
ここで、光源20から照射された光は、遮光部材30の開口部32を通過してから、投影レンズ34の後面34Bに入射される。したがって、その遮光部材30が設けられていない(光が開口部32を通過しない)構成に比べて、開口部32の形状に対応した光を照射することができ、光が照射される領域の縁部におけるコントラストの低減を抑制することができる。よって、その歩行者Pに対する運転者の視認性を向上させることができる。
【0049】
特に、光源20は2列に並べられて配置されているため、光源20が1列にしか並べられていない構成に比べて、照射される光の光量を増加させることができる。よって、光が照射される領域の縁部におけるコントラストの低減をより効果的に抑制することができ、その歩行者Pに対する運転者の視認性をより一層向上させることができる。
【0050】
また、制御部50が、複数の光源20のうち、センサー52によって検知(認識)した歩行者Pの位置に対応する光源20のみを点灯させるだけでよいため、例えばスイブルモーターの制御によって照射光の向きを変える構成に比べて、そのスイブルモーターの動作時(回転時)のがたつきや制御(通信)遅れによる歩行者Pに対する照射方向の位置ずれを抑制又は防止することができる。
【0051】
なお、
図5に示されている照射光Vが1個とされているのは、歩行者Pが1人であるためで、歩行者Pが複数人の場合には、照射光Vも複数個となる。また、歩行者Pが1人の場合でも、その歩行者Pの位置が、光が照射されない位置(照射光V同士の間の位置)であるダーク領域Dと検知(認識)された場合には、その両側へ光が照射される(照射光Vが2個となる)ように制御される。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る車両用照明装置10について説明する。なお、上記第1実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0053】
図6に示されるように、この第2実施形態に係る車両用照明装置10では、遮光部材30における開口部32の形状のみが第1実施形態と異なっている。すなわち、この遮光部材30の開口部32は、それぞれ上下2個の光源20と同じ高さで光軸方向に対向した逆「T」字状に形成されている。遮光部材30の開口部32をこのような形状にすると、
図7に示されるように、投影レンズ34を透過した光は上下反対になるため、「T」字状の照射光Vとなる。
【0054】
したがって、
図7に示されるように、車両12側では、光が照射される領域がライン状になって歩行者Pの存在する方向を運転者が認識し易くなり、歩行者P側では、
図5に示される第1実施形態の場合よりも、歩行者Pに対して光が照射される領域が広がるとともに、その領域の縁部におけるコントラストの低減を更に抑制することができる。よって、第1実施形態に比べて、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pに対する運転者の視認性を更に向上させることができる。
【0055】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る車両用照明装置10について説明する。なお、上記第1実施形態及び第2実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0056】
図8に示されるように、この第3実施形態に係る車両用照明装置10では、遮光部材30における開口部32の形状のみが第1実施形態及び第2実施形態と異なっている。すなわち、この遮光部材30の開口部32は、第2実施形態における逆「T」字状の開口部32が車幅方向に連続した形状になっている。
【0057】
換言すれば、この遮光部材30の開口部32は、車幅方向(複数の光源20が並ぶ列方向)が長手方向とされた矩形状の下部開口32Aと、その下部開口32Aから上方へ向けて車幅方向に等間隔に突出された複数の細長い上部開口32Bと、がそれぞれ上下2個の光源20と光軸方向に対向した櫛歯状に形成されている。
【0058】
遮光部材30の開口部32をこのような櫛歯状に形成にすると、
図9に示されるように、車両12側では、光が照射される領域がライン状になって歩行者Pの存在する方向を運転者が認識し易くなり、歩行者P側では、
図5に示される第1実施形態及び
図7に示される第2実施形態の場合よりも、歩行者Pに対して光が照射される領域が広がるとともに、その隣り合う領域が連続する。
【0059】
したがって、光が照射される領域の縁部におけるコントラストの低減を更に抑制することができるとともに、
図5に示される第1実施形態及び
図7に示される第2実施形態において形成されていたダーク領域Dを無くすことができる。これにより、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pに対して照射光Vが適切に照射されない又は1人の歩行者Pに対して2個以上の照射光Vが必要となることを抑制又は防止することができる。
【0060】
<第4実施形態>
最後に、第4実施形態に係る車両用照明装置10について説明する。なお、上記第1実施形態〜第3実施形態と同等の部位には同じ符号を付して詳細な説明(共通する作用も含む)は適宜省略する。
【0061】
図10〜
図12に示されるように、この第4実施形態では、光源20が、基板22の前面(一方の面)に車幅方向に1列に7個並んで配置されている。つまり、この第4実施形態では、光源20が1列のみとされている。そして、各光源20の前方には、光学レンズ40が接触した状態で設けられている。
【0062】
光学レンズ40は、各光源20に対応して車幅方向に1列に7個並んで形成されており、それぞれ車幅方向に一体に連結されている。そして、光学レンズ40は、その後面から入射された光を、その前面から上下左右に拡散して出射するように構成されている。これにより、光源20の数量を開口部32の開口面積よりも総発光面積の少ない数量にすることができるようになっている。
【0063】
換言すれば、光源20が車幅方向に1列しか設けられていなくても、投影レンズ34から出射する光の光量を確保できる構成になっている。なお、
図12では、基板22を省略し、光源20と光学レンズ40のみを示している。また、光学レンズ40の車幅方向両端部には、その光学レンズ40を基板22の前面に取り付けるための左右一対のブラケット42が一体的に設けられている。
【0064】
また、
図10、
図11に示されるように、基板22は、金属製の放熱部材24上に設けられている。すなわち、基板22の後面(他方の面)が放熱部材24の本体部25の前面に取り付けられている。そして、放熱部材24のフィン26により、光源20から発生する熱が大気へ放熱されるようになっている。
【0065】
また、放熱部材24の本体部25における車幅方向両端部には、ホルダー28と結合するための結合部25Aが一体に形成されている。そして、ホルダー28には、結像レンズ群とされた投影レンズ34が設けられている。詳細に説明すると、投影レンズ34は、その光軸方向に並ぶ、互いに屈折率の異なる複数枚(この場合は4枚)の結像レンズ36、38、46、48で構成されている。
【0066】
最前側の結像レンズ36は、平面視及び側面視で、その前面36Aが前方側へ凸となる湾曲面形状に形成されており、その後面36Bも後方側へ凸となる湾曲面形状に形成されている。そして、この結像レンズ36の周縁部には、径方向外側へ同心円状に張り出す張出部37が全周に亘って(周方向に)一体に形成されており、その張出部37がホルダー28の座面28Aにレーザー溶着によって接合されている。
【0067】
つまり、この結像レンズ36は、前方側から照射されたレーザービーム(図示省略)が、ホルダー28の座面28Aに突き当てられた張出部37を透過して、そのホルダー28の座面28Aを溶融することにより、その張出部37が、ホルダー28の座面28Aに溶着されるようになっている。
【0068】
また、最後側の結像レンズ38は、平面視及び側面視で、その前面38Aが前方側へ凸となる湾曲面形状に形成されており、その後面38Bは平面状に形成されている。そして、この結像レンズ38の周縁部には、径方向外側へ同心円状に張り出す張出部39が全周に亘って(周方向に)一体に形成されている。
【0069】
更に、ホルダー28の後端部には、ホルダー28の内径を小さくする段差部29が全周に亘って(周方向に)一体に形成されている。したがって、この結像レンズ38は、その周縁部に形成された張出部39の前面が、段差部29の後面に当接するようにホルダー28内に挿入され、その張出部39が段差部29にレーザー溶着によって接合されるようになっている。
【0070】
つまり、この結像レンズ38は、後方側から照射されたレーザービーム(図示省略)が、ホルダー28の段差部29の後面に突き当てられた張出部39を透過して、その段差部29の後面を溶融することにより、その張出部39が、ホルダー28の段差部29に溶着されるようになっている。
【0071】
そして、最前側の結像レンズ36と最後側の結像レンズ38との間におけるホルダー28内には、結像レンズ46、48が配置されている。ホルダー28内において、前側の結像レンズ46は、平面視及び側面視で、その前面46Aが後方側へ凹となる湾曲面形状に形成されており、その後面46Bも前方側へ凹となる湾曲面形状に形成されている。
【0072】
一方、ホルダー28内において、後側の結像レンズ48は、平面視及び側面視で、その前面48Aが前方側へ凸となる湾曲面形状に形成されており、その後面48Bも後方側へ凸となる湾曲面形状に形成されている。そして、結像レンズ46、48は、それぞれホルダー28内に環状の固定部材44、45によって固定されるようになっている。
【0073】
詳細に説明すると、ホルダー28の内周面には、上記段差部29以外に、前方側から順に内径を小さくする第1段差部28B、第2段差部28C、第3段差部28Dが全周に亘って(周方向に)一体に形成されている。そして、固定部材44は、その後面が第1段差部28Bに当接可能な外径及び内径に形成されており、固定部材45は、その後面が第2段差部28Cに対向(当接)可能な外径及び内径に形成されている。
【0074】
したがって、結像レンズ46、48は、次のようにしてホルダー28内に固定される。すなわち、結像レンズ48は、結像レンズ36、46が設けられる前に、前方側からホルダー28内に挿入され、その周縁部49の後面が第3段差部28Dに突き当てられる。次いで、前方側からホルダー28内に固定部材45が挿入され、結像レンズ48の周縁部49の前面が、固定部材45の後面によって押さえられる。
【0075】
なお、このとき、固定部材45をホルダー28の内周面に接着剤等によって接合してもよい。また、図示のものは、結像レンズ48の周縁部49の厚みにより、固定部材45の後面が、第2段差部28Cに当接されず、第2段差部28Cと光軸方向に対向するようになっているが、結像レンズ48の周縁部49の厚みによっては、第2段差部28Cに当接される構成になっていてもよい。
【0076】
次に、結像レンズ46が、前方側からホルダー28内に挿入され、その周縁部47の後面が固定部材45の前面に突き当てられる。そして、前方側からホルダー28内に固定部材44が挿入され、結像レンズ46の周縁部47の前面が、固定部材44の後面によって押さえられる。なお、このとき、固定部材44の後面は、第1段差部28Bに当接され、この状態で固定部材44がホルダー28の内周面に接着剤等によって接合される。
【0077】
以上により、結像レンズ46、48がホルダー28内に固定された状態で設けられるようになっている。そして、最前側の結像レンズ36は、結像レンズ46、48がホルダー28内に設けられた後で、上記した通り、ホルダー28の座面28Aにレーザー溶着によって接合されるようになっている。
【0078】
このように、投影レンズ34が、互いに屈折率の異なる結像レンズ36、46、48、38によって構成されていると、投影レンズ34が1枚のレンズで構成されている場合に比べて、より鮮明に(色収差を補正し、かつ配光パターンの明暗境界における色分離を抑制して)歩行者Pに対して光を照射することができる。
【0079】
よって、光が照射される領域の縁部におけるコントラストの低減をより効果的に抑制することができ、車両12の運転者が、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pをより一層認識し易くなる。なお、最前側の結像レンズ36と最後側の結像レンズ38は、それぞれレーザー溶着によってホルダー28に接合されているため、少なくとも最前側の結像レンズ36と最後側の結像レンズ38との位置精度を向上させることができる。
【0080】
また、遮光部材30は、開口部32が櫛歯状に形成された第3実施形態と同様の遮光部材30とされているが、この第4実施形態における遮光部材30は、
図13に示されるように、その車幅方向中央部の板厚が、車幅方向両端部側の板厚よりも徐々に薄くなるように形成されている。
【0081】
つまり、遮光部材30には、底面視(平面視)で、車幅方向両端部側から車幅方向中央部へ下り傾斜する傾斜面30Aが形成されている。なお、遮光部材30の開口部32は、遮光部材30の車幅方向中央部に形成されているため、その開口部32における板厚も車幅方向中央部が車幅方向両端部側よりも薄く形成されている。
【0082】
ここで、遮光部材30が、車幅方向に一定の板厚とされると、
図14(B)に示されるように、車幅方向両端部側における照射光Vに上方向及び下方向へ向かう歪み(伸び)が発生する。
【0083】
これに対し、遮光部材30の車幅方向中央部の板厚が、車幅方向両端部側の板厚よりも徐々に薄くなる(傾斜面30Aが形成される)構成であると、
図14(A)に示されるように、車幅方向両端部側における照射光Vにおいて、上方向及び下方向へ向かう歪み(伸び)が低減される。
【0084】
したがって、
図5に示される第1実施形態、
図7に示される第2実施形態及び
図9に示される第3実施形態よりも、光が照射される領域(特に車幅方向両端部側の領域)の縁部におけるコントラストの低減を抑制することができる。よって、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態に比べて、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pに対する運転者の視認性を更に向上させることができる。
【0085】
なお、光源20から照射された光は、光学レンズ40によって上下方向に拡散されるため、
図15に示されるように(
図15では光学レンズ40が省略されている)、1列のみとされた光源20よりも上下方向の寸法が大きい開口部32であっても、その光源20で開口部32の上下方向全体から光が照射される。
【0086】
また、
図15(A)に示されるように、各光源20は、遮光部材30の開口部32に対して、その上下方向下側に配置されるようになっている。詳細に説明すると、
図15(B)で示す比較例では、各光源20の中心Oが、開口部32の上下方向中央部(仮想中心線K)付近に位置するように、光源20に対して遮光部材30が配置されている。
【0087】
この場合には、光源20から照射され、光学レンズ40を透過して上下左右に拡散された光(可視光)において、遮光部材30で遮光される領域が多くなるため(照射される光の光量が低減されるため)、後方から順に結像レンズ38、48、46、36(投影レンズ34)を通過して前方へ照射(投影)される光が、特に上下方向で均一になり難くなる。
【0088】
これに対し、本実施形態では、
図15(A)に示されるように、各光源20の中心Oが、開口部32の上下方向中央部(仮想中心線K)よりも下方側に位置するように(下部開口32Aと光軸方向で対向するように)、光源20に対して遮光部材30が配置されている。
【0089】
したがって、光源20から照射され、光学レンズ40を通過して上下左右に拡散された光(可視光)において、遮光部材30で遮光される領域が少なくなり(照射される光の光量の低減が抑制され)、後方から順に結像レンズ38、48、46、36(投影レンズ34)を通過して前方へ照射(投影)される光が、特に上下方向で均一になる。
【0090】
よって、光が照射される領域の縁部(特に上縁部及び下縁部)におけるコントラストの低減を抑制することができ、車両12と衝突するおそれがある歩行者Pに対する運転者の視認性を更に向上させることができる。また、光源20から照射された光は、光学レンズ40により、左右方向にも拡散されるため、各光源20同士が、その間に隙間を有して配置されていても、車両12の前方側へ照射される照射光Vには、ダーク領域Dが形成され難い。
【0091】
以上、本実施形態に係る車両用照明装置10について、図面を基に説明したが、本実施形態に係る車両用照明装置10は、図示のものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能なものである。例えば、本実施形態に係る車両用照明装置10は、ロービームユニット16やハイビームユニット18と一体化してもよい。
【0092】
また、第4実施形態において、投影レンズ34は、複数枚の結像レンズで構成されていればよく、図示の4枚の結像レンズ36、46、48、38で構成される態様に限定されるものではない。更に、投影レンズ34を構成する結像レンズ36、46、48、38の形状も、それぞれ図示の形状に限定されるものではない。また、第1実施形態において、光源20は、車幅方向に少なくとも1列で配置されていればよく、
図3で示される2列で配置される構成に限定されるものではない。