【文献】
Raja Ahmad; Jeffrey W. Nicholson; Kazi S. Abedin; Paul S. Westbrook; Clifford Headley; Patrick W. Wisk; Eric M. Monberg; Man F. Yan; David J. DiGiovanni,Polarization-maintaining fiber for guiding light in large-effective-area higher-order-modes,2017 Conference on Lasers and Electro-Optics (CLEO),米国,IEEE,2017年 5月14日,STu4K.1pdf,URL,https://ieeexplore.ieee.org/document/8084392
【文献】
Raja Ahmad; Jeffrey W. Nicholson; Kazi S. Abedin; Paul S. Westbrook; Clifford Headley; Patrick W. Wisk; Eric M. Monberg; Man F. Yan; David J. DiGiovanni,Polarization-maintained guidance of large-effective-area, higher-order-modes in fiber,2017 Conference on Lasers and Electro-Optics Europe & European Quantum Electronics Conference (CLEO/Europe-EQEC),米国,IEEE,2017年 6月25日,DOI: 10.1109/CLEOE-EQEC.2017.8087032,URL,https://ieeexplore.ieee.org/document/8087032
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
偏波保持(PM)ファイバは、一般的に、コア領域(対称的構成)の対向側部に沿って長手方向に配設された一対の応力ロッドを利用して、光ファイバのコア領域に沿って伝搬する光信号内に応力誘起複屈折をもたらし、信号を直交偏波モードに分割する。応力ロッドは、母材から光ファイバの線引きプロセス中にロッドがファイバの最終形態内に「凍結された(frozen)」応力状態を形成するように、高い熱膨張を示す材料で形成される。各応力ロッドの直径(D)と、さらにコア領域の中心からのそのずれ(R1)は、実現され得る複屈折率の強度を決定する。大きな直径のロッド及び/又はコア領域の中心へのロッドの近接性は、より高い複屈折(すなわち、直交偏波モード間の大きな分割)の状態を形成する好適な設計である。
【0003】
PMファイバは、長年にわたって、主に標準的シングルモードファイバが用いられる状況で好適に使用され、すなわち、ファイバが比較的大きな直径の応力ロッドの最適配置を可能とするのに十分に大きな周囲のクラッド層によって約10μm程度のコア領域を有している。
【0004】
ハイパワー出力を要する状況では、ラージモードエリアのファイバが用いられればよく、これらのファイバは、40〜50μmを上回るコア領域の直径を有することが知られている。これらのハイパワー光ファイバを利用する多くの設備は、未だにファイバをコイル状に巻くことができる(特定の場所でその「設置面積」を減少させる)ことを要し、したがって、ファイバの最大外径は通常、約1mm程度となる。これらの制約を考慮すると、応力ロッドが従来のファイバに使用されるのと同じ相対関係において大きなサイズのコアから分離されるハイパワーPMファイバを構成可能とすることは、実現的な選択肢ではない。
【0005】
さらに、コアサイズが増加するにつれて、より多くのモードが伝搬可能となり、不要なモード結合(基本モードの高次モードへのモード結合と、さらに、種々の高次モード中の結合とを含む)が生じる。複屈折は「高速」及び「低速」軸に沿ったこれらのモードの縮退を分割するので、偏波保持配置内のモードの密度は従来の非PMのラージモードエリアファイバよりも2桁高い(すなわち、高いモード密度である)。この高密度の状態は、レーザ又は増幅器の動作に必要な所望レベルのモード純度及び偏波消光による動作を阻害するものと当業者には考えられていた。その上、応力ロッドとコア領域の関係に非対称性が導入された結果として、この高いモード密度がファイバの曲げによって悪化すると考えられていた。
【0006】
さらに、有用なPMラージモードエリアファイバは、光モードの間に所望の複屈折率を(通常、>10
−4の桁で)付加し、1メートルの典型的なファイバ長にわたって10dBを上回る偏波消光比(PER)を保持するのに加えて、種々の誘導モード中で十分に分離した伝搬定数を有する安定的空間分布などの他の特徴的特性を保持すると考えられる。
【0007】
とりわけこれらの懸念によって、当業者は、レーザ又は増幅器のアプリケーションに有用な偏波保持ラージモードエリアファイバは提供する市販品として実現される可能性が低いという結論に達することになる。
【発明の概要】
【0008】
上記の種々の問題及び懸念は、偏波保持光ファイバ、より具体的には、1以上の高次モードをサポートするラージモードエリアファイバ内の偏波保持構造体の内包に関する本発明によって対処される。
【0009】
本発明の例示の実施形態によると、高次モード(HOM)ファイバは、偏波保持光ファイバに沿って伝搬する特定の高次モードの空間モードプロファイルを過度に損なうことなく十分な度合いの複屈折を与える実質的にクラッド内の場所に一対の応力ロッドを含むことによって、偏波保持ファイバとして構成される。
【0010】
以下に詳細に記載するように、パラメータのセットは、ファイバが曲げられた状況であっても、特定の高次モードに対してHOMファイバ内に許容可能な複屈折及び偏波消光比(PER)を有する構成をもたらす、応力ロッドの直径(D)及びコア領域の中心からのロッドのずれ(R1)に関連付けられて開発された。本発明の種々の実施形態の構成は、50cm未満に低下したファイバの曲げ半径に対して(空間モードプロファイルの最小変化による)所望の値の複屈折率を保持することが分かった。
【0011】
本発明の例示の実施形態は、選択された1以上の高次モードの伝搬をサポートするための外側コアによって囲まれた、光信号の(基本モードLP
01などの)低次モードの伝搬をサポートするための内側中央コアを有する光ファイバの形態をとる。内側コアと外側コアの間の相対屈折率差は、基本モード及び高次モードの双方をサポートするように設計される。外側コアは、クラッド領域によって囲まれる。選択された1以上の高次モードの伝搬は、外側コアの屈折率の値よりも低い屈折率の値を示すクラッド領域によってサポートされる。これらの例示の実施形態の種々の構成は、1以上の分離したクラッド層を備え得る。内側クラッド層(外側コアに隣接している)は、外側クラッド層よりも低い屈折率の値を有するように形成されればよく、内側クラッド層は選択された1以上の高次モードをコアに閉じ込めるように構成され得る。一対の応力ロッドは、光ファイバ内に含まれ、実質的にクラッド領域内に配設され、内側コア領域に対して対称的に位置決めされる。50〜150μmの範囲内のD及び40〜200μmの範囲内のR1の値は、本発明の1以上の実施形態による所望のラージモードフィールド直径に対して許容可能なレベルの複屈折を与えることが分かった。種々の実施形態では、長周期グレーティングが、PM−HOMファイバの入力及び出力においてモードカプラとして使用され得る。
【0012】
PM−HOMファイバの適合性を評価するのに使用される特性の1つは、正規化有効面積であり、伝搬波長の二乗で除された有効面積A
effとして定義される。本発明の目的のために、種々の例示のファイバ設計は、正規化ファイバ有効面積A
eff/λ
2>1000におけるハイパワーアプリケーションに対して所望の偏波状態を保持(すなわち、定義される偏波消光比(PER)を保持)することができる。
【0013】
本発明の例示の一実施形態は、外側コア(第2の屈折率の値を示す)が内側コアを囲むように配設され、第1の屈折率の値を有する所定サイズの内側コアを備えた偏波保持光ファイバの形態をとる。単一のクラッド層(又は複数のクラッド層)は外側コアを囲むように配設され、内側コア、外側コア及びクラッド(さらにそれらの相対屈折率の値)の組合せは、内側コアにおける基本LP01モードを含む低次モード(LOM)の伝搬、及び外側コア内の定義された1以上の高次LP
nmモードの伝搬をサポートするように構成される。PMファイバは、外側コアのいずれかの側部の実質的にクラッド層内に配設されて低速偏波軸を画定する共通軸に沿って配置された一対の応力ロッドをさらに含み、各応力ロッドが内側コアの中心と応力ロッドの内側縁部との間で同様の直径D及び同様の分離R1を示し、D及びR1の値は、定義された1以上の高次LP
nmモードに対して所定の応力誘起複屈折を与えるように選択される。
【0014】
本発明の他の例示の実施形態は、入来する低次モード光信号の伝搬をサポートするための光信号入力構成、光信号入力構成の出力端子に配設されて低次モードを選択された高次LP
nmモードに変換するための入力モード変換器、及び入力モード変換器に連結された偏波保持高次モード(PM−HOM)光ファイバを備えた偏波保持光学システムとして示されればよく、PM−HOM光ファイバは選択された高次LP
nmモードの伝搬をサポートする。PM−HOM光ファイバ自体は、外側コア(第2の屈折率の値を示す)が内側コアを囲むように配設され、所定サイズで第1の屈折率の値を有する内側コアを含むように形成される。単一のクラッド層(又は複数のクラッド層)は外側コアを囲むように配設され、内側コア、外側コア及びクラッド(さらにそれらの相対屈折率の値)の組合せは、内側コアにおける基本LP01モードを含む低次モード(LOM)の伝搬、及び外側コア内の定義された1以上の高次LP
nmモードの伝搬をサポートするように構成される。PMファイバは、外側コアのいずれかの側部の実質的にクラッド層内に配設され、低速偏波軸を画定する共通軸に沿って配置された一対の応力ロッドをさらに含み、各応力ロッドが内側コアの中心と応力ロッドの内側縁部との間で同様の直径D及び同様の分離R1を示し、D及びR1の値は、定義された1以上の高次LP
nmモードに対して所定の応力誘起複屈折を与えるように選択される。
【0015】
本発明の種々の例示の実施形態は、光増幅器のためのPM−HOMゲインファイバとして形成され得る。これらの場合には、光伝搬領域が、光ゲインを与え得るTm、Er、Yb、Nd、Ho又は他の希土類などの1以上の特定のドーパントを含むように形成される。
【0016】
本発明の他の例示の実施形態は、同調周波数帯域幅の動作の単一偏波HOM装置として形成され得る。これらの単一偏波の実施形態について、長周期グレーティングは、HOM生成のソースとしての役割を果たすが、それと同時に異なる直交偏波状態に対して個別の周波数範囲にわたってモード変換をも与える。
【0017】
本発明の他のさらなる態様及び実施形態は、以下の説明中に添付図面を参照することによって明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
我々は、応力ロッドの直径D及び応力ロッドのずれR1(「ずれ」は光ファイバの中心と応力ロッドの内縁部との間の分離として定義される)の特定の範囲について、種々のハイパワーアプリケーション(例えば、レーザ、増幅器など)において満足に動作するPM−HOM光ファイバを構成することが可能であることを見出した。1000より大きい正規化有効面積(A
eff/λ
2)を有する光ファイバに対して、少なくとも10
−4の複屈折率が得られた。応力ロッドの直径と、応力ロッドとコアの中心とのずれとの間のトレードオフを理解することによって、曲げられた場合(50cm未満の曲げ半径を保持している)であっても、種々の伝搬光学モードの空間電界分布を過度に歪めることなく十分に複屈折が実現される特定の場所に応力ロッドを位置決めすることが可能であることが分かった。
【0021】
図1は、本発明の例示の実施形態により形成されたPM−HOM光ファイバ10の断面図である。この場合、PM−HOM光ファイバ10は、外側コア14によって囲まれた内側コア12を含む。高次モードの伝搬をサポートするために、内側コア12及び外側コア14の組合せは、(従来のシングルモード又はマルチモード光ファイバと比べて)比較的大きなコア直径を有する「ペデスタル」構成を備える。例えば、40〜50μmの範囲の外側コア14の直径は、大きなコア直径のアプリケーションに標準的である。
【0022】
クラッド層18は、外側コア14を囲むように配設される。一対の応力ロッド20は、クラッド層18のものとは大幅に異なる熱膨張率(CTE)を有する材料で形成される。
図1に示すように、一対の応力ロッド20は、実質的にクラッド層18内に配設され、内側コア12の中心に対して対称的に位置決めされる。本発明の例示の実施形態では、応力ロッド20は、(好ましくは10モル%から30モル%の範囲のボロン濃度の)ボロンドープシリカを含む。一般的に、応力ロッド20は、線引きされた光ファイバ内に応力誘起複屈折をもたらすのに要する(クラッド層18を形成する材料のCTEに対して)CTEに必須の差を示す任意の材料から形成されればよい。例示の一実施形態では、応力ロッド20は、2.37×10
−6/KのCTEを示すように形成され、それは0.5×10
−6のCTEを有する周囲のシリカクラッド層18と比べてCTEに約1.87×10
−6/Kの差(ここでは様々にΔCTEともいう)を生じ、所望の複屈折率を与える。一般的に、約0.5×10
−6/Kから7.5×10
−6/Kの範囲のΔCTEが、本発明の目的に対して有用であると見なされる。これに限定されないが、B
2O
3+SiO
2及びB
2O
3+P
2O
5+SiO
2などの材料が、(10〜30モル%のBドーパント濃度及び0〜20モル%のPドーパント濃度で)使用された。Ge及びFなどの他のドーパントが使用されてもよい。さらに、以下に記載するように、応力ロッドは円形の幾何学形状を有するものに限定されない。
【0023】
図1に示すようなコア構造は、内側コア12内に伝搬光信号の基本モードLP
01を誘導し、内側コア12及び外側コア14の双方内に高次モード(HOM)、例えば、LP
03及び/又はLP
08を伝搬するように設計される。一般的に、内側コア12は、これに限定されないが、LP
11、LP
12及びLP
21モードを含む種々の他の非基本低次モードを伝搬するように構成され得る。内側コア12と外側コア14の間の相対屈折率差は、基本LP
01モード及び高次モード(HOM)の双方をサポートするように設計される。一般的に、内側コア12は、外側コア14よりも高い屈折率を有する(例えば、
図2の屈折率プロファイル参照)。ただし、例えば、トレンチがコア領域のいずれかよりも低い屈折率を有する低下した屈折率のトレンチが内側コア12と外側コア14の間に含まれ得る発明の教示に従って、PM−HOMファイバを作り出す際に考慮する点について、他の実施形態も検討する。この場合には、トレンチの幅は、HOMを実質的に外側コア14内に誘導するように選択される。
【0024】
光学的母材(プリフォーム)からファイバが線引きされる製造プロセス中に、大きなΔCTEの応力ロッド20の存在によって、ファイバの断面にわたって不均一な半径方向応力分布が形成され、この不均一な応力がファイバの最終形態に「凍結されて」残る。その結果、その後にファイバ内を伝搬する光信号は、ファイバの直交する「高速」及び「低速」軸として表記される直交偏波モードに信号を分割する応力誘起複屈折を受ける。
【0025】
上記のように、そして以下で詳細を説明するように、応力ロッドの直径Dと、さらに(
図1に示すような)内側コア12の中心からのそれらのずれR1は、本発明の1以上の実施形態により選択されて、誘導された高次モードの空間モードプロファイルに非対称性を導入する電位を最小化しつつ、内側コア12及び外側コア14内を伝搬する選択されたHOMに可能な限り高い応力誘起複屈折を実現する。この場合も、種々の実施形態は、外側コア14にHOMを閉じ込める際の補助として、内側コア12と外側コア14の間に低下した屈折率のトレンチを含んでいてもよいことが理解されるはずである。
【0026】
図2は、PM−HOM光ファイバ10の屈折率プロファイルであり、この説明の場合には、プロファイルが「低速」の水平偏波軸に関連付けられ、伝搬光信号は応力ロッドの存在によって影響を受ける。上記のように、応力ロッド20は、クラッド層18に対して大きなΔCTEをもたらす材料(例えば、ホウケイ酸ガラス)で形成される。ホウケイ酸ガラスを使用するのは、
図2に示すようにこの材料が低い屈折率の値を示す場合である(実際、屈折率の値はクラッド層18の屈折率と同様であればよい)。この低い屈折率の値は、応力誘起複屈折をもたらすのに要する熱膨張特性に差を設けるために必要であるが、伝搬ビームを歪める形態でファイバの波動誘導特性を変化させることがある。他の例示の実施形態では、応力ロッド20の組成は、シリカガラスと実質的に同じ屈折率の値を示すように構成され得るので、変形の問題を最小化する。他で記載したように、応力ロッド20を形成するのにP及びGeなどのドーパントがボロンと組み合わせて又はボロンの代わりに使用されてもよく、これらの種々の代替例はシリカガラスに近似した屈折率の値を示し得る。
【0027】
図3は、本発明の代替的例示の実施形態の断面図である。ここで、一対の非円形応力ロッド22は、実質的にクラッド領域18内に配設され内側コア12に対して対称的に位置決めされる。図示するように、応力ロッド22は楕円形の形態であり、この特定の構成では、各ロッドの主軸が光ファイバ内に誘起された偏波状態の「低速軸」に整合されている(一般的に、コアに対して任意の配向の応力ロッドが考えられる)。
図1と関連して上記の例示の実施形態と同様に、内側コア12の中心と各非円形応力ロッド22の内側端部との間のずれR1、及び応力ロッド22の相当直径D
M(以下で定義される)の双方は、本発明の1以上の例示の実施形態により選択された高次モードの光信号の偏波保持伝搬を与えるように構成されたパラメータである。非円形応力ロッド22について、ロッドの相当直径D
Mは(4A
cs/π)
1/2で与えられ、ここでA
csは応力ロッドの断面積である。非円形応力ロッドを配置する際のPM−HOMの複屈折分析について、相当直径「D
M」は円形応力ロッドの場合の「D」と同じ状況で使用される。
【0028】
本発明のさらに他の例示の実施形態も、非円形応力ロッドを使用して
図4に示される。この特定の例示の実施形態では、クラッド層18は2つの分離層として形成され、内側クラッド層18−Iは第1の屈折率の値を有し、外側クラッド層18−Oは(内側層18−Iに対して)高い第2の屈折率の値を有する。この特定の実施形態では、一対の「D」形状の非円形応力ロッド24は、内側クラッド層18−I内に配設され、外側クラッド層18−Oとの境界線に配設される。ここでも応力ロッド24の直径D及び内側コア12の中心からのそれらのずれR1は、HOMファイバ内に所望の量の複屈折を与えるのに有用なファクタである。
図3及び4に示す例示の「非円形」幾何学形状は単に例示であり、本発明の例示の実施形態に使用され得る他の多数の(例えば、周知の「ボウタイ」応力ロッド幾何学形状などの)幾何学形状が存在することが理解されるはずである。
【0029】
図5は、本発明により形成されたさらに他の偏波保持光ファイバの断面図である。この特定の構成では、トレンチ層16が外側コア14とクラッド層18の間に配設される。本技術分野では周知のように、(コアに対して)低下した屈折率の値を有するトレンチ層が、コア領域への伝搬信号の閉込めを維持するのに有用となり得る。応力ロッド20は、本発明の例示の実施形態により形成された偏波保持構造体に使用される場合、トレンチ層16の一部に重なり得る。トレンチ層16の存在は、応力ロッド20の存在によって生じる応力誘起複屈折に影響を与えるとは考えられない。
【0030】
PM−HOM光ファイバ10の一区画を利用する例示の偏波保持ハイパワー光学システムを、
図6に示す。この場合には、光信号入力構成は、従来のPMファイバ30の区画に沿って伝搬し入来する(偏波した)光信号を利用するものとして示される。この例示の実施形態では、PMファイバ30は、基本LP
01モード(又は他の非基本低次モード、例えば、LP
11、LP
12、LP
21)の偏波保持伝搬を与える。種々のアプリケーション(レーザ、増幅器など)に必要とされるようなハイパワー配置を提供するために、ラージモードフィールドエリアを与えることが望ましい。したがって、本発明の例示の実施形態によると、PM−HOM光ファイバ10の区画は、伝搬信号の偏波特性を維持しつつハイパワーな結果を実現するのに使用される。
【0031】
図6に示すように、入力モード変換器32(ここでは長周期グレーティング)は、PM−HOM光ファイバ10の入力端に配設され、伝搬信号の入来基本LP
01モード(又は他の非基本低次モード、例えば、LP
11、LP
12又はLP
21)を特定のハイパワーアプリケーションに有用な選択された高次モード(例えば、LP
08)に変換するのに使用される。上記のように、LPGは、通常、ファイバコア領域の区画にグレーティング構造を「書き込む」ことによって形成され、モード変換を実行する形態で、コア領域の所定の長さに沿って屈折率を変化させる。本発明の種々の例示の実施形態によると、光ファイバは、LPG製造中にUVビームがPM−HOM光ファイバ10の内側コア12の高速軸に沿って確実に印加されるように配向されるのが好ましい。
図7は(
図5に示すように)PM−HOM光ファイバ10Cの内側コア12へのUV放射線の印加を示す側面図であり、UV放射線はLPG32を作成するのに用いられ、
図8はPM−HOMファイバ10Cの端面図であり、高速軸に沿った(すなわち、応力ロッド20の位置に対して直交する)UV放射線の印加を示す。
【0032】
種々の実施形態において、LPG32は、ファイバ10の内側コア12内にのみ形成され得る。他の実施形態では、外側コア14はまた感光化され得るので、LPG32は、外側コア14内にのみ刻み込まれてもよい。言い換えると、グレーティングは、低次モードと高次モードの相互作用に対する電界分布のオーバーラップファクタがファイバの断面にわたって「非ゼロ」となるように、(本発明の1以上の実施形態によると)内側/外側コア領域内に好適には形成され、それによって相互作用モード中でエネルギー交換(変換)が可能となる。
【0033】
図6に戻ると、PM−HOM光ファイバ10からの偏波保持高モード光出力信号は例示の出力構成に連結されものとして示され、この例では、出力信号経路に沿って伝搬する所望の低次モード(例えば、基本モードLP
01)信号に処理信号を再変換して戻すのに使用される第2のモード変換器34を備える。例示の一実施形態では、PM−HOM光ファイバ10からの出力は、従来のPMファイバ36の区画に連結される。
【0034】
図6に示す構成は例示にすぎず、光信号の入力及び出力構成の双方に他の多数の構成も可能であることが理解されるはずである。実際、特定のアプリケーションは、偏波保持モード変換器の使用を必要としないこともあり、モード変換を実行するのにLPG以外の構造体を利用してもよい。以下に説明するように、ラージモードエリア偏波保持光ファイバにおけるLPGの作成によって特定の高次モードが発生し、それは(これに限定されないが、単一偏波アプリケーションなどの)特定のアプリケーションに使用され得る。
【0035】
上記のように、本発明の例示の一実施形態は、偏波保持ファイバによる増幅器配置の形成に対応付けられる。
図9は、ポンプ信号の存在において信号増幅を与えることが知られている1以上のドーパント(すなわち、Tm、Er、Yb、Nd、Ho又は他の希土類ドーパント)を含むように形成されたPM−HOMファイバ60を利用する例示の光増幅器を示す。
【0036】
図9に示す例示の実施形態では、光信号の入力構成は、入来光信号Sの伝搬をサポートする従来の光ファイバ62を備えるものとして示される。別々のポンプ波入力Pは波長分割マルチプレクサ64(又は他の適切なタイプの光合成器)内の入来信号と合成され、信号S及びポンプPの組合せは、この例示の実施形態では、信号S及びポンプPの双方を所望の状態の偏波(SOP)に沿って整合するのに使用される個別の偏波コントローラ66を通過するものとして示される。
【0037】
その後、信号及びポンプの偏波形態は入力モード変換器72(例えば、LPG)に通され、低次モードにおいて伝搬するエネルギーをPM−HOM60によってサポートされた高次モードに変換する。PM−HOM60のドープファイバ内のポンプ波の存在によって、偏波光信号S内に光増幅が発生する。
【0038】
PM−HOM60からの増幅された偏波出力信号を、この特定の例示の実施形態では、モード変換動作を実行するのにアキシコンレンズなどの光学レンズ74を利用する出力信号構成に連結されるものとして
図9に示す。本発明の種々の実施形態によると、モード変換を利用するいずれの配置も、偏波保持デバイスとして適切に構成されるべきである。さらに他の実施形態では、自由空間伝搬偏波ビームは、入来自由空間ビームをPM−HOMファイバに連結するのに使用される(アキシコンレンズなどの)最適なレンズを用いて、PM−HOMファイバ10、60への入力として使用され得る。
【0039】
PM−HOM光ファイバ10の例示の構成において実行される導波路分析に基づいて、異なるLP
0mモードの電場E(θ,r)が、(内側コア12の中心から外向きに測定されるように)ファイバの半径方向の位置の関数として決定された。この分析の結果を、左の縦軸を参照して
図10に示す。また、
図10では、この同じ半径方向のスパンにわたって計算された(及び右の縦軸に関連付けられた)複屈折率B(r,θ)がプロットされる。そして、PM−HOM光ファイバ10の積分複屈折率は、以下のように定義され得る。
【数1】
【0040】
種々の高次モードLP
0mの積分複屈折率は、以下の表1に示すように、基本(LP
01)モードから大幅には変化しない。
【0042】
応力誘起複屈折B(r,θ)は方位(θ)角依存性を有するが、放射対称的なLP
0mモードの電界は有していないことを留意することが有用である。したがって、「cos(2θ)」依存性を含む応力複屈折率の項は、0から360度のcos(2θ)の積分がゼロとなるので無視できる。他のHOM(例えば、LP
nm)はcos(2θ)依存性を有する応力複屈折を示すが、モード電界が実質的に応力ロッドの中心未満(例えば、一例では約112.5μm)の場合には、その影響は最小となる。したがって、複屈折率は他の放射非対称的なHOMのLP
nmに導入され得ることが分かり、ここでn<3及びm>1である。
【0043】
異なる応力ロッドの場所R1での複屈折率への影響を、
図11のプロットに示す。ここで決定された値は、内側コア12の周囲で対称的に配設された125μmの直径Dの円形応力ロッド20の使用に基づく(
図11の挿入図に示す)。応力ロッドは内側コア12から遠く離れて位置決めされるので、複屈折率の影響は弱くなり、結果として2つの軸の間で偏波の分離はほとんどないことがこのプロットから明らかである。一方、応力ロッドが内側コア12に対してどれだけ接近して配置され得るかには制限(すなわち、R1の最小値)もあるが、それでもファイバのハイパワー要件には所望のラージモードエリアが与えられる。応力ロッドの場所についての関数として測定された有効面積A
effも、
図11にプロットされる。
【0044】
図11のプロットに示す情報の検討では、発明のPM−HOM光ファイバの例示の実施形態は、約2×10
−4の許容可能な複屈折率を与えるのと同時に、A
effの最適値に対応して約50μmの応力ロッドの場所R1を利用するように設計され得る。応力ロッドの直径は最大複屈折率の値を生じるように選択される場合、応力の直径における小さなバラつきは、以下に説明するように、実際の複屈折率にはほとんど影響しない。
【0045】
図12は、本発明の例示の実施形態により形成されたPM−HOM光ファイバのセットに対する応力ロッドの直径の関数としての複屈折率のプロットのセットを含み、各実施形態は内側コアと応力ロッドの間の異なる(固定された)R1の分離に基づいている。ファイバの400μmの外径は各実施形態に対して保持され、所与のロッドの場所R1に対する異なる応力ロッドの直径D(80μmの最小値から160μmの最大値の範囲にわたる)に関連付けられた複屈折率の値がプロットされた。
【0046】
所与のR1の値に対する
図12に示す結果から、R1の値に対してファイバの複屈折率を最大化する最適な応力ロッドの直径Dが存在することを観測するのは興味深いことである。例えば、R1=50μmの曲線で見ると、最大の複屈折率は約117μmから128μmの範囲で応力ロッドの直径に関連付けられる。より重要なことに、結果としての複屈折率はこの領域に沿った応力の直径と共に大幅には変化しないので、最適な直径も、より強固な処理に対して「スイートスポット」を与える。
【0047】
図13は、2つの異なる実施形態についてR1の関数としての複屈折率の特定のプロットを示し、一方では応力ロッドの直径が値D=125μmを有し、他方では応力ロッドがD=120μmを有する。これら2つの直径の値の複屈折率の差はわずかであり、
図13の領域Aに示すR1の特定範囲(約50〜70μm)では差が最小となる。
【0048】
特定周期のLPGに関連付けられたモード変換共振波長が2つの直交偏波状態を区別するものであることを留意することが有用である。周期Λ
LPGのLPGによるLP
01とLP
08モードとの間のモード変換の例では、高速及び低速偏波状態の共振波長が、異なる偏波状態におけるこれらのモードの有効指数に関連する。特に、共振波長は、
λ
s=Λ
LPG(n
01s−n
0ms)、
λ
f=Λ
LPG(n
01f−n
0mf)
のように与えられ、ここで上付き文字のs及びfは低速及び高速偏波状態をそれぞれ表し、n
01及びn
0mはLP
01及びLP
0mモードそれぞれの有効指数である。動作の現行の波長範囲内(すなわち、1070nm付近)では、PM−HOMファイバにおける2つの偏波状態のLP
01とLP
08モードの間のLPG共振波長の差はこれらのモードの複屈折率の値に関連し、それは、
λ
s−λ
f=Λ
LPG((n
01s−n
01f)−(n
08s−n
08f))≒Λ
LPG[B
01−B
08]
のように与えられ、ここで、B
01及びB
08は、それぞれLP
01及びLP
08モード複屈折率である。
図14は、高速及び低速偏波軸で測定されたLP
01とLP
08の間の共振波長の例を示す。
【0049】
これは、PM−HOMファイバにおいて作製されたLPGが、個別の偏波状態でのHOM生成に使用され得ることを示す。さらに、PM−HOMファイバにおいて作製されたLPGはまた、
図14に示すように、適切な共振波長を選択することによって別々の偏波状態に対してモード変換を実行するのにも使用され得る。特定の偏波状態を有するHOMのこの波長依存的生成は、単一偏波レーザ及び低コスト光センサなどの開発中の装置に非常に有用となり得る。しかしながら、非PMファイバにおいて作製されたLPGは、偏波状態に関わらず、同じモード変換共振波長を与えることに留意すべきである。つまり、PM−HOMファイバの例示の実施形態において内側コア、外側コア及びクラッド領域が(それらの屈折率及び寸法の観点から)適切に構成される場合、そのような例示のPM−HOMファイバにおけるモード変換は、(これに限定されないが、放射状及び方位角状の偏波並びにハイブリッドモードを含む)種々の偏波及び配向の高次モードの励起を生成する。
【0050】
要約すると、本発明の例示の実施形態によってPM−HOM光ファイバを構成する場合、内側コア12と応力ロッド20の間の分離R1は、高次LP
0mモードフィールド分布の整合(すなわち、モードの歪み及びモードの交差を回避すること)を保持する複屈折率の値Bの最大許容値によって支配されるので、実質的に一致したモードフィールドエリアを保持する。
【0051】
したがって、2つのパラメータD及びR1は、2つの相反する制約:
1)複屈折率Bは、特定の値を上回ったままの状態を維持することが望まれる、及び
2)正規化有効面積は、非摂動HOM構成に非常に近似した特定の値を上回ることが望まれる、
の下で選択され得る。つまり、応力ロッドの存在に起因する不均一な応力分布からのモードへのいずれの歪みも最小化することが1つの目的である。そのような不均一性は、モードプロファイルを歪めて、A
effの値を低下させてしまう。
【0052】
本発明の種々の例示の実施形態は、内側コア、外側コア及びクラッド(さらには存在する場合には、トレンチ)における屈折率を制御するのに使用される選択ドーパントを有するシリカベースのガラスを備える。ファイバの複屈折率は、それら(コア及び一対の応力ロッド)の中心が実質的に同一線上となるように、ファイバコアのいずれかの側部に位置するデュアル応力ロッドによって誘起される。応力ロッドは、クラッド層を形成する材料とは大幅に異なる熱膨張率を有するガラスで形成されるので、所望の応力特性及び低い屈折率を誘起し、したがって、空間モードにおける外乱を最小化する。本発明の例示の実施形態は、以下の寸法及び組成の範囲内:
1)クラッド層にわたって測定されるPM−HOM光ファイバ全体の直径が180μmから800μmである、
2)応力ロッドがクラッドのガラス材料のものとは大幅に異なるCTEを示す材料で形成される(例えば、クラッドのCTEと応力ロッドのCTEと比較した場合、ΔCTEが約0.5×10
−6/Kから7.5×10
−6/Kの範囲である)、
3)応力ロッドの直径(D)が約50μmから150μmの範囲に及ぶ(応力ロッドは円形又は非円形であればよい)、
4)コアの中心と応力ロッドの間のずれ(R1)が約40μmから約200μmの範囲である、
で具現化され得る。
【0053】
これらの値は、例示にすぎず、本発明の範囲内となると見なされるいくつかの様々な特定の実施形態を図示する目的のためのものである。
【0054】
より一般的には、これらの例及び実施形態は、本発明の原理の単なる選択的説明であり、その範囲を限定しないことに留意すべきである。追加、省略、置換及び他の変形が、本発明の範囲から逸脱しない範囲内でなされ得る。したがって、本発明は、上記によって限定することなく、ここに添付する特許請求の範囲によってのみ限定される。