特許第6571748号(P6571748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571748気を散らすものからの分離を提供すること
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571748
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】気を散らすものからの分離を提供すること
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/12 20060101AFI20190826BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20190826BHJP
   G10K 11/178 20060101ALI20190826BHJP
   G10K 11/175 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04R3/12 A
   H04R1/10 101B
   G10K11/178 100
   G10K11/175
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-246089(P2017-246089)
(22)【出願日】2017年12月22日
(62)【分割の表示】特願2016-562544(P2016-562544)の分割
【原出願日】2015年4月14日
(65)【公開番号】特開2018-78621(P2018-78621A)
(43)【公開日】2018年5月17日
【審査請求日】2017年12月26日
(31)【優先権主張番号】61/979,120
(32)【優先日】2014年4月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/684,829
(32)【優先日】2015年4月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・エム・ガイガー
(72)【発明者】
【氏名】ムハマッド・マソオッド
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・エム・ゴーガー・ジュニア
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−267174(JP,A)
【文献】 特開2014−033303(JP,A)
【文献】 特開2012−173630(JP,A)
【文献】 特表2008−546003(JP,A)
【文献】 特開2009−232302(JP,A)
【文献】 特開2011−114677(JP,A)
【文献】 特開2013−051532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 3/12
G10K 11/175
G10K 11/178
H04R 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
ヘッドセットに接続するための第1のインターフェースと、
ラウドスピーカに接続するための、前記第1のインターフェースから分離した第2のインターフェースであって、前記ラウドスピーカは前記ヘッドセットから分離している、第2のインターフェースと、
前記インターフェースのそれぞれを制御するプロセッサであって、
プライバシーマスキング信号を前記ラウドスピーカにルーティングし、
ユーザが前記ヘッドセットを着用することに応じて、前記ラウドスピーカからの前記プライバシーマスキング信号を前記ヘッドセットに再ルーティングするように構成されているプロセッサと、
を備える装置。
【請求項2】
前記プライバシーマスキング信号が、人間の発話の長期的な平均スペクトルと一致するスペクトルを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記プライバシーマスキング信号が前記ラウドスピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされる時、前記プロセッサが、前記ヘッドセットの減衰特性を考慮するために、前記プライバシーマスキング信号を変更するようにさらに構成される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記プライバシーマスキング信号が、前記ラウドスピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされる時、前記プロセッサが前記プライバシーマスキング信号の音量を低下するようにさらに構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
環境ノイズのレベルを測定するように構成されたマイクロフォンさらに含み、前記プロセッサは環境ノイズの前記レベルに基づいて前記プライバシーマスキング信号の音量を自動的に調整するようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、前記ユーザが前記ヘッドセットを外すことに応じて、前記プライバシーマスキング信号を前記ヘッドセットから前記ラウドスピーカに再ルーティングするようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プロセッサが、前記ユーザが前記ヘッドセットを外すことに応答して、前記プライバシーマスキング信号を消音するようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記プライバシーマスキング信号が前記ラウドスピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされた時、前記プロセッサは、前記ヘッドセットの内部でノイズキャンセル信号を活性化して、前記ユーザの耳に届くプライバシーマスキングオーディオの量を低減するようにさらに構成された、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘッドセットが、
環境ノイズのレベルを測定するように構成されたマイクロフォンと、
環境ノイズの前記レベルに基づいて、前記プライバシーマスキング信号の音量を自動的に調整するように構成されたプロセッサと、を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ヘッドセットに接続するための第1のインターフェースと、
スピーカに接続するための、前記第1のインターフェースから分離した第2のインターフェースであって、前記スピーカは前記ヘッドセットから分離している、第2のインターフェースと、
前記インターフェースのそれぞれを制御するプロセッサであって、
前記ヘッドセットのユーザの声のプライバシーマスキングをもたらす前記スピーカに、プライバシーマスキング信号をルーティングし、前記ヘッドセットと前記スピーカから再生される、前記プライバシーマスキングされたオーディオを提供するための前記プライバシーマスキング信号は、それぞれレベルまたはスペクトルが異なり
ユーザが前記ヘッドセットを着用することに応じて、前記ヘッドセットの内部でノイズキャンセル信号を活性化して、前記ユーザの耳に届くプライバシーマスキングされたオーディオの量を低減するように構成され、プロセッサと
を備える装置。
【請求項11】
前記プライバシーマスキング信号が、人間の発話の長期的な平均スペクトルと一致するスペクトルを有する、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プライバシーマスキング信号が前記スピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされる時、前記プロセッサが、前記ヘッドセットの減衰特性を考慮するために、前記プライバシーマスキング信号を変更するようにさらに構成される、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記プライバシーマスキング信号が、前記スピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされる時、前記プロセッサが前記プライバシーマスキング信号の音量を低下するようにさらに構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
環境ノイズのレベルを測定するように構成されたマイクロフォンさらに含み、前記プロセッサは環境ノイズの前記レベルに基づいて前記プライバシーマスキング信号の音量を自動的に調整するようにさらに構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記ユーザが前記ヘッドセットを外すことに応じて、前記プライバシーマスキング信号を前記ヘッドセットから前記スピーカに再ルーティングするようにさらに構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記ユーザが前記ヘッドセットを外すことに応答して、前記プライバシーマスキング信号を消音するようにさらに構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
前記プライバシーマスキング信号が前記スピーカから前記ヘッドセットに再ルーティングされた時、前記プロセッサは、前記ヘッドセットの内部でノイズキャンセル信号を活性化して、前記ユーザの耳に届くプライバシーマスキング信号の量を低減するようにさらに構成された、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記ヘッドセットが、
環境ノイズのレベルを測定するように構成されたマイクロフォンと、
環境ノイズの前記レベルに基づいて、前記プライバシーマスキング信号の音量を自動的に調整するように構成されたプロセッサと、を含む、
請求項10に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、その全体の内容が参照によって本明細書に組み込まれている、2014年4月14日に出願した仮出願第61/979,120号の優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、気を散らすノイズ(distracting noises)からの、内容に従った分離を提供する、パーソナルオーディオデバイスに関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願第14/231,524号
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0126756号
【特許文献3】米国特許出願第14/225,807号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一般に、一態様では、装置は、パーソナルコンピュータに接続するための第1のインターフェースと、通信デバイスに接続するための第2のインターフェースと、ヘッドセットに接続するための第3のインターフェースと、スピーカに接続するための第4のインターフェースと、インターフェースのそれぞれを制御するプロセッサとを含む。プロセッサは、パーソナルコンピュータまたは通信デバイスのうちの1つにおける通信セッションに関連したオーディオをスピーカにルーティングし、ユーザがヘッドセットを着用することに応じて、ヘッドセットへオーディオを再ルーティングするように構成されている。
【0005】
実施態様は、以下の1つまたは複数を任意の組合せにおいて含み得る。プロセッサは、ユーザがヘッドセットを外すことに応じて、オーディオを消音するように構成されてもよい。プロセッサは、ユーザがヘッドセットを外すことに応じて、オーディオをスピーカへ再ルーティングするように構成されてもよい。プロセッサは、通話が通信デバイスにおいてアクティブである間に、通信デバイスが第2のインターフェースに接続されることに応じて、通信デバイスのオーディオインターフェースからスピーカまたはヘッドセットのうちの1つへオーディオを再ルーティングし、パーソナルコンピュータを通話に接続して、通信デバイスを通話から切り離すようにさらに構成されてよい。プロセッサは、パーソナルコンピュータを、通信デバイスにおいてアクティブな通話に接続し、通信デバイスを通話から切り離すようにさらに構成されてもよい。プロセッサは、パーソナルコンピュータに、通話に関連したビデオを表示させ、ローカルなカメラから装置に対してビデオを伝送させるようにさらに構成されてもよい。この装置はカメラを含み得る。第1のインターフェースは、パーソナルコンピュータに接続されているカメラからビデオ画像を受け取るためのインターフェースを含む。プロセッサは、パーソナルコンピュータにおいて通話がアクティブである間に、パーソナルコンピュータのオーディオインターフェースからスピーカまたはヘッドセットのうちの1つへオーディオを再ルーティングし、通信デバイスを通話に接続して、パーソナルコンピュータを通話から切り離すようにさらに構成されてもよい。パーソナルコンピュータはタブレットコンピュータであってもよい。通信デバイスは第2のタブレットコンピュータであってもよい。通信デバイスは装置に組み込まれてもよい。第1のインターフェース、第2のインターフェース、第3のインターフェース、または第4のインターフェースのうち少なくとも1つが無線インターフェースであってもよく、ルーティングは、無線インターフェースを使用するデバイスと装置との間の近接性に基づいて遂行されてもよい。スピーカおよび第4のインターフェースは装置に内蔵されてもよい。
【0006】
一般に、一態様では、装置は、ヘッドセットに接続するための第1のインターフェースと、スピーカに接続するための第2のインターフェースと、インターフェースのそれぞれを制御するプロセッサとを含む。プロセッサは、ヘッドセットの、ユーザの声のマスキングをもたらすスピーカに、オーディオをルーティングし、ユーザがヘッドセットを着用することに応じて、ヘッドセットの内部でノイズキャンセル信号を活性化して、ユーザの耳に届くプライバシーマスキングオーディオの量を低減するように構成されている。
【0007】
一般に、一態様では、装置は、オーディオ源に接続するための第1のインターフェースと、オーディオ出力デバイスに接続するための第2のインターフェースと、外部活動センサの入力と、インターフェースのそれぞれを制御して入力を受け取るプロセッサとを含む。プロセッサは、オーディオ源からオーディオ出力デバイスにオーディオを供給し、外部活動センサから入力を受け取ることに応じて、オーディオ出力デバイスに供給されているオーディオを変更するように構成されている。
【0008】
実施態様には、以下の1つまたは複数を任意の組合せにおいて含み得る。外部活動センサは、ドアベルまたは侵入者センサを含んでもよい。第1のインターフェースおよびオーディオ源は、装置に内蔵されてもよい。オーディオ源が、記憶された分離マスキング音声を含み、プロセッサが、分離マスキング音声を、徐々にそのレベルを下げることによって変更する。記憶された分離マスキング音声は、ヘッドセットに記憶され、変更されるべき装置に供給され得る。プロセッサは、マスキング音声のレベルを下げた後に警告音も供給してもよい。対応不可(do-not-disturb)インジケータがプロセッサと通信してもよく、プロセッサは、対応不可インジケータの活性化状態に基づいて、外部活動センサの入力とは異なって応答するように構成されている。対応不可インジケータは、所定のタイプのオーディオがオーディオ源によって供給されている場合は常に活性化されてよい。所定のタイプのオーディオは、分離マスキングまたは通話を含み得る。コンピューティングデバイスに接続するための第3のインターフェースが含まれてもよく、コンピューティングデバイスにおいて特定のソフトウェアアプリケーションが使用される場合は常に対応不可インジケータが活性化される。装置は、カレンダーデータにアクセスすることができ、カレンダーデータが、ハブのユーザには予定されたアクティビティがあることを示す場合、対応不可インジケータが活性化される。プロセッサは、対応不可インジケータがアクティブである間に外部活動センサの入力が受け取られることに応じて、対応不可インジケータにその外観を変化させるように構成されてもよい。
【0009】
一般に、一態様では、装置は、通信デバイスに接続するための第1のインターフェースと、オーディオ出力デバイスに接続するための第2のインターフェースと、インターフェースのそれぞれを制御するプロセッサとを含む。プロセッサは、通信デバイスを通じて複数の参加者の通信セッションが開始するとき、セッションの遠隔の参加者からの発話を分析し始めて、それぞれの遠隔の参加者の声紋を生成し、発話からテキストへの処理を使用して、それぞれの参加者の名前に相当する有望なテキストを識別し、識別された発話を、それぞれの対応する参加者向けに生成された声紋に関連付けるように構成されている。参加者の声紋および有望な名前が決定された後の通信セッション中に参加者が話す場合、プロセッサは、装置のユーザに、話している参加者の有望な名前の標識を提供する。
【0010】
利点には、個別の作業空間において使用されるオーディオ源/ビデオ源にシームレスなインターフェースが与えられることが含まれる。ハブとヘッドセットとの組合せは、オープンプランの作業環境または小個室の作業環境で働く人々を、望むときには気を散らすものから分離し、割込みに対するその人の対応可能性(または対応不可能性)を伝え、着用者の注意を得る丁寧なやり方を提供することによって、人々が生産性を助長するために利用することができる「仮想ドア」も提供する。分離および対応可能性の伝達は、専用オフィスでも有益である。これらの機能によって、職場の相互作用の有効性が改善されるばかりでなく、生産性が向上しストレスが低減され、ユーザは、自身の環境のさらなる制御が可能になる。
【0011】
前述の例および特徴のすべてが、任意の技術的に可能なやり方で組み合わされ得る。他の特徴および利点は、発明を実施するための形態と特許請求の範囲とから明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】相互接続されたデバイスのシステムの図である。
図2】デバイスおよびアクションに関する処理の流れを示す図である。
図3】デバイスおよびアクションに関する処理の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で、オフィスの作業空間を簡素化する通信ハブを説明する。一体化されたスピーカおよびヘッドホンを提供することにより、ユーザは、コンピュータ、卓上電話、または他の通信デバイスからの通信のオーディオおよびビデオと、自分のコンピュータ、スマートフォン、または他のソースからの音楽とを、直観的な制御の簡単な組を用いてシームレスに管理することができる。この通信ハブが提供するツールにより、ユーザは、職場の気を散らすものが軽減して集中を保つのが助長される一方で、周囲で進行中のアクティビティを今までどおり認識することもできる。
【0014】
図1に示されるように、システム100が含んでいる中央ハブ102は、パーソナルコンピュータなどのワークステーション104と、携帯電話などの通信デバイス106と、ヘッドセット108とに、同時に接続される。ハブは、他のデバイスに有線で接続された1つのハードウェアとして示されているが、デバイスの1つまたは複数の中のソフトウェアとして完全に実施されてもよい。ソフトウェアは、専用アプリケーションでよく、または接続されているデバイスのマネージャもしくは通信ソフトウェアなどの別のアプリケーションの中で提供されるサービスでもよい。ヘッドセット用ホルダ112は、ヘッドセットが使用されているかどうか監視してよく、ヘッドセットがバッテリー駆動であれば充電してもよい。システムは卓上電話114も含み得、これは専用の通信ネットワークに接続されるものでよく、または、たとえば接続のために他のデバイスと同一のネットワークを使用するIP電話でもよい。様々な接続のそれぞれが、USB、Bluetooth(登録商標)、WiFi、アナログ接続、または専用インターフェースなどの任意の標準的な接続を使用して適切な信号を搬送する有線または無線の接続でよい。
【0015】
ハブは、ラウドスピーカ(out-loud speaker)110に接続してよく、そのようなスピーカ自体に組み込まれてもよく、またはワークステーションもしくは通信デバイスといった他の接続されたデバイスのうち1つの内部にあってよい。いくつかの例では、ハブなど、ハブソフトウェアが実行されているデバイス、または別の携帯用スピーカ(図示せず)が有するスピーカは、音を聴かせるのに適切であり(adequate for out-loud listening)、ラウドスピーカ110は、ハブまたは携帯用スピーカと組み合わせたとき、より優れた、またはより大きな音声品質をもたらす。ラウドスピーカはハブ用のドックとしても役立ち得、ハブがあるときにはハブを充電するが、ハブは取り外して他の位置へ搬送され得る。ハブが携帯電話または携帯用スピーカに組み込まれている場合、これは特に有用である。場合によっては、ワークステーションと通信デバイスはどちらも多機能の携帯型パソコンであり、それらの間の実際の相違は、サイズ、所有権、接続されるネットワーク、またはユーザによるそれらの個々の主要な使い方のみである。
【0016】
ヘッドセットは、場合によっては能動的なノイズ低減ヘッドセットでよく、好ましくは環境ノイズを除去する音声マイクロフォン(たとえばカーディオイドマイクロフォンもしくはダイポールマイクロフォン(cardioid or dipole)、または環境ノイズへの暴露を低減するようにヘッドセットに内蔵されたマイクロフォン)を含む。ヘッドセットを使用しないときユーザの声を感知するために、マイクロフォン配列を含み得る指向性マイクロフォンが、ハブの中に含まれてよく、ワークステーション104などの他のデバイスのうちの1つの中に含まれてよく、または他のデバイスから独立して含まれてよい。ワークステーションによって、ヘッドセットまたはラウドスピーカおよびマイクロフォンは、音楽もしくはビデオからのオーディオを傾聴するか、またはワークステーションを通じて行われるVoIP通話もしくはビデオ通話などの通話に参加するために使用され得る。ヘッドセットおよびラウドスピーカは、卓上電話とともに使用されてもよい。ヘッドセットまたはラウドスピーカおよびマイクロフォンは、音楽を傾聴するかまたは通信デバイス上の通話に参加するためにも使用される。ヘッドセットまたはスピーカは、ワークステーションまたは通信デバイス上の他のビデオコンテンツに関連したオーディオを傾聴するためにも使用され得る。ハブは、以下のいくつかの例において説明されるように、アクティビティを切り換えるか、または、1つのデバイスから他のデバイスへ所与のアクティビティを移行させるために、ワークステーションと、電話と、通信デバイスとの間で、ヘッドセットまたはラウドスピーカおよびマイクロフォンをシームレスに切り換えることを可能にする。ハブによって、ユーザは、所与のアクティビティのために、ヘッドセットと、ラウドスピーカと、マイクロフォンと、通信デバイスに内蔵の任意のインターフェースとの間でシームレスに切り換えることもできる。ヘッドセットは、これも以下の例で説明されるように、通信および娯楽のために使用されることに加えて、ユーザの周囲の人々の声から、気を散らすものを低減するようにも使用される。
【0017】
いくつかの例では、ハブは内蔵ユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースは、ワークステーションまたは通信デバイス上の音楽再生を制御することができる。そのような制御のために、どのようにハブが他のデバイスに接続されているかに依拠して、様々なプロトコルが存在する。たとえば、USB接続上では、キーボードのコマンドは、ワークステーション上で実行されるソフトウェアにおける特定のコマンドに関連した、キーボード上のメディアキーまたは英字キーおよび数字キーに対応し得る。Bluetooth(登録商標)は、オーディオビデオリモートコントロールプロファイル(AVRCP: audio-video remote control profile)、シリアルポートプロファイル、および固有プロファイル(proprietary profiles)などの遠隔制御機能を提供する。ユーザインターフェースは、トラックをスキップするための右へのスワイプ、再開するための左へのスワイプなどのスワイプするジェスチャー、休止するためのタッピングを使用する、タッチ面を含み得る。インターフェースは、再生されている音楽またはマスキングトラックの表示も含み得、電話、VoIP、またはビデオ通話のための発信者ID情報も提供することができる。
【0018】
通話管理
一例では、通話は、ヘッドセットと他の使用可能なインターフェースとの間で自動的に切り換えられる。図2は、例示的処理の流れを示す。ハブ(図示せず)は、一番上の行に示されるように、ヘッドセット202が取り上げられたこと、または、代替的に、頭部に据えられたこと(矢印204)を感知し、2番目の行に示されるように、通話からのオーディオをヘッドセットへ自動的にルーティングし、ラウドスピーカ206を消音すること、または通信デバイス、すなわち受話器もしくは携帯電話自体に内蔵されたインターフェースを消音することによって応答する。反対に、通話の終了時は、ヘッドセットが取り外された(「外された」と称することもある)とき(矢印208)、ラウドスピーカ206は消音されたままであり、その結果、オーディオは、ユーザがインターフェースコントロール210を用いて手動で消音を解除しなければ音を出して再生される(隣席の人を悩ませる)ことはない。同様に、ユーザが音楽を傾聴しているか、または(以下で説明されるように)ヘッドセットによって音声をマスクしている場合、ヘッドセットが外されると、やはり隣席の人を悩ませないように、音楽は、スピーカに切り換えられるのではなく、3番目の行に示されるように(音楽を供給しているのがワークステーションまたは通信デバイスのどちらでも、適切な遠隔制御信号を伝送することなどによって)停止され、またはマスキングが弱められる(masking is muted)。ユーザが通話の途中でヘッドセットを外した場合、通話における他のユーザのための状態インジケータは、4番目の行に示されるように、ユーザがラウドスピーカの消音を解除するかまたはヘッドセットを再び着用するまで、ユーザが離れたことを自動的に示し得る。
【0019】
ヘッドセットが使用されているかどうかの感知は、センサを装備した、ヘッドセットのための載置場所、たとえば、ヘッドセットを据えるためのパッドまたはヘッドセットを掛けるためのフックを提供することによって達成され得る。他の例では、感知は、参照によって本明細書に組み込まれている、2014年3月31日に出願した米国特許出願第14/231,524号に説明されているように、ハブに通知を返す(signal back)ヘッドセットの内部のセンサを使用することによって、またはヘッドセットに供給される信号を分析することによって行われ得る。もちろん、ヘッドセットが使用中であるかどうかということの識別は、バッテリーを有するヘッドセットの給電を自動的にオンオフしてバッテリーの電力を維持するためにも使用され得る。結線されない用途向けのバッテリーを充電する有線接続を使用する能動的なヘッドセットでは、有線接続を使用中のヘッドセットが使用中であるかどうかということの識別は、たとえば安全上の理由で、ヘッドセットが使用されていない間にのみ充電して、充電を制御することもできる。
【0020】
製品使用法のシナリオの1つでは、ユーザの一日は、通勤するための運転中に電話会議に出ることから始まる。ユーザは勤務先に到着し、依然として通話しながら建物の中へ歩く。ユーザは、一旦自分の小個室に入ると、ハブ上のコントロールをタップして、通話のオーディオを携帯電話からハブのスピーカへ即座に転送する。ユーザは、自分のノートパソコンをセットアップし、充電するフックから無線ヘッドホンをとる。無線ヘッドホンは、ユーザに着用されたとき、自動的に電源が入ってスピーカを消音する。ハブは、通話を、ユーザの携帯電話から、ユーザのノートパソコンによるビデオ通話へと切り換える。いくつかの例では、ヘッドホンは、たとえば参照によって本明細書に組み込まれている米国特許出願公開第2014/0126756号に説明されているように、着信電話のオーディオにおける空間的情報に対応する両耳用オーディオ信号を供給する。
【0021】
通話における遠隔のチームは、解決するのを支援する必要がある問題をユーザに通知する。ユーザは、隣の小個室にいる同僚達に、来て助けてくれるように頼む。同僚達が到着すると、ユーザはヘッドホンを取り外す。ヘッドホンは自動的に電源がオフになり、このとき、通話のオーディオはハブのスピーカによって音を出され、したがって、同僚達の全員が、遠隔のチームと問題について論じることができる。同僚達は、遠隔のチームの話をステレオで聞き、複数の人が同時に話したとしても会話について行くことができる。ローカルのチームは、近くの部屋で大きいホワイトボードを使用する必要があると判断する。ユーザは、近くの部屋で会議を継続するために、彼らとともに自分のハブを持って行く。ハブ上のオーディオを維持することに加えて、その部屋のプロジェクタ上でビデオ通話が再開され、ハブが、その部屋のカメラからのビデオ供給を使用して、遠隔の参加者にローカルのビデオを提供する。彼らはすぐに解決策を発見し、ユーザは自分の小個室に戻る。ユーザは、近くの他人を妨害しないように、自分のヘッドホンを再び着用し、自分のワークステーションのモニタ上のビデオ部分との会合を再開する。
【0022】
遠隔のチームは、スクリーン上でドキュメントを共有している。ユーザは、チームが協働するのを聞きながら、ドキュメントを印刷し、コメントを書き込みたいと望む。ユーザは、会話を中断することなくプリンタの方へ歩く。ユーザは、自分のヘッドホン上の消音制御をタッピングし、したがってプリンタのノイズが通話の邪魔にならない。ユーザは、通話における誰かに質問されとき、ヘッドホンを迅速に消音解除し、次いで、デスクに歩いて戻ったとき再び消音する。
【0023】
数分後に、ハブ上のユーザインターフェースが、販売担当重役がユーザの携帯電話に電話していることを示す。ユーザは、遠隔のチームに電話を切らないで少し待つように頼み、自分の携帯電話に応えるためにユニット上のソースセレクタをタッピングする。販売担当重役は、チームに対していくつかの重要な情報を有し、ユーザがビデオ通話の中へ自分を橋渡ししてくれることを望んでいる。ハブが2つの通話を結合し、販売担当重役は、チーム全体に情報を提示し、次いで通話をやめる。
【0024】
マスキング
一例では、隣接したオフィス、小個室、または開放的なオフィス環境における同僚などの、近くの会話の気を散らすものから分離するために、ハブは、参照によって本明細書に組み込まれている、2014年3月26日に出願した米国特許出願第14/225,807号に説明されているように、ヘッドセット自体の減衰応答向けに調節された、人間の発話の長期的な平均スペクトルと一致するスペクトルを有する分離マスキング信号を供給する。分離信号はヘッドセット自体によって供給されてもよく、または、場合によっては、ハブが分離マスキング信号を調整し得るように、ヘッドセットがそれ自体の減衰応答または他の識別情報をハブに通知してもよい。この信号は、等化された自然音声トラックでよい。使用されるトラックは、ユーザが選択することができるいくつかのもののうちの1つでよい。分離マスキングのレベルは手動で設定することができ、または上記の出願に説明されているように、この信号は、所望の分離をもたらすように十分に大きいレベルまで自動的に調節されてもよい。マスキングレベル(masker level)の自動調節のために必要な環境ノイズは、ヘッドセット上またはハブ上のマイクロフォンによって測定され得る。
【0025】
ハブの出力管理機能が、分離マスキング信号の音声に影響を及ぼすことがある。たとえば、ハブは、ユーザがヘッドセットを着用しているかどうかということに基づいて、スピーカとヘッドセットの間の分離マスキング信号を切り換える。マスキングがスピーカ上でなされ、ユーザがヘッドセットを着用している場合には、分離マスキング音声がヘッドセットへ再ルーティングされる。ユーザがヘッドセットを外したとき、分離マスキングはスピーカに戻されてもよく、または消音されてもよい。ヘッドセットとスピーカとを切り換えるとき、ヘッドセットで再生される音声とラウドスピーカから再生される音声との異なるマスキング特性を考慮するために、分離マスキング音声のレベルまたはスペクトルが変更されてもよい。いくつかの例では、ラウド(out-loud)マスキング信号は、ユーザのためではなく、ユーザの周囲の人達のためのものである。このプライバシーマスキング信号は、隣席の人の邪魔をしないようにマスクされるばかりでなく、明瞭度を劣化させることによって(故意または偶然の)立ち聞きに対してユーザの声をマスクするために、ユーザの声に基づいて調整される。ヘッドセットのノイズ低減信号は、少なくとも部分的にマスキング信号を除去することができ、したがってユーザ自身の気を散らすことはない。
【0026】
製品使用法のシナリオの1つでは、ユーザの同僚のうち3人が隣の小個室において緊急会議をしていて、ユーザが自分の業務に集中するのが困難になっている。ユーザは、無線ヘッドホンを着用して、分離マスキング機能を使用可能にする。ユーザからすると、知覚される同僚の音声が徐々に消えていくにつれて、じわじわと伝わるストリームがヘッドホンの中で増加する。ユーザは別のマスキング音声がよいと決断し、そこで、別の音声に切り換えるためにハブ上のボタンを押す。ディスプレイは、各々の名称をユーザが選択するときに示す。ユーザは、「渚にて」という音声を見つけて仕事に戻る。
【0027】
ユーザは、大部分の時間わたってヘッドホンを着用していたが、一日の終りにおいて疲労を感じない。ユーザは、明日は自宅で仕事をすることになっており、そこで、自分の無線ヘッドホンを自分のノートパソコンと一緒にバッグに詰めて(packs)帰宅する。
【0028】
ドアベルおよびDND
別の例では、ユーザの小個室の入口またはユーザの椅子の背面にドアベルが取り付けられる。これは、ユーザがヘッドセットを着用して音楽を傾聴しているとき、気を散らすものをマスクしているとき、または通話中に、訪問者が割り込みたがっていることをユーザに知らせるために使用され得る。
【0029】
いくつかの例では、図3に示されるように、ドアベルと組み合わせて対応不可インジケータが設けられる。インジケータは、ヘッドセット上の発光体302もしくは他のユーザインターフェース要素、ドアベル304に組み込まれたもの、そうでなければオフィス環境の何かに取り付けられたものであり得る。ヘッドセット上の光302の場合には、別々の色(図3では角度のあるラインによって表されている)が状態を示してよく、または単色光の別々の点滅パターンが使用されてもよい。ユーザは、インターフェースユニットから手動で対応不可インジケータ306を活性化してよい。他の例では、対応不可インジケータは、職場の協働システムにおけるユーザの状態もしくはカレンダー308、またはユーザが通話中(電話、VoIP、ビデオチャットなど)かどうかということによって制御される。場合によっては、ユーザがいくらかの時間にわたって非活動状態であったとき(またはユーザが手動でそのような状態を設定したとき)、第3の状態「不在」が示される。この場合、ドアベル上のインジケータは点灯し得るが、ヘッドセット上のインジケータは、ユーザが自分のヘッドセットを使用していないことを識別する必要がないのでオフになる。さらに別の例では、対応不可インジケータは、ユーザがインターフェースのマスキング機能を活性化させたとき自動的にオンになり、マスキングがオフにされるか、ヘッドセットが外されたときには自動的にキャンセルされてよい。好ましい実施形態では、対応不可インジケータは、たいていは自動であるが、ユーザは、自動的に決定された状態を、常に手動で覆すことができる。
【0030】
ユーザに警告を出すために、ドアベルに加えて、またはドアベルの代わりに、パッシブな訪問者検知システムが使用され得る。訪問者を検知するために、パッシブな赤外線(PIR)または超音波のピンガーなどのセンサが用意されてよい。PIRセンサが、適切な視野を得るように、天井などの高いところに取り付けられてよい。ラウドスピーカまたはインターフェース上に超音波センサが取り付けられて、それとトランスデューサを共有してもよい。パッシブなセンサでなく赤外線ビームセンサが使用されてもよい。別のオプションとしては、小個室の外部のフロアマットにおける圧力センサがあり得る。訪問者検知は、誰かがユーザの後ろまたは作業空間の入口において検知されると直ちに応答してよく、または、誰かが通りかかるたびに誤って起動することのないように、訪問者が少しとどまるのを待ってもよい。
【0031】
訪問者の検知は、利用される技術のいかんを問わず、訪問者の存在について、あたかも訪問者が手動でドアベルを押すのと同様に、自動的にユーザに警告を出すことができる。他の例では、訪問者の検知は、ドアベルをぱっと光らせるか、または他の何らかのやり方で、訪問者にユーザの状態(対応不可または対応可)を知らせて、ユーザに注目されるためにドアベルを使用するのを促すように、訪問者に注目されようとする。
【0032】
ドアベルが押されるかまたは訪問者が検知された場合、システムは、あらゆるマスキング信号を弱めること、音楽を消音するかまたは一時的に聞こえなくする(ducking)こと、チャイムを鳴らすこと、または(ヘッドセット/インターフェースの接続が、インターフェースによるヘッドセットのモード制御を許容すると想定して)ヘッドセットを能動的ノイズ低減モードから能動的傾聴モード(active hear-through mode)に切り換えることを含む、様々なやり方で応答することができる。対応不可が選択されている場合、1つまたは複数の通知方法が抑制されてよい。訪問者が対応不可状態を無視して、どうしてもユーザを悩ませようとしている場合、ユーザが割込みを社会的に管理することができてぎょっとしないで済むように、できるだけ緩やかなやり方でユーザに警告を出すのが望ましい。これは、たとえば警報を鳴らす前にヘッドホンのマスキング信号レベルまたはノイズ低減機能をゆっくり低下させることによって達成されてもよく、その結果、ユーザは、ユーザの耳における音声の急激な変化なしで訪問者に気づく。場合によっては、どの通知方法も使用されず、代わりに、訪問者に対して、たとえばドアベル上に、対応不可状態を強化するための標識が提供される。
【0033】
製品使用法のシナリオの1つでは、ユーザが自分のハブのノイズマスキング機能を有効にすると、ユーザが集中する必要があることを他人に知らせるために、ユーザの小個室の外部の/ユーザのヘッドホンの、対応可能性インジケータが、自動的に「対応不可」に切り換わる。30分後、ユーザの同僚が、昼食のために、ユーザが何をやっているか確かめようと立ち寄った(drops)とき、ユーザは実際にはそこにいる。同僚は、ユーザの対応不可インジケータがオンであることに気づかない。同僚は、ユーザの作業エリアまで歩くと、立ち止まってノックする。ユーザがノイズマスキングを有効にしているので、ユーザは、同僚がそこにいることに気づかない。侵入センサが、同僚の存在を検知して、そのことをユーザに知らせる。ユーザは、忙しいことを身振りで示し、同僚は、自分のデスクに戻って、代わりに電子メールまたはテキストメッセージをユーザに送る。
【0034】
その後、ユーザはビデオ通話を通じて会議に参加する。ユーザは、通話の後に、会議前に処理していたことに復帰する。ユーザはノイズマスキング機能をオンにするが、オフィスの騒々しさを遮断したいだけなので、対応不可インジケータを無効にして、ユーザが対応可能であることを示す緑色に切り換える。
【0035】
参加者IDおよび声の位置の仮想化
ハブは、通話のソースとヘッドセットまたはスピーカとの間の、通話に関するオーディオの経路にあって、通話中に、さらなる機能をユーザに提供することができる。いくつかの例では、ハブは、誰が通話に参加しているか、また、現在話しているのは誰か、ということを識別するために声紋を採用する。通話が始まると、ユーザは、会合する参加者が自己紹介するのをハブがリッスンする「参加者IDモード」を起動する。ハブは、それぞれの人の声紋を生成し、各参加者の自己紹介を転記するために発話からテキストへのルーチンも使用して、その人が使用した名前に声紋を関連付ける。ハブは、話者の可能性の高い名前を決定するとともに発話からテキストへの分析を改善するために、その通話に関する会議の招待にリストされた参加者などの追加情報も使用してよい。一旦、参加者が全員自己紹介すると、ユーザはセットアップ過程を終了する。通話の残りの間、ハブは傾聴し、声紋を使用して参加者が話すとき識別し、たとえばハブに内蔵のインターフェース要素、またはワークステーションもしくは通信デバイスのユーザインターフェースの要素といったいくつかのインターフェース要素に、その人の名前を示す。話者識別を示すために使用されるデバイスは、通話自体を扱うデバイスと同一のものである必要はない。
【0036】
他の複数の人とビデオ通話しているとき、PCのOSまたはテレビ会議ソフトウェアが、通話におけるそれぞれの人に示すウィンドウのモニタ上に位置を提供するAPIを有する場合、インターフェースは、それぞれの人の声に対してHRTF処理を適用して、それぞれの人を、スクリーン上のその人の顔に対応する相対方位角で近似的に配置し得る。左側の人の声は左側から来る。
【0037】
製品使用法のシナリオの1つでは、ユーザは、ここ1時間働きながら、自分のヘッドホンを通して音楽を傾聴している。ユーザのカレンダーが、今度のテレビ会議をユーザ知らせ、そこで、ユーザは、カレンダーの会議リンクを、参加するようにタッピングする。ユーザが会議に参加しているとき、ユーザのカメラが有効になり、オーディオは、ユーザの音楽から通話へと移行し、優しい散乱光が点灯して、ユーザの目をくらますことなく、ユーザの顔を均一に照らす。すべての人が自身を告げるとき、ユーザのハブが会議参加者のリストを生成し、そこで、ユーザは、誰が参加しているか、また現在話しているのは誰か、ということを認識する。対応可能性インジケータは、「通話中につき、対応不可です」に変化する。
【0038】
隣の小個室ではユーザの同僚が緊急会議をしているが、遠隔のチームは、ユーザのヘッドセットのノイズ除去マイクロフォンのために、バックグラウンドノイズによって気を散らされることがない。遠隔のチームは、ユーザの画像を会議室のスクリーン上に見出し、また、ユーザが自分の椅子において動き回っているときでさえ、ハブのカメラが追跡しているので、ユーザは同じサイズで中央に見え続ける。
【0039】
前述のシステムおよび方法の実施形態が含み得るコンピュータコンポーネントとコンピュータで実施されるステップとは、当業者には明白である。たとえば、コンピュータで実施されるステップは、たとえばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、フラッシュROM、不揮発性ROM、およびRAMなどのコンピュータ可読媒体にコンピュータ実行可能命令として記憶され得ることが当業者には理解されるはずである。さらに、コンピュータ実行可能命令は、たとえばマイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ゲートアレイなどの様々なプロセッサ上で実行され得ることが当業者には理解されるはずである。説明の容易さのために、本明細書では、前述のステップまたはシステムおよび方法の要素のすべてがコンピュータシステムの一部分であると説明されているわけではないが、当業者なら、それぞれのステップまたは要素が、対応するコンピュータシステムまたはソフトウエアコンポーネントを有し得ることを認識するであろう。したがって、そのようなコンピュータシステムおよび/またはソフトウエアコンポーネントは、それらの対応するステップまたは要素(すなわち、それらの機能)を記述することによって実施可能になり、本開示の範囲内に収まるものである。
【0040】
複数の実施態様が説明されてきた。しかしながら、本明細書で説明した発明概念の範囲から逸脱することなくさらなる修正形態が製作され得、したがって、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内であることが理解されよう。
【符号の説明】
【0041】
100 システム
102 中央ハブ
104 ワークステーション
106 通信デバイス
108 ヘッドセット
110 ラウドスピーカ
112 ヘッドセット用ホルダ
114 卓上電話
202 ヘッドセット
204 矢印
206 ラウドスピーカ
208 矢印
210 インターフェースコントロール
302 光
304 ドアベル
306 対応不可インジケータ
308 カレンダー
図1
図2
図3