(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン及びインスリンのそれぞれの濃度は、判定され、前記サンプル中のフルクトサミン及びインスリンの濃度の低下及び第VII因子及びアディポネクチンの濃度の増加は、前記被検者の減量の程度の増加を示す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
前記1つ以上のバイオマーカーの濃度と、前記被検者の1つ以上の身体測定及び/又は生活習慣特性とを組み合わせるステップを更に含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
前記身体測定は、性別、体重、身長、年齢、及び体格指数からなる群から選択され、前記生活習慣特性は、前記被検者が喫煙者であるか又は非喫煙者であるかである、請求項11に記載の方法。
ユーザから1つ以上のバイオマーカーの濃度が与えられたときに、減量の程度をプログラム可能なコンピュータに予測させるためのコンピュータ実施可能な命令を含むコンピュータプログラム製品であって、前記バイオマーカーは、フルクトサミン及び第VII因子から選択される、コンピュータプログラム製品。
前記コンピュータプログラム製品に、前記ユーザから身体測定及び/又は生活習慣特性が更に与えられ、前記身体測定は、年齢、体重、身長、性別、及び体格指数からなる群から選択され、前記生活習慣特性は、前記ユーザが喫煙者であるか又は非喫煙者であるかである、請求項21に記載の製品。
【背景技術】
【0002】
肥満は、世界の多くの領域で大流行している慢性的な代謝異常である。肥満は、重度の共存症例えば2型糖尿病、心臓血管疾患、脂質異常症、及びあるタイプの癌に対する主要な危険因子である(World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i−xii、1〜253)。
【0003】
低カロリー食事介入は体重を減らすには非常に効率的である可能性があり、この減量は一般的に、肥満関連共存症、特に2型糖尿病の危険性に対する改善が伴うものと長い間、認識されていた(World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i−xii、1〜253)。経験的データが示唆するところによれば、初期体重の少なくとも10%が減量すると、肥満関連共存症に対する危険性がかなり減少する(World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i−xii、1〜253)。しかし、体重を減らす可能性は、被検者間で大きなばらつきを示している。
【0004】
いくつかの研究(例えば、Ghosh,S.ら、Obesity(Silver Spring)、(2011)19(2):457〜463)には、人口のある割合が低カロリー食では体重を減らすことに成功していないことが例示されている。これは、減量の非現実的な期待につながるものであり、結果として、不順守、脱落、及び全般的に不成功な食事介入の原因となる。
【0005】
またいくつかの研究が示すところによれば、減量を監視するための当該技術分野の方法があり、これには血漿中の特定のバイオマーカーの濃度を監視することが含まれる(例えば、Lijnenら、Thromb Res.2012 Jan、129(1):74〜9;Cugnoら、Intern Emerg Med.2012 Jun、7(3):237〜42;及びBladbjergら、Br J Nutr.2010 Dec、104(12):1824〜30)。しかし、これらの方法では、特定の被検者が達成できる減量の程度の予測又は表示は得られない。バイオマーカー濃度と減量との相関関係を見る予測値が存在しない。
【0006】
食事介入(例えば低カロリー食)の計画及びデザインを成功させるための解決方法は、減量軌跡を予測する方法が利用できることにある。このような方法は、被検者の生活習慣を(例えば食事の変更によって)変更するのを助けること、及び被検者をその生物学的な減量可能性に従って適合された治療群に階層化することには有用であろう。
【0007】
米国特許出願第2011/0124121号には、減量の成功を予測するための方法が開示されている。開示されている方法には、減量療法例えば胃バンディングを受けるか又は受けることを検討している患者を選択すること、カロリー摂取に対する患者の1つ以上のホルモン応答を測定すること、及びホルモン応答に基づいて減量療法の成功を予測することが含まれている。測定したホルモンは胃腸ホルモン例えば膵臓ホルモンである。
【0008】
欧州特許出願第2420843号には、人が計画的な減量の後に減量を維持する可能性を、ダイエット期間の前後で酵素(ACE)を転化させるアンギオテンシンの濃度を測定することによって判定するための方法が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし未だに、被検者の減量の程度を正確に予測するための方法が求められている。したがって、本発明の目的は、容易に検出することができて被検者の減量の予測を容易にすることができるバイオマーカーを提供することである。このようなバイオマーカーを用いれば、食事介入を行なう前の被検者の体重軌跡を予測することができる。これらのバイオマーカーを用いれば、食事介入を最適化して、生活習慣改善法を支援することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、1つ以上のバイオマーカーの濃度を詳しく調べて、被検者に1つ以上の食事介入を適用することによって達成できる減量の程度を予測する。詳細には、発明者らは、あるバイオマーカーを用いて、低カロリー食の後に被検者が達成できる減量を信頼性高く予測できることを見出している。
【0011】
したがって、本発明によって、一態様では、被検者に1つ以上の食事介入を適用することによって達成できる減量の程度を予測するための方法であって、被検者から得られる1つ以上のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの濃度を判定することであって、バイオマーカーはフルクトサミン及び第VII因子から選択される、判定すること、を含む方法が提供される。
【0012】
一実施形態では、本方法には更に、1つ以上のサンプル中のアディポネクチンの濃度を判定することが含まれる。また本方法には、1つ以上のサンプル中のインスリンの濃度を判定することが含まれていても良い。
【0013】
一実施形態では、1つ以上のサンプル(例えば、血漿サンプル)を血液から得る。
【0014】
1つ以上のバイオマーカーの濃度を基準値と比較しても良い。比較によって、被検者が達成できる予測される減量の程度が示される。基準値は、食事介入を以前に受けたことがある被検者の母集団における1つ以上のバイオマーカーの値(例えば、平均値)に基づいても良い。
【0015】
一実施形態では、フルクトサミンの濃度を判定して、基準値に対するサンプル中のフルクトサミンの濃度の減少が被検者の減量の程度の増加を示している。好ましくは、フルクトサミン濃度を1つ以上のサンプル中の糖化アルブミンを測定することによって判定する。
【0016】
別の実施形態では、第VII因子の濃度を判定して、基準値に対するサンプル中の第VII因子の濃度の増加が被検者の減量の程度の増加を示している。
【0017】
別の実施形態では、アディポネクチンの濃度を判定して、基準値に対するサンプル中のアディポネクチンの濃度の増加が被検者の減量の程度の増加を示している。
【0018】
別の実施形態では、インスリンの濃度を判定して、基準値に対するサンプル中のインスリンの濃度の減少が被検者の減量の程度の増加を示している。
【0019】
別の実施形態では、フルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン、及びインスリンのそれぞれの濃度を判定し、基準値に対するサンプル中のフルクトサミン及びインスリンの濃度の低下及び第VII因子及びアディポネクチンの濃度の増加は、被検者の減量の程度の増加を示している。
【0020】
好ましくは、食事介入は低カロリー食である。一実施形態では、低カロリー食は約600〜約1200kcal/日のカロリー摂取量を含んでいる。低カロリー食には、少なくとも1種のダイエット食品の投与が含まれていても良い。好ましくは、ダイエット食品はOptifast(登録商標)又はModifast(登録商標)である。また低カロリー食には、例えば最大で約400g野菜/日の投与が含まれていても良い。
【0021】
一実施形態では、食事にはOptifast(登録商標)又はModifast(登録商標)などの製品が含まれていても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0022】
別の実施形態では、食事には、例えば、組成物として、46.4%炭水化物、32.5%タンパク質、及び20.1%の脂肪、ビタミン、ミネラル、及び微量元素のものが含まれていて、2.1MJ/日(510kcal/日)であっても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0023】
一実施形態では、低カロリー食の期間は最大で12週間、例えば6〜12週間である。
【0024】
一実施形態では、本方法には、1つ以上のバイオマーカーの濃度を被検者の1つ以上の身体測定及び/又は生活習慣特性と組み合わせることが更に含まれている。好ましくは、身体測定は性別、体重、身長、年齢、及び体格指数からなる群から選択され、生活習慣特性は被検者が喫煙者であるか又は非喫煙者であるかである。
【0025】
一実施形態では、減量の程度を、食事介入を適用することによって被検者が達成すると予測される体格指数(BMI)によって表す。これはBMI2と言うことがあり、式(1)を用いて計算しても良い。
BMI2=c1*BMI1
i+c2(被検者iが女性である場合)+c3*年齢−c4*第VII因子
i+c5*フルクトサミン
i−c6*アディポネクチン
i+c7*空腹時インスリン
I (1)
【0026】
式中、BMI1は、食事介入前の被検者の体格指数であり、BMI2は、食事介入後の被検者の予測される体格指数であり、c1、c2、c3、c4、c5、c6、及びc7は正の整数である。
【0027】
例えば、BMI2に対する式を式(2)によって表してもよい。
BMI2=−1.25+0.35(被検者が女性である場合)+0.9(初期体格指数、BMI1)+0.003(年で表した年齢)−0.2(第VII因子の濃度を単位で)−0.003(フルクトサミンの濃度、マイクロモル/L)−0.007(アディポネクチンの濃度、マイクロg/mL)+0.01(空腹時インスリンの濃度、マイクロU/mL) (2)
【0028】
更なる態様によれば、本発明によって、被検者に対する1つ以上の食事介入を最適化する方法であって、被検者が達成できる減量の程度を、本明細書で規定される方法により予測することと、被検者に食事介入を適用することと、を含む方法が提供される。
【0029】
更なる態様では、本発明によって、被検者が食事介入から達成するであろうと期待される体格指数(BMI2)を予測するための方法であって、被検者から得られる1つ以上のサンプル中のフルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン及びインスリンの濃度を判定することと、前述した式(1)又は式(2)を用いてBMI2を予測することと、を含む方法が提供される。
【0030】
本発明の更なる態様では、被検者の生活習慣の変更を選択するための方法であって、(a)本明細書で規定される方法を行なうことと、(b)予測される減量の程度に基づいて生活習慣の好適な変更を選択することと、を含む方法が提供される。
【0031】
一実施形態では、生活習慣の変更には食事介入が含まれる。食事介入には、少なくとも1種のダイエット食品を被検者に投与することが含まれていても良い。例えば、食事介入は低カロリー食であっても良い。低カロリー食には、脂肪の摂取の低減及び/又は低脂肪食品の摂取の増加が含まれていても良い。単に一例として、低脂肪食品としては、全粒小麦粉及びパン、ポリッジオート麦、高繊維朝食用シリアル、全粒米及びパスタ、野菜及び果実、乾燥豆及びレンズ豆、ベークドポテト、ドライフルーツ、クルミ、白身魚、ニシン、サバ、イワシ、キッパー、ピルチャード、サケ、及び脂肪の少ない白身肉を挙げても良い。
【0032】
本発明の更なる態様では、減量用に低カロリー食の一部として用いるためのダイエット食品であって、本明細書で説明する方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与されるダイエット食品が提供される。
【0033】
一態様では、ダイエット食品には、Optifast(登録商標)又はModifast(登録商標)などの製品が含まれていても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0034】
別の態様では、ダイエット食品には、例えば、組成物として、46.4%炭水化物、32.5%タンパク質、及び20.1%の脂肪、ビタミン、ミナラル、及び微量元素であるものが含まれていて、2.1MJ/日(510kcal/日)であっても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0035】
本発明の更なる態様では、肥満又は肥満関連疾患の治療で用いるダイエット食品であって、本明細書で規定される方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与されるダイエット食品が提供される。
【0036】
本発明の更なる態様では、減量用の低カロリー食においてダイエット食品の使用であって、ダイエット食品は、本明細書で規定される方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与される、使用が提供される。
【0037】
本発明の更なる態様では、プログラム可能なコンピュータに本明細書で説明する方法によって被検者が達成できる減量の程度を予測させるためのコンピュータ実施可能な命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0038】
本発明の更なる態様では、プログラム可能なコンピュータに、ユーザから得られる1つ以上のバイオマーカーの濃度が与えられたときに減量の程度を予測させるためのコンピュータ実施可能な命令を含むコンピュータプログラム製品であって、バイオマーカーはフルクトサミン及び第VII因子から選択されるコンピュータプログラム製品が提供される。好ましくは、バイオマーカーにはアディポネクチン及び/又はインスリンも含まれている。
【0039】
本発明の更なる態様では、食事介入の後に被検者が達成できる減量の程度を予測するためのキットであって、第VII因子に特異的な抗体及び糖化アルブミンに特異的な抗体が含まれるキットが提供される。一実施形態では、キットには、アディポネクチンに特異的な抗体及び/又はインスリンに特異的な抗体が更に含まれている。
【発明を実施するための形態】
【0040】
減量の程度の予測
本発明は、一態様では、被検者に1つ以上の食事介入を適用することによって達成できる減量の程度を予測する方法に関する。特定の実施形態では、本方法を用いて、被検者の減量する可能性について情報に基づいた予測を行ない、それに応じて1つ以上の食事介入を選択又は調整しても良い。例えば、食事介入が低カロリー食である場合、本方法を用いて、被検者にとって適切な食事を選択すること、又は減量の程度に影響する毎日のカロリー摂取又は特定の食事の期間を調整すること、又は被検者に対する現実的な期待を設定することによって低カロリー食に対する順守を増加させることが可能になる。また本方法を用いて、被検者の生活習慣を変更することを支援しても良い。
【0041】
本方法によって、当業者に、どの被検者が特定の食事介入(例えば、低カロリー食)からほぼ間違いなく利益を得るかを評価するための有用なツールが提供される。したがって、本方法によって、食事介入例えば低カロリー食及び生活習慣の変更を最適化することができる。
【0042】
本明細書で規定する減量は、パラメータ例えば体重(例えば、キログラムで)、体格指数(kgm
−2)、又はウエスト周囲(例えば、センチメートルで)、又はウエストヒップ比(例えば、センチメートルで)の減少を指す場合がある。減量の計算を、食事介入の終わりにおける前述のパラメータのうちの1つ以上の値を、食事介入の始まりにおける前記パラメータの値から差し引くことによって行なっても良い。好ましくは、減量の程度を、食事介入を適用することによって被検者が達成すると予測される体格指数によって表す。
【0043】
減量の程度を、被検者の体重(例えば、キログラム)又は体格指数(kgm
−2)の割合として表現しても良い。例えば、被検者がその初期体重の少なくとも10%、その初期体重の少なくとも8%、又はその初期体重の少なくとも5%を減らすと予想しても良い。単に一例として、被検者が本人の初期体重の5〜10%を減らすと予測される場合がある。
【0044】
一実施形態では、割合を肥満関連疾患と対応付けても良い。例えば、初期体重の少なくとも10%の減量の程度であれば、肥満関連共存症に対する危険性がかなり減少することになる。
【0045】
本明細書で規定される方法を用いて予測される減量の程度に基づいて、被検者を1つ以上のグループ又はカテゴリに階層化しても良い。例えば、被検者を、著しい量の体重を減らすと予測されるか否かに従って階層化しても良い。
【0046】
被検者
好ましくは被検者は哺乳動物、好ましくはヒトである。被検者は代替的に、非ヒトの哺乳動物(例えば、馬、牛、羊、又は豚など)であっても良い。一実施形態では、被検者はコンパニオンアニマル例えば犬又は猫であっても良い。
【0047】
サンプル
本発明には、被検者から得られる1つ以上のサンプル中の1つ以上のバイオマーカーの濃度を判定するステップが含まれている。
【0048】
好ましくは、サンプルは血液又は尿から得られる。より好ましくは、サンプルは血液から得られる。サンプルは、血液分画が含まれていても良いし、又は全体として血液であっても良い。サンプルには、好ましくは血漿又は血清、最も好ましくは血漿が含まれている。被検者からサンプルを集めるための技術は当該技術分野において良く知られている。
【0049】
食事介入
用語「食事介入」が意味するのは、被検者の食事の変化をもたらす被検者に適用される外部因子である。一実施形態では、食事介入は低カロリー食である。
【0050】
好ましくは、低カロリー食には、約600〜約1500kcal/日のカロリー摂取量、より好ましくは約600〜約1200kcal/日、最も好ましくは約800kcal/日が含まれる。一実施形態では、低カロリー食には一日当たり所定の量(グラム)の野菜が含まれていても良い。好ましくは最大で約400g野菜/日、例えば約200g野菜/日である。
【0051】
低カロリー食には少なくとも1種のダイエット食品の投与が含まれていても良い。ダイエット食品は、食事代替食品又は補助食品(例えば被検者の食欲を抑制しても良い)であっても良い。ダイエット食品には、食品製品、飲料、ペットフード製品、補助食品、栄養補助食品、食品添加物、又は栄養配合物を含めることができる。
【0052】
一実施形態では、食事はOptifast(登録商標)又はModifast(登録商標)などの製品が含まれていても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0053】
別の実施形態では、食事には、例えば、組成物として、46.4%炭水化物、32.5%タンパク質、及び20.1%の脂肪、ビタミン、鉱物、及び微量元素であるものが含まれていて、2.1MJ/日(510kcal/日)であっても良い。これは、3人前の非デンプン野菜を用いて、全エネルギー摂取量が約2.5MJ(600kcal/日)となるように補っても良い。これは更に、一日当たり少なくとも2Lの水又は他の無エネルギー飲料を用いて補っても良い。
【0054】
一実施形態では、低カロリー食の期間は最大で12週間である。好ましくは、低カロリー食の期間は6〜12週間、好ましくは8〜10週間、例えば8週間である。
【0055】
サンプル中の1つ以上のバイオマーカーの濃度の判定
一実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの濃度を食事介入の前に判定する。別の実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの濃度を食事介入の前後で判定する。バイオマーカー濃度を、食事介入の全体に渡って所定の時間に判定しても良い。これらの所定の時間は、食事介入の全体に渡って周期的(例えば、毎日又は3日ごと)であっても良いし、又は試験中の被検者、分析中のサンプルのタイプ、及び/又は達成すると予測される減量の程度に依存しても良い。
【0056】
食事介入の前に得たときに、バイオマーカー濃度を「空腹時濃度」と言うことがある。食事介入の後に得たときに、バイオマーカー濃度を「カロリー摂取濃度」と言うことがある。例えば、バイオマーカー濃度を、空腹時に判定しても良いし、又は空腹時及びカロリー摂取後に判定しても良い。最も好ましくは、各バイオマーカーの空腹時濃度を判定する。
【0057】
サンプル中の個々のバイオマーカー種の濃度を当該技術分野で知られた任意の好適な方法によって測定又は判定しても良い。例えば、質量分析法(MS)又は抗体検出方法例えば酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)を用いても良い。他の分光法、クロマトグラフィ法、標識技術、又は定量化学的な方法を用いても良い。
【0058】
一実施形態では、1つ以上のバイオマーカーの濃度を、バイオマーカーの1つ以上を標識する試薬を用いてサンプルを染色することによって判定しても良い。「染色」は典型的に、バイオマーカーを顕微鏡技術(例えば、可視光又は蛍光灯を用いるもの)によって検出可能にする組織学的方法である。好ましくは、バイオマーカーを免疫組織化学(IHC)によってサンプル中に検出する。IHCでは、バイオマーカーを、バイオマーカーの1つ以上に特異的に結合する抗体によって検出する場合がある。好適な抗体が知られているか、又は周知の技術を用いて生成しても良い。抗体濃度を検出するための好適な試験方法としては、これらに限定されないが、イムノアッセイ例えば酵素結合免疫吸着アッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウェスタンブロッティング及び免疫沈降が挙げられる。
【0059】
抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、又は検出されるバイオマーカーに特異的に結合するという条件でそれらのフラグメントであっても良い。抗体を、標準的な技術(動物に標的抗原を用いて免疫を与えること及び血清から抗体を分離することを含む)によって得ても良い。モノクローナル抗体を、Kohlerら、Nature 256:495(1975)が最初に説明したハイブリドーマ方法によって作っても良いし、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照)によって作っても良い。またモノクローナル抗体をファージ抗体ライブラリから分離することを、例えば、Clacksonら、Nature 352:624〜628(1991)及びMarksら、J.Mol.Biol.222:581〜597(1991)に記述される技術を用いて行なっても良い。また抗体はキメラ又はヒト化抗体であっても良い。抗体について以下で更に説明する。
【0060】
IHCの2つの一般的な方法が利用できる。直接及び間接アッセイである。第1のアッセイによれば、標的抗原に抗体を結合することを直接判定する。この直接アッセイは、標識試薬、例えば蛍光タグ又は酵素標識一次抗体(更なる抗体相互作用を伴うことなく視覚化することができる)を用いる。
【0061】
典型的な間接アッセイでは、非結合一次抗体が抗原に結合し、そして標識化された二次抗体が一次抗体に結合する。二次抗体が酵素標識に接合されているとき、発色又は蛍光発生基質を付加して抗原の可視化を得る。信号増幅が起こる。なぜならば、複数の二次抗体が一次抗体上の異なるエピトープと反応する場合があるからである。
【0062】
IHCに対して用いる一次及び/又は二次抗体を、検出可能な部分を用いて標識化しても良い。多数の標識が利用可能であり、例えば、放射性同位体、コロイド金粒子、蛍光標識、及び種々の酵素基質標識である。蛍光標識としては、これらに限定されないが、希土類キレート(ユウロピウムキレート)、テキサスレッド、ローダミン、フルオレセイン、ダンシル、リサミン、ウンベリフェロン、フィコクリセリン及びフィコシアニン、並びに/又は前述のいずれか1つ以上のものの誘導体が挙げられる。蛍光標識を、周知の技術を用いて抗体に接合することができる。
【0063】
種々の酵素基質標識が利用可能であり、例えば米国特許第4,275,149号に開示されているものである。酵素は概して、微視的に検出することが(例えば可視光の下で)可能な発色基質の化学的変化に触媒作用を及ぼす。例えば、酵素は基質の色変化に触媒作用を及ぼしても良いし、又は基質の蛍光若しくは化学発光を変えても良い。酵素標識の例としては、ルシフェラーゼ(例えば、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ;米国特許第4,737,456号)、ルシフェリン、2、3−ジヒドロフタルアジネジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、ペルオキシダーゼ例えばホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRPO)、アルカリホスファターゼ、βガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、サッカリドオキシダーゼ(例えば、グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ)、複素環オキシダーゼ(例えばウリカーゼ及びキサンチンオキシダーゼ)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなどが挙げられる。抗体に酵素を接合するための技術が良く知られている。
【0064】
典型的に、本方法には画像内の染色領域を検出するステップが含まれる。バイオマーカーに対応付けられた染色に対応する画像中の画素を、色変換法によって特定しても良い。これは例えば米国特許6,553,135号及び米国特許6,404,916号に開示されている。このような方法では、興味のある染色された対象物を、染みに対応付けられた特有の色彩を認識することによって特定しても良い。本方法には、画像の画素を異なる色空間に変換すること、及び背景染色を抑制するために閾値を適用することが含まれていても良い。例えば、RGB信号値のうちの2つの比率を作って、色彩情報を区別するための手段としても良い。特定の染みを背景から区別することを、特定の信号比に対する最小値の存在によって行なっても良い。例えば、主に赤い染みに対応する画素を、赤色を青色で割った比(R/B)が最小値よりも大きいことによって特定しても良い。
【0065】
Kongら、Am J Clin Nutr、2013 Dec;98(6):1385〜94には、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ法を用いること及び2人の無関係な研究者が陽染した細胞の数をカウントしていることが説明されている。
【0066】
一実施形態では、バイオマーカー濃度を基準値と比較する。この場合、サンプル中のバイオマーカー濃度と基準値とを同じ分析方法を用いて判定する。
【0067】
フルクトサミン
フルクトサミンは、糖と第1球アミンとの間の糖化反応からもたらされる化合物である。生物学的に、フルクトサミンはフルクトサミン−3−キナーゼによって認識される。
【0068】
フルクトサミン試験は典型的に、グリケーションを受けた血液サンプル中の全血清タンパク質の割合を計算することが当該技術分野で知られている。アルブミンが血液中の最も一般的なタンパク質であるので、フルクトサミン濃度は典型的にアルブミングリケーションを反映している。好ましくは、本方法におけるフルクトサミンの濃度の判定には、糖化アルブミンを測定することが伴う。糖化アルブミンの測定は典型的に、全アルブミンピーク面積に対する糖化アルブミンピーク面積の計算を、比率又は割合として行なうことが伴う。しかし当業者であれば、サンプル中のフルクトサミンの濃度を判定するための当該技術分野における他の方法が分かり、これらも本方法に適している。このような方法としては、フェニルヒドラジン手順、フロシン手順、親和性クロマトグラフィ、2−チオバルビツール酸比色分析手順、及びニトロブルーテトラゾリウム比色分析手順(Armbruster DA、Clin Chem 33:2153、1987)が挙げられる。サンプル中のフルクトサミンの濃度は好ましくは、モル/リットル(mol/L)で測定する。
【0069】
第VII因子
第VII因子は血液凝固タンパク質である。これは、抗血友病因子(AHF)としても当該技術分野で知られている。
【0070】
サンプル中の第VII因子の濃度を測定するための方法が当該技術分野で知られている。Cugnoら、Intern Emerg Med(2012)7:237〜242では、例えば、市販の1段階プロトロンビン時間ベースのアッセイ(Instrumentation Laboratory Company,Lexington,MA,USAから入手)を用いることが説明されている。Lijnen、H.R.ら、Thrombosis Research 129(2012)74〜79では、Dade BehringBCSXPシステム(Siemens Healthcare Diagnostics,Deerfield IL)を用いることが説明されている。サンプル中の第VII因子の濃度は典型的に、任意単位で測定する。
【0071】
アディポネクチン
アディポネクチンは、ヒトの中でADIPOQ遺伝子によってコード化されるタンパク質である。それは当該技術分野において、GBP−28、apM1、AdipoQ、及びAcrp30とも言われる。
【0072】
サンプル中のアディポネクチンの濃度を判定するための方法が当該技術分野で知られている。Kongら、Am J Clin Nutr、2013 Dec;98(6):1385〜94及びLijnen、H.R.ら、Thrombosis Research129(2012)74〜79の両方に、ELISAキット(R&D Systems Europe,Lille,France)を用いることが記述されている。Lijnen H.R.らは、アディポネクチン濃度の測定を市販のELISA及びプラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1(PAI01)抗原を用いてどのように行なうかを説明している。
【0073】
アディポネクチンの濃度は好ましくは、グラム/ミリリットル(g/mL)で測定する。
【0074】
インスリン
インスリンは、膵臓のベータ細胞によって生成されるペプチドホルモンである。
【0075】
サンプル中のインスリンの濃度は好ましくは、国際単位/ミリリットル(IU/mL)で測定する。国際単位は物質の量に対する測定単位である。1つの国際単位を構成する質量又は体積は、どの物質を測定するかに基づいて変化する。インスリンの場合、1IUは0.0347mgのヒトインスリンに相当する(28.8IU/mg)。国際単位(IU)はしばしばUと省略される。
【0076】
バイオマーカーの組み合わせ
個々のバイオマーカーは、本発明の方法において予測値を有している場合があるが、本方法の品質及び/又は予測能力は、複数のバイオマーカーからの値を組み合わせることによって改善される場合がある。
【0077】
したがって、本発明の方法は、本明細書で規定されるものから少なくとも2種のバイオマーカーの濃度を判定することが伴っても良い。例えば、方法には、フルクトサミン及び第VII因子、フルクトサミン及びアディポネクチン、フルクトサミン及びインスリン、第VII因子及びアディポネクチン、第VII因子及びインスリン、フルクトサミン、第VII因子及びアディポネクチン、フルクトサミン、第VII因子及びインスリン、又はフルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン及びインスリンの濃度を判定することが含まれていても良い。
【0078】
バイオマーカー、例えば、フルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン、及びインスリンの組み合わせを検出することを含む方法が特に好ましい。
【0079】
特に好ましい実施形態では、本方法には、フルクトサミン、第VII因子、アディポネクチン及びインスリンのそれぞれの濃度を判定することであって、サンプル中のフルクトサミン及びインスリンの濃度の低下及び第VII因子及びアディポネクチンの濃度の増加は被検者の減量の程度の増加を示す、判定することが含まれる。
【0080】
基準又は対照との比較
本方法には、試験サンプル中の個体バイオマーカーの濃度を1つ以上の基準値又は対照値と比較するステップが更に含まれていても良い。基準値を、食事介入に従って体重を減らす被検者の所定の能力に対応付けても良い。いくつかの実施形態では、基準値は、ある食事介入に従う被検者又は被検者のグループに対して、以前に得た値である。基準値は、食事介入に従う被検者のグループからの平均濃度(例えば、平均又は中央値濃度)に基づいても良い。
【0081】
身体測定及び/又は生活習慣特性とバイオマーカー濃度との組み合わせ
一実施形態では、本方法には更に、1つ以上のバイオマーカーの濃度を被検者の1つ以上の身体測定及び/又は生活習慣特性と組み合わせることが含まれる。この情報を組み合わせることによって、改善された予測モデルが被検者が達成できる減量の程度に対して提供される。
【0082】
当該技術分野で知られるように、身体測定は被検者の測定である。一実施形態では、身体測定は、性別、年齢(年で)、体重(キログラムで)、身長(センチメートルで)、及び体格指数(kg/m
−2で)からなる群から選択される。他の身体測定も当業者に知られている。
【0083】
用語「生活習慣特性」が意味するのは被検者が行なう任意の生活習慣選択であり、これには、生活習慣、動機づけ、又は好みのアンケートから得られるすべての食事摂取量データ、活動性尺度又はデータが含まれる。一実施形態では、生活習慣特性は被検者が喫煙者であるか又は非喫煙者であるかである。これは本明細書では被検者の喫煙状態とも言う。
【0084】
好ましい実施形態では、フルクトサミン、アディポネクチン、インスリン及び第VII因子の濃度を被検者からのサンプルに対して判定し、これらの濃度を被検者の性別、年齢、喫煙状態、及び体格指数と組み合わせて、被検者が達成できる減量を予測する。好ましくは、減量の程度を、食事介入を適用することによって被検者が達成すると予測される体格指数によって表す。
【0085】
一実施形態では、予測される体格指数(BMI2)は、式(1)によって一般的に表される。
bmi2i=c1*bmi1i+c2(被検者iが女性である場合)+c3*agei−c4*第VII因子i+c5*フルクトサミンi−c6*アディポネクチンi+c7*空腹時インスリンi
【0086】
式中、BMI1は食事介入前の被検者の体格指数であり、BMI2は食事介入後の被検者の予測される体格指数である。またc1、c2、c3、c4、c5、c6、及びc7は正の整数である。
【0087】
c1〜c7の値は典型的に、1)モデルにおけるすべての変数の測定単位と、2)検討している被検者の出所(民族的背景)に依存する。係数c1〜c7はそれぞれ、特定の被検者コホートに対して容易に判定することができる。当業者であれば分かるように、食事介入(例えば低カロリー食)を対象とする被検者コホートに適用しても良く、本明細書で規定するバイオマーカーの濃度を判定しても良く、そして常用の統計的方法を用いてc1〜c7の値に到達しても良い。このような常用の統計的方法には、ブートストラップ法による較正を伴う複数の線形回帰が含まれていても良い。同じ推定を、一般化線形若しくは加法モデル又は任意の他の回帰関連モデルを用いて、種々の推定アルゴリズム、例えば、弾性ネット、投げ縄、ベイズ的アプローチなどを用いて得ることができる。特に好ましい実施形態では、予測される体格指数(BMI2)は、式(2)によって計算される。
BMI2=−1.27+0.5(被検者が女性である場合)+0.9(初期体格指数、BMI1)+0.001(年で表した年齢)−0.014(被検者が非喫煙者である場合)+0.03(第VII因子の濃度を単位で)−0.0004(フルクトサミンの濃度、μモル/L)−0.002(アディポネクチンの濃度、μg/mL)+0.002(空腹時インスリンの濃度、nU/mL)
【0088】
一実施形態では、被検者はヨーロッパ人である。
【0089】
被検者の階層化
本発明の方法によって予測される減量の程度を、1つ以上の所定の閾値と比較しても良い。このような閾値を用いて、被検者を、予測される減量の程度(例えば、低い、中間の、高い及び/又は非常に高い予測される減量の程度)を示すカテゴリに階層化しても良い。閾値から逸脱する程度は、どの被検者が特定の介入から最も利益を得るのかを判定するのに有用である。このようにして、食事介入及び生活習慣の変更を最適化することができ、被検者によって達成される減量の現実的な期待を設定することができる。
【0090】
一実施形態では、カテゴリには減量抵抗被検者及び減量敏感被検者が含まれる。
【0091】
用語「減量抵抗」とは、予測される減量の程度が所定の値よりも少ないことを意味する。好ましくは「減量抵抗」は、減量割合が所定の値よりも低い被検者を定義する。例えば、被検者の予想される減らす体重が、被検者に対する期待減量の10パーセンタイル、15パーセンタイル、20パーセンタイル、又は30パーセンタイルよりも少ない場合など。
【0092】
好ましくは減量の程度を、減量したBMI単位の数によって表す。ここで、BMI損失=((BMI1−BMI2)*100)/BMI1であり、BMI1は食事介入前の被検者の体格指数であり、BMI2は食事介入後の被検者の予測される体格指数である。
【0093】
用語「減量敏感」とは、予測される減量の程度が所定の値を超えていることを意味する。好ましくは「減量敏感」は、が所定の閾値を上回っている減量割合を有する被検者として定義される。例えば、期待減量の85パーセンタイル、80パーセンタイル、75パーセンタイルよりも多い体重を減らすと予測される被検者。
【0094】
「期待減量」は、試験されるものとして同じ食事介入を受けた被検者の母集団のデータから得ることができる。
【0095】
別の実施形態では、被検者をカテゴリ「減量敏感」又は「減量抵抗」に階層化しても良い。これらのカテゴリは、肥満又は肥満関連疾患に対する被検者の危険低減を示し、例えば、低い、中間、高い及び/又は非常に高い危険低減である。低い、中間、及び高い危険低減グループは、絶対減量という観点で規定しても良い。絶対減量は、肥満又は特定の肥満関連疾患に対する臨床基準に関している。
【0096】
例えば、目的が肥満者の2型糖尿病に対する危険性を減らすことである場合、「非常に高い危険低減」は、食事介入後に少なくとも10%の体重を減らすと予測されるものとして規定しても良い。これは、World Health Organ Tech Rep Ser.2000;894:i−xii、1〜253のパートIIで設定される基準に従うものである)。また肥満の人の体重が1%減少するたびに、最高及び最低血圧の低下及び低密度リポタンパク質コレステロールの低下が起こり、したがって心血管疾患及び脂質異常症の危険性がそれぞれ減る。
【0097】
被検者の生活習慣の変更を選択するための方法
更なる態様では、本発明によって、被検者の生活習慣を変更するための方法が提供される。被検者における生活習慣の変更は、本明細書で説明する任意の変更であっても良く、例えば、食事の変更、もっと運動すること、異なる作業及び/又は生活環境などである。
【0098】
好ましくは、変更は、本明細書で説明するように食事介入である。より好ましくは、食事介入には少なくとも1種のダイエット食品の投与が含まれる。ダイエット食品は好ましくは、以前に摂取されていないか、又は被検者によって異なる量で摂取されていた。ダイエット食品は本明細書で説明するようなものであっても良い。また被検者の生活習慣を変更することには、被検者が自分の生活習慣を変える必要性を示すこと(例えば、もっと運動するように又は喫煙をやめるように指示すること)が含まれる。
【0099】
例えば、被検者が低カロリー食で体重を減らすとは予測されない場合、変更には被検者の生活習慣において運動を増やすことが含まれていても良い。
【0100】
ダイエット食品の利用
一態様では、本発明によって、減量用の低カロリー食の一部として用いるダイエット食品が提供される。ダイエット食品は、本明細書で説明する方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与される。
【0101】
別の態様では、本発明によって、肥満又は肥満関連疾患の治療で用いるダイエット食品であって、本明細書で説明する方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与されるダイエット食品が提供される。
【0102】
肥満関連疾患は、糖尿病(例えば、2型糖尿病)、脳卒中、高コレステロール、心臓血管疾患、インスリン抵抗性、冠状動脈性心疾患、メタボリックシンドローム、高血圧及び脂肪肝からなる群から選択され得る。更なる態様では、本発明によって、減量用の低カロリー食においてダイエット食品を用いることであって、ダイエット食品は、本明細書で説明する方法によってある程度の減量を達成すると予測される被検者に投与される、用いることが提供される。
【0103】
キット
更なる態様では、本発明によって、被検者に1つ以上の食事介入を適用することによって達成できる減量の程度を予測するためのキットが提供される。
【0104】
キットには、第VII因子に特異的な抗体又は糖化アルブミンに特異的な抗体が含まれる。またキットには、インスリンに特異的な抗体及び/又はアディポネクチンに特異的な抗体が含まれていても良い。好ましくは、キットには、第VII因子に特異的な抗体、糖化アルブミンに特異的な抗体、インスリンに特異的な抗体、及びアディポネクチンに特異的な抗体が含まれる。
【0105】
用語抗体には抗体フラグメントが含まれる。このようなフラグメントには、全抗体のうち標的物質に対するその結合活性を保持するフラグメント、Fv、F(ab’)、及びF(ab’)
2フラグメント、並びに一本鎖抗体(scFv)、融合タンパク質、及び他の合成タンパク質であって抗体の抗原結合部位を含むものが含まれる。更に、抗体及びそのフラグメントはヒト化抗体であっても良い。当業者であれば、本キットに必要な抗体を生成する当該技術分野の方法が分かる。
【0106】
コンピュータプログラム製品
本明細書で説明する方法を、汎用ハードウェア(例えば1つ以上のコンピュータプロセッサ)上で実行されるコンピュータプログラムとして実装しても良い。いくつかの実施形態では、本明細書で説明する機能を、デバイス例えばスマートフォン、タブレット末端又はパーソナルコンピュータによって実装しても良い。
【0107】
一態様では、本発明によって、プログラム可能なコンピュータに本明細書で説明するバイオマーカーの濃度に基づいて減量の程度を予測させるためのコンピュータ実施可能な命令を含むコンピュータプログラム製品が提供される。
【0108】
別の態様では、本発明によって、デバイスに、ユーザから得られる1つ以上のバイオマーカーの濃度が与えられたときに減量の程度を予測させるためのコンピュータ実施可能な命令を含むコンピュータプログラム製品であって、バイオマーカーはフルクトサミン、第VII因子、又はそれらの混合物から選択されるコンピュータプログラム製品が提供される。バイオマーカー濃度には、アディポネクチン及び/又はインスリン濃度が更に含まれていても良い。好ましくはバイオマーカー濃度は、空腹時濃度である。コンピュータプログラム製品にユーザからの身体測定及び/又は生活習慣特性を与えても良い。本明細書で説明するように、身体測定には年齢、体重、身長、性別、及び体格指数が含まれ、生活習慣特性には喫煙状態が含まれる。
【0109】
特に好ましい実施形態では、ユーザはデバイスに、フルクトサミン、アディポネクチン、第VII因子、及びインスリンの濃度を、任意的に年齢、体格指数、性別、及び喫煙状態とともに入力する。次にデバイスはこの情報を処理して、食事介入からユーザによって達成できる減量の程度に対する予測を与える。
【0110】
デバイスは、概してネットワーク上のサーバであっても良い。しかし、バイオマーカーデータ並びに/又は人体計測及び生活習慣データをプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)などを用いて処理できる限り、任意のデバイスを用いても良い。デバイスは、例えば、スマートフォン、タブレット末端、又はパーソナルコンピュータであっても良く、またユーザが達成できる減量の程度を示す情報を出力しても良い。
【0111】
当業者であれば分かるように、当業者は、本明細書で説明する本発明のすべての特徴を自由に組み合わせることが、開示した本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【0112】
本発明の種々の好ましい特徴及び実施形態を、非限定的な例によって記述する。
【0113】
本発明を実施するときには、特に断りのない限り、化学、分子生物学、微生物学、組換えDNA及び免疫学の従来技術を用いており、これは当業者の能力の範囲内である。このような技術は文献に説明されている。参照のこと,例えば,J.Sambrook,E.F.Fritsch,and T.Maniatis,1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition,Books 1〜3,Cold Spring Harbor Laboratory Press;Ausubel、F.M.ら(1995及び定期的な追加;Current Protocols in Molecular Biology,ch.9,13,and 16,John Wiley & Sons,New York,N.Y.);B.Roe,J.Crabtree,and A.Kahn,1996,DNA Isolation and Sequencing:Essential Techniques,John Wiley & Sons;J.M.Polak and James O’D.McGee,1990,In Situ Hybridization:Principles and Practice;Oxford University Press;M.J.Gait(Editor),1984,Oligonucleotide Synthesis:A Practical Approach,Irl Press;D.M.J.Lilley and J.E.Dahlberg,1992,Methods of Enzymology:DNA Structure Part A:Synthesis and Physical Analysis of DNAMethods in Enzymology,Academic Press;and E.M.Shevach and W.Strober,1992及び定期的な追加,Current Protocols in Immunology,John Wiley & Sons,New York,NY。これらの一般的なテキストはそれぞれ、本明細書において参照により取り入れられている。
【実施例】
【0114】
実施例1 低カロリー食後の減量の程度を予測する。
被検者はDiogenes研究の参加者であった。この研究は、汎ヨーロッパのランダム化比較食事介入研究であり、8つのヨーロッパセンタにおける肥満及び過体重家族における減量及び体重維持に対する食事タンパク質及びグリセミック指数の効果を詳しく調べている(Larsenら,Obesity reviews(2009)、11、76〜91)。
【0115】
実施例1には938人のヨーロッパ人の個体が含まれており、そのうち782人は8週間のLCDプログラムを終え、714人は生体に対して許容される範囲を伴う必要な測定をすべて行なった。個体に対する一般的なパラメータを下表1に示す。
【表1】
【0116】
血液サンプルを8週間のLCD期間の前及び終了後に取って、フルクトサミン、アディポネクチン、第VII因子、及びインスリンの血漿濃度を判定された。LCD介入前に判定されるこれらのバイオマーカーの空腹時濃度は、体重を減らす個体の可能性に対応付けられることが分かった。
【0117】
また複数の身体測定も食事介入の前に取った。例えば、年齢、体重、及び身長(これらからBMI(体格指数)を体重/身長
2として得た)及び性別である。技術的な理由により、いくつかのバイオマーカー測定は62人の被検者に対して失敗したため、利用可能なデータは残りの714人の被検者に対するものである。これらの身体測定は、標準的な臨床診療を用いて行なった。
【0118】
食事介入の前に測定した変数はすべて、BMI1を前提としてBMI2の別個及び共同で予測値であると評価した。複数の統計モデルについて、当該技術分野で知られる利用可能なツール、例えばガウシアン又はガンマ分布の結果との相互作用を伴い及び伴わない一般化加法及び線形モデル)(Rソフトウェア)などを用いて評価した。これらの統計モデルは、交差検証法(複数の線形回帰モデル及びその係数のブートストラップ)を用いた予測品質に基づいて以下の予測モデル(式(2))を保持した)。
BMI2=−1.27+0.9*BMI1
i+0.5(被検者iが女性である場合)+0.001*年齢−0.014(非喫煙である場合)+0.03*第VII因子
i−0.0004*フルクトサミン
i−0.002*アディポネクチン
i+0.002*空腹時インスリン
i (2)
【0119】
この研究におけるモデルの全体的な予測精度は、96%の全分散であると判定した(調整したR
2=0.96)。予測したBMI2及びバイオマーカーそれぞれの濃度を下表2に示す。
【表2】
【0120】
表3に含まれるのは、平均期待BMI2に対する予測モデルのすべての係数のp値である(回帰モデルに対するブートストラップ法推定分布を用いている)。
【表3】
【0121】
実施例2−予測される減量による被検者の階層化
実施例2には、実施例1と同じ被検者が含まれているが、BMI2(低カロリー介入後のBMI)を予測する代わりに、可能性被検者が「減量敏感」又は「減量抵抗」である可能性を予測することに焦点を当てている。
【0122】
表4には、「減量抵抗」及び「減量敏感」である可能性を予測するための対応する有意性を伴うバイオマーカーの係数が含まれている。なお可能性は年齢及び性別に対して調整されている。
【表4】