特許第6571762号(P6571762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6571762-混合装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571762
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/12 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   F23K5/12
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-513932(P2017-513932)
(86)(22)【出願日】2015年4月24日
(86)【国際出願番号】JP2015062526
(87)【国際公開番号】WO2016170679
(87)【国際公開日】20161027
【審査請求日】2018年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】392025559
【氏名又は名称】株式会社長野セラミックス
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】特許業務法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 義雄
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−163726(JP,A)
【文献】 実開平06−021732(JP,U)
【文献】 特開昭55−158408(JP,A)
【文献】 特開2004−069237(JP,A)
【文献】 特開2005−067990(JP,A)
【文献】 特表2012−514175(JP,A)
【文献】 特開平10−153128(JP,A)
【文献】 特開2009−238617(JP,A)
【文献】 特開2009−228942(JP,A)
【文献】 実開平4−65126(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23K 5/08
F23K 5/10
F23K 5/12
F23K 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の材料を混合させて材料どうしの密接度を高め、混合材料を生成するための混合装置であって、
加熱手段を有し、供給された前記複数の材料を加熱して気化させる加熱部と、
回転軸に連結され、前記回転軸を中心に回転可能に配設された回転羽根と、前記回転羽根を収容可能に区分けされ、互いに連通する複数の混合室とを有し、前記加熱部で加熱され、気化された状態で供給された前記複数の材料が前記回転羽根によって撹拌される撹拌部とを具備し、
前記回転羽根は、前記複数の材料の送り出し方向に進むにつれて羽根を小さくさせると共に、前記羽根の枚数が増加するように配設されていることを特徴とする混合装置。
【請求項2】
前記加熱部の内部空間は、供給される前記材料の沸点以上の温度に加熱されることを特徴とする請求項1に記載の混合装置。
【請求項3】
前記材料が水とA重油であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の混合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、複数の材料を確実に混合させて互いの材料どうしの密接度を高めるための混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、燃料油と水とを混合した後の混合物をバーナーに送って燃焼させる燃焼装置があり、燃料油と水との混合装置の構成として、特許文献1に開示されているような構成が知られている。具体的には、多数の細孔を一定間隔で形成した内管を取り付け、流入口と内管を接続して、流入口から内管へ流れ込んだ液体が細孔を通過して吐出口より流出可能に設けた細粒化器を直列に複数個連続させる構成が開示されている。このような構成により、液粒のサイズを連続的に小さくすることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−164257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
混合物は、混合した直後から分離し始め、バーナーに達したときは分離が進行して不完全燃焼の原因となる。特許文献1に開示されている混合装置では、吐出された後の混合物の混合状態が安定せず分離することがあり、不十分な混合状態で吐出口から吐出され、混合物の燃焼が安定しないという課題がある。
【0005】
そこで、本願発明は、混合対象となる複数の材料どうしの混合状態(密接度)を高め、良好な混合状態にすることが可能な混合装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の混合装置は次の構成を備える。すなわち本発明は、複数の材料を混合させて材料どうしの密接度を高め、混合材料を生成するための混合装置であって、加熱手段を有し、供給された前記複数の材料を加熱して気化させる加熱部と、回転軸に連結され、前記回転軸を中心に回転可能に配設された回転羽根と、前記回転羽根を収容可能に区分けされ、互いに連通する複数の混合室とを有し、前記加熱部で加熱され、気化された状態で供給された前記複数の材料が前記回転羽根によって撹拌される撹拌部とを具備し、前記回転羽根は、前記複数の材料の送り出し方向に進むにつれて羽根を小さくさせると共に、前記羽根の枚数が増加するように配設されていることを特徴とする。この構成によれば、混合対象となる複数の材料どうしの混合作用を高め、良好な混合状態の混合材料を生成することが可能である。
【0007】
また、本発明において、前記加熱部の内部空間は、供給される前記材料の沸点以上の温度に加熱されてもよい。これによれば、材料は、供給される材料の沸点以上に加熱された加熱部を通過するので、材料が気化される。
【0008】
また、本発明において、前記材料が水とA重油であってもよい。これによれば、水とA重油でも均一に混合でき、生成する混合材料が再分離しにくく、燃焼させた際には安定した炎が得られる。
【発明の効果】
【0009】
本願発明の混合装置の構成によれば、混合対象となる複数の材料どうし混合状態(密接度)を高め、良好な混合状態にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願発明の実施形態にかかる混合装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願発明の混合装置10について実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1に、本実施形態にかかる混合装置10の概略図を示す。本実施の形態にかかる混合装置10は、図1に示すように、加熱部20と撹拌部40とを有している。加熱部20は、加熱手段24を有し、材料供給口22から供給された複数の材料が加熱部20で加熱されて加熱部20内で気化する。加熱部20と撹拌部40とは連通部30で連通していて、加熱部20で加熱されて気化された複数の材料が連通部30を通過して撹拌部40に供給される。撹拌部40は、回転軸42に連結され、回転軸42を中心に回転可能に配設された回転羽根44を有している。加熱部20から供給された複数の材料は、空気流入口46から流入した空気と共に、回転羽根44によって撹拌され、混合されながら先送りされ、吐出口48から混合材料が吐出する。撹拌部40では、加熱して気化された複数の材料が均一に混合されるので、密接度が高まり、生成した混合材料を燃焼させても炎が安定する。なお、図中の加熱部20、連通部30、撹拌部40内にある矢印、点線の矢印は、ぞれぞれの内部での物質の流れを示したものである。
【0013】
加熱部20内は、供給される材料に応じて、供給される材料の沸点に近い、またはそれ以上の温度に加熱される。加熱手段24は、供給される材料の沸点に近く、またはそれ以上の温度に加熱できるものであり、加熱部20内に配置され、その周囲に材料が通過できる空間がある構成となっている。図1に示す加熱手段24は1台であるが、複数台の加熱手段24を設けることも可能であり、それぞれを連結させて配置する。供給された材料は、加熱手段24の周囲を通過しながら十分に加熱されて気化する。
【0014】
供給された材料が加熱手段24の周囲で加熱されると、気化された材料は材料供給口22から供給される複数の材料が流入してくる力も加わって気流となり、連通部30に送られる。連通部30を通過する前の複数の材料は、必ずしも気化温度が同じではないため、それぞれの気化物が分離している状態のものもあれば、混合している状態のものもある。この分離している気化物を良好な混合状態にさせるために撹拌部40に送り、撹拌部40で撹拌させる。連通部30は気化した気化物が通過できる位置および構成であればよく、本実施形態の混合装置10では、撹拌部40の下部に連通部30が設けられている。
【0015】
撹拌部40には混合装置10外から空気が撹拌部40内に送られるよう、空気流入口46が設けられ、空気流入口46は、連通部30と対向する配列で撹拌部40に配設されている。さらには、空気流入口46内に図示しない送風機が設けられていてもよい。撹拌部40に流入する気化物の流れる押出力があることと、連通部30から送られてくる気化物の温度が高いことにより、送風機から送られた空気と共に気化物は撹拌部40内では上昇する流れとなる。そして、吐出口48は図1のように側面上方にあり、撹拌部40の上部に位置すればよい。図1では回転軸42は撹拌部40内で直立するように配設され、回転軸42に連結されたそれぞれの回転羽根44は回転軸42を中心にして回転する。しかし、必ずしも回転軸42は直立ではなくてもよく、気化物が撹拌部40内で上昇して吐出口48に向かうよう、回転軸42は水平面に対して傾斜していてもよい。
【0016】
図1に示すように、回転羽根44は回転軸42の複数箇所に連結されている。また、撹拌部40の内部空間は、複数の混合室に区分けされている。図1は一例として撹拌部40の内部空間を3部屋の混合室に区分けした形態を示している。混合室はそれぞれ第1混合室50、第2混合室52、第3混合室54とする。第1混合室50の上方には第2混合室52、第2混合室52の上方には第3混合室54があり、それぞれの混合室は互いに連通している。まず、連通部30から流入した気化物は第1混合室50に入り、その後、第1混合室50、第2混合室52、第3混合室54の順に気化物が上方に向けて流れる。なお、回転羽根について、撹拌部40にある全体のものについて述べるときは回転羽根44とし、第1混合室50にあるものは回転羽根60、第2混合室52にあるものは回転羽根62、第3混合室54にあるものは回転羽根64として区別する。第1混合室50に設けられた回転羽根60および第2混合室52に設けられた回転羽根62により、気化物は撹拌されながら搬送され、良好な混合状態の混合材料を生成することができる。第3混合室54に設けられた回転羽根64により混合材料を生成すると共に、吐出口48に十分に混合された混合材料を送ることができる。各部屋の大きさはそれぞれ異なり、第1混合室50が最も大きく、次いで第2混合室52が大きい。図示はしていないが、撹拌部40の外形状は、上方に向けて小さくなる錐体形状もしくは錐台形状であってもよく、気流の流路に沿った方向に対する撹拌部40の内部空間の断面積が小さくなる。
【0017】
回転羽根44の大きさ、羽根の枚数はそれぞれ異なる。図1に示す撹拌部40には、第1混合室50には6枚の羽根が付いた回転羽根60が3基、第2混合室52には8枚の羽根が付いた回転羽根62が1基ある。第2混合室52にある回転羽根62は、第1混合室50にある回転羽根60よりも羽根が小さく、羽根の枚数は多い。第1混合室50の回転羽根60と第2混合室52の回転羽根62は回転軸42の外周面に連結されている。また、最も上方にある第3混合室54には、回転軸42の先端部分に回転羽根64が1基設けられている。このような回転羽根44により、混合しながら吐出口48に混合気体を含む混合材料が送られる。複数の回転羽根44が設けられ、上方に向けて回転羽根44の大きさを小さくして枚数を多く配設することにより、気化物をより均一で細かく混合することができる。得られる混合材料は分離しにくく安定しているので、吐出口48から吐出させて点火すれば安定した炎が得られる。なお、撹拌部40内において、連通部30から流入してくる気化物、および撹拌された混合気体の一部が凝集していても構わなく、混合気体を含む混合材料を生成する。
【0018】
回転羽根44および回転軸42の動力は、材料供給口22から供給される複数の材料が流入してくる力、すなわち、加熱部20で気化した気化物が撹拌部40へ流入する力および空気流入口46から空気が流入する力によるものである。このため、回転羽根44および回転軸42は自然に回転する。これと共に、温められた気化物の上昇気流によるものも加わる。
【0019】
なお、加熱部20に供給される材料は、固体、液体のどちらでもよく、少なくとも1つの材料が固体もしくは液体であり、他の材料の状態が異なっていてもよい。ただし、加熱部20に供給される材料は、加熱部20で加熱されたときに気化するものであり、少なくとも1つは燃料となるものである。加熱手段24による加熱温度は280℃以上であり、かつ供給された材料が炭化しにくい温度まで上げることができ、より好ましくは300〜400℃である。加熱温度は供給される材料に応じて適宜変更する。供給される複数の材料の一例として、水とA重油が挙げられる。この場合は、加熱手段24により、供給される材料のうち最も高い沸点であるA重油の沸点以上に加熱される。
【0020】
加熱部20の材料供給口22は複数個設けてもよく、材料ごとに別の材料供給口22を設けてもよい。また他にも材料供給口22手前に混合ノズルを設け、複数の材料をあらかじめ混合したものを材料供給口22に供給してもよい。
【0021】
吐出口48にはノズルを設けてもよく、混合材料が噴射され、着火されて炎が出るようにしてもよい。
図1