(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数のジョイントが垂直回転ジョイントと水平回転ジョイントを含んでおり、前記複数の電磁ブレーキのうち、前記水平回転ジョイントに対応する少なくとも1つの電磁ブレーキは、前記駆動電流が供給されないときに手動で前記ブレーキ機能をオフとすることが可能なように構成された請求項1に記載のロボティックベッド。
前記MRI撮影位置又は前記MRI撮影準備位置は、予め定められたMRI撮影位置又は予め定められたMRI撮影準備位置であり、前記治療位置は、予め定められた前記治療位置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のロボティックベッド。
前記ロボットアームは、前記テーブルを前記MRI撮影位置または前記MRI撮影準備位置に移動させる際、前記テーブルと前記MRI撮影位置または前記MRI撮影準備位置とが一定距離以下となった場合に減速するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のロボティックベッド。
【発明を実施するための形態】
【0019】
医療現場においては様々な場面において安全性を保ちながら、効率的かつ精度の高い治療・検査・測定などのために医療現場の改善の試みがなされている。本発明においては、載置対象物を載置するテーブルを、多自由度(3自由度以上)を有するロボットアームによって支持したロボティックベッドを医療現場に導入することにより、これらを促進することを提案する。
【0020】
[ロボティックベッドの構成]
(第1の構成例)
図1に、本発明の第1の構成例に係るロボティックベッドの側面図を示す。ロボティックベッドに用いられるロボットアーム101は、多自由度(3自由度以上)を有し、その先端で載置対象物が載置されるテーブル108を支持する。テーブル108およびロボットアーム101は、ロボティックベッドを構成する。
【0021】
図1に示すように、ロボットアーム101は、ベース121と、複数の可動要素(本構成例では、第1〜第4可動要素122〜125)と、複数のジョイント(本構成例では、第1〜第6ジョイント131〜136)を含む。
【0022】
ベース121と第1可動要素122の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント131によって連結されており、可動要素122は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素122の他端部と第2可動要素123の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに可動要素123が回転することができる。第2可動要素123の他端部と第3可動要素124の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第3軸(鉛直方向)まわりに第3可動要素124が回転することができる。第3可動要素124と第4可動要素125の間の第4〜第6ジョイント134〜136は、それぞれ、第4〜第6軸回りの回転ジョイントである。第4軸は第3可動要素124の延びる方向であり、第5軸は第4ジョイント134によって回転される、第4軸と直交する方向であり、第6軸は、第5ジョイント135によって回転される、第5軸と直交する方向である。なお、
図1では、第1〜第6ジョイント131〜136の作動方向を矢印JT1〜JT6で表している。
【0023】
第2可動要素123と第3可動要素124は特定方向に延びる棒状となっており、長さはロボットアーム101の必要な可動範囲に応じて適宜設計される。特定方向に延びる可動要素の「一端部」とは、可動要素を特定方向(長手方向)に三等分したときの両側2つの領域のどちらかをいい、特定方向に延びる可動要素の「他端部」とは、可動要素を特定方向(長手方向)に三等分したときの両側2つの領域の
一端部とは反対側の端部をいう。単に「端部」という場合には、一端部又は他端部のどちらかをいう。両端部の間にある部分は「中央部」という。
【0024】
第4可動要素125は、ロボットアーム101の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム101の先端が、特定方向に延びるテーブル108の一端部の下面に固定されている。
【0025】
ロボットアーム
101は、第1〜第6ジョイント131〜136に対応して、第1〜第4可動要素122〜125を移動又は回転させる複数のアクチュエータ(本構成例では、第1〜第6アクチュエータ141〜146)と、それぞれのジョイントに組み込まれそれぞれの可動要素の位置を検出する複数の位置検出器(本構成例では、第1〜第6位置検出器151〜156)と、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御装置107(
図1参照)を含む。制御装置107はベース121内に位置しているが、例えば外部の独立した装置としてもよい。
【0026】
第1〜第6アクチュエータ141〜146は、例えばサーボモータである。位置検出器としてはモータの回転角や方向を検出するエンコーダを用いるのが一般的であるが、レゾルバやポテンショメータを用いても構わない。
【0027】
ロボットアーム101はまた、第1〜第6ジョイント131〜136に対応して、それぞれ、第1〜第6電磁ブレーキ161〜166を含むことが望ましい。電磁ブレーキを備えていない場合は、複数のアクチュエータ141〜146の駆動によりロボットアーム101の姿勢を一定に保つことになるが、電磁ブレーキを含んでいると、ある部分のアクチュエータの駆動をオフにしても電磁ブレーキ機能をオンとすることにより、ロボットアーム
101の姿勢を一定に保つことができる。
【0028】
電磁ブレーキが設けられる場合の第1〜第6電磁ブレーキ161〜166それぞれは、アクチュエータへ駆動電流が供給されないときにブレーキ機能をオンにし、アクチュエータへ駆動電流が供給されたときにブレーキ機能をオフにするように構成されている。
【0029】
アクチュエータとしてのモータ、位置検出器としてのエンコーダ、及びブレーキは、
図2に示すように一体化したユニットとして構成されることが多い。さらに、第1〜第6アクチュエータ141〜146のそれぞれには、動力伝達用の減速機構およびカップリングなどが設けられる。
【0030】
以上、
図1に示したロボットアーム101は、自由度が6であるが、本発明のロボットアームの自由度は、必ずしも6である必要はなく、5以下であってもよいし7以上であってもよい。しかしながら、ロボットアームの自由度は、テーブル108を少なくとも空間内で直線的に移動できるように3以上であることが望ましい。
図3に自由度が3であるロボティックベッドの例を示す。
図3において、ロボットアーム301はベース321と2つの可動要素322及び323から構成され、ベース321と第1可動要素322の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント331によって連結されており、第1可動要素322は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素322の他端部と第2可動要素323の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに第2可動要素323が回転することができる。第2可動要素323の他端部がロボットアーム301の先端を構成し、テーブル308の一端部と水平回転ジョイントで連結されている。
【0031】
以上のように構成されたロボティックベッドを用いれば、テーブル上に載置対象物を載置した後、テーブルを検査位置や治療位置といった目的とする位置に正確かつ迅速に移動させることができ、医療現場における検査や治療の効率を格段に向上させることができる。例えば、キャスター付きのテーブルにより患者を移動させるのと比較して、患者に大きな振動を与えることなくテーブルをスムーズに移動させることができる他、医療室の床上に多数存在する医療機器に付随するコード類や医療器具に付随するチューブ類との絡まりやこれらを跨ぐことによるテーブルのがたつき回避することができ、安全性と移動効率を高めることができる。
【0032】
ロボティックベッドが目標とすべき位置としては、人体や動物などの載置対象を載置するための載置位置、特定の検査機器や測定機器によって検査を行うための検査位置、CT/MRI/血管造影などで載置対象物の特定部位を撮影する撮影位置、看護師などが治療前に手当てを施すための治療準備位置、医師や助手が治療(手術を含む)を行う治療位置(手術位置を含む)などである。例えば、異なる治療を複数か所で行う場合など、同じ目的でも異なる位置に移動させることもありえる。具体的には、テーブルをMRI撮影位置に移動させる前にMRI撮影に影響を与えるインプラントなどが載置対象物に含まれていないかを検査装置により検査するための検査位置に移動させたり、載置対象となる患者を手術位置に移動させる前に、放射線物質の付着量を検出装置により検出するための検査位置にテーブルを移動させたり、載置対象である患者に皮膚手術を行うために手術位置に移動させる前に、皮膚状態を検査するために検査位置に移動させたり、脳腫瘍摘出手術のために手術位置に移動させる前に、脳の断層撮影を行うためにMRI装置による撮影位置にテーブルを移動させたり、といった用途が考えられる。
【0033】
本実施例に係るロボットアーム101に支持されたテーブル108を複数の位置の間で移動させる動作を
図4〜
図6に説明する。
【0034】
図4は、ある載置対象である被験者を、載置位置からある検査装置により検査を行う検査位置へ移動させる際に、テーブル108が載置位置に位置している様子を示している。
図5は、制御装置107によって第2可動要素123及び第3可動要素124が矢印の如く動いて、また第6軸まわりの回転によりテーブル108が矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素122も鉛直方向に動いて高さが調節され、また第4軸又は/及び第5軸まわりの回転によりテーブルの傾きが微調整され)被験者の頭部が検査装置414の方向に向けられた様子を示している。
図6はテーブル108が検査装置414の内部に挿入され、被験者が検査位置に到達した様子を示している。なお、
図4におけるテーブル108の位置は治療位置でもあり得、テーブル108が
図6の検査位置から
図4の位置まで各可動要素が逆方向に動いて元の位置に戻り、検査直後に検査結果を判断して医師412が治療を行うことができる。
【0035】
ロボットアーム101による各位置間でのテーブル108の移動は、例えばティーチペンダントによって制御装置107に指令を与え、ロボットアーム101の可動要素を動かすことによって行うことができる。
また、治療位置および検査位置などの各位置を予め制御装置107に記憶させておけば、例えば前進指令を制御装置に与えるだけで目標とする位置に最短で移動するように可動要素が動作するので、目標とする位置へのテーブル108の移動をより早くかつスムーズに行うことができる。さらに、目標位置と移動させたい経路上のいくつかの位置を指定しておくと、例えば制御装置107に移動開始指令を与えるだけで、自動的に望む経路を辿って目標位置に到達することができる。各位置を記録させるには、ティーチペンダントによってロボットアーム101を実際に目標とする位置に移動させることによって直接的に記憶させてもよいし、x,y,z座標を入力することによって指定してもよい。
【0036】
(第2の構成例)
図7に、本発明の第2の構成例に係るロボティックベッドの側面図を示す。ロボティックベッドに用いられるロボットアーム701はいわゆる垂直多関節のロボットアームで、多自由度(3自由度以上)を有し、その先端で載置対象物が載置されるテーブル708を支持する。テーブル708およびロボットアーム701は、ロボティックベッドを構成する。
【0037】
図7に示すように、ロボットアーム701は、複数の可動要素(本実施形態では、第1〜第3可動要素722〜724)と、複数のジョイント(本実施形態では、第1〜第6ジョイント731〜736)を含む。
【0038】
ベース721は第1軸(鉛直方向)まわりに回転する水平回転ジョイントを有する。ベース721と第1可動要素722の一端部は、第1軸と直交する第2軸まわりに回転する垂直回転ジョイント732によって連結されている。第1可動要素722の他端部と第2可動要素723の一端部は、第2軸によって回転され第2軸と平行な第3軸まわりに回転する垂直回転ジョイントによって連結されている。第2可動要素723は特定方向に延びる棒状であり、第3軸によって回転され当該特定方向を軸とする第4軸まわりに回転可能な回転ジョイント734を有する。第2可動要素723の他端部は第3可動要素724の一端部と第4軸によって回転され第4軸と直交する第5軸まわりに回転する垂直回転ジョイント735によって連結されている。第3可動要素724はさらに第5軸によって回転され第5軸と直交する第6軸まわりに回転可能な回転ジョイント
736を有する。
【0039】
第1可動要素722も第2可動要素723と同様に、特定方向に延びる棒状となっており、これら可動要素の長さはロボットアーム701の必要な可動範囲に応じて適宜設計される。
【0040】
第3可動要素724は、ロボットアーム701の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム701の先端が、特定方向に延びるテーブル708の一端部の下面に固定されている。ロボットアームの先端がテーブル708を支える位置は、テーブル708の端部でもよいし、中央部でもよい。「一端部」「他端部」「端部」「中央部」の定義は第1の構成例と同様である。
【0041】
ロボットアーム701は、第1〜第6ジョイント731〜736に対応して、第1〜第3可動要素722〜724を移動又は回転させる複数のアクチュエータ(本構成例では、第1〜第6アクチュエータ741〜746)と、それぞれのジョイントに組み込まれそれぞれの可動要素の位置を検出する複数の位置検出器(本構成例では、第1〜第6位置検出器751〜756)と、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御装置707(
図7参照)を含む。制御装置707はベース721内に位置しているが、例えば外部の独立した装置としてもよい。
【0042】
第1〜第6アクチュエータ741〜746は、例えばサーボモータである。第1の構成例と同様、位置検出器としてはエンコーダやレゾルバ、ポテンショメータを用いることができる。
【0043】
ロボットアーム701はまた、第1〜第6ジョイント731〜736に対応して、それぞれ、第1〜第6電磁ブレーキ761〜766を含むことが望ましい。電磁ブレーキを備えていない場合は、複数のアクチュエータ741〜746の駆動によりロボットアーム701の姿勢を一定に保つことになるが、電磁ブレーキを含んでいると、ある部分のアクチュエータの駆動をオフにしても電磁ブレーキ機能をオンとすることにより、ロボットアーム701の姿勢を一定に保つことができる。
【0044】
電磁ブレーキが設けられる場合、第1〜第6電磁ブレーキ761〜766それぞれは、アクチュエータへ駆動電流が供給されないときにブレーキ機能をオンにし、アクチュエータへ駆動電流が供給されたときにブレーキ機能をオフにするように構成されている。
【0045】
第1の構成例と同様、アクチュエータとしてのモータ、位置検出器としてのエンコーダ、及びブレーキは、
図2に示すように一体化したユニットとして構成されることが多い。さらに、第1〜第6アクチュエータ741〜746のそれぞれには、動力伝達用の減速機構およびカップリングなどが設けられる。
【0046】
図7に示したロボットアーム701は、自由度が6であるが、本発明のロボットアームの自由度は、必ずしも6である必要はなく、5以下であってもよいし7以上であってもよい。しかしながら、ロボットアームの自由度は、テーブル708を少なくとも空間内を直線的に移動できるように3以上であることが望ましい。
【0047】
以上のように構成されたロボティックベッドを用いれば、テーブル上に載置対象物を載置した後、テーブルを検査位置や治療位置といった目的とする位置に正確かつ迅速に移動させることができ、医療現場における検査や治療の効率を格段に向上させることができる。例えば、キャスター付きのテーブルにより載置対象としての患者を移動させるのと比較して、患者に大きな振動を与えることなくテーブル708をスムーズに移動させることができる他、医療室の床上に多数存在する医療機器に付随するコード類や医療器具に付随するチューブ類との絡まりやこれらを跨ぐことによるテーブルのがたつき回避することができ、安全性と移動効率を高めることができる。
【0048】
ロボティックベッドが目標とすべき位置の例に関しては、第1の構成例と同様なのでここでは説明を省略する。
【0049】
本構成例に係るロボットアーム701によっても可動範囲であればテーブルを複数の位置の間を自由なルートで移動させることができるので、テーブルを第1の構成例で説明した
図4〜
図6と同じ軌跡で検査装置等に移動させることができる。参考までに、載置対象として被撮影者、目標移動位置としてMRI撮影位置とした場合にテーブルが載置位置から移動してMRI撮影位置に到達した場合の斜視図を
図8に示す。
【0050】
(第3の構成例)
本発明の第3の構成例に係るロボティックベッドの外観図を
図9に、側面図を
図10に示す。ロボティックベッドに用いられるロボットアーム1001は、多自由度(3自由度以上)を有し、その先端で載置対象物が載置されるテーブル1008を支持する。テーブル1008およびロボットアーム1001は、ロボティックベッドを構成する。
【0051】
図10に示すように、ロボットアーム1001は、ベース1021と、複数の可動要素(本構成例では、第1〜第3可動要素1022〜1024)と、複数のジョイント(本構成例では、第1〜第5ジョイント1031〜1035)を含む。
【0052】
ベース1021と第1可動要素1022の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1031によって連結されており、第1可動要素1022は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素1022の他端部と第2可動要素1023の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに第2可動要素1023が回転することができる。第2可動要素1023と第3可動要素1024の間の第3〜第5ジョイント1033〜1035は、それぞれ、第3〜第5軸回りの回転ジョイントである。第3軸は第2可動要素1023の延びる方向であり、第4軸は第3ジョイント1033によって回転される、第3軸と直交する方向であり、第5軸は、第4ジョイント1034によって回転される、第4軸と直交する方向である。
【0053】
第1可動要素1022と第2可動要素1023は特定方向に延びる棒状となっており、長さはロボットアーム1001の必要な可動範囲に応じて適宜設計される。そして、第1可動要素1022は水平面に平行な状態を維持して上下移動し、第2可動要素1023は第1可動要素1022と平行な状態を維持して第2軸まわりに回転する構成となっている。このような構成であれば、第2アクチュエータ1042において鉛直方向の重力補償を行う必要がないためモータを小さくすることができる。これは、ロボットアーム1001の小型化に有利な構成であり、限られたスペースしか確保できない医療現場に導入する場合や、治療や手術により多くのスペースを充てるのに有利な構成である。
【0054】
また、本構成例のロボティックベッドは、鉛直方向上側から見下ろした場合に端部同士が水平回転ジョイントで連結された第1可動要素1022と第2可動要素1023を特定方向(長手方向)が平行となる状態において、テーブル1008を水平面に平行な状態を維持しながらどのように回転させても(例えば360度回転させても)、テーブル1008がロボットアーム1001と接触することがないように構成されている。具体的には、端部同士が水平回転ジョイントで連結された第1可動要素1022と第2可動要素1023とテーブル1008を水平面に平行な状態とした場合、テーブル1008が他の可動要素と高さが被らずに最も上方に位置するように構成している。つまり、ロボットアーム1001の先端が取りうる位置のうちで最も低い位置をとり、テーブル1008が水平面に平行な姿勢とした場合において、ロボットアーム1001の第1〜第2可動要素がテーブル1008の下面よりも低い位置となるようにしている。そして、本構成例においてはテーブル1008の高さ方向の調整幅を大きくとるため、ベース1021については、ロボットアーム1001の先端が取りうる位置のうちで最も低い位置をとり、テーブル1008が水平面に平行な姿勢とした場合においてもテーブル1008の下面よりも高くしている。以上のような構成とすれば、ロボットアーム1001の各可動要素がテーブル1008の下方に位置して収納される形となり、鉛直方向の移動幅を確保しながらも医療現場の限られたスペースを有効活用するのに有効である。
【0055】
このメリットは第3の構成例に係るロボティックベッドの動作を示した
図13〜
図15を参照すれば明らかである。
図13から理解できる通り、本構成例におけるロボティックベッドはそれぞれの可動要素とテーブル1008を垂直方向上側から見下ろした場合に重ね合わさるような位置をとることができるのに対して、第1の構成例や第2の構成例において例えば治療スペースを確保するためにテーブルをできるだけベースに近くに位置する
図13と同様なポジションとしようとすると、第1の構成例では
図4のように第2可動要素123及び第3可動要素124がテーブル108の下に位置させることができず邪魔となり、第2の構成例ではテーブル708の位置をとても高くするとテーブル708の位置を各可動要素よりも上方に位置させることが理論的には可能であるが、治療や検査、載置対象物の載置においてそれほど高い位置にテーブル708を位置させることは不便であり現実的にはあり得ない。上述した通り、垂直多関節ロボットアームの場合は重力補償が必要であるため、大きなアクチュエータが必要となり、
図8の概念図からも分かるように、テーブル708を下の方で支えながらテーブル708の下方に各可動要素を位置させるようにすることは困難である。
【0056】
そして、テーブル1008の幅はロボットアーム1001の各可動要素の幅よりも大きい方が好ましい。例えば、鉛直方向上側から見下ろした場合に端部同士が水平回転ジョイントで連結された第1可動要素1022と第2可動要素1023の特定方向(長手方向)及びテーブル1008の特定方向(長手方向)が平行となる状態において、鉛直方向上側から見下ろした場合にテーブル1008が特定方向(長手方向)で第1可動要素1022と第2可動要素1023と被る部分において、特定方向(第1可動要素1022、第2可動要素1023、及びテーブル1008が延びている長手方向を平行とした方向)と直交する方向において第1可動要素1022と第2可動要素1023がテーブル1008に隠れることが望ましい。このような構成であれば、少なくともテーブル1008の幅方向(延びている特定方向と直交する方向)においてテーブル1008の長さ方向で被っているロボットアーム1001の部分(
図10の例では、第1可動要素1022の一端部以外と、第2可動要素1023及び第3可動要素1024の全体)はテーブル1008の下に収納されることになる(例えば、
図13を参照)。
【0057】
図9及び
図10の例では互いの端部同士が水平回転ジョイントで接続された2つの可動要素(第1可動要素1022と第2可動要素1023)のひとつ(第1可動要素1022)がベース1021に直接連結されているが、例えばさらなる水平回転ジョイントや垂直回転ジョイントを介して間接的にベースに連結されていてもよく、この場合でも上述の位置関係が担保されて複数の可動要素がテーブル1008の下に収納される限りスペース確保及びコンパクトという効果を得ることができる。
【0058】
第3可動要素1024は、ロボットアーム1001の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム1001の先端が、特定方向に延びるテーブル1008の一端部の下面に固定されている。このような構成であれば、テーブル1008の他端部をベース1021よりできるだけ遠くに位置させるように動作させることができる。テーブル1008を一端部で支持する方がテーブル1008の移動範囲が広くなるが、支持強度を優先する場合にはテーブル1008を中央部で支えてもよい。
【0059】
なお、上記説明における「一端部」「他端部」「端部」「中央部」の定義については、第1及び第2の構成例と同様である。
【0060】
ロボットアーム1001は、第1〜第5ジョイント1031〜1035に対応して、第1〜第3可動要素1022〜1024を移動又は回転させる複数のアクチュエータ(本構成例では、第1〜第5アクチュエータ1041〜1045)と、それぞれのジョイントに組み込まれそれぞれの可動要素の位置を検出する複数の位置検出器(本構成例では第1〜第5位置検出器1051〜1055)と、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御装置1007(
図10参照)を含む。制御装置1007はベース1021内に位置しているが、例えば外部の独立した装置としてもよい。
【0061】
第1〜第5アクチュエータ1041〜1045は、例えばサーボモータである。位置検出器としては第1及び第2の構成例と同様、エンコーダやレゾルバ、ポテンショメータを用いることができる。
【0062】
ロボットアーム1001はまた、第1〜第5ジョイント1031〜1035に対応して、それぞれ、第1〜第5電磁ブレーキ1061〜1065を含むことが望ましい。電磁ブレーキを備えていない場合は、複数のアクチュエータ1041〜1045の駆動によりロボットアーム1001の姿勢を一定に保つことになるが、電磁ブレーキを含んでいると、ある部分のアクチュエータの駆動をオフにしても電磁ブレーキ機能をオンとすることにより、ロボットアーム1001の姿勢を一定に保つことができる。
【0063】
電磁ブレーキが設けられる場合の第1〜第5電磁ブレーキ1061〜1065それぞれは、アクチュエータへ駆動電流が供給されないときにブレーキ機能をオンにし、アクチュエータへ駆動電流が供給されたときにブレーキ機能をオフにするように構成されている。
【0064】
第1及び第2の構成例と同様、アクチュエータとしてのモータ、位置検出器としてのエンコーダ、及びブレーキは、
図2に示すように一体化したユニットとして構成されることが多い。さらに、第1〜第5アクチュエータ1041〜1045のそれぞれには、動力伝達用の減速機構およびカップリングなどが設けられる。
【0065】
図10に示した例では、第1可動要素1022が第2可動要素1023の上側に位置するように水平回転ジョイント1032によって連結されているが、本構成例の変形例として、第1可動要素1122が第2可動要素1123の下方に位置するように水平回転ジョイント1132によって連結したロボットアーム1101を
図11に示す。
【0066】
本変形例は、ベース1121と第1可動要素1122の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1131によって連結されており、第1可動要素1122は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素1122の他端部と第2可動要素1123の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2可動要素1123が第1可動要素1122の上方で第2軸(鉛直方向)まわりに回転することができる。第2可動要素1123と第3可動要素1124の間の第3〜第5ジョイント1133〜1135は、それぞれ、第3〜第5軸回りの回転ジョイントである。第3軸は第2可動要素1123の延びる方向であり、第4軸は第3ジョイント1133によって回転される、第3軸と直交する方向であり、第5軸は、第4ジョイント1134によって回転される、第4軸と直交する方向である。
【0067】
第3可動要素1124は、ロボットアーム1101の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム1101の先端が、特定方向に延びるテーブル1108の下面に中央部で固定されている。このような構成であれば、支持強度を優先してテーブル1108を支持することができる。もちろん、テーブル1108の移動範囲を優先してテーブル1108を一端部で支持してもよい。ただし、その場合は、テーブル1108を水平面に平行な状態を維持しながら自由に回転させてもロボットアーム1101と接触しないように、各可動要素1122〜1124やテーブル1108の長さを適宜設計することが必要である。
【0068】
以上、
図10及び11に示したロボットアーム1001・1101は、自由度が5であるが、本発明のロボットアームの自由度は、必ずしも5である必要はなく、4以下であってもよいし6以上であってもよい。しかしながら、ロボットアームの自由度は、テーブル1008・1108を少なくとも空間内を直線的に移動できるように3以上であることが望ましい。
図12に自由度が3であるロボティックベッドの例を示す。
図12において、ロボットアーム1201はベース1221と2つの可動要素1222及び1223から構成され、ベース1221と第1可動要素1222の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1231によって連結されており、可動要素1222は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素1222の他端部と第2可動要素1223の一端部は水平回転ジョイントである第2ジョイント1232で連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに可動要素1223が回転することができる。第2可動要素1223の他端部がロボットアーム1201の先端を構成し、テーブル1208の一端部と水平回転ジョイントである第3ジョイント1233で連結されている。
【0069】
以上のように構成されたロボティックベッドを用いれば、テーブル上に載置対象物を載置した後、テーブル1008・1108・1208を検査位置や治療位置といった目的とする位置に正確かつ迅速に移動させることができ、医療現場における検査や治療の効率を格段に向上させることができる。例えば、キャスター付きのテーブルにより患者を移動させるのと比較して、患者に大きな振動を与えることなくテーブル1008・1108・1208をスムーズに移動させることができる他、医療室の床上に多数存在する医療機器に付随するコード類や医療器具に付随するチューブ類との絡まりやこれらを跨ぐことによるテーブルのがたつき回避することができ、安全性と移動効率を高めることができる。
【0070】
また、本構成例に係るロボティックベッドは、参照符号1032・1132・1232・1233で示されるジョイントが、参照符号1023、1123、1223で示される可動要素、及び参照符号1208で示されるテーブルを常に水平面と平行な状態で回転することを可能とする水平回転ジョイントによって連結されているため、これを垂直回転ジョイントで連結されているのと比べて剛性を高くすることができる。すなわち、垂直回転ジョイントで連結されている場合は、テーブルの移動中、又はある姿勢の維持中、載置対象物の重量などが原因でアクチュエータの制御だけでは姿勢を完全に維持しきれず、撓みを生じさせることがあるが、水平回転ジョイントの場合は垂直方向に回転することがないため、そのような事態はほとんど生じない。さらに、常に水平面と平行な状態で回転することを可能とする水平回転ジョイントが設けられている個所では垂直方向の回転を考えなくてよいので、電源をオフしたときのことを想定したとしても電磁ブレーキを省略することができる。なお、これは第1の構成例にかかるロボティックベッドにおける、参照符号132、133、332、333で表されている水平回転ジョイントに関しても同じことが言えるが、本構成例は、剛性を高めながら、さらに治療スペース確保にも貢献する構成となっており、より医療室に導入するのに適したデザインとなっている。
【0071】
ロボティックベッドが目標とすべき位置の例に関しては、第1及び第2の構成例と同様なのでここでは説明を省略する。
【0072】
本構成例に係るロボットアーム1001に支持されたテーブル1008を複数の位置の間で移動させる動作を
図13〜
図15に説明する。
【0073】
図13は、ある載置対象である被験者を載置位置からある検査位置へ移動させる際に、テーブル1008が載置位置に位置している様子を示している。
図14は、制御装置1007による制御によって第2可動要素1023及びテーブル1008が矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素も鉛直方向に動いて高さが調節され、またテーブル1008が第3軸又は/及び第4軸まわりの回転により傾きが微調整され)被験者の頭部が検査装置1314に対して斜めから移動してゆく様子を示している。
図15はテーブル1008が検査装置1314の内部に挿入され、被験者が検査位置に到達した様子を示している。なお、
図13におけるテーブル1008の位置は治療位置でもあり得、テーブル1008が
図15の検査位置から
図13の位置まで各可動要素が逆方向に動いて元の位置に戻り、検査直後に検査結果を判断して医師1312が治療を行うことができる。
【0074】
図12に示したロボットアーム1201でも同じような軌跡を辿ってテーブル1208が移動することができる。
図11に示したロボットアーム1101は、第2可動要素1123とテーブル1108が
図14に示した矢印とは逆回転しながら移動して(場合によっては第1可動要素1122も鉛直方向に動いて高さが調節され)、検査位置まで到達することができる。
【0075】
ロボットアームを動作させる指令の与え方、及びテーブルを移動させる目標位置の設定方法については、第1及び第2の構成例と同様である。
【0076】
(第4の構成例)
本発明の第4の構成例に係るロボティックベッドの斜視図を
図16に、側面図を
図17に示す。ロボティックベッドに用いられるロボットアーム1701は、多自由度(3自由度以上)を有し、その先端で載置対象物が載置されるテーブル1708を支持する。テーブル1708およびロボットアーム1701は、ロボティックベッドを構成する。
【0077】
図17に示すように、ロボットアーム1701は、ベース1721と、複数の可動要素(本構成例では、第1〜第4可動要素1722〜1725)と、複数のジョイント(本構成例では、第1〜第6ジョイント1731〜1736)を含む。
【0078】
ベース1721と第1可動要素1722の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1731によって連結されており、第1可動要素1722は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素1722の他端部と第2可動要素1723の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2可動要素1723は第2軸(鉛直方向)まわりに回転することができる。第2可動要素1723の他端部と第3可動要素1724の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2軸によって回転され、第2軸と平行な第3軸(鉛直方向)まわりに第3可動要素1724が回転することができる。第3可動要素と第4可動要素の間の第4〜第6ジョイント1734〜1736は、それぞれ、第4〜第6軸回りの回転ジョイントである。第4軸は第3可動要素1724の延びる方向であり、第5軸は第4ジョイント1734によって回転される、第4軸と直交する方向であり、第6軸は、第5ジョイント1735によって回転される、第5軸と直交する方向である。
【0079】
第2可動要素1723と第3可動要素1724は特定方向に延びる棒状となっており、これらの可動要素の長さはロボットアーム1701の必要な可動範囲に応じて適宜設計される。そして、第1可動要素1722は水平面に平行な状態を維持して上下移動し、第2可動要素1723及び第3可動要素1724は第1可動要素1722と平行な状態を維持して回転する構成となっている。このような構成であれば、第2及び第3のアクチュエータ1742、1743において鉛直方向の重力補償を行う必要がないためモータを小さくすることができる。これは、ロボットアーム1701の小型化に有利な構成であり、限られたスペースしか確保できない医療現場に導入する場合や、治療や手術でより多くのスペースを確保するのに有利である。
【0080】
また、本構成例のロボティックベッドは、第1のジョイントによる第1可動要素1722の鉛直方向への移動量を制限する代わりに、ベース1721の高さを低くすることにより、テーブル1708が水平面に平行な状態を保ったまま第1可動要素1722を上下に(鉛直方向に)移動させても、またテーブル1708をどのように回転させても(例えば、360度回転させても)ロボットアーム1701に接触しないように構成されている。よって、本構成例においては、ロボットアームがどのような任意の姿勢をとっても、テーブル1708が水平面に平行な状態にあることが維持されていれば、テーブル1708をどのように回転させても、テーブルとロボットアームとが接触することはない。具体的には、端部同士が水平回転ジョイントで連結された第2可動要素1723と第3可動要素1724とテーブル1708が水平面に平行な状態とした場合に第1可動要素1722を一番下まで移動させても、さらにロボットアームの先端が最も低い位置をとったとしても、テーブル1708が他の可動要素ともベース1721とも高さで被らずに最も上方に位置するように構成している。このような構成とすれば、ロボットアーム1701の可動要素及びベース1721がテーブル1708の下方に位置して収納される形となり、医療現場の限られたスペースを活用するのに有効である。
【0081】
そして、テーブル1708の幅はロボットアーム1701の各可動要素の幅よりも大きい方が好ましい。例えば、鉛直方向上側から見下ろした場合に端部同士が水平回転ジョイントで連結された第2可動要素1723と第3可動要素1724の特定方向を平行となる状態において、鉛直方向上側から見下ろした場合に全ての可動要素がテーブル1708に隠れることが可能であることが望ましい。さらに、本構成例においては、テーブル1708の長さもロボットアーム1701の各可動要素の長さよりも大きい方が好ましい。例えば、鉛直方向上側から見下ろした場合に端部同士が水平回転ジョイントで連結された第2可動要素1723と第3可動要素
1724を特定方向が平行で第2可動要素と第3可動要素の中央部が被る状態において、鉛直方向上側から見下ろした場合にベース1721がテーブル1708に隠れることが望ましい。
【0082】
図16及び
図17の例では互いの端部同士が水平回転ジョイントで接続された2つの可動要素(第2可動要素1723と第3可動要素1724)のひとつ(第2可動要素1723)がベース1721に間接的に(第1可動要素1731を介して)連結されているが、例えば第2可動要素1723を直接鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1731に連結されるようにしてもよい。また、さらなる水平回転ジョイントや垂直回転ジョイントを介してさらに間接的にベースに連結されていてもよい。この場合でも上述した位置関係が担保されている限り、スペース確保及びコンパクトという効果を得ることができる。
【0083】
第4可動要素1725は、ロボットアーム1701の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム1701の先端が、特定方向に延びるテーブル1708の中央部の下面に固定されている。このような構成であれば、大きな支持強度でテーブル1708を支持することができ、また、テーブル1708の下にロボットアーム1701の可動要素及びベースを収納しやすくなる。ただし、例えば第3可動要素1724の長さを短くし、テーブル1708の支持位置を一端部とするようにしてもよく、この場合であってもスペース確保及びコンパクト化という効果を得られることに違いはない。
【0084】
なお、上記説明における「一端部」「他端部」「端部」「中央部」の定義については、第1及び第2の構成例と同様である。
【0085】
ロボットアーム1701は、第1〜第6ジョイント1731〜1736に対応して、第1〜第4可動要素1722〜1725を移動又は回転させる複数のアクチュエータ(本構成例では、第1〜第6アクチュエータ1741〜1746)と、それぞれのジョイントに組み込まれそれぞれの可動要素の位置を検出する複数の位置検出器(本構成例では第1〜第6位置検出器1751〜1756)と、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御装置1707(
図17参照)を含む。制御装置1707はベース1721内に位置しているが、例えば外部の独立した装置としてもよい。
【0086】
第1〜第6アクチュエータ1741〜1746は、例えばサーボモータである。位置検出器としては第1及び第2の構成例と同様、エンコーダを用いてもよいしレゾルバやポテンショメータを用いても構わない。
【0087】
ロボットアーム1701はまた、第1〜第6ジョイント1731〜1736に対応して、それぞれ、第1〜第6電磁ブレーキ1761〜1766を含むことが望ましい。電磁ブレーキを備えていない場合は、複数のアクチュエータ1741〜1746の駆動によりロボットアーム1701の姿勢を一定に保つことになるが、電磁ブレーキを含んでいると、ある部分のアクチュエータの駆動をオフにしても電磁ブレーキ機能をオンとすることにより、ロボットアーム1701の姿勢を一定に保つことができる。
【0088】
電磁ブレーキが設けられる場合の第1〜第6電磁ブレーキ1761〜1766それぞれは、アクチュエータへ駆動電流が供給されないときにブレーキ機能をオンにし、アクチュエータへ駆動電流が供給されたときにブレーキ機能をオフにするように構成されている。
【0089】
第1〜第3の構成例と同様、アクチュエータとしてのモータ、位置検出器としてのエンコーダ、及びブレーキは、
図2に示すように一体化したユニットとして構成されることが多い。さらに、第1〜第6アクチュエータ1741〜1746のそれぞれには、動力伝達用の減速機構およびカップリングなどが設けられる。
【0090】
図17に示した例では、第1可動要素1722が第2可動要素1723の上側に位置するように水平回転ジョイント1732によって連結されているが、第1可動要素1722が第2可動要素1723の下側に位置するように水平回転ジョイント1732によって連結されるように構成してもよい。このようにすれば、ベース1721を低くしたことによる高さの補償をすることができる。
【0091】
以上、
図16及び17に示したロボットアーム1701は、自由度が6であるが、本発明のロボットアームの自由度は、必ずしも6である必要はなく、5以下であってもよいし7以上であってもよい。しかしながら、ロボットアームの自由度は、テーブル1708を少なくとも空間内で直線的に移動できるように3以上であることが望ましい。
図18に自由度が3である本構成に係るロボティックベッドの例を示す。
図18において、ロボットアーム1801はベース1821と2つの可動要素1822及び1823から構成され、ベース1821と第1可動要素1822の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント1831によって連結されており、第1可動要素1822は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素1822の他端部と第2可動要素1823の一端部は水平回転ジョイントである第2ジョイント1832で連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに第2可動要素1823が回転することができる。第2可動要素1823の他端部がロボットアーム1801の先端を構成し、テーブル1808の中央部の下面と水平回転ジョイントである第3ジョイント1833で連結されている。
【0092】
以上のように構成されたロボティックベッドを用いれば、テーブル上に載置対象物を載置した後、テーブル1708・1808を検査位置や治療位置といった目的とする位置に正確かつ迅速に移動させることができ、医療現場における検査や治療の効率を格段に向上させることができる。例えば、キャスター付きのテーブルにより載置対象としての患者を移動させるのと比較して、患者に大きな振動を与えることなくテーブル1708・1808をスムーズに移動させることができる他、医療室の床上に多数存在する医療機器に付随するコード類や医療器具に付随するチューブ類との絡まりやこれらを跨ぐことによるテーブルのがたつき回避することができ、安全性と移動効率を高めることができる。
【0093】
ロボティックベッドが目標とすべき位置の例に関しては、第1〜第3の構成例と同様なのでここでは説明を省略する。
【0094】
本構成例に係るロボットアームに支持されたテーブルを複数の位置の間で移動させる動作を、
図17に示した6自由度のロボットアーム1701を用いた場合を例にして、
図19〜
図21に説明する。
【0095】
図19は、ある載置対象である被験者を載置位置からある検査位置へ移動させる際に、テーブル1708が載置位置に位置している様子を示している。
図20は、制御装置1707による制御によって第2可動要素1723及び第3可動要素1724が矢印の如く動き、またテーブル1708が第6軸まわりに回転して矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素1722も鉛直方向に動いて高さが調節され、また第4軸又は/及び第5軸まわりにテーブル1708が回転して傾きが微調整され)被験者の頭部が検査装置1914に対して斜めから移動してゆく様子を示している。
図21はテーブル1708が検査装置1914の内部に挿入され、被験者が検査位置に到達した様子を示している。なお、
図19におけるテーブル1708の位置は治療位置でもあり得、テーブル1708が
図21の検査位置から
図19の位置まで各可動要素が逆方向に動いて元の位置に戻り、検査直後に検査結果を判断して医師1912が治療を行うことができる。
【0096】
図18に示したロボットアーム1801でも同じような軌跡を辿ってテーブル1808が移動することができる。
【0097】
なお、被験者の頭の向きはテーブル1708・1808の長手方向において反対側でもよく、その場合はテーブル1708・1808の回転方向が
図20に示したテーブルの移動方向とは逆に回りながら検査装置1914に移動することになる。このように、ベース1721・1821がテーブル1708・1808の下に収納されると、載置対象物の向きがどちらであってもよく、
図19のテーブル1708・1808の位置が治療位置だとすると、術者1912はテーブル1708・1808のどちら側からでも手術を行うことができ、助手も含めてテーブルを取り囲んで手術にあたることができるという優れたメリットがある。ベース1721・1821が邪魔となることもないので、医師1912は座った状態で治療にあたることができる。
【0098】
(第5の構成例)
本構成例に係るロボティックベッドは、第1〜第4の構成例のロボティックベッドにおけるテーブルにおいて、スライド機構を備えていることを特徴としている。
【0099】
図22は、テーブル2208がレールを有する本体2281とレールの溝に嵌まり込むスライド板2282から構成されていることを示す図である。ロボティックベッドにおけるテーブルがこのような構成を備えていると、例えばロボティックアームによりテーブルを検査準備位置まで移動させた後、スライド板2282を人手でスライドさせることにより、載置対象物をさらに遠くの検査位置まで移動させることができる。
【0100】
図23は、テーブル2308の下面にはスライド機構2309が嵌まり込む溝2383が形成されており、溝2383の両側には、複数の歯を有するラック2384が設けられていることを示す図である。スライド機構2309はロボットアームの先端と連結される本体2391と、本体2391に回転可能に支持された、ラック2384と噛み合う一対のピニオン2392と、ピニオン2392を回転させるアクチュエータ(図示せず)を含む。ロボティックベッドにおけるテーブル2308がこのような構成を備えていると、例えばロボティックアームによりテーブルを検査準備位置まで移動させた後、テーブル2308をアクチュエータの駆動によってスライドさせることにより、載置対象物をさらに遠くまで移動させることができる。アクチュエータは例えばサーボモータである。
【0101】
なお、スライド機構を備えると、各構成例における自由度は1つ増えることになる。また、アクチュエータにより駆動可能な構成であれば、各構成例に係るロボットアームの複数のアクチュエータと同時に駆動させることにより、ロボットアームの可動要素とスライド機構が同時に動作して効率的に目的位置にテーブルを搬送することができる。
【0102】
図24〜
図26に、第1の構成例に係るロボティックベッドにおいて、手動のスライド機構を採用した場合に載置対象を移動させる例を示す。
【0103】
図24に示す載置対象物の載置位置は
図4の位置と同じであり、
図25に示す検査装置に頭が向けられた位置(検査準備位置)は
図5の位置と同じである。第1の構成例ではそのままロボットアーム101の可動要素を動かしてテーブル108を検査装置414内に搬送したが、本構成例においてスライド板を手動操作によりスライドさせることにより、検査装置414内へと移動させている。
【0104】
このような構成によればロボットアームを検査準備位置までしか延長する必要がないため、ロボットアームの可動範囲が小さくて済み、各可動要素を小さくできるというメリットがある。それに伴い、医療現場の限られたスペースを有効活用することができる。例えば、
図5から
図6への移行では、第2可動要素123及び第3可動要素124をそれぞれ検査装置414側へ移動させているが、
図25から
図26への移行ではロボットアームを動かしておらず、従ってその分第1可動要素123と第3可動要素124は短くて済むことになる。
【0105】
次に、第3の構成例に係るロボティックベッドおいてアクチュエータ駆動のスライド機構を採用した場合に載置対象を移動させる例を説明する。
【0106】
図27に第3の構成例においてスライド機構を設けたロボティックベッドの側面図を示す。
ロボティックベッドに用いられるロボットアーム2701は、多自由度(3自由度以上)を有し、その先端で載置対象物が載置されるテーブル2708を支持する。テーブル2708およびロボットアーム2701は、ロボティックベッドを構成する。
【0107】
ロボットアーム2701は、ベース2721と、複数の可動要素(本構成例では、第1〜第3可動要素2722〜2724)と、複数のジョイント(本構成例では、第1〜第5ジョイント2731〜2735)を含む。
【0108】
ベース2721と第1可動要素2722の一端部は鉛直直進ジョイントである第1ジョイント2731によって連結されており、第1可動要素2722は第1軸方向(鉛直方向)に移動することができる。第1可動要素2722の他端部と第2可動要素2723の一端部は水平回転ジョイントで連結されており、第2軸(鉛直方向)まわりに第2可動要素2723が回転することができる。第2可動要素2723と第3可動要素2724の間の第3〜第5ジョイント2733〜2735は、それぞれ、第3〜第5軸回りの回転ジョイントである。第3軸は第2可動要素2723の延びる方向であり、第4軸は第3ジョイント2733によって回転される、第3軸と直交する方向であり、第5軸は、第4ジョイント2734によって回転される、第4軸と直交する方向である。
【0109】
第1可動要素2722と第2可動要素2723は特定方向に延びる棒状となっており、長さはロボットアーム2701の必要な可動範囲に応じて適宜設計される。そして、第1可動要素2722は水平面に平行な状態を維持して上下移動し、第2可動要素2723は第1可動要素と平行な状態を維持して第2軸まわりに回転する構成となっている。このような構成であれば、第2のアクチュエータ2742において鉛直方向の重力補償を行う必要がないためモータを小さくすることができる。これは、ロボットアーム2701の小型化に有利な構成であり、限られたスペースしか確保できない医療現場に導入する場合や、治療や手術でより多くのスペースを確保するのに有利である。
【0110】
第3可動要素2724は、ロボットアーム2701の先端に位置している。本構成例では、ロボットアーム2701の先端が、テーブル2708のスライド機構2709に連結されている。
【0111】
ロボットアーム2701は、第1〜第5ジョイント2731〜2735及びスライド機構2709に対応して、第1〜第3可動要素2722〜2724及びスライド機構2709を移動又は回転させる複数のアクチュエータ(本構成例では、第1〜第5アクチュエータ2741〜2745及びスライド機構用アクチュエータ2749)と、それぞれのジョイントに組み込まれそれぞれの可動要素の位置を検出する複数の位置検出器(本構成例では第1〜第5位置検出器2751〜2755及びスライド機構用位置検出器2759)と、それぞれのアクチュエータの駆動を制御する制御装置2707を含む。制御装置2707はベース2721内に位置しているが、例えば外部の独立した装置としてもよい。
【0112】
第1〜第5アクチュエータ2741〜2745及びスライド機構用アクチュエータ2749は、例えばサーボモータである。位置検出器としては第1及び第2の構成例と同様、エンコーダやレゾルバ、ポテンショメータを用いることができる。
【0113】
ロボットアーム2701はまた、第1〜第5ジョイント2731〜2735及びスライド機構2709に対応して、それぞれ、第1〜第5電磁ブレーキ2761〜2765及びスライド機構用電磁ブレーキ2769を含むことが望ましい。電磁ブレーキを備えていない場合は、複数のアクチュエータ2741〜2745及びスライド機構用アクチュエータ2749の駆動によりロボットアーム2701の姿勢を一定に保つことになるが、電磁ブレーキを含んでいると、ある部分のアクチュエータの駆動をオフにしても電磁ブレーキ機能をオンとすることにより、ロボットアーム2701の姿勢を一定に保つことができる。
【0114】
電磁ブレーキが設けられる場合の第1〜第5電磁ブレーキ2761〜2765それぞれは、アクチュエータへ駆動電流が供給されないときにブレーキ機能をオンにし、アクチュエータへ駆動電流が供給されたときにブレーキ機能をオフにするように構成されている。
【0115】
図28に示す載置対象物の載置位置は
図13と同じである。しかし、スライド機構を有するロボティックベッドにおいて検査装置2814へ挿入するテーブル2708方向は逆である。すなわち、
図13〜
図15においてテーブル1008を検査装置1314にテーブル1008の一端側から挿入していると表現すると、
図28〜30においては検査装置2814へテーブル2708の他端側から挿入する構成となる。
【0116】
図15に示す検査装置1314に頭から挿入された位置(検査位置)は
図30の位置と同じである。第1の構成例ではそのままロボットアーム1001の可動要素を動かしてテーブル1008を斜めから検査装置1314内に搬送したが、本構成例においてはテーブル2708が一旦検査装置2814に向くように配置したあと、テーブル2708をアクチュエータ駆動によりスライドさせることにより、検査装置2814内へと移動させている。
【0117】
以上のように、スライド機構を設けると、ロボットアームのサイズを小型化できるというメリットがある他、
図10に示すような(ロボットアーム1001がテーブル1008の一端部を支持している)第3の構成例においては、載置位置において載置対象をどちらの方向に向けるかを変更できるという効果がある。後者については、例えば載置位置が脳や歯の手術を行う手術位置である場合、
図10のように患者が検査装置1314より戻ってきた場合に頭部がベース1021の方を向いていると、術者1312はベース1021が邪魔となって手術がしにくいが、
図27のように患者が検査装置2814より戻ってきた場合に頭部がベース2721と逆の方を向いていると、頭部側の手術がしやすいといった効果がある。ベース2721が邪魔となることもないので、医師2812は座った状態で治療にあたることができる。
【0118】
なお、ここで紹介した2つの例ではロボットアームの先端がテーブルの端部を支持しているが、ロボットアームの先端がテーブルの中央部を支持している構成において手動スライド機構を採用してもよい。また、アクチュエータ駆動のスライド機構2709が嵌まり込むテーブルの溝2783の長さを中央部分だけに制限してもよく、この場合はスライド幅が短くなるが、スライド幅が大きい場合と比べて、テーブルの撓みは発生しにくくなる。
【0119】
また、上述の例では、第1の構成例及び第3の構成例に対し、手動操作のスライド機構及びアクチュエータ駆動のスライド機構をそれぞれ適用する例を示したが、各構成例においてどちらのスライド機構を適用してもよい。
【0120】
そして、スライド機構を新たに設けることで、第3の構成例と第4の構成例におけるコンパクトサイズのロボティックベッドの設計も見直しておく必要がある。第4構成例についてはスライド機構によりテーブルの位置がどれだけ変更していようと、テーブルが水平面に平行な状態を維持していれば、テーブルをどのように回転してもテーブルとロボットアームが接触しないように構成していればよい。第3の構成例については、鉛直方向上側から見下ろした場合に、端部同士が水平回転ジョイントによって連結された2つの可動要素の特定方向が平行となる状態において、テーブル位置がスライド方向で移動することなくスライド機構を有するテーブルが最もベースに近づいた状態からテーブルを水平面に平行な状態でどのように回転させても(例えば360度回転させても)ロボットアームと接触しないように設計する。このような設計により、第3の構成例及び第4の構成例におけるロボティックベッドのメリットを維持しつつ、スライド機構を付加したメリットも得ることができる。
【0121】
[各構成例に係るロボットアームに共通する特徴]
以下には、第1〜第5の構成例全てに適用可能な追加の特徴を記す。
【0122】
(チューブ類/コード類の固定具)
各構成例におけるテーブルへの載置対象が患者である場合、その患者が生命維持装置や点滴、その他治療に必要な装置を装着していることがある。
【0123】
上述の通り、キャスター付きのテーブルを移動させることと比較すると、上記第1〜第5の構成例に係るロボティックテーブルを導入することにより、載置対象の移動時にこのようなチューブ類(チューブおよび/またはケーブル)との絡まりやこれを跨ぐことによるがたつきを回避することができるが、さらに安全性を確保するために、本発明に係るロボティックベッドにおいては、テーブル、ロボットアームのベース、または可動要素の少なくとも1つには、これらの装置から延びているチューブ類を結束するための固定具171・371・771・1071・1171・1271・1771・1871・2771が取り付けられていることが望ましい。これにより、ロボットアームの動作時にチューブ類が絡まってしまうといった事態をさらに確実に回避することができる。医師や助手がチューブ類に足を引っ掛けてしまうということも予防し、さらに安全性を高めることができる。絡まり防止の対策が必要なチューブ類としては生命時装置などに接続されているものに限らず、医療機器やディスプレイなどの電気系コードなど(コード類)も同様の固定具で固定することが望ましい。また、テーブルを移動させる位置が決まっていれば、ロボットアームのだいたいの動きを予測して、余らせるチューブ類/コード類の長さとチューブ類/コード類側の固定具に嵌められる位置を決めておくことが望ましい。
【0124】
(手動ブレーキオフ機能)
水平回転ジョイントに対応する電磁ブレーキが設けられている場合、アクチュエータへ駆動電流が供給されていないときに手動でブレーキ機能をオフとするスイッチやレバーが設けられていてもよい。
図1に示すロボットアーム101の場合、第1〜第6の電磁ブレーキ161〜166のうちの、水平回転ジョイントである第2、第3、及び第6ジョイント132、133、及び136に対応する第2、第3、及び第6の電磁ブレーキ162、163、及び166が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図3に示すロボットアーム301の場合、第1〜第3の電磁ブレーキ361〜363のうちの、水平回転ジョイントである第2、第3ジョイント332、333に対応する第2、第3の電磁ブレーキ362、363が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図7に示すロボットアーム701の場合、第1〜第6の電磁ブレーキ761〜766のうちの、水平回転ジョイントである第1ジョイント731に対応する第1の電磁ブレーキ761が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図10に示すロボットアーム1001の場合、第1〜第5の電磁ブレーキ1061〜1065のうちの、水平回転ジョイントである第2、及び第5ジョイント1032、及び1035に対応する第2、及び第5の電磁ブレーキ1062、及び1065が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図11に示すロボットアーム1101の場合、第1〜第5の電磁ブレーキ1161〜1165のうちの、水平回転ジョイントである第2、及び第5ジョイント1132、及び1135に対応する第2、及び第5の電磁ブレーキ1162、及び1165が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図12に示すロボットアーム1201の場合、第1〜第3の電磁ブレーキ1261〜1263のうちの、水平回転ジョイントである第2、第3ジョイント1232、1233に対応する第2、第3の電磁ブレーキ1262、1263が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図17に示すロボットアーム1701の場合、第1〜第6の電磁ブレーキ1761〜1766のうちの、水平回転ジョイントである第2、第3、及び第6ジョイント1732、1733、及び1736に対応する第2、第3、及び第6の電磁ブレーキ1762、1763、及び1766が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。
図18に示すロボットアーム1801の場合、第1〜第3の電磁ブレーキ1861〜1863のうちの、水平回転ジョイントである第2、第3ジョイント1832、1833に対応する第2、第3の電磁ブレーキ1862、1863が手動でブレーキ機能をオフすることができる構成としてもよい。さらに、
図27のようにモータで駆動されるスライド機構を有するロボティックベッドの場合、スライド機構を駆動するモータにも電磁ブレーキを設け、当該電磁ブレーキのブレーキ機能を手動でオフとする構成としてもよい。
【0125】
この構成によれば、万が一停電の場合でも、ブレーキ機能をオフしてロボットアームの可動要素を動かすことにより、医療従事者が例えば載置対象である患者を安全な場所に移動することができる。
【0126】
なお、上記列挙した手動ブレーキオフ機能の適用個所全てに適用する必要はなく、少なくとも一部に設けたり、水平面に平行な状態にしか動くことがない個所に限定して適用したりしてもよいことはもちろんである。
【0127】
(距離センサ)
各構成例におけるロボットアームには、ロボティックベッドの可動範囲を走査する距離センサ173・373・773・1073・1173・1273・1773・1873・2773が設けられていることが望ましい。
図1において、ロボットアーム101の可動範囲は、第2ジョイント132の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム101とテーブル108を最大に伸長させたときのテーブル108の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図3において、ロボットアーム301の可動範囲は、第2ジョイント332の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム301とテーブル308を最大に伸長させたときのテーブル308の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図7において、ロボットアーム701の可動範囲は、第1ジョイント731の回転中心である第1軸を中心とする、ロボットアーム701とテーブル708を最大に伸長させたときのテーブル708の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図10において、ロボットアーム1001の可動範囲は、第2ジョイント1032の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム1001とテーブル1008を最大に伸長させたときのテーブル1008の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図11において、ロボットアーム1101の可動範囲は、第2ジョイント1132の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム1101とテーブル1108を最大に伸長させたときのテーブル1108の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図12において、ロボットアーム1201の可動範囲は、第2ジョイント1232の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム1201とテーブル1208を最大に伸長させたときのテーブル1208の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図17において、ロボットアーム1701の可動範囲は、第2ジョイント1732の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム1701とテーブル1708を最大に伸長させたときのテーブル1708の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図18において、ロボットアーム1801の可動範囲は、第2ジョイント1832の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム1801とテーブル1808を最大に伸長させたときのテーブル1808の末端までを半径とする扇状の範囲である。
図27において、ロボットアーム2701の可動範囲は、第2ジョイント2732の回転中心である第2軸を中心とする、ロボットアーム2701とスライド機構でテーブル2708
を一端側に寄せて最大に伸長させたときのテーブル
2708の末端までを半径とする扇状の範囲である。
【0128】
以上のような距離センサ173・373・773・1073・1173・1273・1773・1873・2773を設けていると、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、距離センサによりロボットアームの可動範囲内に異物(人や物体)が検出された場合には、全てのアクチュエータの作動を停止または禁止する。この構成によれば、医療従事者のようなロボットの操作に熟達しておらず、ロボットアームの動作の予測が困難な人がロボティックベッドの近傍にいる場合であっても、人のロボットアームまたはテーブルへの接触および衝突などの危険が回避される。また、ロボットアームの医療機器への接触および衝突などの危険も回避される。
【0129】
なお、例えばテーブルが治療位置に到達した場合には、治療にあたる医師や助手がテーブルを取り囲んでも反応しないように、テーブルの位置に応じて距離センサをアクティブとするか非アクティブとするかを制御するようにしておくことが好ましい。ただし、距離センサのアクティブ/非アクティブを手動で切り替える切り替えスイッチなどの手段を設けておくべきである。あるいは、距離センサのアクティブ/非アクティブの切り替えは、制御装置により行われてもよい。
【0130】
(高さセンサ)
テーブルまたはロボットアームには、テーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708の高さを検出する高さセンサ174・374・774・1074・1174・1274・1774・1874・2774が設けられていることが望ましい。この場合、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、テーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708を検査装置内へ移動する前に、高さセンサ174・374・774・1074・1174・1274・1774・1874・2774により検出されるテーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708の高さが所定範囲内にあるか否かを判定し、所定範囲内にない場合には、テーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708を検査装置内へ移動しないように制御する。この構成によれば、テーブルまたは被験者の検査装置との接触や衝突の危険が回避される。なお、上記においては移動目標位置として検査位置を例に挙げたが、これが測定装置による測定位置、撮影装置による撮影位置など、医療に関連する装置内に挿入される場合であっても同様である。
【0131】
(撓み補償)
また、各構成例におけるロボットアームは、テーブルやロボットアームの撓みに応じて制御装置によってロボットアームを制御することによりこれを補償する機能を有している。載置対象物の重量などが原因でテーブル3108が撓んだ場合にこれを補正する例を
図31に示す。例えば載置対象としての患者の頭部の1点をトラッキングのための目標点と定める場合、ロボットアーム3101の先端(テーブル3108の固定部分)からのx、y、z座標を指定する等により目標点3190を記憶させることができる(
図31(a))。そして、
図31(b)のようにテーブルが撓んだ場合、目標点3190が例えば右下の方へ移動するため、座標値のズレをロボットアームの制御装置で検知し、制御装置はこのズレを補正するために予め記憶させた目標点3190に戻すようにアクチュエータの少なくともひとつを制御する。
図31(c)の例では、ロボットアームのある可動要素を左側へ移動させるとともに、垂直回転ジョイントを時計回りに回転させて補正している。
【0132】
図32に撓み補償の他の例を示す。例えば
図31の場合と同様に、載置対象としての患者の頭部の1点をトラッキングのための目標点と定める場合、ロボットアーム3201の先端(テーブル3208の固定部分)からのx、y、z座標を指定する等により目標点3290を記憶させることができる(
図32(a))。そして、
図32(b)のようにテーブルが撓んで目標点3190が例えば下方へ移動する場合、座標値のズレをロボットアームの制御装置で検知し、制御装置はこのズレを補正するために予め記憶させた目標点3290に戻すようにアクチュエータの少なくともひとつを制御する。
図32(c)の例では、ロボットアームのある垂直回転ジョイントを時計回りに回転させて補正している。
【0133】
このような構成によれば、目標とする点の正確な位置合わせが常に可能となる。従って、例えば載置対象物の正確な移送が達成されるとともに、テーブルまたは載置対象物の検査装置、測定装置、撮影装置等への接触および衝突などの危険も回避される。
【0134】
(重量センサ)
また、テーブルまたはロボットアームには、載置対象物の重量を計測する重量センサ175・375・775・1075・1175・1275・1775・1875・2775が設けられていることが望ましい。これは、例えば載置対象としての患者の体重を常に監視することを可能とする。この構成によれば、載置対象としての患者を体重面からモニタすることができ、例えば手術開始前の体重を記憶しつつ、出血により減った重量をモニタし、手術時の対応、方針変更の参考とすることができる。そのため、重量センサで検出した数値を表示するための表示部(例えば、表示窓、ディスプレイ)をテーブル又はロボットアームに設けておくことが好ましい。そして、この表示部には複数個の記録した値(例えば手術前と出血を伴う手術を行った直後)や記憶した値と現在の値の差(例えば手術前の値と現在の値の差)を表示できるようにしておくことが好ましい。そのために、メモリなどの記憶手段を設け、この記憶手段にある時点での載置対象物の重量を記憶するようにし、重量センサによって検出した載置対象物の現在の重量と記憶された重量との差を計算するCPUなどの計算部を備えておくことが好ましい。さらに、このような管理を載置対象としての患者ごとにするために、記憶手段は患者IDと対応付けて患者を選択できるようにし、患者ごとにある時点の重量を記憶し、現在の重量との差を計算して表示部に表示できるようにしておくことが好ましい。
【0135】
(温度センサ)
また、テーブルには、載置対象物の温度を計測する温度センサ172・372・772・1072・1172・1272・1772・1882・2772が設けられていることが望ましい。これは、例えば載置対象としての患者の温度を常に監視することを可能とする。この構成によれば、載置対象としての患者を体温面からモニタすることができ、例えば手術開始前、手術開始待機中、手術中、手術後の体温をモニタすることができる。そのため、温度センサで検出した数値を表示するための表示部をテーブル又はロボットアームに設けておくことが好ましい。
【0136】
そして、患者の体温が低くなりすぎている、若しくは高くなりすぎている場合には、テーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708の表面温度を上昇させるための昇温手段(ヒーターなど)、若しくは下降させるための降温手段(冷却装置など)を設けておくことが好ましい。これにより、患者を望ましい体温に保つことができる。
【0137】
なお、
図1、
図3、
図7、
図10、
図11、
図12、
図17、
図18、
図27において各温度センサはテーブル108・308・708・1008・1108・1208・1708・1808・2708の側面に配置されているが、埋め込まれていてもよい。
【0138】
また、テーブルの周囲の温度を検出する別の温度センサを設け、手術開始待機中や手術後安静中において患者の体温を望ましい状態に保つために、周囲温度が高い場合にはテーブルの位置を温度が低いエリア(例えば低い位置や冷房装置の近く)に移動させたり、周囲温度が低い場合にはテーブルの位置を温度が高いエリア(例えば高い位置や暖房装置の近く)に移動させるようにロボットアームを制御するようにしてもよい。これらを自動的な移動を行うのは、手術後に患者が安静にしている場合や、治療前の待機中である場合が考えられ、テーブルの移動は載置されている者が移動を感じないくらいゆっくりと移動することが好ましい。ただし、手術中などにロボットアームが自動的に動いてしまうことは好ましくないため、テーブルの位置が治療位置にある場合は非アクティブとなるように設定したり、テーブルの位置するエリアに応じてセンサのアクティブ/非アクティブを切り替えるようにしてもよい。
【0139】
なお、温度センサ/周囲温度センサについても、当該センサ機能のアクティブ/非アクティブを手動で切り替えられるようにしておくことが好ましい。
【0140】
(物体センサ)
また、テーブルには、テーブルの周囲の物体を検出するための物体センサを1つ以上設け、ロボットアームの動作中に物体センサにより物体を検知した場合には、ロボットアームを駆動するアクチュエータの動作を停止又は禁止することが好ましい。第1〜第5の構成例で示したようなロボティックベッドを医療室に導入するに際しては、安全性の確保が極めて重要な位置づけを占めることから、このような手段により患者及び医療従事者の安全を確保することが好ましい。
【0141】
なお、テーブルの位置が治療位置にある場合は非アクティブとなるように設定したり、載置対象物の載置位置から検査位置までの間だけでアクティブとなるようにしたり、テーブルの位置するエリアに応じて物体センサのアクティブ/非アクティブを切り替えるようにしてもよい。物体センサのアクティブ/非アクティブの切り替えは、制御装置により行われても良いし、物体センサに設けられた手動用の切り替え手段によって行われてもよい。
【0142】
なお、温度センサ/周囲温度センサについても、当該センサ機能のアクティブ/非アクティブを手動で切り替えられるようにしておくことが好ましい。
【0143】
(制御装置の構成)
制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、
図40に示すように、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701のアクチュエータ、電磁ブレーキおよび位置検出器と接続される。また、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、上述した距離センサ173・373・773・1073・1173・1273・1773・1873・2773、高さセンサ174・374・774・1074・1174・1274・1774・1874・2774、重量センサ175・375・775・1075・1175・1275・1775・1875・2775、および温度センサ172・372・772・1072・1172・1272・1772・1882・2772と接続され得る。また、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、記憶手段を含むとともに、上述した撓み補償を実現するための構成として、目標点の位置を定める設定手段と、当該目標点をトラッキングするトラッキング手段を含んでもよい。
【0144】
また、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、上述した記憶手段および計算部を含んでもよいし、上述した表示部と接続されてもよい。表示部は、ロボットアームのベースに組み込まれていてもよいし、ロボットアームとは独立したものであってもよい。また、制御装置の記憶手段に複数の異なる載置対象物の重量が記憶される場合には、制御装置が、
図40に示すように、特定の載置対象物を選択する選択手段を含んでもよい。
【0145】
また、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、上述した昇温手段および降温手段と接続され得る。さらに、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、上述した物体センサと接続され得る。
【0146】
[術中MRIへの適用]
以上説明したロボティックベッドは、術中MRIにおいて用いることにより大きな効果を発揮することが期待できる。脳腫瘍摘出の術中MRIの場合、患者を移動させてMRI装置で脳を撮影する回数は2〜4回、平均3回とされており(「最先端の脳腫瘍完全摘出システムが可能にする生存率向上と術後QOL確保」、日立メディコ、月刊インナービジョン 2012年9月号参照)、手術中に患者を正確かつ迅速にMRI装置による撮影位置と治療位置を往復させる必要性が高い。
【0147】
以下では、第1〜第5の構成例で示したようなロボティックベッド(場合によっては上述の共通の特徴を付加したロボティックベッド)を、MRI装置で載置対象である患者の特定部位を撮影し、その後治療位置(手術位置を含む)に移動させて直ちに手術に移行する術中MRIに適用する手法を説明する。
【0148】
以下では、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701を駆動することにより、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708を治療位置とMRI撮影位置との間で移動させる様子を、図面を参照しながら説明する。
【0149】
各構成例のロボティックベッドを術中MRIに適用する場合、各構成例のテーブルの移動の説明において医療室に置かれた装置414、1314、1914、2814はMRI装置である。
【0150】
図33にオープン型MRI装置3314を示す。当該オープン型MRI装置3314は、前方および側方に開口するオープン型である。具体的には、中央部が前方に張り出すような略T字状の上側検査部(上部磁石)3315および下側検査部(下部磁石)3316を含み、これらの検査部3315,3316の間に患者が載置されたテーブルが挿入される空間が形成されている。上側検査部3315および下側検査部3316の両端部同士は、一対の支柱3317によって連結されている。MRI装置3314はドーナツ型であってもよいが、患者を斜めからMRI装置に挿入しやすいようなケース(
図14のような場合)に適用する場合には、ドーナツ内側の空洞の正面にテーブルを位置させてから空洞内部へ挿入することとなるため、ロボットアームの動きが少し窮屈になる場合がある。
【0151】
上側検査部(上部磁石)3315および下側検査部(下部磁石)3316で挟まれる空間で形成される部分が撮影空間である。テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708の少なくとも一部が当該撮影空間とオーバーラップする場合において、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708がMRI撮影位置にあるということができる。撮影空間内でのテーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708の位置は、患者の撮影部位や患者の身長・大きさによって異なるため、常に一定であるとは限らない。
【0152】
図4は、第1の構成例に係るロボティックベッドを用いて載置対象である患者を載置位置からMRI撮影位置へ移動させる場合の、テーブル108が載置位置に位置している様子を示している。
図5は、制御装置107による制御によって第2可動要素123及び第3可動要素124が矢印の如く動いて、また第6軸の回転によりテーブル108が矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素122も鉛直方向に動いて高さが調節され、また第4軸又は/及び第5軸まわりの回転によりテーブルの傾きが微調整され)患者の頭部がMRI装置414の方向に向けられた様子(MRI撮影準備位置に位置している様子)を示している。
図6はテーブル108がMRI装置414の内部に挿入され、テーブル108がMRI撮影位置に到達した様子を示している。MRI装置414による撮影後、術者412が患者に手術を施すためにテーブル108を治療位置に位置させる場合には、テーブル108が
図6のMRI撮影位置から
図4の位置まで各可動要素及びテーブルが逆方向に動いて元の位置に戻り、MRI撮影画像を見ながら術者412が直ちに手術に移行することができる。
【0153】
図13は、第3の構成例に係るロボティックベッドを用いてある載置対象である患者を載置位置からMRI撮影位置へ移動させる際に、テーブル1008が載置位置に位置している様子を示している。
図14は、制御装置1007による制御によって第2可動要素1023及びテーブル1008が矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素も鉛直方向に動いて高さが調節され、またテーブル1008が第3軸又は/及び第4軸まわりの回転により傾きが微調整され)患者の頭部がMRI装置1314に対して斜めから移動してゆく様子を示している。
図15はテーブル1008がMRI装置1314の内部に挿入され、患者が検査位置に到達した様子を示している。MRI装置1314による撮影後、術者1312が患者に手術を施すためにテーブル1008を治療位置に位置させる場合には、テーブル1008が
図15のMRI撮影位置から
図13の位置まで各可動要素及びテーブルが逆方向に動いて元の位置に戻り、MRI撮影画像を見ながら術者1312が直ちに手術に移行することができる。
【0154】
図19は、第4の構成例に係るロボティックベッドを用いてある載置対象である患者を載置位置からMRI撮影位置へ移動させる際に、テーブル1708が載置位置に位置している様子を示している。
図20は、制御装置1707によって第2可動要素1723及び第3可動要素1724が矢印の如く動き、またテーブル1708が第6軸まわりに回転して矢印の如く動いて(場合によっては、第1可動要素1722も鉛直方向に動いて高さが調節され、また第4軸又は/及び第5軸まわりにテーブル1708が回転して傾きが微調整され)患者の頭部がMRI撮影装置1914に対して斜めから移動してゆく様子を示している。
図21はテーブル1708がMRI装置1914の内部に挿入され、テーブル1708がMRI撮影位置に到達した様子を示している。MRI装置1914による撮影後、術者1912が患者に手術を施すためにテーブル1708を治療位置に位置させる場合には、テーブル1708が
図21のMRI撮影位置から
図19の位置まで各可動要素及びテーブルが逆方向に動いて元の位置に戻り、MRI撮影画像を見ながら術者1912が直ちに手術に移行することができる。
【0155】
図24〜
図26に、第1の構成例に係るロボティックベッドにおいて手動のスライド機構を採用した場合の第5の構成例を術中MRIに適用した例を示す。
【0156】
図24に示す載置対象物の載置位置は
図4の位置と同じであり、
図25に示すMRI装置414に頭が向けられた位置(MRI撮影準備位置)は
図5の位置と同じである。第1の構成例に係るロボティックベッドを用いた場合はそのままロボットアーム101の各可動要素を動かしてテーブル108をMRI装置414内に搬送したが、第5の構成例に係るロボティックベッドを用いた場合においては、MRI撮影準備位置においてスライド板2481を手動操作によりスライドさせることにより、MRI装置414内へと移動させている。
【0157】
図28〜
図30に、第3の構成例に係るロボティックベッドにおいて、アクチュエータ駆動のスライド機構を採用した場合の第5の構成例を術中MRIに適用した例を示す。
【0158】
図28に示す患者の載置位置は
図13と同じである。しかし、スライド機構を有するロボティックベッドにおいてMRI装置2814へ挿入するテーブル2708の回転方向は逆である。すなわち、
図13〜
図15においてテーブル1008を検査装置1314にテーブル1008の一端側から挿入していると表現すると、
図28〜30においてはMRI装置2814へテーブル2708の他端側から挿入する構成となる。
【0159】
図15に示すMRI装置1314に頭から挿入された位置(MRI撮影位置)は
図30の位置と同じである。第3の構成例に係るロボティックベッドを用いた場合はそのままロボットアーム1001の可動要素を動かしてテーブル1008を斜めからMRI撮影装置1314内に搬送したが、第5の構成例に係るロボティックベッドを用いた場合においてはテーブル2708が一旦MRI装置2814に向くように配置したあと、テーブル2708をアクチュエータ駆動によりスライドさせることにより、MRI装置2814内へと移動させている。
【0160】
図34〜36に、第3の構成例に係るロボティックベッドにおいて、アクチュエータ駆動のスライド機構を採用した場合の第5の構成例を術中MRIに適用した場合のロボティックベッドの動きを斜視図を用いて示す。
図34は患者の載置位置及び手術位置であり、第2の可動要素2723が水平回転し、同時にテーブル2708が第5軸まわりに軸回転して、
図35に示すMRI撮影準備位置に移動する。そして、テーブル2708がアクチュエータ駆動によりMRI装置の撮影空間とオーバーラップする位置までスライドし、テーブル2708のMRI撮影位置への移動が完了する。
【0161】
なお、
図35のMRI撮影準備位置における第2可動要素2723は、
図29から
図30に遷移する間のMRI撮影準備位置にある場合とは向きが異なっている(
図29と
図30の間の場合は、第2可動要素2723がMRI装置2814に垂直に向いているが、
図35の場合は第2可動要素2723がMRI装置2814に対して斜めを向いている)が、MRI装置の配置位置や各可動要素の寸法によってロボットアームの動きは異なる。
【0162】
第5の構成例に係るロボティックベッドを用いた場合、スライド機構が設けられているので、ロボットアームのサイズを小型化できるというメリットがある他、
図10に示すような(ロボットアーム1001がテーブル1008の一端部を支持している)第3の構成例に係るロボティックベッドおいては、治療位置において患者の頭部をどちらの方向に向けるかを変更できるという効果がある。後者のメリットについては、例えば術中MRIを用いる目的が脳
腫瘍摘出手術や歯の手術である場合、
図10のように患者がMRI装置1314より戻ってきた場合に頭部がベース1021の方を向いていると、術者1312はベース1021が邪魔となって手術がしにくいが、
図27のように患者がMRI撮影位置より戻ってきた場合に頭部がベース2721と逆の方を向いていると、頭部側の手術がしやすいといった効果がある。手術時に頭部側においてベース2721が邪魔となることもないので、術者2812は座った状態で治療にあたることもできる。
【0163】
なお、
図5及び
図25で示したMRI撮影準備位置とは、テーブル108・2408がMRI装置の撮影空間とオーバーラップしない位置であって、当該撮影空間の近辺(撮影空間との距離が一定距離以下)に位置する場合である。この位置において一旦移動を止め、例えば助手がMRI撮影のための準備(金属物がないことの確認や患者の位置・姿勢の修正)をし、その後MRI装置にテーブル108・2408を搬送するようにしてもよい。もちろん、MRI撮影準備位置は単なる経由で、テーブルをこの位置で一旦止めることなくスムーズにMRI撮影位置に移動させるようにしてもよい。また、MRI撮影準備位置は必ずしも患者の頭部がMRI装置の方を直接向いている必要はなく、例えば撮影空間近辺に位置する
図14のテーブル1008の位置をMRI撮影準備位置としてもよい。
【0164】
また、上記説明では患者を載置位置からMRI撮影位置へ移動させて治療位置として載置位置と同じ場所に戻ってくる例を示したが、治療位置を患者の載置位置は異なるとなるようにしてもよい。
【0165】
なお、術中MRIにおける治療位置とは、テーブルが撮影空間の近辺にない、すなわち撮影空間と一定距離以上離れた位置である。そして、上記の例において、治療位置の近傍には、術者412・1312・1912・2812が使用する手術器具を置くための手術器具台413・1313・1913・2813が設置されており、これら手術器具がMRI装置の近くに配置されていると、MRI装置の永久磁石の影響を受けて(例えば浮揚して)患者や取り扱う者を傷つける恐れがあるため、治療位置はMRI装置より十分離れた位置に確保し、5ガウスラインLよりも離れていることが望ましい。
【0166】
さらに、ロボットアームのベース121、321、721、1021、1121、1221、1721、1821、2721は、5ガウスラインLの外側に配置されていることが好ましい。ロボットアームのベース121、321、721、1021、1121、1221、1721、1821、2721には大きなモータが設けられており、これがMRI装置の近くに位置していると、MRI装置の撮影空間に形成された磁界が歪められ、撮影画像の劣化に繋がるためである。
【0167】
なお、第1〜第5の構成例に係るロボットアームを用いれば、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701の長さ分だけ、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708をMRI装置414・1314・1914・2814から離すことができる。これにより、治療位置は、最大でMRI装置414・1314・1914・2814からロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701の長さの2倍分だけ離すことができる。つまり、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701を用いることによって、治療位置を5ガウスラインLの外側に容易に設定することができる。その結果、術者412・1312・1912・2812への磁場の影響による負担を少なくすることができる。また、術者12が思い通りの立ち位置をとることができる。
【0168】
以上説明したように、第1乃至第5の構成例で示したロボティックベッドを術中MRIに導入することにより、ロボットアームの駆動によりテーブルに載置された患者を治療位置とMRI撮影位置との間で迅速かつ正確に移動させることができる。これにより、手術成績向上という際立って優れた効果を促進するのに貢献することができる。前出の文献(「最先端の脳腫瘍完全摘出システムが可能にする生存率向上と術後QOL確保」、日立メディコ、月刊インナービジョン 2012年9月号)によれば、これまで別室でMRI撮影と手術を別室で行っていた脳腫瘍
摘出手術に対し、同室内でMRI撮影と手術を行う術中MRIを適用し(さらに情報誘導手術を適用し)たところ、別室手術では5年生存率がグレード3で約25%、グレード4で約7%であったのが、グレード3で78%、グレード4で19%と従来平均の約3倍の生存率が達成されている。第1乃至第5の構成例で示したロボティックベッドを術中MRIに導入することにより、これまで説明したような患者を
載置したテーブルの搬送を迅速かつ正確に行い、MRI撮影と脳
腫瘍摘出手術とを効率的に行うことができ、生存率のさらなる向上にも貢献することが大いに期待できる。特に、先に説明した通り、脳
腫瘍摘出手術については、MRI撮影と脳
腫瘍摘出手術は一度きりではなく、何度か往復させることになるので、患者を治療位置とMRI撮影位置との間で迅速かつ正確に移動させることへの期待は大きい。
【0169】
そして、第1乃至第5の構成例で示したロボティックベッドを術中MRIに導入する際には、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708がMRI撮影位置に到達した後、テーブルに載置した撮影対象物の撮影を開始するまでに、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701に搭載された複数のアクチュエータへの駆動電流の供給を停止するとともに、アクチュエータに対応して設けられた複数の電磁ブレーキの機能をオンとするように、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707により制御することが好ましい。これは、MRI装置が静磁場を作用させて画像撮影することから、アクチュエータ駆動時に生じている磁界の影響によりMRI撮影画像が劣化することを防止するためである。この制御はテーブルがMRI撮影位置に到達して一定時間静止したことを検知して自動的に行われても、手動で指令を与えてもよいが、MRI撮影の開始時(例えばMRI装置に主電源を投入したり、アクティブ状態とした時点)でロボットアームのアクチュエータの動作状態をチェックするように連動させ、アクチュエータが動作していれば強制的にオフしてブレーキ機能オンに切り替えるように制御することが好ましい。このため、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707は、MRI稼動監視手段を備えるようにし、MRI装置に主電源が投入されたか、アクティブ状態にあるか、などを監視することが望ましい。
【0170】
なお、第5の構成例に係るロボットアームでは、手動のスライド機構を備えることがあるため、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708がMRI撮影準備位置に到達した時点で、ロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701に搭載された複数のアクチュエータへの駆動電流の供給を停止するとともに、アクチュエータに対応して設けられた複数の電磁ブレーキの機能をオンとするように、制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707により制御することもできる。アクチュエータの駆動をオフとし、電磁ブレーキの機能をオンとした後は、スライド板をスライドさせることにより、患者をMRI撮影位置に移動させる。
【0171】
ロボットアームによる手術位置とMRI撮影位置との間でのテーブルの移動は、ティーチペンダントによってロボットアーム101、301、701、1001、1101、1201、1701、1801、2701を操作することによって行ってもよい。しかしながら、手術位置およびMRI撮影位置を予め制御装置107・307・707・1007・1107・1207・1707・1807・2707に記憶させておけば、手術位置とMRI撮影位置との間でのテーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708の移動をより素早くかつスムーズに行うことができる。
【0172】
ロボットアームがテーブルを手術位置とMRI撮影位置との間で自動的に移動する場合は、ロボットアームの位置決めの正確さによって、MRI撮影後も確実に術野が同じ場所に戻される。また、ロボットアームを用いることの利点としては、手術中にロボットアームを操作して患者の位置および姿勢を変更すれば手術中の術野を広く確保することができる点もある。
【0173】
[他の治療等への適用]
第1〜第5の構成例で示したロボティックベッド(場合によっては上述の共通の特徴を付加したロボティックベッド)は、術中MRIのみならず、他の治療等にも適用することができる。
【0174】
例えば、各構成例においてテーブルの移動の説明において参照した
図4−
図6、
図24−
図26の装置414、
図13−
図15の装置1314、
図19−
図21の装置1914、
図28−
図30の装置2814はレントゲン撮影装置であり、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708に患者を載置した後、撮影位置に移動させて患者の歯をレントゲン撮影し、続けて治療位置に移動させて、歯の治療を行うことに用いられる。
【0175】
あるいは、各構成例においてテーブルの移動の説明において参照した
図4−
図6、
図24−
図26の装置414、
図13−
図15の装置1314、
図19−
図21の装置1914、
図28−
図30の装置2814はアンギオ装置であり、テーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708に患者を載置した後、撮影位置に移動して、アンギオ装置15により目的部位をX線透視撮影し、その後治療位置に移動させて、カテーテル治療などを行うことに用いられる。この場合、アンギオ装置15が固定されていて、ロボットアーム1701の駆動によってテーブル1708がC型アーム内に挿入されるような構成であるが、
図37及び
図38の外観図示すように、テーブル1708が撮影位置に移動した後、アンギオ装置15がテーブル1708側に移動することによって、アンギオ装置15のC型アーム内にテーブル1708が挿入される構成でもよい。
【0176】
その他、各構成例においてテーブルの移動の説明において参照した
図4−
図6、
図13−
図15、
図19−
図21、
図24−
図26、
図28−
図30の治療位置において手術ロボットを配置するようにし、治療準備位置でカニューラなどを患者に挿入して腹腔鏡手術の準備を整えた後、治療位置に移動させて手術ロボットにより遠隔操作で手術ロボットのマニピュレータを操作して腹腔鏡手術を行うことに用いられる。
図39は、ロボティックベッドの第4の構成例のテーブル1708が、手術ロボットが配置される治療位置に移動した様子を示す。
【0177】
これらのケースにおいても、上述した共通の特徴を付加することができ、例えば、第1〜第5の構成例で示したロボティックベッドがアンギオ装置15による撮影位置への移動に用いられる場合、上述の高さセンサ174・374・774・1074・1174・1274・1774・1874・2774を備えるようにし、当該高さセンサにより検出したテーブル108、308、708、1008、1108、1208、1708、1808、2708の高さがC型アームの開口範囲内にない場合には、アンギオ装置の移動またはロボットアームによるテーブルの移動を停止してもよい。
【0178】
以上の通り、第1〜第5の構成例に係るロボティックベッドを医療現場における様々なシーンに適用する例を示したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、ロボットアームのベース121、321、721、1021、1121、1221、1721、1821、2721は、全て固定されていることを前提に説明をしたが、医療室の設計によっては回転する床にベースを設置し、ベースが床の回転に応じて移動するような構成としてもよい。また、医療室にベースが移動できるレールを設け、当該レールに従ってベースが移動できるような構成としてもよい。このようにベース自体が動く構成としても、ロボットアームの制御と組み合わせてテーブルを移動させることにより、上述したそれぞれの位置への移動が可能となる。
【0179】
なお、上記説明において用いたベッドとテーブルという用語は同義であり、引用する個所を明確にする目的で、異なる用語を用いている場合がある。