特許第6571794号(P6571794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571794
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】プラグ接続およびプラグ接続セット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/64 20060101AFI20190826BHJP
   H01R 13/213 20060101ALI20190826BHJP
   H01R 13/625 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   H01R13/64
   H01R13/213
   H01R13/625
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-556239(P2017-556239)
(86)(22)【出願日】2016年4月19日
(65)【公表番号】特表2018-514917(P2018-514917A)
(43)【公表日】2018年6月7日
(86)【国際出願番号】EP2016000634
(87)【国際公開番号】WO2016173698
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年2月13日
(31)【優先権主張番号】202015003177.3
(32)【優先日】2015年4月30日
(33)【優先権主張国】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506333314
【氏名又は名称】ローゼンベルガー ホーフフレクベンツテクニーク ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100097319
【弁理士】
【氏名又は名称】狩野 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】ヘルムート ミュールフェルナー
(72)【発明者】
【氏名】ウルリッヒ ハーゼノール
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ガルテン
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03082396(US,A)
【文献】 特開2014−143160(JP,A)
【文献】 特開2010−165483(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0357114(US,A1)
【文献】 米国特許第04239325(US,A)
【文献】 独国特許出願公開第2646093(DE,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02216345(GB,A)
【文献】 国際公開第2016/063377(WO,A1)
【文献】 米国特許第5662488(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/631−13/639
H01R 13/213
H01R 13/625
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーディングパターンが設けられた第1コーディング要素(12)を有するプラグコネクタ(10)と、前記コーディングパターンに対して相補的なコーディングパターンが設けられた第2コーディング要素(52)を有する挿入箇所(50)とを備え、前記プラグコネクタ(10)は、一つ以上の内部導体接点を含み、前記プラグコネクタ(10)は、前記第1コーディング要素(12)と前記第2コーディング要素(52)とが互いに相対的な所定位置を取る場合に、挿入方向(S)に結合位置まで前記挿入箇所(50)へ挿入され、前記第1コーディング要素(12)は、前記挿入方向(S)に平行に延びる回転軸線(A)を中心として前記プラグコネクタ(10)に対して回転可能であるように前記プラグコネクタ(10)に保持され、および/または、前記第2コーディング要素(52)は、前記回転軸線(A)を中心として前記挿入箇所(50)に対して回転可能であるように前記挿入箇所(50)に保持され、前記プラグコネクタ(10)を挿嵌する時に、前記第1コーディング要素(12)と前記第2コーディング要素(52)とが前記互いに相対的な所定位置へ自動的に回転される自己整合機構を特徴とするプラグ接続。
【請求項2】
前記第1コーディング要素(12)は、前記プラグコネクタの本体(11)を囲繞するリング要素(13)であり、前記第2コーディング要素(52)は、前記リング要素の導入を許容するように前記挿入箇所(50)に回転可能に保持されるスリーブ部分(55)であり、または、前記第2コーディング要素は、前記挿入箇所に回転可能に保持されるリング要素であり、前記第1コーディング要素は、前記リング要素の導入を許容するように前記プラグコネクタの前記本体に回転可能に保持されるスリーブ部分であることを特徴とする、請求項1に記載のプラグ接続。
【請求項3】
前記第1コーディング要素の第1コーディングパターンおよび前記第2コーディング要素の第2コーディングパターンの一方は、好ましくは幾つかの径方向外向きに突出する突部(14)の形であり、前記第1コーディングパターンおよび前記第2コーディングパターンの他方は、突部(14)の係合のために各々が構成される好ましくは幾つかの案内溝(54)の形であることを特徴とする、請求項1または2に記載のプラグ接続。
【請求項4】
前記第1コーディングパターンと前記第2コーディングパターンとは、多放射相称、二、三、または四放射相称を呈することを特徴とする、請求項3に記載のプラグ接続。
【請求項5】
前記第1コーディング要素(12)は、周方向に所定角度で互いに間を開けた2個または3個以上の径方向に突出する突部(14)を有するリング要素(13)であり、前記第2コーディング要素(52)は、スリーブ部分の内壁(56)に形成されて周方向に前記所定角度で互いに間を開けた2個または3個以上の案内溝(54)を有するスリーブ部分(55)であることを特徴とする、請求項1から4の一つに記載のプラグ接続。
【請求項6】
少なくとも一つの案内溝(54)の溝幅(B)は、少なくともある区分において前記挿入方向(S)に減少することを特徴とする、請求項5に記載のプラグ接続。
【請求項7】
少なくとも一つ、好ましくはすべての前記案内溝(54)は、前記挿入方向(S)に狭くなる溝幅(B)を備える入口区分(62)と、前記挿入方向に前記入口区分(62)から続いて、少なくとも一つの関連する突部(14)の突出幅に好ましくは適合する実質的に一定の溝幅を備える案内区分(64)とを有することを特徴とする、請求項6に記載のプラグ接続。
【請求項8】
前記スリーブ部分(55)にn個(n>1)の案内溝(54)が形成され、前記案内溝は、隣接する案内溝(54)の溝壁が前端(66)で互いに直接隣接するように前端において、約360°/nの円周角範囲をカバーすることを特徴とする、請求項5から7の一つに記載のプラグ接続。
【請求項9】
前記第2コーディング要素(52)は、周方向の方向成分と前記挿入方向(S)の方向成分とを備える接触面(68)を有し、前記プラグコネクタ(10)を挿嵌する際に、前記第1コーディング要素(12)は、前記第1および前記第2コーディング要素の間の相対回転に付随し、前記接触面(68)と接触して前記接触面に沿って摺動することを特徴とする、請求項1から8の一つに記載のプラグ接続。
【請求項10】
前記挿入箇所(50)は、ソケット部分(53)に圧入するための圧入リング(51)と、前記圧入リング(51)に回転可能に装着されて前記プラグコネクタの方向にスリーブ形の状態で突出する前記第2コーディング要素(52)とを有することを特徴とする、請求項1から9の一つに記載のプラグ接続。
【請求項11】
前記プラグコネクタ(10)は、内部導体接点(22)と、前記第1コーディング要素(12)が配置された外部境界面上に、少なくとも区分で、前記内部導体接点を囲繞する外部導体(24)とを有する好ましくは遮蔽された高電流ケーブル(20)に接続される高電流プラグコネクタであることを特徴とする、請求項1から10の一つに記載のプラグ接続。
【請求項12】
前記第1コーディング要素(12)は、前記プラグコネクタ(10)の一部として前記挿入箇所(50)へ挿入される前記内部導体接点に対して回転可能であるように前記プラグコネクタ(10)に保持されることを特徴とする、請求項1から11の一つに記載のプラグ接続。
【請求項13】
請求項1から12の一つに記載の第1プラグ接続および第2プラグ接続を有するプラグ接続セットであって、前記第1プラグ接続の前記プラグコネクタが、前記第2プラグ接続の前記挿入箇所でなく前記第1プラグ接続の前記挿入箇所へ、前記結合位置まで挿嵌されるように、前記第1および前記第2プラグ接続の前記コーディングパターンと前記相補的なコーディングパターンとは、それぞれ互いに異なっている、プラグ接続セット。
【請求項14】
請求項1から12の一つに記載の3個以上のプラグ接続を特徴として、前記プラグ接続の前記プラグコネクタがそれぞれただ一つの関連する挿入箇所へ挿嵌される、請求項13に記載のセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタと、プラグコネクタの挿入のための挿入箇所とから成るプラグ接続に関する。プラグコネクタに配置されているのは、コーディングパターンを有する第1コーディング要素であり、このコーディングパターンに対して相補的なコーディングパターンを有する第2コーディング要素が挿入箇所に配置されることで、第1コーディング要素と第2コーディング要素とが互いに相対的な所定位置を取る場合に、プラグコネクタは結合位置まで挿入箇所へ挿入方向に挿入される。
【背景技術】
【0002】
コーディング式プラグ接続は、先行技術から周知である。このようなプラグ接続では、プラグコネクタに割り当てられた正しい挿入箇所にのみプラグコネクタが挿入されうることをコーディング機構が保証する。こうして、幾つかの挿入箇所が存在する場合に、これは、割り当てられていない挿入箇所へプラグコネクタが間違って挿嵌されて、結果的に電流または信号の伝送欠陥を招くことを防止する。
【0003】
信号伝送ケーブルの束の個々のケーブルが関連のプラグソケットへ正しく結合されることを保証するため、信号伝送の分野では特に、コーディング式プラグ接続が知られている。しかしながら、コーディング式プラグ接続は、設置中の接続エラーを防止するため電流伝送用のコネクタにも使用される。
【0004】
挿入箇所は、プラグコネクタと結合されるように設計された何らかのプラグコネクタ受容体を意味するものと理解されているため、挿入箇所を介してプラグコネクタから電流を流すことができる。挿入箇所の例は、固定プラグソケット、幾つかのプラグソケットを包含するプラグソケット配置、係合プラグ配置、ケーブル端などに配置される係合プラグコネクタを含む。
【0005】
周知のコーディング機構において、プラグコネクタは、コーディングパターンの第1コーディング要素を有し、挿入箇所は、このコーディングパターンと適合する相補的なコーディングパターンの第2コーディング要素を有する。挿嵌パターンは、挿入箇所のくぼみおよび/または突部の相補的な空間配置と係合するように設計されているプラグコネクタの突部および/またはくぼみの所定の空間配置の形で設計される。
【0006】
したがって、そのコーディングパターンのプラグコネクタは、挿入時にコーディングパターンが正確な位置で相補的なコーディングパターンに係合するようにプラグコネクタと挿入箇所とが互いに相対的に配置された場合に、相補的なコーディングパターンの係合プラグコネクタと挿入方向に結合される。
【0007】
結合位置では、プラグコネクタおよび挿入箇所の接触要素は、電気接触状態にあり、プラグコネクタは、挿入箇所の軸端位置に配設される。
【0008】
従来のコーディング式プラグ接続では、場合により、第1コーディング要素が第2コーディング要素に正確な位置で係合して挿嵌動作が上手く実行される前に、プラグコネクタおよび挿入箇所の異なる相対的な位置での挿嵌の数回の試みが設置者により行われる必要がある。例えば、ケーブル束を結合するために多数のプラグ接続が結合される必要がある際には、多数の挿嵌の試みが必要となることが多い。したがって、従来のプラグ接続の結合は、時間がかかり面倒である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
記載された問題を考慮すると、このような問題にもかかわらず間違った結合を確実に防止するコーディング式プラグ接続を提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、請求項1に記載のプラグ接続によって達成される。本発明のさらなる有利な発展例は、従属請求項に記載されている。請求項13に記載のプラグ接続セットも提供される。
【0011】
本発明によるプラグ接続では、第1コーディング要素は、挿入方向に平行に延びる回転軸の周りで回転可能となるようにプラグコネクタに適用される、および/または第2コーディング要素は、回転軸の周りで回転可能となるように挿入箇所に適用される。言い換えると、本発明の第一実施形態では、挿入方向に平行に延びる回転軸の周りで回転可能となるように第1コーディング要素のみがプラグコネクタに適用され、本発明の第二実施形態では、挿入方向に平行に延びる回転軸の周りで回転可能となるように第2コーディング要素のみが挿入箇所に適用され、本発明の特に好適な第三実施形態では、第1および第2コーディング要素がプラグコネクタに/挿入箇所に回転可能に適用される。
【0012】
本発明は、従来のプラグ接続において、ケーブル設置者は、コーディングパターンが相補的なコーディングパターンに正しい位置で係合して挿嵌動作を可能にする前に、たいていプラグコネクタと挿入箇所との間で幾つかの相対的な回転位置を試さなければならないという知識に基づいている。しかしながら、挿入箇所全体の回転と、一般的にねじり剛性ケーブルが装着されるプラグコネクタの回転とは面倒であり、プラグコネクタの破損につながる。対照的に、本発明によるプラグ接続では、他のコーディング要素に対する正確な位置に配向されて挿嵌動作が可能となるように、第1および/または第2コーディング要素を回転させるだけで十分である。対照的に、ケーブルが装着されるプラグコネクタの本体の回転または挿入箇所全体の回転は、本発明によれば必要ではない。
【0013】
回転可能な第1コーディング要素および/または回転可能な第2コーディング要素は、コーディングパターンがケーブル設置者により容易に認識可能、および/または回転を目的としてケーブル設置者にとってアクセス可能となるように、好ましくはプラグコネクタまたは挿入箇所に適用される。これは、一方では、挿入に先立つプラグコネクタと挿入箇所との間での所定の相対的な位置の調節を容易にし、他方では、幾つかのプラグコネクタが設けられる挿入箇所と関連するプラグコネクタの正しい選択を容易にする。特に、第1コーディング要素は、プラグコネクタの外部境界面を形成し、挿入に先立って何の問題もなく確認される、および/または、好ましくは径方向外向き方向に露出している。
【0014】
プラグコネクタと挿入箇所との間の結合動作のさらなる簡易化を達成するため、本発明によるプラグ接続は、プラグコネクタを挿嵌する時に第1コーディング要素と第2コーディング要素とが互いに相対的な所定位置へ自動的に回転される自己整合機構を、有すると好都合であることを示す。二つのコーディング要素の間のこの自己整合は、挿入方向での挿入中に二つのコーディング要素の間に作用する相対的な力によって達成される。言い換えると、自己整合機構は、挿入方向に向けられた挿嵌力を、コーディング要素を周方向に整合させる回転力に変換する力−撓み機構を包含する。コーディングのため、自己整合機構を備える本発明によるプラグ接続は、コーディング要素の正しい配向が自動的に行われるので、互いに属していないプラグコネクタと挿入箇所によるペアの結合を防止するのと同時に、挿嵌の試みの失敗を回避する。
【0015】
好ましくは、挿入方向に垂直な指向の断面におけるプラグコネクタおよび/または挿入箇所の輪郭は実質的に丸く、好ましくは実質的に回転対称であり、特にほぼ円形である。丸い輪郭を有する従来のコーディング式プラグ接続には、本発明による自己整合機構によって解消される、プラグコネクタと挿入箇所との間に外見が紛らわしい多数の相対的な回転位置があることによる特定の挿嵌問題が存在する。
【0016】
本発明の好適な実施形態において、第1コーディング要素は、プラグコネクタの本体を囲繞して回転可能に本体に保持されるリング要素である。代替的または付加的に、第2コーディング要素は、リング要素の導入を許容するように挿入箇所に回転可能に保持されるスリーブ部分である。リング要素の外径は、従ってスリーブ部分の内径に好ましくは適合され、リング要素は、リング要素のコーディングパターンがスリーブ部分の相補的なコーディングパターンに径方向に係合した状態でスリーブ部分に導入される。
【0017】
逆に、本発明の代替的実施形態では、第1コーディング要素は、プラグコネクタの本体に回転可能に保持されるスリーブ部分であり、第2コーディング要素は、スリーブ部分と適合する挿入箇所に回転可能に保持されるリング要素である。
【0018】
リング要素は、必ずしも周方向に閉じたリングでなくてもよい。それは、横からプラグコネクタに嵌着またはクリップされるように、部分的なリングの形であるか分割されていてもよい。好ましくは、リング要素は、挿入方向には溝に固定されるが本体の周りの周方向には溝で回転されうるように、プラグコネクタの本体の周溝に保持される。リング要素の良好な固定を達成するのと同時に確実なコーディング機構を提供するため、溝の奥行は、リング要素の径方向のリング厚さと適合しており、リング要素に設けられるコーディングパターンは、溝から径方向に突出する。
【0019】
本体に対するリング要素の良好な摺動特性を達成するため、リング要素は、プラスチック材料で製作され、溝は、アルミニウムなどの金属で製作される本体に形成されることが好都合である。特に、溝は、プラグコネクタの金属の外部導体部分に形成されるとよい。
【0020】
代替的または付加的に、スリーブ部分は、プラスチック材料で製作される、および/または、金属で製作された挿入箇所のソケット部分に回転可能に装着される。自在軸受は、例えば環状溝に径方向で係合する環状突部により形成されるソケット部分とスリーブ部分との間に設けられる。
【0021】
好適な実施形態では、リング要素は、好ましくは突部および/または溝による所定の空間配置の形であるコーディングパターンを備え、スリーブ部分は、好ましくはこのコーディングパターンのメス型の形であって突部および/または溝による相補的な空間配置を呈する相補的なコーディングパターンを備える。挿嵌動作中に、リング要素とスリーブ部分とが互いに対して所定の回転位置(または幾つかの可能な所定の回転位置の一つ)を取る時に、リング要素のコーディングパターンがスリーブ部分の相補的なコーディングパターンに径方向で係合する。
【0022】
この目的のため、第1コーディングパターンが好ましくは幾つかの径方向外向きに突出する突部の形で設計され、および/または、第2コーディングパターンが好ましくは、各々が突部の導入を対象とした幾つかの案内溝の形で設計されることは、逆も同様に有利である。
【0023】
突部は、好ましくは、リング要素のリング区分から径方向外向きに突出する。案内溝は、好ましくは、少なくともある区分でスリーブ部分の内壁において挿入方向に延び、リング要素の隣接した突部の間の距離は、スリーブ部分の隣接した案内溝の間の距離と適合する。
【0024】
製造が簡易で確実なコーディング機構は、第1コーディングパターンと第2コーディングパターンとが二、三、または四放射相称などの多放射相称を有するという点で提供される。言い換えると、リング要素は、180°の角度で配置された二つの好ましくは同一形状の突部、120°の介在角度で各々が配置された三つの突部、90°の介在角度で各々が配置された四つの突部などを有する。同じことが、スリーブ部分に形成される案内溝にも当てはめられる。n放射相称のコーディング機構は、各々での挿嵌動作が可能であるn個の所定の相対的な位置という利点を提供する。この場合、所与の初期の回転位置から始めて、結合を許容する所定の相対的な位置に達するために、第1および第2コーディング要素の間の比較的小さな相対回転、すなわちせいぜい360°/2nの相対回転のみが必要であり、その結果、結合動作がさらに簡易化される。
【0025】
本発明の特に好適な実施形態では、第1コーディング要素は、所定の角度で周方向に互いに間を開けた2個または3個以上の径方向に突出する突部を有するリング要素である。第2コーディング要素は、スリーブ部分の内壁に形成されてこの所定角度で周方向に互いに間を開けた2個または3個以上の案内溝を有するスリーブ部分である。
【0026】
少なくとも一つの案内溝の幅が少なくとも区分で挿入方向に減少するという、確実に機能する自己整合機構が提供される。この場合、挿入時に案内溝の広い入口区分に係合する突部は、挿嵌動作がさらに進行する間に、狭くなる溝壁によって狭い溝区分へ案内され、コーディング要素は、互いに対して正しく整合されて、プラグコネクタは挿入箇所に結合位置まで導入される。
【0027】
自己整合機構は、少なくとも一つの案内溝―好ましくはすべての案内溝―が、挿入方向に狭くなる溝幅を有する入口区分と、挿入方向に入口区分から続いて実質的に一定の溝幅を有する案内区分とを有するようにさらに改良される。案内区分では、溝幅は好ましくは関連する突部の幅と実質的に適合し、突部が案内区分に配置されると、二つのコーディング要素は、実質的に回転不能に互いに接続され、コーディングパターンと相補的なコーディングパターンとは互いに係合する。
【0028】
好ましくは、周方向での突部の幅は、0.5mmと10mmの間、特に1mmと3mmの間である。また、周方向での案内溝の案内区分の幅は、好ましくは1mmと11mmの間、特に1.5mmと4mmの間であり、突部は、わずかな程度のあそびを伴って案内区分に嵌着する。
【0029】
案内溝の入口区分の軸長は、好ましくは1mmより大きくかつ20mmより小さく、特に好ましくは3mmと10mmの間である。実質的に一定の溝幅を有する案内溝の案内区分の軸長は、好ましくは10mmより大きくかつ50mmより小さく、特に好ましくは20mmと30mmの間である。
【0030】
自己整合機構の誤作動は、n(n>1)個の案内溝がスリーブ部分に形成されることにより防止され、狭くなる入口区分の幅広の前端での案内溝は、約360%の円周角範囲をカバーするため、隣接の案内溝の溝壁は、互いに直接隣接するか、前端で互いに合流する。この場合、挿入中において、初期回転位置に関係なく、突部は、狭くなる溝壁と当接し、溝壁に沿って摺動するとともにコーディング要素の間の相対的な回転を導く。特に、案内溝は、入口区分の両側で、案内溝のそれぞれの案内区分の方向に対称状態で狭くなる。
【0031】
好ましくは、第2コーディング要素は、それぞれが周方向の方向成分と挿入方向の方向成分とを有する一つ以上の接触面を有し、プラグコネクタを挿嵌する際において、第1コーディング要素は、第1および第2コーディング要素の間の相対的な回転に付随して、接触面と接触してこれに沿って摺動する。特に、各接触面は、実質的に螺旋の状態で一回転の一部にわたって延在する。
【0032】
特に好適な実施形態では、これらの接触面は、入口区分において案内溝の側壁により形成される。
【0033】
特に好適な実施形態において、挿入箇所は、プラグソケットの形で設計される。したがって、挿入箇所は、ソケット部分に圧入するための圧入リングと、圧入リングに回転可能に装着されてプラグコネクタの方向にスリーブ形の状態で突出する第2コーディング要素とを有する。圧入リングは、圧力の印加を通してやはりスリーブ形のソケット部分へ圧入され、この目的のために好ましくは、圧入された時に摩擦ロックを向上させるナール面を備える。圧入された後で、圧入リングは、ソケット部分の固定位置に保持され、コーディング要素は、圧入リングとソケット部とから成る配置に対して回転可能に保持されている。好ましくは、ソケット部分は、第2コーディング要素がソケット部分の内部に完全に収容されることを許容する軸方向寸法を有する。
【0034】
プラグコネクタは、高電流の伝送のため、または代替的に信号の伝送のために設計される。高電流プラグコネクタの場合に、これは、好ましくは遮蔽された高電流ケーブルに接続される。プラグコネクタは、ケーブルの内部導体と接続されるか、好ましくはこれに圧着される少なくとも一つの内部導体接点と、内部導体接点を少なくとも区分で囲繞してケーブルの外部導体と一緒に押圧される外部導体とを有する。好適な実施形態において、第1コーディング要素は、外部導体の外部境界面に配置される。
【0035】
好ましくは、プラグ接続は、分離不能なプラグ接続として設計される。“分離不能な”プラグ接続は、単純な挿嵌動作による手動結合が可能であるのに対して、その後の分断はもう可能でないか、工具の補助によってのみ可能であることを意味するものと理解される。この目的のため、プラグ接続は、結合位置に達する前または達する際に解除不能に係合状態に止めるスナップロックまたは係止ロック要素を備える。コーディング機構は、間違って結合されたプラグ接続はもう容易には分断されないので、分離不能なプラグ接続の場合に特に重要である。
【0036】
この目的のため、プラグコネクタは、好ましくは一つ以上のスナップロック突部を備え、挿入箇所は、スナップロック突部の係合のための周方向のスナップロック溝を備える。スナップロック突部は、プラグコネクタを囲繞するスナップロックリングに設けられ、スナップロック溝は、挿入箇所のソケット部分の内壁に形成される。
【0037】
さらなる態様によれば、本発明は、挿入箇所に挿嵌されるように設計された本発明によるプラグ接続のプラグコネクタに関する。本発明によるプラグコネクタは、コーディングパターンが配置された第1コーディング要素を有し、コーディング要素は、挿入方向に平行に延びる回転軸の周りで回転可能となるようにプラグコネクタに保持される。本発明によるプラグコネクタは、繰り返されなくともここに記載された特徴のすべてを個別または組み合わせで呈する。
【0038】
さらなる態様によれば、本発明は、プラグコネクタの挿入のために設計された本発明によるプラグ接続の挿入箇所に関する。本発明による挿入箇所は、関連するプラグコネクタのコーディングパターンに相補的であるコーディングパターンが配置された第2コーディング要素を有し、第2コーディング要素は、挿入方向に平行に延びる回転軸の周りで回転可能となるように挿入箇所に保持される。本発明による挿入箇所も、繰り返されなくともここに記載される特徴のすべてを個別または組み合わせで呈する。
【0039】
さらなる態様によれば、本発明は、本発明によるプラグ接続のセットに関する。“セット”は、本発明による2個、3個、または4個以上のプラグ接続を意味するものと理解される。セットの第1および第2プラグ接続のコーディングパターンおよび相補的なコーディングパターンは、第1プラグ接続のプラグコネクタが第1プラグ接続の挿入箇所へ結合位置まで挿嵌されるが、第2プラグ接続の挿入箇所へは挿嵌されないように、それぞれ互いに異なっている。
【0040】
好ましくは、プラグ接続は、本発明による3個以上のプラグ接続を包含し、そのプラグコネクタはそれぞれ、ただ一つの関連する挿入箇所のみに結合位置まで挿嵌される。
【0041】
ゆえに本発明によるセットは、コーディング機構が設けられているためそれぞれ正しい状態でのみ結合されるプラグコネクタと関連する挿入箇所の幾つかのペアを含む。第1プラグ接続のプラグコネクタと第2プラグ接続の挿入箇所との間違った結合は、コーディングパターンによって防止されうる。同時に、コーディングパターンを有するコーディング要素は回転可能であるため、簡易な結合が可能であり、所定の相対的な位置に配置するために、プラグコネクタ全体または挿入箇所全体は、回転される必要がない。加えて個々のプラグ接続が自己整合機構をそれぞれ備えている場合には、プラグ接続のプラグコネクタをこのプラグ接続の挿入箇所へ挿嵌する際に第1コーディング要素と第2コーディング要素とが互いに対する所定の位置へ自動的に回転されるので、特に簡易な結合が可能である。さらに、自己整合が行われず、そのため結合位置までの挿入が可能でない場合、プラグコネクタと挿入箇所とが同じプラグ接続に属していないことは、最初の挿嵌の試みで、設置者にとってすぐに明白となる。
【0042】
本発明によるプラグ接続のセットは、例えば電気モータの三相交流電流のU相、V相、W相の伝送のための三つのプラグコネクタと、このプラグコネクタに割り当てられる三つの挿入箇所とから成る。この場合、正しい結合が特に重要である。
以下の記載では、同封の図面を参照して発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】結合前の本発明によるプラグ接続の実施形態の、部分的に断面図の形の側面図である。
図2図1に示されたプラグ接続のプラグコネクタの斜視図である。
図3図1に示されたプラグ接続の挿入箇所の斜視図である。
図4図3に示された挿入箇所の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
プラグコネクタ10と挿入箇所50とから成る本発明によるプラグ接続100は、図1に図示される。
【0045】
プラグコネクタは、図2に特に明瞭に図示される。プラグコネクタ10は、例えば50A、100A、またはそれ以上の高電流の伝送のための内部導体接点22を備える高電流プラグコネクタである。プラグコネクタ10は、遮蔽された高電流ケーブル20のケーブル端に装着される。通常はワイヤ編組体である高電流ケーブル20の遮蔽体は、プラグコネクタ10の外部導体24との電気接触を行う。プラグコネクタの内部導体接点22と外部導体24との間に、絶縁部品23が配置される。
【0046】
他の実施形態では、プラグコネクタは、外部導体接点を有しない、および/または、信号の伝送のために構成されている。プラグコネクタは、一つ以上の内部導体接点、例えば一つ以上の差動接点ペアを有してもよい。
【0047】
プラグコネクタ10は、プラグコネクタの本体11を囲繞するリング要素13の形で第1コーディング要素12を有する。この目的のために、リング要素は、プラグコネクタの本体11―この場合にはプラグコネクタの外部導体24―に形成された周溝に配置される。リング要素13は、分割プラスチックリングであり、一方では横から本体11に嵌着でき、他方では溝で容易に摺動できる。
【0048】
リング要素13は、軸線方向にプラグコネクタ10の中心に延びる回転軸Aの周りで回転可能となるようにプラグコネクタ10に配置される。
【0049】
リング要素13は、幾つかの径方向外向きに突出する突部14を有し、これによってコーディングパターンが形成される。突部は、溝から突出し、挿入箇所50への挿入時に、案内溝により形成される相補的なコーディングパターンとの係合状態となる。
【0050】
示された例において、リング要素13は、隣接の突部14に対して90°の角度で各々が突出する合計4個の突部14を有する。したがって、コーディングパターンは、四放射相称を呈する。他の実施形態では、放射相称状態でリング要素から突出する2個、3個、または4個以上の突部がリング要素に設けられる。他のコーディングパターンの他の実施形態では、突部は、放射相称状態でリング要素から突出せず、隣接の突部の間の角度すべてが等しくない。突部は、周方向に必ずしも等しい幅でもない。当業者には、多数の異なるコーディングパターンがこのようにしてリング要素13に設けられることが容易に理解される。
【0051】
図3には、挿入箇所50が特に明瞭に図示される。挿入箇所は、実質的にはソケットの形または中空円筒体の形であり、結合位置までの挿入方向Sでのプラグコネクタ10の挿入のために構成される。結合位置では、プラグコネクタ10の内部導体接点22は、挿入箇所50の係合接点(不図示)と電気接触する。
【0052】
図示された挿入箇所50は、ソケット部分53(図1参照)に圧入される圧入リング51を有する。この圧入接続の摩擦ロックを強めるため、圧入リングまたはソケット部分の区分は、区分でナール状である。スリーブ部分55は、回転軸Aの周りで圧入リング51およびソケット部分53に対してスリーブ部分55が回転するように、圧入リング51に保持される。スリーブ部分55は、プラスチックから成り、圧入リングおよびソケット部分は、金属、例えばアルミニウムで製作される。
【0053】
スリーブ部分55は、挿入箇所50に回転可能に配置されるコーディングパターンに対して相補的なコーディングパターンを有する第2コーディング要素52を形成する。この目的のため、圧入リング51とスリーブ部分55との間に回転機構が設けられる。
【0054】
図3は、斜視図において、ソケット部分53を含まない圧入リング51とスリーブ部分55とから成る配置を示している。
【0055】
他の実施形態において、挿入箇所50は、図に示される構造と異なる構造を有することができる。しかしながら、重要な特徴は、プラグコネクタ10の挿嵌時に二つのコーディング要素の係合を可能にするとともに、不適合なコーディングパターンのプラグコネクタの挿入を防止する、プラグコネクタのコーディングパターンに対して相補的なコーディングパターンを有するコーディング要素52である。
【0056】
示された実施形態において、第2コーディング要素52は挿入箇所50に回転可能に保持され、第1コーディング要素12もプラグコネクタ10に回転可能に保持される。他の実施形態では、第1コーディング要素のみか第2コーディング要素のみが回転可能でもよい。
【0057】
第2コーディング要素52に形成される相補的コーディングパターンは、図3に特に明瞭に図示される。スリーブ部分の内壁56は、挿入方向Sに延びてプラグコネクタ10の突部14の係合のためにそれぞれ構成されている幾つかの案内溝54を有する。
【0058】
案内溝54の数およびその間の距離は、突部14の数およびその間の距離に対応し、各突部14は、スリーブ部分55へのプラグコネクタ10の挿入時に案内溝54で径方向に係合できる。
【0059】
各案内溝54は二つの区分:溝の幅Bが徐々に狭くなり挿入時にプラグコネクタ10に対向する入口区分62と、案内溝の幅は実質的に一定であって関連する突部14の幅と適合し挿入方向Sに入口区分62から続く案内区分64とを有する。
【0060】
合計で4個またはn個の案内溝54が設けられる場合には、入口区分62の前端での各案内溝54の幅Bは、90°の周方向の角度範囲または360°/nの角度範囲に対応し、第1コーディング要素12と第2コーディング要素52との間の初期の相対的な位置に関係なく、突部14がそれぞれ案内溝54の一つに進入することが保証される。言い換えると、スリーブ部分の前端のすべての案内溝は、360°の角度範囲をカバーし、それぞれの案内区分64の方向で好ましくは対称的に両側で狭くなる。
【0061】
案内溝54のこの構成は、プラグコネクタが挿入箇所へ挿嵌される時に、第1コーディング要素と第2コーディング要素とが互いに相対的な所定の位置へ自動的に回転されることを保証する自己整合機構を提供する。
【0062】
これは、プラグコネクタ10が挿嵌される時に、突部14が接触面68を形成する狭い溝壁と接触することで、挿入方向Sに向いた挿入力が二つのコーディング要素12,52の間の回転力に変換されるためである。
【0063】
図2は、本発明によるプラグコネクタ10を斜視図で示す。
【0064】
プラグコネクタ10は、挿入箇所50との分離不能な接続のために構成されており、この目的のために、挿入箇所のスナップロック凹部84に係合するように設計されたスナップロック突部82を備えるリング形つめ要素80を有する。こうしてプラグコネクタ10は、工具のみにより結合位置から解除される。
【0065】
図3および4は、本発明による挿入箇所50を斜視図とともに側面図で示す。
【0066】
本発明はまた、それぞれ異なるコーディングパターンと相補的なコーディングパターンとの本発明によるプラグ接続のセットを含み、各プラグコネクタは、割り当てられた挿入箇所のみに挿嵌可能であり、間違った挿嵌接続が起こらない。
【0067】
本発明は、図面に図示された実施形態に限定されない。説明部分と請求項に提示される特徴は、異なる手法で互いに組み合わされてもよい。
図1
図2
図3
図4