特許第6571813号(P6571813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571813
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ガスタービン圧縮機のディスク組立体
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/34 20060101AFI20190826BHJP
   F04D 19/02 20060101ALI20190826BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F04D29/34 E
   F04D19/02
   F04D29/34 B
   F04D29/58 R
【請求項の数】16
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2018-17712(P2018-17712)
(22)【出願日】2018年2月2日
(65)【公開番号】特開2018-123828(P2018-123828A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2018年2月2日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0015620
(32)【優先日】2017年2月3日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507002918
【氏名又は名称】ドゥサン ヘヴィー インダストリーズ アンド コンストラクション カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ファン、キュ シク
(72)【発明者】
【氏名】イェヴドシン アンドリ
【審査官】 冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−315800(JP,A)
【文献】 米国特許第04415310(US,A)
【文献】 特開2014−005829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/34
F04D 19/02
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸に組立てられるルート部と、
前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、
前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、
前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とを含み、
前記ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の溝が形成され、前記ルート部から前記ハース部まで延びる少なくとも1つの隔壁が形成され、
前記隔壁は、前記ハース部が前記ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する接合部を含み、
前記隔壁は、前記接合部から前記ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する傾斜部をさらに含む、ガスタービン圧縮機のディスク。
【請求項2】
前記隔壁は、6個である、請求項1に記載のガスタービン圧縮機のディスク。
【請求項3】
前記隔壁は、前記ベースプレート上で円周方向に同一の間隔で離隔して形成される、請求項1または2に記載のガスタービン圧縮機のディスク。
【請求項4】
前記ハース部が前記ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記ディスクリムと前記ルート部が前記ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成される、請求項1〜のいずれか1項に記載のガスタービン圧縮機のディスク。
【請求項5】
回転軸に組立てられるルート部と、
前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、
前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、
前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とをそれぞれ含む第1ディスクと、前記第1ディスクに隣接した第2ディスクとを含み、
前記第1ディスクの第1ハース部は、これと隣接する前記第2ディスクの第2ハース部と結合され、
前記第1ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の第1溝が形成され、前記第1ディスクの第1ルート部から前記第1ハース部まで延びる少なくとも1つの第1隔壁が形成され、
前記第2ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の第2溝が形成され、前記第2ディスクの第2ルート部から前記第2ハース部まで延びる少なくとも1つの第2隔壁が形成され
前記少なくとも1つの第1隔壁は、前記第1ハース部が前記第1ディスクの第1ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する第1接合部を含み、
前記少なくとも1つの第2隔壁は、前記第2ハース部が前記第2ディスクの第2ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する第2接合部を含み、
前記第1接合部と前記第2接合部は、互いに接して前記結合された第1ハース部および第2ハース部と前記回転軸との間に形成されたディスク空間内の空気の流れを遮断し、
前記少なくとも1つの第1隔壁は、前記第1接合部から前記第1ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する第1傾斜部をさらに含み、
前記少なくとも1つの第2隔壁は、前記第2接合部から前記第2ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する第2傾斜部をさらに含む、ガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項6】
前記複数の第1溝と前記複数の第2溝は、互いに対応する位置に形成され、前記少なくとも1つの第1隔壁と前記少なくとも1つの第2隔壁は、互いに対応する位置に形成される、請求項に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項7】
前記少なくとも1つの第1隔壁および前記少なくとも1つの第2隔壁は、前記第1ベースプレートおよび前記第2ベースプレート上で円周方向に同一の間隔で離隔して形成される、請求項またはに記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項8】
前記少なくとも1つの第1隔壁および前記少なくとも1つの第2隔壁はそれぞれ、6個である、請求項のいずれか1項に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項9】
前記第1ハース部が前記第1ディスクの第1ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記第1ディスクの第1ディスクリムと前記第1ルート部が前記第1ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成され、
前記第2ハース部が前記第2ディスクの第2ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記第2ディスクの第2ディスクリムと前記第2ルート部が前記第2ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成される、請求項のいずれか1項に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項10】
回転軸に組立てられるルート部と、
前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、
前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、
前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とをそれぞれ含む第1ディスクと、前記第1ディスクに隣接した第2ディスクとを含み、
前記第1ディスクと第2ディスクとの間にはインターディスクが装着され、
前記第1ディスクおよび第2ディスクの外部の空気が前記インターディスクを貫通するように形成される複数の流路を通して前記第1ディスクの第1ルート部と前記第2ディスクの第2ルート部との間に流動する、ガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項11】
前記インターディスクの中心には、前記第1ルート部および第2ルート部の外径より直径の大きい開口が形成される、請求項10に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項12】
前記インターディスクは、
内部に前記複数の流路を有する空気流動プレートと、
前記空気流動プレートの外周に形成され、空気が流入するための流入口が形成される外部リングと、
前記空気流動プレートの内周に形成され、空気が流出するための流出口が形成される内部リングとを含む、請求項10または11に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項13】
前記外部リングは、前記第1ディスクの第1ハース部と前記第2ディスクの第2ハース部との間に結合される、請求項12に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項14】
前記複数の流路は、半径方向に対して斜めに形成される、請求項1013のいずれか1項に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項15】
前記複数の流路は、半径方向に対して40゜の角度に傾くように形成される、請求項14に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【請求項16】
前記複数の流路の間ごとに仕切部が備えられる、請求項1015のいずれか1項に記載のガスタービン圧縮機のディスク組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン圧縮機のディスク組立体に関し、より詳細には、ガスタービン圧縮機のディスク間の空間を分割する隔壁を形成して、冷却流体の経路を最適化したガスタービン圧縮機のディスク組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
広く周知されるように、一般的に、ガスタービンは、空気を圧縮するための圧縮機と、圧縮された空気を燃料と混合し点火するための燃焼器と、電力を生産するタービンブレード組立体とを含む。
【0003】
燃焼器は、華氏2,500度(摂氏1371.111度)を超える高温で作動する。通常、タービンのベーンとブレードはこのような高温に露出し、したがって、タービンのベーンとブレードはこのような高温にも耐えられる材料で作られる。また、タービンのベーンとブレードには、たびたびその寿命を延ばし、過度の温度による損傷確率を減少させるための冷却システムが含まれる。
【0004】
高温に露出するタービンセクションを冷却するための前記冷却システムの一類型として、圧縮機セクションで冷却流体を確保してタービンセクションに供給する方式がある。このような冷却方式を用いるガスタービンの圧縮機ディスクは、各ディスクのハース(hirth)部同士で結合されており、ディスクの一部に開口を形成して冷却空気の流路を形成する。
【0005】
冷却空気は、圧縮機を通して燃焼器に送られる空気の一部が、圧縮機ディスクの外周部であるディスクリムの間を通して流入してタービンセクションまで供給されることにより、タービンセクションを冷却する役割を果たす。このような冷却空気は、ディスクリムとハース部との間の第1空間に流入し、開口を通してハース部とディスク中心部との間の第2空間に流入し、圧縮機ディスクのルート部と回転軸との間に形成され、タービンセクションまで延びる流路を通してタービンセクションに伝達される。
【0006】
ところが、このような従来の方式では、圧縮機ディスクの回転によって空いた第2空間で冷却空気が速い速度で回転する。このようにディスクの間で冷却空気が回転すると、ディスク外部の空気がディスクの内部に流入することを著しく妨げる。
【0007】
また、ディスク上に開口を形成するためにディスクを加工しなければならないが、このような加工過程は、通常、ドリルを活用して行われ、開口の位置や方向によっては加工が非常に難しい問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、向かい合う2つのハース部が突き当たる位置に対応する溝が形成され、ディスク間の空間に冷却空気の回転を防止する隔壁を含むガスタービン圧縮機のディスク組立体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、ガスタービン圧縮機のディスクは、回転軸に組立てられるルート部と、前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とを含み、前記ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の溝が形成され、前記ルート部から前記ハース部まで延びる少なくとも1つの隔壁が形成される。
【0010】
また、本発明の他の側面によれば、前記隔壁は、6個であってもよい。
【0011】
また、本発明の他の側面によれば、前記隔壁は、前記ベースプレート上で円周方向に同一の間隔で離隔して形成される。
【0012】
また、本発明の他の側面によれば、前記隔壁は、前記ハース部が前記ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する接合部を含むことができる。
【0013】
また、本発明の他の側面によれば、前記隔壁は、前記接合部から前記ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する傾斜部をさらに含んでもよい。
【0014】
また、本発明の他の側面によれば、前記ハース部が前記ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記ディスクリムと前記ルート部が前記ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成される。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、ガスタービン圧縮機のディスク組立体は、回転軸に組立てられるルート部と、前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とをそれぞれ含む第1ディスクと、前記第1ディスクに隣接した第2ディスクとを含み、前記第1ディスクの第1ハース部は、これと隣接する前記第2ディスクの第2ハース部と結合され、前記第1ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の第1溝が形成され、前記第1ディスクの第1ルート部から前記第1ハース部まで延びる少なくとも1つの第1隔壁が形成され、前記第2ハース部の端部には円周方向に沿って離隔する複数の第2溝が形成され、前記第2ディスクの第2ルート部から前記第2ハース部まで延びる少なくとも1つの第2隔壁が形成される。
【0016】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1溝と第2溝は、互いに対応する位置に形成され、前記第1隔壁と第2隔壁は、互いに対応する位置に形成される。
【0017】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1隔壁は、前記第1ハース部が前記第1ディスクの第1ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する第1接合部を含み、前記第2隔壁は、前記第2ハース部が前記第2ディスクの第2ベースプレートから突出した高さと同一の高さを有する第2接合部を含み、前記第1接合部と第2接合部は、互いに接して前記結合された第1および第2ハース部と前記回転軸との間に形成されたディスク空間内の空気の流れを遮断することができる。
【0018】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1隔壁は、前記第1接合部から前記第1ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する第1傾斜部をさらに含み、前記第2隔壁は、前記第2接合部から前記第2ルート部まで延び、次第に低くなる高さを有する第2傾斜部をさらに含んでもよい。
【0019】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1隔壁および前記第2隔壁はそれぞれ、6個であってもよい。
【0020】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1隔壁および第2隔壁は、前記各第1ベースプレートおよび第2ベースプレート上で円周方向に同一の間隔で離隔して形成される。
【0021】
また、本発明の他の側面によれば、前記第1ハース部が前記第1ディスクの第1ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記第1ディスクの第1ディスクリムと前記第1ルート部が前記第1ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成され、前記第2ハース部が前記第2ディスクの第2ベースプレートから回転軸方向に突出する長さは、前記第2ディスクの第2ディスクリムと前記第2ルート部が前記第2ベースプレートから回転軸方向に突出する長さより長く形成される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、ガスタービン圧縮機のディスク組立体は、回転軸に組立てられるルート部と、前記ルート部から半径方向に延び、前記ルート部の回転軸方向の厚さより薄い厚さを有する円形のベースプレートと、前記ベースプレートの外周を形成し、回転軸方向と平行な方向に両側に延びるディスクリムと、前記ベースプレートから回転軸方向と平行な方向に両側に突出し、前記ルート部とディスクリムとの間に位置する円形のハース部とをそれぞれ含む第1ディスクと、前記第1ディスクに隣接した第2ディスクとを含み、前記第1ディスクと第2ディスクとの間にはインターディスクが装着され、前記第1ディスクおよび第2ディスクの外部の空気が前記インターディスクを貫通するように形成される複数の流路を通して前記第1ディスクの第1ルート部と前記第2ディスクの第2ルート部との間に流動する。
【0023】
また、本発明の他の側面によれば、前記インターディスクの中心には、前記第1ルート部および第2ルート部の外径より直径の大きい開口が形成される。
【0024】
また、本発明の他の側面によれば、前記インターディスクは、内部に前記複数の流路を有する空気流動プレートと、前記空気流動プレートの外周に形成され、空気が流入するための流入口が形成される外部リングと、前記空気流動プレートの内周に形成され、空気が流出するための流出口が形成される内部リングとを含むことができる。
【0025】
また、本発明の他の側面によれば、前記外部リングは、前記第1ディスクの第1ハース部と前記第2ディスクの第2ハース部との間に結合される。
【0026】
また、本発明の他の側面によれば、前記複数の流路は、半径方向に対して斜めに形成される。
【0027】
また、本発明の他の側面によれば、前記複数の流路は、半径方向に対して40゜の角度に傾くように形成される。
【0028】
また、本発明の他の側面によれば、前記複数の流路の間ごとに仕切部が備えられる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体によれば、ディスク間の空間で冷却流体が回転することを防止することにより、ディスクの外部からディスクの内部への冷却空気の流入を促進することができる。
【0030】
また、本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体によれば、ディスク内に冷却流体の疎通のための開口を別途に加工しなくても良いので、製作が容易であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ガスタービン全体の上半部を概略的に示す断面図である。
図2】ディスクに冷却流体の流動のための貫通流路が形成されていないガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。
図3】ディスクに冷却流体の流動のための貫通流路が形成されたガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。
図4】本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。
図5】本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体に含まれるディスクの一つの一面を示す斜視図である。
図6図5のF−Fに沿って切り取った本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体の断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係るインターディスクの斜視図である。
図8図7のG−Gに沿って切り取った本発明の一実施形態に係るインターディスクの断面図である。
図9図8のH−Hに沿って切り取った本発明の一実施形態に係るインターディスクを含むディスク組立体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体の実施形態を詳細に説明する。
【0033】
図1は、ガスタービン全体の上半部を概略的に示す断面図であって、ガスタービン1は、吸気セクションAと、圧縮機セクションBと、燃焼器セクションCと、タービンセクションDとに分けられる。吸気セクションAを通して流入する空気は、圧縮機セクションBのブレードおよびベーンによって圧縮されて燃焼器セクションCに供給される。供給された空気は、燃焼器セクションCで燃焼されて高温高圧状態でタービンセクションDに伝達される。これによって、タービンセクションDの回転子が回転し、連結された発電機が作動する。
【0034】
したがって、前記タービンセクションDのブレードおよびベーンは持続的に熱に露出するしかないが、持続的に露出するブレードおよびベーンは熱によって損傷する。これを防止するために、冷却流体をブレードとベーンなどに供給する過程が必要である。
【0035】
本発明に係るガスタービン1は、圧縮機で圧縮された空気の一部が圧縮機のディスク内に流れ込んで、回転軸に沿ってタービンセクションDまで移動した後、目標となるタービンのブレード30およびベーン40に伝達される方式を用いる。
【0036】
タービンのブレードとベーンに冷却流体がよく伝達されるためには、回転する圧縮機ディスクの間を円滑に流れるように構成することが重要である。これについて、図2および図3で、ディスク空間内を回転する空気の運動エネルギーを求めると、各モデルがどれだけ流入空気を遮断するかを予想することができる。
【0037】
図2は、ガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。
【0038】
ディスク10のハース部12とルート部13との間には、2つのベースプレート14が向かい合う内部にディスク空間が形成される。このようなディスク空間には、空気がディスク空間の体積だけ入っている。ハース部12までの半径P1が0.57mのディスクモデルにおいて、圧縮空気の回転速度vは約213.6m/sであり、遠心力P4は約408,223.3kg・m/sであり、運動エネルギーは約1,392,041.5Jである。
【0039】
図3も、本発明に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。ただし、このモデルの場合、ハース部12でルート部13の外周に隣接した部分を連通させる複数の開口を含み、前記開口の外部から内部に空気が流入し、ディスク空間は半径Q1が0.35mであって、図2の場合より小さく設定される。
【0040】
2つのベースプレート14が向かい合う内部にディスク空間が形成される。ディスク空間の外周に対する半径Q1は0.35mである。このようなディスク空間には、空気がディスク空間の体積だけ入っている。半径Q1が0.35mのディスクモデルにおいて、圧縮空気の回転速度vは約132m/sであり、遠心力Q4は約73,180.8kg・m/sであり、運動エネルギーは約160,264Jである。
【0041】
図2および図3のモデルを比較して、ディスクの内部に流入する空気流入経路は確保しつつディスク空間を減少させたり空気の回転量を減少させると、回転する空気の運動エネルギーが減少して空気の流入をより少なく妨げるという事実が分かった。これに基づいて、図4のモデルに着目した。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体における、ディスク空間内部の圧縮空気が回転する様子およびそのエネルギーを計算するための説明図である。
【0043】
この実施形態において、ディスク10の全体的な輪郭は、図2のモデルを基本とするが、ハース部12には複数の溝21が形成されており、ハース部12とルート部13との間には半径方向に延びる隔壁22が形成される。
【0044】
このような構成では、半径R1が0.57mであり、2つのベースプレート14の間に生成される空間は隔壁22によって6個に均等分割される。均等分割された空間内にある空気の質量R2は約0.85kgであり、空気が回転しながら動ける移動距離R3は0.56mである。この時、圧縮空気の回転速度vは213.6m/sであり、遠心力R4は質量R2に前記速度vの二乗を掛けた後、半径R1で割った値の68037.2kg・m/sであり、運動エネルギーは約38,100.8Jである。
【0045】
このように、本発明に係る実施形態によれば、空気の遠心力および運動エネルギーが著しく減少して、複数の溝21から流入する圧縮空気が円滑にディスクの内部方向に流れ込むことができる。
【0046】
図5は、本発明に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体に含まれるディスクの一つの一面を示す斜視図である。
【0047】
ディスクリム11は、ディスク10の外周を形成する。ディスクリム11の外部面15にはブレード30が装着できるが、図面では、ディスクの構造のみを説明するために装着構造が省略された。
【0048】
ルート部13は、真ん中に回転軸が挿入できるように開口を有する。ルート部13の開口は内部面16によって定義される。回転軸に装着される部分であるルート部13から前記ディスクリム11まで半径方向に面を形成して延びるベースプレート14が形成され、ディスクの基本枠が完成する。ハース部12は、ディスクリム11とルート部13との間に形成されるが、これは、隣接したディスクのハース部に結合される構造を有する。
【0049】
ルート部13とハース部12との間には複数の隔壁が形成される。隔壁は、ルート部13からハース部12の間で半径方向に延びる形状を有する。
【0050】
本発明の一実施形態に係るディスク組立体の場合に、前記複数の隔壁は、6個の隔壁22に形成され、6個の隔壁22は、互いに同一の間隔をおいて形成される。前記複数の隔壁は、本実施形態のように、6個の時、重量も大きく増えることなく、冷却流体の流動量の面で均衡かつ優れた効果を奏する。すなわち、重量を微細に増加させながらも、ディスクとディスクとの間、そして隔壁と隔壁との間で回転する空気の運動エネルギーが、前記で実験した結果のように約38,100.8Jに減少するため、ディスクの外部から内部に通過する圧縮空気の圧力損失を最小化することができる。ディスクリム11とルート部13、およびその間のハース部12は、ベースプレート14から突出した形状を有する。しかし、外周部のディスクリム11と中心部のルート部13は、ディスク間の結合部の役割を果たすハース部12よりその高さが低く形成される。したがって、ハース部12と同一の高さからルート部13側に延びていた隔壁22は、ハース部12と同一の高さを有する接合部23だけでなく、ルート部13の高さまで次第に低くなる傾斜部24を含むことが好ましい。
【0051】
具体的に、隔壁22の一端部はルート部13の傾斜面18に連結され、他端部はハース部12の内面に連結される。ところが、ルート部13の傾斜面18がルート部13の上部面17と接する地点からベースプレート14の中心線Tまでの高さが、接合部23から中心線Tまでの高さより低いので、差のある高さを結ぶ傾斜部24が必要である。ただし、接合部23は、空気回転防止のために必ず必要な構成であり、傾斜部24は、付随的な構成である。
【0052】
図6は、図5のF−Fに沿って切り取った本発明に係るガスタービン圧縮機のディスク組立体の断面図である。第1ディスク10aと第2ディスク10bとが隣接しており、各ハース部12a、12bが互いに結合されており、第1ディスク10aの第1溝21aと第2ディスク10bの第2溝21bとが接して1つの開口を形成する。圧縮空気は、点線の矢印5が描かれた方向でディスクの外部から内部に流入する。このようにディスク空間に流入した空気は、第1隔壁22aと第2隔壁22bによって回転が制限された状態で、直ちにルート部13a、13bの上部面17a、17bの間に流れ込んで、矢印5'に沿って冷却流路4を通してタービンセクションに流動する。
【0053】
中心線Tからディスクリム11aの端部までの距離S1は、中心線Tからハース部12aの端部までの距離S2よりやや短い。空気が流入可能な空間を形成するためである。
【0054】
中心線Tからルート部13aの端部までの距離S3は、中心線Tからハース部12aの端部までの距離S2よりやや短い。空気が流出可能な空間を形成するためである。
【0055】
ディスク10a、10bは、締結部50によって回転軸と組立てられ、回転軸とディスクのルート部との間には冷却流路4が形成され、タービンセクションまで延びる。
【0056】
図7は、本発明の一実施形態に係るインターディスク100の斜視図である。前記インターディスク100は、第1ディスク10aと第2ディスク10bとの間のディスク空間に装着され、圧縮空気の回転を防止する。この実施形態では、ディスク10自体の形状を変形させた図4図6の実施形態とは異なり、ディスク空間にインターディスク100を挿入して空気の回転を減少させる方式を取る。
【0057】
インターディスク100の中心には、ディスク10a、10bのルート部13a、13bの上部面17a、17bの外径より直径のより大きい開口119が形成される。これは、インターディスク100の外周面115に形成された流入口121aから内周面116に形成された流出口121bまで圧縮空気が運ばれると、直ちにディスクの中心部であるルート部13a、13b側に供給されることにより、ディスク内部の空気が圧縮機の回転に最大限に影響をより少なく受けるようにするためである。
【0058】
インターディスク100は、内部に複数の流路121を有する空気流動プレート114と、前記空気流動プレート114の内周に形成され、前記開口119を画定し、流出口121bが形成される内部リング113と、前記空気流動プレート114の外周に形成され、流入口121aが形成される外部リング112とを含む。
【0059】
図8は、図7のG−Gに沿って切り取った本発明の一実施形態に係るインターディスクの断面図である。
【0060】
第1ディスク10aの第1ハース部12aと第2ディスク10bの第2ハース部12bとの間にインターディスク100の外部リング112が結合される。この時の結合方式は、ハース部同士の一般的な結合方式と類似のスプライン結合であってもよい。
【0061】
インターディスク100の空気流動プレート114内に形成される複数の流路121は、半径方向に対して斜めに形成されることが好ましい。斜めに形成される流路121の半径方向に対する角度αは40゜であることが好ましい。これは、圧縮機の回転による空気の流動経路を考慮したものであり、角度αが40゜の時、圧力降下が最小になる。
【0062】
流路121は、インターディスク100の構造安定性の確保のために、スロット状に加工されなければならない。流路121は、複数個であることが好ましく、10個であることが好ましい。
【0063】
流路121の間には仕切部122が形成され、必然的に流路121の個数と同一の個数が形成される。
【0064】
図9は、図8のH−Hに沿って切り取った本発明の一実施形態に係るインターディスクを含むディスク組立体の断面図である。
【0065】
圧縮空気は、矢印5に沿ってディスク10a、10bの外部からインターディスク100の流路121を通して流動する。その後、ディスク10bと回転軸との間に形成された冷却流路4を通してタービンセクションDに供給される。
【0066】
ディスク10a、10bのハース部12a、12bの間にインターディスク100の外部リング112がスプライン結合される。内部リング113は内側に流出口121bが形成されており、内部リング113の内周は、両側ルート部13a、13bの上部面17a、17bが傾斜面18a、18bと接する地点より回転軸からより遠く形成される。
【0067】
流出口121bは上部面17a、17bに隣接して形成されることにより、流路121を通過した圧縮空気が直ちに冷却流路4に向かうようにする。このような構造は、圧縮空気の圧力損失を著しく減少させる。
【符号の説明】
【0068】
1:ガスタービン
4:冷却流路
11、11a、11b:ディスクリム、第1ディスクリム、第2ディスクリム
12、12a、12b:ハース部、第1ハース部、第2ハース部
13、13a、13b:ルート部、第1ルート部、第2ルート部
14、14a、14b:ベースプレート、第1ベースプレート、第2ベースプレート
15:外部面
16、16a、16b:内部面、第1内部面、第2内部面
17、17a、17b:上部面、第1上部面、第2上部面
18、18a、18b:傾斜面、第1傾斜面、第2傾斜面
21、21a、21b:溝、第1溝、第2溝
22、22a、22b:隔壁、第1隔壁、第2隔壁
23、23a、23b:接合部、第1接合部、第2接合部
24、24a、24b:傾斜部、第1傾斜部、第2傾斜部
30:ブレード
40:ベーン
50:締結部
100:インターディスク
112:外部リング
113:内部リング
114:空気流動プレート
115:外周面
116:内周面
117:上部面
118:傾斜面
119:開口
121:流路
121a:流入口
121b:流出口
122:仕切部
A:吸気セクション
B:圧縮機セクション
C:燃焼器セクション
D:タービンセクション
T:中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9