(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、発信者番号が取得できなかったり、発信者番号が共有のものであったりすると、送信者の特定が困難になるという問題があった。
【0007】
とくに、送信者がFAX共用サービスを利用している場合等には、発信者番号はサービス提供者のものとなるので、真の送信者(送信依頼者)を特定することができない。
【0008】
この発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、より確実に送信者を特定できるFAX番号取得方法、コンピュータおよびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の問題点を解決するため、この発明に係るFAX番号取得方法は、
コンピュータが、
受信したFAX画像に基づいて1つ以上の回線番号を取得する、取得ステップと、
コンピュータが、取得した回線番号それぞれの、
前記FAX画像中における位置に基づいて、回線番号のうち1つを送信側FAX番号として選択する、選択ステップと、
コンピュータが、前記送信側FAX番号に関連付けられた送信者識別情報を出力する、出力ステップと
を備え
、
前記取得ステップおよび前記選択ステップは、前記FAX画像中の複数の領域のそれぞれについて実行可能であり、
前記複数の領域は互いに順序関係を有し、
いずれかの領域について前記取得ステップが実行された後、
‐当該領域について回線番号が取得された場合には、その回線番号について前記選択ステップが実行され、
‐当該領域について回線番号が取得されなかった場合には、次の領域について前記取得ステップが実行される。
特定の態様によれば
、
前記順序関係は、領域の上下位置が上から下に向かう順に定義され、
複数の領域について上下位置が等しい場合には、当該複数の領域の左右位置が右から左に向かう順に定義される。
特定の態様によれば、
コンピュータが、前記FAX画像が定型帳票を表すか否かを判定する、帳票判定ステップをさらに備え、
‐前記FAX画像が定型帳票を表す場合には、コンピュータが前記FAX画像中の所定領域に基づいて送信側FAX番号を取得するステップと、前記出力ステップとが実行され、前記選択ステップは実行されず、
‐前記FAX画像が定型帳票を表さない場合には、前記取得ステップ、前記選択ステップおよび前記出力ステップが実行される。
特定の態様によれば、前記選択ステップにおいて、取得した回線番号のうち受信側FAX番号と一致するものは選択から除外される。
特定の態様によれば、前記選択ステップにおいて、取得した回線番号のうち最も下側にあるものが選択される。
また、この発明に係るコンピュータは、上述の方法を実行する。
また、この発明に係るプログラムは、上述の方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るFAX番号取得方法、コンピュータおよびプログラムによれば、FAX画像に基づいて回線番号を取得し、複数の回線番号がある場合にはそのうちの1つを送信側FAX番号として選択するので、より確実に送信者を特定することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
図1に、本発明に係るFAXOCR装置10を含む構成を示す。FAXOCR装置10は、本明細書に記載されるFAX番号取得方法を実行する装置である。FAXOCR装置10は、FAX通信網20を介して、図示しない他のFAX装置と通信可能に接続されている。FAX通信網20は、たとえば公知のFAX装置がG3ファクシミリ規格に従って情報の送受信を行い得る構成を有する。
【0013】
また、FAXOCR装置10は、OCR技術を用いた文字認識処理を行う機能を備える。OCR技術とは、たとえば、手書き文字を表す画像または印刷された文字を表す画像に基づき、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術を意味する。
【0014】
FAXOCR装置10は、公知のコンピュータとしての構成を有し、演算を行う演算手段11と、情報を格納する記憶手段12とを備える。演算手段11はたとえばCPU(中央処理装置)を含み、記憶手段12はたとえば半導体メモリおよびHDD(ハードディスクドライブ)を含む。記憶手段12には後述の回線番号DB13が格納されている。
【0015】
また、記憶手段12は図示しないプログラムを格納しており、演算手段11がこのプログラムを実行することにより、FAXOCR装置10は本明細書に記載される方法を実行する。すなわち、すなわち、このプログラムは、本明細書に記載される方法をコンピュータに実行させ、これによって当該コンピュータをFAXOCR装置10として機能させる。
【0016】
FAXOCR装置10は、FAX通信網20または他のFAX装置から画像を含む情報を受信するためのインタフェースとして、FAXインタフェース14を備える。FAXインタフェース14はたとえば公知のFAXボードである。FAXインタフェース14は、FAXOCR装置10がFAX通信網20または他のFAX装置へと画像を含む情報を送信するためのインタフェースを兼ねてもよい。
【0017】
とくに図示しないが、FAXOCR装置10は、オペレータ等が情報を入力するために用いる入力手段として入力装置を備える。この入力装置は、たとえばマウス、キーボード、タッチパネル等である。また、FAXOCR装置10は、使用者に対して情報を出力する出力手段として出力装置を備える。出力装置は、たとえば液晶ディスプレイ等の表示装置であるが、プリンタ等の印刷装置であってもよい。
【0018】
図2のフローチャートを用いて、実施の形態1に係るFAXOCR装置10の動作の例を説明する。
図2の処理は、FAXOCR装置10がFAX画像を受信することに応じて開始される(ステップS1)。FAX画像の受信はFAX通信網20を介して行われる。なお「FAX画像」の意味は当業者が適切に理解可能であるが、たとえば、所定のFAX規格に従い、FAX通信網20を介して受信可能な画像を表す情報を意味する。
【0019】
次に、FAXOCR装置10は、受信したFAX画像に関連して通知される発信者番号を取得する(ステップS2)。この発信者番号は、FAX画像に関連付けられ、FAX画像には含まれずに送受信されるものであり、たとえば送信側のFAX装置に関連付けられた回線番号を表す。
【0020】
次に、FAXOCR装置10は、取得した発信者番号が、回線番号DB13に定義されているか否かを判定する(ステップS3)。
【0021】
図3に、回線番号DB13の構成の例を示す。回線番号DB13は、回線番号と、その回線番号に係る送信者識別情報とを関連付ける。送信者識別情報は、送信者(たとえば送信側のFAX装置の所有者または回線契約の名義人)を識別するための情報である。
図3の例では英数字からなる記号列であるが、得意先の名称等としてもよい。なお、
図2にはとくに示さないが、FAXOCR装置10は、1つ以上の回線番号と、各回線番号に係る送信者識別情報とを関連付けて、回線番号DB13として記憶するステップを、
図2の処理よりも前に実行してもよい。
【0022】
本明細書において、「回線番号」とは、たとえば送信側のFAX装置に関連付けられた回線番号(電話回線番号)を意味するが、FAX装置に関連付けられていない電話番号その他の回線番号も包含する。
図3の回線番号DB13は、回線番号のうち、とくに送信側のFAX装置の回線番号(FAX番号)に関するものであるということができる。
【0023】
実施の形態1において、回線番号DB13は、たとえば得意先である取引先の回線番号を特定するために用いられる。すなわち、実施の形態1では、回線番号DB13に定義された回線番号は特定の得意先の回線番号を表し、その回線番号に関連付けられた送信者識別情報はその得意先を一意に識別する。
【0024】
ここで、送信者がFAX共用サービスを利用している場合等には、発信者番号はFAX共用サービス提供者のものとなるので、その発信者番号は特定の得意先を一意に表すものとはならない場合があり、そのような場合には回線番号DB13には定義されないことになる。
【0025】
ステップS3において、発信者番号が回線番号DB13に定義されていた場合には、FAXOCR装置10は回線番号DB13を参照し、ステップS2で取得した発信者番号としての回線番号に関連付けられた送信者識別情報を取得する(ステップS4)。次に、FAXOCR装置10は、その送信者識別情報を出力する(ステップS5、出力ステップ)。
【0026】
ステップS5における出力の態様は任意に設計可能である。たとえば送信者識別情報を液晶表示装置または印刷装置を介して出力してもよいし、送信者識別情報を記憶手段12に出力して記憶してもよいし、通信ネットワークを介して他のコンピュータ等に送信してもよい。
【0027】
また、送信者識別情報を他の形式に変換して出力してもよい。たとえば
図3の例のように送信者識別情報を数字または記号等で表しておき、これに得意先の名称等を関連付けて他のDB等に記憶しておけば、その関連に基づいて得意先の名称等を出力することができる。
【0028】
出力された送信者識別情報は、任意の方法で利用可能である。たとえば、FAXOCR装置10または他のコンピュータは、送信者識別情報に基づいてFAX画像の記憶場所を決定してもよい。このようにすると、FAXで送られてくる伝票を得意先ごとに振り分けて管理することができる。または、送信者識別情報を発注元情報や出荷先とし、特定のデータベースに自動的に入力してもよい。または、送信者識別情報に係る過去の取引履歴を表示してもよい。このようにすると、受注入力業務の生産性が大幅に向上する。
【0029】
ステップS3において、発信者番号が回線番号DB13に定義されていなかった場合には、FAXOCR装置10は、FAX画像が定型帳票を表すか否かを判定する(ステップS6、帳票判定ステップ)。なお、ステップS2において発信者番号を取得できなかった場合(非通知の場合等)にも、ステップS6以降の処理を実行してもよい。
【0030】
図4に定型帳票を表すFAX画像の例を示す。また、
図5に定型帳票を表さないFAX画像の例を示す(この例は非定型帳票を表す)。定型帳票とは、帳票の種類に応じて決まった位置に回線番号が表示されている帳票を意味する。定型帳票でない帳票その他の画像では、所定位置に回線番号が表示されていない場合がある。
【0031】
ステップS6の判定はどのように行われてもよいが、たとえば、所定位置に所定の図形が表示されている場合には定型帳票を表すと判定し、そうでなければ定型帳票を表さないと判定される。
図4の例では、所定の帳票番号表示領域A1の左右両端に黒い矩形が配置されており、これらの黒い矩形の間に、定型帳票の種類を表す帳票番号(この例では「100」)が表示されている。
【0032】
ステップS6において定型帳票を表すと判定された場合には、FAXOCR装置10は、FAX画像中の所定領域に基づいて送信側FAX番号を取得する(ステップS7)。この所定領域の位置は、固定であってもよいし、定型帳票の種類に応じて異なってもよい。たとえば
図4に示す帳票番号「100」に係る帳票の場合には、送信側FAX番号が送信側FAX番号領域A2に表示されているので、この領域に表示された数字等をOCR技術を用いて認識することによって送信側FAX番号を取得することができる。
【0033】
領域の位置の表現形式は任意に設計可能であるが、たとえば2次元座標系を用いて表すことができ、とくに2次元直交座標系を用いて表すことができる。より具体的には、一方の軸(たとえば横軸)をX軸とし、これと直交する他方の軸(たとえば縦軸)をY軸とした直交XY座標系としてもよい。
【0034】
なお、帳票番号と、その帳票番号に対応する送信側FAX番号領域A2の位置との関連付けは、図示しないDB等を用いて行うことができ、記憶手段12等に格納することができる。
【0035】
次に、FAXOCR装置10は回線番号DB13を参照し、送信側FAX番号としての回線番号に関連付けられた送信者識別情報を取得する(ステップS8)。次に、FAXOCR装置10は、その送信者識別情報を出力する(上述のステップS5)。
【0036】
ステップS6において定型帳票を表さないと判定された場合には、FAXOCR装置10は、ステップS1で受信したFAX画像に基づいて、1つ以上の回線番号を取得する(ステップS9、取得ステップ)。本実施形態では、ステップS9における回線番号の取得処理はFAX画像全体を対象として実行されるが、FAX画像のうち回線番号が記入され得る範囲をカバーできる程度の領域に限定して実行されてもよい。
【0037】
FAX画像に基づく回線番号の取得のための具体的な処理は適宜設計可能であるが、たとえば画像認識技術を用いて行うことができる。より具体的には、OCR技術を用いて数字列(ハイフンを含んでもよく、認識処理においてハイフンを無視してもよい。以下同様)を認識し抽出してもよい。また、認識された数字列が回線番号であるか否かを判定する処理を含んでもよい。具体的な判定基準としては、「0から開始され、ハイフンを除いて9桁以上11桁以下の数字列は回線番号である。そうでない数字列は回線番号ではない」というものを用いてもよい。
【0038】
なお、ステップS9において回線番号が1つも取得できなかった場合の処理についてはとくに図示しないが、適宜設計可能である。たとえばその時点で
図2に示す処理を終了してもよいし、所定の例外処理を実行してもよい。
【0039】
次に、FAXOCR装置10は、ステップS9で取得した回線番号それぞれの、FAX画像中における位置に基づいて、回線番号のうち1つを送信側FAX番号として選択する(ステップS10、選択ステップ)。なお、ステップS9で取得した回線番号が1つのみである場合には、その回線番号を選択する。
【0040】
回線番号の位置の表現形式は任意に設計可能であるが、たとえば上述の領域の位置と同様に、直交XY座標系を用いることができる。
【0041】
送信側FAX番号を選択するための、位置に関する基準は、任意に設計可能であるが、たとえば「最も下側にあるものを選択する」という基準としてもよい。さらに、最も下側に複数の回線番号が位置する場合(左右に並置されている場合等)には、「最も下側にあるもののうち、最も右側にあるものを選択する」という基準としてもよい。「最も下側」という比較は、たとえばY座標の値に基づいて行うことができ、「最も右側」という比較は、たとえばX座標の値に基づいて行うことができる。
【0042】
通常、FAXの送信者は、送信される用紙に自身のFAX番号を記入しておくことが多い。その場合には、FAX画像には送信側FAX番号が記載され、ステップS9およびS10によって送信側FAX番号を適切に取得できる可能性が高い。
【0043】
また、FAXの送信者が、受信側のFAX番号と自身(送信側)のFAX番号とを併記したり、自身のFAX番号と自身の電話番号とを併記したりする場合には、自身のFAX番号を右下寄りに記入しておくことが多い。このため、ステップS10のように右下のものを選択すると、送信側FAX番号を適切に取得できる可能性が高い。
【0044】
このようにして送信側FAX番号を取得した後、FAXOCR装置10は、送信側FAX番号に関連付けられた送信者識別情報を取得し(上述のステップS8)、送信側FAX番号に関連付けられた送信者識別情報を出力する(上述のステップS5)。
【0045】
ステップS6以降の分岐処理をまとめると以下のようになる。FAX画像が定型帳票を表す場合には、FAXOCR装置10は、ステップS7を実行してFAX画像中の所定領域に基づいて送信側FAX番号を取得し、ステップS8およびS5を実行して送信者識別情報を出力するが、ステップS9およびS10は実行しない。一方、FAX画像が定型帳票を表さない場合には、FAXOCR装置10は、ステップS9を実行して回線番号を取得し、ステップS10を実行してそれらのうちから送信側FAX番号を選択し、ステップS8およびS5を実行して送信者識別情報を出力する。
【0046】
このように、本発明の実施の形態1に係るFAX番号取得方法によれば、FAX画像に基づいて回線番号を取得し、そのうちから送信側FAX番号を選択するので、より確実に送信者を特定することができる。
【0047】
とくに、FAX画像そのものを用いるので、ステップS2において発信者番号が取得できなかった場合や、発信者番号が共有サービスのものであり回線番号DB13に定義がない場合でも、真の送信者を特定することが可能である。
【0048】
また、ステップS9およびS10では比較的広い範囲から送信側FAX番号を抽出できるので、定型帳票でない画像でも処理が可能である。
【0049】
一方で、定型帳票に対してはステップS7により領域を限定して送信側FAX番号を取得しており、より精度の高い取得処理が可能である。また、定型帳票に対しては画像中の広範囲をスキャンする処理(ステップS9)を実行しないので、処理を効率化することができる。
【0050】
実施の形態2.
実施の形態2は、実施の形態1において、ステップS9およびS10を領域単位で実行するよう変形したものである。以下、実施の形態1との相違を説明する。
【0051】
図6は、実施の形態2における領域の定義の例を示す。
図6(a)〜(d)はそれぞれ異なる定義の例である。領域の数および分割の態様は任意に設計可能である。
図6(a)では、FAX画像が縦方向に(たとえばY座標値に基づいて)4分割、横方向に(たとえばX座標値に基づいて)に2分割され、合計8個の領域が定義されている。
図6(b)では縦方向のみに4分割され、合計4個の領域が定義されている。
図6(c)では縦方向に2分割、横方向に2分割され、合計4個の領域が定義されている。
図6(d)では縦方向に3分割され、そのうち1つのみが横方向に2分割され、合計4個の領域が定義されている。
【0052】
図6の例では各領域は互いに重複しないが、領域の一部が互いに重複してもよい。また、
図6の例では領域はすべて矩形であるが、他の形状であってもよい。
【0053】
複数の領域は、互いに順序関係を有する。
図6ではこの順序関係を○囲み付きの数字で表す。たとえば
図6(a)では、右上の領域が最先であり、次に左上の領域、次に1段下の右側、次にその段の左側、以下同様に順序が進行し、左下の領域が最後、というように順序が定義されている。
図6のいずれの例でも、領域の順序関係は、領域の上下位置が上から下に向かう順に定義されている。また、
図6のいずれの例でも、複数の領域について上下位置が等しい場合には、当該各領域の左右位置が右から左に向かう順に定義されている。
【0054】
図7は、実施の形態2に係るFAXOCR装置の動作を説明するフローチャートの一部の例である。ステップS6〜S8は実施の形態1と同様である。ステップS6において、FAX画像が定型帳票を表さないと判定された場合には、FAXOCR装置は、実施の形態1におけるステップS9およびS10の処理を、FAX画像中の複数の領域のそれぞれについて繰り返す。
【0055】
より具体的には、まずFAXOCR装置は、最初の領域について1つ以上の回線番号を取得する(ステップS11、取得ステップ)。具体的処理は実施の形態1のステップS9と同様に実行可能であり、たとえば0から開始されハイフンを除いて9桁以上11桁以下の数字列を回線番号として取得してもよい。次に、FAXOCR装置は、その領域について回線番号が取得されたか否かを判定する(ステップS12)。
【0056】
その領域について回線番号が取得されなかった場合には、対象領域が次の領域に変更され、処理はステップS11に戻る。すなわち、FAXOCR装置は、次の領域についてステップS11を実行する。最後の領域について回線番号が取得できなかった場合の処理についてはとくに図示しないが、適宜設計可能である。たとえばその時点で
図7(および
図2)に示す処理を終了してもよいし、所定の例外処理を実行してもよい。結果として、いずれかの領域について回線番号が取得されるか、またはすべての領域についてステップS11の実行が終了するまで、ステップS11が繰り返される。
【0057】
処理中の領域について回線番号が取得された場合には、取得した回線番号それぞれの、FAX画像中における位置に基づいて、回線番号のうち1つを送信側FAX番号として選択する(ステップS13、選択ステップ)。この処理は領域を単位として実行されるので、FAX画像中の位置に代えて領域中の位置を用いても同等の処理が可能である。なお、ステップS11で取得した回線番号が1つのみである場合には、その回線番号を選択する。
【0058】
その後、処理はステップS8へと進み、結果としてステップS5の処理も実行される。なお、この場合には、次の領域についての処理は実行されない。すなわち、たとえば2番目の領域について回線番号が取得された場合には、3番目以降の領域についてはステップS11以降の処理は実行されない。
【0059】
このように、本発明の実施の形態2に係るFAX番号取得方法によっても、FAX画像に基づいて回線番号を取得し、そのうちから送信側FAX番号を選択するので、より確実に送信者を特定することができる。
【0060】
また、実施の形態2では回線番号の取得処理を領域単位で順次行うので、スキャン等の対象領域を限定することができ、処理が効率化される。
【0061】
とくに、
図6のような順序関係によれば、上から下、右から左という、一般的な慣習においてFAX番号が記入されやすい位置の順に処理を行うので、早期の段階で回線番号を取得できる可能性が高く、さらに処理を効率化することができる。
【0062】
とくに、
図6の例では、領域間では上側の領域が優先されるが、同一領域内では逆に下側に記入された回線番号が優先されるので、FAX番号の検出に特化した精度の高い処理が可能である。たとえば、送信者の電話番号とFAX番号とを横書きで上下2段に並記したような場合には、下側がFAX番号であることが多いが、そのような場合には、電話番号およびFAX番号が同一の領域に含まれる可能性が高いので、2つの回線番号を取得した後に、下側のFAX番号を適切に選択することができる。
【0063】
上述の実施の形態1および2において、以下のような変形を施すことができる。
取得ステップ(S9およびS11)および選択ステップ(ステップS10およびS13)において、位置に関わらない基準を併用してもよい。位置に関わらない基準はどのようなものを用いてもよいが、たとえば、取得した回線番号のうち特定のものについては無視する(または取得しなかったものとして扱う)という基準であってもよく、取得した回線番号のうち特定のものについては選択から除外するという基準であってもよい。具体的には、受信側FAX番号と一致するものを無視または除外してもよい。無視または除外すべき回線番号は、たとえばFAXOCR装置10の記憶手段に予め格納しておくことができる。このようにすると、FAX画像に記入されている受信側FAX番号等を誤って送信側FAX番号であると認識することを回避でき、処理の精度が高まる。
【0064】
領域間の順序関係は
図6のような例に限られず、慣習が異なる事業分野等では自由に設定可能である。たとえば下から上に向かう順序または左から右に向かう順序としてもよい。同様に、回線番号を選択する際の位置に関する基準も自由に設定可能であり、たとえば「最も上側にあるものを選択する」等としてもよい。
【0065】
ステップS2〜S4を省略してもよい。すなわち、FAX画像に関連付けて送信される発信者番号に関わらず、FAX画像から取得される回線番号のみに基づいて送信者識別情報を取得するよう構成することも可能である。
【0066】
また、ステップS6およびS7の処理を省略してもよい。すなわち、定型帳票であるか否かに関わらず、ステップS9および10(またはステップS11〜S13)の処理を実行するよう構成することも可能である。
【0067】
FAXOCR装置10の具体的なハードウェア構成は、
図1のものに限らない。たとえば複数のコンピュータを用いて構成してもよく、各ステップがそれぞれ異なるコンピュータによって実行されてもよい。
【解決手段】FAXOCR装置10は、FAX画像に基づいて1つ以上の回線番号を取得し、取得した回線番号それぞれの、FAX画像中における位置に基づいて、回線番号のうち1つを送信側FAX番号として選択し、送信側FAX番号に関連付けられた送信者識別情報を出力する。