特許第6571848号(P6571848)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6571848
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】表示装置、及びフォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   B66F9/24 Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-167106(P2018-167106)
(22)【出願日】2018年9月6日
【審査請求日】2018年9月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大塚 誠
(72)【発明者】
【氏名】椎崎 弘司
(72)【発明者】
【氏名】木綿 啓介
(72)【発明者】
【氏名】安藤 彰
【審査官】 須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−141329(JP,A)
【文献】 特開2005−298184(JP,A)
【文献】 特開2003−246597(JP,A)
【文献】 特開2006−264507(JP,A)
【文献】 特開2003−012298(JP,A)
【文献】 特開平02−282237(JP,A)
【文献】 特開平07−257695(JP,A)
【文献】 特開2003−298978(JP,A)
【文献】 特開2006−062784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォークリフトの車体の運転席を覆うキャノピーに設けられて運転者の視界の前方に配置されるスクリーンと、
前記スクリーンを前記キャノピーに固定するアームと、
前記フォークリフトのフォークの先端部に設けられて走行方向の前方を撮像する撮像装置と、
前記キャノピーに設けられて前記撮像装置で撮像した前記フォークの前方の画像を前記スクリーンの前方の虚像として該スクリーンに投影する投影装置と、
を備え、
前記アームは、
前記キャノピーのヘッドガードの前端部から下方に延び、かつ、前記フォークを支持するとともに上端部に設けられたアッパービームを前記キャノピーに近接離間させるようにチルト操作可能なマストに対して後方に間隔をあけて設けられたアーム本体と、
前記アッパービームの下方に配置され、前記アーム本体の下端部から下方に向かうに従って前方に向かって延びて前記スクリーンを支持する延出部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記延出部は、前記アーム本体の下端部から下方に向かうに従って前記前方に向かって延びる接続部と、
前記接続部の下端部から下方に向かって前記車体の走行路面に対して直交する上下方向に延びるとともに前記スクリーンの投影面が前記走行路面に直交する方向を向くように該スクリーンを前記キャノピーに固定するスクリーン固定部と、
を有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記投影装置は、前記キャノピーの前端部に、前記ヘッドガードから前記キャノピー内に下方に突出するように設けられ、かつ、前記走行方向に交差する幅方向の一方に寄った位置に設けられている請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記アームと前記投影装置を支持し、前記アーム及び前記投影装置を一体で前記ヘッドガードに固定するブラケットをさらに備える請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の表示装置と、
前記表示装置が設けられた車体と、
を有するフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置、及びこれを備えたフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、車両本体の前方に荷役対象物(以下、荷物と呼ぶ)を支持して昇降するフォークを備えており、例えば、一般的な乗用車に比べて、運転者が前方の状況を確認し難くなっている。特に、荷物を支持してフォークリフトを前方に走行させる場合には、フォークリフトの前方に死角ができ易くなり、運転者がフォークリフトから降りて前方を確認したり、運転者とは別にフォークリフトを誘導する誘導員が必要となったりする。
そこで、フォークの先端部にカメラを設け、そのカメラが撮像した撮像画像を表示装置に表示させることによって、運転者が運転席に座ったままフォークリフトの前方を確認することのできる技術が考案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−246597号公報
【特許文献2】特開2006−062784号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、前方の風景と重ね合わせて虚像を表示させるヘッドアップディスプレイというスクリーンが知られている。この技術では虚像として例えば運転者の死角となる位置の画像をスクリーンに表示し、運転者の負担を軽減することが可能となっている。
ところで運転者は遠くを見ながら運転を行うため、運転者の眼に近い位置に虚像が表示されると運転者がその虚像にピントを合わせることが困難となり、運転者の負担が増大し、運転に支障をきたす可能性がある。このためスクリーンはできるだけ運転者から前方に遠ざけて設置することが好ましい。
しかしながら、虚像を遠くに表示させるためにスクリーンを運転者から前方に遠ざけると、フォークを支持するマストにスクリーンが干渉してしまう。また、積荷の際、マストを傾けるチルト操作を行うとスクリーンがマストに干渉する可能性がさらに高まる。
【0005】
そこで本発明は、スクリーンのマストへの干渉を回避しつつ、運転者の負担を軽減できる表示装置、及びこれを備えたフォークリフトを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る表示装置は、フォークリフトの車体の運転席を覆うキャノピーに設けられて運転者の視界の前方に配置されるスクリーンと、前記スクリーンを前記キャノピーに固定するアームと、前記フォークリフトのフォークの先端部に設けられて走行方向の前方を撮像する撮像装置と、前記キャノピーに設けられて前記撮像装置で撮像した前記フォークの前方の画像を前記スクリーンの前方の虚像として該スクリーンに投影する投影装置と、を備え、前記アームは、前記キャノピーのヘッドガードの前端部から下方に延び、かつ、前記フォークを支持するとともに上端部に設けられたアッパービームを前記キャノピーに近接離間させるようにチルト操作可能なマストに対して後方に間隔をあけて設けられたアーム本体と、前記アッパービームの下方に配置され、前記アーム本体の下端部から下方に向かうに従って前方に向かって延びて前記スクリーンを支持する延出部と、を有する。
【0007】
このような構成によれば、スクリーンをキャノピーに固定するアームが、アーム本体の下端から前方かつ下方に延びる延出部を有している。そして延出部はアッパービームの下方に配置されている。このため、マストをチルト操作してアッパービームがキャノピーに近接した際に延出部がアッパービームに干渉せず、スクリーンがマストに干渉しないようにスクリーンを延出部によって支持することができつつ、スクリーンを運転者から前方に遠ざけて設置することができる。これにより虚像をスクリーンの前方の運転者からより遠い位置に映しだすことができ、積荷時であっても運転者が前方を容易に視認することが可能となる。
【0008】
また、前記延出部は、前記アーム本体の下端部から下方に向かうに従って前記前方に向かって延びる接続部と、前記接続部の下端部から下方に向かって前記車体の走行路面に対して直交する上下方向に延びるとともに前記スクリーンの投影面が前記走行路面に直交する方向を向くように該スクリーンを前記キャノピーに固定するスクリーン固定部と、を有していてもよい。
【0009】
このように投影面が走行路面に直交するようにスクリーンを配置することができるため、スクリーンの光の反射によって画像が見えにくくなることを回避できる。また投影面に塵や埃等のよごれが堆積することを回避できる。
【0010】
また、前記投影装置は、前記キャノピーの前端部に、前記ヘッドガードから前記キャノピー内に下方に突出するように設けられ、かつ、前記走行方向に交差する幅方向の一方に寄った位置に設けられていてもよい。
【0011】
このように投影装置がフォークリフトの幅方向の一方に寄った位置に設けられていることで、運転者が運転席に他方から乗り込むことで投影装置に頭が接触することを回避でき、乗車時に投影装置が運転者の邪魔になりにくい。さらに投影装置をキャノピーの前端部に設けることで投影装置とスクリーンとの距離を近くすることができ、投影装置の出力を抑えることができ、投影装置の大型化を回避できる。この結果、投影装置が運転者の邪魔になりにくくなる。
【0012】
また上記の表示装置は、前記アームと前記投影装置を支持し、前記アーム及び前記投影装置を一体で前記ヘッドガードに固定するブラケットをさらに備えていてもよい。
【0013】
このようなブラケットを設けることで、アームと投影装置の相対位置を位置決めした状態で、これらアームと投影装置とを一体でヘッドガードに固定することができる。よってスクリーンと投影装置とをそれぞれ別々にヘッドガードに設置する際に比べて、これらスクリーンと投影装置との相対位置の位置決めが容易となる。よって相対位置を正しく設定できることで、スクリーンに対してより正確に撮像した画像を投影することができ、運転者が画像を視認し易くなり、運転者の負担を軽減することができる。
【0014】
また、本発明の一態様に係るフォークリフトは、上記の表示装置と、前記表示装置が設けられた車体と、を有している。
【0015】
このようなフォークリフトによれば、上記の表示装置を備えることで、スクリーンを運転者から前方に遠ざけて設置することができる。これにより虚像をスクリーンの前方の運転者からより遠い位置に映しだすことができ、積荷時であっても運転者が前方を容易に視認することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
上記の表示装置、及びフォークリフトによれば、スクリーンのマストへの干渉を回避しつつ、スクリーンの前方に虚像を映しだし、運転者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係るフォークリフトの全体斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るフォークリフトのマストをチルトしていない状態を示す断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るフォークリフトのマストをチルトした状態を示す断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るフォークリフトの表示装置を拡大して示す斜視図であって、運転席の外側から見た斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るフォークリフトの表示装置を拡大して示す斜視図であって、運転席の内側から見た斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るフォークリフトの表示装置におけるスクリーン周りの構成部品を示す分解斜視図である
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態におけるフォークリフト1について説明する。
図1に示すように、フォークリフト1は、車体3と、車体3に設けられた運転席4と、運転席4を覆うキャノピー5と、車体3から前方に延びるフォーク6と、フォーク6を車体3に支持するマスト7と、フォークリフト1の前方の画像を表示する表示装置10とを備えている。
【0019】
車体3は走行方向となる前後方向に離れて二対の走行輪2を備えている。車体3には走行輪2を駆動するモータ、内燃機関等の動力源が搭載されている。後方の走行輪2である後輪は操舵可能となっている。
【0020】
運転席4は、走行輪2の上方に配置されている。運転席4にはシート8、ハンドル9、及び各種の操作レバー・ペダル(不図示)が設けられている。
【0021】
キャノピー5は、運転席4を上方から覆うヘッドガード11と、ヘッドガード11の前端部における幅方向の両端から下方に延びて車体3に接続される一対の前柱13と、ヘッドガード11の後端部における幅方向の両端から下方に延びて車体3に接続される一対の後柱14とを有している。ここで幅方向とはフォークリフト1の走行方向、及び上下方向に交差する車体幅方向を意味する。
前柱13は、ヘッドガード11に接続される上端部から下方に向かうにしたがって走行方向の前方に傾斜して設けられている。後柱14は、ヘッドガード11に接続される上端部から下方に向かうにしたがって走行方向の後方に傾斜して設けられている。
【0022】
フォーク6は、幅方向に離れて一対が車体3から前方に突出するように設けられている。フォーク6は荷物が積載されたパレットに差し込まれることで、荷物を下方から支持する。
【0023】
マスト7は、車体3の上下方向に延びるとともに幅方向に離れて一対設けられたマスト本体20と、一対のマスト本体20同士を上端部で接続して幅方向に延びるアッパービーム21と、を有している。アッパービーム21は、マスト本体20から走行方向の後方に突出する棒状をなしている。
【0024】
またマスト本体20の前方には、枠状をなすとともにフォーク6を支持するフィンガバーを含むバックレスト22が設けられている。フィンガバーを含むバックレスト22は積荷を後方から支持するものである。バックレスト22と各々のマスト本体20との間には一対の昇降シリンダ23が設けられている。これら昇降シリンダ23によってチェーンを介してバックレスト22とともにフォーク6がマスト7に対して昇降される。また車体3の前部とマスト本体20との間にはチルトシリンダ24が設けられている。マスト本体20が走行路面に対して直交する上下方向に延びた状態(図2参照)と、マスト本体が走行路面に対して傾斜し、アッパービーム21がキャノピー5に近接した状態(図3参照)との間で変位可能にとなるように、チルトシリンダ24によってマスト7をチルト操作可能となっている。
【0025】
次に図1から図6を参照して、表示装置10について詳述する。
表示装置10は、キャノピー5に設けられたスクリーン30と、スクリーン30をキャノピー5に固定するアーム31と、フォーク6の先端部に設けられた撮像装置32と、撮像装置32で撮像した画像をスクリーン30に投影する投影装置33と、を備えている。
【0026】
スクリーン30は、運転者の視界と重ねて虚像を表示可能であるヘッドアップディスプレイであって、運転者の視界の前方に配置されている。
撮像装置32は、一対のフォーク6の先端部に設けられてフォーク6の前方を撮像するカメラである。
投影装置33は、キャノピー5の前端部で、ヘッドガード11からキャノピー5内に突出するように設けられ、かつ、幅方向の一方(図2の紙面の奥側)に寄った位置に設けられている。ここで本実施形態では、運転者は幅方向の他方(図2の紙面の手前側)から運転席4に乗り込むことが可能となっている。また投影装置33は、撮像装置32で撮像したフォーク6の前方の画像を、スクリーン30の前方に虚像として投影する。
【0027】
また図4及び図5に示すように投影装置33は、ヘッドガード11の前端部に設けられた前枠12にブラケット60を介してキャノピー5に固定されている。ここでブラケット60は、前枠12の前面、下面、及び後面を覆うように屈曲するとともに幅方向に延びる板状をなすベース部61と、ベース部61の前面に固定されて幅方向に延びる角棒状をなすアーム支持部62とを有している。投影装置33は、ベース部61の下面における幅方向の一方に寄った位置でベース部61に固定されている。
【0028】
アーム31は、キャノピー5のヘッドガード11の前端部から下方に延びるアーム本体40と、アーム本体40の下端部に設けられた延出部41とを有している。
アーム本体40は、マスト7におけるアッパービーム21に対して走行方向の後方に間隔をあけた状態で配置され、かつ、幅方向に間隔をあけて一対が設けられている。一対のアーム本体40の各々は、キャノピー5の前柱13に沿って上下方向に延びる棒状をなしている。
【0029】
図2及び図3に示すようにアーム本体40を幅方向から見た際には、前柱13にアーム本体40が重なった状態となるようにアーム本体40が設けられている。そしてマスト7がチルト操作される前(図2)、及びチルト操作された後(図3)のいずれの状態においても、アーム本体40はアッパービーム21に干渉しないようになっている。
【0030】
また一対のアーム本体40の各々は、ブラケット60におけるアーム支持部62の幅方向を向く面にボルト等で固定されている。これにより、ブラケット60を介してアーム31と投影装置33とが一体でキャノピー5のヘッドガード11に固定されている。
【0031】
延出部41は、各々のアーム本体40の下端部から下方に延びる棒状をなす一対の接続部42と、各々の接続部42の下端部からさらに下方に延びる棒状をなすスクリーン固定部43とを有している。
接続部42はアーム本体40の下端部から下方に向かうに従って前方に向かってマスト7と干渉しない位置まで延びる。接続部42は、アッパービーム21の下方に配置されている。
【0032】
即ち、図2及び図3に示すように接続部42を幅方向から見た際、接続部42は前柱13から前方に突出するように設けられている。この結果、接続部42とアーム本体40との間は屈曲又は湾曲した形状をなしている。
【0033】
スクリーン固定部43は、接続部42の下端部から下方に向かって走行路面に対して直交する方向に延びる。即ち、走行路面が水平面である場合には、スクリーン固定部43は鉛直方向に延びていることになる。またスクリーン固定部43は、スクリーン30の投影面が走行路面に直交する方向を向くようにスクリーン30を固定して支持している。スクリーン固定部43には、図4から図6に示すようにスクリーン枠50を介してスクリーン30が固定される。
【0034】
図6に示すように、スクリーン枠50はスクリーン30の上縁を覆う板状をなす上枠部51と、上枠部51の後端部における幅方向の両端から下方に延びる角棒状をなす一対の横枠部52と、各々の横枠部52の前方に横枠部52と対向して設けられた固定部材53とを有している。上枠部51と横枠部52とは一体となっており、これらを幅方向から見た場合、L字状をなしている。
【0035】
一対の横枠部52は、スクリーン30の側縁の位置に配置されて、固定部材53との間にスクリーン30の側縁を挟み込み、ボルト等によってこれら横枠部52と固定部材53とを固定することでスクリーン30を固定している。また横枠部52の幅方向外側を向く面52aに、スクリーン固定部43の幅方向内側を向く面が対向してボルト等で固定されている。
【0036】
以上説明した本実施形態のフォークリフト1によれば、表示装置10におけるスクリーン30をキャノピー5に固定するアーム31が、アーム本体40の下端から前方かつ下方に延びる延出部41を有している。そして延出部41はアッパービーム21の下方でマスト7と干渉しない位置まで延びている。このため、図3に示すようにマスト7がチルト操作されてアッパービーム21がキャノピー5に近接した際に、延出部41がアッパービーム21に干渉せず、かつ、スクリーン30がアッパービーム21に干渉しないようにスクリーン30を延出部41によって支持することができる。
【0037】
この結果、スクリーン30を運転者から前方に遠ざけて設置することができる。これによりスクリーン30の前方の運転者からより遠い位置に、撮像装置32で撮像した画像を虚像として映しだすことができる。よって、スクリーン30のマスト7への干渉を回避しながら、積荷時であっても運転者が前方を容易に視認することが可能となり、運転者の負担を軽減できる。
【0038】
また、スクリーン30の投影面が走行路面に直交するようにスクリーン30が設けられていることで、光の反射によってスクリーン30の画像が見えにくくなることを回避できる。また投影面に塵や埃等のよごれが堆積することを回避できる。
【0039】
さらに、投影装置33がフォークリフト1の幅方向の一方に寄った位置に設けられていることで、運転者が運転席4に他方から乗り込むことで投影装置33に頭が接触することを回避でき、投影装置33が運転者の邪魔になりにくい。さらに投影装置33をキャノピー5の前端部に設けることで投影装置33とスクリーン30との距離を近くすることができ、投影装置33の出力を抑えることができ、投影装置33の大型化を回避できる。よって投影装置33が運転者の邪魔になりにくい。
【0040】
またブラケット60を用いてアーム31と投影装置33とをキャノピー5に固定することで、アーム31と投影装置33の相対位置を位置決めした状態で、これらアーム31と投影装置33とを一体でヘッドガード11に固定することができる。よってスクリーン30と投影装置33とをそれぞれ別々にヘッドガード11に設置する際に比べて、これらスクリーン30と投影装置33との相対位置の位置決めが容易となる。よってスクリーン30と投影装置33との相対位置を正しく設定できることで、スクリーン30に対してより正確に、撮像した画像を投影することができ、運転者が画像を視認し易くなり、運転者の負担をさらに軽減することができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上記実施形態では、アーム31は、アーム本体40、接続部42、及びスクリーン固定部43を有して走行方向に二回屈曲、または湾曲した形状をなしているが、これに限定されない。例えば、アーム31がスクリーン固定部43を有さず、接続部42にそのままスクリーン30を固定可能な形状であって、走行方向に一回屈曲、または湾曲した形状をなしていてもよい。即ちアーム31は、少なくとも上部では前柱13に沿って設けられ、下部が前柱13から前方に延びるような形状をなしていればよい。
【0042】
また投影装置33は、運転者の邪魔にならなければキャノピー5における幅方向の中央部に設けられてもよい。
また、アーム31と投影装置33とは、ブラケット60を介さずに、それぞれ別々にヘッドガード11に固定してもよい。
【符号の説明】
【0043】
1…フォークリフト
2…走行輪
3…車体
4…運転席
5…キャノピー
6…フォーク
7…マスト
8…シート
9…ハンドル
10…表示装置
11…ヘッドガード
12…前枠
13…前柱
14…後柱
20…マスト本体
21…アッパービーム
22…バックレスト
23…昇降シリンダ
24…チルトシリンダ
30…スクリーン
31…アーム
32…撮像装置
33…投影装置
40…アーム本体
41…延出部
42…接続部
43…スクリーン固定部
50…スクリーン枠
51…上枠部
52…横枠部
52a…幅方向外側を向く面
53…固定部材
60…ブラケット
61…ベース部
62…アーム支持部
【要約】
【課題】スクリーンのマストへの干渉を回避しつつ、運転者の負担を軽減できる表示装置、及びこれを備えたフォークリフトを提供する。
【解決手段】アーム31は、キャノピー5のヘッドガード11の前端部から下方に延び、かつ、フォークを支持するとともに上端部に設けられたアッパービーム21をキャノピー5に近接離間させるようにチルト操作可能なマスト7に対して後方に間隔をあけて設けられたアーム本体40と、アッパービーム21の下方に配置され、アーム本体40の下端部から下方に向かうに従って前方に向かって延びてスクリーン30を支持する延出部41と、を有している。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6