(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複合材で構成されるワークに向けて、前記ワークの塗装又は接着前における表面の活性化を目的とするブラスト加工用のメディアであって、前記複合材から脱落する樹脂の粉塵に対して閾値以上又は閾値を超える重量差を有するメディアとして平均粒径が106μmから150μmのセラミックス粒子を圧縮空気によって噴射するノズルを有する噴射部と、
前記ノズルと第1のホースで連結され、前記ノズルに前記圧縮空気によって前記メディアを供給する第1のタンクと、
前記ノズル及び前記第1のタンクを鉛直方向及び水平方向を含む複数の軸方向に移動させる移動機構と、
着脱機構を有する第2のホースであって、前記ワークに向けて前記メディアを噴射するために前記移動機構で前記ノズル及び前記第1のタンクを移動している間は取外される前記第2のホースで前記第1のタンクと連結され、前記第1のタンクに前記メディアを供給し、前記移動機構によって移動しない第2のタンクと、
噴射後の前記メディアを回収して前記噴射部に供給する循環システムとを備え、
前記循環システムに、
回収された前記メディアに含まれる不純物であって前記メディアよりも重量が軽い前記不純物及び粒度が小さくなったメディアを除去するサイクロン分離器と、
前記サイクロン分離器の後段に連結され、150μmよりも目が粗い第1のふるい及び106μmよりも目が細かい第2のふるいを用いて平均粒径が106μmから150μmのセラミックス粒子を選択的に抽出する振動ふるい機と、
を設けたブラスト加工装置。
前記循環システムは、前記不純物及び前記粒度が小さくなったメディアを前記サイクロン分離器及び前記振動ふるい機で除去した後の前記メディアを前記第2のタンクに供給するように構成される請求項1記載のブラスト加工装置。
着脱機構を有するホースで第1のタンクと第2のタンクを連結し、前記第1のタンクに前記第2のタンクから複合材で構成されるワークの塗装又は接着前における表面の活性化を目的とするブラスト加工用のメディアであって、前記複合材から脱落する樹脂の粉塵に対して閾値以上又は閾値を超える重量差を有するメディアとして平均粒径が106μmから150μmのセラミックス粒子を供給するステップと、
前記第1のタンクへの前記第2のタンクからの前記メディアの供給後に、前記着脱機構を有するホースを取外すステップと、
前記着脱機構を有するホースを取外した後に、前記第1のタンク及びノズルを鉛直方向及び水平方向を含む複数の軸方向に移動させながら前記ノズルに前記第1のタンクから長さが一定のホースを介して圧縮空気によって前記メディアを供給し、供給された前記メディアを前記圧縮空気によってワークに向けて噴射することにより被ブラスト加工品を製造するステップと、
噴射後の前記メディアを回収するステップと、
回収された前記メディアに含まれる不純物であって前記メディアよりも重量が軽い前記不純物及び粒度が小さくなったメディアをサイクロン分離器で除去するステップと、
前記サイクロン分離器の後段に連結された振動ふるい機であって、150μmよりも目が粗い第1のふるい及び106μmよりも目が細かい第2のふるいを有する振動ふるい機で、平均粒径が106μmから150μmのセラミックス粒子を選択的に抽出するステップと、
前記不純物及び前記粒度が小さくなったメディアを前記サイクロン分離器及び前記振動ふるい機で除去した後の前記メディアを次のブラスト加工用に保存するステップと、
を有するブラスト加工方法。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等の部品の材料として用いられるガラス繊維強化プラスチック(GFRP: Glass fiber reinforced plastics)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP: Carbon Fiber Reinforced Plastics)等の複合材を塗装又は接着する場合には、前処理として複合材表面のブラスト加工が行われる。
【0003】
特に航空機用の外板(パネル)等の部品はサイズのオーダがメートル単位であり、非常に大きい。このため、多関節アームを備えた従来のブラスト加工装置でブラスト加工を行おうとすると、極めて長い大規模なアームを準備することが必要となる。
【0004】
そこで、サイズの大きいワークや形状が複雑なワークを対象としてフレキシブルにブラスト加工を行うことができるように、ブラスト加工のメディアを噴射させるためのノズルと、ワークとの相対位置をスライド機構によって移動させるようにしたブラスト加工装置が考案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
また、複合材を対象とするブラスト加工の場合には、平均粒径が10μm以上100μm以下の微粒子をメディアとして用いることが特に好ましいとする報告もなされている(例えば特許文献2参照)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係るブラスト加工装置及びブラスト加工方法について添付図面を参照して説明する。
【0011】
(構成および機能)
図1は本発明の実施形態に係るブラスト加工装置の正面図であり、
図2は
図1に示すブラスト加工装置の加工エリアにおける上面図である。
【0012】
ブラスト加工装置1は、CFRPやGFRP等の複合材で構成されるワークWの塗装又は接着前における表面の活性化を目的とするショットブラスト加工を行う装置である。複合材のショットブラスト加工では、粒体のメディア(投射材)MをワークWに衝突させて表面を粗面化することによって、塗料や接着剤の濡れ性の向上が図られる。ブラスト加工用のメディアMとしては、セラミックス等の硬質粒子が代表的である。より具体的には、アルミナ、シリカ、炭化ケイ素、ジルコニア粒子等のセラミックス粒子をブラスト加工用のメディアMとして用いることができる。
【0013】
ブラスト加工装置1は、ブラスト噴射部2、第1のタンク3、移動機構4、第2のタンク5及び循環システム6を有する。
【0014】
ブラスト噴射部2は、ワークWに向けてメディアMを噴射するノズル7と、ノズル7をワイパーのように円弧状の軌跡に沿って揺動させるノズル揺動部8とを有する。図示された例では、2つのノズル7がブラスト噴射部2に設けられている。また、2つのノズル7を揺動させるためのリンク機構がノズル揺動部8として設けられている。但し、ノズル揺動部8を省略してもよい。
【0015】
第1のタンク3は、各ノズル7にメディアMを供給するための貯留タンクである。第1のタンク3と各ノズル7との間は、長さが一定の第1のホース9で連結することが適切である。各ノズル7は、第1のタンク3の他、圧縮空気を生成して供給するエア供給系10とエア供給ホース11によって連結される。エア供給ホース11は、典型的には、第1のホース9と接続される。このため、エア供給系10からエア供給ホース11を介して供給される圧縮空気によって、各ノズル7からメディアMを噴射することができる。尚、メディアMが第1のタンク3外に放出されないように第1のタンク3内にフィルタ12を設けることが望ましい。
【0016】
一方、第2のタンク5は、第1のタンク3にメディアMを供給するための貯留タンクである。第1のタンク3と第2のタンク5との間は、望ましくはカプラ等の着脱機構13Aを有する第2のホース13で連結される。これは、第1のタンク3と第2のタンク5との間を着脱機構13Aを有する第2のホース13で連結すれば、第2のタンク5から第1のタンク3へのメディアMの供給時以外は干渉防止のため第2のホース13を取外すことができるためである。
【0017】
移動機構4は、各ノズル7及び第1のタンク3を移動させる機能を有する。また、ワークWを設置するためのテーブル14を移動機構4によって移動できるようにしてもよい。但し、第2のタンク5は、移動機構4によって移動しない。図示された例では、移動機構4は、ブラスト噴射部2及び第1のタンク3を固定する保持部15と、保持部15をX軸、Y軸及びZ軸の3軸方向に移動させる駆動機構16とを有している。すなわち、移動機構4は、ブラスト噴射部2及び第1のタンク3を保持部15に固定して駆動機構16で水平方向及び鉛直方向に移動させるゴンドラ式の移動機構4である。
【0018】
但し、ブラスト噴射部2及び第1のタンク3を単一又は複数の所望の軸方向に移動させることが可能な構造であれば、移動機構4の構造は任意である。従って、移動機構4は、リンク機構、スライド機構、多関節アーム等の様々な構成要素を用いて構成することができる。実用的な例として、各ノズル7をワークWに対して所望の方向にチルトできるようにすることができる。
【0019】
また、第1のタンク3の容量を、第2のタンク5の容量よりも小さくすることが移動機構4の規模の簡易化の観点から望ましい。すなわち、第2のタンク5に十分な量のメディアMを貯留しておき、ブラスト加工に必要な量のメディアMを第1のタンク3に随時供給するようにすれば、第1のタンク3のサイズを小型にすることができる。その結果、保持部15及び移動機構4に要求される剛性を減らすことができる。
【0020】
循環システム6は、噴射後のメディアMを回収して第2のタンク5及びブラスト噴射部2に供給するシステムである。循環システム6は、例えば、落下したメディアMを回収するダクト17、ダクト17の出口から排出されたメディアMを第2のタンク5まで移動させる回収ホース18及び回収ホース18内においてメディアMを移動させるための空気の流れを形成する送風機19によって構成することができる。また、ダクト17には、メディアMを振い落とすための振動装置20を設けてもよい。この他、循環システム6には、図示されるようにメディアMを搬送するベルトコンベア21等の所望の装置を用いることもできる。尚、送風機19は、循環システム6に限らず、メディアMの経路上の任意の位置に必要に応じて設けることができる。
【0021】
噴射後のメディアMを再利用する場合には、特に、粒度範囲(平均粒径の範囲)を表す呼び番号が100番(#100)のアルミナを使用することがメディアMの回収率の向上に寄与する。#100のアルミナは粒度範囲が106μmから150μmのアルミナの粒子である。
【0022】
#100のアルミナは、従来、複合材のブラスト加工用のメディアとして好適であると考えられてきた粒度範囲が53μmから90μmの#180のアルミナに比べて平均粒径が大きい。従って、#100のアルミナを使用すれば、#180のアルミナを使用する場合に比べて、湿気を帯びたセラミックス粒子同士が固まり、メディアの経路において目詰まりが生じる事態を良好に防止することができる。
【0023】
例えば、第1のタンク3内に設けられるフィルタ12におけるメディアMの目詰まりを防止することができる。その他、様々な部位に設けられるフィルタにおけるメディアMの目詰まりについても防止することができる。その結果、第1のタンク3、第1のホース9、第2のタンク5及び第2のホース13を含むメディアMの経路上における構成要素の構造を簡易にすることができる。また、メディアMの経路上におけるフィルタの交換回数や各構成要素の清掃回数を減らすこともできる。これにより、メディアMの経路上における構成要素のメンテナンスも容易となる。
【0024】
加えて、#100のアルミナの重量は、#180のアルミナの重量よりも大きい。このため、#100のアルミナのダクト17外への飛散量は#180のアルミナのダクト17外への飛散量よりも少ない。つまり、#100のアルミナをメディアMとして使用すれば、#180のアルミナを使用する場合に比べて、噴射にダクト17に向かって落下するメディアMの量を増やすことができる。その結果、メディアMの回収率を向上させることができる。
【0025】
また、アルミナに限らず、粒度範囲が106μmから150μmのセラミックス粒子であれば、メディアMの経路における目詰まりを防止できると考えられる。加えて、粒度範囲が106μmから150μmのセラミックス粒子であれば、ダクト17に向かって落下させるために十分な重量が得られると考えられる。従って、粒度範囲が106μmから150μmのアルミナ又はアルミナ以外のセラミックス粒子をメディアMとして使用することが好適である。
【0026】
循環システム6には、更に、回収されたメディアMに含まれる不純物及び粒度が小さくなったメディアMの少なくとも一方を除去する不純物分離部22を設けることができる。不純物分離部22は、サイクロン分離器(粉体分離器)23及び振動ふるい機24の少なくとも一方で構成することができる。但し、不純物分離部22を、サイクロン分離器23及び振動ふるい機24の双方で構成することが、メディアMからの良好な不純物の分離能を確保する観点から好適である。
【0027】
図3は、
図1に示す不純物分離部22の詳細構成例を示す図である。
【0028】
図3に示すようにサイクロン分離器23の後段に振動ふるい機24を連結することによって不純物分離部22を構成することができる。
【0029】
サイクロン分離器23は、メディアM及び不純物等の粉体を含む空気を円筒23Aの内部に流し込んで空気の渦を形成し、遠心力を利用することによって空気中の粉体を分離する遠心分離器である。サイクロン分離器23にメディアM及び不純物等の粉体を含む空気が導かれると、ブラスト加工によって複合材から削り取られた樹脂の粉塵や細かくなったメディアM等の重量が軽い粉体については空気とともに上方に排出される。一方、遠心力によってサイクロン分離器23内の壁面に衝突したメディアM等の重量の重い粉体は、重力の作用で落下する。その結果、空気中におけるメディアM等の重量の重い粉体を選択的に回収することができる。
【0030】
サイクロン分離器23で、メディアMと樹脂の粉塵とを良好に分離するためには、メディアMの重量と、樹脂の粉塵の重量との差を大きくすることが重要である。従って、複合材から脱落する樹脂の粉塵に対して閾値以上又は閾値を超える重量差を有するメディアMをワークWに向けて噴射することが適切である。メディアMと樹脂との間における重量差を決定するための閾値は、ブラスト加工試験を行って実験的に決定することができる。
【0031】
実際にブラスト加工試験を行ったところ、CFRP等の複合材を対象としてブラスト加工を行う場合には、#100のアルミナをメディアMとして使用することが、湿気による目詰まりの防止、ダクト17外への飛散量の低減化によるメディアMの回収率の向上並びに樹脂の削り屑との良好な分離の観点から好ましいことが確認できた。これは、アルミナ以外のセラミックス粒子であっても、粒度範囲が106μmから150μmであれば、樹脂の削り屑との重量差が十分に得られることから同様であると考えられる。
【0032】
サイクロン分離器23で、樹脂の切屑等の重量が軽い不純物が除去された一定量のメディアMが回収されると、回収後のメディアMが振動ふるい機24に入れられる。
【0033】
振動ふるい機24は、振動体24Aでふるい24B、24Cを振動させることによって粒径の異なる粉体を分離する装置である。典型的な振動ふるい機24では、モータ24Dの回転がベルト24Eを介して駆動スプリング24Fに伝達されることによって振動体24Aとともにふるい24B、24Cが振動するように構成されている。
【0034】
特に、目のサイズが異なる2枚の網を備えた2段式の振動ふるい機24を用いれば、特定の粒度範囲を有するメディアMを選別することが可能となる。
【0035】
具体例として、#100のアルミナ等の粒度範囲が106μmから150μmのセラミックス粒子をメディアMとして使用する場合であれば、粒度範囲が106μmから150μmのセラミックス粒子を選択的に抽出する振動ふるい機24を不純物分離部22に設ければよい。すなわち、粒度範囲が106μmから150μmの粒子を選別できるように、150μmよりも目が粗い第1のふるい24Bの下に106μmよりも目が細かい第2のふるい24Cを配置した2段式の振動ふるい機24を用いることができる。
【0036】
このような振動ふるい機24を用いれば、メディアMの粒度範囲よりも粒度が粗い不純物を第1のふるい24Bで分離する一方、粒度が小さくなったメディアM等の、メディアMの粒度範囲よりも粒度が細かい不純物を第2のふるい24Cで分離することができる。これにより、適切な粒度範囲を有し、かつ純度の高いメディアMを取得して、ブラスト加工に再利用することが可能となる。
【0037】
(動作および作用)
次にブラスト加工装置1を用いたブラスト加工方法について説明する。
【0038】
図4は、
図1に示すブラスト加工装置1によるブラスト加工の流れの一例を示すフローチャートである。
【0039】
まずステップS1において、第2のタンク5が#100のアルミナ等のメディアMで充填される。次に、ステップS2において、第2のタンク5から第2のホース13を介して第1のタンク3にメディアMが供給される。次に、ステップS3において、第1のタンク3と第2のタンク5との間における第2のホース13が取外される。これにより、ブラスト加工の準備が完了する。このため、ブラスト加工の対象となるワークWを設置することができる。
【0040】
次に、ステップS4において、移動機構4の駆動機構16は、ブラスト噴射部2及び第1のタンク3を固定した保持部15を、ワークWのブラスト加工位置に応じて移動させる。更に、ノズル揺動部8が駆動し、2つのノズル7が左右に揺動する。一方、エア供給系10からエア供給ホース11を介して第1のホース9に圧縮空気が供給される。これにより、第1のタンク3から第1のホース9を介して揺動中の2つのノズル7に供給される。そして、揺動中の2つのノズル7からそれぞれメディアMがワークWに向けて噴射される。この結果、ワークWの表面にブラスト加工が施される。
【0041】
ワークWのブラスト加工は、ノズル揺動部8によるノズル7の揺動に限らず駆動機構16によるブラスト噴射部2の移動中においても実行することができる。すなわち、駆動機構16によって第1のタンク3及びノズル7を移動させながら第1のタンク3からノズル7にメディアMを供給し、供給されたメディアMをワークWに向けて噴射することができる。このため、航空機部品のようにサイズが大きなワークWを対象としてメディアMの噴射位置を変えながら連続的にブラスト加工を行うことができる。
【0042】
しかも、第1のタンク3と各ノズル7との間は、長さが一定の第1のホース9で連結されている。このため、第1のタンク3と各ノズル7との間におけるメディアMの経路の長さが一定となっている。従って、ブラスト噴射部2の移動中において常に同等な圧力でメディアMを噴射することができる。
【0043】
一方、第1のタンク3と第2のタンク5との間における第2のホース13については、ブラスト加工前に取外されている。すなわち、第1のタンク3と第2のタンク5との間におけるメディアMの経路は、第1のタンク3への第2のタンク5からのメディアMの供給後から第1のタンク3及びノズル7の移動前までに非接続状態とされる。従って、第1のタンク3が移動しても第2のホース13の干渉は回避される。
【0044】
ノズル7の揺動及びブラスト噴射部2の移動によって、ワークWの全ての噴射位置に対してメディアMを必要な回数だけ噴射すると、ブラスト加工後における複合材として被ブラスト加工品を製造することができる。このため、ブラスト加工後の被ブラスト加工品はブラスト加工装置1から取出される。
【0045】
次に、ステップS5において、循環システム6により噴射後のメディアMが回収される。
図1に示す構成を有するブラスト加工装置1の場合であれば、振動装置20がダクト17を振動させる。これにより、ダクト17上に落下したメディアMがダクト17の出口から回収ホース18に排出される。一方、送風機19が回転し、回収ホース18内のメディアMが移動する。
【0046】
次に、ステップS6において、不純物分離部22により、回収されたメディアMに含まれる不純物及び粒度が小さくなったメディアMが除去される。不純物等の除去には、サイクロン分離器23及び振動ふるい機24を用いることができる。
【0047】
サイクロン分離器23では、重量の軽い樹脂の切屑や細かくなったメディアM等の不純物をメディアMから分離することができる。一方、振動ふるい機24では、適切な粒度範囲を有するメディアMを選別することができる。特に、#100のアルミナ又は#100のアルミナと粒度範囲が同等なセラミックス粒子をメディアMとして使用すれば、樹脂の切屑等の不純物との重量差及び不純物との体積差が十分に得られるため、メディアMから不純物を容易に分離することができる。
【0048】
次に、ステップS7において、不純物及び粒度が小さくなったメディアMの除去後におけるメディアMが第2のタンク5に供給される。これにより、回収されたメディアMが次のブラスト加工用に保存される。
【0049】
但し、メディアMの回収率によっては、第2のタンク5に充填されるメディアMの量が不足する場合がある。その場合には、ステップS8において、メディアMの不足分が第2のタンク5に補充される。第2のタンク5に十分な量のメディアMが充填されると、ステップS9において、第1のタンク3と第2のタンク5との間が第2のホース13で連結される。これにより、メディアMの再利用によるブラスト加工の再開が可能となる。
【0050】
つまり以上のようなブラスト加工装置1及びブラスト加工方法は、CFRP等の複合材のブラスト加工用のメディアMとして#100のアルミナ等の樹脂の粉塵に対する重量差が十分にあるメディアMを使用し、噴射後のメディアMから不純物等を除去して再利用できるようにしたものである。
【0051】
(効果)
このため、ブラスト加工装置1及び上述したブラスト加工方法によれば、ブラスト加工における噴射後のメディアMの回収率を向上させることができる。その結果、回収したメディアMの再利用が可能である。従って、メディアMの消耗を軽減させ、被ブラスト加工品の製造コストを低減させることができる。
【0052】
しかも、樹脂の粉塵に対する重量差が十分にあるメディアMが使用されるため、メディアMに混入する樹脂の粉塵をサイクロン分離器23等で容易に分離することができる。更に、振動ふるい機24等の併用によって粒度範囲が適切なメディアMを選別することができる。このため、不純物が少ないメディアMを再利用してブラスト加工を実行することができる。その結果、メディアMを再利用しつつブラスト加工の性能を維持することができる。特に、分裂して細かくなったメディアMの使用を回避することにより、ブラスト加工の性能の低下を防止することができる。換言すれば、サイズが適切でないメディアMや樹脂の切屑等の不純物を効果的に除去することによって噴射後のメディアMを再利用することが可能となる。
【0053】
以上、特定の実施形態について記載したが、記載された実施形態は一例に過ぎず、発明の範囲を限定するものではない。ここに記載された新規な方法及び装置は、様々な他の様式で具現化することができる。また、ここに記載された方法及び装置の様式において、発明の要旨から逸脱しない範囲で、種々の省略、置換及び変更を行うことができる。添付された請求の範囲及びその均等物は、発明の範囲及び要旨に包含されているものとして、そのような種々の様式及び変形例を含んでいる。