(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(漏液補修材)
本発明の漏液補修材は、硬化性組成物である。
前記漏液補修材は、硬化後の吸液率が、10%未満である。即ち、前記漏液補修材は、硬化物の吸液率が、10%未満である。
【0014】
前記漏液補修材が漏れを防止する対象の液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、水であってもよいし、油であってもよい。
【0015】
前記漏液補修材は、硬化性組成物であることから、補修箇所への塗布が簡単であり、簡便に漏液を阻止できる。
また、前記漏液補修材は、硬化後の吸液率が10%未満であることから、硬化後の吸液が非常に少なく、高い漏液シール性を有する。その結果、前記漏液補修材は、高い信頼性で漏液を阻止できる。
【0016】
前記硬化後の吸液率としては、10%未満であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、0%超%10%未満であってもよいし、0.5%以上5.0%以下であってもよい。
【0017】
前記硬化後の吸液率は、例えば、以下の方法で求めることができる。
シリコーン樹脂で作製した10mm×10mm×深さ5mmの型に漏液補修材を充填し、50μm厚の離型PETで表面をカバーした状態で硬化性組成物を硬化させ硬化物を作製する。型から取り出した硬化物の重量を測定し吸液前重量とする。
硬化物をガラス瓶に入れる。更に、ガラス瓶に、硬化物全体が十分に浸る量の液を入れる。そして、室温(25℃)で24時間放置した後に、液を吸った硬化物の重量を測定し吸液後重量とする。液として、例えば、JXTGエネルギー社製高圧絶縁油A(JIS C2320の 絶縁油A 種類 1種)を使用する。
そして、以下の式を用いて、吸液率を求める。
吸液率(%)=100×(吸液後重量−吸液前重量)/(吸液前重量)
なお、硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物の場合は、メタルハライドランプを用いて365nmにおける積算光量が3J/cm
2になるように照射することで活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる。
【0018】
前記漏液補修材は、取り扱いやすさの点から、糸引き性を有さないことが好ましい。ここで、「糸引き性を有さない」ことは、ステンレス製のスパチュラに前記漏液補修材の表面を0.5秒間触れさせた後、スパチュラから前記漏液補修材を離した際に、前記漏液補修材が糸を引くかどうか、すなわち、前記スパチュラと前記漏液補修材とが物理的につながっていないかどうかより確認できる。
【0019】
前記漏液補修材の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1Pa・s以上100,000Pa・s以下が好ましい。
前記粘度は、例えば、レオメーターを用いて測定することができる。具体的には、TA Instrument社製AR−G2を用いて粘度測定を行う。直径20mm、角度2°のコーンプレートを用い、温度25℃の環境下で、せん断速度0.1s
−1で測定を行う。
【0020】
前記漏液補修材は、せん断接着力が、0.15MPa以上であることが好ましい。そうすることで、接着性に優れた漏液補修材となる。前記せん断接着力の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記せん断接着力は、2.00MPa以下などが挙げられる。
前記せん断接着力は、例えば、以下の方法で測定できる。
SUS304の板の上に、シリコーン樹脂で作製した内径6mmφ、2mm厚の円形の型を置き、その内側に、漏液補修材を充填した後、漏液補修材を硬化させ、その後、シリコーン樹脂の型を除去し、試験片(SUS304の板に付着した漏液補修材の硬化物;直径6mm、2mm厚)を作製する。
そして、Nordson Dage社製 万能ボンドテスター4000plusを用いて、テストスピード0.2mm/s、降下スピード0.2mm/s、テスト高さ10.0μmでテストを行い、せん断接着力を測定する。
なお、硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物の場合は、メタルハライドランプを用いて365nmにおける積算光量が3J/cm
2になるように照射することで活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させる。
【0021】
前記漏液補修材は、硬化させた際に貯蔵弾性率G’が0.07MPaに到達するまでの時間が0.50分以内であることが好ましい。そうすることで、速硬化性に優れた漏液補修材となる。
貯蔵弾性率G’が0.07MPaに到達するまでの時間は、例えば、以下の方法で測定できる。
硬化速度測定は、Thermo Fisher Scientific社製HAKKE MARSレオメータを用いて行う。直径(φ)8mmパラレルプレートを用い、せん断速度0.1s
−1、UVLED照度50mW/cm
2(365nm)で測定を行う。UV照射は、前期アイドリング1分、照射1分、後期アイドリング1分で行う。硬化時間は、前期アイドリング1分経過時を0分として、G’(貯蔵弾性率)が0.07MPa(E’換算で0.2MPa以上)に到達する時間(分)で評価を行う。
なお、G’はせん断応力下における貯蔵弾性率を表し、E’は単軸応力(引張/圧縮)下における貯蔵弾性率を表す。そして、G’とE’とには、E’=3G’の関係がある。
【0022】
<フィラー>
前記漏液補修材は、フィラーを含有することが好ましい。
前記漏液補修材が前記フィラーを含有することで、前記漏液補修材の硬化後の吸液率を小さくすることができる。
【0023】
前記フィラーとしては、例えば、無機フィラー、有機フィラーが挙げられるが、無機フィラーが、耐候性の点から好ましい。
【0024】
<<有機フィラー>>
前記有機フィラーとしては、例えば、ポリウレタン樹脂粒子、ポリイミド樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、エポキシ樹脂粒子などが挙げられる。
前記有機フィラーには表面処理が施されていてもよい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
<<無機フィラー>>
前記無機フィラーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記無機フィラーの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリカ(酸化ケイ素)、マイカ(雲母)、タルク(滑石)、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄などが挙げられる。これらの中でも、被補修物への接着性に優れる点で、シリカ、マイカ、タルクが好ましく、マイカがより好ましい。
前記無機フィラーには表面処理が施されていてもよい。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0026】
前記フィラーの平均粒子径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1μm以上100μm以下が好ましい。
前記平均粒子径は、例えば、レーザー回折法によるD50として求めることができる。
【0027】
前記漏液補修材における前記フィラーの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、被補修物への接着性に優れる点で、20質量%以上95質量%以下が好ましく、30質量%以上93質量%以下がより好ましく、40質量%以上93質量%以下が特に好ましい。
【0028】
<その他の成分>
本発明の機能を妨げない限り、他の成分を含んでもよい。前記他の成分としては、例えば、表面調整剤、分散剤、色素などが挙げられる。
【0029】
<硬化性組成物>
前記硬化性組成物としては、熱硬化性組成物であってもよいし、活性エネルギー線硬化性組成物であってもよいし、熱及び活性エネルギー線硬化性組成物であってもよいが、活性エネルギー線硬化性組成物であることが、硬化が早く、補修の簡便性がより優れる点から好ましい。
【0030】
前記硬化性組成物は、下記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリレートと、多官能(メタ)アクリレートと、ラジカル開始剤とを含有することが好ましい。
ここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0031】
<<一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリレート>>
【化2】
ただし、前記一般式(1)中、R
1は、水素原子又はメチル基を表す。R
2は、炭素数4以上の有機基を表す。
R
2における前記有機基は、直鎖状であってもよいし、分岐鎖状であってもよいし、環構造を有していてもよい。
前記有機基の炭素数としては、4以上が好ましく、8以上がより好ましく、10以上が特に好ましい。前記有機基の炭素数の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記有機基の炭素数は、例えば、30以下であってもよいし、20以下であってもよい。
前記有機基は、ヘテロ原子を有していてもよいし、ヘテロ原子を有していなくてもよい。前記ヘテロ原子としては、炭素原子及び水素原子以外の原子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、酸素原子、窒素原子などが挙げられる。
前記有機基は、水酸基を有していてもよいし、水酸基を有していなくてもよい。
前記有機基は、炭化水素基であることが好ましい。
【0032】
前記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、脂肪族単官能(メタ)アクリレート、脂環族単官能(メタ)アクリレート、芳香族単官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0033】
前記脂肪族単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記脂環族単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記漏液補修材である前記硬化性組成物における前記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上65質量%以下がより好ましく、20質量%以上50質量%以下が特に好ましい。
また、前記漏液補修材である前記硬化性組成物における前記一般式(1)で表される単官能(メタ)アクリレートの含有量としては、前記硬化性組成物の全(メタ)アクリレートに対して、40質量%以上99質量%以下が好ましく、50質量%以上99質量%以下がより好ましく、80質量%以上98質量%以下が特に好ましい。
【0036】
<<<多官能(メタ)アクリレート>>>
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、2官能以上の(メタ)アクリレートであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2官能(メタ)アクリレート、3官能(メタ)アクリレート、4官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記多官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、鎖状脂肪族炭化水素基を有する多官能(メタ)アクリレート、脂環基を有する多官能(メタ)アクリレート、芳香族基を有する多官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0038】
前記2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ウレタンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記3官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパンなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記4官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記5官能以上の(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記漏液補修材である前記硬化性組成物における前記多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0質量%超30質量%以下が好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
また、前記漏液補修材である前記硬化性組成物における前記多官能(メタ)アクリレートの含有量としては、前記硬化性組成物の全(メタ)アクリレートに対して、0.5質量%以上60質量%以下が好ましく、1質量%以上50質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
【0043】
<<<ラジカル開始剤>>>
前記ラジカル開始剤としては、例えば、熱ラジカル開始剤、光ラジカル開始剤などが挙げられる。
前記光ラジカル開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、ジアルコキシアセトフェノン類、ヒドロキシアルキルアセトフェノン類、アミノアルキルフェノン類およびアシルホスフィンオキシド類などが挙げられる。具体的には、例えば、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンジル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ジメトキシアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メトキシチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−2−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン、ジフェニルアシルフェニルホスフィンオキシド、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、およびビス(2,4,6−トリメチル−ベンゾイル)フェニルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記漏液補修材である前記硬化性組成物における前記ラジカル開始剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硬化性組成物の全(メタ)アクリレートに対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.5質量%以上4質量%以下がより好ましく、1質量%以上3質量%以下が特に好ましい。
【0045】
前記硬化性組成物を硬化させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記硬化性組成物が、活性エネルギー線硬化性組成物であり、前記活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射させ硬化させる方法が好ましい。前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
【0046】
(漏液補修方法)
本発明の漏液補修方法の一態様は、硬化工程を少なくとも含み、更に必要に応じて、その他の工程を含む。
【0047】
<硬化工程>
前記硬化工程としては、活性エネルギー線硬化性組成物である本発明の前記漏液補修材を、配管の漏液部分に塗布し、前記漏液補修材に活性エネルギー線を照射して、前記漏液補修材を硬化させる工程であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0048】
前記配管としては、液を送る配管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジエータと、変圧器との間で絶縁油を送る配管などが挙げられる。
前記配管の材質としては、金属製であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配管としては、例えば、ステンレス製の配管などが挙げられる。
前記配管の大きさ、長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記配管の表面には、本発明の機能を損なわない限り、防食塗装等が施されていても良い。
【0049】
前記配管の漏液部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配管に生じた穴(例えば、ピンホール、線状の貫通穴)、前記配管の継ぎ手部分(例えば、フランジ部)などが挙げられる。
【0050】
前記漏液補修材を前記漏液部分に塗布する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布、スプレー塗布などが挙げられる。
【0051】
前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
【0052】
前記漏液補修材への前記活性エネルギー線の照射量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0053】
(配管)
本発明の配管は、漏液部分を有する配管であって、前記漏液部分に本発明の前記漏液補修材の硬化物を有する。
【0054】
前記配管としては、液を送る配管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジエータと、変圧器との間で絶縁油を送る配管などが挙げられる。
前記配管の材質としては、金属製であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配管としては、例えば、ステンレス製の配管などが挙げられる。
前記配管の大きさ、長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記配管の表面には、本発明の機能を損なわない限り、防食塗装等が施されていても良い。
【0055】
前記配管の漏液部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配管に生じた穴(例えば、ピンホール、線状の貫通穴)、前記配管の継ぎ手部分(例えば、フランジ部)などが挙げられる。
【0056】
前記漏液補修材の硬化方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、本発明の前記漏液補修方法における硬化工程などが挙げられる。
【0057】
(漏液補修方法)
本発明の漏液補修方法では、配管の漏液部分の少なくとも一部が露出した露出部分の周囲に液溜め部を形成する。その後、液溜め部を覆うように硬化性組成物を配し、その硬化性組成物を硬化させる。
液溜め部を形成せずに配管を硬化組成物で補修しようとして、漏液部分の全てを硬化組成物で一度に覆い、硬化組成物を硬化させようとすると、配管内の圧力により配管内の液が硬化組成物を押して、硬化組成物に液が浸透して硬化性が不安定になったり、補修部分がいびつな形状になる。その結果、補修の信頼性が低下する。
本発明の漏液補修方法では、上記のとおり、配管の漏液部分の少なくとも一部が露出した露出部分の周囲に液溜め部を形成する。そのため、補修の間、配管内の液は、露出部分から漏れ出すことができ、配管内の圧力は高くならず、配管内の液が漏液部分を覆う硬化性組成物を押す力も小さくなる。そのため、硬化組成物に液が浸透して硬化性が不安定になったり、補修部分がいびつな形状になることを避けることができる。加えて、本発明の漏液補修方法では、液溜め部に硬化性組成物を充填して液溜め部を埋めるのではなく、液溜め部を覆うように硬化性組成物を配し、その硬化性組成物を硬化させる。そのため、液溜め部に液が溜まっていても、液溜め部を覆う硬化性組成物には、硬化性組成物が浸透しにくく、その硬化性組成物の硬化性は不安定になりにくい。そのため、本発明の漏液補修方法では、補修の信頼性が保たれる。
本発明の漏液補修方法は、以下の通りである。
【0058】
<第1の態様>
本発明の漏液補修方法の一の態様(第1の態様)は、
配管の漏液部分の周囲に硬化性組成物である第1の漏液補修材を配し、前記第1の漏液補修材を硬化させることで液溜め部を形成し、
前記液溜め部を覆うように、さらに硬化性組成物である第2の漏液補修材を配し、前記第2の漏液補修材を硬化させる
工程を含む。
前記漏液補修方法では、特殊な装置等を要さないため、簡便に漏液を防止できる。
また、前記漏液補修方法では、硬化性組成物に漏液部分から漏れ出た液が接しにくいため、硬化性組成物に前記液が浸透しにくく、硬化性組成物の硬化性が安定し、高い信頼性で漏液を防止できる。
そのため、前記漏液補修方法を用いると、液を流通させる配管から液が漏れ出た際に、簡便にかつ高い信頼性で漏液を阻止できる。
【0059】
<第2の態様>
本発明の漏液補修方法の他の態様(第2の態様)は、
配管の漏液部分の一部に硬化性組成物である第1の漏液補修材を配し、前記第1の漏液補修材を硬化させることで前記漏液部分における露出部分を縮小させ、
縮小した前記露出部分の周囲に硬化性組成物である第2の漏液補修材を配し、前記第2の漏液補修材を硬化させることで液溜め部を形成し、
前記液溜め部を覆うように、さらに硬化性組成物である第3の漏液補修材を配し、前記第3の漏液補修材を硬化させる
工程を含む。
前記漏液補修方法では、特殊な装置等を要さないため、簡便に漏液を防止できる。
また、前記漏液補修方法では、硬化性組成物に配管内の液が浸透しにくいために、硬化性組成物の硬化性が安定し、高い信頼性で漏液を防止できる。
そのため、前記漏液補修方法を用いると、液を流通させる配管から液が漏れ出た際に、簡便にかつ高い信頼性で漏液を阻止できる。
また、前記漏液補修方法では、漏液部分が広い場合に、その一部を予め封じてから液溜め部を形成することから、大きな液溜め部を作成する必要がなくなる。そのため、簡便性が更に高くなる。
【0060】
<第3の態様>
本発明の漏液補修方法の他の態様(第3の態様)は、
硬化性組成物である第1の漏液補修材の硬化物を、配管の漏液部分の一部に配すとともに、前記漏液部分の前記一部以外の残部である露出部分の周囲にも配することで液溜め部を形成し、
前記液溜め部を覆うように、さらに硬化性組成物である第2の漏液補修材を配し、前記第2の漏液補修材を硬化させる
工程を含む。
前記漏液補修方法では、特殊な装置等を要さないため、簡便に漏液を防止できる。
また、前記漏液補修方法では、硬化性組成物に配管内の液が浸透しにくいために、硬化性組成物の硬化性が安定し、高い信頼性で漏液を防止できる。
そのため、前記漏液補修方法を用いると、液を流通させる配管から液が漏れ出た際に、簡便にかつ高い信頼性で漏液を阻止できる。
また、前記漏液補修方法では、漏液部分が広い場合に、その一部を予め封じてから液溜め部を形成することから、大きな液溜め部を作成する必要がなくなる。そのため、簡便性が更に高くなる。
【0061】
前記第1の態様、及び前記第3の態様において、前記第1の漏液補修材と、前記第2の漏液補修材とは、同じ漏液補修材であってもよいし、異なる漏液補修材であってもよいが、同じ漏液補修材であることが、簡便性がより高まる点で好ましい。
前記第2の態様において、前記第1の漏液補修材と、前記第2の漏液補修材と、前記第3の漏液補修材とは、同じ漏液補修材であってもよいし、異なる漏液補修材であってもよいが、同じ漏液補修材であることが、簡便性がより高まる点で好ましい。
【0062】
前記第1の漏液補修材は、本発明の前記漏液補修材であることが好ましい。
前記第2の漏液補修材は、本発明の前記漏液補修材であることが好ましい。
前記第3の漏液補修材は、本発明の前記漏液補修材であることが好ましい。
【0063】
前記第1の漏液補修材は活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
前記第2の漏液補修材は活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
前記第3の漏液補修材は活性エネルギー線硬化性組成物であることが好ましい。
前記第1の漏液補修材が活性エネルギー線硬化性組成物である場合、前記漏液補修方法においては、前記第1の漏液補修材を、活性エネルギー線の照射により硬化させる。
前記第2の漏液補修材が活性エネルギー線硬化性組成物である場合、前記漏液補修方法においては、前記第2の漏液補修材を、活性エネルギー線の照射により硬化させる。
前記第3の漏液補修材が活性エネルギー線硬化性組成物である場合、前記漏液補修方法においては、前記第3の漏液補修材を、活性エネルギー線の照射により硬化させる。
前記活性エネルギー線としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、電子線、紫外線、赤外線、レーザー光線、可視光線、電離放射線(X線、α線、β線、γ線等)、マイクロ波、高周波などが挙げられる。
【0064】
前記配管としては、液を送る配管であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジエータと、変圧器との間で絶縁油を送る配管などが挙げられる。
前記配管の材質としては、金属製であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記配管としては、例えば、ステンレス製の配管などが挙げられる。
前記配管の大きさ、長さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
なお、前記配管の表面には、本発明の機能を損なわない限り、防食塗装等が施されていても良い。
【0065】
前記配管の漏液部分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記配管に生じた穴(例えば、ピンホール、線状の貫通穴)、前記配管の継ぎ手部分(例えば、フランジ部)などが挙げられる。
【0066】
前記第1の態様において、前記第1の漏液補修材を前記漏液部分の周囲に配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。
前記第1の態様において、前記第2の漏液補修材を前記液溜め部を覆うように配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。また、前記第2の漏液補修材を塗布したフィルムを、前記第2の漏液補修材が前記第1の漏液補修材の硬化物に接するように、前記液溜め部上に配することで、前記第2の漏液補修材により前記液溜め部を覆ってもよい。
【0067】
前記第2の態様において、前記第1の漏液補修材を前記配管の前記漏液部分の一部に配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。
前記第2の態様において、前記第2の漏液補修材を縮小した前記露出部分の周囲に配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。
前記第2の態様において、前記第3の漏液補修材を前記液溜め部を覆うように配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。また、前記第3の漏液補修材を塗布したフィルムを、前記第3の漏液補修材が前記第2の漏液補修材の硬化物に接するように、前記液溜め部上に配することで、前記第3の漏液補修材により前記液溜め部を覆ってもよい。
【0068】
前記第3の態様において、前記第1の漏液補修材の硬化物を、前記配管の前記漏液部分の一部に配すとともに、前記漏液部分の前記一部以外の残部である露出部分の周囲にも配する方法としては、例えば、以下のようにして行う。
前記第1の漏液補修材が塗布されたフィルムを用意する。前記フィルム上には前記第1の漏液補修材が塗布されているが、前記フィルム上には、前記第1の漏液補修材に周囲を覆われつつ、前記第1の漏液補修材が塗布されていない未塗布箇所がある。
次に、前記第1の漏液補修材が配管の漏液部分の一部に接し、前記未塗布箇所が前記露出部分を覆うように、前記フィルムを、前記配管に貼る。
次に、前記第1の漏液補修材を硬化させる。
前記第3の態様において、前記第2の漏液補修材を前記液溜め部を覆うように配する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、刷毛塗り、ヘラ塗り、ローラー塗布などが挙げられる。また、前記第2の漏液補修材を塗布したフィルムを、前記第2の漏液補修材が前記第1の漏液補修材の硬化物に接するように、前記液溜め部上に配することで、前記第2の漏液補修材により前記液溜め部を覆ってもよい。
【0069】
ここで、前記漏液補修方法(第1の態様)の一例を、
図1A〜
図1Fを用いて説明する。
図1Aは、漏液部分1a(ピンホール)が生じた配管1の断面模式図である。漏液部分1aからは、配管1中の液2が漏れ出ている。
まず、配管1の漏液部分1aの周囲に、活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3を、漏液部分1aから漏れ出た液2に触れないようにヘラ塗りにより塗布する(
図1B)。
次に、第1の漏液補修材3に活性エネルギー線を照射し硬化させ、第1の漏液補修材の硬化物13を得る(
図1C)。そうすることにより、漏液部分1aの周囲に、第1の漏液補修材の硬化物13で囲まれた液溜め部4が形成される。
次に、活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材5が塗布された基材フィルム6を、第2の漏液補修材5が第1の漏液補修材の硬化物13に接しつつ、第2の漏液補修材5が漏液部分1aから漏れ出た液2に接しないように、液溜め部4上に配することで、第2の漏液補修材5により液溜め部4を覆う(
図1D)。
次に、基材フィルム6を介して第2の漏液補修材5に活性エネルギー線を照射することで、第2の漏液補修材5を硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物15を得る(
図1E)。そうすることで、漏液部分1aを漏液補修材の硬化物で覆うことができる。
次に、必要により、基材フィルム6を剥離する(
図1F)。
【0070】
次に、前記漏液補修方法(第2の態様)の一例を、
図2A〜
図2Cを用いて説明する。
図2Aは、漏液部分1a(裂け目などの線状の貫通孔)が生じた配管1の上面模式図である。
まず、漏液部分1aから漏れ出ている液をウエスなどにより拭き取る。
その後すぐに、配管1の漏液部分1aの上部の一部を覆うように、活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3を、ヘラ塗りにより塗布する(
図2B)。そして、活性エネルギー線を照射して第1の漏液補修材3を硬化させる。
そうすることにおり、第1の漏液補修材の硬化物13により漏液部分1aにおける露出部分を縮小させる(
図2C)。
その後は、前述の
図1C〜
図1Fと同様にして、以下の工程を行う。
次に、縮小した露出部分の周囲に、活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材を、縮小した露出部分から漏れ出た液に触れないようにヘラ塗りにより塗布する。
次に、第2の漏液補修材に活性エネルギー線を照射し硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物を得る。そうすることにより、縮小された露出部分の周囲に、第2の漏液補修材の硬化物で囲まれた液溜め部が形成される。
次に、活性エネルギー線硬化性組成物である第3の漏液補修材が塗布された基材フィルムを、第3の漏液補修材が第2の漏液補修材の硬化物に接しつつ、第3の漏液補修材が縮小された露出部分から漏れ出た液に接しないように、液溜め部上に配することで、第3の漏液補修材により液溜め部を覆う。
次に、基材フィルムを介して第3の漏液補修材に活性エネルギー線を照射することで、第3の漏液補修材を硬化させ、第3の漏液補修材の硬化物を得る。そうすることで、縮小された露出部分を漏液補修材の硬化物で覆うことができる。
次に、必要により、基材フィルムを剥離する。
【0071】
次に、前記漏液補修方法(第3の態様)の一例を、
図3A〜
図3Fを用いて説明する。
以下は、配管1の継ぎ手部分(フランジ部分)が漏出部分1aとなっている例である(
図3A)。
まず、第1の漏液補修材3が塗布された光透過性フィルム21を用意する(
図3B)。光透過性フィルム21としては、例えば、シリコーンシート、PTFEシート(ポリテトラフルオロエチレンシート)などが挙げられる。光透過性フィルム21上には活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3が塗布されているが、光透過性フィルム21上には、第1の漏液補修材3に周囲を覆われつつ、第1の漏液補修材3が塗布されていない未塗布箇所3aがある(
図3C)。
図3Bは、断面模式図であり、
図3Cは、上面模式図である。
次に、配管1の漏出部分1aを覆うように光透過性フィルム21を貼り付ける(
図3D)。更に、光透過性フィルム21を介して、活性エネルギー線を照射して第1の漏液補修材3を硬化させて、第1の漏液補修材3の硬化物13を得る。
次に、光透過性フィルム21を剥がす(
図3E)。そうすると、漏液部分1aの一部以外の残部である露出部分1cの周囲に液溜め部4が形成される。
次に、液溜め部4を覆うように、さらに活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材5を配する(
図3F)。
次に、第2の漏液補修材5に活性エネルギー線を照射し、第2の漏液補修材5を硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物15を得る(
図3G)。
【0072】
なお、上記の第3の態様の一例では、
図3Cに示すシートを漏液部分に貼り、漏液補修材を硬化させることで、一度に液溜め部を形成したが、第3の態様では、以下に示すような方法で液溜め部を形成してもよい。
まず、
図4Aに示すような、第1の漏液補修材3が塗布された光透過性フィルム21を用意する。光透過性フィルム21上には活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3が塗布されているが、光透過性フィルム21上には、第1の漏液補修材3が分割されて塗布されており、その間には、第1の漏液補修材3が塗布されていない未塗布箇所3aがある(
図4A)。
次に、配管1の漏出部分1aを覆うように光透過性フィルム21を貼り付ける。更に、光透過性フィルム21を介して、活性エネルギー線を照射して第1の漏液補修材3を硬化させて、第1の漏液補修材3の硬化物13を得る。
次に、光透過性フィルム21を剥がす(
図4B)。そうすると、漏液部分1aの一部が第1の漏液補修材3の硬化物13で覆われる。
次に、漏液部分1aの露出部分の上下及び漏出部分の近傍の第1の漏液補修材3の硬化物13上に、第1の漏液補修材3を塗布する(
図4C)。
次に、第1の漏液補修材3に活性エネルギー線を照射して第1の漏液補修材3を硬化させて、第1の漏液補修材3の硬化物13を得る(
図4D)。そうすると、漏液部分1aの一部以外の残部である露出部分1cの周囲に液溜め部4が形成される。
次に、液溜め部4を覆うように、さらに活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材5を配する(
図4E)。
次に、第2の漏液補修材5に活性エネルギー線を照射し、第2の漏液補修材5を硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物15を得る(
図4F)。
【0073】
前記漏液補修方法の応用例を以下に示す。
第1の漏液補修材の粘度が十分に高く、例えば、パテ状の場合であって、第1の漏液補修材を硬化させなくとも液溜め部を形成できる場合には、以下のような漏液補修方法を採用してもよい。
配管の漏液部分の周囲に硬化性組成物である第1の漏液補修材を配することで液溜め部を形成する。
次に、前記液溜め部を覆うように、さらに硬化性組成物である第2の漏液補修材を配し、前記第1の漏液補修材及び前記第2の漏液補修材を硬化させる。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0075】
(比較例1)
<漏液補修材の作製>
表1−1に記載の成分を表1−1の配合割合で混合した。以上により、漏液補修材である活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
【0076】
(実施例1)
<漏液補修材の作製>
表1−1に記載の配合のうち、項目「バインダー」に記載の成分を表1−1の配合割合で混合した。得られた混合物に、表1−1の配合割合でフィラーを添加し、遊星撹拌機(AR−250:THINKY製)を用いて、2000rpmの回転数で、遊星撹拌を行った。以上により、漏液補修材である活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
【0077】
(実施例2〜14、比較例2)
実施例1において、各配合を、表1−1〜表1−4に記載の配合に変えた以外は、実施例1と同様にして、漏液補修材である活性エネルギー線硬化性組成物を作製した。
【0078】
〔測定・評価〕
以下の測定及び評価に供した。結果を表1−1〜表1−4に示した。
【0079】
<粘度測定>
粘度測定は、レオメーターを用いて測定した。具体的には、TA Instrument社製AR−G2を用いて粘度測定を行った。直径20mm、角度2°のコーンプレートを用い、温度25℃の環境下で、せん断速度0.1s
−1で測定を行った。
【0080】
<糸引き性>
ステンレス製のスパチュラに漏液補修材の表面を0.5秒間触れさせた後、スパチュラから漏液補修材を離した際に、漏液補修材が糸を引くかどうか、すなわち、前記スパチュラと前記漏液補修材とが物理的につながっていないかどうかを目視により確認し、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○: 糸を引かない。
×: 糸を引く。
【0081】
<吸液特性の評価方法(硬化後の吸液率)>
シリコーン樹脂で作製した10mm×10mm×深さ5mmの型に漏液補修材を充填し、50μm厚の離型PETで表面をカバーした状態でメタルハライドランプを用いて365nmにおける積算光量が3J/cm
2になるように照射することで硬化物を作製した。型から取り出した硬化物の重量を測定し吸液前重量とした。
硬化物をガラス瓶に入れた。更に、ガラス瓶に、硬化物全体が十分に浸る量の絶縁油を入れた。そして、室温(25℃)で24時間放置した後に、絶縁油を吸った硬化物の重量を測定し吸液後重量とした。なお、絶縁油として、JXTGエネルギー社製高圧絶縁油A(JIS C2320の絶縁油A 種類 1種)を使用した。
そして、以下の式を用いて、吸液率を求めた。
吸液率(%)=100×(吸液後重量−吸液前重量)/(吸液前重量)
【0082】
<硬化速度>
硬化速度測定は、Thermo Fisher Scientific社製HAKKE MARSレオメータを用いて行った。直径(φ)8mmパラレルプレートを用い、せん断速度0.1s
−1、UVLED照度50mW/cm
2(365nm)で測定を行った。UV照射は、前期アイドリング1分、照射1分、後期アイドリング1分で行った。硬化時間は、前期アイドリング1分経過時を0分として、G’(貯蔵弾性率)が0.07MPa(E’換算で0.2MPa以上)に到達する時間(分)で評価を行った。そして、以下の評価基準で評価した。
なお、初期貯蔵弾性率(G’)で0.07MPa以上の場合は、その時点で必要な貯蔵弾性率に到達しているため、硬化時間の記載はしていない。
〔評価基準〕
◎:測定時に0.07MPa以上に達している。
○:到達時間が、0分を超え、0.30分以下である。
△:到達時間が、0.30分を超え、0.50分以下である。
×:到達時間が、0.50分を超える。
【0083】
<せん断接着力>
SUS304の板の上に、シリコーン樹脂で作製した内径6mmφ、2mm厚の円形の型を置き、その内側に、漏液補修材を充填し、メタルハライドランプで積算光量3J/cm
2(365nm)になるように照射することで、漏液補修材を硬化させ、その後、シリコーン樹脂の型を除去し、試験片(SUS304の板に付着した漏液補修材の硬化物;直径6mm、2mm厚)を作製した。
そして、Nordson Dage社製 万能ボンドテスター4000plusを用いて、テストスピード0.2mm/s、降下スピード0.2mm/s、テスト高さ10.0μmでテストを行い、せん断接着力を測定した。そして、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
◎:せん断接着力が、0.30MPa以上である。
○:せん断接着力が、0.20MPa以上0.30MPa未満である。
△:せん断接着力が、0.15MPa以上0.20MPa未満である。
×:せん断接着力が、0.15MPa未満である。
【0084】
<漏液シールテスト>
図5に示す圧力容器のフランジ部のパッキンに0.5mmの直径のステンレスワイヤーを挟み、0.2MPaの空気による圧力をかけて1分間に約0.1cc漏液(漏油)する試験装置を作製した。この試験装置を用いて、漏液シールテストを行った。
油には、JXTGエネルギー社製高圧絶縁油A(JIS C2320の絶縁油A 種類 1種)を用いた。
上記の漏液速度で漏液している漏液箇所に、漏液箇所を十分に覆うように漏液補修材を20g塗布し、メタルハライドランプで365nmにおける積算光量が3J/cm
2になるように照射することで漏液補修材を硬化させた。そして、1時間後の漏液の状態を目視で観察し、以下の評価基準で評価した。
〔評価基準〕
○:漏液していない。
×:漏液している。
【0085】
【表1-1】
【0086】
【表1-2】
【0087】
【表1-3】
【0088】
【表1-4】
【0089】
実施例・比較例で用いた材料の詳細は以下のとおりである。
ISTA:イソステアリルアクリレート(大阪有機化学社製)
IBXA:イソボルニルアクリレート(大阪有機化学社製)
4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート(大阪有機化学社製)
A−DCP:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(新中村化学社製)
IRG1173:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(BASF社製)
シリカ:GS−64(LV)(龍森社製、メジアン径5.5μm)
マイカ:PDM−800(トピー工業株式会社製、平均粒子径11.2μm)
タルク:ミクロエースP4(日本タルク株式会社製、平均粒子径4.5μm)
【0090】
比較例1の配合では、フィラーを含有せず、硬化物(硬化後)の吸液率(%)が10%以上であることから、漏液シールテストにおいて良漏液が確認された。
比較例2の配合では、フィラーの含有量が多すぎて、補修材を調製できなかった。
【0091】
実施例1〜14の漏液補修材は、硬化物(硬化後)の吸液率(%)が10%未満であることから、漏液シールテストにおいて良好な結果を示し、簡便にかつ高い信頼性で漏液を阻止できることが確認できた。
また、無機フィラーを20質量%以上含有することで、無機フィラーを含有しない場合(比較例1)と比べ、せん断接着力が向上した。
実施例1、6、9を対比すると、無機フィラーとしては、マイカが、せん断接着力を向上させる効果が大きかった。
【0092】
(実施例15)
<第1の態様>
第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材として、実施例10の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて、以下の漏液補修方法を行った。
まず、
図1Aに示すような、漏液部分1a(ピンポール:直径1mm)を有する配管1を用意した。配管1には、液2(JXTGエネルギー社製高圧絶縁油A(JIS C2320の絶縁油A 種類 1種)と水との質量比1:1の混合物)が充填されており、漏液部分1aからは、配管1中の液2が漏れ出ていた。
まず、配管1の漏液部分1aの周囲に、活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3を、漏液部分1aから漏れ出た液2に触れないようにヘラ塗りにより、円筒状〔外径5mm、内径3mm、高さ(厚み)5mm〕に塗布した(
図1B)。
次に、第1の漏液補修材3に、UV−LEDランプ(365nm)により活性エネルギー線を照射(365nmにおける照射量:3J/cm
2)し硬化させ、第1の漏液補修材の硬化物13を得た(
図1C)。そうすることにより、漏液部分1aの周囲に、第1の漏液補修材の硬化物13で囲まれた液溜め部4を形成した。
次に、活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材5が厚み2mmで塗布された基材フィルム6(厚み50μmの透明PETフィルム)を、第2の漏液補修材5が第1の漏液補修材の硬化物13に接しつつ、第2の漏液補修材5が漏液部分1aから漏れ出た液2に接しないように、液溜め部4上に配することで、第2の漏液補修材5により液溜め部4を覆った(
図1D)。
次に、基材フィルム6を介して第2の漏液補修材5にUV−LEDランプ(365nm)により活性エネルギー線を照射(365nmにおける照射量:3J/cm
2)することで、第2の漏液補修材5を硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物15を得た(
図1E)。そうすることで、漏液部分1aを漏液補修材の硬化物で覆った。
次に、基材フィルム6を剥離した(
図1F)。
以上、本発明の一態様の漏液補修方法により、配管の漏液の補修を行った。漏液補修材を硬化させる際、漏液補修材に油分が浸透しなかったため、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、特に簡便にかつ高い信頼性で漏液を防止できた。
【0093】
(実施例16)
<第1の態様>
実施例15において、第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材としてアクリル系活性エネルギー線硬化性組成物であるUVリペアペンGON−FU1(Fiberfix社製)を用い、第1の漏液補修材及び第2の漏液補修材に照射した活性エネルギー線の積算光量を10J/cm
2とした以外は、実施例15と同様の操作により配管の漏液の補修を行った。第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材の硬化のために、実施例15より大きな積算光量を要したが、漏液補修材を硬化させる際、漏液補修材に油分が浸透しなかったため、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、簡便にかつ高い信頼性で漏液を防止できた。
【0094】
(実施例17)
<第2の態様>
第1の漏液補修材、第2の漏液補修材、及び第3の漏液補修材として、実施例8の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて、以下の漏液補修方法を行った。
まず、
図2Aに示すような、漏液部分1a(幅1mm、長さ5cmの長方形)を有する配管1を用意した。配管1には、液(JXTGエネルギー社製高圧絶縁油A(JIS C2320の絶縁油A 種類 1種)と水との質量比1:1の混合物)が充填されており、漏液部分1aからは、配管1中の液が漏れ出ていた。
まず、配管1の漏液部分1aの上部の一部を覆うように、活性エネルギー線硬化性組成物である第1の漏液補修材3を、ヘラ塗りにより塗布した。第1の漏液補修材3にUV−LEDランプ(365nm)により活性エネルギー線を照射(365nmにおける照射量:3J/cm
2)し硬化させた。前記塗布と硬化を前記漏液部分の他の部分で繰り返し行い、漏液部分をおよそ1mm×1mmの形状にした。そうすることで、第1の漏液補修材の硬化物により漏液部分1aにおける露出部分を縮小させた。
その後は、実施例15において
図1C〜
図1Fを参照して説明される操作と同様にして、以下の工程を行った。
次に、縮小した露出部分の周囲に、活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材を、縮小した露出部分から漏れ出た液に触れないようにヘラ塗りにより塗布した。
次に、第2の漏液補修材に活性エネルギー線を照射し硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物を得た。そうすることにより、縮小された露出部分の周囲に、第2の漏液補修材の硬化物で囲まれた液溜め部が形成された。
次に、活性エネルギー線硬化性組成物である第3の漏液補修材が塗布された基材フィルムを、第3の漏液補修材が第2の漏液補修材の硬化物に接しつつ、第3の漏液補修材が縮小された露出部分から漏れ出た液に接しないように、液溜め部上に配することで、第3の漏液補修材により液溜め部を覆った。
次に、基材フィルムを介して第3の漏液補修材に活性エネルギー線を照射することで、第3の漏液補修材を硬化させ、第3の漏液補修材の硬化物を得た。そうすることで、縮小された露出部分を漏液補修材の硬化物で覆うことができた。
次に、基材フィルムを剥離した。
【0095】
以上、本発明の第2の態様の漏液補修方法により、配管の漏液の補修を行った。漏液補修材を硬化させる際、漏液補修材に液が接触するものの、その吸液率が低いことから、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、特に簡便にかつ高い信頼性で漏液を防止できた。
【0096】
(実施例18)
<第2の態様>
実施例17において、第1の漏液補修材、第2の漏液補修材、及び第3の漏液補修材としてアクリル系活性エネルギー線硬化性組成物であるUVリペアペンGON−FU1(Fiberfix社製)を用い、第1の漏液補修材、第2の漏液補修材、及び第3の漏液補修材に照射した活性エネルギー線の積算光量を10J/cm
2とした以外は、実施例17と同様の操作により配管の漏液の補修を行った。第1の漏液補修材、第2の漏液補修材、及び第3の漏液補修材の硬化のために、実施例17より大きな積算光量を要したが、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、簡便に漏液を防止できた。
【0097】
(実施例19)
<第3の態様>
第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材として、実施例5の活性エネルギー線硬化性組成物を用いて、以下の漏液補修方法を行った。
以下は、配管1の継ぎ手部分(フランジ部分)が漏出部分1aとなっている実施例である(
図3A)。
まず、光透過性フィルム21(シリコーンシート、長さ20cm、幅2.5cm、厚み2mm)を用意した。光透過性フィルム21上に厚み約2mmの第1の漏液補修材3を塗布した(
図3B)。光透過性フィルム21上には第1の漏液補修材3が塗布されているが、光透過性フィルム21上には、第1の漏液補修材3に周囲を覆われつつ、第1の漏液補修材3が塗布されていない未塗布箇所3a(およそ5mm×5mm)がある(
図3C)。
次に、配管1の漏出部分1aを覆うように光透過性フィルム21を貼り付けた(
図3D)。更に、光透過性フィルム21を介して、UV−LEDランプ(365nm)により活性エネルギー線を照射(365nmにおける照射量:3J/cm
2)して第1の漏液補修材3を硬化させて、第1の漏液補修材3の硬化物13を得た。
次に、光透過性フィルム21を剥がした(
図3E)。そうすると、漏液部分1aの一部以外の残部である露出部分1cの周囲に液溜め部4が形成されていた。
次に、液溜め部4を覆うように、さらに活性エネルギー線硬化性組成物である第2の漏液補修材5を配した(
図3F)。
次に、第2の漏液補修材5にUV−LEDランプ(365nm)により活性エネルギー線を照射(365nmにおける照射量:3J/cm
2)し、第2の漏液補修材5を硬化させ、第2の漏液補修材の硬化物15を得た(
図3G)。
【0098】
以上、本発明の第3の態様の漏液補修方法により、配管の漏液の補修を行った。漏液補修材を硬化させる際、漏液補修材に液が接触するものの、その吸液率が低いことから、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、特に簡便にかつ高い信頼性で漏液を防止できた。
【0099】
(実施例20)
<第3の態様>
実施例19において、第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材としてアクリル系活性エネルギー線硬化性組成物であるUVリペアペンGON−FU1(Fiberfix社)を用い、第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材に照射した活性エネルギー線の積算光量を10J/cm
2とした以外は、実施例19と同様の操作により配管の漏液の補修を行った。第1の漏液補修材、及び第2の漏液補修材の硬化のために、実施例19より大きな積算光量を要したが、安定した硬化性を有する硬化物により漏液部分を補修することができた。即ち、簡便に漏液を防止できた。
【解決手段】硬化性組成物である漏液補修材であって、硬化後の吸液率が、10%未満であり、糸引き性を有さず、粘度が、0.1Pa・s以上100,000Pa・s以下であり、無機フィラーが20質量%以上95質量%以下を含有する。硬化組成物は、単官能(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレート、ラジカル開始剤を含有する。