特許第6571853号(P6571853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571853パドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6571853
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】パドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 7/18 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   B01F7/18 B
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-187301(P2018-187301)
(22)【出願日】2018年10月2日
【審査請求日】2018年11月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591111868
【氏名又は名称】淺田鉄工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】特許業務法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】橋本 真一
(72)【発明者】
【氏名】宗岡 一平
(72)【発明者】
【氏名】青木 康博
(72)【発明者】
【氏名】小田 真也
(72)【発明者】
【氏名】丸田 茂雄
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−023563(JP,A)
【文献】 特開平08−071396(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第106492669(CN,A)
【文献】 特開2003−159523(JP,A)
【文献】 特開2005−262026(JP,A)
【文献】 特開2008−173861(JP,A)
【文献】 特開2014−223581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01F 7/00 − 7/32
B01F 15/00 − 15/06
H01M 4/00 − 4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撹拌槽の底部に向けて延伸する回転駆動軸の先端に回転方向の前面が斜め上を向くように傾斜姿勢で設けられるパドル翼であって、
前記パドル翼は、環状フレームによって形成されており、前記環状フレームの開口面積を縮小する拡張プレートを回転方向の前面に備えた
ことを特徴とするパドル翼。
【請求項2】
前記環状フレームの内形状が多角形である
ことを特徴とする請求項1に記載のパドル翼。
【請求項3】
前記拡張プレートの内形状が多角形である
ことを特徴とする請求項1に記載のパドル翼。
【請求項4】
前記パドル翼は、前記撹拌槽のテーパ状の底面および当該底面から屈曲した胴体の内壁にかけて一定距離を保った近接状態になるように、当該底面の曲率および当該内壁の曲率に合わせて前記環状フレームを傾斜方向の前後に捻られた形状である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のパドル翼。
【請求項5】
回転駆動軸の先端に回転方向の前面が斜め上を向くように傾斜姿勢で設けられたパドル翼および回転翼を備えた撹拌装置であって、
円筒状の胴体とテーパ状の底部とからなる撹拌槽と、
前記回転駆動軸を回転駆動させる駆動機構と、を備え、
前記パドル翼は、環状フレームよって形成されており、前記環状フレームの開口面積を縮小する拡張プレートを回転方向の前面に備えた
ことを特徴とする撹拌装置。
【請求項6】
前記パドル翼は、前記撹拌槽のテーパ状の底面および当該底面から屈曲した前記胴体の内壁にかけて一定距離を保った近接状態になるように、当該底面の曲率および当該内壁の曲率に合わせて前記環状フレームを傾斜方向の前後に捻られた形状である
ことを特徴とする請求項5に記載の撹拌装置。
【請求項7】
前記環状フレームの内形状および前記拡張プレートの内形状のいずれもが多角形である
ことを特徴とする請求項5または6に記載の撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撹拌槽に投入した撹拌対象物を効率よく撹拌するパドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からパドル翼と他の撹拌翼を組み合わせて構成した撹拌装置が知られている。例えば、特許文献1に記載の撹拌装置は、同芯状の回転駆動軸に切込み平板大型翼、枠型翼、および傾斜パドル翼を備えている。切込み平板大型翼および傾斜パドル翼は、一方の回転駆動軸に他方の回転駆動軸から独立して回転可能に設けられている。また、枠型翼は、他方の回転駆動軸に設けられている。枠型翼は、大型平板翼を外囲するように配置されている。
【0003】
また、回転軸方向に対して直角である径方向に延びる天枠部と、天枠部に対して回転軸方向に離間する底枠部と、天枠部の両端に連結されており、回転軸を中心軸とする円筒に沿ってねじれた形状(90度)とされた一対の側枠部とからなる一対の遊星型の回転ブレードを備えた攪拌装置が開示されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6170339号公報
【特許文献2】特許第6118226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、リチウムイオン二次電池が多くの用途に利用されており、使用量が増大する傾向にある。例えば、自動車などの輸送機器の分野において、ガソリンなどの化石燃料で駆動するエンジン車両からニッケル水素やリチウムイオンなどの電気エネルギによって駆動する電動バイク、電動車(ハイブリッド、プラグインハイブリッド、電気自動車、燃料電池車)などへと移行している。特に、電気自動車は、バッテリの満充電時における航続距離を長くするとともに、高出力にするために多数のリチウムイオン二次電池を搭載している。
【0006】
しかしながら、リチウムイオン二次電池の電極層の集電体に塗布される活物質ペーストを撹拌装置で製造するとき、従来の撹拌装置では次のような不都合が生じている。製造対象物である活物質ペーストは、撹拌槽に粉体の活物質を投入し、撹拌しながらバインダおよび溶剤を適時に投入して製造する。この製造の初期段階では、固形含有が非常に高く難分散性を有し、撹拌機の電動機にかなりの負荷がかかる。それ故に、撹拌槽の容量の半分以下に活物質の投入量を制限せざるを得ない。また、特許文献2に記載の遊星型の撹拌機の捻り羽根は、導電助剤のような比較的に比重の小さい粉体の溶剤に対する濡れ性を促進させるために、常に撹拌槽の底面側で当該粉体を押さえ気味に回転する。しかしながら、活物質のように比較的に比重の大きい粉体は、撹拌槽の底面に押さえつけられ、捻り羽根または撹拌槽の底面にかなりの荷重がかかりやすくなり損傷を招く恐れがある。そこで、撹拌中に常に撹拌槽上面に向けて比重の大きい粉体をすくい上げるよう撹拌させるように構成され、当該粉体の沈降を抑制するパドル翼および当該パドル翼を備えた撹拌装置が要求されている。
【0007】
本発明は、撹拌対象物を効率よく撹拌し、製造対象物を効率よく製造可能なパドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下のようなパドル翼を提供する。
【0009】
すなわち、撹拌槽の底部に向けて延伸する回転駆動軸の先端に回転方向の前面が斜め上を向くように傾斜姿勢で設けられるパドル翼であって、
前記パドル翼は、環状フレームによって形成されており、前記環状フレームの開口面積を縮小する拡張プレートを回転方向の前面に備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、撹拌槽に投入された撹拌対象物を撹拌する過程で、パドル翼を形成する環状フレームは、回転方向の前面で受ける撹拌対象物を撹拌槽の底部から上方に掻き揚げるとともに、環状フレームの開口部に撹拌対象物を通過させる。したがって、パドル翼は、難分散性を有する撹拌対象物との接触面積が小さくなるので、撹拌対象物との接触抵抗を低減することができる。また、パドル翼は、撹拌対象物の粘度に関わらず、開口部を通過する当該撹拌対象物をせん断することができる。
撹拌対象物は、製造対象物に応じて撹拌開始から撹拌終了までの間で異なる粘度変化が生じる。例えば、撹拌開始時に粘度が低い場合、開口面積の大きい環状フレームは、パドル翼による掻き揚げ能力が低下するとともに、開口部に撹拌対象物が通過しやすくなる。そこで、環状フレームに拡張プレートを装着して開口面積を縮小することによって、低粘度の撹拌対象物の掻き揚げ能力を向上させるとともに、開口部に撹拌対象物を通過し辛くし、せん断能力を向上させることができる。
【0011】
なお、上記構成において、環状フレームの内形状が多角形であることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、環状フレームの内形状が多角形であるので、環状フレームの内壁側では、環状フレームの角部に撹拌対象物の引っ掛かりが生じ、開口部の中央とパドル翼の内壁周りで撹拌対象物の流速に速度差が生じやすくなる。当該速度差によって撹拌対象物にせん断作用が生じる。
【0015】
なお、この構成において、前記拡張プレートの内形状が多角形であることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、拡張プレートを有しない内形状が多角形の環状フレームと同様の作用・効果を生じる。なお、拡張プレートの内形状は、環状フレームの内形状と同形状であってもよいし、異なっていてもよい。
【0017】
さらに、上記構成において、前記パドル翼は、前記撹拌槽のテーパ状の底面および当該底面から屈曲した胴体の内壁にかけて一定距離を保った近接状態になるように、当該底面の曲率および当該内壁の曲率に合わせて前記環状フレームを傾斜方向の前後に捻られた形状であることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、撹拌槽のテーパ状の底面および胴体の内壁に対向するパドル翼の端縁が一定距離(クリアランス)を保った近接状態であるので、クリアランスを通過する撹拌対象物をせん断することができる。したがって、パドル翼は、環状フレームの内縁と外縁の両方を利用して撹拌対象物をせん断するので、外縁のみを利用してせん断する従来のパドル翼に比べてせん断効率が高い。
【0019】
なお、本発明は、以下のような撹拌装置も提供する。
【0020】
すなわち、回転駆動軸の先端に回転方向の前面が斜め上を向くように傾斜姿勢で設けられたパドル翼および回転翼を備えた撹拌装置であって、
円筒状の胴体とテーパ状の底部とからなる撹拌槽と、
前記回転駆動軸を回転駆動させる駆動機構と、を備え、
前記パドル翼は、環状フレームよって形成されており、前記環状フレームの開口面積を縮小する拡張プレートを回転方向の前面に備えた
ことを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、撹拌槽に投入された撹拌対象物を撹拌する過程で、パドル翼が、撹拌槽の底部から上方に掻き揚げる。回転翼が、軸回りに撹拌対象物を回転させながら撹拌する。同時に、パドル翼を形成する環状フレームは、開口部に撹拌対象物を通過させる。したがって、難分散性を有する撹拌対象物によって、パドル翼が受ける抵抗を低減することができる。また、パドル翼は、撹拌対象物の粘度に関わらず、開口部を通過する当該撹拌対象物をせん断することができる。したがって、パドル翼と回転翼を組み合わせることにより、回転翼による撹拌対象物のせん断とパドル翼によるせん断との相乗効果により、撹拌対象物をより効率よくせん断しながら微粒化された均一な生成物にすることができる。
撹拌対象物は、製造対象物に応じて撹拌開始から撹拌終了までの間で異なる粘度変化が生じる。例えば、撹拌開始時に粘度が低い場合、開口面積の大きい環状フレームは、パドル翼による掻き揚げ能力が低下するとともに、開口部に撹拌対象物が通過しやすくなる。そこで、環状フレームに拡張プレートを装着して開口面積を縮小することによって、低粘度の撹拌対象物の掻き揚げ能力を向上させるとともに、開口部に撹拌対象物を通過し辛くし、せん断能力を向上させることができる。
【0024】
また、上記構成において、前記パドル翼は、前記撹拌槽のテーパ状の底面および当該底面から屈曲した前記胴体の内壁にかけて一定距離を保った近接状態になるように、当該底面の曲率および当該内壁の曲率に合わせて前記環状フレームを傾斜方向の前後に捻られた形状であることが好ましい。
【0025】
この構成によれば、撹拌槽のテーパ状の底面および胴体の内壁に対向するパドル翼の端縁が一定距離(クリアランス)を保った近接状態であるので、クリアランスを通過する撹拌対象物をせん断することができる。したがって、パドル翼は、フレームの内縁と外縁の両方を利用して撹拌対象物をせん断するので、外縁のみを利用してせん断する従来のパドル翼に比べてせん断効率が高い。
【0026】
なお、上記各構成において、前記環状フレームの内形状および前記拡張プレートの内形状のいずれも多角形であることが好ましい。
【0027】
この構成によれば、環状フレームの内形状および拡張プレートの内形状が多角形であるので、環状フレームおよび拡張プレートの内側では、環状フレームまたは拡張プレートの角部に撹拌対象物の引っ掛かりが生じ、開口部の中央とパドル翼の内壁周りで撹拌対象物の流速に速度差が生じやすくなる。当該速度差によって撹拌対象物にせん断作用が生じる。
【発明の効果】
【0028】
本発明のパドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置によれば、撹拌槽に投入された撹拌対象物を効率よく撹拌し、製造対象物を効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の撹拌装置の外観および内部構造を示す縦断面図である。
図2】第1実施形態のパドル翼の斜視図である。
図3図1のX-X矢視断面である。
図4】起立翼と回転翼がすれ違う過程で、両翼間を通過する撹拌対象物の流れの変化を模式的に示す図である。
図5】起立翼と回転翼がすれ違う過程で、両翼間を通過する撹拌対象物の流れの変化を模式的に示す図である。
図6】起立翼と回転翼がすれ違う過程で、両翼間を通過する撹拌対象物の流れの変化を模式的に示す図である。
図7図1の部分拡大図である。
図8】第2実施形態のパドル翼の斜視図である。
図9】第2実施形態のパドル翼の正面図である。
図10】第2実施形態のパドル翼の平面図である。
図11図8に示すパドル翼のY−Y矢視断面図である。
図12】変形例のパドル翼の断面図である。
図13】変形例のパドル翼の断面図である。
図14】変形例のパドル翼の斜視図である。
図15図13に示す変形例のパドル翼を備えた変形例の外観および内部構造を示す縦断面図である。
図16】比較シミュレーションを行った従来装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明のパドル翼を備えた撹拌装置の一実施形態について、添付図面に基づき詳細に説明する。なお、本実施形態の撹拌装置では、リチウムイオン二次電池の製造に利用される活物質ペーストを製造する用途を例にとって説明するが、当該用途に限定されない。したがって、本実施形態の撹拌装置は、化学、医薬、電子、セラミックス、食品、飼料などの他の分野においても利用可能である。
【0031】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る撹拌装置の外観および内部構造を示す縦断面図である。
【0032】
撹拌装置1は、撹拌槽2に同芯状の軸芯周りに独立して回転可能な2つの回転軸3A、3Bに異なる形状の回転翼4〜6を備えている。
【0033】
撹拌槽2は、円筒状の胴体2Aと当該胴体2Aの下部から下方に先細りテーパ状に形成された底部2Bとから構成されている。底部2Bのテーパ状の先端には、撹拌槽2内の生成物などを排出するための排出口が形成されている。排出口には、開閉弁7を介して流路8が連通接続されている。また、撹拌槽2の上部には、撹拌槽2を密閉する蓋部2Cが設けられている。なお、本実施形態の撹拌槽2は、密閉型である。
【0034】
撹拌槽2の上方には、ベアリングケース9が設けられている。また、撹拌槽2の外周には、冷却水などの冷媒または温水などの熱媒を循環させるジャケット11が付設されている。
【0035】
ベアリングケース9は、外部設置のモータなどの駆動装置からの回転駆動力を、チェーンなどを介して同芯状の回転軸3を構成する内方回転軸3Aおよび外方回転軸3Bのそれぞれに伝達する。したがって、ベアリングケース9は、撹拌槽2の蓋部2Cを貫通し、回転軸3を撹拌槽2の底部2Bに向けて懸垂支持しながら蓋部2Cの外部に受動部を露出している。
【0036】
内方回転軸3Aおよび外方回転軸3Bのそれぞれは、ベアリングBを介して独立駆動する。一方の内方回転軸3Aは、先端から基端向けてパドル翼4および傾斜翼5の順に備えている。他方の外方回転軸3Bは、門型の回転翼6を備えている。
【0037】
パドル翼4は、環状に形成された左右一対の環状フレーム4Aからなる。環状フレーム4Aは、内方回転軸3Aの周りに互いに180度離れた位置に接続されている。パドル翼4は、図1を正面視したときに外形は略五角形であるが、環状フレーム4Aの内形状は、図2に示すように、六角形である。また、パドル翼4は、斜め上向きに傾斜するように内方回転軸3Aの先端側に接続されている。この状態でパドル翼4が内方回転軸3Aに対して傾斜している。なお、パドル翼4は、例えば金属プレートから打ち抜き加工によって形成されており、環状フレーム4Aの内縁が鋭利になっている。
【0038】
環状フレーム4Aのうち撹拌槽2の底面に沿って延伸する下部フレームは、当該底面と一定距離を保った近接状態にある。また、撹拌槽2の胴体2Aの連接部で屈曲し、胴体2Aの垂直な内壁に沿って延伸する外側フレームは、胴体2Aの内壁と平行して近接状態を保っている。すなわち、下部フレームを底面に近接状態で沿わせて延伸するためには、下部フレームは、底面の曲率に合わせて傾斜方向の前後に捻られている。この捻り加工された下部フレームは、円錐形状の底部2Bの曲率に応じて下向きに僅かに膨出し、同様に外周側で底部2Bから胴体2Aに沿って傾斜する外側フレームも胴体2Aの曲率に応じて僅かに膨出している。
【0039】
したがって、パドル翼4が正転するとき、撹拌槽2の底部2Bの撹拌対象物を環状フレーム4Aの前面によって回転方向の上向きに掻き揚げるとともに、環状フレーム4Aの開口部を通過する撹拌対象物をせん断する。すなわち、環状フレーム4Aの内形状を多角形(本実施例では六角形)にしているので、環状フレーム4Aの角部に撹拌対象物の引っ掛かりが生じ、開口部の中央とパドル翼4の内壁周りで撹拌対象物の流速に速度が生じやすくなる。当該速度差によって撹拌対処物のせん断作用が生じる。
【0040】
なお、本実施形態のパドル翼4のフレーム幅Wを同じに設定しているが、環状フレーム4Aの位置ごとに幅Wを変更してもよい。すなわち、パドル翼4は、フレーム幅を適宜に設定変更して開口面積を調整することにより、撹拌対象物の掻き揚げ能力とせん断能力を変更および調整することができる。例えば、開口面積を小さくした場合、掻き揚げ能力は上がるが、開口部に通過させる撹拌対象物の量が少なくなり、ひいてはせん断能力を低く設定することができる。開口面積を広くすると、その逆で掻き揚げ能力は下げるが、開口部に通過させる撹拌対象物の量が多くなり、ひいてはせん断能力を高く設定することができる。
【0041】
また、パドル翼4の外形は、五角形に限定されず多角形であってもよいし、或は、撹拌槽2の底部2Bが湾曲形状である場合には、底部2Bの曲率に応じて膨出し、当該底面に一定距離の近接状態を保つ曲線部を有する形状であってもよい。さらに、パドル翼4の内形状は、外形と異なっているが同じであってもよい。
【0042】
また、パドル翼4は、その外周側の端縁から回転方向に内向き傾斜姿勢で撹拌槽2の内壁に沿って起立する起立翼4Bが設けられている。起立翼4Bは、パドル翼4に一体的に接合された三角柱である。図2および図3に示すように、回転軸3の方向から見た断面において、三角柱のテーパ状の1つの先端(内縁)が、後述するように、回転翼6の外縁とすれ違い、他の先端(外縁)が撹拌槽2の内壁側に向き、残りの先端が回転方向の後方を向くように設置されている。
【0043】
また、起立翼4Bは、図3図6に示すように、回転翼6とすれ違う過程で、起立翼4Bの内縁と回転翼6の外縁から外向きに延伸した仮想線Aとが交差するように設定されている。例えば、起立翼4Bが正転(R方向)し、かつ、回転翼6が逆転(L方向)しているとき、図4に示す起立翼4Bと回転翼6とがすれ違う前から図5に示すすれ違う時点までにおいて、両翼4B、6が相対的に接近してゆく。図5に示す両翼4B、6がすれ違う時点で、起立翼4Bの内縁と回転翼6の仮想線Aとが交差し始める。その後に、図6に示すように、両翼4B、6が互いに離反してゆく。なお、図4図6において、理解し易いように、両翼4B、6の間隙を流れる撹拌対象物の流れる方向しか矢印で示していないが、実際には起立翼4Bおよび回転翼6のそれぞれによって前方に押し出される撹拌対象物の流れも存在する。
【0044】
両翼4B、6がすれ違うまでの間、起立翼4Bの正転側で起立翼4Bの前面と回転翼6の表面とが成す角度αが鈍角の範囲で経時的に変化するように設定されている。なお、本実施形態において、図3に示す状態の角度αは、0度から180度の範囲で適宜に設定変更可能であり、好ましくは60〜140度である。
【0045】
また、両翼4B、6がすれ違う間、起立翼4Bの内縁と回転翼6の外縁との間隙Gが徐々に狭くなる。すなわち、間隙Gは、両翼4B、6のすれ違い時点で最小幅Gminとなる。なお、最小幅Gminは、図7に示す撹拌槽2の内径D1、パドル翼4の外径D2、起立翼4Bの幅D3、回転翼6の外径D4、回転翼6の幅D5、撹拌層2と起立翼4Bの間隙D6、起立翼4Bと回転翼6の間隙D7、傾斜翼5の幅D8のスケールに応じて適宜に設定変更される。例えば、各スケールは、スケールとの相互関係で、D3/D1=1/12〜1/10、D3=D5、D6/D3=1/5〜1/4、D8/D1=1/2.5〜1/2、D7/D6=1/3〜1/2となるような比率に設定することが好ましい。
【0046】
したがって、パドル翼4とともに起立翼4Bを正転させ、かつ、回転翼6を逆転させた場合、正転方向の内向きに傾斜姿勢で設けられた起立翼4Bは、傾斜面で撹拌対象物を正転方向(前方)に押し出しながら傾斜面に沿って内向きに流れる撹拌対象物の一部を後方に受け流す。回転翼6は、起立翼4Bに比べて前方に撹拌対象物を積極的に押し出す。
【0047】
また、起立翼4Bと回転翼6がすれ違うとき、回転翼6が起立翼4Bの逆方向に撹拌対象物を押し出すとともに、起立翼4Bから後方に受け流す撹拌対象物を、逆転方向に引き込む。すなわち、起立翼4Bと回転翼6との間隙を通過する撹拌対象物は、図4に示すように両翼4B、6の間隙の広い状態から図3および図5に示すように最小幅Gminへの変化に応じて両翼4B、6による互いの押圧が増す。起立翼4Bの傾斜面に沿って後方に受け流される一部の撹拌対象物の流速が徐々に高まり、図5に示すように両翼4B、6がすれ違った後に互いに離反した所定時間経過後に回転翼6による撹拌対象物の引き込み作用によって流速が急激に高まる。換言すれば、撹拌対象物の加速度が増す。
【0048】
次に、傾斜翼5は、パドル翼4とベアリングケース9の間の所定高さに設置されている。すなわち、傾斜翼5は、撹拌対象物の浸漬した状態で門型の回転翼6の2枚の翼の間で回転するように設置されている。本実施形態の傾斜翼5は、回転軸周りに等間をおいて4枚の平板状の翼を備えているが、スケールまたは攪拌対象物に応じて枚数を適宜に設定変更することができる。すなわち、傾斜翼5は、複数枚の翼を有していればよい。各翼は、パドル翼4の傾斜方向と逆向きに設定されている。したがって、内方回転軸3Aを正転させたとき、パドル翼4が撹拌対象物を上方に掻き揚げる一方で、傾斜翼5が撹拌対象物を下方に押し下げる。また、内方回転軸3Aを逆転させたとき、パドル翼4によって撹拌槽2の底部2Bに押し下げられた撹拌対象物が、撹拌槽2の底面を沿って移動した後に胴体2Aの内壁に沿って上昇する一方で、傾斜翼5によって撹拌対象物は上方に押し上げられる。傾斜翼5は、回転方向に依存することなく回転軸周りの撹拌対象物をせん断する機能を有する。なお、傾斜翼5は、本実施形態の翼形状に限定されず、例えば、円板状の外周に複数のせん断歯を備えたディスパ翼であってもよい。
【0049】
門型の回転翼6は、図1に示すように、外方回転軸3Bの軸芯Pに対して線対称の2枚の平板翼の組み合わせによって構成されている。すなわち、各平板翼は、外方回転軸3Bから水平方向に延伸した後に垂直下方に屈曲している。また、撹拌槽2を平面視したとき、図3に示すように、回転翼6の両翼面が、撹拌槽2の直径の同一直線上に沿うように整列している。また、回転翼6は、図1および図3に示すように、長手方向の中心軸PYを中心に回転および固定可能にブラケットに装着されている。したがって、図3に示す角度α(開き角度)を0度から180度の範囲で撹拌条件に応じて適宜に設定変更し、起立翼4Bと回転翼6によって形成される間隙Gおよび撹拌対象物の受け入れ開口面積を調整することができる。
【0050】
次に、撹拌槽の全容量が2000Lを超える上記実施形態の撹拌装置と従来の撹拌装置を利用して活物質ペーストを製造する場合の装置特性の比較シミュレーションを行った。
【0051】
特許文献2に記載のような従来装置は、図16に示すように、回転駆動軸21を備えたベアリングケース20に独立回転駆動する2つの回転翼22、23を備えている。各回転翼22、23は、断面が三角形のフレームを矩形状に屈曲形成した翼を更に回転駆動軸24、25の軸芯P1、P2周りに90度に捻り加工されている。したがって、両回転翼22、23は、ベアリングケース20の回転駆動軸21の軸芯P周りに回転(公転)しながら、各軸芯P1、P2によって互いに正逆転する。すなわち、両翼22、23のそれぞれが自転しながら回転駆動軸21を中心に公転する過程で、両翼22、23の側縁がすれ違う時に撹拌対象物をせん断するように構成されている。また、従来装置は、ベアリングケース20に独立駆動する2つのせん断用のディスパ翼26を備えている。ディスパ翼26は、回転翼22、23と同様にそれぞれが自転しながら回転駆動軸21を中心に公転しながら撹拌対象物をせん断するように構成されている。なお、他方のディスパ翼26は、図16において図示されていないが、回転翼22、23を挟んだ紙面奥側に配置されている。
【0052】
各撹拌装置の特性の詳細は、以下の表に示されている。
【表1】
【0053】
上述のように、従来装置および実施例装置の撹拌槽の全容量を略同じに設定した。従来装置の撹拌槽の全容量が2016Lであり、実施例装置の撹拌槽の全容量が2054Lである。撹拌槽の容量は、実施例装置の方が従来装置に比べて僅かに大きいが略同じに設定されている。しかしながら、実施例装置の本体サイズは、従来装置よりも小さくなっている。具体的には、従来装置の全高6873mm、全幅3424mmに対して実施例装置は全高3890mm、全幅2424mmとなっており、全高で約57%、全幅で約30%まで小型化されている。本実施例装置の小型化に寄与しているのは、モータおよび減速機である。すなわち、本実施例装置の内方回転軸および外方回転軸のいずれもモータの出力が、従来装置のモータの出力の半分である。出力の小さいモータを利用することにより、ベアリングケースの小型化が可能になる。
【0054】
また、従来装置では、低速側の回転軸の周速を2.3m/s、高速側の回転軸の周速を23.9m/sであり、両軸を相対的に逆方向に回転させたときの周速差が、40倍以上になる。両軸を同じ方向に回転させても周速差は10倍以上になる。これに対して、実施例装置は、内方回転軸の周速を2.2m/s、外方回転軸の周速を5.1m/sであり、両軸を相対的に逆方向に回転させたときの周差が、約10倍である。周速差だけを見れば、実施例装置のせん断力が小さくなるように思えるが、従来装置よりもせん断力が高い。すなわち、本実施例装置は、起立翼4Bと回転翼6との相互作用によって、両翼4B、6のすれ違う過程で流速が徐々に増し、両翼4B、6がすれ違った後に互いに離反するときに回転翼6による撹拌対象物の引き込み作用によって流速が急激に増し、せん断力は従来装置以上になる。また、実施例装置は、周速差が小さいので、従来装置よりも摩擦熱の発生を抑制される。
【0055】
さらに、実施例装置の撹拌槽に投入可能な撹拌対象物の容量は1400Lであり、従来装置で投入可能な撹拌対象物の量は1000Lである。したがって、実施例装置は、撹拌可能な有効容量を従来装置に比べて40%増加させることができる。すなわち、撹拌槽の容量のみに着目すれば、生産効率を40%高くすることができる。
【0056】
<第2実施形態>
本実施形態は、パドル翼4の構成が上記の第1実施形態と異なる。したがって、異なる構成について詳述し、第1実施形態と同一の構成については同一符号を付すに留める。なお、本実施形態では、パドル翼4の上向き傾斜面を回転方向に設定した場合を例にとって説明するので、以下において、当該傾斜面を単に前面と称し、その反対側を裏面と称する。
【0057】
パドル翼4は、図8図11に示すように、環状フレーム4Aの内側に形成される開口部の面積を小さくする拡張プレート11を前面に備えている。拡張プレート11は、その裏面と環状フレーム4Aの前面と密着するように、環状フレーム4Aと同様に傾斜方向の前後に僅かに捻られた形状をしている。
【0058】
拡張プレート11は、環状フレーム4Aにワッシャ12を介してボルト13で固定されている。拡張プレート11は、ボルト14による固定を解除することにより、環状フレーム4Aから取り外し可能である。すなわち、拡張プレート11は、環状フレーム4Aに着脱可能に構成されている。なお、拡張プレート11を取り外して環状フレーム4Aのみで使用する場合、ネジ穴にキャップを被せて封止する。或は、ネジ穴を有しない環状フレーム4Aからなるパドル翼4に交換する。なお、環状フレーム4Aへの拡張プレート11の装着は、ボルト13による固定に限定されない。撹拌槽内で撹拌対象物を撹拌する過程で、拡張プレート11が環状フレーム4Aから外れない構成であれば特に限定されない。
【0059】
また、拡張プレート11は、外形が環状フレーム4Aと略同じである。拡張プレート11の内形状は、環状フレーム4Aの内形状の六角形と異なり五角形である。拡張プレート11の内形状は、翼のサイズに依存するので、翼のサイズに応じて環状フレーム4Aと同じ六角形にもすることができる。換言すれば、拡張プレート11の内形状は多角形であればよいことを意味する。
【0060】
また、拡張プレート11は、図8に示すように、プレート幅W1(全域)が、フレーム幅W(図2を参照)よりも大きく設定されている。すなわち、拡張プレート11によって形成される開口部の面積が、環状フレーム4Aによって形成される開口部の面積よりも小さくなるように設定されている。
【0061】
上記構成によれば、環状フレーム4Aのフレーム幅Wを拡張プレート11によって拡張する一方で開口面積を小さくするので、例えば、撹拌対象物が低粘度の場合、拡張プレート11の前面で撹拌対象物を効率よく掻き揚げる一方で、開口部を通過する撹拌対象物の流量を少なくしながら撹拌対象物をせん断することができる。すなわち、拡張プレート11の内形状も環状フレーム4Aと同様に多角形であり、複数の角部を有するので、パドル翼4の内周壁側を通過する撹拌対象物は角部に引っ掛かり易くなり、開口部の中央とパドル翼4の内壁側で撹拌対象物の流速に速度差が生じる。当該速度差によってせん断作用が生じる。したがって、撹拌対象物の粘度に応じた拡張プレート11に適宜に設定変更することにより、製造対象の撹拌対象物の特性に関わらず、同じ撹拌装置1で効率よく撹拌処理を行うことができる。
【0062】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0063】
(1)上述の実施形態において、回転翼6が門型であったが、平板状、格子状、起立翼4Bと同様に三角柱または平板を折り曲げたL字状であってもよい。この場合、パドル翼4と同じ内方回転軸3Aに設けた傾斜翼5は、回転翼6と接触しない位置に設ける。例えば、傾斜翼5は、パドル翼4と回転翼6の間に設ける。或は、傾斜翼5は、パドル翼4の上方であって、撹拌対象物に浸漬する状態に配置する。
【0064】
(2)上述の第2実施形態において、パドル翼4に装着する拡張プレート11は、前面からボルト13を螺入して固定しているが当該固定方法に限定されない。例えば、図12の断面図に示すように、環状フレーム4Aから内側に突き出た部分の厚みを環状フレーム4Aと同じ厚みにする。すなわち、当該厚みの部分を環状フレーム4Aの開口部に挿入して拡張プレート11を嵌合させる。さらに、拡張プレート11の内壁から環状フレーム4Aの内壁に食い込むようにネジ14を螺入して固定する。図12ではネジ14のヘッドを拡張プレート11内に埋設しているが、ヘッド部分をボルト13と同様に拡張プレート11内から露出させた構成であってもよい。
【0065】
或は、図13の断面図に示すように、拡張プレート11の内壁を前面から裏面に向けて広がるようにテーパ状に構成してもよい。この構成によれば、前面側に鋭利なエッジが形成されるので、せん断力が向上する。
【0066】
(3)上述の実施形態では、パドル翼4と同じ内方回転軸3Aに傾斜翼5を備えているが、傾斜翼5を備えない構成であってもよい。
【0067】
(4)上述の実施形態では、起立翼4Bの形状が三角柱であるが当該形状に限定されず、回転方向の面が内向き傾斜姿勢になる構成であればよい。例えば、回転軸側から平面視したときアルファベットのL字状に屈折したプレートであってもよい。この場合、L字状の短辺側の面を撹拌槽2の内壁に対向させ、長辺の先端側の内縁と回転翼6の外縁とがすれ違うように構成すればよい。この構成によれば、上記実施形態と同様に両翼4B、6の間隙を通過する撹拌対象物を効率よくせん断することができる。
【0068】
(5)上述の各実施形態では、撹拌中にパドル翼4と回転翼6が逆方向に回転しているが、パドル翼4に設けられた起立翼4Bおよび回転翼6の両周速度に差が生じ、起立翼4Bと回転翼6にすれ違いが生じればよい。例えば、起立翼4Bおよび回転翼6を同じ方向に回転させながら、いずれかの翼の回転速度を相対的に遅くまたは速くすればよい。或は、起立翼4Bまたは回転翼6のいずれかの回転を停止し、他方の翼のみを回転させてもよい。
【0069】
(6)上述の各実施形態では、パドル翼4に起立翼4Bを備えた構成であったが、図14に示すように、起立翼4Bを備えない構成であってもよい。この構成のパドル翼4を利用した場合、例えば、図15に示すように、門型の回転翼6の外縁が、撹拌槽2の内壁に近接するように構成すればよい。なお、起立翼4Bを有しないパドル翼4Aの環状フレーム4Aにも上記第2実施形態と同様に拡張プレート11を装着することができる。また、回転翼6は、門型に限定されず、平板翼、格子翼などであってもよい。
【0070】
(7)上記各実施形態では、パドル翼4と回転翼6を同芯状の異なる回転軸3A、3Bに備えた構成であったが、同じ回転軸に備えた構成であってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 撹拌装置
2 撹拌槽
2A 胴体
2B 底部
2C 蓋部
3 回転軸
3A 内方回転軸
3B 外方回転軸
4 パドル翼
4A 環状フレーム
4B 起立翼
5 傾斜翼
6 門型の回転翼
7 開閉弁
8 流路
9 ベアリングケース
10 ジャケット
11 拡張プレート
12 ワッシャ
13 ボルト
14 ネジ
【要約】
【課題】撹拌槽に投入された撹拌対象物を効率よく撹拌し、製造対象物を効率よく製造するパドル翼およびパドル翼を備えた撹拌装置を提供する。
【解決手段】 内方回転軸3Aの先端にパドル翼4を備えた撹拌装置1であって、円筒状の胴体2Aとテーパ状の底部2Bとからなり、撹拌対象物が投入される撹拌槽2と、前記内方回転軸3Aを回転駆動させる駆動機構とを備える。前記パドル翼4は、一対の環状フレーム4Aよって形成されている。また、内方回転軸3Aと同芯状に回転する外方回転軸3Bに回転翼6を備える。パドル翼4と回転翼6は、各回転軸3A、3Bによって独立して回転する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16