(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571865
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】パッケージ圧力を低下させるための外部ゲッターの使用
(51)【国際特許分類】
H01L 23/26 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
H01L23/26
【請求項の数】16
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-511422(P2018-511422)
(86)(22)【出願日】2016年5月19日
(65)【公表番号】特表2018-527751(P2018-527751A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】US2016033219
(87)【国際公開番号】WO2017069804
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2018年3月1日
(31)【優先権主張番号】14/887,544
(32)【優先日】2015年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,スティーヴン,エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,アダム,エム.
【審査官】
豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2014/0124899(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0014854(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/54
23/00−23/04
23/06−23/10
23/16−23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハレベルパッケージを形成するのに使用されるウエハであって、
ウエハレベルパッケージ(WLP)領域と外部領域とによって画成された表面を有する基板と、
前記基板の前記表面の前記外部領域の少なくとも一部上に配置されたゲッター材料の層と、
を有し、
前記外部領域は、ソー・ツー・リビール(STR)領域を有し、前記ゲッター材料の層は、少なくとも2つのWLP領域に沿って連続している、
ウエハ。
【請求項2】
前記STR領域は、交差する横及び縦のソーレーンの2次元パターンによって画成され、前記ゲッター材料の層は、前記横及び縦のソーレーンの少なくとも一方の少なくとも一部上に配置されている、請求項1に記載のウエハ。
【請求項3】
前記ゲッター材料の層は、前記横及び縦のソーレーンの双方の少なくとも一部上に配置されている、請求項2に記載のウエハ。
【請求項4】
前記STR領域は、一連の平行なソーレーンによって画成されている、請求項1に記載のウエハ。
【請求項5】
前記基板は窓キャップウエハであり、前記WLP領域の少なくとも一部は、光透過性の窓材料を含んでいる、請求項1に記載のウエハ。
【請求項6】
前記基板はデバイスウエハであり、前記WLP領域の少なくとも一部は、少なくとも1つの半導体デバイスを含んでいる、請求項1に記載のウエハ。
【請求項7】
前記ゲッター材料の層は更に、前記WLP領域の少なくとも一部上に配置されている、請求項1に記載のウエハ。
【請求項8】
前記ゲッター材料は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載のウエハ。
【請求項9】
前記ゲッター材料の層の厚さは、約1000オングストロームから約10,000オングストロームの範囲内にある、請求項8に記載のウエハ。
【請求項10】
ウエハレベルパッケージを形成するのに使用されるウエハを形成する方法であって、
基板を用意することと、
外部領域を少なくとも部分的に画成するよう、前記基板の表面をマスキング材料でマスキングすることであり、前記外部領域の少なくとも一部が、前記基板の前記表面に対して開かれる、マスキングすることと、
前記外部領域の前記開かれた部分を介して前記基板の前記表面上にゲッター材料の層を堆積させることと、
を有し、
前記外部領域は、ソー・ツー・リビール(STR)領域を有し、前記堆積させることは、少なくとも2つのウエハレベルパッケージ(WLP)領域に沿って連続した前記ゲッター材料の層を形成する、
方法。
【請求項11】
前記表面を前記マスキング材料でマスキングすることは、前記WLP領域を少なくとも部分的に画成し、前記WLP領域の少なくとも一部が、前記基板の前記表面に対して開かれ、前記ゲッター材料の層は更に、前記WLP領域の前記開かれた部分を介して前記基板の前記表面上に堆積される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ウエハレベルパッケージを形成する方法であって、
窓キャップウエハ及びデバイスウエハを用意することであり、前記窓キャップウエハ及び前記デバイスウエハの各々が、ウエハレベルパッケージ(WLP)領域と外部領域とによって画成される表面を有し、前記窓キャップウエハ及び前記デバイスウエハの少なくとも一方の前記外部領域の少なくとも一部上に、ゲッター材料の層が配置され、前記外部領域は、ソー・ツー・リビール(STR)領域を有し、前記ゲッター材料の層は、少なくとも2つのWLP領域に沿って連続している、用意することと、
前記窓キャップウエハを前記デバイスウエハとアライメントすることと、
前記窓キャップウエハ及び前記デバイスウエハを互いに接合することで、前記ウエハレベルパッケージを形成することと、
を有する方法。
【請求項13】
前記接合することの間に、前記窓キャップウエハ及び前記デバイスウエハの少なくとも一方に存在する1つ以上の不純物の少なくとも一部が、前記ゲッター材料の層へと脱ガスする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ゲッター材料の層は、前記接合することの間に、前記窓キャップウエハと前記デバイスウエハとの間の領域内の圧力を低下させる、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記接合することは、真空下で実行され、且つ、接合中に前記ゲッター材料の層が活性化される温度まで前記ゲッター材料の層を加熱することを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記ゲッター材料の層は、少なくとも300℃の温度まで加熱される、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
従来のウエハレベルパッケージ(WLP)は、ボンディング構造を用いてキャップウエハまたは蓋ウエハに接合される基板上に1つ以上のデバイスを配置したデバイスウエハを含む。完成したWLPは、デバイスを保護して耐用年数を延ばす気密封止された内部を形成する。WLPの封止された真空キャビティ内の圧力を低下させるため、及びデバイスの寿命にわたって真空を維持するために、歴史的にゲッターが使用されてきた。ゲッターは典型的に、活性化されたときに真空又は低圧の環境内のガス分子を捕捉する材料である。ゲッターは、WLP内にパッケージングされたコンポーネントから脱ガスされる酸素並びにその他の分子及び不純物を吸収し、吸着し、及び/又は物理的に捕捉し、特定の例では、外部環境からWLPに漏れ込む不純物をも捕捉し得る。ゲッターは典型的に、不純物と反応して、例えば酸化物、炭化物、水素化物、及び窒化物などの安定な化合物を形成する材料から成る。
【0002】
ダイサイズが縮小するにつれて、WLP内でゲッターに割り当てることができるスペースの量も減少する。故に、ウエハボンディングプロセス中に、それら小さいゲッターを汚染してしまう可能性が高まる。従って、このゲッターサイズの減少及びそれに続く汚染リスクの増大を補償することができる方法又はシステムが望まれる。
【発明の概要】
【0003】
態様及び実施形態は、WLPを構成するウエハのうちの一方又は双方の外部領域の少なくとも一部に配置されたゲッター材料の層を提供する装置及び方法に関する。
【0004】
一実施形態によれば、ウエハレベルパッケージを形成するのに使用されるウエハは、ウエハレベルパッケージ(WLP)領域と外部領域とによって画成された表面を持つ基板を有し、該基板の表面の外部領域の少なくとも一部上にゲッター材料の層が配置される。
【0005】
一例において、外部領域は、ウエハのソー・ツー・リビール(saw-to-reveal;STR)領域を有する。一例において、STR領域は、交差する横及び縦のソーレーンの2次元パターンによって画成され、ゲッター材料の層は、横及び縦のソーレーンの少なくとも一方の少なくとも一部上に配置される。更なる一例によれば、ゲッター材料の層は、横及び縦のソーレーンの双方の少なくとも一部上に配置される。他の一例によれば、STR領域は、一連の平行なソーレーンによって画成される。一例によれば、ゲッター材料の層は連続している。
【0006】
一例において、基板は窓キャップウエハであり、WLP領域の少なくとも一部は、光透過性の窓材料を含んでいる。他の一例において、基板はデバイスウエハであり、WLP領域の少なくとも一部は、少なくとも1つの半導体デバイスを含んでいる。一例において、ゲッター材料の層は更に、WLP領域の少なくとも一部上に配置される。
【0007】
一例において、ゲッター材料は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つを有する。一例において、ゲッター材料の層の厚さは、約1000オングストロームから約10,000オングストロームの範囲内にある。
【0008】
他の一実施形態によれば、ウエハを形成する方法は、基板を用意することと、外部領域を少なくとも部分的に画成するよう、基板の表面をマスキング材料でマスキングすることであり、外部領域の少なくとも一部が、基板の表面に対して開かれる、マスキングすることと、外部領域の開かれた部分を介して基板の表面上にゲッター材料の層を堆積させることと、を有する。
【0009】
一例において、表面をマスキング材料でマスキングすることは、WLP領域を少なくとも部分的に画成し、WLP領域の少なくとも一部が、基板の表面に対して開かれ、ゲッター材料の層は更に、WLP領域の前記開かれた部分を介して基板の表面上に堆積される。一例において、外部領域は、少なくとも1つのソーレーンによって画成されるSTR領域を有する。更なる一例において、堆積させることは、連続したゲッター材料の層を形成する。
【0010】
他の一実施形態によれば、ウエハレベルパッケージを形成する方法は、窓キャップウエハ及びデバイスウエハを用意することであり、窓キャップウエハ及びデバイスウエハの各々が、WLP領域と外部領域とによって画成される表面を有し、窓キャップウエハ及びデバイスウエハの少なくとも一方の外部領域の少なくとも一部上に、ゲッター材料の層が配置される、用意することと、窓キャップウエハをデバイスウエハとアライメントすることと、窓キャップウエハ及びデバイスウエハを互いに接合することで、ウエハレベルパッケージを形成することと、を有する。
【0011】
一例において、接合することの間に、窓キャップウエハ及びデバイスウエハの少なくとも一方に存在する1つ以上の不純物の少なくとも一部が、ゲッター材料の層へと脱ガスする。他の一例において、ゲッター材料の層は、接合することの間に、窓キャップウエハとデバイスウエハとの間の領域内の圧力を低下させる。
【0012】
一例において、接合することは、真空下で実行され、且つ、接合中にゲッター材料の層が活性化される温度までゲッター材料の層を加熱することを有する。更なる一例において、ゲッター材料の層は、少なくとも300℃の温度まで加熱される。
【0013】
他の一実施形態によれば、ウエハレベルパッケージに使用されるウエハは、WLP領域と外部領域とによって画成された表面を持つ基板を有し、外部領域は、複数の交差する横及び縦のソーレーンを含み、基板の表面のWLP領域及び外部領域の各々の少なくとも一部上に、少なくとも1つの、ゲッター材料の層が配置される。
【0014】
これらの態様例及び実施形態例の更なる他の態様、実施形態、及び利点が、以下にて詳細に説明される。また、理解されるべきことには、以上の情報及び以下の詳細な説明はどちらも、様々な態様及び実施形態のうちの単なる例示的な例であり、特許請求される態様及び実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図したものである。ここに開示される実施形態は、他の実施形態と組み合わされてもよく、“実施形態”、“例”、“一部の実施形態”、“一部の例”、“代替実施形態”、“様々な実施形態”、“一実施形態”、“少なくとも1つの実施形態”、“この及び他の実施形態”、“特定の実施形態”、又はこれらに類するものへの言及は、必ずしも相互に排他的なものではなく、記載される特定の特徴、構造、又は特性が、少なくとも1つの実施形態に含まれ得ることを指し示すことを意図したものである。ここにこれらの用語が複数現れることは、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
以下、縮尺通りに描くことは意図していない添付の図面を参照して、少なくとも1つの実施形態の様々な態様を説明する。図面は、様々な態様及び実施形態の例示及び更なる理解を提供するために含められており、本明細書に組み込まれてその一部を構成するが、何れか特定の実施形態の限定を規定するものとして意図したものではない。図面は、本明細書の残りの部分と共に、記載されて特許請求される態様及び実施形態の原理及び動作を説明する役割を果たす。図面において、様々な図に示される同じ又は略同じ構成要素は各々、似通った参照符号によって表される。明瞭さの目的のため、全ての図で全ての構成要素にラベルを付すことはしていない場合がある。
【
図1】FIG.1A及びFIG.1Bは、本開示の1つ以上の態様に従ったウエハの平面図を例示する図である。
【
図2】本開示の1つ以上の態様に従った一対のウエハの一部の断面図を例示する図である。
【
図3】FIG.3A及びFIG.3Bは、本開示の1つ以上の態様に従った窓キャップウエハの平面図を例示する図である。
【
図4】FIG.4A及びFIG.4Bは、本開示の1つ以上の態様に従ったデバイスウエハの平面図を例示する図である。
【
図5A】本開示の1つ以上の態様に従った他のデバイスウエハの平面図を例示する図である。
【
図5B】本開示の1つ以上の態様に従った、
図5Aに示したデバイスウエハに対応するマスクの図である。
【
図6】本開示の1つ以上の態様に従った一方法のフロー図である。
【
図7】本開示の1つ以上の態様に従った他の一方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
態様及び実施形態は、ウエハの外部領域の少なくとも一部上に配置されたゲッター材料の層を含むウエハレベルパッケージ(WLP)に使用されるウエハに関する。以下にて更に説明するように、WLP領域は、完成したWLPパッケージの頂部又は底部のコンポーネントの何れか、すなわち、蓋ウエハ及びデバイスウエハの何れかを含み、従って、WLPパッケージに使用されるウエハの部分に対応する。ここで使用されるとき、用語“外部領域”は、WLPの封止領域の外側にあるウエハの領域を指す。例えば、一部の実施形態によれば、外部領域は、ウエハのソー・ツー・リビール(saw-to-reveal;STR)領域を有し得る。外部ゲッター材料はまた、ソーレーンの他に、例えば複数のダイのコーナーが出会う交差領域においてなど、さもなければ使用されず且つソーレーンの部分ではないウエハの領域でも使用され得る。外部ゲッターが使用され得る領域のその他の例は、ブランクであるかゲッター材料の層で覆われることができる領域を持つかであるウエハの周辺部における、“リソグラフィ”領域又は別法による“印刷”若しくは“動作”領域の外側の領域である。以下で更に説明するように、WLP内部の外側の、パッケージアセンブリプロセス中に圧力を低下させる手段としてゲッター材料を使用し得る如何なる領域も、本開示の外部ゲッター材料に適し得る。
【0017】
先述のように、ダイサイズが縮小するにつれて、ゲッターに割り当てることができるWLP内の面積量も縮小し、それにより、ゲッターの機能的能力が低下される。しかしながら、ダイサイズが縮小していく一方で、特定の例では、ウエハの表面のWLP領域の外側にあるソーレーン又はその他の領域によって消費される面積量は、同じサイズに留まるか増大するかの何れかである。ウエハのWLP領域の外側にゲッター材料を付与することにより、大きなゲッタリング表面を追加して、WLP内部のゲッター材料の減少を補償する助けにすることができる。この更なるゲッタリング表面は、WLPボンディングプロセス中にウエハ間の圧力を低下させるために利用可能であり、従って、WLP内に位置するゲッター材料を汚染する可能性を低下させる。外部領域に置かれる追加のゲッター材料は、ボンディングプロセス中に脱ガスした材料(これは、通常は、WLP内に置かれたゲッター材料によって吸収されることになる)を除去することができる。これは、ボンディングプロセス中のWLP内のゲッター材料への負荷を低減し、それにより、パッケージングされた装置の寿命の間にWLP内のゲッター材料がいっそう多くの脱ガス物質を吸収することを可能にし、可能性として装置の寿命を延ばし得る。さらに、WLP領域の外側のウエハにわたって適用されるゲッターは、ウエハ全体にわたって脱ガスした要素を除去するのに有益なものであり、故に、ウエハ全体に関して真空圧力を低下させ得る。例えば、ウエハ全体でのゲッター容量を増やすことによって、ウエハ全体の圧力を低下させることができ、それによりピクセル応答(圧力と相関がある)を向上させ得る。ピクセル応答の高まりは、感度の上昇をもたらし、ひいては、センサの性能を高める。
【0018】
本発明に従ってここに開示される態様は、それらの適用において、以下の記載に説明され又は添付図面に図示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されるものではない。これらの態様は、他の実施形態を想定することが可能であり、また、様々なやり方で実施あるいは実行されることが可能である。具体的な実装の例が、単に例示の目的でここに提供されるが、限定することを意図したものではない。特に、何れか1つ以上の実施形態に関連して説明されるアクト、コンポーネント、要素、及び特徴は、他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図されない。
【0019】
また、ここで使用される言葉遣い及び用語は、記述目的でのものであり、限定するものとして見なされるべきでない。ここでは単数形で言及されるシステム及び方法の例、実施形態、コンポーネント、要素又はアクトへの言及は、複数を含む実施形態をも包含し得るものであり、ここでの、何れかの実施形態、コンポーネント、要素又はアクトへの複数形での参照は、単一であることを含む実施形態をも包含し得るものである。単数形又は複数形での言及は、ここに開示されるシステム又は方法、それらのコンポーネント、アクト又は要素を限定することを意図するものではない。“含む”、“有する”、“持つ”、“含有する”、“伴う”及びこれらの変形のここでの使用は、その後に挙げられる品目及びそれらの均等物並びに更なる品目を含む意味である。“又は”への言及は、“又は”を用いて記載される項目が、記載される項目のうちの、単一の、1つよりも多くの、及び全ての、の何れかを指し示し得るように、包含的なものとして解釈され得る。さらに、本明細書とここに援用される文書との間で用語の用法が一貫しない場合、援用された参考文献での用語の用法は、本明細書のそれに対して補足的なものであり、相容れない矛盾については、本明細書での用語の用法が支配する。
【0020】
図1のFIG.1Aを参照するに、その表面102に2次元パターンが画成されたウエハ100の上面図が示されている。FIG.1Aに示される基板のパターン形成された表面は格子パターンであるが、他のパターンも本開示の範囲内である。
図1のFIG.1Bは、表面102のうち、丸で囲まれた部分の拡大図を示しており、表面102が、外部領域104とWLP領域106とによって画成されることがいっそう明瞭に示されている。更に詳細に後述するように、WLP領域106は、完成したWLPパッケージの頂部又は底部のコンポーネントの何れか、すなわち、蓋ウエハ及びデバイスウエハの何れかを含んでおり、従って、WLPパッケージに使用されるウエハ100の部分に対応する。図示のように、外部領域104は、WLP領域106の外側の領域として画定される。この例では、外部領域104は、スクライブレーン又はスクライブラインとして参照されることもある複数の交差する横及び縦のソーレーン114によって画成されるSTR領域を有している。ソーレーン114は、個々のWLPパッケージを形成するために切断又はダイシングされるウエハ100の部分を画成する。FIG.1A及びFIG.1Bに示される実施形態の横及び縦のソーレーン114の各々は、互いに平行で等間隔であるが、他の実施形態は、例えば
図3、4のFIG.3A、3B、4A、及び4Bを参照して後述する実施形態などのように、互いに等間隔ではない横及び/又は縦のソーレーンを含み得る。理解されるべきことには、外部領域104のSTR領域は、例えば対角線パターンなど、他のパターン又は構成のソーレーンによって画成されてもよい。
【0021】
再びFIG.1Bを参照するに、外部領域104の少なくとも一部上に、ゲッター材料108の層が配置されている。例えば、ゲッター材料108の層は、STR領域を形成する横及び/又は縦のソーレーン114のうちの1つ以上の少なくとも一部上に配置され得る。ゲッター材料108の層は、連続したものとすることができ、これが意味することは、少なくとも一部のゲッター材料が、ウエハを横切って延在するように、ソーレーン114の幅及び/又は長さのかなりの部分にわたって途切れなく配置されるということである。例えば、FIG.1Bの横及び縦のソーレーン114内に示されるゲッター材料108の層は、それらそれぞれの長さ及び幅の実体的部分に沿って延在している。しかしながら、他の実施形態によれば、ゲッター材料の層は、ソーレーン114の長さ及び/又は幅の一部のみにわたって延在してもよい。さらに、ゲッター材料108の層は、横ソーレーン114のうちの1つ以上、及び/又は縦ソーレーン114のうちの1つ以上の上に配置されてもよい。他の実施形態によれば、ゲッター材料108の層を含む外部領域104の1つ以上の領域が、ゲッター材料108の層を含まないその他の領域から隔てられ得るように、ゲッター材料108の層は不連続であってもよい。例えば、ゲッター材料の層108によって覆われるソーレーン114の領域が、ゲッター材料108の層によって覆われない領域によって、互いに離隔され得る。例えば、ゲッター材料の層は、ソーレーン114内に位置付けられた、例えば細長い楕円形、円形、長方形、又は正方形などのパターン又は形状として、SLR領域のソーレーン114内に配置されてもよい。
【0022】
図2は、WLPを形成するように互いに接合され且つ封止された一対のウエハの一部の一例の断面図を例示する図である。
図2に示すように、ボンディング構造116を用いて、蓋ウエハとしても参照される窓キャップウエハ120がデバイスウエハ122にハーメチックに接合されている。ボンディング構造116は、更に後述するように、例えば封止リング及びはんだ材料などの、1つ以上の接合材料及び/又は接合構造を含み得る。
図2に示す実施形態は、個々のWLPデバイスを分離するために切断装置がソーレーン114に沿って切断を行うものであるダイシングプロセスの前として示されている。WLP内に形成された、封止された空洞(キャビティ)が、更に詳細に後述する半導体デバイス110を有している。一部の実施形態によれば、封止されたキャビティは、低圧又は真空の条件下で封止され得る。
【0023】
特定の実施形態によれば、窓キャップウエハ120は、光透過性の窓材料112と、デバイスウエハ122の半導体デバイス110とアライメントされた穴(キャビティ)118とを含むことができ、又は、それらからその他の方法で構築されることができる。例えば、窓キャップウエハ120は、平坦面と、それとは反対側の、1つ以上のキャビティ118又は凹部を含むキャビティ面とを有し得る。光透過性の窓材料112は、電磁スペクトル内の1つ以上の波長のエネルギーが窓を通り抜けることを可能にする光透過性材料から構築されることができ、又はそれでコーティングされることができる。例えば、その材料は、可視スペクトル、赤外(IR)スペクトル、又はこれら双方において光透過性とし得る。可視スペクトル及びIRスペクトルの双方において光透過性である非シリコン系材料の非限定的な例は、セレン化亜鉛、硫化亜鉛、サファイア材料などを含む。一部の実施形態によれば、光透過性の窓材料112は、IR放射に対して透過性であるとし得る。
図2に示すように、窓キャップウエハ120の表面102の少なくとも一部上に、ゲッター材料108の層が配置される。例えば、ゲッター材料108の層は、WLPを境界付ける2つの見えているソーレーン114を含むSTR領域の部分を含んだ、窓キャップウエハ120の外部領域の少なくとも一部上に配置される。
図2に示す実施形態によれば、ゲッター材料108の層はまた、例えば、キャビティ118の領域の外側でボンド構造116に近接した窓キャップウエハ120の表面102上といった、ウエハのWLP領域内にも配置される。先述したように、これは典型的に、WLPデバイス内でゲッター材料が置かれるところである。ここに開示される実施形態は、オプションで、WLPパッケージ内に配置されるゲッター材料を含み得る。
【0024】
図2に示すデバイスウエハ122は、デバイスウエハ122を形成する基板の表面102上に形成された半導体デバイス110を含み得る。半導体デバイス110は、例えばフォーカルプレーンアレイ(FPA)検出器などのセンサデバイス若しくはマイクロエレクトロニクスデバイス及びその他のMEMSデバイスを含め、如何なる種類のデバイスであってもよい。ここで使用されるとき、用語“電子デバイス”及び“デバイス”は、交換可能に使用され、また、半導体ダイ、RFデバイス、MEMSデバイス、及び本発明の1つ以上の実施形態に従って使用され得るその他の電気コンポーネントを包含すると理解されるべきである。特定の例において、電子デバイス装置は、より大きいシステムを含む又はその一部であるとし得る。電子デバイスの非限定的な例はまた、検出器及び基準デバイスを含むセンサアレイ及びディスプレイを含む。一部の実施形態において、半導体デバイスは、センサ素子を有するMEMSデバイスとし得る。例えば、
図2に示す半導体デバイス110は赤外線センサとすることができ、窓キャップウエハ120の光透過性の窓材料112は、IR光がデバイス110まで伝えられるように該赤外線センサの上に位置するようアライメントされた又はその他の方法で方向付けられた赤外線透過材料からなることができる。
図2に示すように、デバイスウエハ122の基板102の少なくとも一部上に、ゲッター材料108の層が配置される。上述したキャップウエハ120と同様に、ゲッター材料108の層は、WLPの外装を境界付ける2つの見えているソーレーン114を含んだ、デバイスウエハ122の外部領域の少なくとも一部上に配置される。ゲッター材料108の層はまた、FIG.3B及び4Bを参照して更に後述するように、WLPの内部に対応する領域内でもデバイスウエハ122上に配置されてよい。
【0025】
図2を参照して上述した実施形態は、窓キャップウエハ及びデバイスウエハを含んだWLPを含んでいるが、本開示の範囲は、この特定のタイプのWLPに限定されない。例えば、透過特性を有する窓キャップウエハを含まず、代わりに不透明な蓋を含み得るWLPを含め、他のタイプの構成も可能である。
【0026】
図3のFIG.3Aは、完成したWLPの蓋又はキャップを形成する複数の構造物を有したWLP領域106を含む表面102を持った、窓キャップウエハ120の一部の平面図を例示している。この例によれば、個々の蓋が、窓キャップウエハ120の表面102にわたって配置された複数の4×2グループパターンにて配列されている。理解されるように、グループパターンは、デバイス及び用途に特定的であり、また、ウエハのエッジ付近で変えられてもよく、また、一部の例では、グループ化は全く存在していなくてもよい。窓キャップウエハ120はまた、異なる幅を持つ一連の交差するソーレーン114を含んだ外部領域104を含んでいる。例えば、蓋構造の4×2グループ同士が、一連の幅広の平行な(横の)ソーレーン114によって隔てられ、これらのソーレーン114の少なくとも一部がゲッター材料108の層を含んでいる。この実施形態では、幅狭の(縦の)ソーレーン114は如何なるゲッター材料も含んでいないが、他の実施形態では、これらの領域はそのような材料を含んでいてもよい。
図3のFIG.3Bは、FIG.3A内の丸で囲まれた部分の窓キャップウエハ120の拡大図であり、光透過性の窓材料112と、完成したWLPの封止されたキャビティ内であるが窓112の外側に配置されたゲッター材料108の層と、を備えた個々の蓋に対応するWLP領域106を含んでいる。一部の実施形態において、蓋はこのゲッター材料を含んでいない。FIG.3Bには、上述のようにソーレーン114内に配置されたゲッター材料108の層も示されている。FIG.3BのWLP領域106はまた、窓キャップウエハ120をデバイスウエハ122に結合させるために使用されるボンド構造116(更に後述する)を含んでいる。
【0027】
図4のFIG.4Aは、完成したWLPのデバイス部分を形成する複数の構造物を有するWLP領域106と、ウエハを個々のWLPへと分割するのに使用されるソーレーン114を含む外部領域104とを含む表面102を持った、デバイスウエハ122の一部の平面図を例示している。デバイスウエハ122のWLP領域106及び外部領域104は、FIG.3A及び3Bを参照して上述した窓キャップウエハ120のWLP領域及び外部領域の鏡像であり、それ故に、2つのウエハの対応し合う表面が互いの上に位置付けられるとき、それぞれのボンド構造116が位置を揃えられ、ソーレーンによって分離された個々のWLPを形成する。お互いに接合されると、次いで、切断プロセスを用いて分離され、2つのウエハが多数の個々のWLPを形成する。上述した窓キャップウエハ120と同様に、デバイスウエハ122の“幅広”ソーレーンも、ゲッター材料108の層を含んでいる。
図4のFIG.4Bは、WLPのデバイス部分に対応するWLP領域106を含んだ、FIG.4A内の丸で囲まれた部分のデバイスウエハ122の拡大図である。この領域は、少なくとも1つの半導体デバイス110を含んでおり、また、特定の例では、特定のタイプの検出器とともに含められ得る基準デバイスを含んだ複数の半導体デバイスを含み得る。この例によれば、WLP領域106はまた、半導体デバイス110の外側に配置され且つ完成したWLPの封止されたキャビティ内にあるゲッター材料108を含んでいるが、他の実施形態では、このゲッター材料は存在しなくてもよい。FIG.4BのWLP領域106内に配置されたゲッター材料108は、半導体デバイス110の一方の側に配置されているが、理解されるように、ゲッター材料は、デバイス110の周りの1つ以上の異なる位置に配置されることができる。
【0028】
ここで使用されるとき、用語“ゲッター材料”は、例えば水、酸素、水素、有機蒸気、又はこれらの何らかの組み合わせなどの1つ以上の望ましくない物質を、吸収し、吸着し、又は化学的に閉じ込め、又はそれらと反応する如何なる材料をも指す。ゲッター材料108は、高度に多孔質で機械的に安定した1つ以上の材料からなり得る。特定の実施形態によれば、ゲッター材料の層は、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、ジルコニウム(Zr)、ルテニウム(Ru)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)及びモリブデン(Mo)のうちの少なくとも1つを有する。一部の実施形態によれば、ゲッター材料108はチタンを有し得る。例えば、ゲッター材料は、Integrated Sensing Systems社(ミシガン州イプシランティ)から入手可能なNanoGetters(登録商標)などのチタン系ゲッターとし得る。ゲッター材料は、1つ以上の層にて堆積されてもよく、約1000オングストロームから約10,000オングストロームの範囲内にある合計厚さを有し得るが、一部の例では、ゲッター材料の層は、10,000オングストロームよりも大きい厚さを有し得る。ゲッター材料の厚さは、具体的な用途又はデバイス用のゲッターとして機能する目的に適した如何なる厚さともし得る。
【0029】
上述したように、ゲッター材料108の層は、WLPの封止されたキャビティ領域の真空環境内の活性ガスを化学的に吸収する。例えば、FIG.3B及び4Bを参照するに、WLP領域106内に配置されたゲッター材料108がこの機能を果たし得る。この機能は、WLPの封止キャビティ内の真空環境が保存されることを可能にし、それにより、デバイスの耐用寿命が延長させる。少なくとも1つの実施形態によれば、例えばFIG.3A、3B、4A、及び4Bのソーレーン114内に形成されたゲッター材料108などの、外部領域内に配置されたゲッター材料108の層は、ボンディングプロセス中に活性ガスを吸収するように機能する。これは、WLP内に配置されたゲッター材料の負荷を低減し、そのゲッタリング容量が保存されること、及び故に、より長い期間にわたって使用されることを可能にし、それにより、デバイスの寿命を更に延ばし得る。
【0030】
様々な実施形態によれば、ゲッター材料108の層は、マスキングプロセスを使用して、ウエハ(すなわち、デバイスウエハ又は窓キャップウエハ)の予め選択された領域上に堆積され得る。例えば、一部の実施形態によれば、ゲッター材料を配置すべきウエハ表面の領域を画成するように、ウエハ上にマスキング材料が配置され得る。マスクの空いていない部分が、ゲッター材料が堆積されないことになる領域を画成し、空いた領域が、ゲッター材料が堆積される領域を画成する。例えば、マスク又はマスキング材料は、外部領域を少なくとも部分的に画成する開口領域を有することができ、そこで、外部領域の少なくとも一部が、ウエハの基板の表面に対して開かれる。他の実施形態によれば、マスク又はマスキング材料は、WLP領域の外側(すなわち、外部領域)及びWLP領域の内側(すなわち、WLP領域)の双方にあるウエハの領域に対応する開口領域を有していてもよい。故に、例えば
図5A及び5Bを参照して更に後述する実施形態のように、外部領域の少なくとも一部と、WLP領域の少なくとも一部とに、ゲッター材料が堆積され得る。
【0031】
図5Aは、WLP領域106に関するパターンを有するデバイスウエハ122の平面図であり、FIG.4Aに示したレイアウトとは対照的に、この例におけるWLPデバイスは、ウエハの表面の外部領域104の部分であるSTR領域を形成する一連の交差するソーレーン114によって隔てられて、ウエハの表面にわたって均等に分布されている。WLP領域106の少なくとも一部が、ゲッター材料108の層を含むとともに、この例でも横方向のソーレーン114を含む外部領域104の少なくとも一部が、ゲッター材料108の層を含んでいる。
【0032】
図5Bは、
図5Aに提示したレイアウトに対応するマスク134の図であり、マスク134は、ゲッター材料の堆積を阻止する中実の又はその他の阻止領域138を含んでいる。マスク134はまた、ゲッター材料108の層に関する所望のパターンに対応する開口領域136a及び136bを含んでいる。例えば、開口領域136aは、ゲッター材料が堆積される外部領域の部分に対応し、開口領域136bは、ゲッター材料が堆積されるWLP領域の部分に対応する。理解されるように、デバイスウエハに接合されることになる対応する窓キャップウエハ用に、同じ又は異なるパターンを有する別個のマスクが構築されて提供され得る。例えば、デバイスウエハ及び窓キャップウエハの外部領域104及びWLP領域の同じ対応し合う部分に、ゲッター材料が堆積され得る。これは、双方のタイプのウエハに同じマスクを使用することを可能にし、それにより、プロセス効率を高め、製造コストを削減し得る。
【0033】
マスクは、別個のピースであってもよいし、ウエハの表面上に堆積されてもよい。例えば、一部の実施形態によれば、マスクはシャドウマスクであってもよく、これは、それを通して堆積が起こる所定パターンの穴を含む平面状の材料を指す。シャドウマスクは、所望のパターンを画成する形状又は大きさの穴又は開口を有した、何らかの形状又は大きさの薄い金属プレートとし得る。例えば、
図5Bに示すマスク134は、下に位置するデバイスウエハ122の全体的な外輪郭を有しており、また、内部は、この例では、WLP領域の一部と、外部領域を構成する横ソーレーン114のかなりの部分とを含んだ、ゲッター材料に所望されるパターンに対応する開口領域136a及び136bを含んでいる。マスクは、ステンレス鋼、又は例えばKovar(登録商標)(ペンシルベニア州ワイオミッシングのCarpenter Technology社)などのステンレス鋼系列のその他の材料から構築され得る。マスクは、堆積プロセスにおいてゲッター材料が、マスクの開口領域を通って、下に位置するウエハの表面上に堆積されるように、デバイスウエハ又は蓋ウエハの上にアライメントされて配置され得る。
【0034】
他の実施形態によれば、マスクは、ゲッター材料の所望パターンを画定するようにウエハの表面に設けられるフォトレジストマスクとし得る。例えば、ゲッター材料の堆積を阻止すべきウエハの特定の領域上にフォトレジスト材料が堆積され、その後、ゲッター材料が、フォトレジスト材料が存在していないウエハの表面上に堆積され得る。後の、フォトレジスト材料が除去される処理工程において、ゲッター材料を保護するために、ゲッター材料を覆うようにコーティング材料も堆積され得る。活性化されるときに、コーティング材料はゲッター材料のバルク内に吸収されることができ、露出された“新鮮な”ゲッター材料が残される。一部の実施形態によれば、コーティング材料は、例えばニッケル、銅、金、又は白金などの金属の1つ以上の層を有し得る。コーティング材料は、容易に酸化せず且つ例えば300℃といった比較的低い温度でゲッター材料内に拡散することができる如何なる材料ともし得る。コーティング材料はまた、例えば望ましい堆積方法及びシステム並びにフォトリソグラフィ材料及びシステムなどの、所望の用途のシステム及びプロセスに適合していなければならない。コーティング材料の層の厚さは薄くてよく、特定の実施形態において100nm未満の厚さを有することができ、少なくとも1つの実施形態によれば約30nmの厚さを有し得る。
【0035】
一部の実施形態によれば、ゲッター材料108の層は、デバイスウエハ122及び窓キャップウエハ120の基板上に、スパッタリング、電子ビーム、又は特定の例において熱蒸発法を用いて堆積され得る。例えば、スパッタリング源は、高エネルギー堆積プロセスで使用されることができ、電子ビーム及び熱蒸発源は、低エネルギー堆積プロセスで使用されることができる。高エネルギー堆積法は、比較的平坦な形態(モルフォロジ)を持つゲッター材料の層を作り出すことができ、その一方で、低エネルギー堆積法は、もっと塊的な又は凝集した形態を持つゲッター材料の層を作り出すことができる。特定の例において、粗い塊的な構造は、ガス分子を物理的に閉じ込めるように機能することができ、従って、ゲッター材料のゲッタリング能力を向上させ得る。
【0036】
一部の実施形態によれば、ゲッター材料の層は、堆積プロセスそれ自体の間に活性化されるが、他の実施形態では、ゲッター材料108の層は、後述するように、例えばボンディングプロセス中などに別途に活性化される。活性化は、ゲッター材料に対して実行されてそれがゲッター材料として機能することを可能にし得る如何なるプロセスをも指し、典型的には、所定長さの時間にわたって所定の温度でゲッター材料を加熱することを含む。例えば、特定の実施形態において、ゲッター材料は、不活性環境内又は真空環境内で約10分から約120分の範囲内の時間の期間にわたって約200℃から約500℃の範囲内の温度にゲッター材料を加熱することによって活性化され得る。一部の実施形態によれば、ゲッター材料は非蒸発性のゲッターである。このタイプのゲッターは、低温で高真空又は超高真空にて行われるスパッタリング技術を使用して堆積され得るとともに、350℃未満の温度にゲッター材料を加熱することによって活性化され得る。このタイプのゲッター材料は、デバイスによって経験される最高温度を350℃未満の値に保つことが望ましい例えばマイクロボロメータデバイスなどのデバイスをWLP領域が含む用途に特に有用である。
【0037】
特定の例において、ゲッター材料108は、ボンディング構造116を形成する材料の1つ以上の層の堆積の前又は後に堆積され得る。例えば、ボンディング構造116は、WLPの周囲に連続したリングを形成する金属及び/又は誘電体の1つ以上の層を有したシール構造を含み得る。シール構造は、WLPの周囲でデバイスウエハ及び蓋ウエハの一方又は双方に堆積された、チタンタングステン(TiW)、チタン(Ti)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)、及び金(Au)のうちの1つ以上を含んだ、異なる金属の複数の層を有することができる。シール構造は典型的に、蓋ウエハ及びデバイスウエハの各々に形成される。ボンディング構造はまた、ウエハ各々のそれぞれの封止構造を互いに接合するために使用されることが可能な、例えば熱活性化はんだ(例えば、金−錫はんだ、又はインジウムを含むはんだ材料)などの接合剤を含んでいる。特定の例において、シール構造は、接合剤のための接着表面として機能する材料の層を含み得る。一部の実施形態によれば、接合剤は熱活性化はんだからなり得るが、接合剤は、如何なる適切な封止材料を有していてもよい。例えば、一部の実施形態によれば、ボンディング構造116は、例えばインジウム圧縮シールなどの圧縮シールを有し得る。圧縮シールが使用される場合、シール構造は、熱活性化接合剤のための接着表面として機能する材料の層を含んでいなくてもよい。一部の実施形態によれば、接合剤は、蓋ウエハ上のシール構造及びデバイスウエハ上のシール構造の各々に設けられ、その時点で、後述するように、これら2つのウエハはボンディングプロセスの準備が整う。
【0038】
一実施形態によれば、ゲッター材料が堆積された後に、窓キャップウエハ120及びデバイスウエハ122は、ゲッター活性化及びボンディングプロセスが行われるアセンブリチャンバへと移動され得る。このプロセスにて、真空気密シールと機械的接合とを生み出す技術によって、窓キャップウエハ120がデバイスウエハ122にアライメントされて取り付けられ得る。このようなプロセスの1つの好適例はハイブリダイゼーションである。ハイブリダイゼーションでは、結び付けられて封止されるべき2つの物品が、典型的に例えばインジウムなどの金属からなる封止素子表面を間に置いて、機械的圧力及び加熱の下で、共にアライメントされて接触させられる。ハイブリダイゼーションでは、物品全体が封止材で作製されてもよいし、別個の封止素子が物品間に配置されてもよいし、封止される物品表面うちの1つ以上が封止材でコーティングされてもよい。昇温下で物品に及び封止材中に機械的な力を印加することで、封止材が物品間のジョイント及びハーメチックシールを形成することを引き起こす。例えば、上述の例を用いるに、窓キャップウエハ及びデバイスウエハの各々が、それぞれの封止構造の一方又は双方の上に配置された接合剤として、インジウムの層を有した封止構造を含み得る。熱に曝されると、接合剤が溶融し、そして、印加された圧力と組み合わされて、これら2つのウエハ間に封止接合が形成される。印加された熱はまた、ゲッターを活性化するようにも機能し得る。このボンディング及び活性化プロセスは、アセンブリチャンバによって提供される不活性又は真空雰囲気中で行われ得る。これは、デバイス及びゲッター材料の汚染のリスクを低くするとともに、ゲッター材料が適切に活性化されることを確実にする。接合剤が冷えて再凝固すると、ボンディングプロセスは完了する。
【0039】
一部の実施形態によれば、WLPの内部は、ゲッター材料が大気に曝されないように、アセンブリチャンバの内部の真空圧で封止される。熱活性化接合剤が使用される実施形態では、各ウエハのボンディング構造(例えば、接合剤を有するシール構造)が、互いにアライメントされ、その後、真空又は低圧環境内で、加熱状態及び印加圧力の下で互いに接触させられる。例えば、ボンディングプロセスの間、アセンブリチャンバ内の温度は、約300−350℃の範囲内とし得る。一部の実施形態によれば、ボンディングプロセス中に使用される温度は、ゲッター材料を活性化することにも適したものである。故に、ゲッター材料は、別個の処理工程で活性化される必要はない。
【0040】
ボンディングプロセスにおいて、窓キャップウエハ120及び/又はデバイスウエハ122の外部領域104に配置されたゲッター材料108は、ボンド構造116の近傍の追加の真空“ポンプ”として機能し、斯くして、例えば、接合剤、窓キャップウエハ120上の材料、及び/又はデバイスウエハ122上の材料、にトラップされたガスなどの、ウエハ上のコンポーネントによって脱ガスされた物質を除去する。ゲッター材料の層は故にまた、ボンディングプロセス中に窓キャップウエハとデバイスウエハとの間の領域内の圧力を低下させる。上述のように、この追加のゲッタリング能力は、窓キャップウエハ120及び/又はデバイスウエハ122のWLP領域内に配置されたゲッター材料への負荷を低減し得る。一部の実施形態によれば、外部領域に配置されたゲッター材料は、WLP内の封止キャビティが別個のゲッター材料を必要としないよう、ボンディングプロセス中に汚染物質を除去するのに十分である。これは、より小さいダイサイズを可能にし得るとともに、製造コストも低減し得る。WLPが封止されると、外部ゲッター材料はもはや必要とされず、例えばダイシングプロセス中などに、除去され又はその他の方法で破壊されてもよい。
【0041】
少なくとも1つの実施形態によれば、マスキングプロセスを用いて、外部領域に対応するウエハの基板の少なくとも一部上にゲッター材料の層を堆積させることを含んだ、ウエハを形成する方法が開示される。
図6を参照するに、少なくとも1つの実施形態において、方法600は、基板を用意すること(ステップ602)を有する。例えば、基板は、上述のような窓キャップウエハ120又はデバイスウエハ122とし得る。方法600は、次いで、外部領域を少なくとも部分的に画成するよう、基板の表面をマスキング材料でマスキングして、外部領域の少なくとも一部が基板の表面に対して開かれるようにすること(ステップ604)を有し得る。一部の実施形態において、マスクはまた、WLP領域を少なくとも部分的に画成して、WLP領域の少なくとも一部も基板の表面に対して開かれるようにし得る(破線のボックス604a参照)。一部の実施形態によれば、ステップ604は、上述のようなシャドウマスクを用いて遂行されることができ、先ず、窓キャップウエハ及び/又はデバイスウエハの表面の上にシャドウマスクが位置付けられる。
図2に示した実施形態を参照するに、シャドウマスクは、窓キャップウエハ120のキャビティ面及びデバイスウエハ122のデバイス面の上に位置付けられ得る。マスク内の開口が、窓キャップウエハ120及び/又はデバイスウエハ122の外部領域の少なくとも一部に対応してそれを画成し、また、一部の実施形態によれば、マスク内の開口はまた、窓キャップウエハ120及び/又はデバイスウエハのWLP領域の少なくとも一部にも対応する。方法600は更に、シャドウマスクを通して、下に位置するキャップウエハ及び/又はデバイスウエハの基板上にゲッター材料の層を堆積させること(ステップ606)を有し得る。結果として、デバイスウエハ及び蓋ウエハの一方又は双方の外部領域の少なくとも一部(及び、一部の例において、WLP領域の少なくとも一部)が、ゲッター材料の層によって覆われる。
【0042】
他の一実施形態によれば、窓キャップウエハをデバイスウエハに接合することを含んだ、ウエハレベルパッケージを形成する方法が開示され、これらのウエハのうちの少なくとも一方は、そのウエハの外部領域の少なくとも一部にゲッター材料の層を含む。
図7を参照するに、少なくとも1つの実施形態において、方法700は、窓キャップウエハ及びデバイスウエハを用意すること(ステップ702)を有し、窓キャップウエハ及びデバイスウエハの各々が、外部領域とWLP領域とによって画成される表面を有する。窓キャップウエハ及びデバイスウエハの少なくとも一方の外部領域の少なくとも一部上に、ゲッター材料の層が配置される。例えば、ゲッター材料の層は、外部領域を構成する1つ以上のソーレーンの少なくとも一部上に配置され得る。上述したように、外部領域に配置されたゲッター材料の層は、マスキング及び堆積プロセスを介して得られ得る。方法700は更に、窓キャップウエハをデバイスウエハとアライメントすること(ステップ704)を有する。例えば、上述したように、このステップは、それぞれのウエハ各々のボンディング構造を互いにアライメントすることによって遂行され得る。アライメントすることはまた、デバイスウエハ及び窓キャップウエハの各々のそれぞれの外部領域が互いにアライメントされることを可能にし得る。方法700は更に、完成したウエハレベルパッケージを形成するよう、窓キャップウエハ及びデバイスウエハを互いに接合すること(ステップ706)を有し得る。例えば、上述したように、このボンディングプロセスは、真空条件又は低圧条件の下で実行され得るとともに、(1つ以上の)接合材を加熱しながら、アライメントされたウエハに圧力を印加することを含み得る。一部の実施形態において、ボンディングプロセス中に使用される加熱温度は、ゲッター材料を活性化するのに十分である。
【0043】
プロセス600及び700は各々、特定の一実施形態における1つの特定のシーケンスのアクトを示している。用途に応じて、一部のアクトはオプションであり、従って、1つ以上の実施形態によれば省略されてもよく、また、一部の例では、更なるアクトが追加されてもよい。例えば、方法700は更に、ダイシングプロセスを用いて個々のWLPを互いに分離することを含み得る。また、ここに記載された実施形態の範囲を逸脱することなく、アクトの順序を変更することができ、あるいは、他のアクトを追加することができる。例えば、ゲッター材料は、ボンディングプロセスの前に活性化されてもよく、及び/又はボンディング構造の層がウエハ上に堆積される前に、最中に、又は後にウエハ上に堆積され得る。
【0044】
少なくとも1つの例の幾つかの態様を斯くして述べてきたが、理解されるべきことには、当業者には様々な改変、変更、及び改良が容易に浮かぶであろう。例えば、ここに開示された例は、他の状況でも使用され得る。そのような改変、変更、及び改良は、この開示の一部であることが意図され、また、ここに記載された例の範囲内であることが意図される。従って、以上の説明及び図面は単に例によるものである。