特許第6571868号(P6571868)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571868送信制御情報を決定する装置、方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571868
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】送信制御情報を決定する装置、方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/24 20090101AFI20190826BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04W52/24
   H04W16/26
【請求項の数】14
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2018-520437(P2018-520437)
(86)(22)【出願日】2016年10月6日
(65)【公表番号】特表2019-501556(P2019-501556A)
(43)【公表日】2019年1月17日
(86)【国際出願番号】EP2016073865
(87)【国際公開番号】WO2017067791
(87)【国際公開日】20170427
【審査請求日】2018年6月13日
(31)【優先権主張番号】15306688.1
(32)【優先日】2015年10月21日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391030332
【氏名又は名称】アルカテル−ルーセント
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】ウィッヒ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ウィーグナー,ディルク
【審査官】 松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−230098(JP,A)
【文献】 特開2011−071705(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0127157(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 − 7/26
H04W 4/00 − 99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モバイル通信システム(300)の基地局送受信機(100)のベースバンドユニット(110)のための装置(10)であって、前記基地局送受信機(100)が、1以上の無線フロントホールリンクを用いて前記ベースバンドユニット(110)と無線で通信するように構成された1以上の無線ユニット(120)をさらに備え、前記装置(10)が、
前記1以上の無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントを前記1以上の無線ユニット(120)に送信するように構成された少なくとも1つの出力部(12)、
前記1以上の無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントを前記1以上の無線ユニット(120)から受信するように構成された少なくとも1つの入力部(14)、及び
制御モジュール(16)であって、
前記少なくとも1つの出力部(12)及び前記少なくとも1つの入力部(14)を制御し、
基準信号を前記1以上の無線ユニット(120)に前記少なくとも1つの出力部(12)を介して送信し、
前記基準信号のループバックバージョンを前記1以上の無線ユニット(120)から前記少なくとも1つの入力部(14)を介して受信し、
前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて決定された前記基準信号の減衰量を用いて、前記1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために前記1以上の無線ユニット(120)によって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を決定し、
前記無線ユニット単位の送信電力に関する前記情報を備える送信制御情報を決定し、
前記送信制御情報を前記1以上の無線ユニット(120)に前記少なくとも1つの出力部(12)を介して供給する
ように構成された制御モジュール(16)
を備え、
前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいてアップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、又は前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて結合アップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、
及び/又は前記制御モジュール(16)が、前記受信アップリンクコンポーネントの品質に関する情報を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記受信アップリンクコンポーネントの前記品質に関する前記情報に基づいて前記送信制御情報を調整するように構成される装置(10)。
【請求項2】
前記制御モジュール(16)が、推定干渉及び推定経路損失に基づいて前記無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて前記経路損失を推定するように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項3】
前記制御モジュール(16)が、最適化関数に基づいて前記無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記アップリンクコンポーネントについての目標信号対干渉及びノイズ比SINRが、
【数1】
に基づいて近似されるように前記無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され、SINRtarget,uは前記アップリンクコンポーネントについての目標SINRであり、
【数2】
は、前記1以上の無線ユニット(120)のうちの無線ユニットiの前記無線ユニット単位の送信電力であり、
【数3】
は、前記無線ユニットiの前記アップリンクコンポーネントの推定経路損失であり、PIF,z,NFは、前記アップリンクコンポーネントの干渉電力IF、熱ノイズz及び受信ノイズ指数NFに基づく、請求項2に記載の装置(10)。
【請求項4】
前記基準信号の前記ループバックバージョンが、前記1以上の無線ユニット(120)において受信された前記基準信号のアナログ変換値に対応し、
及び/又は
前記制御モジュール(16)が、前記ダウンリンクコンポーネントの経路損失に基づいて及び前記基準信号の前記ループバックバージョンにおける前記アップリンクコンポーネントの経路損失に基づいて前記送信制御情報を決定するように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項5】
前記制御モジュール(16)がさらに、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて前記1以上の無線フロントホールリンクの送信のために前記少なくとも1つの出力部(12)によって使用される送信電力に関する情報を決定し、前記少なくとも1つの出力部(12)において使用される送信電力に関する前記情報に基づいて前記少なくとも1つの出力部(12)で1以上の無線フロントホールリンク信号の前記ダウンリンクコンポーネントの前記送信を適合させるように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項6】
前記制御モジュール(16)が、最適化関数に基づいて前記1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のための前記少なくとも1つの出力部(12)によって使用される前記送信電力を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記ダウンリンクコンポーネントについての目標信号対干渉及びノイズ比SINRが、
【数4】
に基づいて近似されるように前記少なくとも1つの出力部(12)によって使用される前記送信電力を決定するように構成され、SINRtarget,dは前記ダウンリンクコンポーネントについての目標SINRであり、
【数5】
は、前記1以上の無線ユニット(120)のうちの無線ユニットiへの送信のために前記少なくとも1つの出力部(12)によって使用される前記送信電力であり、
【数6】
は、前記無線ユニットiへの送信についての前記ダウンリンクコンポーネントの推定経路損失であり、PIF,z,NFは、前記ダウンリンクコンポーネントの干渉電力IF、熱ノイズz及び受信ノイズ指数NFに基づくものであり、
及び/又は前記制御モジュール(16)がさらに、前記1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために使用される複数のアンテナ要素のうちのアンテナ要素のサブセットに関する情報を決定するように構成され、前記1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために前記少なくとも1つの出力部(12)によって使用される前記送信電力に関する前記情報が、前記アンテナ要素のサブセットに関する前記情報を備える、請求項5に記載の装置(10)。
【請求項7】
前記制御モジュール(16)がさらに、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて前記少なくとも1つの入力部(14)において1以上の無線フロントホール信号の前記アップリンクコンポーネントの受信に適合するように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項8】
前記送信制御情報が、前記1以上の無線フロントホールリンクの送信のための電力閾値に関する情報を備え、
及び/又は前記制御モジュール(16)がさらに、前記1以上の無線ユニット(120)のセルカバレッジ計画に基づいて前記送信制御情報を決定するように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項9】
前記制御モジュール(16)が、前記1以上の無線ユニット(120)で実行される前記1以上の無線フロントホールリンクのチャネル推定に関する情報を用いることなく前記送信制御情報を決定するように構成された、請求項1に記載の装置(10)。
【請求項10】
モバイル通信システム(300)の基地局送受信機(100)の無線ユニット(120a)のための装置(20)であって、前記基地局送受信機(100)が、無線フロントホールリンクを用いて前記無線ユニット(120a)と無線通信するベースバンドユニット(110)をさらに備え、前記装置(20)が、
前記無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントを前記ベースバンドユニット(110)から受信するように構成された少なくとも1つの入力部(22)、
前記無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントを前記ベースバンドユニット(110)に送信するように構成された少なくとも1つの出力部(24)、及び
制御モジュール(26)であって、
前記少なくとも1つの入力部(22)及び前記少なくとも1つの出力部(24)を制御し、
基準信号を前記ベースバンドユニット(110)から前記少なくとも1つの入力部(22)を介して受信し、
受信された前記基準信号のループバックバージョンを前記ベースバンドユニット(110)に前記少なくとも1つの出力部(24)を介してループバックし、
前記無線フロントホールリンクにおける送信のための前記無線ユニット(120a)によって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える送信制御情報を前記ベースバンドユニット(110)から受信し、
前記送信制御情報に基づいて前記少なくとも1つの出力部(24)を介した前記アップリンクコンポーネントの前記送信電力を適合させる
ように構成された制御モジュール(26)
を備え、
前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいてアップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、又は前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて結合アップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、
及び/又は前記制御モジュール(16)が、送信した前記アップリンクコンポーネントの品質に関する情報を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記送信したアップリンクコンポーネントの前記品質に関する前記情報に基づいて前記送信制御情報を調整するように構成される装置(20)。
【請求項11】
前記制御モジュール(26)が、前記受信された基準信号の前記ループバックバージョンを前記受信された基準信号をアナログ変換することによって決定するように構成され、
及び/又は前記ダウンリンクコンポーネントがダウンリンクキャリア周波数を使用し、前記アップリンクコンポーネントがアップリンクキャリア周波数を使用し、前記制御モジュール(26)が、前記受信された基準信号を前記ダウンリンクキャリア周波数から前記アップリンクキャリア周波数にアナログ変換することによって前記受信された基準信号の前記ループバックバージョンを決定するように構成された、請求項10に記載の装置(20)。
【請求項12】
モバイル通信システム(300)の基地局送受信機(100)のベースバンドユニット(110)のための方法であって、前記基地局送受信機(100)が、1以上の無線フロントホールリンクを用いて前記ベースバンドユニット(110)と無線で通信するように構成された1以上の無線ユニット(120)をさらに備え、前記方法が、
基準信号を前記1以上の無線ユニット(120)に送信するステップ(32)、
前記基準信号のループバックバージョンを前記1以上の無線ユニット(120)から受信するステップ(34)、
前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて決定された前記基準信号の減衰量を用いて、前記1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために前記1以上の無線ユニット(120)によって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を決定するステップ(36)、
前記無線ユニット単位の送信電力に関する前記情報を備える送信制御情報を決定するステップ(37)、及び
前記送信制御情報を前記1以上の無線ユニット(120)に供給するステップ(38)
を備え、
前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいてアップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、又は前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて結合アップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、
及び/又は前記制御モジュール(16)が、前記受信アップリンクコンポーネントの品質に関する情報を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記受信アップリンクコンポーネントの前記品質に関する前記情報に基づいて前記送信制御情報を調整するように構成される方法。
【請求項13】
モバイル通信システム(300)の基地局送受信機(100)の無線ユニット(120a)のための方法であって、前記基地局送受信機(100)が、無線フロントホールリンクを用いて前記無線ユニット(120a)と無線通信するベースバンドユニット(110)をさらに備え、前記方法が、
基準信号を前記ベースバンドユニット(110)から受信するステップ(42)、
受信された前記基準信号のループバックバージョンを前記ベースバンドユニット(110)にループバックするステップ(44)、
前記無線フロントホールリンクにおける送信のための前記無線ユニット(120a)によって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える送信制御情報を前記ベースバンドユニット(110)から受信するステップ(46)、及び
前記送信制御情報に基づいて前記無線フロントホールリンクにおける送信のための前記送信電力を適合させるステップ(48)
備え、
前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいてアップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、又は前記制御モジュール(16)が、前記基準信号及び前記基準信号の前記ループバックバージョンに基づいて結合アップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定して前記送信制御情報を決定するように構成され、
及び/又は前記制御モジュール(16)が、送信した前記アップリンクコンポーネントの品質に関する情報を決定するように構成され、前記制御モジュール(16)が、前記送信したアップリンクコンポーネントの前記品質に関する前記情報に基づいて前記送信制御情報を調整するように構成される方法。
【請求項14】
コンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータプログラムであって、コンピュータ、プロセッサ又はプログラム可能ハードウェアコンポーネントに読み込まれると、前記コンピュータ可読プログラムコードが請求項12及び13の方法のいずれかを実行するように構成された、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、送信制御情報を決定する装置、方法及びコンピュータプログラムに関し、より具体的には、ただし排他的にではなく、1以上の無線ユニットから受信された基準信号のループバックバージョンに基づく送信制御情報を決定する装置、方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
この章では、発明のより良い理解の促進に役立ち得る態様を紹介する。したがって、この章における記載はこの観点で読まれるべきであり、何が先行技術にあるのか、又は何が先行技術にないのかについて自認するものとして理解されるべきではない。
【0003】
モバイルサービスに対するより高速なデータレートの要求は確実に増している。同時に、第3世代システム(3G)及び第4世代システム(4G)のような現代のモバイル通信システムは、改良された技術を供給し、より高いスペクトル効率を可能とし、より高速なデータレート及びセル容量を許容する。ネットワークインフラストラクチャからモバイル送受信機へ伝送するダウンリンク(DL)及びモバイル送受信からネットワークインフラストラクチャへ伝送するアップリンク(UL)において、両方向の伝送の需要が増している。
【0004】
現行のモバイル通信システムは、ますますスモールセル基地局に依存している。スモールセル基地局は、マクロセル基地局が十分なカバレッジ及び容量を提供しない場所をカバーして、ネットワーク効率を向上させるのに使用される。スモールセルは、容量を増大させ、ネットワーク効率を向上させるのに効果的なアプローチとなりそうである。一方で、スモールセルの潜在的な魅力は、設置コストを制御できる場合にのみ実現し得ることが認識されている。スモールセル設置の2つの必要条件は電力及びバックホールであり、有線接続で供給される場合、コストがかかることが多い。電力に関する有線接続は、小さな風力タービン又はソーラーパネルから電力を引き出し、蓄電池を充電すること及び内部消費電力を削減することによって排除することができる。2つめのスモールセル有線接続は、無線バックホールを使用することによってなくすことができる。
【0005】
内部消費電力を削減するためにリピータ型のスモールセルを使用してもよく、それはダウンリンク上では複素値アナログベースバンド信号をキャリア周波数でバックホールリンクから受信し、ベースバンド信号を1以上のスモールセルユーザに対応するアクセスキャリア周波数で再送信し、アップリンク上では1以上のスモールセルユーザから結合されて送信された信号をアクセスリンク上で受信し、結合されたベースバンド信号をバックホールアップリンク上で再送信する。リピータスモールセルは、主にプリアンプ、周波数変換器、フィルタ及び電力増幅器から構成され、低消費電力に設計され得る。
【0006】
米国特許出願公開第2012/238202号は、中継局を使用してデータを送信する方法を開示している。その方法は、基地局がバックホールリンクを介してモバイル通信システムの中継局に基準信号を送信することに基づいている。中継局は、受信基準信号に基づいてチャネルパラメータを計算し、上記パラメータを基地局に送信して返す。基地局は、バックホールリンクに関するスケジューリング情報を決定するチャネルパラメータを用いて、中継局にスケジューリング情報を送信する。米国特許出願公開第2008/227461号は、基地局及び中継局を備えるモバイル通信システムを開示している。中継局による(データ又はパイロット)の送信に基づいて、基地局は、基地局へのリンク又は(マルチホップ中継のための)他の中継局へのリンクのために中継局によって使用されるべき送信電力の調整を計算する。
【発明の概要】
【0007】
以下の要約では幾つかの単純化が行われてもよく、様々な例示の実施形態の幾つかの態様を強調して導入することを意図しているが、そのような単純化は、発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者が発明の概念を作成し及び使用できるようにするのに適した望ましい例示の実施形態の詳細な説明は、後節に続く。
【0008】
種々の実施形態は、ベースバンドユニットとモバイル通信システムの基地局送受信機の1以上の無線ユニットとの間の1以上の無線フロントホールリンクに関する送信制御情報を決定する装置、方法及びコンピュータプログラムを提供する。無線ユニットとモバイル送受信機との間の無線アクセスリンクの品質は連続的に測定及び最適化されることが多いので、無線フロントホールリンクの品質はほぼ一定と見なされ、無視されてもよい。接続を設定するために、ベースバンドユニットと1以上の無線ユニットの間の送信特性の評価が必要とされ得る。1以上の無線ユニットで縮小された機能(及びそれゆえの複雑性及び消費電力)を保持するために、評価は、ベースバンドユニットで行われてもよい。ベースバンドユニットは基準信号を1以上の無線ユニットに送信するように構成され、その無線ユニットは続いて基準信号のループバックバージョンをループバックするように構成される。受信されたループバックバージョンに基づいて、ベースバンドユニットは送信するための経路損失を決定することができ、それを使用して1以上の無線ユニット(及び/又はベースバンドユニット)での無線フロントホールリンクのために使用されるべき送信特性(例えば無線ユニット単位の送信電力)を決定する。
【0009】
実施形態は、モバイル通信システムの基地局送受信機のベースバンドユニットのための装置を提供する。基地局送受信機は、1以上の無線フロントホールリンクを用いてベースバンドユニットと無線で通信するように構成された1以上の無線ユニットをさらに備える。装置は、1以上の無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントを1以上の無線ユニットに送信するように構成された少なくとも1つの出力部を備える。装置は、1以上の無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントを1以上の無線ユニットから受信するように構成された少なくとも1つの入力部をさらに備える。装置は、少なくとも1つの出力部及び少なくとも1つの入力部を制御するように構成された制御モジュールをさらに備える。制御モジュールはさらに、基準信号を1以上の無線ユニットに少なくとも1つの出力部を介して送信するように構成される。制御モジュールはさらに、基準信号のループバックバージョンを1以上の無線ユニットから少なくとも1つの入力部を介して受信するように構成される。制御モジュールはさらに、基準信号のループバックバージョンに基づいて決定された基準信号の減衰量を用いて、1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために1以上の無線ユニットによって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を決定するように構成される。制御モジュールはさらに、無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える送信制御情報を決定するように構成される。制御モジュールはさらに、送信制御情報を1以上の無線ユニットに少なくとも1つの出力部を介して供給するように構成される。送信制御情報をベースバンドユニットにおいて決定することによって、無線フロントホールリンクの確立又は補強のための送信パラメータの校正又は調整が可能となる。無線ユニットは送信制御情報を能動的に決定する必要がなくなり得るので、1以上の無線ユニットから受信される基準信号のループバックバージョンを用いることによって低い複雑性の無線ユニットの配備が可能となり得る。また、1以上の無線フロントホールリンクの測定特性の送信に専用のアップリンク制御チャネルが不要となり得る。
【0010】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御モジュールは、推定干渉及び推定経路損失に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され得る。制御モジュールは、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて経路損失を推定するように構成され得る。推定経路損失及び推定干渉に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定することによって、1以上の無線ユニットによって実行される測定を要することなく無線ユニット単位の送信電力の決定が可能となり得る。
【0011】
種々の実施形態において、制御モジュールは、最適化関数に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され得る。制御モジュールは、アップリンクコンポーネントについての目標信号対干渉及びノイズ比(SINR)が、
【数1】
に基づいて近似されるように無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成され得る。SINRtarget,uはアップリンクコンポーネントについての目標SINRであればよい。
【数2】
は、1以上の無線ユニットのうちの無線ユニットiの無線ユニット単位の送信電力であればよい。
【数3】
は、無線ユニットiのアップリンクコンポーネントの推定経路損失であればよい。PIF,z,NFは、アップリンクコンポーネントの干渉電力IF、熱ノイズz及び受信ノイズ指数NFに基づき得る。推定経路損失及び推定干渉の最適関数に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定することによって、1以上の無線ユニットによって実行される測定を要することなく無線ユニット単位の送信電力の決定が可能となり得る。
【0012】
少なくとも幾つかの実施形態では、基準信号のループバックバージョンは、1以上の無線ユニットにおいて受信された基準信号のアナログ変換値に対応する。無線ユニットは基準信号をデジタル復号して送信制御情報を決定する必要がなくなるので、アナログ変換によって低い複雑性の無線ユニットの配備が可能となる。
【0013】
種々の実施形態において、制御モジュールはさらに、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて1以上の無線フロントホールリンクの送信のために少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力に関する情報を決定するように構成され得る。制御モジュールはさらに、少なくとも1つの出力部において使用される送信電力に関する情報に基づいて少なくとも1つの出力部で1以上の無線フロントホール信号のダウンリンクコンポーネントの送信を適合させるように構成され得る。基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づく適合によって、送信制御情報について決定される情報の再利用が可能となり、出力モジュールの送信の調整が可能となり得る。
【0014】
種々の実施形態において、制御モジュールは、最適化関数に基づいて1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のための少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力を決定するように構成され得る。制御モジュールは、ダウンリンクコンポーネントについての目標信号対干渉及びノイズ比(SINR)が、
【数4】
に基づいて近似されるように少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力を決定するように構成され得る。SINRtarget,dはダウンリンクコンポーネントについての目標SINRである。
【数5】
は、1以上の無線ユニットのうちの無線ユニットiへの送信のために少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力である。
【数6】
は、無線ユニットiへの送信についてのダウンリンクコンポーネントの推定経路損失である。PIF,z,NFは、ダウンリンクコンポーネントの干渉電力IF、熱ノイズz及び受信ノイズ指数NFに基づくものであればよい。推定経路損失及び推定干渉の最適関数に基づいて少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力を決定することによって、1以上の無線ユニットによって実行される測定を要することなく送信電力の決定が可能となり得る。少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力は、1以上の無線ユニットへの無線フロントホールリンクについてベースバンドユニットにおける全体消費電力/需要を推定するのにさらに使用され得る。
【0015】
種々の実施形態では、制御モジュールはさらに、1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために使用される複数のアンテナ要素のうちのアンテナ要素のサブセットに関する情報を決定するように構成され得る。1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために少なくとも1つの出力部によって使用される送信電力に関する情報は、アンテナ要素のサブセットに関する情報を備え得る。1以上の無線フロントホールリンクにおける送信に使用されるアンテナ要素のサブセットを変更することによって、エネルギー消費又は需要の更なる節約が可能となり得る。
【0016】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御モジュールはさらに、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて少なくとも1つの入力部において1以上の無線フロントホール信号のアップリンクコンポーネントの受信に適合するように構成され得る。基準信号及び基準信号のループバックバージョンは、入力部における受信信号の等化を可能とするのにさらに使用され得る。
【0017】
種々の実施形態では、制御モジュールはさらに、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいてアップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定して送信制御情報を決定するように構成され得る。制御モジュールは、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて結合アップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定して送信制御情報を決定するように構成され得る。アップリンク及びダウンリンクチャネルの双方をベースバンドユニットにおいて決定することによって、全体的な計算負荷が減少して複雑でない無線ユニットの配備が可能となり得る。
【0018】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御モジュールは、ダウンリンクコンポーネントの経路損失に基づいて及び基準信号のループバックバージョンにおけるアップリンクコンポーネントの経路損失に基づいて送信制御情報を決定するように構成され得る。経路損失に基づいて送信制御情報を決定することで、経路損失の効果に対抗する無線ユニット単位の送信電力の決定又は調整を支援することができる。
【0019】
種々の実施形態において、制御モジュールは、受信アップリンクコンポーネントの品質に関する情報を決定するように構成され得る。制御モジュールは、受信アップリンクコンポーネントの品質に関する情報に基づいて送信制御情報を調整するように構成され得る。品質に関する情報に基づいて送信制御情報を調整することによって、例えば、外部条件の変化を考慮して、1以上の無線フロントホールリンクの連続的調整が可能となり得る。
【0020】
ある実施形態では、送信制御情報は、1以上の無線フロントホールリンクの送信のための電力閾値に関する情報を備え得る。電力閾値は、例えば、統計的に所望の受信電力を達成するのに必要な送信電力についての低域側境界を示すのに使用され得る。
【0021】
種々の実施形態において、制御モジュールは、送信制御情報を1以上の無線ユニットに個々に供給するように構成されてもよく、これにより個々の無線フロントホールリンクにおけるオーバーヘッドが減少し得る。
【0022】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御モジュールはさらに、1以上の無線ユニットのセルカバレッジ計画に基づいて送信制御情報を決定するように構成され得る。セルカバレッジ計画は、例えば、運用中にリファインされ得る概算初期送信制御情報を決定するのに使用され得る。
【0023】
種々の実施形態において、制御モジュールは、1以上の無線ユニットで実行される1以上の無線フロントホールリンクのチャネル推定に関する情報を用いることなく送信制御情報を決定するように構成されてもよく、これにより低い複雑性の無線ユニットの配備が可能となり得る。
【0024】
実施形態はさらに、ベースバンドユニットの装置を備えるベースバンドユニットを提供する。
【0025】
実施形態はさらに、モバイル通信システムの基地局送受信機の無線ユニットのための装置を提供する。基地局送受信機は、無線フロントホールリンクを用いて無線ユニットと無線通信するベースバンドユニットをさらに備える。装置は、無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントをベースバンドユニットから受信するように構成された少なくとも1つの入力部を備える。装置は、無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントをベースバンドユニットに送信するように構成された少なくとも1つの出力部をさらに備える。装置は、少なくとも1つの入力部及び少なくとも1つの出力部を制御するように構成された制御モジュールをさらに備える。制御モジュールはさらに、基準信号をベースバンドユニットから少なくとも1つの入力部を介して受信するように構成される。装置はさらに、受信された基準信号のループバックバージョンをベースバンドユニットに少なくとも1つの出力部を介してループバックするように構成される。装置はさらに、送信制御情報をベースバンドユニットから受信するように構成される。送信制御情報は、無線フロントホールリンクにおける送信のための無線ユニットによって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える。制御モジュールはさらに、送信制御情報に基づいて少なくとも1つの出力部を介したアップリンクコンポーネント、例えば、無線ユニットにおけるアップリンク帯域のための送信増幅器の送信電力を適合させるように構成される。送信制御情報をベースバンドユニットにおいて決定することによって、無線フロントホールリンクの確立又は補強のための送信パラメータの校正又は調整が可能となる。無線ユニットは送信制御情報を能動的に決定する必要がなくなり得るので、1以上の無線ユニットから受信される基準信号のループバックバージョンを用いることによって低い複雑性の無線ユニットの配備が可能となり得る。また、1以上の無線フロントホールリンクの測定特性の送信に専用のアップリンク制御チャネルが不要となり得る。
【0026】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御モジュールは、受信された基準信号をアナログ変換することによって、受信された基準信号のループバックバージョンを決定するように構成され得る。無線ユニットは基準信号をデジタル復号して送信制御情報を決定する必要がないので、アナログ変換によって低い複雑性の無線ユニットの配備が可能となる。
【0027】
種々の実施形態において、ダウンリンクコンポーネントはダウンリンクキャリア周波数を使用し、アップリンクコンポーネントはアップリンクキャリア周波数を使用し得る。制御モジュールは、受信された基準信号をダウンリンクキャリア周波数からアップリンクキャリア周波数にアナログ変換することによって、受信された基準信号のループバックバージョンを決定するように構成され得る。周波数間の変換によって周波数分割複信ネットワークのための送信制御情報のプロビジョニングが可能となり、アップリンク及びダウンリンクコンポーネントは異なる周波数帯を用いる。
【0028】
実施形態はさらに、無線ユニットのための装置を提供する無線ユニットを提供する。実施形態はさらに、ベースバンドユニットのための装置及び無線ユニットのための装置を備える基地局送受信機を提供する。
【0029】
実施形態はさらに、モバイル通信システムの基地局送受信機のベースバンドユニットのための方法を提供する。基地局送受信機は、1以上の無線フロントホールリンクを用いてベースバンドユニットと無線で通信するように構成された1以上の無線ユニットをさらに備える。方法は、基準信号を前記1以上の無線ユニットに送信するステップを備える。方法は、基準信号のループバックバージョンを1以上の無線ユニットから受信するステップをさらに備える。方法は、基準信号のループバックバージョンに基づいて決定された基準信号の減衰量を用いて、1以上の無線フロントホールリンクにおける送信のために1以上の無線ユニットによって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を決定するステップをさらに備える。方法は、無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える送信制御情報を決定するステップをさらに備える。方法は、送信制御情報を1以上の無線ユニットに供給するステップをさらに備える。
【0030】
実施形態はさらに、モバイル通信システムの基地局送受信機の無線ユニットのための方法を提供する。基地局送受信機は、無線フロントホールリンクを用いて無線ユニットと無線で通信するベースバンドユニットをさらに備える。方法は、ベースバンドユニットからの基準信号を受信するステップを備える。方法は、受信された基準信号のループバックバージョンをベースバンドユニットにループバックするステップをさらに備える。方法は、バースバンドユニットから送信制御情報を受信するステップをさらに備える。送信制御情報は、無線フロントホールリンクにおける送信のための無線ユニットによって使用される無線ユニット単位の送信電力に関する情報を備える。方法は、送信制御情報に基づいて無線フロントホールリンクの送信のために送信電力を適合させるステップをさらに備える。
【0031】
実施形態は、そこに具体化されたコンピュータ可読プログラムコードを有するコンピュータ可読媒体を備えるコンピュータプログラム製品をさらに提供し、コンピュータ可読プログラムコードは、コンピュータ、プロセッサ又はプログラム可能なハードウェアコンポーネントに読み込まれると上記方法の1つを実行するように構成される。
【0032】
また、実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ、プロセッサ又はプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行される場合に上記の方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムを提供する。更なる実施形態は、コンピュータ、プロセッサ又はプログラム可能なハードウェアコンポーネントによって実行される場合にコンピュータにここに記載する方法の1つを実行させる命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0033】
幾つかの他の構成又は態様を、以下に述べる装置、方法、コンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品の非限定的な実施形態を例としてのみ用いて、添付図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、モバイル通信システムの基地局送受信機のベースバンドユニットに関する装置の実施形態のブロック図を示す。
図2図2は、無線フロントホールリンクの電力制御に関する制御機構を示す。
図3図3は、種々の実施形態の無線フロントホールリンクの電力制御の処理フローを示す。
図4図4は、少なくともある実施形態の送信電力の適合を示す。
図5図5は、モバイル通信システムの基地局送受信機100の無線ユニット120aのための装置20の実施形態のブロック図を示す。
図6図6は、モバイル通信システムの基地局送受信機のベースバンドユニットに関する方法の実施形態のフローチャートを示す。
図7図7は、モバイル通信システムの基地局送受信機の無線ユニットに関する方法の実施形態のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
種々の例示の実施形態を、幾つかの例示の実施形態を説明する添付図面を参照してより詳細に説明する。図中では、線、レイヤ又は領域の厚さは見やすくするために強調され得る。選択的コンポーネントを折線、破線及び点線で示す。
【0036】
したがって、例示の実施形態は種々の変形や代替形式が可能であるが、その実施形態は図中の例として示され、ここに詳細に説明される。一方、例示の実施形態を開示された特定の形式に限定する意図はないことが理解されるべきであり、逆に例示の実施形態は、本発明の範囲内に含まれる全ての変形、均等物及び代替物を包含するものである。図の説明を通して、同様の符号は、同様又は類似の要素について言及する。
【0037】
ここで使用される場合、用語「or」は、特記のない場合(例えば「そうでなければ」又は「又は代替的に」)は、非排他的なorを意味する。さらに、ここで使用される場合、要素間の関係を説明するために使用される単語は、特記のない場合は、直接的関係又は介在要素の存在を含むように広く解釈されるべきである。例えば、要素が他の要素に「connected」又は「coupled」という場合には、それは他の要素に直接接続又は結合されてもよいし、介在要素が存在する場合もあり得る。これに対し、要素が他の要素に「directly connected」又は「directly coupled」という場合には、介在要素は存在しない。同様に、「between」、「adjacent」などの単語も同じように解釈されるべきである。
【0038】
ここで使用される用語は、特定の実施形態を説明するにすぎず、例示の実施形態の限定を意図するものではない。ここで使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈が明確に示さない限り、複数形も同様に含むことを意図する。用語の「comprises」、「comprising」、「includes」又は「including」は、ここで使用される場合は、記述した構成、整数、工程、動作、要素又はコンポーネントの存在を特定するが、他の1以上の構成、整数、工程、動作、要素、コンポーネント若しくはそれらのグループの存在又は追加を排除しないこともさらに理解されるはずである。
【0039】
特に明記しない限り、ここで使用される(技術的及び科学的用語も含めて)全ての用語は、例示の実施形態が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。さらに、例えば一般的に使用される辞書に定義される用語は、ここにそのように明示されない限り、関連する技術の文脈における意味と一致する意味を有するように解釈されるべきであり、理想化された、又は過度に形式的な意味で解釈されることはないことも理解されるはずである。
【0040】
高密度のスモールセルネットワークを容易に配備するために、スモールセルをモバイル通信システムに無線で接続することが有益となり得る。ポイントツーマルチポイント(P2MP)対応の大規模多入力多出力(MMIMO)システムは、低複雑性、低機能性、低コスト及び低エネルギーの無線ユニット(又はスモールセル、例えばスモールセルキューブSCCであり、図1の説明に紹介される1以上の無線ユニット120の無線ユニットに対応し得る)を簡単に配備するように(MMIMOハブ基地局を介して)フロントホーリングすることができ、その無線ユニットは単にRFシフタとして働き、MMIMOマルチユーザビーム形成を介して信号を受信し、それを通常のスモールセル動作でエンドユーザにアクセスして転送し得る。更なる周波数分割複信(FDD)スモールセルに関する複雑さの低減のために、MMIMO動作はFDDにおいて実行され得る。これにはダウンリンク/アップリンクチャネル行列推定の結合が含まれ得る。
【0041】
SCCは固定であり一度配備されれば移動されないが、そのようなシステムで生じ得る技術的問題はスモールセル配備の遠近問題である。アプリケーションをフロントホーリングするために、フロントホールは厳しいSINR必要条件を満たさなくてはならず、それは送信電力、したがって(とりわけ)エネルギー消費についての労力を増加させ得る。(距離に依存した)経路損失によって、スモールセルキューブ(例えば後段に導入される1以上の無線ユニット120の無線ユニット)は、SINRmin必要条件(最小信号対干渉及びノイズ比)を満たすこともあるが、追加の措置なしでは、他のSCCが(例えば後段に導入されるベースバンドユニット110のMMIMOアレイの近くに配置されて)経路損失が減少するために能力以上に成果をもたらし、ハブ受信機を酷使し、又はそのダイナミックレンジを減少させ得る。さらに、例えば(サービングされるべきユーザがいない)ネットワーク上の理由によるSCCのダイナミックスイッチオン/オフに関して、ハブの送信電力が稼働中の全てのSCCに分割され得るため、ハブの電力値はエネルギー節約するように適合され得る。
【0042】
従来の解決策として使用される(受信機が送信機に適合されるべき電力レベル及び任意のパラメータをシグナリングする)閉ループ電力制御は、幾つかの理由で適用可能でないこともあり、例えばそれは、ハブからSCCへの(低エフォート)制御チャネルが許容可能であり、又は必要ともなり得るが、SCCが低複雑性のものでなくてはならず、SCC(1以上の無線ユニット120)からハブ(例えば図1の説明で紹介されるベースバンドユニット110)への制御チャネルが現実的でないからである。さらに、固定配置されたSCCによって、閉ループの電力制御を省略することが可能となり得る。
【0043】
実施形態は、ハブ全体、(MIMOアプリケーションでは通常の)アンテナ単位のハブ、無線ユニット単位(例えばインフラストラクチャ要素のSCC)及びSCCの消費電力の主要な要因の一つとなり得るSCCからハブへの送信電力の送信電力レベル(フロントホール送信(TX)増幅器適合)をどのように設定するかを決定することができる。
【0044】
FDDフロントホールMMIMOシステムでは、チャネル推定段階が使用され得る。システムは、M本のアンテナを有する(例えばベースバンドユニット110での)MMIMOハブ及びK個のスモールセル(例えば1以上の無線ユニット120)からなり、ここではスモールセルキューブSCCと呼ばれ、MMIMOハブを介してマルチビームフロントホーリングされ得る。チャネルの知識は、トレーニング段階で取得され得る。フロントホールリンクとは、ハブ(ベースバンドユニット)と基地局送受信機のSCC(1以上の無線ユニット)との間のリンクを示す。
【0045】
まず、ある時点においてK個のSCCをループバック(ループ・ループ)モードにすると、ハブから受信した信号を単純に反射することができる。ハブは、SCCによって反射されてハブによって受信され得るトレーニングシーケンス(例えば後述の基準信号)を送信することができる。この(アップリンクチャネル及びダウンリンクチャネルによって(例えばFDDの異なる周波数上で)影響を受ける)トレーニングシーケンスから、アップリンク(UL)チャネル行列及び/又はダウンリンク(DL)チャネル行列が(例えば、まずトレーニングシーケンス相関からM×M行列を導出し、次に関連するアップリンク行列を推定し、それにより全体の位相項までダウンリンク行列を定義することによって)推定され得る。従来のシステムは、UL行列を推定するようにSCCを直交的態様でオーバーレイすることもあり、SCC側における追加の労力(例えば信号のある種の直交化、例えばアナログ領域におけるウォルシュ符号との乗算)が必要となる。
【0046】
ここで、ハブ(例えば全体、無線ユニット単位、アンテナ単位)及びSCCの送信電力は、別個の条件に従って、主に特定の異なるSCC位置のフロントホール経路損失によってもたらされる変形を伴って適合され得る。
【0047】
実施形態の基本的な考え方は、電力制御に必要なデータの取得、送信制御情報を導出するデータの処理、及びこの送信制御情報をシステムに適用する手順に対処することができる。
【0048】
少なくともある実施形態では以下を実行し得る:
・例えばハブとSCCの間の順次のループ・ループ校正/トレーニング測定
・簡潔に上記したFDD結合UL/DLチャネル行列推定
・送信制御情報として作用し得る初期ハブ送信電力、SCC送信電力及びRFハードウェアパラメータ(例えば利得)の導出/推定
・UL及びDLにおいて同じ経路損失として、導出されるUL/DLチャネル行列からの経路損失の算出:
【数7】
・(例えばノイズ及び干渉の追加のシステムの知識/推定を使用する)経路損失に基づくダウンリンクSINRの推定
・無線ユニットiへのビームについてハブが必要とする送信電力のSINRに基づく算出−それによりSCCではSINRを等化する。詳細を後述するように、ハブの送信電力はデジタル領域及びアナログ領域において無線ユニット単位に適合され得る。
・新規のハブの送信電力設定を採用する(デジタル及びアナログ送信電力値を結合して適合する)
・(ダウンリンク経路損失と同様となり得る)アップリンク経路損失及びSCCの既知の送信電力から、ハブの既知のノイズ及び干渉を用いて、特定のSCCからハブへの必要な送信電力が算出され得る。このパラメータは、ビーム形成の利得がないトレーニング段階においてのみ、データ内のハブの実際の受信信号を評価することにより検証され得る。
・新規のSCC送信電力設定を(例えばSCCへの低エフォートシグナリング/トレーニングフレームを使用することによって)SCCからハブへのフロントホール接続を保持するのに必要とされる少なくとも必要なSCC送信電力に採用する。エネルギーを節約し例えばSCCのエネルギーオータキック動作をサポートするために、特にTX電力増幅器送信電力及びそれによる(例えば供給電圧適合による)消費電力を適合することが可能となり得る。ハブ電力適合とは対照的に、SCCのフロントホール送信電力の低減は、適合された特定のSCCのフロントホールリンクにのみ影響し得る。
・配備されたSCCのセル計画を考慮して、SCCアクセスTX電力(SCCセルサイズ)及びそれによるアクセスTX電力増幅器の消費電力が適合されてもよく、それもまたSCC全体の消費電力に影響を及ぼし得る。これは、SCCを配備するときに手動で、又は現場でのループ・ループ校正段階中に適切なシグナリングを使用して後から適応的に、事前に定義してもよい。TXアクセス電力適合は、フロントホール電力適合と比較してより少ない頻度で実行されてもよい(例えば配備時、夜間−昼間など)。
【0049】
実施形態では、無線フロントホールリンクの電力制御をする制御メカニズムが採用され得る。図2において、破線の四角2002は、システム機能に追加され得る電力制御のコンポーネントを示す。パイロット信号(例えば後段に導入される基準信号)は、ブロック2004で生成され、及びステップ2006でMMIMO送受信機(TRX、例えばベースバンドユニット110)によって、モバイル送受信機/端末2000にサービングするSCC(例えば1以上の無線ユニット120)に送信される。SCC(又は分散した無線ユニット又は1以上の無線ユニット)は、ステップ2006でパイロット信号をMMIMO送受信機にループバックする。ブロック2010でのアップリンク/ダウンリンク行列の算出は、パイロット信号のループバックバージョンを使用してもよいし、ベースバンドユニット(例えばベースバンドユニット110の制御モジュール16)において算出されてもよく、電力制御はこれらのデータに応じて電力制御パラメータ(すなわち、出力部12によって使用されるべき送信電力に対応し得る無線ユニット単位のハブ送信電力
【数8】
及び後段に導入される無線ユニット単位の送信電力に対応する個々のSCCの送信電力
【数9】
)を算出してもよい。これらの値を算出するブロック2012並びに(上記の方法で示すように全てのSCCが接続されていることを確認し得る)適切なハブ及びSCC電力レベル、ベースバンドユニットのパラメータ(例えばアナログ利得/減衰値)、決定された適切なプリコーディング行列の無線ユニット単位電力スケーリング行列を選択するブロック2014についてベースバンドユニットにおいて設定され得る後続の方法の後に、各SCCに対する電力スケーリング係数がブロック2016でそれぞれのSCC120に送信され得る。これは、ダウンリンク制御チャネル−例えばSCCに対するトレーニング段階シグナリング、例えば後段に導入される無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントに使用される既存のチャネルにおける値の明示的なシグナリングを介して実行され得る。
【0050】
図1にモバイル通信システム300の基地局送受信機100のベースバンドユニット110に関する装置10の実施形態のブロック図を示す。基地局送受信100は、1以上の無線フロントホールリンクを使用してベースバンドユニット110と無線通信するように構成された1以上の無線ユニット120をさらに備える。
【0051】
基地局送受信機、例えば基地局送受信機100は、1以上の稼働中のモバイル送受信機、及び他の基地局送受信機、例えばマクロセル基地局送受信機若しくはスモールセル基地局送受信機のカバレッジエリア内に位置しているか、重複しているか又は近接している基地局と通信するように動作可能となる。したがって、実施形態は、1以上のモバイル送受信機及び1以上の基地局送受信機を備えるモバイル通信システムを提供することができ、基地局送受信機はマクロセル又は例えばピコセル、メトロセル若しくはフェムトセルのようなスモールセル及び周波数シフタ又はリピータの類を確立することができる。モバイル送受信機は、スマートフォン、携帯電話、ユーザ機器、無線機器、モバイル、移動局、ラップトップ、ノートブック、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(PDA)、ユニバーサルシリアルバス(USB)−スティック、車両、D2D通信用モバイルリレー送受信機などに対応し得る。また、モバイル送受信機を、ユーザ機器(UE)又は3GPP専門用語に即してモバイルともいう。
【0052】
基地局送受信機、例えば基地局送受信機100は、ネットワーク又はシステムの固定又は静止部に位置し得る。基地局送受信機は、マクロセルに対応してもよいベースバンドユニット110及びリモート無線ヘッド、伝送ポイント、アクセスポイント、無線機器、スモールセル、マイクロセル、フェムトセル、メトロセルなどに対応してもよい1以上の無線ユニット120を備え得る。基地局送受信機は、無線ベアラ、又は端末/モバイル送受信機と無線アクセスネットワークとの間の無線インターフェースを介した接続を終端するノード/エンティティの論理的コンセプトとして理解される基地局に対応し得る。基地局送受信機は、有線ネットワークの無線インターフェースであってもよく、無線信号をUE又はモバイル送受信機に送信することを可能とする。そのような無線信号は、例えば3GPPによって標準化され、又は、一般に、上記に列挙したシステムの1以上に即した無線信号に準拠し得る。したがって、基地局送受信機は、eNodeB、基地局送受信機(BTS)などに対応し、無線ユニットとベースバンドユニットとにさらに細分化され得る。無線ユニットは、ベースバンドユニットによって提供及び/又は処理された信号に対する位相器又は中継器を含み得る。
【0053】
モバイル送受信機は、基地局送受信機又はセルに対して関連付けられ、キャンプオンされ、又は登録されることができる。セルという用語は、例えばNodeB(NB)、eNodeB(eNB)、リモート無線ヘッド、伝送ポイントなどの基地局送受信機によって提供される無線サービスのカバレッジエリアを指す。基地局送受信機は、1以上の周波数レイヤの1以上のセルを動作させ、ある実施形態では、セルはセクタに対応し得る。例えば、セクタは、セクタアンテナを使用して達成され、セクタアンテナは、遠隔ユニット又は基地局送受信機の周囲の角部をカバーする特性を提供することができる。ある実施形態では、基地局送受信機は、例えば、3個又は6個のセルを動作させ、それぞれ120度(3個のセルの場合)、60度(6個のセルの場合)をカバーできる。基地局送受信機は、複数のセクタ化されたアンテナを動作させ得る。以下では、セルは、そのセルを生成する関連の基地局送受信機を意味することもあれば、同様に基地局送受信機は基地局送受信機が生成するセルを意味することもある。
【0054】
一般に、例えばモバイル通信システムは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP)−標準移動通信ネットワークの1つに対応し得るものであり、ここでモバイル通信システムという用語は移動通信ネットワークと同義的に使用される。移動又はワイヤレス通信システムは例えば、第5世代システム(5G)、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE−A)、高速パケットアクセス(HSPA)、ユニバーサル電気通信システム(UMTS)若しくはUMTS地上無線アクセスネットワーク(UTRAN)、エボルブドUTRAN(e−UTRAN)、世界移動体通信システム(GSM)若しくはGSMエボリューションのためのエンハンストデータレート(EDGE)ネットワーク、GSM/EDGE無線アクセスネットワーク(GERAN)又は例えばマイクロ波アクセスのワールドワイド相互運用性(WIMAX)ネットワークIEEE802.16若しくは無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)IEEE802.11、一般的には直交周波数分割多重接続(OFDMA)ネットワーク、時分割多元接続(TDMA)ネットワーク、符号分割多元接続(CDMA)ネットワーク、広帯域CDMA(WCDMA)ネットワーク、周波数分割多元接続(FDMA)ネットワーク、空間分割多元接続(SDMA)ネットワークなどの、異なる標準を伴う移動通信ネットワークに対応し得る。
【0055】
少なくともある実施形態では、1以上の無線フロントホールリンクは、ベースバンドユニット110と1以上の無線ユニット120との間の無線データ接続に対応し得る。無線フロントホールリンクは信号不可知又はアナログであってもよく、それは例えば1以上の無線ユニット120によって異なるキャリア周波数においてアナログ領域にシフトされた無線ユニットアクセス信号を含むことを意味する。ある接続は、潜在的に鋭いビーム形成を使用してもよいし、又はコヒーレントな重ね合わせ(例えば大規模MIMO)に応じてそれぞれの無線ユニットにそれぞれの信号を送達してもよい。
【0056】
無線フロントホールリンクは、例えば周波数分割複信(FDD)又は時間分割複信(TDD)を使用して実現され得る。それらは、ベースバンドユニット110から1以上の無線ユニット120へのダウンリンクコンポーネント及び1以上の無線ユニット120からベースバンドユニット110へのアップリンクコンポーネントを備え得る。FDDでの実現においては、アップリンクコンポーネント及びダウンリンクコンポーネントは、異なるキャリア周波数に基づき得る。TDDでの実現においては、アップリンクコンポーネント及びダウンリンクコンポーネントは同一のキャリア周波数上で異なる時間リソースを使用し得る。相互作用により、TDDモードにおけるチャネル推定は1方向に実行され、他方に使用される。相互作用は、TDDモードのスイッチング時間が無線チャネルのコヒーレンス時間と同じか又は短い場合に適用される。
【0057】
装置10は、1以上の無線ユニット120に1以上の無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントを送信するように構成された少なくとも1つの出力部12を備える。出力部、例えば少なくとも1つの出力部12又は後段に導入される少なくとも1つの出力部24は、特定のコード又はプロトコルに従って、モジュール内、モジュール間又は別個のエンティティのモジュール間にデジタル(ビット)値として表され得る送信情報に対するインターフェースに対応していてもよい。少なくともある実施形態では、少なくとも1つの出力部12;24は、大規模MIMO(MMIMO)モジュールを備えていてもよく、それに対応していてもよく、それを介して通信してもよく、それはアンテナアレイを備えていてもよい。
【0058】
装置10は、1以上の無線ユニット120から1以上の無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントを受信するように構成された少なくとも1つの入力部14をさらに備える。入力部、例えば少なくとも1つの入力部14又は後段に導入される少なくとも1つの入力部22は、特定のコードに従って、モジュール内、モジュール間又は別個のエンティティのモジュール間にデジタル(ビット)値として表され得る受信情報に対するインターフェースに対応していてもよい。少なくともある実施形態では、少なくとも1つの入力部14;22は、大規模MIMO(MMIMO)モジュールを備えていてもよく、それに対応していてもよく、それを介して通信してもよく、又はそれはアンテナアレイを備えていてもよい。
【0059】
装置10は、少なくとも1つの出力部12及び少なくとも1つの入力部14を制御するように構成された制御モジュール16をさらに備える。制御モジュール16は、1以上の無線ユニット120に少なくとも1つの出力部12を介して基準信号を送信するようにさらに構成される。少なくともある実施形態では、基準信号は、一連の既知の振幅において既知の、所定の又は識別可能なシンボルを備えていてもよく、(無線)チャネル、例えば1以上の無線フロントホールリンクの無線チャネルの特性を決定するようなチャネルのインパルス応答を識別するのに使用されてもよい。
【0060】
制御モジュール16は、1以上の無線ユニット120から少なくとも1つの入力部14を介して基準信号のループバックバージョンを受信するようにさらに構成される。基準信号のループバックバージョンは、例えば1以上の無線ユニットで受信された基準信号のアナログ変換値に対応し得る。基準信号のループバックバージョンは、ループバック信号のアナログ的に変換された(例えば周波数シフトされた)バージョンに対応し得る。それは、基準信号上のダウンリンクコンポーネント及びアップリンクコンポーネントの影響、例えば基準信号のループバックバージョンに見られるような基準信号の減衰をさらに反映し得る。基準信号のループバックバージョンは、例えば基準信号の反映された又はループバックされたバージョン(例えばループ・ループ)に対応し得る。
【0061】
制御モジュール16は、基準信号のループバックバージョンに基づいて決定された基準信号の減衰を使用して、1以上の無線フロントホールリンク上での送信のために1以上の無線ユニット120で使用されるべき無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を決定するようにさらに構成される。制御モジュール16は、無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を含む送信制御情報を決定するようにさらに構成される。少なくともある実施形態では、送信制御情報は、無線ユニット単位の送信電力、例えば供給電圧を達成するような1以上の無線ユニットの増幅器の調整に関連する情報を含み得る。これにより、増幅器が増加した効率又はピーク効率で動作するため、電力効率が増加し得る。例示の実施態様では、制御モジュール16は、決定された無線ユニット単位の送信電力に基づく増幅器の調整に関連する情報を参照するように構成されてもよい。増幅器の調整に関連する情報は、増幅器供給電圧の変動によってもたらされる増幅器の増幅の変動にさらに基づいていてもよい。
【0062】
制御モジュール16は、例えばダウンリンクコンポーネントの経路損失に基づいて、及び基準信号のループバックバージョンにおけるアップリンクコンポーネントの経路損失に基づいて、送信制御情報を決定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、例えば推定された干渉及び推定された経路損失に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて経路損失を推定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、例えば受信基準信号のループバックバージョンの振幅を使用し、基準信号の元の振幅と比較して減衰/経路損失を計算又は推測してもよい。
【0063】
例示の実施態様では、制御モジュール16は、最適化関数に基づいて無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、例えばアップリンクコンポーネントに対する目標信号対干渉及びノイズ比SINRが
【数10】
に基づいて近似されるような無線ユニット単位の送信電力を決定するように構成されてもよい。SINRtarget,uはアップリンクコンポーネントに対する目標SINRを示し、
【数11】
は1以上の無線ユニット120の無線ユニットiの無線ユニット単位の送信電力を示し、
【数12】
は無線ユニットiのアップリンクコンポーネントの推定された経路損失である。PIF,z,NFは、アップリンクコンポーネントの干渉電力(IF)、熱ノイズ(z)及び受信ノイズ指数(NF)に基づき得る。
【0064】
種々の実施態様では、制御モジュール16は、送信制御情報を決定するための基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて、アップリンクチャネル推定行列及びダウンリンクチャネル推定行列を決定するように構成されてもよい。代替的に又は追加的に、その制御モジュール16は、送信制御情報を決定するための基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて、結合されたアップリンク/ダウンリンクチャネル推定行列を決定するように構成されてもよい。
【0065】
種々の実施形態では、制御モジュール16は、1以上の無線ユニット120のセルカバレッジプランに基づいて送信制御情報を決定するようにさらに構成されてもよい。例えば制御モジュール16は、例えばセルカバレッジプランに基づく1以上の無線ユニット120とベースバンドユニット110との距離に基づいて推定された無線ユニット単位の送信電力を算出するように構成されてもよいし、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて推定された無線ユニット単位の送信電力を調整してもよい。
【0066】
好ましい実施形態では、制御モジュール16は、1以上の無線ユニット120で実行される1以上の無線フロントホールリンクのチャネル推定に関連する情報を使用せずに、送信制御情報を決定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、1以上の無線ユニット120が単に基準信号をループバックする(及び例えば周波数シフトする)間に、例えば1以上の無線ユニット120に対する送信制御情報を決定するように構成されてもよい。
【0067】
少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、受信アップリンクコンポーネントの品質に関連する情報を決定するように構成されてもよい。制御モジュール16は、受信したアップリンクコンポーネントの品質に関連する情報に基づいて送信制御情報を調整するように構成されてもよい。制御モジュール16は、例えば受信アップリンクコンポーネントの解析によって、例えば予め決定された送信制御情報の結果を所望の結果、例えば所望のSINRと比較するように構成されてもよく、その結果送信制御情報、例えば無線ユニット単位の送信電力を所望の結果を達成するように調整してもよい。
【0068】
少なくともある実施形態では、送信制御情報は、1以上の無線フロントホールリンクの送信に対する電力閾値に関連する情報を備えていてもよい。電力閾値に関連する情報は、所望のメトリック、例えば所望のSINR又は受信電力に基づいた無線ユニット単位の送信電力に対する予測下限値に対応してもよい。
【0069】
制御モジュール16は、少なくとも1つの出力部12を介して1以上の無線ユニット120に送信制御情報を提供するようにさらに構成される。制御モジュール16は、例えば1以上の無線フロントホールリンクに備えられた制御チャネルを使用して1以上の無線ユニット120に送信制御情報を提供してもよく、送信制御情報はペイロードデータ内部若しくはペイロードデータ間に備えられてもよいし、又は更なる制御チャネルを使用して搬送されてもよい。
【0070】
実施形態では制御モジュール16及び後段に導入される制御モジュール26は、1以上の処理ユニット、1以上の処理デバイス、プロセッサ、コンピュータ又は適合するソフトウェアによって動作可能なプログラム可能なハードウェアコンポーネントなどの任意の処理手段を使用して実現され得る。言い換えると、説明した制御モジュール16;26の機能は、ソフトウェアでも実現され、そして1以上のプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行される。そのようなハードウェアコンポーネントは、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マイクロコントローラなどを備え得る。
【0071】
少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて1以上の無線フロントホールリンク上で送信するための少なくとも1つの出力部12によって使用されるべき送信電力に関連する情報を決定するようにさらに構成されてもよい。制御モジュール16は、少なくとも1つの出力部12で使用されるべき送信電力に関連する情報に基づいて少なくとも1つの出力部12で1以上のフロントホール信号のダウンリンクコンポーネントの送信を適合するようにさらに構成されてもよい。制御モジュール16は、例えば1以上の無線ユニット120で所望のSINRを達成するか又は1以上の無線フロントホールリンクの電力を受信するように、少なくとも1つの出力部12によって使用される送信電力を調整するように構成されてもよい。種々の実施形態では、送信の適合には、無線ユニット単位のサブアンテナ成分の重み付けの適合又はハードウェアレベルの調整、例えば送信コンポーネントの減衰器の調整が含まれていてもよい。少なくともある実施形態では、例えばバックオフを増加させて(かつ効率を低下させて)動作するのではなく増幅器を増加した効率で動作させるために、例えば増幅器の供給電圧が減少されてもよい。少なくともある実施形態では、送信の適合には、(無線ユニットが不活性化するか又は全体に必要とされる送信電力が低減される場合に)アンテナコンポーネント又はパスを不活性化することがさらに含まれていてもよい。不活性化されたパスの変換部の消費電力が省かれるので、活性化されたアンテナコンポーネント及びパスは増加した効率で動作することができる。それによりアンテナコンポーネント又はサブアンテナの数が減少するので、その減少の影響をさらに計算して必要条件と比較することができる。
【0072】
種々の実施形態では、制御モジュール16は、最適化機能に基づいて1以上の無線フロントホールリンク上で送信するための少なくとも1つの出力部12によって使用されるべき送信電力を決定するように構成されてもよい。例えば制御モジュール16は、ダウンリンクコンポーネントに対する目標信号対干渉及びノイズ比SINRが
【数13】
に基づいて近似されるような少なくとも1つの出力部12によって使用されるべき送信電力を決定するように構成されてもよい。SINRtarget,dはダウンリンクコンポーネントに対する目標SINRであり、
【数14】
は1以上の無線ユニット120の無線ユニットiへの送信のために少なくとも1つの出力部12によって使用されるべき送信電力であり、
【数15】
は無線ユニットiに送信するダウンリンクコンポーネントの推定された経路損失である。PIF,z,NFは、ダウンリンクコンポーネントの干渉電力(IF)、熱ノイズ(z)及び受信ノイズ指数(NF)に基づき得る。
【0073】
種々の実施形態では、制御モジュール16は、1以上の無線フロントホールリンク上で送信するために使用されるべき複数のアンテナ要素のアンテナ要素のサブセットに関連する情報を決定するようにさらに構成されてもよい。1以上の無線フロントホールリンク上で送信するために少なくとも1つの出力部12で使用されるべき送信電力に関連する情報には、アンテナ要素のサブセットに関連する情報が含まれる。複数のアンテナ要素は、例えば多入力多出力(MIMO)アンテナモジュールに備えられていてもよいし、例えば大規模MIMO、例えば非常に多数のアンテナ要素を有するMIMOに使用されてもよい。複数のアンテナ要素は、例えばビーム形成に使用されてもよいし、1以上の無線フロントホールリンクはそのようなビーム形成によって空間的に分離されてもよい。アンテナ要素のサブセットは、例えば1以上の無線フロントホールリンクの、その時点で稼働中の無線フロントホールリンクを維持するために使用されるべきアンテナ要素に対応していてもよい。制御モジュール16は、例えばその時点で活性化されている無線フロントホールリンクを維持しながら関連する変換部を不活性化することにより、サブセット中のアンテナ要素数を減少させてアンテナモジュールの消費エネルギー又は需要をさらに低減するように構成されてもよい。
【0074】
少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて少なくとも1つの入力部14での1以上の無線フロントホール信号のアップリンクコンポーネントの受信を適合するようにさらに構成されてもよい。制御モジュール16は、例えば送信によって生じる歪を説明するために、例えば基準信号及び基準信号のループバックバージョンに基づいて受信したアップリンクコンポーネントの等化を調整するように構成されてもよい。
【0075】
図3に、種々の実施形態に対する無線フロントホールリンクの電力制御の処理フローを示す。例示の実施形態では、ハブアンテナの送信電力及びSCCの送信電力の算出は、以下を備え得る。
【0076】
無線ユニット(例えば1以上の無線ユニット120)への経路損失(PL)を推定するブロック3002(アップリンクの経路損失(PL)及びダウンリンクの経路損失(PL)は略等しく、例えば、
【数16】
とする)。経路損失は、ハブ(例えばベースバンドユニット110)アンテナでの送信電力
【数17】
及びハブでの無線ユニットiからの受信電力
【数18】
から推定され得る。
【数19】
は、アンテナ単位の受信信号から、若しくは無線ユニットi単位のトレーニング段階中に得られるM×M行列又はそこから導出されるアップリンク及びダウンリンクチャネル係数行列h、hから推定されてもよい。図3に、M×M結合チャネル行列を算出するブロック3004、ダウンリンクチャネル係数hを算出するブロック3006及びアップリンクチャネル係数hを算出するブロック3008をさらに示す。
【0077】
各無線ユニットに対して、少なくともSINRminであるSINRが達成され得る。送信電力は、SINR必要条件の過剰な達成が制限されるような方法で適合され得る。無線ユニット単位で必要な送信電力は、経路損失に応じて変化し、同様に主にハブまでの距離に応じて変化し得る。送信電力は、サービングする無線ユニット数に応じて変化することもあり、そのため無線ユニットが電力低下する場合はハブの送信電力が低減され得る。
【0078】
無線ユニットiへの経路損失はPLdiで示され、無線ユニットiへの信号において送信される送信電力の一部−アレイ/送信スキームゲインを含む−は、
【数20】
である(例えば最初の等しい分割を想定して、
【数21】
となる)。ブロック3010で、SCCiでのハブからの受信電力及びSINRは、
【数22】
を用いて推定され得る。
【0079】
SINRは、ブロック3010でシステムに応じて幾つかの方法で推定され得る。他の無線ユニットからの干渉はないもの(例えば完全なゼロ強制)とすると、ブロック3012でSINRは、例えば隣接帯域(所与の電力レベルで45dBの隣接チャネル漏洩電力比(ACLR))からの熱ノイズ(z)、RXノイズ指数(NF)及び干渉電力(PIF)に応じて、
【数23】
となる。このSINR推定を使用して、ハブ送信電力推定
【数24】
に対する下側境界を計算することができる。そして、この推定は、ブロック3014でシステムにおいて若しくは検証のための追加のトレーニング段階において(マージンをもって)テストにかけられてもよいし、又はアクセスリンク品質に対するインジケータが、このようなシステムのリンク障害を検出するメトリックとして使用されてもよい。必要であれば、制御ループとしての小さなステップにおける更なる適合がその後可能となる。
【0080】
以下に示すように、ハブの送信電力を実際に適合するステップ3016(無線ユニット単位の電力制御全体)は、例えば2つの方法:(無線ユニット単位の、また、アンテナ単位の電力適合とともに)送信機のダイナミックレンジ内のアナログ信号スケーリング、及び例えば増幅器の供給電圧又は増幅器の入力における減衰器の値を使用したアナログアンテナ単位の電力の適合(図4)によって実行され得る。電力制御の状態は
【数25】
で表されてもよく、αは個々のデジタルスケーリングファクタ、βは個々のアナログアンテナ/RF Txスケーリングファクタ、
【数26】
はアンテナ単位の上り送信電力、
【数27】
はRF部が設計されている場合のRF全体の上り送信電力である(増幅器のピーク電力から信号バックオフを引いたものと定義され得る)。制御モジュール16で構成され得るフロントホール電力制御ブロック4002は、ブロック4004で、デジタル電力制御値αをMMIMOフロントホールデジタル(ベースバンド)処理4006及びデジタルRF処理4008に適合するように、及びブロック4010でアナログ電力制御値を設定するように設定し、供給電圧をアナログRF処理及びアンテナに信号を供給する増幅器4012に適合するようにβに基づいて調整し得る。
【0081】
実施形態では、これらの値を適合するのに幾つかの方法を用いてもよい。記載の通り、第1の例示の実施例では、算出されたSCC(例えば無線ユニット120)全体のSINR/経路損失値から、必要とされるハブの送信電力の平均合計を算出してもよい。そして一般にβ=βは、この電力を達成するように許容下限値に設定され得る。次のステップでは、アンテナ単位の電力制御は、SCC間の配電に対応するα値を使用して微調整されてもよい。
【0082】
同様に、ブロック3018では、ハブへの無線ユニットの下り送信電力が算出され得る。無線ユニットiからの推定アップリンク経路損失
【数28】
を受けて、無線ユニットiの既知の初期送信電力
【数29】
すなわち目標SINRに対して必要とされる送信電力は、予想される干渉及びノイズ、すなわちハブ受信機の
【数30】
でのNFに関して算出され得る。
【0083】
ハブでのSCCの実際のアップリンク送信電力も、ブロック3020で測定されてもよく、ハブ受信機でのSINRは、ブロック3022で(好ましくはトレーニング段階において)、例えば経路損失全体の推定値PLud及びハブの既知の送信電力
【数31】
を採用して算出されてもよい。結果として得られた無線ユニット単位の送信電力は、その後にステップ3024で無線ユニットに提供され得る。
【0084】
例示の実施形態では、全体経路損失は、ブロック3002で:
【数32】
がフロベニウスノルムであるものとして、チャネル行列:
【数33】
から算出されてもよい。
【0085】
例えば、システムのM×M結合UL/DLチャネル行列の特異値分解(SVD)をとり、無線ユニットi:hu、hdに対するUL、DL、M×K、K×M行列を導出した後に、経路損失は各個の行列から
【数34】
と算出され得る。
【0086】
一般的には、予測されるSINRはブロック3010、3022で:
SINR=Ptx/(熱ノイズ+干渉推定値)×PLud/2
として算出されてもよい(ここでPtxはハブアンテナ又はSCCのいずれかの送信電力であり、経路損失に伴う各個のリンク及び受信機型からのノイズ+干渉及びRFチェーンの干渉はUL及びDLにおいて近似的に等しいものとする)。既知の受信チェーンのノイズ指数は、SINR算出において考慮され得る。
【0087】
無線ユニット単位の送信電力(例えば無線ユニットiへのビームにおける電力)は、ブロック3018で:
X=G×sはM本の各個のアレイアンテナの各々の送信信号のM×1行列であり、GはM×Kのプリコーディング行列であり、及び(E[ss]=1として)sはK個のスモールセルへの送信シンボルのK×1の単一ベクトルであるものとして算出され得る。
【0088】
無線ユニット単位の送信電力は:
【数35】
(無線ユニットiに対する電力制約)として表すことができ(したがって、電力スケーリング係数を適用し)、Gは無線ユニットiに対するプリコーティング係数のK×1行列(例えば行列Gの列要素[g1、i・・・gM、i])である。
【0089】
アンテナ単位の電力制約
【数36】
は、同様に使用されてもよい(
【数37】
はアンテナmにおける電力制約である)。
【0090】
無線ユニット単位の送信電力は、
【数38】
を使用して適合され得る。ここで、α/Kは、
【数39】
として、無線ユニットKに対するデジタル電力スケーリング係数である。これにより、K個のSCCにわたって全体的なハブの送信電力
【数40】
を不均一に分配することが可能となる。全SCCにフロントホールするのに必要とされるハブの送信電力の最大値が実際のハブの送信電力の最大値を上回りそうな場合、どのSCCをサポートしてどのSCCを切断するかの適切な判断が行われ得る。そのような判断は、例えば各個のSCCのその時点での負荷に基づいてもよいし、若しくは時間経過による既知の負荷に基づいてもよく、又は例えば1つのSCCを切断することで2つ以上のSCCをフロントホールできる場合には、それ以外のSCCは接続されなくてもよい。
【0091】
【数41】
の項は、デジタル電力スケーリング係数α及び実際のアンテナ単位のアナログ送信電力
【数42】
を併せて適合することによって調整又は増強され得る。アンテナ単位の送信電力
【数43】
は、アンテナ単位の上り電力
【数44】
の電力制御されたバージョンであり、
【数45】
とみられてもよい。アナログ電力制御ファクタβ≦1は、例えばハブのシャドーイングなどの影響を含むようにアンテナ単位で(したがってRF経路、増幅器、減衰器単位で)異なり:
【数46】
であってもよい。ハブ及びSCCにも所望されるエネルギー増強を達成するために、アナログ電力制御ファクタβの調整は、例えばそれぞれの送信電力増幅器の供給電圧及びそれによる消費電力の適切な適合を備えてもよい。
【0092】
ハブにおいて及び同様にSCCにおいての送信電力の適合及びそれによる消費電力の適合は、ループ・ループ校正に関連して行われてもよく、例えばms時間枠において、電力増幅器の供給電圧の適応は、例えば予め定義された異なる供給電圧の間を切り替えることにより「相対的に−信号包絡線帯域幅に基づかずに」行われてもよい。これは、特定のSCCと同様に単一ハブアンテナ要素においても実現され得る。電力増幅器の供給電圧の適合に関連する送信電力は、ハブに対して関連するデジタル制御プラットフォームによって直接制御され得る一方で、SCCに対しては、手動で調整されるか(例えばSCCが位置する場所の情報に基づいて及び関連するキャリブレーション測定値に基づいて可能である)、又は適切なハブ−SCCシグナリング及びSCCにおける例えばシグナリングに基づいた電気的調整によって最適に調整されるかのいずれかとなり得る。
【0093】
少なくとも1つの出力部12及び少なくとも1つの入力部14は、制御モジュール16に結合される。
【0094】
図5に、モバイル通信システム300の基地局送受信機100の無線ユニット120aに対する装置20の実施形態のブロック図を示す。基地局送受信機100は、無線フロントホールリンクを使用して無線ユニット120aと無線通信するベースバンドユニット110をさらに備える。装置20は、ベースバンドユニット110から無線フロントホールリンクのダウンリンクコンポーネントを受信するように構成された少なくとも1つの入力部22を備える。装置20は、ベースバンドユニット110に無線フロントホールリンクのアップリンクコンポーネントを送信するように構成された少なくとも1つの出力部24をさらに備える。図1〜4で導入された1以上の無線ユニット120は、無線ユニット120aを備え得る。
【0095】
装置20は、少なくとも1つの入力部22及び少なくとも1つの出力部24を制御するように構成された制御モジュール26をさらに備える。制御モジュール26は、ベースバンドユニット110から少なくとも1つの入力部22を介して基準信号を受信するようにさらに構成される。
【0096】
制御モジュール26は、受信基準信号のループバックバージョンを少なくとも1つの出力部24を介してベースバンドユニット110にループバックするようにさらに構成される。制御モジュール26は、例えば受信基準信号をアナログ変換することにより、受信基準信号のループバックバージョンを決定するように構成されていてもよい。ダウンリンクコンポーネントは、例えばダウンリンクキャリア周波数を使用してもよく、アップリンクコンポーネントはアップリンクキャリア周波数を使用してもよい。制御モジュール26は、例えばベースバンドを介して、受信基準信号をダウンリンクキャリア周波数からアップリンクキャリア周波数にアナログ変換することにより、受信基準信号のループバックバージョンを決定するように構成されてもよい。少なくともある実施形態では、ループバックは、受信基準信号の再送信、受信基準信号の周波数シフトされた再送信、受信基準信号の時間遅延された再送信、受信基準信号の反射、受信基準信号の周波数シフトされた反射、又は受信基準信号の時間遅延された送信に対応し得る。
【0097】
代替的に又は追加的に、ダウンリンクコンポーネント及びアップリンクコンポーネントは同一のキャリア周波数を使用してもよく、及び制御モジュール26は例えば受信基準信号を一時的に保存する遅延モジュールを使用して受信基準信号を遅延後のループバックバージョンとして再送信するように構成されていてもよい。
【0098】
少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数を使用して、及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数を使用して基準信号を送信するように構成され得る。制御モジュール26は、遅延後のループバックバージョンとして、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号を再送信するように構成され得る。ループバックバージョンは、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数上及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上の基準信号のループバックバージョンを含み得る。少なくともある実施形態では、制御モジュール26は、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号をアップリンクコンポーネントのキャリア周波数を使用して再送信し、及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号をダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数を使用して再送信するように構成され得る。少なくとも1つの入力部14は、基準信号のループバックバージョンをアップリンクコンポーネントのキャリア周波数上及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信するように構成され得る。少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号のループバックバージョンを使用して、アップリンクコンポーネントのキャリア周波数上の基準信号の減衰量に基づいて1以上の無線フロントホールリンク上の送信のために1以上の無線ユニット120によって使用されるべき無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を決定するように構成され得る。少なくともある実施形態では、制御モジュール16は、ダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号のループバックバージョンを使用して、ダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上の基準信号の減衰量に基づいて1以上の無線フロントホールリンク上の送信のために少なくとも1つの出力部12によって使用されるべき送信電力に関連する情報を決定するように構成され得る。
【0099】
例示の実施形態では、少なくとも1つの出力部は、少なくとも1つの出力部24がアップリンクコンポーネント及びダウンリンクコンポーネントの周波数帯上で交互に送信できるように、送信に使用する周波数帯間を切り替えるためのスイッチ並びにマルチバンド電力増幅器を備え得る。例示の実施態様では、少なくとも1つの入力部14は、アップリンクコンポーネント及びダウンリンクコンポーネントの周波数帯間での信号の受信に使用する周波数帯を切り替えるためのスイッチを備え、したがってアップリンクコンポーネント及びダウンリンクコンポーネントの周波数帯に関するマルチバンド低ノイズ増幅器及びマルチバンドフィルタモジュールを備え得る。アップリンクコンポーネントのキャリア周波数上及びダウンリンクコンポーネントのキャリア周波数上で受信基準信号のループバックバージョンは、ダウンリンクコンポーネント及びアップリンクコンポーネントによって使用される周波数上の基準信号の減衰量を示し得る。
【0100】
制御モジュール26は、ベースバンドユニット110から送信制御情報を受信するようにさらに構成される。送信制御情報は、無線フロントホールリンク上の送信のために無線ユニット120aによって使用されるべき無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を備える。制御モジュール26は、送信制御情報に基づいて少なくとも1つの出力部24を介したアップリンクコンポーネントの送信電力を適合するようにさらに構成される。制御モジュール26は、例えばベースバンドユニット120で望ましいSINR若しくは受信電力を達成するように、無線ユニット単位の送信電力に基づいて増幅電力若しくは送信電力を適用するように、及び/又は増幅器、例えば少なくとも1つの出力部24の増幅器を増加若しくはピーク効率で動作するように構成され得る。種々の実施形態では、送信電力の適合には、サブアンテナの重み付けの適合又はハードウェアレベルの調整、例えば送信コンポーネントの減衰器の調整が含まれ得る。少なくともある実施形態では、例えばバックオフを増加させて(かつ効率を低下させて)動作するのではなく増加した効率で増幅器を動作させるために、例えば少なくとも1つの出力部24の増幅器の供給電圧が低減されてもよい。種々の実施形態では、制御モジュール26は、少なくとも1つの入力部22の受信を送信制御情報に基づいて例えば受信信号を減衰することによって調整するようにさらに構成され得る。これにより、無線ユニットがベースバンドユニットに近く、ベースバンドユニットの送信電力がさらに低減されない場合に引き起こされるジャミング/オーバードライブを減少させ得る。
【0101】
少なくとも1つの出力部22及び少なくとも1つの入力部44は、制御モジュール26に結合される。
【0102】
装置20の更なる詳細及び態様(例えば、無線ユニット、ベースバンドユニット、モバイル通信システム、基地局送受信機、無線フロントホールリンク、ダウンリンクコンポーネント、アップリンクコンポーネント、基準信号、基準信号のループバックバージョン、無線ユニット単位の送信電力)は、提案されたコンセプト又は上記の1以上の例(例えば図1〜4)との関連において言及される。装置20は、提案されたコンセプトの1以上の態様又は上記若しくは下記の1以上の例に対応する1以上の追加の選択的な構成を備え得る。
【0103】
図6に、モバイル通信システム300の基地局送受信機100のベースバンドユニット110の実施形態のブロック図を示す。基地局送受信機100は、1以上の無線フロントホールリンクを使用してベースバンドユニット110と無線通信するように構成された1以上の無線ユニット120をさらに備える。方法は、1以上の無線ユニット120に基準信号を送信するステップ32を備える。方法は、1以上の無線ユニット120から基準信号のループバックバージョンを受信するステップ34をさらに備える。方法は、1以上の無線フロントホールリンク上での送信のために1以上の無線ユニット120によって使用されるべき無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を、基準信号のループバックバージョンに基づいて決定された基準信号の減衰量を用いて決定するステップ36をさらに備える。方法は、無線ユニット単位の送信電力に関連する情報を含む送信制御情報を決定するステップ37をさらに備える。方法は、1以上の無線ユニット120に送信制御情報を提供するステップ38をさらに備える。
【0104】
図7に、モバイル通信システム300の基地局送受信機100の無線ユニット120aに関する方法の実施形態のブロック図を示す。基地局送受信機100は、無線フロントホールリンクを使用して無線ユニット120aと無線通信するベースバンドユニット110をさらに備える。方法は、ベースバンドユニット110から基準信号を受信するステップ42を備える。方法は、ベースバンドユニット110に受信基準信号のループバックバージョンをループバックするステップ44をさらに備える。方法は、ベースバンドユニット110から送信制御情報を受信するステップ46をさらに備える。送信制御情報は、無線フロントホールリンク上での送信のために無線ユニット120aで使用されるべき無線ユニット単位の送信電力に関連した情報を備える。方法は、送信制御情報に基づいて無線フロントホールリンク上での送信のための送信電力を適合するステップ48をさらに備える。
【0105】
ある実施形態は、方法を実施する装置内に設置されたデジタル制御回路を備える。そのようなデジタル制御回路、例えばデジタル信号プロセッサ(DSP)は、それに応じてプログラムされる必要がある。したがって、更なる実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ、デジタルプロセッサ、又はプログラム可能なハードウェアコンポーネント上で実行される場合に、方法の実施形態を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムも提供する。更なる実施形態は、コンピュータ、プロセッサ、又はプログラム可能なハードウェアコンポーネントによって実行されると、ここに記載された方法の1つをコンピュータに実現させる命令を記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【0106】
当業者は、上述した種々の方法のステップがプログラムされたコンピュータによって実行されることを容易に認識するはずである。ここで、ある実施形態は、プログラム記憶デバイス、例えばデジタルデータ記憶媒体を含むこともまた意図しており、それは、機械又はコンピュータ読取り可能で、機械実行可能又はコンピュータ実行可能な命令のプログラムを符号化し、当該命令は、ここに記載された方法の一部又は全部のステップを実行する。プログラム記憶デバイスは、例えば、デジタルメモリ、磁気ディスク及び磁気テープなどの磁気記録媒体、ハードドライブ又は光学読取可能デジタルデータ記録媒体であり得る。実施形態はまた、ここに記載された方法の当該ステップを実行するようにプログラムされたコンピュータ、又は上に記載された方法の当該ステップを実行するようにプログラムされたプログラム可能な(フィールド)ロジックアレイ((F)PLA)若しくはプログラム可能な(フィールド)ゲートアレイ((F)PGA)も含むことを意図している。
【0107】
実施形態により、MMIMOハブ及びSCC送信電力適合が提供され、ハブ及びSCCの消費電力が改善されると同時に、例えば経路損失の低いハブの極近傍に位置されたSCCがハブ及びハブの経路損失の比較的高い他のSCCに対する感度を「ジャミング」することが回避されることになり、極近傍にあるハブのアンテナ単位の送信電力がさらに低減され得ない場合、ハブの極近傍に位置するSCCはそれ自体ジャミングしない。
【0108】
説明及び図面は、単に本発明の原理を示すものである。したがって、当業者は、ここに明示的に記載又は図示されないが、本発明の原理を具体化してその精神及び範囲内に含まれる種々の構成を考案できるであろうことが理解されるはずである。さらに、ここで示された全ての例は、主として、当該技術を推進するために発明者(達)によって貢献された発明の原理及び概念を読者が理解することを助けるための教育目的を意図したものであり、そのような具体的に示された例及び条件に限定されるものではないと解釈されるべきである。また、本発明の原理、態様及び実施形態を表現するここに示される全ての記載は、その具体例と同様に、その均等物を含むことが意図されている。
【0109】
「・・・のための手段」(特定の機能を実行する)と示される機能ブロックは、それぞれ特定の機能を実行するように又は実行するために適合された回路を備える機能ブロックとして理解されるべきである。したがって、「何かのための手段」も同様に「何かのために適合し、又は何かに適した手段」と理解される。したがって、ある特定の機能を実行するように適合された手段は、そのような手段が必ず(所与の時点で)当該機能を実行していることを意味するものではない。
【0110】
図に示された種々の要素の機能は、「手段」、「制御する手段」、「送信する手段」、「受信する手段」、「送受信する手段」、「処理する手段」などと付された任意の機能ブロックを含めて、「コントローラ」、「送信機」、「受信機」、「送受信機」、「プロセッサ」などの専用ハードウェア及び適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行することが可能なハードウェアの使用を通じて提供され得る。また、ここに「手段」として記載される任意のエンティティは、「1以上のモジュール」、「1以上のデバイス」、「1以上のユニット」などに対応し、又はそれらとして実現され得る。プロセッサにより提供される場合、その機能は、一台の専用プロセッサ、一台の共用プロセッサ、又は一部が共有され得る複数の独立プロセッサによって提供され得る。さらに、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアを限定的に指すものとして解釈されるべきでなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶する読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性ストレージを、限定なく暗に含み得る。他のハードウェア、従来型又はカスタム型も同様に含まれ得る。それらの機能は、プログラムロジックの動作を通して、専用ロジックを通して、プログラム制御及び専用ロジックの相互作用を通して、又は手動でも、文脈からより具体的に理解されるように実施者によって選択可能な決定の技術によって実行され得る。
【0111】
ここにおける任意のブロック図は、本発明の原理を具体化する説明的な回路の概念図を表すことを当業者は理解すべきである。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態変化図、疑似コードなどは、そのようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているか否かに関わらず、コンピュータ可読媒体に実質的に表されてコンピュータ又はプロセッサに実行され得る種々のプロセスを表現するものと理解されるべきである。
【0112】
さらに、以下の特許請求の範囲は、ここの発明の詳細な説明に組み込まれ、そこでは各請求項が個別の実施形態としてそれ自身で存在する。各請求項は、個別の実施形態としてそれ自身で存在し得ると同時に、従属請求項は請求項の1以上の他の請求項の特有な組合せを参照することができるが、他の実施形態は従属請求項の組合せもそれぞれの従属請求項の主題と共に含み得ることに留意すべきである。そのような組合せは、特定の組合せを意図しないことが明示されない限りここに提案される。さらに、この請求項は直接的に独立請求項に従属しないとしても、請求項の構成もまた任意の他の独立請求項に含まれることが意図される。
【0113】
さらに、本明細書又は特許請求の範囲において開示された方法は、これらの方法のそれぞれ各自のステップを実行する手段を有するデバイスによって実現され得ることに留意すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7