特許第6571878号(P6571878)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571878
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】ニードルポイントの保護
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20190826BHJP
   A61M 5/142 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61M5/32 510D
   A61M5/32 510V
   A61M5/142 522
【請求項の数】22
【全頁数】32
(21)【出願番号】特願2018-536286(P2018-536286)
(86)(22)【出願日】2016年10月10日
(65)【公表番号】特表2018-532528(P2018-532528A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016056223
(87)【国際公開番号】WO2017062933
(87)【国際公開日】20170413
【審査請求日】2018年7月10日
(31)【優先権主張番号】62/281,536
(32)【優先日】2016年1月21日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/284,806
(32)【優先日】2015年10月9日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/204,542
(32)【優先日】2016年7月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/269,248
(32)【優先日】2016年9月19日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518123372
【氏名又は名称】ウェスト ファーマ サービシーズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カビリ オズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒズキヤ ラン
【審査官】 今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−080486(JP,A)
【文献】 特表2013−517094(JP,A)
【文献】 特表2007−518455(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0138078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/142
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注射器であって、
皮膚接触面を有し、前記皮膚接触面内に開口部を画定しているフレームと、
前記開口部を通って前進するように構成された鋭い先端を有する針と、
前記針に対して取り外し可能に取り付けられている針保護具と、
前記フレームに対して移動可能に取り付けられた針シールドと
を含み、
前記針シールドは、前記針保護具が前記針に対して取り外し可能に取り付けられているとき、前記針シールドの開位置にあり、かつ、前記開位置から遮蔽位置へと付勢されており、前記針保護具を取り外すことにより、前記針シールドは、前記開位置から前記遮蔽位置へと配備され、前記遮蔽位置は前記針先端の露出を防止するとともに前記針の展開を防ぎ、対象の皮膚表面上での前記注射器の配置により、前記針シールドは前記遮蔽位置から準備位置となり、前記準備位置は、前記開口部を介した前記針の前進のための経路を開放する
注射器。
【請求項2】
さらに、取っ手を含み、
前記取っ手は前記針保護具を前記針から引っ張って分離し、これにより前記針シールドが解放され、前記針の前記鋭い先端を遮蔽する前記遮蔽位置へと移動する
請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記針保護具は前記開口部を通じて突出する
請求項1または2に記載の注射器。
【請求項4】
前記付勢によって前記針シールドは前記開口部にせり出している
請求項1ないし3のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項5】
さらに、薬剤容器を含み、
前記薬剤容器は前記針と流体連通しており、前記皮膚接触面に対して平行な長軸を有する
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項6】
前記針は前記薬剤容器に強固に取り付けられている
請求項5に記載の注射器。
【請求項7】
前記針における鋭い先端の長手方向軸は、前記薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている
請求項6に記載の注射器。
【請求項8】
前記薬剤容器は円筒形のボアを含み、前記長軸は前記ボアの長手方向軸である
請求項7に記載の注射器。
【請求項9】
前記針は滅菌されており、また前記針保護具は前記針の滅菌状態を保護する
請求項1ないし8のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項10】
前記皮膚接触面が接着部を含む
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の注射器。
【請求項11】
開口部を有する皮膚接触面を含むフレームと、
遠位部位に鋭利な先端を含む滅菌された針であって、前記針は、前記開口部を介した前記先端の前進の移動の経路を画定する、前記針と、
前記針に対して取り外し可能に取り付けられた針保護具であって、前記針保護具は前記針から、前記針の前記遠位部位の軸に沿った前記針保護具の摺動によって規定される軌跡に沿って取り外し可能である、前記針保護具と、
前記フレームに接続されたシールドであって、前記シールドは、前記針保護具が前記針に対して取り外し可能に取り付けられているとき、前記経路および前記軌跡を開放する開位置にあり、かつ、前記針保護具を取り外すことにより前記開位置から遮蔽位置へと動くように付勢されており、対象の皮膚表面上での自己注射器の配置により、前記シールドは前記遮蔽位置から準備位置となり、前記遮蔽位置は前記経路および前記軌跡を塞ぎ、前記準備位置は、前記軌跡を塞ぐとともに前記経路を開放する、前記シールドとを含む
自己注射器のための針保護システム。
【請求項12】
前記針保護具は前記鋭利な先端におけるコンタミネーションを阻害する
請求項11に記載の針保護システム。
【請求項13】
前記シールドは、前記遮蔽位置にあるときには前記保護具の交換を抑止する
請求項11に記載の針保護システム
【請求項14】
前記シールドはラッチを含み、前記ラッチは前記フレームに対して回転可能に取り付けられている
請求項11ないし1のいずれか一項に記載の針保護システム。
【請求項15】
前記シールドは針開口を含み、前記針開口は前記針先端が通過するのに充分な大きさであるが前記開口部よりも小さく、前記準備位置において前記針は前記針開口を通過するように配列されている
請求項11ないし1のいずれか一項に記載の針保護システム。
【請求項16】
前記遮蔽位置において前記針は前記針開口とずれて配置されている
請求項1に記載の針保護システム。
【請求項17】
前記準備位置において前記シールドは前記フレームと面一である
請求項1または1に記載の針保護システム。
【請求項18】
さらに、薬剤容器を含み、
前記薬剤容器は前記針と流体連通し、前記皮膚接触面と平行な長軸を有する
請求項11ないし1のいずれか一項に記載の針保護システム。
【請求項19】
前記滅菌針は前記薬剤容器に強固に取り付けられている
請求項1に記載の針保護システム。
【請求項20】
前記鋭利な先端における前記針の長手方向軸は、前記薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている
請求項19に記載の針保護システム。
【請求項21】
前記薬剤容器は円筒形のボアを含み、前記長軸は前記ボアの長手方向軸である
請求項2に記載の針保護システム。
【請求項22】
前記皮膚接触面は接着部を含む
請求項11ないし2のいずれか一項に記載の針保護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下のいくつかの実施形態において、ニードルポイントを保護することに関連し、より詳細には、これに限定はされないが、薬剤送達デバイスを注射部位から取り外す際に針を保護するシールドまたはセンサに関連する。
【背景技術】
【0002】
米国特許6500150号は「皮膚接触面を画定する基部と、薬剤用容器として供されるシリンジと、シリンジから薬剤を注出する手段とを有する薬剤送達デバイス」を開示する。シリンジは、長手方向軸が皮膚表面に実質的に平行になるように基部に接続される。送達用の針はシリンジと連通している。針は、先端を皮膚接触面に実質的に垂直に導く傾斜した曲がり部を有する。使用時には、針の先端は対象の皮膚を貫通するように適合される。
【0003】
米国特許6824529号は「皮膚接触面を画定する基部と、薬剤用容器として供されるシリンジと、シリンジから薬剤を注出する手段とを有する薬剤送達デバイス」を開示する。シリンジは、長手方向軸が皮膚表面に実質的に平行になるように基部に接続される。送達用の針はシリンジと連通している。針は、先端を皮膚接触面に実質的に垂直に導く傾斜した傾斜部を有する。使用時には、針の先端は対象の皮膚を貫通するように適合される。
【0004】
米国特許6843782号は「皮膚接触面を画定する基部と、薬剤用容器として供されるシリンジと、シリンジから薬剤を注出する手段とを有する薬剤送達デバイス」を開示する。シリンジは、長手方向軸が皮膚表面に実質的に平行になるように基部に接続される。送達用の針はシリンジと連通している。針は、先端を皮膚接触面に実質的に垂直に導く傾斜した曲がり部を有する。使用時には、針の先端は対象の皮膚を貫通するように適合される。
【0005】
米国特許公開公報2014/0163526号は「標準タイプのシリンジおよび/または皮下注射針を装填可能である自動注射デバイス」を開示する。任意に、シリンジは薬剤を充填して供給してよく、および/または滅菌針カバーにて被覆してもよい。シリンジは無菌状態にて、所定の位置に針カバーを配して注射器に搭載されてよい。注射器は例えば締結機構(例:接着基剤)を含んでよい。いくつかの実施形態において、締結機構は、使用者が長時間注射器を患者の皮膚上に保持することを補助してよい。例えば、注射器は0.5〜3.0mLの範囲内の量の薬剤を、30〜180秒の範囲内の時間を掛けて注出してよい。
【0006】
米国特許公開公報2015/0088071号は以下のように開示している。「アクティブ化機構(20)および安全ラッチ(122)。アクティブ化機構は針(116)がハウジング(112)から突出するように展開させる作用を有し、針(116)は長手方向軸を有する。安全ラッチ(122)はハウジング(112)上に移動可能に取り付けられ、針(116)が通過可能なように針開口(129)が形成される。安全ラッチ(122)は針(116)が針開口(129)を通過可能なように位置合わせされた第1部分と、安全ラッチ(122)がハウジング(112)に対して移動する第2部分とを有し、針開口(129)から離れた安全ラッチ(122)の部分によって、針(116)がその長手方向軸に平行な方向に移動することが阻止される。」
【0007】
国際公開公報2015/048791号は以下のように開示している。「使用のための複合デバイス(500)の準備方法。デバイスは密閉された構成要素(560)およびアクティブな外側表面(579)を含んでよい。外側表面は表面カバー(589)によって保護されてよい。デバイスの準備は、表面カバーを取り除いてアクティブな外側表面をアクティブにすることと、密閉された構成要素を開封して、密閉された構成要素の内側部分をデバイス外部へと露出することと、表面カバーと密閉された構成要素とに取り付けられたカプラー(592)を用いて、活性化と開封を同期させることを含んでよい。」
【0008】
付加的な背景技術は、米国特許6189292号、米国公開特許公報2013/0253434号、米国公開特許公報2009/093792号、および米国特許7967795号を含む。
【発明の概要】
【0009】
本発明のいくつかの実施形態の一側面によると、注射器が提供される。当該注射器は、皮膚接触面を有し、皮膚接触面内に開口部を画定しているフレームと、開口部を通って前進するように構成された鋭い先端を有する針と、針に対して取り外し可能に取り付けられている針保護具と、フレームに対して移動可能に取り付けられた針シールドとを含む。針シールドは、針保護具が針に対して取り外し可能に取り付けられているとき、針シールドの開位置にあり、かつ、開位置から遮蔽位置へと付勢されており、針保護具を取り外すことにより、針シールドは、開位置から遮蔽位置へと配備され、遮蔽位置は針先端の露出を防止するとともに針の展開を防ぎ、対象の皮膚表面上での当該注射器の配置により、針シールドは遮蔽位置から準備位置となり、準備位置は、開口部を介した針の前進のための経路を開放する
【0010】
本発明のいくつかの実施形態によると、当該注射器はさらに、取っ手を含み、取っ手は針保護具を針から引っ張って分離し、これによりスティック保護具が開放され、先端を遮蔽する遮蔽位置へと移動する。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護具は開口部を通じて突出する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態によると、付勢によってスティック保護具は開口部にせり出している。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態によると、当該注射器はさらに、薬剤容器を含み、薬剤容器は針と流体連通しており、その長軸は皮膚接触面に対して平行である。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は前記薬剤容器に強固に取り付けられている。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態によると、針における鋭い先端の長手方向軸は、薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤容器は円筒形のボアを含み、長軸はボアの長手方向軸である。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は滅菌されており、また針保護具は針の滅菌状態を保護する。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態によると、皮膚接触面が接着部を含む。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の一側面によると、自己注射器の針保護のためのシステムが提供される。当該システムは、開口部を有する皮膚接触面を含むフレームと、遠位部位に鋭利な先端を含む滅菌された針であって、針は開口部を介した先端の前進の移動の経路を画定る、針と、針に対して取り外し可能に取り付けられた針保護具であって、針保護具は針から、針の遠位部位の軸に沿った針保護具の摺動によって規定される軌跡に沿って取り外し可能である、針保護具と、フレームに接続されたシールドであって、シールドは、針保護具が針に対して取り外し可能に取り付けられているとき、経路および軌跡を開放する開位置にあり、かつ、針保護具を取り外すことにより開位置から遮蔽位置へと動くように付勢されており、対象の皮膚表面上での自己注射器の配置により、シールドは遮蔽位置から準備位置となり、遮蔽位置は経路および軌跡を塞ぎ、準備位置は、軌跡を塞ぐとともに経路を開放する、シールドとを含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護具は鋭利な先端におけるコンタミネーションを阻害する。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護具を取り外すことによってシールドが開位置から遮蔽位置へと移動するように、針シールドは針保護具に連結されている。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態によると、シールドは、遮蔽位置にあるときには保護具の交換を抑止する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態によると、システムはさらに、針先端の前進を制御するように構成された針ドライバを含み、シールドは針ドライバと連結して、シールドが遮蔽位置にあるとき前進を防止する。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態によると、シールドはラッチを含み、ラッチはフレームに対して回転可能に取り付けられている。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態によると、シールドは針開口を含み、針開口は針先端が通過するのに充分な大きさであるが開口部よりも小さく、準備位置において針は針開口を通過するために配列されている。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態によると、遮蔽位置において針は針開口とずれて配置されている。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態によると、準備位置においてシールドはフレームと面一である。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護システムはさらに、薬剤容器を含み、薬剤容器は針と流体連通し、皮膚接触面と平行な長軸を有する。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態によると、滅菌針は薬剤容器に強固に取り付けられている。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によると、針の鋭利な先端における長手方向軸は、薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤容器は円筒形のボアを含み、長軸はボアの長手方向軸である。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態によると、皮膚接触面は接着部を含む。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態の一側面によると、自己注射器向けの針保護システムが提供される。当該システムは、開口部を有する皮膚接触面を含むフレームと、鋭利な先端を含む針であって、先端が開口部内を前進するようにフレームに移動可能に接続されている、針と、前進工程をコントロールするために針に連結されているロックと、針に対して取り外し可能に取り付けられている針保護具であって、針キャップによる針の軸に沿った摺動によって規定される軌跡に沿って、針から取り外し可能である、針保護具と、ロックに連結されるとともに、2つの位置の間での移動のためにフレームに接続されたスティック保護具とを含み、2つの位置は、スティック保護具が、針保護具の取り外しのための軌道を塞ぐ閉位置と、スティック保護具が、前進を防止するために前記ロックを固定する開位置とである。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護具は開口部を通じて突出している。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態によると、針保護システムはさらに、針と流体連通している薬剤容器を含み、薬剤容器は皮膚接触面に平行な長軸を有する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は薬剤容器に対して強固に取り付けられている。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態によると、鋭利な先端において針の長手方向軸は、薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤容器は円筒形ボアを含み、長軸はボアの長手方向軸である。
【0039】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は滅菌されており、針保護具は針の滅菌性を保護する。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態によると、皮膚接触面は接着部を含む。
【0041】
本発明のいくつかの実施形態の一側面によると、装着型薬剤送達デバイスの針を保護するシステムが提供される。当該システムは、皮膚接触面を含む薬剤送達デバイスの外面であって、皮膚接触面は少なくとも開口を画定する開放部分を含む、外面と、針と流体連通し、皮膚接触面の開放部分と皮膚接触面の他の部分とから選択された少なくとも1つの表面に平行な長軸を有する、薬剤容器と、針の先端を開口を通して皮膚接触面の外側に前進させるために、針に接続されるとともに、皮膚接触面の開放部分に移動可能に取り付けられた針ドライバと、針ドライバと皮膚接触面の開放部分との間に接続されたスイッチであって、デバイスの外面にかかる内向きの圧力に応答して前進を可能にする、スイッチとを含む。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤の送達中において開放部分は他の部分と面一である。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は滅菌されており、さらに、針の滅菌性を保護し、スイッチを抑止する針キャップを含み、針から針キャップを取り外すことによってスイッチが有効となる。
【0044】
本発明のいくつかの実施形態によると、スイッチは、薬剤デバイスの外面から外向きに付勢される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は薬剤容器に強固に取り付けられている。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態によると、針の先端における長手方向軸は、薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤容器は円筒形ボアを含み、長軸はボアの長手方向軸である。
【0048】
本発明のいくつかの実施形態によると、皮膚接触面は接着部を含む。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態の一側面によると、装着型薬剤送達デバイスのシステムが提供される。当該システムは、皮膚接触面を含む薬剤送達デバイスの外面であって、皮膚接触面は開口を画定している、外面と、針と流体連通し、皮膚接触面と平行な長軸を有する、薬剤容器と、針の先端を取り囲んで保護し、先端をコンタミネーションから保護する針キャップと、針に接続され、皮膚接触面の開放部分に移動可能に取り付けられ、針の先端を開口を通して皮膚接触面の外側に前進させるための針ドライバとを含み、針から針キャップを取り外すことによって容器の前進のための移動通路を開く。
【0050】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は滅菌されており、針キャップは針の滅菌性を保護する。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態によると、針は薬剤容器に強固に取り付けられている。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態によると、針の先端における長手方向軸は、薬剤容器の長軸に対して30〜150°の角度に配向されている。
【0053】
本発明のいくつかの実施形態によると、薬剤容器は円筒形ボアを含み、長軸はボアの長手方向軸である。
【0054】
本発明のいくつかの実施形態によると、皮膚接触面は接着部を含む。
【0055】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語、および/または科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載された方法および材料と類似、または同等の方法および材料を本発明の実施形態の実施または試験に使用することができるが、例示的な方法、および/または材料を以下に記載する。紛争の場合、定義を含む特許明細書が支配する。さらに、材料、方法、および実施例は例示に過ぎず、必ずしも限定的なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
本発明のいくつかの実施形態は、添付の図面を参照して、単なる例示として本明細書で説明される。図面を詳細に参照すると、示された詳細は、例としてであり、本発明の実施形態の説明のためであることが強調される。この点に関して、図面を用いた説明は、本発明の実施形態がどのように実施され得るかを当業者に明らかにする。添付図面において:
図1)本発明の実施形態に従った、針の遮蔽方法を示すフローチャートを表している。
図2)本発明の実施形態に従った、針の保護方法を示すフローチャートを表している。
図3)本発明の実施形態に従った、針を保護するためのシステムを示すブロック図を表している。
図4A図4E)本発明の実施形態に従った、針シールドラッチを備えた薬剤送達デバイスの斜視図を表している。
図5A図5B)本発明の実施形態に従った、延長された針シールドラッチの斜視図を表している。
図6A図6D)本発明の実施形態に従った、非線形移動および針シールドを有する注射器の概略図を表している。
図7A図7D)本注射の実施形態に従った、線形移動およびシールドを有する注射器の概略図を表している。
図8A図8E)本発明の実施形態に従った、皮膚センサを有した薬剤送達デバイスの斜視図を表している。
図9A図9C)本発明の実施形態に従った、シールドを有した薬剤送達デバイスの概略図を表している。
【発明を実施するための形態】
【0057】
[概要]
本発明は、以下のいくつかの実施形態において、ニードルポイントを保護する方法に関連し、より詳細には、これに限定はされないが、薬剤送達デバイスを注射部位から取り外しする際に針を保護するシールドまたはセンサに関連する。
【0058】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、薬剤注出デバイスの針保護具の展開に干渉する針キャップに関連する(場合によっては針キャップを堅牢な針シールド(RNS)と呼称することがある)。任意に、針保護具は針キャップが取り外されたときに展開されてよい。いくつかの実施形態において、針保護具を展開することによって注射器をアクティブ化してよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、針キャップの取り外しに干渉する針保護具を含んでいる医薬送達デバイス(例:注射器などの薬剤送達デバイス)に関連する。例えば、シールドおよび/またはセンサが展開されると、キャップの動きの軌跡を妨げることがある。任意に、シールドおよび/またはセンサは、キャップを開ける非アクティブ位置を有する。例えば、針からキャップが取り外されたあと、シールドおよび/またはセンサは非アクティブ位置から展開位置へと移動してよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、展開状態にて注射器からの針キャップの交換に干渉する針シールドおよび/またはセンサに関連する。任意に、注射器がアクティブ化および/または準備状態にあると、センサおよび/またはシールドは展開される。
【0061】
本発明のいくつかの実施形態の一側面は、3つの状態間を遷移する、薬剤注射器用の針シールドに関連する。例えば、針シールドは開位置(例えば、引き戻し位置)を有してよい。引き戻し位置において針キャップおよび/または針キャップ取り外し器は注射器内部および/または外部へと突出してよい。任意に、針キャップが取り外されたとき、針シールドは遮蔽位置へ移動してよい。遮蔽位置において、シールドは針先端の露出を防止してよい。これに代わっておよび/またはこれに加えて、針シールドは準備位置を有してよい。準備位置において、シールド中の開口は針と位置合わせされ、針が注射器から突出することを許容してもよい。任意に、注射器の針が展開される前において、シールドは遮蔽位置から準備位置へと移動してよい。例えば、注射器が対象の皮膚上に展開されると、シールドは遮蔽位置から準備位置へと移動してよい。任意に、シールドが遮蔽位置にあるとき、針の展開は抑止されてよい。任意に、注射器が対象の皮膚から取り外されるとき、針シールドは準備位置から遮蔽位置に移動してよい。例えば、針が展開されている間、針を僅かに(弾性的におよび/または非弾性的に)曲げることによって、針シールドは準備位置から展開位置へと移動してよい。いったん針シールドが展開された針とともに遮蔽位置にあると、シールドは任意に、例えば針によってブロックされ、および/またはロックされるなどして、準備位置へと移動することを防止される。その代わりとして、またはそれに加えて、針は注射が終了するときに収納されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、針キャップはデバイス使用前において、針を保護することができる。任意に、針保護具は、針キャップ取り外し後のスティックハザードを防止することができる。例えば、針保護具は、注射部位からデバイスを取り外しした後のスティックハザードを防止することができる。
【0063】
いくつかの実施形態において、針保護具は、スティックハザード防止のためにニードルポイントを遮蔽するシールドを含んでよい。任意に、シールドは針先端を越えて延長され、スティックハザードを防止することができる。その代わりとして、またはそれに加えて、針保護具は、注射器の皮膚接触面が注射部位に接触していること、および隣接していることを検知する皮膚センサを含んでよい。いくつかの実施形態において、シールドはさらに皮膚センサを含んでもよく、および/または皮膚センサは針先端を遮蔽してもよい。
【0064】
いくつかの実施形態において、センサおよび/または針シールドは皮膚接触面を含んでよい。その代わりとして、またはそれに加えて、センサおよび/または針シールドは、皮膚接触面から離れて延長してよい。任意に、皮膚接触面は使用者の皮膚に接着するための接着部を含んでよい。例えば、皮膚接触面は、針挿入位置の近傍にて皮膚に接着してよい。いくつかの実施形態において、針シールドおよび/またはセンサは、使用者の皮膚との相互作用に応答して、各位置間を移動してよい。例えば、針シールドが使用者の皮膚に対して押し込まれると、針シールドは遮蔽位置から準備位置へと移動してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、注射器を使用者の皮膚から取り去ったときには、針シールドおよび/またはセンサは、遮蔽位置および/または展開位置へと移動してよい。例えば、皮膚接触面が皮膚から遠ざけられたとき、注射器はアクティブ状態から保護状態に切り替えられてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、注射器のハウジングが皮膚接触面から遠ざけられたとき、注射器はアクティブ状態から保護状態に切り替えられてよい。センサおよび/またはシールドの揺動により、注射器の状態を切り替えてよい。いくつかの実施形態において、注射器は先端が鋭い針を有する。例えばこの鋭い先端は、針の直線部分と接続してよい。任意に、針キャップは針の直線部分を被覆し、および/または取り囲む。例えば、針キャップは細長い形状を有し、および/または針の直線部分と同軸に取り付けられる。任意に、直線部分の近位端は容器および/またはそのネックおよび/または針ホルダーに接続される。例えば、針キャップの近位端は、容器および/またはそのネックおよび/または針ホルダーに対して取り付けられおよび/または封止されてよい。いくつかの実施形態において、針キャップは針および/またはその先端を、物理的損傷および/または他者への害(例:鋭利な針先による危険)および/またはコンタミネーション(例:カバーは針および/または針先端の滅菌性を保つことができる)から保護してよい。
【0065】
いくつかの実施形態において、針キャップは針から、長手方向軸の移動によって取り外されてよい。任意に、針キャップは針から、0.5Kg以下の力によって取り外されてよい。その代わりとして、針キャップは、0.5Kg〜1.0Kgの範囲内の力、および/または1.0Kg〜2Kgの範囲内の力、および/または2.0Kg〜3Kgの範囲内の力、および/または3.0Kg〜6Kgの範囲内の力にて針から取り外されてよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、針は線形経路に沿った注射領域へと延長され、および/または挿入されてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針は湾曲経路に沿って延長および/または挿入されてよい。例えば、針はピボットを中心に回転して延長および/または挿入されてよい。任意に、ピボット回転の間、針は長手方向に移動してよい(移動方向の変化は、針の軸方向の変化と一致してよい)。
【0067】
いくつかの実施形態において、針シールドおよび/またはセンサは、遮蔽構成および/または展開構成に付勢されてもよい。任意に、針キャップが針をカバーしているとき、針キャップはシールドおよび/またはセンサと干渉し、付勢された位置への移動を抑止する。任意に、いくつかの位置において、展開された針はセンサおよび/またはシールドの動作と干渉する。任意に、針キャップの取り外しにより注射器はアクティブになる。任意に、針キャップの取り外しは、接着部から接着ライナーの剥離を引き起こしてよい。例えば、接着ライナーは針キャップおよび/または針キャップ引き上げ部分に接続してよい。例えば、接着部は皮膚接触面に接続してよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、針シールドは、針キャップが内部を通って取り外される開口部を含んでよい。例えば、開口部の幅は1〜3mm、および/または3〜8mm、および/または8〜15mmの範囲内であってよい。任意に、開口部は円形であってよい。その代わりとして、またはそれに加えて、開口部は違う形状でもよい。いくつかの実施形態において、針シールドはキャップのための開口部を有していなくてもよい。例えば、針シールドは開口していても、および/またはデバイスのハウジング内の開口部に開放されていてもよい。任意に、キャップは当該ハウジング内の開口部を通じて取り去られてもよい。任意に、当該ハウジング内の開口部は針シールドに適合してよい。例えば、当該ハウジング内の開口部の幅および/または長さは、1〜5mm、および/または5〜10mm、および/または10〜20mm、および/または20〜40mm、および/または40〜80mm、および/または80〜160mmの範囲内にあってよい。任意に、当該ハウジング内の開口部は長方形および/または違う形状であってよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、シールドおよび/またはハウジングは針開口を含んでよい。例えば、針開口はキャップの開口部より小さくてよい。例えば、針開口の幅は0〜0.5mm、および/または0.5〜1mm、および/または1〜2mm、および/または2〜4mmの範囲内にあってよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針は針キャップが通過可能である開口部を通過してよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイス(例:注射器)は、滅菌針キャップで覆われた皮下注射針に直接接続された円筒形バレルを含む、充填済滅菌カートリッジを含んでよい。いくつかの実施形態において、使用者は使用前に、充填済滅菌カートリッジから滅菌針キャップを取り外す。任意に、針キャップの取り外しはデバイスをアクティブ化し、接着カバーを剥がし、針シールドを開位置から遮蔽位置へと展開させる。いくつかの実施形態において、デバイス基部を対象の皮膚上に展開することによって針シールドが準備位置へと移動する。
【0071】
いくつかの実施形態において、デバイスは、充填済シリンジの軸がデバイス基部および/または対象の皮膚にほぼ平行な状態にて、薬剤を対象に注出する。任意に、カートリッジにマウントされた針は、対象の皮膚内に挿入され、および/またはカートリッジから対象へ直通の流体通路として提供されてよい。任意に、対象の皮膚からデバイスを取り外すことによって針シールドを再展開し、および/またはデバイスを非アクティブにしてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイスは充填済シリンジおよび/または針付き容器および/または容器のバレルの軸にある角度をなして展開されるハブを含んでよい。例えば、薬剤送達デバイスは針シールドおよび/または針収納機構を含んでよい。例えば、薬剤送達デバイスは非対称のシリンジおよび/またはプランジャシールを含んでよい。例えば、薬剤送達デバイスは針キャップおよび/またはカバー取り外し具を含んでよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、単体で用いる薬剤送達デバイス(例:自己注射器やパッチ型自己注射器などの注射器、および/またはハンドヘルドまたは身体に対して装着可能なボーラス注射器)は、薬剤を予め充填してよい。例えば、薬剤送達デバイスは、カートリッジを含んでよい。任意に、カートリッジは、シリンジバレルの軸に対して一定の角度にて取り付けられた滅菌ハブおよび/または滅菌針を含んだシリンジを含んでよい。任意に、シリンジは予め薬剤を充填してよい。任意に、デバイスは針シールドおよび/または状態インジケータを含んでよい。任意に、デバイスはアタッチメント機構、例えば対象に取り付けるための接着部を含んでよい。
【0074】
いくつかの実施形態において、カートリッジは組立の前、および/または、小売業者および/または保健医療提供者および/または使用者に出荷される前に薬剤送達デバイスに取り付けられてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、カートリッジは、例えば保健医療提供者(例:看護師および/または薬剤師および/または医師および/または保健師)である使用者、および/または注射の投与対象(例:医薬の投与を受ける患者)、および/またはヘルパーによって薬剤送達デバイスに取り付けられてよい。
【0075】
いくつかの実施形態において、デバイスは左右対称であってよい。例えば、ユーザインタフェースは左右対称であってよい。
【0076】
[詳細な実施形態]
発明の実施形態の少なくとも1つを詳細に説明する前に、本発明はその適用において、以下に図面、および/または例示によって、記述、および/または図解される、構成の詳細および構成要素の配置、および/または方法に必ずしも限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、もしくは様々な方法で実施または実行されることが可能である。
【0077】
[薬剤送達方法]
図1は、本発明の実施形態に従った、薬剤送達方法および/または針シールド方法のフローチャートを図示している。いくつかの実施形態において、注射器は、針シールドと干渉する針カバーを含んでよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、組立注射器(カートリッジ取り付け済)が使用者に提供(112)される。任意に、使用者に提供(112)される状態において、カートリッジおよび/またはハブおよび/または針は、滅菌されおよび/または滅菌キャップにてカバーされてよい。任意に、注射器は針シールドを含んでよい。例えば、針キャップが所定の位置にある間、針シールドは開位置にあり、針キャップへのアクセスを可能としてよい。例えば、針シールドが開位置にあるとき、キャップおよび/またはキャップ取り外し具が注射器外に突出するためのスペースができる。例えば、開位置において、針シールドは収納されてよい。いくつかの実施形態において、針シールドは旋回してよく、および/または、ある位置および/または状態から別の位置および/または状態へとスライドしてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、カートリッジおよび/または注射器は別々に使用者へと供給(112)され、および/または使用者によって組み立てられてよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、注射器を使用する前に、針キャップを取り外し(114)てよい。例えば、針キャップはカートリッジから、注射器のハウジング内の開口部を通って引き剥がしてよい。任意に、針キャップの取り外し(114)によって、送達デバイスをアクティブ化(116)させてよく、および/または針シールドを遮蔽位置に移動させてもよい。例として、キャップおよび/または取り外し具は、スイッチおよび/または電池絶縁体および/または接着保護具と接続してよい。任意に、キャップの取り外しによってスイッチをアクティブにし、および/または電池絶縁体を取り外しし、および/または接着保護具を取り外ししてもよい。いったんアクティブ化(116)が起きると、任意に、送達デバイスは対象上に位置してもよい旨を表示する。任意に、針シールドは遮蔽位置に位置すると、針キャップの再展開を防止してよい。任意に、針シールドが遮蔽位置に位置すると、針の露出を防止してよい。例えば、針シールドは遮蔽位置において、針先端が注射器外へ延長されることを防止してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針シールドが遮蔽位置にあるとき、針延長機構をロックし、および/または無効にすることにより、針が注射器外に延長されることを防止してよく、および/または針シールドは遮蔽位置において、伸長された針先端を遮蔽してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、注射器は対象の皮膚上に配置(120)される。例えば、送達デバイスはアクティブ化(116)した後に対象の皮膚上に配置(120)してよい。任意に、対象の皮膚への配置により針シールドは準備位置に移動(122)してもよい。例えば、針シールドは対象の皮膚によって準備位置へ押し込まれてよい。針シールドの準備位置への移動(122)は針を注射部位から伸長させ、および/または針を対象の皮膚内に挿入する。例えば、針シールドは針を露出させつつ内側へ折りたたまれてもよいし、および/または針シールドの移動(122)は挿入機構をトリガしてもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針シールドの準備位置への移動(122)は、注射器外部へ通じる通路を開放してよい。例えば、針シールドの準備位置への移動(122)はシールド中の開口を位置合わせし、針が、例えば針キャップの開口を通って、デバイスの外部へと延長されることを可能としてもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、例えばボタン押下、および/または注射器を対象の皮膚に対して押し込むことなどの追加のステップによって、針が挿入されてもよい。
【0081】
針挿入後、薬剤が対象へと送達(124)されてよい。例えば、針は中空であり薬剤は当該針中を通って対象へと送達(124)される。任意に、いったん注射が完了すると、デバイスは注射完了を示し、および/またはデバイスは取り外される。任意に、故障(例:流体通路の閉塞)が発生すると、インジケータは故障が発生した旨を示し、および/または注射器を取り外すべき旨を示す。いくつかの実施形態において、針は、注射完了時および/またはある種の故障時に収納してもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針は送達(124)後に伸長したままでもよい。
【0082】
いくつかの実施形態において、送達(124)後および/またはエラー後および/またはその旨の指示があった後、使用者は注射器を対象の皮膚から取り外す(128)ことができる。いくつかの実施形態において、注射器の取り外し(128)時、針シールドは再展開(130)されてよい。針保護具の再展開(130)は、針を保護し、および/またはデバイスをシャットダウンする。その代わりとして、またはそれに加えて、針を収納して針を保護してもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、デバイスは、送達(124)後直ちに、および/または一定の故障に際し直ちに、シャットダウンまたは無効にしてもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、デバイスは、送達(124)後一定時間後に、および/または一定の故障に際し一定時間後に、シャットダウンまたは無効にしてもよい。
【0083】
図2は、本発明の実施形態に従った、針保護方法のフローチャートを図示している。いくつかの実施形態において、注射器は、針キャップにて保護された滅菌針とともに使用者に供給(212)される。任意に、針キャップの取り外し(214)によってアクティブ化され、デバイスの準備(222)および/または使用が確立される。
【0084】
いくつかの実施形態において、針キャップは針をコンタミネーションから保護してよく、および/または準備(222)、アクティブ化、および/またはデバイスの使用を防止してよい。例えば、針キャップが所定の位置にて針を保護している間、針キャップは皮膚センサの展開(216)と干渉する。任意に、皮膚センサの展開(216)まで針ドライバは無効にできる。その代わりとして、またはそれに加えて、針キャップは、所定の位置にて針を覆っている間、センサの準備位置への移動(222)と干渉できる。例えば、センサは、付属物をハウジングおよび/またはデバイスの基部に向けて押すことによってトリガされてもよい。例えば、デバイスが使用者の皮膚に対して展開されたとき、センサおよび/または針シールドはデバイスの基部および/またはハウジングへ向かって押し込まれてよい。例えば、針キャップは、付属物がデバイスの基部に向かう動きと干渉してよい。いくつかの実施形態において、針キャップは接着ライナーおよび/または電池絶縁体と相互に接続してよい。任意に、針キャップの取り外しは接着部からの接着ライナーの剥離、および/または電池絶縁体の取り外しを引き起こしてよい。任意に、針キャップの取り外しはデバイス(例:デバイス基部および/または皮膚センサ)の注射部位への接着を確立してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針キャップの取り外しはデバイスをアクティブ化してよい。
【0085】
いくつかの実施形態において、いったん針キャップが取り外し(214)されると、キャップを元に戻す動きは抑止される。例えば、針の開口部を部分的および/または完全に塞ぐために、キャップの取り外し(214)によってセンサを開放してよい。いくつかの実施形態において、開口部の部分的なブロックは、キャップを針に戻す動きを抑止してよい。
【0086】
いくつかの実施形態において、センサの準備位置への移動(222)はデバイスの使用を容易にできる。例えば、センサの準備位置への移動(222)は針挿入スイッチをアンロックし、および/または針挿入をトリガし、および/または薬液注出(224)をトリガしてよい。
【0087】
いくつかの実施形態において、使用者の皮膚からの注射器取り外し(228)は、皮膚センサを開放し、および/または再展開(230)する。任意に、皮膚センサの開放および/または再展開(230)は、デバイスを非アクティブにし、および/またはデバイスをニュートラル状態にてロックする(例:針が保護され、および/または薬液注出が不可能となる)。
【0088】
[注射器器具]
図3は、本発明の実施形態に従った、針の保護を表しているブロック図である。いくつかの実施形態において、針キャップは、針シールドおよび/またはセンサと相互作用する。
【0089】
いくつかの実施形態において、注射器は、針352および/またはシールドおよび/またはセンサ316と移動可能に(例として、ハウジングの一部であるフレームを介して)接触する皮膚接触面388を含む。
【0090】
いくつかの実施形態において、針は、任意に皮膚接触面の開口部308を通過することのできる鋭利な先端を含む。その代わりとして、またはそれに加えて、針先端は皮膚接触面388およびその縁部を横切って動いてよい。
【0091】
いくつかの実施形態において、針352の全体、もしくは一部分(例:鋭利な先端354)は、針キャップ304によって取り囲まれても、および/または保護されてもよい。例えば、針キャップは先端354を物理的損傷から保護してよいし、および/またはコンタミネーションから保護(例:先端354の滅菌状態の保護)してもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針キャップ304は、鋭利な先端354を覆うことによって、鋭利なスティックの事象(スティックハザード)を抑止してもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、針シールドおよび/またはセンサ316は、スティックハザードを抑止するために先端354を遮蔽してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針シールドおよび/またはセンサ316は、注射器の事象をトリガおよび/または抑止してよい。例えば、いくつかの状態において、シールド/センサ316は、デバイスのアクティブ化を抑止してよい。任意に、いくつかの状態において、シールド/センサは、デバイスのアクティブ化および/または使用を確立してよい。例えば、シールド/センサ316が開状態および/または展開状態にあるとき、デバイスは非稼動状態にあっても、および/または針352は(例:格納された状態にて)ロックされてもよい。任意に、シールド/センサ316が準備状態にあるとき、注射器は稼動状態にあっても、および/または針352は開放されてもよい。いくつかの状態において、シールド/センサ316は開口部308の全体および/または一部を塞ぐ。
【0093】
いくつかの実施形態において、シールド/センサ316は皮膚接触面388に含まれてよい。例えば、準備状態において、シールド/センサ316の外面は、皮膚接触面388と面一であってよい。任意に、開口部308はシールド/センサ316内部を通過してよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、キャップ304はシールド/センサ316と相互作用してよい。例えば、キャップ304が針352上の定位置にある間、シールド/センサ316は、シールド/センサ316の開位置から準備位置および/または展開位置への移動に対してブロックおよび/または干渉してもよい。任意にまたはこれに加えて、シールド/センサ316が準備位置におよび/または遮蔽状態にあるとき、キャップ304の動きは抑止されてよい。例えば、シールド/センサ316はキャップ304の取り外しおよび/または取り外したキャップ304の再挿入を防止してよい。
【0095】
[針シールドラッチ]
図4Aないし図4Eは、本発明の実施形態に沿った、針シールドピボットラッチを備えた薬剤送達デバイスの斜視図である。いくつかの実施形態において、針キャップおよび/または針キャップ取り外し具が開口部から延長されることを可能とするように、針シールドは全開状態となり、デバイスの開口部から充分遠くまで開放されてよい(図4A図4B図5Bに図示)。いくつかの実施形態において、針シールドは、例えば針先端454の露出を防止する、遮蔽状態となってよい(例を図4Dおよび図4に図示)。いくつかの実施形態において、針シールドは、針キャップの先端454がデバイス外部へと延伸されるように配置されている準備状態を有してよい(例:図4C)。
【0096】
いくつかの実施形態において、シールド/センサ416はいくつかの状態において、デバイスの皮膚接触面の一部に含まれてよい。任意に、準備状態において、シールド/センサ416の外面は基部488の外面と面一である。例えば、準備状態において、シールド/センサ416の外面および/または基部488の外面はデバイスの皮膚接触面を形成する。
【0097】
いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイスは例としてはバッテリ425である動力源を含んでよい。いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイスは例としては直流モータ429であるアクチュエータを含んでよい。いくつかの実施形態において、薬液送達デバイスは、例としてプランジャドライバ484であるトランスミッションを含んでよい。いくつかの実施形態において、薬剤送達デバイスは例としてはプリント回路基板427(PCB)である回路を含んでよい。例えば、回路基板427は動作プログラムに従い、電気的に電源をステータスインジケータおよび/またはアクチュエータに接続してよい。電源がモータ429に電気的に接続されると、モータ429は任意に、プランジャを駆動および/または薬剤を注出するトランスミッション484を回転させる。任意に、PCB427はプロセッサを含み、および/または1つ以上のセンサに対して感受性を有してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、PCB427は物理的スイッチの単純な命令によって機能してよい。任意に、薬剤カートリッジはデバイス中に取り付けられてよい(例:事前組み込みおよび/または使用者による取り付け)。いくつかの実施形態において、カートリッジは、任意に薬剤を含有しているバレル442を含んでよく、および/またはプランジャシールによって近位部位が密栓されてよく、および/またはハブ436を含んでよく、および/または針キャップ404に保護された針452を含んでよい。任意に、カートリッジの一部にプランジャ駆動器484を有していてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、プランジャ駆動器484は送達デバイスの一部であってよい。
【0098】
図4Aおよび図4Bは、開放位置にある針シールド416であるピボットラッチを備えた例示的な薬物送達装置を表している。いくつかの実施形態において、針シールド416は開位置にて、デバイスの基部の皮膚接触面488に対して、75〜90°の範囲内、および/または75〜50°の範囲内、および/または50〜30°の範囲内、ピボット449にて過剰に旋回する。
【0099】
いくつかの実施形態において、針ラッチ416が開位置にあるとき、針カバーおよび/またはカバー取り外し具414は針452を取りまいている(針452を図4Eに例示する)。例えば、キャップを針452の一部に封止して、針の滅菌性を保護し、および/または針452をコンタミネーションから保護してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、キャップは針を物理的損傷から保護し、および/または人体および/または他の物体への損害を防止してもよい。任意に、針カバーおよび/またはカバー取り外し具414は、針ラッチ416が遮蔽位置および/または準備位置に移動することを抑止してよい。例えば、カバー取り外し具414はシールド416の開位置から遮蔽位置への移動に対して抑止および/または干渉してよい。いくつかの実施形態において、シールド416は遮蔽位置へと付勢されてよい。例えば、ばね461はシールド416を付勢する。
【0100】
いくつかの実施形態において、使用者は、針キャップ取り外し具414を基部488から引っ張ることによって送達デバイスをアクティブ化することができる。例えば、針キャップ取り外し具414を引っ張ることによって針キャップ(例:キャップ404)をカートリッジから分離でき、および/または基部488から接着プロテクタを引き剥がすことができる。例えば、針キャップ取り外し具414は、使用者による取り外しを確実にするために取っ手415(例:プルリング)を含んでいてよい。任意に、針キャップ取り外し具414および/または針キャップ404が取り除かれるとき、針シールド416は遮蔽位置へと揺動されてよく、その間にマウント482と針先端454は収縮した状態のままとなる(例:収縮した状態は図8Aに図示されており、針シールドが遮蔽位置にある状態は図4Dに図示されている)。任意に、針キャップ取り外し具の取り外しおよび/または針シールドの遮蔽位置への旋回はスイッチをトリガし、バッテリの碍子を分離し、および/または、薬剤送達デバイスをアクティブ化するセンサ、および/または使用者指示器、および/またはプロセッサをトリガする。例えば、針シールドは遮蔽状態においては、基部488に対して20〜30°、および/または10〜20°、および/または5〜10°、および/または30〜50°の範囲内の角度を有してよい。いくつかの実施形態において、バレル442はデバイスに対してクリップ463によって保持されている。
【0101】
いくつかの実施形態において、デバイスがアクティブ化され、および/または針452は格納され、および/または針シールド416が遮蔽位置にあるとき、基部488を対象の皮膚と相対する位置に位置させることができる。任意に、基部488を対象の皮膚に相対して位置させることによって、針シールド416は、基部488の背部方向に向かって、および/または基部488の開口部408内へと押し上げられる。例えば、針シールド416は、遮蔽位置から準備位置へと移動してよい(例として、準備位置にある針シールド416を図4Cに図示する)。準備位置において針シールド416中の開口417は、針先端454とともに位置合わせされてよい。任意に、針シールド416が準備位置にあり、および/または基部488が対象の皮膚に相対しているとき、マウント482および/またはバレル442および/または針先端454を拡張状態へ移動させることによって針先端454は開口417から対象へと延伸される。例えば、針はピボット448が旋回することによって延伸されてよい。任意に、針先端454が対象中にあるときに薬剤が対象中に注入されてよい。
【0102】
いくつかの実施形態において、注入開始後、デバイスが対象の皮膚から取り外されると(例えば、注入終了および/または閉塞時および/または間違いによって)、針シールド416は遮蔽状態(図4Dに図示)へと旋回する。任意に、針シールド416は遮蔽位置において、ラッチ462および/またはロックによって、開位置へと戻ることを防止される。例えば、針シールド416が遮蔽位置および/または格納状態および/または準備状態にあるとき、ラッチ462は針シールド416の付属物458にロックする。
【0103】
いくつかの実施形態において、針シールドは複数の付勢要素に対して接続してよい。例えば、ばね461はシールド416を、遮蔽位置および/または準備位置(例えば基部488に向かって)に対して付勢する。これに加えて、またはこれに代わって、2番目の付勢要素があってもよい(例:板状ばねおよび/またはラッチ462および/または付属物458の流路中のコイルスプリング)。任意に、2番目の付勢要素は、開位置へ戻ることを妨げられた後(例:付属物458がラッチ562によってロックされた後)、針シールド416と契合する。任意に、2番目の付勢要素は針シールド416を基部488から離す方向、例えば遮蔽位置に付勢する。
【0104】
いくつかの実施形態において、ピボット449は針先端454が開口417を通じて上昇することを可能とするスイッチである。例えば、針シールド416は遮蔽位置の外側に向かって付勢されている。針シールド416に対する内向きの圧力は、針シールド416をピボット449回りに準備位置まで回転させ、および/または針先端454が開口417中を通過することを可能とする。
【0105】
いくつかの実施形態において、針シールド416が遮蔽位置にあるとき、開口417は針先端454と位置合わせされておらず、および/または針先端454の露出は針シールド416によって妨げられる。任意に、針シールド416は遮蔽位置および/または準備位置にあるとき、完全におよび/または部分的に開口部408をブロックし、および/または針キャップ404および/またはキャップ取り外し具414の交換を防止する。その代わりとして、またはそれに加えて、針シールド416が遮蔽位置へと戻ってきたとき(例:準備位置にあった後)、スイッチおよび/またはセンサがデバイスを注射後状態に設定するようにトリガし、および/またはデバイスを非アクティブ化しおよび/または注出を停止し(例:デバイスが予定より早く取り外された場合)、および/または警告をアクティブとしてよい(例:デバイスが閉塞した場合および/または予定より早く取り外された場合)。いくつかの実施形態においては、針452が延長されたとき、針シールド416は準備位置に戻ることが防止される。
【0106】
図5Aおよび図5Bは、本発明の実施形態に沿った、延長された針シールド516である延長ラッチを有する、薬剤送達デバイスの斜視図を表している。いくつかの実施形態において、開位置(図5Aに例示)にある針シールド516は、ピボット549周りで過剰に旋回しない。任意に、遮蔽位置と開位置双方における、針シールド516と基部488の皮膚接触面との角度は等しい。任意に、針シールド516は、延長部519を、針の延長通路内および/または針キャップの通路内および/または針キャップ取り外し具の通路へと延長することにより、開状態から遮蔽状態へと移動する。いったん延長部519が延長されると、針の位置を固定し、および/または針の露出を防止し、および/または針キャップの交換を防止し、および/または針キャップ取り外し具414の交換を防止してよい。任意に、針シールド516は、針の延長を認容する準備位置を有する。例えば、延長部519が延伸された状態にて、針シールド516は、開口が針と位置合わせされている準備位置まで基部488に向かって押されてもよい。いくつかの実施形態において、延長部519が延長位置にある状態にて、針シールド516は、例えば針シールド416と比して(例:図4A図4Dおよびこれに付随する説明を参照)、上述したものと同一の幾何学形状および/または機能を有していてよい。
【0107】
[針および/または針キャップの動き]
図6Aないし図6Dは、本発明の実施形態に沿った、非線形移動および針シールドを有する注射器の概略図である。いくつかの実施形態において、針シールドおよび/またはセンサは、針および/または針カバーの移動と干渉してよい。
【0108】
いくつかの実施形態において、移動の軌跡は線形であっても(例として、針652および/または針キャップ604の長手方向軸に沿った移動は変化しない)、湾曲していてもよい(例として、針652および/または針キャップ604の長手方向軸に沿った移動は変化する)。いくつかの実施形態において、針キャップ604および/または針652の軌跡は一致してもよく、異なっていてもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、最初の物体(例:針シールドおよび/またはセンサ)は、2番目の物体(例:針および/または針キャップ)の移動に対して、物体が動いている空間を専有することによって干渉してもよい(例:図5Aにおいて、針キャップ取り外し具414は、例えば図5Bで示すようにシールド延長部519が遮蔽状態にて移動する空間を専有する)。その代わりとして、またはそれに加えて、最初の物体(例:針シールドおよび/またはセンサ)は、2番目の物体(例:針および/または針キャップ)の移動に対して、移動の軌跡を塞ぐことによって干渉してもよい。例えば、図6Aにおいて、遮蔽位置にある針シールド616は針キャップ604の取り外しの軌跡をブロックしている。
【0110】
図6Aは、本発明の実施形態に沿った、非アクティブ状態にある注射器の実施形態の図を表している。いくつかの実施形態において、注射器は、針652と流体連通している(例を図6Bに図示する)薬剤容器642を含んでよい。任意に、注射器は使用者に対して非アクティブ状態で提供される。例えば、非アクティブ状態において、針652は針キャップ604によって覆われていてよい。任意に、針652および/または針キャップ604は直線状および/または軸方向に対称である。例えば、カバーが覆っている状態において、針652および針キャップ604は同軸である。任意に、注射器は、初期状態で遮蔽位置にある針シールド616を含む。任意に、針シールド616は遮蔽位置において、注射部位691(図6Aないし図6Dにて破線の四角で示す)の開放端(例:下面)を塞ぐ。
【0111】
図6Bおよび図6Cは、本発明の実施形態に沿った、アクティブ状態にある注射器の図解を表している。例えば、使用者は針シールド616をアクティブ位置に移動させることによって注射器をアクティブ状態にしてよい(例を図6Bに図示する)。例えば、針シールド616はピボット648周りをアクティブ位置まで回転してよい。任意に、アクティブ位置において、針キャップ604の除去のために、針シールド616は注射部位691および/または軌跡693と離間されてよい。例えば、軌跡693は直線状であり、および/または針652の長手方向軸に対して平行および/または同軸であってよい。任意に、軌跡693は注射部位691を通過する。いくつかの実施形態において、(図6Aに例示するように)遮蔽位置において、針シールド616は軌跡693をブロックし、および/または針キャップ604の取り外しに干渉する。
【0112】
いくつかの実施形態において、針652は注射部位691内に挿入されてよい。任意に、針の鋭利な先端の軌跡694は(図6Cに破線で図示)、直線に沿わなくてもよい。例えば、針652は注射部位691内に、ピボット648周りの回転によって挿入されてよい。任意に、針652の先端は湾曲した軌道、例えば円弧である。
【0113】
図6Dは、本発明の実施形態に沿った、注射後のロック状態にある注射器の図解を表している。いくつかの実施形態において、例えば薬剤放出の終了時、および/または注射器が注射部位から取り外されたとき、針シールド616は遮蔽状態へと戻ってよい。例えば、針シールドは、針652をスティックハザードから保護するため遮蔽状態へと戻ってよい。
【0114】
図7Aないし図7Dは、本注射の実施形態に沿った、線形移動およびシールドを有する注射器の概略図を表している。いくつかの実施形態において、針シールドおよび/またはセンサは、針および/または針カバーの移動に対して干渉してよい。
【0115】
図7Aは、本発明の実施形態に沿った、非アクティブ状態にある注射器の実施形態の図解の1つを表している。いくつかの実施形態において、注射器は、中空針652と流体連通している薬剤容器742を含んでいる(例を図7Bに図示)。任意に、注射器は使用者に対して非アクティブ状態にて提供される。任意に、注射器は初期状態において遮蔽位置にある針シールド716を含む。任意に、針シールド716は遮蔽位置において、注射部位691(図7A図7Dにて破線の四角で示す)の開放端(例:下面)を塞ぐ。
【0116】
図7Bおよび図7Cは、本発明の実施形態に沿った、アクティブ状態にある注射器の図解を表している。例えば、使用者は針シールド716をアクティブ位置(図7Bに例示)まで移動させることによって、注射器をアクティブ状態にしてよい。例えば、針シールド716はピボット648周りをアクティブ位置まで移動してよい。任意に、針シールド716はアクティブ位置において、針キャップ604の取り外しのために、注射部位691および/または軌跡793(図7Bに破線矢印で例示)と離間してよい。
【0117】
いくつかの実施形態において、針652は注射部位691内に挿入されてよい。任意に、針の鋭利な先端の軌跡794(図7Cにて破線にて例示)は、直線状でなくてよい。いくつかの実施形態において、針652は強固に容器742に対して接続され、および/または容器742と移動してよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針は可撓性部材によって容器に取り付けられ、および/または容器に対して接続および/または独立して移動してよい。例えば針は、フレキシブルチューブによって容器に対して接続されてよい。
【0118】
図7Dは、本発明の実施形態に沿った、注射後のロック状態にある注射器の図解を表している。いくつかの実施形態において、ロック状態において、針シールド716は、例えば針652をスティックハザードから保護するため遮蔽状態へと戻ってよい。
【0119】
図8Aないし図8Eは、本発明の実施形態に沿った、センサを有した注射器の図解を表している。いくつかの実施形態において、センサの状態によって注射器の状態は切り替えられてよい。任意に、センサは針キャップと相互作用する。例えば、皮膚センサは注射器が使用者の皮膚上に置かれたときに、刺激および/または移動されてもよい。針キャップはセンサからの刺激をブロックし、および/またはセンサの移動と干渉してよい。
【0120】
図8Aおよび図8Bは、本発明の実施形態に沿った、初期状態にある注射器の、斜視図および断面図を夫々表している。任意に、初期状態においてデバイスはアクティブ化されていない。いくつかの実施形態において、注射器800は、皮膚センサ816の移動と干渉するキャップ引き上げ器814を1つ以上含んでよい。例えば、非アクティブ状態において、センサ816は注射器800の上側ハウジング882aおよび/または下側ハウジング882bから離れた位置に延長されてもよい。任意に、注射器800は、センサ816を上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bに向かって折りたたむことによって準備状態および/またはアクティブ状態になる。いくつかの実施形態において、キャップ引き上げ器814はセンサの上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bへ対する移動に干渉する。
【0121】
いくつかの実施形態において、センサ816はピボット849の周囲を回転して上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bへ向かって移動する。キャップ引き上げ器814は任意に、センサ816に適合し、センサ816の回転がキャップ引き上げ器814を移動させる。次に、キャップ引き上げ器814は任意に、針キャップ404および/または針452および/または容器442のネック436および/または上側ハウジング882aに対して確実に取り付けられ、キャップ引き上げ器814の動きは抑止される。任意に、キャップ引き上げ器814の動きを抑止することによって、センサ816の回転は抑止され、注射器800のアクティブ化、準備および/または使用は抑止される。
【0122】
いくつかの実施形態において、キャップ404および/またはキャップ引き上げ器814はセンサ816と対応して長手方向軸に、例えば針452の軸に沿って移動してよい。例えば、キャップ404および/またはキャップ引き上げ器814はセンサ816中の開口(例:図8Cの開口817)中に適合してよい。任意に、キャップ404および/またはキャップ引き上げ器814はデバイスから線形移動によって取り外されてよい。任意に、キャップ404および/またはキャップ引き上げ器814を注射器800から取り外すことによってデバイスのアクティブ化および/または準備を確実にしてよい。いくつかの実施形態において、キャップ引き上げ器814は例えばプルリング415などの取っ手に接続されてよい。取っ手は使用者がキャップ引き上げ器814および/またはキャップ404を取り外すことを確実にしてよい。
【0123】
いくつかの実施形態においてセンサは皮膚接触面を含んでよい。任意に、皮膚接触面は接着部874を含んでよい。例えば、接着部874は使用者の皮膚の注射部位の近傍に対してセンサ816を取り付けてよい。任意に、取っ手415および/またはプルリング814および/またはキャップ404は接着ライナー876に取り付けられているので、キャップ404を取り外すとライナー876は接着部874から引き剥がされる。いくつかの実施形態において、上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bは、皮膚接触面および/または接着部を含んでよい。ライナー876は上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bの接着部を保護してよく、キャップ404が取り外されることによって上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bから引き剥がされてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、スイッチおよび/またはバッテリアイソレータを取っ手415および/またはプルリング814および/またはキャップ404に対して取り付け、キャップ404を取り外すことによってバッテリアイソレータを取り外し、および/またはスイッチをトリガするようにしてもよい。
【0124】
図8Cは、本発明の実施形態に沿った、針キャップが取り外された注射器の断面図を表している。いくつかの実施形態において、針キャップの取り外しは、接着面(例:皮膚接触面)からのライナー引き剥がしを含む。任意に、針キャップ404の取り外しは注射器800をアクティブ化してよい。例えば、CPUが起動されてもよく、および/または自己診断および/またはタイマーが初期化されてもよい。例えば、図8Cにおけるアクティブ化された状態において、センサ816は下側ハウジング882bから離れて展開される。任意にセンサ816はアクティブ化スイッチと連結してよい。例えば、アクティブ化スイッチは針挿入ボタン870を含んでよい。例えば、センサ816が展開状態にあると、針挿入ボタンはロックされ、および/または針挿入は抑止される。
【0125】
図8Dは、本発明の実施形態に沿った、折りたたみ状態にある皮膚センサを有した注射器の断面図を表している。いくつかの実施形態において、注射器800は、センサ816を下側ハウジング882bに対しておよび/または開口部808内部に向かって、折りたたむことによって準備状態となってよい。例えば、センサ816はセンサ816を注射部位(例:使用者の皮膚)に対して位置させること、および/またはセンサ816を注射部位に接着すること、および/または上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882bをセンサ816および/または注射部位に対して押圧することによって折りたたまれてよい。任意に、センサ816が折りたたまれたとき、デバイスは準備状態となる。任意に、デバイスが準備状態となったとき、針挿入スイッチ870はアンロックされ、針の挿入を認容および/または容易にする。その代わりとして、またはそれに加えて、センサ816の折りたたみによって針の挿入をトリガしてよい。
【0126】
図8Eは、本発明の実施形態に沿った、アクティブ状態にある注射器の断面図である。例えば、注射器800が準備状態にあるとき、使用者は針挿入ボタン870を押下してよい。任意に、針挿入ボタン870の押下は挿入ドライバをトリガする。例えば、ドライバは上側ハウジング882aを下側ハウジング882bに対してピボット848の周りに回転させてよい。回転によって針先端454は、下側ハウジング882b内部の開口部808を通じて、および/またはセンサ816の開口817を通じて、使用者の皮膚状の注射部位へと挿入されてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針は線形移動によって挿入されてよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針挿入ドライバはセンサ816の折りたたみによって直接トリガされてもよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針の挿入は手動にて行ってよい(例:使用者がボタン870および/または上側ハウジング882aを押下する圧力によって針先端454が皮膚に対して押下される)。
【0127】
いくつかの実施形態において、針先端454は薬剤送達後、および/または使用者の皮膚からデバイス808を取り外した後に保護されてよい。例えば針452は上側ハウジング882aおよび下側ハウジング882b内に収納され、および/または針シールドが針先端454を遮蔽するように展開されてもよい。
【0128】
いくつかの実施形態において、ある状態においては、センサ816は、装置の基部と同一平面上にあり、および/または装置の皮膚接触面の一部を形成する。任意に、折りたたまれた状態において、センサ816の外面は下側ハウジング882bと同一平面上にある。例えば、センサ816の外面と、下側ハウジング882bとはデバイスの皮膚接触面を形成している。
【0129】
いくつかの実施形態において、ピボット849は、針先端854を開口817を通じて引きあげることを可能にするスイッチである。例えば、シールド816は遮蔽位置に向かって外側に付勢している。シールド816に対する内向きの圧力によってシールド816はピボット849周りを準備位置まで回転し、および/または針先端854が開口817を通過することを可能とする。
【0130】
図9Aないし図9Cは、本発明の実施形態に沿った針シールドの概略図を表している。いくつかの実施形態において、針シールドは注射針に対して直線状に動いてよい。任意に、針キャップは針シールドの移動と干渉してよい。例えば、針キャップの取り外しは、シールドの動きを認容し、容易にし、および/またはトリガしてよい。いくつかの実施形態において、針シールドは、針キャップが内部を通過できるための大きさと形状とを有した大きい開口を含んでよい。その代わりとして、またはそれに加えて、針キャップが針上にあるとき、シールドは脇に移動してよく、および/または針キャップはシールドの延部を通過してよい。いくつかの実施形態において、針キャップは針が内部を通過するための形状と大きさを有した小さい開口を含んでよい。
【0131】
図9Aは、本発明の実施形態に沿った、針カバーによって針が保護された注射器の模式図を表している。いくつかの実施形態において、針カバー604および/または注射デバイスの針を保護するカバー取り外し具は、デバイスの針シールド916中の開口部917b中を通過して突出してよい。例えば、開口部917bはカバー604が通過することを認容する大きさを有してよい。例えば、カバー604は、カバー604の長手方向軸および/または針452に沿って直線的に並進することによって、(図9Bに図示するように)通過することができる。任意に、保護位置において、カバー604および/またはカバー取り外し具はシールド916の動きに対して干渉する。
【0132】
いくつかの実施形態において、シールド916は、針カバー604を注射器から引っ張って外すことによって自由とすることができる。例えば、カバー604は注射器から図9Aの矢印の方向に引っ張って外すことができる。
【0133】
図9Bは、本発明の実施形態に沿った、針キャップが取り外された注射器の模式図を表している。任意に、針キャップ604が取り外されると、針シールド916は自由に平行運動できる。例えば、図9A図9Bとを比較してわかるように、針シールド916は、小さな開口部917aが針452と位置合わせされるように、および/または大きな開口部917bが針452軸と位置合わせされないように、横方向に並進する。任意に、開口部917aは針452が通過するために充分な大きさを有するが、針キャップ604が通過するためには小さすぎる。
【0134】
図9Bは、本発明の実施形態に沿った、アクティブ状態にある注射器の模式図を表している。例えば、アクティブ状態において、針452は開口部917aより突出する。任意に、シールド916の外面は皮膚接触面および/または使用者の注射部位に接着する接着部を含んでよい。例えば、針452は使用者の皮膚へと突出して、および/または皮下に薬剤を注出してよい。
【0135】
いくつかの実施形態において、薬剤注出後、針452は保護されてよい。例えば、容器742および/または針452はシールド916の奥に格納されてよい(例:図9Cのシールド916上部)。その代わりとして、またはそれに加えて、シールド916は針452を遮蔽するために、外側に移動(例:線形移動および/または回転)してよい。
【0136】
[薬剤送達デバイスの例示的な寸法]
いくつかの実施形態において、容器(例:シリンジ)のペイロードは例えば、0.5〜2mL、および/または2〜4mL、および/または4〜6mL、および/または4〜10mL、および/またはそれ以上の範囲内の薬剤を含む。いくつかの実施形態において、注射器は1回の投与にてペイロード全量を注出してよい。薬剤送達デバイスは、例えば、パッチ型自己注射器、および/またはプランジャを駆動するための、および/またはペイロードを注出するための内部駆動ドライバを含んでよい。この用途のために、内部で駆動される注射器ドライバは、注射器内に少なくとも一時的に格納されたエネルギーによって駆動される駆動機構として定義されてもよい。動力は例えば、化学ポテンシャルとして電源に貯蔵されて良いし(例として膨張ガスを生成する化学物質および/またはバッテリ)、および/または機械的ポテンシャル(例として弾性部材および/またはばねおよび/または圧縮ガス内に蓄えられる)であってよい。例えば、ドライバはペイロードを20〜120秒、および/または120〜600秒、および/または600秒〜1時間、および/または1時間〜1日、および/またはそれ以上の範囲内の時間にわたって注出してよい。
【0137】
いくつかの実施形態の注射器において、針に強固に取り付けられたカートリッジを回転することによって針は対象内に挿入される。任意に、二重移動枢動アセンブリは、針挿入点を装置の基部の平面内に静止した状態に保つ。例えば、ピボット要素は、旋回しながら摺動し、それによって患者の皮膚上の挿入位置を静止状態に保つことができる。その代わりとして、またはそれに加えて、二重駆動ピボットはカム、および/または延長したレバーを含んでよい。例えば、ピボット移動は7〜9°、および/または4〜7°、および/または2〜4°、および/または9〜15°、および/または15〜30°の範囲にわたる。スライド移動は任意に、回転移動による対象の皮膚平面内の針穿刺位置の水平方向への移動を相殺する。例えば、針の水平方向への移動は針への負荷を発生させ、挿入領域周辺にて液漏れを引き起こす。任意に、二重駆動ピボット部品は、針および/または挿入位置の水平方向への移動を抑止し、針への負荷を軽減するであろう。任意に、針の長手方向軸の移動は、7.5〜8mm、および/または6〜7.5mm、および/または2〜6mm、および/または8〜10mm、および/または10〜15mm、および/または15〜50mmの範囲内である。いくつかの実施形態において、針挿入の水平方向への移動は、例えば0〜0.4mm、および/または0.4〜0.8mm、および/または0.8〜2mmの範囲内である。例えば、カムのアームの伸長、および/またはピボット位置のスライドといった二重駆動ピボット部品の水平方向への移動は、任意に、水平方向への移動を補償する。例えば、二重駆動ピボット部品の水平方向への移動は、針挿入位置の水平方向への移動と同一の順番によるものであり、例えば0〜0.4mm、および/または0.4〜0.8mm、および/または0.8〜2mmの範囲内にわたる。本発明の精神内において、針挿入位置を保つために複数の機構を用いてよく、例えば延長したアームおよび/または延長したマウントおよび/または延長したレバーおよび/または軌道(例:線形の軌道)および/またはカムなどがある。
【0138】
いくつかの実施形態において、装置は、物質の送達前であってアクティブ化後2〜20分、および/または20分〜1時間、および/または1〜6時間、および/または6時間〜2日間の範囲内の一定の遅延時間待機するようにプログラミングされてよい。任意に、時間遅延の長さは、装置の温度感知構成要素が好ましい作業温度に達するための推定時間としてよい。例えば、温度感知構成要素は薬剤および/またはバッテリを含んでよい。
【0139】
いくつかの実施形態において、注出はドライバによって駆動されてよい。内部駆動ドライバは種々の機構、例えばモータ(例として直流モータ、アクチュエータ、ブラシレスモータを含む)および/またはテレスコープ組立体などを含む変速機、および/またはねじ要素、および/またはギア、および/または連結、および/または弾性機構(例:ばねおよび/またはゴムバンド)、および/または膨張ガス、および/または油圧アクチュエータによって駆動されてよい。
【0140】
本発明の実施形態による薬剤送達デバイスは、容器を含んでよい。例えば、容器は薬剤コンテナおよび/またはシリンジを含んでよい。任意に、シリンジは標準的な機器を使用して、および/または無菌室にて薬剤を事前に充填してよい。事前充填されたシリンジは、任意に近位端を含んでよい。プランジャは任意に、近位端を封止し、および/またはシリンジの内容物の無菌性を保護してよい。無菌針(例:中空針)は、シリンジバレルに対して接続してもよい。例えば、針内部の空洞から、流体がバレル内部に向かって連通してもよい。針は任意に、バレル遠位端のハブに対して強固に取り付けられてよい。針全体および/または一部は、例えば滅菌カバーによって保護されてよい。滅菌カバーは、シリンジが注射器に対して供給および/または取り付けられたときに針上に残っていてよい。例えば、薬剤コンテナは任意に、針に対して強固に取り付けられた円筒形ボアを含んでよい。いくつかの実施形態において、プランジャは、バレルの内側に沿って軸方向に摺動して、薬剤ペイロードを注出してよい。例えば、薬剤は中空針を通じて注出されてよい。針の突出した先端は、バレルの軸に対して角度を有していてよい。
【0141】
基部のアスペクト比は、基部の最長軸の最短軸に対する長さの比として定義することができる。任意に、軸比は1〜1.5、および/または1.5〜2、および/または2〜3、および/または3より大きい範囲内にある。いくつかの実施形態において、注射器の高さは基部の最短軸の長さの半分から基部の最短軸と同じ長さ、および/または基部の最短軸と同じ長さから基部の最短軸の2倍の長さ、および/または基部の最短軸の2倍の長さより長い寸法の範囲内であってよい。注射器の高さは、使用に患者の皮膚から接着部を旋回して分離するためのてこ力を供給することができる。
【0142】
いくつかの実施形態において、針を患者の皮膚に対して挿入するための力は、例えば0.02〜0.2N、および/または0.2〜0.5N、および/または0.5〜5Nの範囲内であってよい。任意に、薬剤を注射するために必要とされる力(例:シリンジプランジャにかかる力)は、例えば5〜60Nの範囲内であってよい。例えば、薬剤を注射するために必要とされる力は注射レート、および/または薬剤の粘力、および/またはシリンジの幾何形状、および/または針の寸法に依存してもよい。
【0143】
いくつかの実施形態において、針ガードのためのメカニズムは、例えば10〜60Nの範囲内の線形力によってトリガされてもよい。
【0144】
例えば、薬剤送達デバイスは自己注射器を含んでよい。当該自己注射器は、針を挿入するために十分な力を手動にて押圧することにより活性化させることができる。そして当該デバイスは薬物を注入するための注入力を与えることができる。一旦すべての薬剤が注入されると、および/または障害が発生すると、および/または閉塞が発生すると、針のセルフガードがトリガされる閾値まで、および/または注入が終了するまで、注入力を上昇させてもよい。
【0145】
例えば、閉塞時および/または移送終了時に、デバイスが発生させた線形力は60Nのレベルまで上昇していることがある。針のセルフガード機構(例:針の収納機構)は、力に敏感であってよい。例えば当該機構は、針を収納位置まで戻す40Nの手段を提供するスナップを含んでよい。
【0146】
いくつかの実施形態において、薬剤を注入するための、および/または針のセルフガード機構をトリガするための応力は、トルクを含んでよい。例えば、薬剤の注入はプランジャによって駆動されてよい。プランジャは、任意に、ねじ付きアセンブリ、例えばねじ山付きねじ、および/または歯、および/または入れ子式アセンブリによって駆動されてよい。任意に、歯間および/または関連したねじ間のピッチは、例えば0.5〜2mmの範囲内であってよい。ねじの直径は例えば2.5〜15mmの範囲内であってよい。力による注入時のトルクは、例えば0.2〜1.0N・cmの範囲内であってよい。トリガのトルク(針セルフガードがトリガされるときのトルク)は、例えば0.5〜2N・cm、および/または2〜4N・cm、および/または4〜10N・cmの範囲内であってよい。
【0147】
いくつかの実施形態において、安全機構は5〜15mmの範囲内の線形移動を含んでよい。例えば、安全機構の移動は、挿入中における針の伸長および/または針の格納および/または安全シールドの伸長および/または安全シールドの格納を含んでよい。任意に、針の挿入される長さ(例:患者の体内に挿入される針の長さ)は3〜12mmの範囲内であってよい。
【0148】
注入の間、プランジャの線形移動は、例えば10〜50mmの範囲内であってよい。プランジャの移動の長さは、例えば注射されるべき薬剤の容量、例えば0.5〜3mLの範囲内で変化してよい。
【0149】
いくつかの実施形態において、セルフガード機構はトルクに対して感受性を有してよい。例えば、セルフガード機構がねじりのモーメントに曝されたときには、針を引っ込めてもよい。任意に、注出はトルクによって駆動してよい。例えば、ドライバは、プランジャを押すねじ付き要素にトルクを加えてもよい。ドライバ上のトルクが閾値に達すると、針は開放され、および/または格納され、および/または針シールドが展開される。その代わりとして、またはそれに加えて、トリガ機構はトルクと線形力の両方を必要とするようにできる。例えば、トルクと線形力の両方を必要とすることにより、瞬間的な摩擦による早すぎるアクティブ化を抑止してもよい。
【0150】
いくつかの実施形態において、注出時間は充填体積および/または粘度に依存してよい。例えば、予想される射出速度は、粘度に依存した射出速度であってもよく、例えば、1〜15cpの範囲内の粘度の場合、予想される射出速度は30〜40秒/mLの範囲内であり、例えば15〜60cpの粘度の場合、35〜60秒/mLの範囲内であり、粘度が60cpを超える場合、予想される注入速度は53〜67秒/mLの範囲内であり得る。期待される最大および/または最小噴射時間は、例えば、最大および/または最小許容充填量を噴射率にて除算した値である。例えば、予測注出時間は、24〜78秒(粘度1〜15cpの範囲内の0.8〜1.2mLの液体の場合)、および/または36〜68秒(粘度1〜15cpの範囲内の1.2〜1.7mLの液体の場合)、および/または51〜92秒(粘度1〜15cpの範囲内の1.7〜2.3mLの液体の場合)、および/または70〜150秒(粘度15〜40cpの範囲内の2.0〜2.5mLの液体の場合)、これ以上の体積および/または粘度を有した液体の場合、120秒〜3分の範囲内にあってよい。いくつかの実施形態において、注射に掛ける時間はこれより長くてもよい。注射に掛ける時間は粘度および/または体積以外も考慮に入れて決定してよい。
【0151】
いくつかの実施形態において、容器の長さは例えば20〜42mm、および/または42〜48mm、および/または48〜80mm、および/または80〜200mmの範囲内にあってよい。いくつかの実施形態において、容器の内部円筒状空間は、例えば1〜3mm、および/または3〜10mm、および/または10〜15mm、および/または15〜25mm、および/または25〜50mmの範囲内にて平均幅を有してよい。任意に、容器は、幅が円の直径であるような円筒横断面を有してよい。いくつかの実施形態において、ハブは直線状の端部であって、例えば1〜3mm、および/または3〜7mm、および/または7〜8mm、および/または8〜10mm、および/または10〜15mm、および/または15〜50mmの範囲内の長さを有していてよい。いくつかの実施形態において、ハブ外に延長されている針の直線部の長さは例えば1〜5mm、および/または5〜7mm、および/または7〜10mm、および/または10〜20mmの範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、ハブは針キャップ用のシールリングを有してよい。シールリングの長さは例えば0.1〜0.6mm、および/または0.6〜1mm、および/または1〜2.5mm、および/または2.5〜3mm、および/または3〜6mm、および/または6〜15mmの範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、シールリングは長さが例えば0.5〜1.5mm、および/または1.5〜2.5mm、および/または2.5〜5mm、および/または5〜10mmの範囲内である内部空洞を有してよい。いくつかの実施形態において、シールリングは、例えば1〜4mm、および/または4〜5mm、および/または5〜10mm、および/または10〜20mmの範囲内の、平均外径でもある外部平均幅を有してよい。いくつかの実施形態において、シールリングは、例えば1〜3mm、および/または3〜4mm、および/または4〜10mm、および/または10〜18mmの範囲内の、平均内径でもある内部平均幅を有してよい。いくつかの実施形態において、ハブは、平均幅が1〜3mm、および/または3〜4mm、および/または4〜8mm、および/または8〜16mmの範囲内である平均直径を有するネックを含んでよい(シールリングは含まない)。任意に、ネックは非均一である断面(例:Iビーム形状および/または十字形の断面)および/またはテーパーである断面を有してよい。不均一な断面の場合、平均外幅は、ネックを囲むことができる最小楕円の幅であって、ネックの長さにわたって平均されたものとして定義することができる。いくつかの実施形態において、延長部と容器キャビティとの間の流体通路は、27ゲージ針、および/または25〜30ゲージの針、および/または20〜25ゲージの針、および/または30〜32ゲージの針を含んでよい。いくつかの実施形態において、延長部から突出する針は、27ゲージの針、および/または25〜30ゲージの針、および/または20〜25ゲージの針、および/または30〜32ゲージの針を含んでよい。
【0152】
この出願から成熟した特許の存続期間中、多くの関連技術、および/または材料が開発され、用語の範囲はこのような新技術および材料のすべてを先験的に含むことが意図されることが期待される。
【0153】
本明細書で使用されている用語「約」、「およそ」、「ほぼ」は±5%を意味する。
【0154】
用語「含む(comprises)」、「含み(comprising)」、「含む(includes)」、「含み(including)」、「有する(have)」、「有し(having)」およびそれらの活用形は「含むがしかしこれらに限られず」を意味する。
【0155】
用語「からなる」は「含み、かつこれらに限定される」を意味する。
【0156】
用語「本質的に〜からなる」は、組成物、方法または構造において、追加の成分、ステップ、および/または部分が、請求される組成物、方法または構造の基本的かつ新規である性質を実質的に変更しない場合にのみ、当該追加の成分、ステップ、および/または部分を含みうる旨を意味する。
【0157】
本明細書で使用されるように、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の言及を含む。
【0158】
本願を通して、本発明の実施形態を範囲形式で提示することができる。範囲の形式の記載は、便宜上のものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、その範囲内のすべての可能な部分範囲および個々の数値を具体的に開示したものとみなされるべきである。例えば、1〜6のような範囲の記述は、1〜3、1〜4、1〜5、2〜4、2〜6、3〜6のような下位範囲を具体的に開示したものと考えるべきであり、その範囲内の個々の数字、例えば1、2、3、4、5および6を含む。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0159】
本明細書において示された数値範囲はいかなるときでも、示された範囲内に任意の引用数字(分数または整数)が含まれることを意味する。第1の指示数字と第2の指示数字ならびに「〜の範囲」という語句、および第1の指示数字「から」第2の指示数字「まで」という語句(およびその他のこのような範囲を意味する語句)は、本明細書においては交換可能に使用され、第1の指示数字、第2の指示数字、およびそれらの間のすべての分数および整数を含む。
【0160】
明確さのために、別個の実施形態の文脈で説明される本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で記載されている本発明の様々な特徴は、別々に、または任意の適切なサブコンビネーションで、または本発明の任意の他の記載された実施形態に適している。様々な実施形態の文脈で説明される特定の特徴は、実施形態がそれらの要素なしで動作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特徴とみなすべきではない。
【0161】
本発明は、その特定の実施形態と関連して記載されているが、当業者であれば、種々の代替、変更および変形をなし得ることを理解することができる。従って、添付の請求の範囲によって定められる本開示の精神および範囲内において、数々の代替、変更および変形を包含することを意図するものである。
【0162】
個々の刊行物、特許または特許出願が、具体的かつ個々に参照により本明細書に組み込まれると示されているのと同程度に、本明細書中で言及されたすべての刊行物、特許および特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。さらに、本出願における任意の参考文献の引用または識別は、そのような参照が本発明の先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されてはならない。セクション見出しが使用される限り、それらは必ずしも限定的であると解釈されるべきではない。
(符号の説明)
452(652)…針、454…針先端、416(516、616、716、916)…針シールド、604…針キャップ、414…カバー取り外し具、415…取っ手、425…バッテリ、427…プリント回路基板、429…モータ、436…ハブ、442(642、742)…薬剤容器、449(549、648、849)…ピボット、461…ばね、482…マウント、488…基部、519…延長部、691…注射部位、693(694)…針の軌跡、800…注射器、814…キャップ引き上げ器、816…皮膚センサ、874…接着部、876…接着ライナー、882a…上ハウジング、882b…下ハウジング、917a…開口部、917b…大きな開口部。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
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図8A
図8B
図8C
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図8E
図9A
図9B
図9C