特許第6571892号(P6571892)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6571892
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】炭素繊維用集束剤及び炭素繊維
(51)【国際特許分類】
   D06M 15/53 20060101AFI20190826BHJP
   D06M 13/256 20060101ALI20190826BHJP
   D06M 101/40 20060101ALN20190826BHJP
【FI】
   D06M15/53
   D06M13/256
   D06M101:40
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-18555(P2019-18555)
(22)【出願日】2019年2月5日
【審査請求日】2019年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2018-218562(P2018-218562)
(32)【優先日】2018年11月21日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大島 啓一郎
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 旬
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−100025(JP,A)
【文献】 特開2011−231414(JP,A)
【文献】 特開2014−062340(JP,A)
【文献】 特開2002−339246(JP,A)
【文献】 特開2016−151069(JP,A)
【文献】 特開昭57−210072(JP,A)
【文献】 特開2001−081671(JP,A)
【文献】 特開2016−160567(JP,A)
【文献】 特開2006−299486(JP,A)
【文献】 特開昭59−57931(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC D06M13/00−15/715
B29B11/16
15/08−15/14
C08J5/04−5/10
5/24
C08K3/00−13/08
C08L1/00−101/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエーテルエステル化合物、並びにスルフォネート塩、サルフェート塩、ホスフェート塩、及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有する炭素繊維用集束剤であって、
前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に下記の構成単位B、及び下記の構成単位Cを含む場合、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位Bを0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成された質量平均分子量1000〜200000のものであり、
前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に下記の構成単位A、下記の構成単位B、及び下記の構成単位Cを含む場合、前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位A、及び前記構成単位Bを合計で0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成された質量平均分子量1000〜200000のものであることを特徴とする炭素繊維用集束剤。
構成単位A:二塩基酸、及び二塩基酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位。
構成単位B:スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位。
構成単位C:アルキレングリコール、及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位。
【請求項2】
前記構成単位Aが、芳香族ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である請求項1に記載の炭素繊維用集束剤。
【請求項3】
前記構成単位Cが、エチレングリコール、及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である請求項1又は2に記載の炭素繊維用集束剤。
【請求項4】
前記ポリエーテルエステル化合物の質量平均分子量が、3000〜20000である請求項1〜3のいずれか一項に記載の炭素繊維用集束剤。
【請求項5】
前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cを含み、前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位Aを10〜47モル%、前記構成単位Bを3〜30モル%、及び前記構成単位Cを50〜65モル%の割合から構成されたものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の炭素繊維用集束剤。
【請求項6】
前記ポリエーテルエステル化合物、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ポリエーテルエステル化合物を70〜99.9質量%、及び前記アニオン界面活性剤を0.1〜30質量%の割合で含有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の炭素繊維用集束剤。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の炭素繊維用集束剤が付着していることを特徴とする炭素繊維。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長期間保管しても高い安定性を維持することができる炭素繊維用集束剤及びかかる炭素繊維用集束剤が付着している炭素繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、炭素繊維は、エポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含浸させた炭素繊維複合材料(CFRP)として利用したり、コンクリートの補強用繊維として利用されている。炭素繊維は、加工中の毛羽等を防止するために、予め表面に炭素繊維用集束剤を付着させ、炭素繊維ストランドの集束性等を付与する処理が行われている。
【0003】
従来、特許文献1に開示される炭素繊維用集束剤が知られている。かかる炭素繊維用集束剤は、集束性の他、水への分散性を向上させるため、ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と、アルキレングリコールと、ポリアルキレングリコールまたはそのモノエーテルとのポリエステル共重合体を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平05−295663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の炭素繊維用集束剤は、長期間保管すると例えば沈殿が発生して本来の集束剤の性能が発揮されにくいという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、集束剤を長期間保管しても高い安定性を維持することができる炭素繊維用集束剤及び炭素繊維を提供する処にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
しかして本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、特定構造のポリエーテルエステル化合物及び所定のアニオン界面活性剤を含有する炭素繊維用集束剤が正しく好適であることを見出した。
上記目的を達成するために、本発明の一態様は、ポリエーテルエステル化合物、並びにスルフォネート塩、サルフェート塩、ホスフェート塩、及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有する炭素繊維用集束剤であって、前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に下記の構成単位B、及び下記の構成単位Cを含む場合、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位Bを0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成された質量平均分子量1000〜200000のものであり、前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に下記の構成単位A、下記の構成単位B、及び下記の構成単位Cを含む場合、前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位A、及び前記構成単位Bを合計で0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成された質量平均分子量1000〜200000のものであることを特徴とする炭素繊維用集束剤が提供される。
【0007】
構成単位Aは、二塩基酸、及び二塩基酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。
構成単位Bは、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。
【0008】
構成単位Cは、アルキレングリコール、及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。
前記構成単位Aが、芳香族ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位であることが好ましい。
【0009】
前記構成単位Cが、エチレングリコール、及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位であることが好ましい。
前記ポリエーテルエステル化合物の質量平均分子量が、3000〜20000であることが好ましい。
【0010】
前記ポリエーテルエステル化合物が、分子中に前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cを含み、前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位Aを10〜47モル%、前記構成単位Bを3〜30モル%、及び前記構成単位Cを50〜65モル%の割合から構成されたものであることが好ましい。
【0011】
記ポリエーテルエステル化合物、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、前記ポリエーテルエステル化合物を70〜99.9質量%、及び前記アニオン界面活性剤を0.1〜30質量%の割合で含有することが好ましい。
【0012】
本発明の別の態様は、前記炭素繊維用集束剤が付着していることを特徴とする炭素繊維が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、長期間保管しても高い安定性を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
先ず、本発明に係る炭素繊維用集束剤(以下、集束剤という)を具体化した第1実施形態について説明する。本実施形態の集束剤は、下記に示される構成単位B及び構成単位Cで構成されたポリエーテルエステル化合物を含有するものである。または、ポリエーテルエステル化合物は、さらに構成単位Aを含むものである。構成単位Aを含む場合、本発明の効果をより向上させる。
【0015】
構成単位Aは、二塩基酸、及び二塩基酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも水分散性、集束性、開繊性、安定性に優れる観点から構成単位Aが、芳香族ジカルボン酸、及び芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位であることが好ましい。
【0016】
具体的に構成単位Aを形成することとなる化合物としては、例えば(1)シュウ酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の二塩基酸、(2)シュウ酸ジメチル、コハク酸ジメチル、フマル酸ジメチル、マレイン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等の二塩基酸のエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの具体例の中でも構成単位Aを形成することとなる化合物としては、(3)テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、(4)ジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、ジメチル−2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が好ましい。
【0017】
構成単位Bは、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、及びスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0018】
具体的に構成単位Bを形成することとなる化合物としては、例えば(1)5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸等のスルホ基を有する芳香族ジカルボン酸、(2)1,3−ジメチル−5−スルホイソフタル酸、1,4−ジメチル−2−スルホテレフタル酸等のスルホ基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、(3)5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、5−スルホイソフタル酸カリウム塩、5−スルホイソフタル酸リチウム塩、2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、2−スルホテレフタル酸カリウム塩、2−スルホテレフタル酸リチウム塩等のスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、(4)1,3−ジメチル−5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩、1,3−ジメチル−5−スルホイソフタル酸カリウム塩、1,3−ジメチル−5−スルホイソフタル酸リチウム塩、1,4−ジメチル−2−スルホテレフタル酸ナトリウム塩、1,4−ジメチル−2−スルホテレフタル酸カリウム塩、1,4−ジメチル−2−スルホテレフタル酸リチウム塩等のスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0019】
構成単位Cは、アルキレングリコール、及びポリアルキレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位である。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも本発明の構成の観点からエチレングリコール、及びポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも一種から形成された構成単位であるものが好ましい。
【0020】
前記ポリエーテルポリエステルとしては、分子中に前記の構成単位B、及び前記の構成単位Cを含む場合、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位Bを0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成されたものである。または、分子中に前記の構成単位A、前記の構成単位B、及び前記の構成単位Cを含み、前記構成単位A、前記構成単位B、及び前記構成単位Cの構成割合の合計を100モル%とすると、前記構成単位A及び前記構成単位Bを合計で0.1〜50モル%、前記構成単位Cを50〜99.9モル%の割合から構成されたものである。好ましくは、前記構成単位Aを10〜47モル%、前記構成単位Bを3〜30モル%、及び前記構成単位Cを50〜65モル%の割合から構成されたものである。
【0021】
本実施形態の集束剤に供するポリエーテルエステル化合物の質量平均分子量は、1000〜200000であり、好ましくは3000〜20000である。かかる範囲に規定することにより本発明の効果をより向上させる。また、水分散性、集束性、開繊性をより向上させる。尚、集束剤の質量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて以下条件で測定を行った。
【0022】
・質量平均分子量の測定条件機種:HLC−8120GPC(東ソー社製液体クロマトグラフ)
カラム:TSK gel Super H4000+TSK gel SuperH3000+TSK gel Super H2000(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
検出器:RI(Refractive Index)
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.5mL/分
試料濃度:0.25質量%
注入量:10μL
本実施形態の集束剤は、以上説明したようなポリエーテルエステル化合物を含有してなるものであるが、更にスルフォネート塩、サルフェート塩、ホスフェート塩、及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有して成る。かかるアニオン界面活性剤をさらに配合することにより、本発明の効果をより向上させる。また、水分散性、集束性、開繊性をより向上させる。これらの成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0023】
具体的にスルフォネート塩としては、例えば(1)炭素数6〜22の有機スルホン酸アルカリ金属塩、(2)炭素数6〜22の有機スルホン酸アミン塩、(3)炭素数6〜22の有機スルホン酸ホスホニウム塩等が挙げられる。かかる有機スルホン酸塩を構成する炭素数6〜22の有機スルホン酸の具体例としては、例えば(1)デシルスルホン酸、ドデシルスルホン酸、イソトリドデシルスルホン酸、テトラデシルスルホン酸、ヘキサデシルスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸等のアルキルスルホン酸、(2)ブチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸、ジブチルナフタレンスルホン酸等のアルキルアリールスルホン酸、(3)ジオクチルスルホコハク酸エステル、ジブチルスルホコハク酸エステル、ドデシルスルホ酢酸エステル、ノニルフェノキシポリエチレングリコールスルホ酢酸エステル等のエステルスルホン酸等が挙げられる。
【0024】
前記スルフォネート塩において、アルカリ金属塩を構成するアルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム等が挙げられる。
前記スルフォネート塩において、アミン塩を構成することとなるアミンの具体例としては、例えば(1)メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、オクチルアミン等の脂肪族アミン類、(2)アニリン、ピリジン、モルホリン、ピペラジン、これらの誘導体等の芳香族アミン類又は複素環アミン類、(3)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ブチルジエタノールアミン、オクチルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン等のアルカノールアミン類、(4)ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル、ポリオキシエチレンステリルアミノエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル類、(5)アンモニア等が挙げられる。
【0025】
前記スルフォネート塩において、ホスホニウム塩を構成することとなるホスホニウム基の具体例としては、例えば(1)テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリメチルエチルホスホニウム、トリメチルプロピルホスホニウム、トリメチルオクチルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム等の、リン原子に結合する有機基が全て脂肪族炭化水素基であるホスホニウム基、(2)トリメチルフェニルホスホニウム、トリエチルフェニルホスホニウム、トリブチルフェニルホスホニウム、ジメチルジフェニルホスホニウム、トリフェニルエチルホスホニウム、テトラフェニルホスホニウム等の、リン原子に結合する有機基のうちで少なくとも一つが芳香族炭化水素基であるホスホニウム基等が挙げられる。
【0026】
具体的に、サルフェート塩としては、例えば(1)デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸リチウム、ヘキサデシル硫酸カリウム等のアルキル硫酸アルカリ金属塩、(2)牛脂硫酸化油、ひまし油硫酸化油等の天然油脂の硫酸化物のアルカリ金属塩等が挙げられる。かかるアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属は、スルフォネート塩について前記した具体例を採用することができる。
【0027】
具体的に、ホスフェート塩としては、例えば(1)アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアルカリ金属塩、(2)アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、(3)アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアミン塩、(4)アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩等が挙げられる。
【0028】
前記アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアルカリ金属塩の具体例としては、例えばブチルリン酸エステルアルカリ金属塩、ペンチルリン酸エステルアルカリ金属塩、ヘキシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ヘプチルリン酸エステルアルカリ金属塩、オクチルリン酸エステルアルカリ金属塩、イソオクチルリン酸エステルアルカリ金属塩、2−エチルヘキシルリン酸エステルアルカリ金属塩、デシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ドデシルリン酸エステルアルカリ金属塩、トリデシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ミリスチルリン酸エステルアルカリ金属塩、セチルリン酸エステルアルカリ金属塩、ステアリルリン酸エステルアルカリ金属塩、エイコシルリン酸エステルアルカリ金属塩、ベヘニルリン酸エステルアルカリ金属塩等が挙げられる。これらのアルキルリン酸エステルアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属は、スルフォネート塩について前記した具体例を採用することができる。
【0029】
前記アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩の具体例としては、例えばポリオキシアルキレンブチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンペンチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンヘキシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンヘプチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンオクチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンイソオクチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレン−2−エチルヘキシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンデシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンラウリルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンミリスチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンセチルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンステアリルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンエイコシルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩、ポリオキシアルキレンベヘニルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩等が挙げられる。
【0030】
かかるポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩における(ポリ)オキシアルキレン基の具体例としては、例えば(ポリ)オキシエチレン基、(ポリ)オキシプロピレン基、(ポリ)オキシエチレンオキシプロピレン基等が挙げられる。
【0031】
これらのポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属は、スルフォネート塩について前記した具体例を採用することができる。
【0032】
前記アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアミン塩、アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩に用いるアミンに関しては、スルフォネート塩について前記した具体例を採用することができる。
【0033】
前記アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアミン塩を構成するアルキル基の具体例としては、前記アルキル基の炭素数が4〜22であるアルキルリン酸エステルアルカリ金属塩について、前記した具体例を採用することができる。
【0034】
前記アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアミン塩を構成するアルキル基及び(ポリ)オキシアルキレン基の具体例としては、前記アルキル基の炭素数が4〜22であり且つ(ポリ)オキシアルキレン基を構成するオキシアルキレン単位の数が1〜5個である(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルアルカリ金属塩について、前記した具体例をそれぞれ採用することができる。
【0035】
具体的に、脂肪酸塩としては、例えば(1)炭素数6〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩、(2)炭素数6〜22の脂肪酸のアミン塩、(3)炭素数6〜22の脂肪酸のホスホニウム塩等が挙げられる。かかる炭素数6〜22の脂肪酸の具体例としては、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、エルシン酸、リノール酸、ドデセニルコハク酸等が挙げられる。
【0036】
前記脂肪酸のアルカリ金属塩を構成するアルカリ金属、脂肪酸のアミン塩を構成するアミン及び脂肪酸のホスホニウム塩を構成するホスホニウム基は、スルフォネート塩について前記した具体例をそれぞれ採用することができる。
【0037】
前記ポリエーテルエステル化合物、及び前記アニオン界面活性剤の含有割合には特に制限はないが、ポリエーテルエステル化合物、及びアニオン界面活性剤の含有割合の合計を100質量%とすると、ポリエーテルエステル化合物を70〜99.9質量%、及びアニオン界面活性剤を0.1〜30質量%の割合で含有するのが好ましい。かかる範囲に規定することにより本発明の効果をより向上させる。また、水分散性、集束性、開繊性をより向上させる。
【0038】
(第2実施形態)
次に本発明に係る炭素繊維を具体化した第2実施形態について説明する。本実施形態の炭素繊維は、第1実施形態の集束剤が付着している炭素繊維である。付着量(溶媒を含まない)については特に制限はないが、炭素繊維に第1実施形態の集束剤を0.01〜10質量%となるよう付着させたものが好ましい。かかる数値範囲に規定することにより、本発明の効果をより向上させる。本実施形態において適用される炭素繊維の種類としては、特に限定されず、例えばアクリル繊維を原料として得られたPAN系炭素繊維、ピッチを原料として得られたピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
【0039】
第1実施形態の集束剤を炭素繊維に付着させて本実施形態の炭素繊維を得るには、一般に工業的に用いられている方法を適用できる。例えば、ローラー浸漬法、ローラー接触法、スプレー法、抄紙法等が挙げられる。第1実施形態の集束剤を好ましくは水性のエマルションの状態で付着させた炭素繊維は、続いて乾燥処理し、集束剤溶液に含まれていた水等の除去を行なうことにより本実施形態の炭素繊維ストランドを得ることができる。ここでの乾燥処理は、例えば熱風、熱板、ローラー、各種赤外線ヒーター等を熱媒として利用した方法を採用できる。
【0040】
上記実施形態の集束剤及び炭素繊維によれば、以下のような効果を得ることができる。
上記実施形態では、上述した特定構造のポリエーテルエステル化合物を含有する集束剤を採用した。したがって、集束剤を長期間保管しても高い安定性を維持することができる。また、かかる集束剤を適用した炭素繊維に優れた集束性、開繊性、及び水中での分散性を付与することができる。また、上記実施形態では、更にスルフォネート塩、サルフェート塩、ホスフェート塩、及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有して成る。かかるアニオン界面活性剤をさらに配合することにより、本発明の効果をより向上させる。
【0041】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態の集束剤は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、その他の成分として、上述した界面活性剤以外の界面活性剤、水等の溶媒、平滑剤、酸化防止剤、防腐剤等を配合することを妨げるものではない。
【0042】
・上記実施形態の炭素繊維が適用される分野は、特に限定されない。例えばエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含浸させた炭素繊維複合材料(CFRP)、コンクリートの補強用繊維等に適用してもよい。
・参考例として、第1実施形態の集束剤において用いたポリエーテルエステル化合物を含有し、スルフォネート塩、サルフェート塩、ホスフェート塩、及び脂肪酸塩から選ばれる少なくとも一種のアニオン界面活性剤を含有しない集束剤及びかかる集束剤が付着している炭素繊維を挙げることができる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするため、実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0044】
試験区分1(ポリエーテルエステル化合物の合成)
・ポリエーテルエステル化合物(P−1)の合成
テレフタル酸ジメチル58.2部(0.30モル)、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩40.2部(0.15モル)、エチレングリコール18.6部(0.30モル)、ポリエチレングリコール(質量平均分子量2000)800.0部(0.40モル)、三酸化アンチモン0.5部を反応容器に仕込んだ。次に、窒素雰囲気下、150〜220℃でメタノールを留出させながら6時間反応させ、ほぼ理論量のメタノールが留出したことを確認した。続いて20mmHgの減圧下に220〜250℃で60分間、更に0.5〜1.0mmHgの減圧下に250〜260℃で6時間重縮合反応を行った。全構成単位中、構成単位Aに相当するテレフタル酸ジメチル(A−1)から形成された構成単位を30モル%、構成単位Bに相当する5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩(B−1)から形成された構成単位を15モル%、構成単位Cに相当するエチレングリコール(C−1)から形成された構成単位を15モル%及びポリエチレングリコール(C−2)から形成された構成単位を40モル%(合計100モル%)の割合で有するポリエーテルエステル化合物(P−1)を得た。このポリエーテルエステル化合物(P−1)をテトラヒドロフランに溶解させ、GPC法により分析したところ、質量平均分子量9000であった。
【0045】
・ポリエーテルエステル化合物(P−2)〜(P−8)及び(RP−1),(RP−2)の合成
ポリエーテルエステル化合物(P−1)の合成と同様にして、ポリエーテルエステル化合物(P−2)〜(P−8)及び(RP−1),(RP−2)を合成した。上述した各ポリエーテルエステル化合物について、構成単位A、構成単位B、構成単位Cの種類及び比率(モル%(小数点以下切捨て))、並びに質量平均分子量を下記表1に示す。
【0046】
【表1】
表1において、
A−1:テレフタル酸ジメチルから形成された構成単位、
A−2:イソフタル酸から形成された構成単位、
A−3:コハク酸から形成された構成単位、
B−1:5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩から形成された構成単位、
C−1:エチレングリコールから形成された構成単位、
C−2:ポリエチレングリコール(分子量2000)から形成された構成単位、
C−3:ポリエチレングリコール(分子量4000)から形成された構成単位、
を示す。
【0047】
試験区分2(炭素繊維用集束剤の調製)
・実施例1
1000mLのビーカーに20℃の水720.0gを秤量し、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(N−1)16.0g加えた。これをホモミキサーで撹拌(4000rpm)しつつ、予め150℃で溶融状態にしておいたポリエーテルエステル化合物(P−1)64.0gを加えた後、10分間撹拌(4000rpm)し、実施例1の炭素繊維用集束剤の10%水性液を調製した。
【0048】
・実施例2〜11,14,15、参考例12,13及び比較例1〜3
炭素繊維用集束剤(実施例1)の10%水性液の調製と同様にして、炭素繊維用集束剤(実施例2〜11,14,15、参考例12,13及び比較例1〜3)の10%水性液を調製した。ただし、溶融温度は各ポリエーテルエステルの溶融する温度とし、仕込み量は表2に記載した割合とした。なお、表2においては、各例の炭素繊維用集束剤中における溶媒以外の固形分としてポリエーテルエステル化合物及びアニオン界面活性剤の合計を100%とした場合の各成分の比率を示す。
【0049】
【表2】
表2において、
P−1〜P−8,RP−1,RP−2:表1に記載のポリエーテルエステル化合物、
N−1:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、
N−2:ラウリル硫酸ナトリウム、
N−3:ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、
N−4:オクチルリン酸ナトリウム、
N−5:オクチルリン酸カリウム、
を示す。
【0050】
試験区分3(炭素繊維へのサイジング(集束)及び評価)
・炭素繊維のサイジング
試験区分2で調製した各例の炭素繊維用集束剤の10%水性液を水で希釈し、処理浴に入れた。ポリアクリロニトリル系繊維から得た未サイジングの炭素繊維(引張強度3500MPa、引張弾性率2.3×10MPa、12000フィラメント)を連続的に上記処理浴に浸漬し、炭素繊維用集束剤の付着量(溶媒を含まない)が炭素繊維に対して1.5%一定となるようにローラーの絞り条件を調節して炭素繊維用集束剤を付着させた。引き続き、連続的に120℃のオーブンに5分間通して乾燥し、水分散性、集束性、開繊性の評価試料(炭素繊維)とした。
【0051】
・水分散性の評価
25℃にて水1000mLと1cmにカットした前記炭素繊維0.1gとを2000mLのビーカー(直径11cm×高さ15cm)に入れ、直径4cmの4枚羽根のプロペラにより200rpmの速度で1分間撹拌した後、炭素繊維の分散状態を目視し、以下の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
【0052】
・水分散性の評価基準
◎:炭素繊維が完全に均一に分散しており、炭素繊維束の存在が全く認められない。
○:炭素繊維が概ね均一に分散しているが、炭素繊維束の存在が明らかに認められる。
×:炭素繊維の分散状態が不均一で、炭素繊維束の存在が全体に認められる。
【0053】
・集束性の評価
前記炭素繊維をカッターナイフで5mmの長さで10本切りだした際にほぐれるかどうか目視し、以下の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
【0054】
・集束性の評価基準
○:2本以下ほぐれる。
△:3本〜7本ほぐれる。
×:8本以上ほぐれる。
【0055】
・開繊性の評価
合計5本の直径1cmのクロムメッキ梨地ピンを一定間隔で交互に上下にずらして配置し、前記の評価試料をこれらのクロムメッキ梨地ピンに接触させながら全体として波状に糸速1m/分で通過させて、通過前の炭素繊維束の幅W1と通過後の炭素繊維束の幅W2を測定し、下記の数1により変動幅を求め、以下の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
【0056】
【数1】
数1において、W1は、合計5本のクロムメッキ梨地ピンを通過する前の炭素繊維束の幅(mm)を示す。W2は、合計5本のクロムメッキ梨地ピンを通過した後の炭素繊維束の幅(mm)を示す。
【0057】
・開繊性の評価基準
◎:変動幅が5mm以上。
○:変動幅が3mm以上且つ5mm未満。
×:変動幅が3mm未満。
【0058】
試験区分4(炭素繊維用集束剤の安定性評価)
試験区分2で調製した炭素繊維用集束剤の10%水性液について、その安定性を次のように評価した。
【0059】
試験区分2で調製した各例の10%水溶液を更に水で希釈して1%水性液とし、試験管に10mL取り分け、25℃にて24時間静置し、目視観察して、24時間静置後の安定性を以下の基準で評価した。結果を表2にまとめて示した。
【0060】
・安定性の評価基準
◎:沈殿物が全く認められない。
○:沈殿物がわずかに認められる。
×:沈殿物が多く認められる。
【0061】
以上表2の結果からも明らかなように、本発明によれば、炭素繊維に優れた集束性、開繊性及び水中での分散性を付与し、長期間保管しても高い安定性を維持することができるという効果がある。
【要約】
【課題】集束剤を長期間保管しても高い安定性を維持することができる炭素繊維用集束剤及び炭素繊維を提供する。
【解決手段】本発明は、所定の構成単位B及び構成単位Cを所定の比率で含むか、さらに所定の構成単位Aを所定の比率で含み、質量平均分子量1000〜200000のポリエーテルエステル化合物を含有する炭素繊維用集束剤である。構成単位Aは、二塩基酸又は二塩基酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位である。構成単位Bは、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸、スルホ基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体、スルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、又はスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸のエステル形成性誘導体から形成された構成単位である。構成単位Cは、アルキレングリコール又はポリアルキレングリコールから形成された構成単位である。
【選択図】なし