特許第6571899号(P6571899)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6571899別トーンでの描画をサポートするための動的メタデータの変換
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6571899
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】別トーンでの描画をサポートするための動的メタデータの変換
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/235 20110101AFI20190826BHJP
   H04N 21/435 20110101ALI20190826BHJP
   H04N 21/84 20110101ALI20190826BHJP
【FI】
   H04N21/235
   H04N21/435
   H04N21/84
【請求項の数】19
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2019-502576(P2019-502576)
(86)(22)【出願日】2017年7月18日
(86)【国際出願番号】US2017042642
(87)【国際公開番号】WO2018017596
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】62/364,780
(32)【優先日】2016年7月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/584,368
(32)【優先日】2017年5月2日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】507236292
【氏名又は名称】ドルビー ラボラトリーズ ライセンシング コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100188813
【弁理士】
【氏名又は名称】川喜田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,レイモンド
(72)【発明者】
【氏名】グリフィス,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】バイアー,サディアス
(72)【発明者】
【氏名】アトキンス,ロバート
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0203618(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0210847(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0078661(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0221280(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/130343(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動的メタデータを変換する方法であって、
第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取ることと、
受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定することと、
前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を、第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にマッピングすることであって、前記マッピングすることは、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線に曲線フィッティングすることを包含する、マッピングすることと
を包含し、
前記マッピングすることは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する、方法。
【請求項2】
前記マッピングすることは、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にベストフィットマッチすることを包含し、前記第1の伝達曲線は第1のトーン伝達曲線であり、前記第2の伝達曲線は第2のトーン伝達曲線である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記マッピングすることは、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線に知覚的に妥当にマッチさせることを包含し、前記第1の伝達曲線は第1のトーン伝達曲線であり、前記第2の伝達曲線は第2のトーン伝達曲線である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第2のカラーボリューム変換モデルの前記生成されたコンテンツメタデータは、ベジエ曲線に対する少なくともニーポイント、およびアンカーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のカラーボリューム変換モデルのソースコンテンツメタデータは、ピクチャおよび区切られたピクチャグループのうち少なくとも一方の、最小、平均、および最大の色成分値を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2のカラーボリューム変換モデルの生成されたコンテンツメタデータは、ピクチャおよび区切られたピクチャグループのうち少なくとも一方の、最小、平均、および最大の色成分値を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のカラーボリューム変換モデルのソースコンテンツメタデータは、ベジエ曲線に対する少なくとも1つのニーポイント、およびアンカーを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記マッピングすることは、カラー彩度マッピングを行うことを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記マッピングすることは、輝度マッピングを行うことを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マッピングすることは、トーンマッピングを行うことを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記マッピングすることは、リアルタイムおよび準リアルタイムのうち少なくとも一方で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記マッピングすることはネットワーク化クラウドにおいて行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記マッピングすることはオフラインで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
ハイダイナミックレンジコンテンツの再生をエンハンスする装置であって、
第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取る手段と、
受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定する手段と、
前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にマッピングする手段であって、前記マッピングすることは、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線に曲線フィッティングすることを包含する、マッピングする手段と、
を備え、
前記マッピングすることは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する、装置。
【請求項15】
ハイダイナミックレンジコンテンツの再生をエンハンスする装置であって、
第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取る、少なくとも1つの電子デバイスと、
受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定する少なくとも1つの二次的な電子デバイスであって、前記少なくとも1つの二次的な電子デバイスは、前記少なくとも1つの電子デバイスおよび別の電子デバイスのうちの少なくとも一方である、二次的な電子デバイスと、
前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線へ曲線フィッティングすることによって、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にマッピングする少なくとも1つの三次的なデバイスであって、前記少なくとも1つの三次的なデバイスは、前記少なくとも1つの電子デバイス、少なくとも1つの二次的な電子デバイス、および別の電子デバイスのうち少なくとも1つである、三次的なデバイスと、
を備え、
前記マッピングすることは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する、装置。
【請求項16】
動的メタデータを変換する方法であって、
ソースコンテンツを受け取ることと、
前記ソースコンテンツに関連付けられた第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを生成することと、
前記生成されたソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定することと、
前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にマッピングすることであって、前記マッピングは、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を前記第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線に曲線フィッティングすることを包含する、マッピングすることと、
を包含し、
前記マッピングすることは前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する、方法。
【請求項17】
前記マッピングすることはカラー彩度マッピングを行うことをさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記マッピングすることは輝度マッピングを行うことをさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記マッピングすることはトーンマッピングを行うことをさらに包含する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2017年5月2日に出願された米国特許出願第15/584,368号(そしてこの出願は2016年6月20日に出願された米国特許仮出願第62/364,780に基づく優先権を主張する)に基づく優先権を主張するものであり、両出願の開示内容を全て本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
技術
本発明は、メタデータの変換全般に関する。より詳細には、本発明のある実施形態は、あるカラーボリューム変換(CVT)モデルに対して固有であるメタデータセットを、明らかに異なったCVTモデルに対して固有である既存のメタデータセットを用いて算出することに関する。
【0003】
背景
超高精細テレビ(UHDTV)に対してマスタリングされたコンテンツが、ハイダイナミックレンジ(HDR)システムの導入とともに広く利用可能になりつつある。これらのシステムは、映像コンテンツのより迫真的な再生によって、没入的体験を提供する。典型的なHDRシステムは、以下を特徴とする。すなわち、
・高いピーク輝度(例えば少なくとも700、1000、2000、または10000cd/m2
・HDR電気−光学伝達関数(EOTF)(例えばSMPTE ST 2084:2014, "High Dynamic Range Electro-Optical Transfer Function of Mastering Reference Displays;" or Hybrid Log-Gamma, ITU-R Recommendation BT.2100-0 (07/2016)、ならびにBBC Research & Development White Paper WHP 283, July 2014, "Non-linear Opto-Electrical Transfer Functions for High Dynamic Range Television")
・広色域(例えばDCI-P3,ITU-R Recommendation BT. Rec.2020以上)
・より大きなコントラスト比(例えば少なくとも800:1、5000:1、または10000:1)
・4K以上の画素解像度(例えば3840×2160画素、4096×2160画素、7680×4320画素など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
全く相異なるUHDTVコンテンツフォーマット群が出現することが予測される。例えば、UHDTVフォーマット群は、パラメトリックなトーンマッピングメタデータ、コンテンツ依存の動的メタデータ、および/またはリファレンスディスプレイメタデータに基づいて、あるいはまったくいかなるメタデータにも基づかずに、異なるCVTモデルに依拠し得る。理想的には、HDRコンテンツフォーマットによらず、あるHDRシステムは表現意図(カラーおよび最高輝度(brightest))を、少なくとも妥当なレベルで維持すべきである。妥当な描画は、サポートするべき各HDRフォーマットでマスタリングされたコンテンツを、アーカイブすることにより得られる。しかし、この単純なソリューションは、より大きなメモリ容量、より長いコンテンツ制作時間、そしてコンテンツ供給の複雑さが増大することを要する。
【0005】
発明者らの理解によれば、ある1つのHDRフォーマットから演算的に効率的に遷移することが好ましい。1つのHDRデバイスが、別のフォーマット(例えば、明らかに異なったCVTモデルに基づくフォーマット)でマスタリングされたコンテンツを、利用可能なメタデータに基づいて、正確に描画するかあるいは少なくとも知覚的に妥当な近似物を描画するべきである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
同様の部材に同様の参照符号を付した添付図面の各図において、本発明の実施形態を限定する事なく例示する。
【0007】
図1A図1Aは、本発明の一実施形態を示す単純化したフローチャートを示している。
図1B図1Bは、本発明の一実施形態を示す単純化したフローチャートを示している。
図2A図2Aは、異なるCVTモデルの、2つの伝達曲線についての曲線フィッティングの例を示している。
図2B図2Bは、異なるCVTモデルの、2つの伝達曲線についての曲線フィッティングの例を示している。
図2C図2Cは、異なるCVTモデルの、2つの伝達曲線についての曲線フィッティングの例を示している。
図3図3は、本発明の一実施形態による単純化した方法を示している。
図4図4は、本明細書に記載のコンピュータまたはコンピューティングデバイスを実装可能な、ハードウェアプラットフォーム例の単純化したブロック図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
概要
本発明は、特許請求の範囲に示した要素に均等ないかなる要素も妥当に考慮に入れた、独立請求項によって定義される。従属請求項は、本発明のいくつかの実施形態の選択的な特徴に関する。
【0009】
第1の実施形態において、ソースコンテンツメタデータを異なるCVTモデル用に変換する。この実施形態において、第1のCVTモデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取る。受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のCVTモデルについての第1の伝達曲線(transfer curve)を算出し得る。前記第1のCVTモデルの第1の伝達曲線を、第2のCVTモデルの第2の伝達曲線へマッピング(例えばベストフィットまたは妥当な近似)し得る。前記マッピングは、前記第2のCVTモデルに対するコンテンツメタデータを生成する。生成されたコンテンツメタデータは、前記第2のCVTモデルで動作するデバイスによって、ソースコンテンツが描画されるために用いられ得る。
【0010】
第2の実施形態において、ハイダイナミックレンジコンテンツの再生をエンハンスする装置は、第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取る手段と、受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき、前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定する手段とを有する。装置はさらに、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線へマッピングする手段を有しており、前記マッピングは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する。
【0011】
第3の実施形態において、ハイダイナミックレンジコンテンツの再生をエンハンスする装置は、第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを受け取る少なくとも1つの電子デバイスと、受け取られた前記ソースコンテンツメタデータに基づき前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定する少なくとも1つの二次的な電子デバイスとを有する。前記少なくとも1つの二次的な電子デバイスは、少なくとも1つの電子デバイスおよび別の電子デバイスのうち少なくとも一方である。前記装置はまた、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線へマッピングする少なくとも1つの三次的なデバイスを有し、前記少なくとも1つの三次的なデバイスは、前記少なくとも1つの電子デバイス、少なくとも1つの二次的な電子デバイス、および別の電子デバイスのうち少なくとも1つであり、前記マッピングは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する。
【0012】
第4の実施形態において、ソースコンテンツを受け取ることと、前記ソースコンテンツに関連付けられた第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータを生成することとを包含する、動的メタデータを変換する方法。前記方法はさらに、前記生成されたソースコンテンツメタデータに基づき前記第1のカラーボリューム変換モデルについての第1の伝達曲線を決定することと、前記第1のカラーボリューム変換モデルの第1の伝達曲線を第2のカラーボリューム変換モデルの第2の伝達曲線にマッピングすることとを包含し、前記マッピングは、前記第2のカラーボリューム変換モデルに対するコンテンツメタデータを生成する。
【0013】
例示的な実施形態の説明
本明細書において、異なるCVTモデルにおける所与のメタデータの組み合わせから、CVTモデルパラメータを作成、抽出、および/または導出するための手法を提供する。これらの手法は、HDR能力を有するデバイス(例えばテレビ、セットトップボックス、コンピュータタブレット、スマートフォン、またはスマートウォッチ)、エンコーダまたはデコーダ、あるいはカラーグレーディングツールによって用いられ得る。一つ以上の処理ステップ、または全てのステップの総体を、クラウドまたはオフラインにおいて、単一のデバイスまたは複数のデバイスにより、リアルタイム、非リアルタイム、または準リアルタイムで行うことができる。
【0014】
CVTモデルパラメータを作成、抽出、および/または導出するための概略的アプローチは、第1のCVTモデルおよびその対応するメタデータを用いて順方向マッピングを適用し、所望の第2のCVTモデルのための、等価またはベストフィットなマッピングとなるようなパラメータを決定する。つまり、本明細書に記載する特定の手法群は、第2のCVTモデルのパラメータを調節することによる、第1のCVTモデルのデータ点にベストフィットする第2のCVTモデルのための曲線または関数の最適化を教示する。
【0015】
理想的には、ソースコンテンツメタデータは受け取られたものであり、ソースコンテンツのみが利用可能である場合には、ソースコンテンツメタデータはソースコンテンツから決定されてもよい。
【0016】
以下の例においては、説明目的のため、本発明を完全に理解できるように、多数の詳細事項を説明する。ただし、これらの詳細事項が無くても本発明を実施可能であることは明白であろう。他方、本発明の説明を不必要に難読化しないように、周知の構造およびデバイスの細かな詳細までは説明しない。
【0017】
方法例
図1Aは、本発明の一実施形態を示す単純化したフローチャートを示す。
【0018】
ソースコンテンツ100、すなわちHDRマスターコンテンツを受け取る。ソースコンテンツ100は映像サンプルまたは画素の表現を含み、圧縮化(ロスレスまたはロス有り)であるか非圧縮であるかを問わない。例えば、ソースコンテンツ100は、
(i)JPEG 2000 (ISO/IEC 15444-1:2004)、
(ii)Recommendation ITU-T H.265 (04/ 2015), "High efficiency video coding," (Mainの10プロファイルを含む)、
(iii)Recommendation ITU-T H.264 (02/16), "Advanced video coding for generic audiovisual services"、または
(iv)VP9(例えば"VP9 Bitstream & Decoding Process Specification ‐ v0.6" 2016年3月31日付け)
で圧縮され得る。
上記(i)〜(iv)の各々を、本願においてあらゆる目的で援用する。
【0019】
ソースコンテンツ100は、HDRメタデータ、例えばソースコンテンツメタデータ110に対応付けられ得る。HDRメタデータ、例えばソースコンテンツメタデータ110は、静的メタデータ、動的メタデータ、またはその両方を含み得る。静的メタデータは、ソースコンテンツ100をカラーグレーディングするために用いられる1つ以上のリファレンスマスタリングディスプレイ、例えばSMPTE ST 2086:2014 (October 13, 2014), "Mastering Display Color Volume Metadata Supporting High Luminance and Wide Color Gamut Image"(この規格書を本願においてあらゆる目的で援用する)を記述する。
【0020】
一方、動的メタデータは、限定されないが、ピクチャまたは区切られたピクチャグループ(例えば1シーンなど)についての画像特性、例えば最小、最大、平均、中央値輝度を記述し、あるいはこれに関連する。動的メタデータはまた、ある領域の平均明度(intensity)、あるシーンにおける最も明るい領域の中心画素、シーンピーク、カラー彩度マッピング重み、クロミナンス補償重み、彩度ゲイン、その他などをさらに含み得る。本明細書に記載する各実施形態において、動的メタデータは、部分的には、SMPTE ST 2094−1、−10、−20、−30、または−40によって定義されることができる。これらの規格書の全てを、あるゆる目的で援用する(特に、メタデータパラメータの定義および計算について、例えばサンプル間の線形または双線形補間など)。
【0021】
1つのシーンは、タイムスタンプ(例えば開始時刻、終了時刻、および/または持続時間)、ピクチャ順カウント(POC)(開始POC、停止POC、および/またはPOC差)、フィルムトランジション(例えば、黒または任意の特定の色へのフェード、カット、Lカット、ディゾルブ、ワイプ、マッチカットなど)、ビットストリーム中のマーカ、1つ以上の符号化パラメータ(例えばフィルムグレイン特性(film grain characteristics)のいずれかの持続性、フレーム格納配置(frame packing arrangement)、ポストフィルターヒント(post−filter hint)、トーンマッピング情報、ディスプレイ方向(display orientation)、復号化ピクチャハッシュ(decoded picture hash))の調整、または瞬時復号更新ピクチャ(instantaneous decoding refresh picture)の見え方によって、識別され得る。
【0022】
本明細書の範疇において、動的メタデータはまた、CVTモデルを記述することができる。CVTモデルは、ソースコンテンツ100がどのように異なるカラーボリュームに対してマッピングされるべきかを記述する。例えば、1つのCVTモデルは、HDRから低減したスタンダードダイナミックレンジ(SDR)への変換、あるいは、ターゲットディスプレイのカラーボリュームへのマスタリングカラーボリューム(これはより大きいか、より小さいか、またはその他異なり得る)からのマッピングを、決定付ける。
【0023】
ソースコンテンツ100およびソースコンテンツメタデータ110は、1つのビットストリーム中においてまとめて受け取られるか、あるいは別々に受け取られ得る。ビットストリームは、コンピュータメモリ、有形のコンピュータ可読媒体(例えば光ディスクまたは磁気ディスク)、または不揮発性メモリカードに記憶されているか、あるいは、テレコミュニケーションネットワーク(例えばインターネット、無線サービス、電話、短距離無線接続(例えばBluetooth)、ケーブル放送、衛星放送、および/または無線テレビ放送)を介して送信された電磁信号であってもよい。このようなビットストリームから、ソースコンテンツメタデータ110が抽出され得る。ソースコンテンツメタデータが利用可能でない場合には、ソースコンテンツから生成または決定されてもよい。
【0024】
この特定の実施形態において、ソースコンテンツメタデータ110は、動的メタデータ(不図示)および静的メタデータの両方を包含する、メタデータセット112を含む。メタデータセット112の動的メタデータは、例えばシグモイド伝達曲線114などのシグモイド伝達関数によって特徴付けられる、ある特定のCVTモデルに対応する。映像シーン(または1つのピクチャ)の最小、平均、最大色成分値は、ターゲットディスプレイの最小、平均、および最大値に対応し、シグモイド伝達曲線114を定義する。シグモイド伝達曲線114は、色成分値のターゲットディスプレイへのマッピングを決定付ける。シグモイド伝達関数のある特定の態様が、米国特許第8,593,480号に記載されている。この特許文献を本願においてあらゆる目的で援用する。メタデータセット112の動的メタデータはさらに、伝達関数を調節するためのパラメータ、例えばオフセット(最小、平均、および最大色成分値)、トーンマッピングゲイン、トーンマッピングオフセット、彩度ゲイン、補償重み、およびその他を含む。これらのパラメータは、1つ以上の固定点を設定することを可能にし、かつ/または1つ以上の領域における曲線の傾きを制御する。
【0025】
ある特定の実施形態において、シーン単位(それぞれ時間間隔が特定されている)での動的メタデータは、以下のパラメトリック値のうち1つ以上によって、CVTモデルを記述する。すなわち、
a.そのシーン中における全画像を通じ選択された画素の、知覚的量子符号化された最大RGB値のうち、最低、平均および最高のもの([0,1]で正規化可能)、
b.最大RGB値の、最小、平均、最大オフセット、
c.トーンマッピングオフセット、
d.トーンマッピングゲイン、
e.トーンマッピングガンマ(一例として、0.001刻みで[0.5,1.5]の範囲を有し、1.0をデフォルトとする)、
g.クロマ補償重み、これはクロマ調整対象の量である(一例として、[−0.5,0.5]の範囲を有する、および
h.彩度ゲイン、これは彩度調整対象の量である(一例として、[−0.5,0.5]の範囲を有する)。
【0026】
伝達関数、例えば伝達曲線116は、ターゲット再生デバイス130がサポートする、明らかに異なったCVTモデルを表す。この実施形態例において、伝達曲線116は区分的関数によって定義され、線形部分118および非線形部分120を有する。非線形部分120は、任意の予め定められた曲線、例えばN次曲線であってもよい。図1において、非線形部分120をベジエ曲線として示している。ベジエ曲線は、二次、三次、あるいはそれより高次であってもよい。代替的に、非線形部分120は、1つ以上のB−スプライン、非一様有理B−スプライン、M−スプライン、I−スプライン、T−スプライン、ボックススプライン、および任意の多項式関数であり得る。さらに代替的には、伝達曲線116は、単一の関数により定義されていて、区分的でなくてもよい。
【0027】
伝達関数、例えば伝達曲線116は、HDRメタデータ122により特徴付けられる。HDRメタデータ122は、静的メタデータ(不図示)および動的メタデータからなるメタデータセット124を有する。メタデータセット124の動的メタデータは、ベジエ曲線トーンマッピング器に対し、1つ以上のアンカー(例えば1、2、3、4、5またはそれ以上)および1つ以上のニーポイント(例えば1、2、3、4、5またはそれ以上)を有し得る。これらのパラメータは、1つ以上の固定点を設定することを可能にし、かつ/または1つ以上の領域における曲線の傾きを制御する。メタデータセット124はさらに、画像特性(例えば色成分の平均最大、明画素の割合(fraction)、その他)ならびに、ターゲットディスプレイ特性(例えば最大輝度および実際のピーク輝度)を含む。
【0028】
図1Aに示すように、ソースコンテンツメタデータ110から決定されたシグモイド伝達関数、例えばシグモイド伝達曲線114を用い、メタデータ変換ユニット126によって、伝達関数、例えば伝達曲線116に対するベストフィット(または知覚的に妥当なフィット)を算出する。フィットは、例として、多変量線形回帰、単純線形回帰、平方和、オフセット絶対値、最小二乗(線形または非線形)、二乗平均平方根誤差、平均絶対偏差、または平均二乗誤差によって決定され得る。得られたフィットは、メタデータセット124の動的メタデータの少なくとも1つのメタデータパラメータを定義する。このフィットは、線形部分118、非線形部分120、またはその両方を特徴付ける。すなわち、適切なベジエ曲線に対する必要なアンカーおよびニーポイントが、算出され得る。
【0029】
知覚的に妥当なフィットまたはマッチは、予め定められた条件を満たすソリューションたり得る。例えばある値の範囲にわたって伝達曲線間の誤差が所定の量またはパーセンテージ未満である(例えば5%未満)ことなどである。あるいは、シーン(またはピクチャ)の任意の画素の再生における算出上の最悪の場合の誤差が、ある特定の閾値を超えなければ(例えば約3、5、または8cd/m2未満、あるいは約1〜4丁度可知差異(just noticeable difference:JND)未満)、容認可能であり得る。本発明の特定の実施形態において、広い範囲の輝度についてウェーバーの法則(例えばΔL/Lはある定数(ウェーバー定数)に等しいなど)に基づいて客観的に決定されたJND値を用いることができる。ウェーバー定数は、約0.01、0.005、または0.001未満であり得る。ウェーバーの法則は、JND値の妥当な尺度を提供するが、人間の視覚システムの順応は個人間で異なり、また実は一個人についても、全ての輝度レベルまたは空間周波数において一定なわけではない。
【0030】
ある特定の実施形態として、伝達曲線の1つ以上の特定の点における誤差を最小にする、あるいは無くすことが望ましくあり得る。つまり、他の場所で誤差が増大していようとも、フィットは、中心点、最大点、および最小点のうち少なくとも1つについて、伝達曲線に正確にマッチしていればよい。これは、制作意図をより良く保存するためとして容認可能である。例えば、もし中心点が正確にマッチするならば(あるいは中間トーンが曲線フィットについてより大きな重みを与えられるならば)、皮膚の色素沈着(skin pigmentation)その他の顕著な特徴の忠実な再生を、明るいハイライトに対して優先してもよい。このようにして、CVTモデルによることなく、中間トーン値が一貫してマッピングされる。中心点は、1つのシーンまたはピクチャにおける平均、中央値、または平均色成分値であり得る。これは、そのシーンまたはピクチャのヒストグラムによって算出あるいは決定されることができる。
【0031】
さらに別の選択肢として、フィットは、ある点または所定の応答レンジ(例えばミッドレンジ値)内において、伝達曲線(例えば伝達曲線114および116)の傾きにベストマッチしていればよい。所定の範囲は、一例として、中心点の+/−10%またはそれ以下であり得る。もし伝達曲線が区分的曲線であれば、各傾きまたは曲線部分は、フィット決定について異なるように重み付けされ得る。例えば、メタデータ変換ユニット126は、非線形部分に対し、計算上の重みをより大きく与えることによって、伝達曲線116の線形部分よりも強調し得る。
【0032】
メタデータセット124の全てのパラメータがメタデータ変換ユニット126によって定義されていないのであれば、デフォルト値を適用してよい。例えば、メタデータ変換ユニット126によって解を得られない場合、カラー彩度重み付けパラメータは、約1/3、1/2、または1に設定されてよい。別の一例として、1つのシーンまたはピクチャにおける明画素の割合(fraction)についてのパラメータは、デフォルト値として約0、1/2(50%)、または1(100%)に設定され得る。
【0033】
メタデータセット124の動的メタデータが算出されれば、ターゲット再生デバイス130は、HDRマスターコンテンツ、例えばソースコンテンツ100(HDRメタデータ122によってガイドされる)を、制作意図を維持する範囲で最大性能まで描画し得る。前述したように、ターゲット再生デバイス130はSDRデバイスであってもよく、その場合ソースコンテンツ100はより低いダイナミックレンジおよび/またはより低い色域に下方トーンマッピングされる。一方、もしターゲット再生デバイス130がより上位のHDRデバイスであれば、ソースコンテンツ100はより高いダイナミックレンジおよび/またはより広い色域にマッピングされ得る。
【0034】
図1Bは、本発明の別の実施形態を示す単純化したフローチャートを示す。この実施形態において、メタデータ変換ユニット126は、第1のCVTモデルの伝達関数についてのパラメータを、少なくとも部分的には、別の伝達関数によって第2のCVTモデルを記述するメタデータに基づいて決定する。具体的には、メタデータセット124から決定される区分的伝達関数、例えば伝達曲線116を用いて、伝達関数に対するベストフィット(または妥当なフィット)を算出する(伝達曲線114)。フィットは、例として、多変量線形回帰、単純線形回帰、平方和、オフセット絶対値、最小二乗(線形または非線形)、二乗平均平方根誤差、平均絶対偏差、または平均二乗誤差によって決定され得る。得られたフィットは、メタデータセット112の動的メタデータの少なくとも1つのメタデータパラメータを定義する。フィットは、そのパラメータ化されたメタデータ特性によって、得られる伝達関数を特徴付けている。
【0035】
メタデータセット112の全てのパラメータがメタデータ変換ユニット126の結果として定義されていないのであれば、デフォルト値を適用してよい。例えば、メタデータ変換ユニット126によって解を得られない場合、色成分オフセット(例えば最小、最大、および平均成分オフセット)は0に設定されてよい。別の一例として、1つのシーンまたはピクチャ中のトーンマッピングゲインについてのパラメータは、デフォルト値として約1/2(50%)または1(100%)に設定され得る。
【0036】
メタデータセット112の動的メタデータが算出されれば、ターゲット再生デバイス130は、HDRマスターコンテンツ、例えばソースコンテンツ100(メタデータセット112のHDRメタデータによってガイドされる)を、制作意図を維持する範囲で最大性能まで描画し得る。前述したように、ターゲット再生デバイス130はSDRデバイスであってもよく、その場合ソースコンテンツ100はより低いダイナミックレンジおよび/またはより低い色域に下方トーンマッピングされる。一方、もしターゲット再生デバイス130がより上位のHDRデバイスであれば、ソースコンテンツ100はより高いダイナミックレンジおよび/またはより広い色域にマッピングされ得る。
【0037】
メタデータ変換ユニット126はリアルタイムに、ターゲット再生デバイス130を含むHDRデバイス(例えばテレビ、携帯電話、セットトップボックス、ゲームコンソール機、ホームシアターメディアサーバ、シネマサーバ、ブルーレイプレーヤーなど)、によって現場で実行され得ることが理解される。または、メタデータ変換ユニット126はオフラインおよび/またはリモートで実行され得る。メタデータ変換ユニット126がリモートで実行される場合は、ターゲット再生デバイス130はリポジトリ(例えばデータベースネットワーク。中央集中型であっても、エンドユーザーに近くなるよう地理的に分布されていてもよい)からアクセスし、HDRコンテンツマスター、例えばソースコンテンツ100のための予め算出されたメタデータセットをダウンロードし得る。この場合、メタデータセットは、もしソースコンテンツ100が既にターゲット再生デバイス130上に在るならば、スタンドアローンのビットストリームとして送信されてよい。メタデータセットがリモートからアクセスされる場合、セキュリティ強化のため、暗号化および法的マーキングを用いることができる。
【0038】
図2A〜2Cは、2つの明らかに異なったCVTモデルの曲線フィッティングの伝達曲線の、単なる例示である。図2Aにおいて、伝達曲線114および116間の差または結果としての誤差は、ダイナミックレンジ全体にわたって、ベストフィットマッチとなるよう最小化されている。図2Bは、点210において伝達曲線114および116がマッチされている様子を示している。これにより、点210あるいはその付近において、色成分値の信頼性のある再生が得られる。最後に、図2Bは、飽和点220あるいはその付近において、伝達曲線114および116がマッチしていることを示している。
【0039】
図3は、本発明の一実施形態における、単純化した方法300を示している。以下では方法300はシーケンシャルな数個の動作として説明しているが、説明する動作のうちのいくつかは異なる順序で行ってもよいことが理解される。また、いくつかの動作は、シーケンシャルではなく並列に、あるいはオプションとして行われてもよい。
【0040】
まず、ステップ310において、HDRデバイスからソースコンテンツを受け取る。第1のCVTモデルに対応するソースコンテンツメタデータを、ステップ320において受け取る。ソースコンテンツメタデータは、図1A〜1Bに示した通りであってもよい。ステップ330および340において、第1のCVTモデルにおける第1の伝達曲線が決定され、第2のCVTモデルの第2の伝達曲線に曲線フィットされる。第1および第2のCVTモデルは、明らかに異なったものであり得る。曲線フィットを定義するパラメータは、第2のCVTモデルに対するメタデータとして、ステップ350で格納される。最後に、ステップ360において、生成されたパラメータに基づく第2のCVTモデルに従って、ターゲットデバイスがソースコンテンツを描画し得る。ステップ360において、ターゲットデバイスは、その性能内でソースコンテンツを描画(さらなるカラーボリューム変換、画素サブサンプリング、アップサイジング、ダウンサイジング、リサイズ、アップスケーリング、ダウンスケーリング、回転、カラー彩度クリッピング、またはその他のディスプレイ描画動作の後でもよい)することができる。
【0041】
別の手法においては、第1および第2のCVTモデル由来のトーン伝達曲線および彩度伝達曲線を、独立してマッチングする。トーン曲線マッチングにおいては、第1のモデルからのメタデータを用いて第1のトーン曲線を生成する。第2のモデルについての第2のトーン曲線を用いて、第2のモデルに対するメタデータを計算するか、あるいは、第2のトーン曲線を第1のトーン曲線にマッチ(あるいは妥当に近似)させるためのメタデータを作成する。彩度曲線マッチングにおいては、第1のモデルからのメタデータを用いて、第1のカラー彩度曲線を作成する。第2のモデルについての第2の彩度曲線を用いて、第2のモデルに対するメタデータを計算するか、あるいは、第2の彩度曲線を第1の彩度曲線にマッチ(あるいは妥当に近似)させるための、第2のモデルに対するメタデータを作成する。
【0042】
コンピュータシステム実装例
本発明の実施形態は、コンピュータシステム、電子回路およびコンポーネントで構成されたシステム、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または他のコンフィギュラブルまたはプログラマブルロジックデバイス(PLD)、離散時間またはデジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向けIC(ASIC)などの集積回路(IC)デバイス、および/または、このようなシステム、デバイスまたはコンポーネントを1つ以上含む装置、を用いて実施し得る。このコンピュータおよび/またはICは、本明細書に記載のようなハイダイナミックレンジを有する画像のカラーボリューム変換に関する命令を行い、制御し、または実行し得る。このコンピュータおよび/またはICは、本明細書に記載のカラーボリューム変換プロセスに関する様々なパラメータまたは値のいずれを演算してもよい。画像およびビデオ実施形態は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、および、その様々な組み合わせで実施され得る。
【0043】
本発明の特定の態様は、本発明の方法をプロセッサに行わせるためのソフトウェア命令を実行する少なくとも1つのコンピュータプロセッサを含む。例えば、ディスプレイ、エンコーダ、セットトップボックス、ゲームコンソール機、ホームメディアサーバ、携帯電話、トランスコーダなどの中の1つ以上のプロセッサは、そのプロセッサがアクセス可能なコンピュータ可読なプログラムメモリ内にあるソフトウェア命令を実行することによって、上記のようなHDR画像のカラーボリューム変換に関する方法を実装し得る。本発明は、コンピュータプログラムなどのプログラム製品形態で提供されてもよい。このプログラム製品は、データプロセッサによって実行された時に本発明の方法をデータプロセッサに実行させるための命令を含む1セットの、コンピュータ読み取り可能な信号を格納する任意の非一時的媒体を含み得る。本発明によるプログラム製品は、様々な形態をとり得る。例えば、このプログラム製品は、フロッピーディスケット、ハードディスクドライブを含む磁気データ記憶媒体、CD ROM、DVDを含む光学データ記憶媒体、ROM、フラッシュRAMなどを含む電子データ記憶媒体、などの物理的媒体を含み得る。このプログラム製品上のコンピュータ可読信号は、任意に、圧縮または暗号化されていてもよい。
【0044】
上記においてあるコンポーネント(例えば、ソフトウェアモジュール、プロセッサ、アセンブリ、デバイス、回路など)に言及している場合、そのコンポーネントへの言及(「手段」への言及を含む)は、そうでないと明記されている場合を除いて、当該コンポーネントの機能を果たす(例えば、機能的に均等である)あらゆるコンポーネント(上記した本発明の実施形態例に出てくる機能を果たす開示構造に対して構造的に均等ではないコンポーネントも含む)を、当該コンポーネントの均等物として、含むものと解釈されるべきである。
【0045】
コンポーネントのそれぞれの機能は、例えば電子デバイスと、二次的な電子デバイスと、三次的な電子デバイスなどのような複数の電子デバイス、電子デバイスの組み合わせ、または単一の電子デバイスによって実行され得る。
【0046】
一実施形態において、本明細書に記載の手法は、1つ以上の専用コンピューティングデバイスにより実装される。専用コンピューティングデバイスは、本手法を実行するようにハードワイヤードされていてもよく、あるいは、本手法を実行するように持続的にプログラムされた、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などのデジタル電子機器を含んでもよく、または、ファームウェア、メモリその他の記憶装置、あるいはその組み合わせ内におけるプログラム命令に従って本手法を実行するようにプログラムされた、1つ以上の汎用ハードウェアプロセッサを含み得る。そのような専用コンピューティングデバイスはまた、本手法を達成するためのカスタムプログラミングを備えたカスタムのハードワイヤード論理回路、ASIC、またはFPGAを組み合わせていてもよい。専用コンピューティングデバイスは、本手法を実装するためのハードワイヤードおよび/またはプログラム論理回路を備えた、デスクトップコンピュータシステム、ポータブルコンピュータシステム、ハンドヘルドデバイス、ネットワーキングデバイスまたはその他の任意のデバイスであってもよい。
【0047】
例えば、図4は、本発明の一実施形態が実装され得るコンピュータシステム400を示すブロック図である。コンピュータシステム400は、情報を通信するためのバス402またはその他の通信機構と、バス402に結合されて情報を処理するハードウェアプロセッサ404とを有する。ハードウェアプロセッサ404は、例えば汎用マイクロプロセッサであってもよい。
【0048】
コンピュータシステム400はまた、バス402に結合されており情報やプロセッサ404によって実行される命令を格納する、ランダムアクセスメモリ(RAM)その他の動的記憶装置などの、メインメモリ406を有する。メインメモリ406はまた、プロセッサ404によって実行される命令の実行中における一時変数またはその他の中間的情報を格納するためにも用いられ得る。そのような命令は、プロセッサ404がアクセス可能な非一時的記憶媒体に格納されたとき、コンピュータシステム400を、命令によって指定された動作を実行するようにカスタマイズされた専用機器に変える。
【0049】
コンピュータシステム400はさらに、バス402に結合され、静的情報やプロセッサ404のための命令を格納する、リードオンリーメモリ(ROM)408またはその他の静的記憶装置を有する。磁気ディスクまたは光学ディスクなどの記憶装置410が、情報および命令を格納するために設けられ、バス402に結合される。
【0050】
コンピュータシステム400は、バス402を介して、コンピュータユーザーに情報を表示するための、液晶ディスプレイなどのディスプレイ412に結合されていてもよい。英数字および他のキーを含む入力装置414が、バス402と結合され、情報およびコマンド選択をプロセッサ404に伝える。別のタイプのユーザー入力装置は、方向情報およびコマンド選択をプロセッサ404に伝え、ディスプレイ412上のカーソル移動を制御する、マウス、トラックボールまたはカーソル方向キーなどの、カーソルコントロール416である。この入力装置は、典型的には、2つの軸、第1の軸(例えばx)および第2の軸(例えばy)において、2つの自由度を有することにより、デバイスは平面内の位置を特定できる。
【0051】
コンピュータシステム400は、コンピュータシステムと協働してコンピュータシステム400を専用機器にするか、専用機器になるようにプログラムする、カスタマイズされたハードワイヤード論理回路、1つ以上のASICまたはFPGA、ファームウェアおよび/またはプログラム論理回路を用いて、本明細書に記載の手法を実装し得る。一実施形態において、本明細書に記載の手法は、メインメモリ406に含まれる1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行するプロセッサ404に応答して、コンピュータシステム400により実行される。そのような命令は、記憶装置410のような別の記憶媒体から、メインメモリ406へと読み込まれ得る。メインメモリ406に含まれる命令のシーケンスの実行は、プロセッサ404に、本明細書に記載の処理ステップを実行させる。別の実施形態において、ソフトウェア命令の代わりに、またはソフトウェア命令と組み合わせて、ハードワイヤード回路を用い得る。
【0052】
本明細書で用いられる用語「記憶媒体」は、機器を特定の形態で動作させるデータおよび/または命令を格納する、任意の非一時的な媒体をいう。そのような記憶媒体は、不揮発性媒体および/または揮発性媒体を含み得る。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置410のような光学または磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリ406のような動的メモリを含む。記憶媒体の一般的な形態は、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステートドライブ、磁気テープまたは任意の他の磁気データ記憶媒体、CD−ROM、任意の他の光学データ記憶媒体、穴のパターンを有する任意の物理的な媒体、RAM、PROM、およびEPROM、FLASH−EPROM、NVRAM、任意の他のメモリチップまたはカートリッジを含む。
【0053】
記憶媒体は、伝達媒体とは別個のものであるが、伝達媒体と併せて用いられ得る。伝達媒体は、記憶媒体間の情報転送に関与する。例えば、伝達媒体は、同軸ケーブル、銅線、光ファイバを含み、バス402を構成する配線を含む。伝達媒体はまた、ラジオ波または赤外データ通信時において生成されるような、音波または光波の形態を取り得る。
【0054】
1つ以上の命令の1つ以上のシーケンスを実行のためにプロセッサ404に送る際において、様々な形態の媒体が関与し得る。例えば、命令は、最初、リモートコンピュータの磁気ディスクまたはソリッドステートドライブ上に保持され得る。リモートコンピュータは、命令を自身の動的メモリに読み込み、モデムを用いて命令を電話線を介して送り得る。コンピュータシステム400に対してローカルにあるモデムは、電話線上においてデータを受け取り、赤外線送信機を用いることにより、データを赤外線信号に変換し得る。赤外線検知器が、赤外線信号で送られたデータを受け取り得、そして適切な回路がデータをバス402上に配置し得る。バス402は、データをメインメモリ406に送り、プロセッサ404はメインメモリ406から命令を取り出し実行する。メインメモリ406により受け取られた命令は、オプションとして、プロセッサ404により実行される前または後において、記憶装置410に格納され得る。
【0055】
コンピュータシステム400はまた、バス402と結合される通信インターフェース418を含む。通信インターフェース418は、ローカルネットワーク422と接続されたネットワークリンク420との、双方向のデータ通信結合を提供する。例えば、通信インターフェース418は、サービス総合デジタル網(ISDN)カード、ケーブルモデム、衛星モデム、または対応するタイプの電話線にデータ通信接続を提供し得るモデムである。別の例として、通信インターフェース418は、ローカルエリアネットワーク(LAN)カードであり、適合性のあるLANへのデータ通信接続を提供する。無線リンクを実装してもよい。任意のそのような実装において、通信インターフェース418は様々なタイプの情報を表すデジタルデータストリームを送る、電気的、電磁気的または光学的な信号を送受信する。
【0056】
ネットワークリンク420は、典型的には、データ通信を1つ以上のネットワークを介して他のデータデバイスに提供する。例えば、ネットワークリンク420は、ローカルネットワーク422を介して、ホストコンピュータ424への接続、または、インターネットサービスプロバイダ(ISP)426によって動作されるデータ装置への接続を提供する。そして、ISP426は、現在一般に「インターネット」428と呼ばれている全世界的なパケットデータ通信ネットワークを介して、データ通信サービスを提供する。ローカルネットワーク422およびインターネット428の両方とも、デジタルデータストリームを搬送する、電気的、電磁気的、または光学的な信号を用いる。コンピュータシステム400とやり取りされるデジタルデータを搬送する、様々なネットワークを介した信号、および、ネットワークリンク420上および通信インターフェース418を介した信号は、伝達媒体の形態例である。
【0057】
コンピュータシステム400は、ネットワーク(単数または複数)、ネットワークリンク420および通信インターフェース418を介して、メッセージを送り、プログラムコードを含むデータを受け取り得る。インターネットを例に挙げると、サーバ430は、インターネット428、ISP426、ローカルネットワーク422および通信インターフェース418を介して、アプリケーションプログラムのために要求されるコードを伝達し得る。
【0058】
受け取られたコードは、受信されてそのままプロセッサ404により実行されてもよく、かつ/または、後で実行するために記憶装置410またはその他の不揮発性記憶装置に格納されてもよい。
【0059】
均等物、拡張物、代替物、その他
この明細書中において、各実装毎に異なり得る多数の具体的な詳細に言及しながら本発明の実施形態を説明した。従って、本発明が如何なるものかおよび出願人は本発明が如何なるものであると意図しているかについての唯一且つ排他的な指標は、後の訂正を含む、これら請求項が生じる具体的な形態の、本願から生じる1組の請求項である。当該請求項に含まれる用語に対して本明細書中に明示したあらゆる定義が、請求項内で使用される当該用語の意味を決定するものとする。よって、請求項に明示的に記載されていない限定事項、構成要素、特性、特徴、利点または属性は、いかなる形であれ請求の範囲を限定するものではない。従って、本明細書および図面は、限定的ではなく、例示的であると認識されるべきものである。
【要約】
カラーボリューム変換モデルに対して固有である既存のメタデータセットを、明らかに異なったカラーボリューム変換モデルに対して固有であるメタデータセットに変換する。例えば、第1のカラーボリューム変換モデルに対するソースコンテンツメタデータが受け取られる。このソースメタデータは、ある特定のカラーボリューム変換、例えばシグモイドトーンマップ曲線を決定する。この特定のカラーボリューム変換を、第2のカラーボリューム変換モデルのカラーボリューム変換、例えばベジエトーンマップ曲線にマッピングする。マッピングは、ベストフィット曲線または妥当な近似であってよい。マッピングにより、第2のカラーボリューム変換モデルに用いられるメタデータ値(例えば1つ以上のベジエ曲線のニーポイントおよびアンカー)が得られる。このように、第2のカラーボリューム変換モデルに対して構成されているデバイスが、受け取った前記第1のカラーボリューム変換モデルのソースコンテンツメタデータに基づいて、妥当にソースコンテンツを描画することができる。
【選択図】図3
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3
図4