(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571910
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/639 20060101AFI20190826BHJP
H01R 13/629 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
H01R13/639 Z
H01R13/629
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-216352(P2013-216352)
(22)【出願日】2013年10月17日
(65)【公開番号】特開2015-79657(P2015-79657A)
(43)【公開日】2015年4月23日
【審査請求日】2016年9月16日
【審判番号】不服2018-7322(P2018-7322/J1)
【審判請求日】2018年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 素文
(72)【発明者】
【氏名】坂元 信幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 寿典
【合議体】
【審判長】
大町 真義
【審判官】
小関 峰夫
【審判官】
藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−25691(JP,A)
【文献】
特開2003−257546(JP,A)
【文献】
特開2007−5088(JP,A)
【文献】
特開2007−173164(JP,A)
【文献】
特開2008−41417(JP,A)
【文献】
特開2009−93930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/629
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一外側壁の内側にコネクタハウジング相互の嵌合方向に貫通したレバー収容空間が画成された第1のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングの内側に嵌合する嵌合部と、前記一外側壁に対向して前記レバー収容空間を画成する前記第1のコネクタハウジングの他の外側壁の内面と対向する前記嵌合部の外側面に突設された嵌合用突起と、を備えた第2のコネクタハウジングと、
前記レバー収容空間に回動可能に装備され、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動初期位置から回動終了位置に回動させると、前記嵌合用突起が摺動可能なカム溝によって前記嵌合用突起を引き寄せて、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとを嵌合完了状態にする略板状の嵌合操作レバーと、
前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置に到達したときに前記嵌合操作レバーを前記回動終了位置にロックするレバーロック機構と、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記レバーロック機構は、前記嵌合操作レバーの一方の表面に凹んで形成されたロック用係止凹部と、このロック用係止凹部が設けられている前記嵌合操作レバーの表面と対向する前記レバー収容空間の壁面に突設されて前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置に到達したときにその全体が前記嵌合操作レバーにより覆われた状態で前記ロック用係止凹部に係合するロック用突起と、を備え、
前記嵌合操作レバーの回動軸方向からみたとき、前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置以外の位置にあるときは前記嵌合操作レバーの一部が前記第1のコネクタハウジングの外縁の外にはみ出し、前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置にあるときは前記嵌合操作レバーの全体が前記第1のコネクタハウジングの外縁の内側に位置することを特徴とするレバー式コネクタ。
【請求項2】
前記ロック用係止凹部は直線状に延在する溝であり、
前記ロック用突起は、直線状に延在する突条であることを特徴とする請求項1に記載のレバー式コネクタ。
【請求項3】
前記嵌合操作レバーの前記ロック用係止凹部に隣接し、前記回動終了位置への回動時に回動方向の先方に位置する領域には、前記ロック用突起を前記ロック用係止凹部に誘導するテーパ面を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のレバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図18〜
図22は、下記特許文献1に開示されたレバー式コネクタを示している。このレバー式コネクタ100は、第1のコネクタハウジング110と、第2のコネクタハウジング120と、嵌合操作レバー130と、レバーロック機構160と、を備えている。
【0003】
第1のコネクタハウジング110は、
図18に示すように、レバー収容空間111を備えている。
【0004】
レバー収容空間111は、嵌合操作レバー130を収容する空間で、一外側壁113(
図22参照)の内側に形成されている。このレバー収容空間111は、コネクタハウジング相互の嵌合方向(
図18では、矢印X1方向)に貫通している。
【0005】
第2のコネクタハウジング120は、
図18に示すように、第1のコネクタハウジング110を内側に嵌合する嵌合部121と、第1のコネクタハウジング110の不図示の一外側壁と対向する前記嵌合部121の内側面(図示せず)に突設された嵌合用突起123と、を備えている。
【0006】
嵌合操作レバー130は、全体としては、略板状である。この嵌合操作レバー130は、枢軸114を支点として回動可能にレバー収容空間111内に支持されるレバー本体131と、該レバー本体131の一端に延設された操作部132と、を備えている。
【0007】
この嵌合操作レバー130は、
図18に示すように、枢軸114を回動中心として、回動初期位置P1から回動終了位置P2までの角度θの範囲を回動可能に、レバー収容空間111に装備されている。嵌合操作レバー130は、回動初期位置P1に位置しているときには、
図18に示すように、レバー本体131に装備された弾性係止片135がレバー収容空間111内のレバー仮係止手段112に係合することで、回動初期位置P1に仮係止される。
【0008】
嵌合操作レバー130の操作部132は、当該嵌合操作レバー130を回動操作する際に把持する部分で、レバー収容空間111から外部に延出した状態に装備されている。
図18に示した矢印R1は、嵌合操作レバー130を回動初期位置P1から回動終了位置P2へ回動させるときの回動方向である。
【0009】
この嵌合操作レバー130のレバー本体131には、第2のコネクタハウジング120の嵌合用突起123が摺動可能なカム溝134が備えられている。
【0010】
カム溝134は、当該嵌合操作レバー130が回動初期位置P1に位置している状態で、
図19に示すように、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合開始位置に突き合わせると、第2のコネクタハウジング120上の嵌合用突起123が溝の始端134aに進入するように、形成されている。
【0011】
なお、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合開始位置に突き合わせたときには、
図19に示すように、第2のコネクタハウジング120に装備されている仮係止解除手段125が嵌合操作レバー130の弾性係止片135に当接して、弾性係止片135を嵌合操作レバー130の回動中心側に撓ませて、仮係止状態を解除する。嵌合操作レバー130は、仮係止状態が解除されることによって、回動終了位置P2側に回動可能になる。
【0012】
また、嵌合操作レバー130に装備されたカム溝134は、当該嵌合操作レバー130を回動初期位置P1から回動終了位置P2側に回転操作すると、溝の始端134aに係合している嵌合用突起123を嵌合方向に引き込む。そして、カム溝134は、嵌合操作レバー130が回動終了位置P2に到達したときには、
図21に示すように、嵌合用突起123を溝の終端134bまで移動させ、これにより、第1のコネクタハウジング110と第2のコネクタハウジング120とを嵌合完了状態にする。
【0013】
レバーロック機構160は、嵌合操作レバー130が回動終了位置P2に到達したときに嵌合操作レバー130を回動終了位置P2にロック(固定)する機構である。
【0014】
特許文献1の場合、レバーロック機構160は、嵌合操作レバー130の操作部132の付近に装備された弾性ロック片161と、嵌合操作レバー130の操作部132に一体形成された誤操作防止用枠部162と、第1のコネクタハウジング110の一外側壁113に形成されたロック片係止部163と、で構成されている。
【0015】
弾性ロック片161は、
図20に示すように、嵌合操作レバー130の板厚方向(
図20の矢印Y3方向)に撓み変位可能な弾性片161aと、この弾性片161aの先端寄りの位置に突設されたロック突起161bと、弾性片161aの先端に設けられた解除用操作部161cと、を備えている。
【0016】
この弾性ロック片161は、嵌合操作レバー130が回動終了位置P2に到達したときに、
図22に示すように、ロック突起161bを第1のコネクタハウジング110のロック片係止部163に係合させることで、嵌合操作レバー130を回動終了位置P2に固定する。
【0017】
弾性ロック片161の解除用操作部161cは、嵌合操作レバー130が回動終了位置P2にロックされている状態を解除するときに押下する部位である。
図22に示すようにロック突起161bがロック片係止部163に係合している状態で、矢印Y4方向に解除用操作部161cを押下すると、弾性片161aが矢印Y4方向に撓んで、係合が解除される。
【0018】
誤操作防止用枠部162は、不用意に解除用操作部161cが押下されないように、解除用操作部161cの外面側(
図20では、上側)を覆う枠構造である。この誤操作防止用枠部162は、ロック状態を解除する際に指を解除用操作部161cに当てることを可能にする切り欠き162a(
図21参照)が装備されている。
【0019】
ロック片係止部163は、
図22に示すように、第1のコネクタハウジング110の一外側壁113の内面に突設された突起で、嵌合操作レバー130が回動終了位置P2に到達したときに、嵌合操作レバー130上のロック突起161bと係合して、嵌合操作レバー130を回動終了位置P2にロックする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】特開2003−249305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところが、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、板状の嵌合操作レバー130は、レバーロック機構160を構成する弾性ロック片161が当該嵌合操作レバー130の板厚方向に撓む構造で、弾性ロック片161の撓み代を確保するために、当該嵌合操作レバー130の板厚方向の寸法が増大するという問題があった。そして、この嵌合操作レバー130の板厚方向の寸法の増大が、第1のコネクタハウジング110に装備するレバー収容空間111の大型化を招き、レバー式コネクタの大型化を招くという問題があった。
【0022】
また、特許文献1のレバー式コネクタ100の場合、弾性ロック片161が不用意に押下されてロック状態が不用意に解除されないように、解除用操作部161cの周囲を囲う誤操作防止用枠部162を装備することが必要となっていて、誤操作防止用枠部162の装備のために、嵌合操作レバー130の構造が複雑化し、製造コストの高額化を招くという問題もあった。
【0023】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、板状の嵌合操作レバーの構造を単純化すると同時に当該嵌合操作レバーの板厚方向の寸法の増大を抑止して、製造コストの低減と小型化とを図ることのできるレバー式コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1) 一外側壁の内側にコネクタハウジング相互の嵌合方向に貫通したレバー収容空間が画成された第1のコネクタハウジングと、
前記第1のコネクタハウジングの内側に嵌合する嵌合部と、前記一外側壁に対向して前記レバー収容空間を画成する前記第1のコネクタハウジングの他の外側壁の内面と対向する前記嵌合部の外側面に突設された嵌合用突起と、を備えた第2のコネクタハウジングと、
前記レバー収容空間に回動可能に装備され、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動初期位置から回動終了位置に回動させると、前記嵌合用突起が摺動可能なカム溝によって前記嵌合用突起を引き寄せて、前記第1のコネクタハウジングと前記第2のコネクタハウジングとを嵌合完了状態にする略板状の嵌合操作レバーと、
前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置に到達したときに前記嵌合操作レバーを前記回動終了位置にロックするレバーロック機構と、
を備えるレバー式コネクタであって、
前記レバーロック機構は、前記嵌合操作レバーの一方の表面に凹んで形成されたロック用係止凹部と、このロック用係止凹部が設けられている前記嵌合操作レバーの表面と対向する前記レバー収容空間の壁面に突設されて前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置に到達したときにその全体が前記嵌合操作レバーにより覆われた状態で前記ロック用係止凹部に係合するロック用突起と、を備え
、
前記嵌合操作レバーの回動軸方向からみたとき、前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置以外の位置にあるときは前記嵌合操作レバーの一部が前記第1のコネクタハウジングの外縁の外にはみ出し、前記嵌合操作レバーが前記回動終了位置にあるときは前記嵌合操作レバーの全体が前記第1のコネクタハウジングの外縁の内側に位置することを特徴とするレバー式コネクタ。
【0025】
(2) 前記ロック用係止凹部は直線状に延在する溝であり、
前記ロック用突起は、直線状に延在する突条であることを特徴とする上記(1)に記載のレバー式コネクタ。
【0026】
(3) 前記嵌合操作レバーの前記ロック用係止凹部に隣接し、前記回動終了位置への回動時に回動方向の先方に位置する領域には、前記ロック用突起を前記ロック用係止凹部に誘導するテーパ面を備えたことを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のレバー式コネクタ。
【0027】
上記(1)の構成によれば、嵌合操作レバーを回動終了位置にロックするレバーロック機構は、嵌合操作レバーの一方の表面に凹んで形成されたロック用係止凹部と、該ロック用係止凹部を係止するように第1のコネクタハウジングに装備されたロック用突起とで構成されている。
【0028】
即ち、嵌合操作レバーは、レバーロック機構としては、一方の表面にロック用係止凹部を設けるだけで良く、板厚方向に撓み変位して板厚方向の寸法の増大を招く弾性ロック片が不要なだけでなく、構造の複雑化を招く誤操作防止用枠部も必要とならない。
【0029】
従って、板状の嵌合操作レバーの構造を単純化すると同時に、当該嵌合操作レバーの板厚方向の寸法の増大を抑止して、製造コストの低減と小型化とを図ることができる。
【0030】
上記(2)の構成によれば、嵌合操作レバーを回動終了位置にロックするレバーロック機構として、嵌合操作レバーに装備されるロック用係止凹部は直線状に延在する溝であり、ロック用係止凹部に対応して第1のコネクタハウジングに装備されたロック用突起は直線状に延在する突条である。即ち、レバーロック機構を構成するロック用係止凹部とロック用突起の双方が、直線状の単純な構造となるため、樹脂の射出成形によるこれらの機構の形成が容易になり、レバー式コネクタの生産性を向上させることができる。
【0031】
上記(3)の構成によれば、前記嵌合操作レバーを回動終了位置に移動させたときに、嵌合操作レバー上のテーパ面が第1のコネクタハウジング側のロック用突起を嵌合操作レバー上のロック用係止凹部に導くため、ロック用突起とロック用係止凹部との係合を容易且つ確実にすることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によるレバー式コネクタによれば、板状の嵌合操作レバーの構造を単純化すると同時に、当該嵌合操作レバーの板厚方向の寸法の増大を抑止して、製造コストの低減と小型化とを図ることができる。
【0033】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【
図2】
図2は
図1に示した第1のコネクタハウジングの平面図である。
【
図3】
図3は
図1に示した第1のコネクタハウジングのC−C断面図である。
【
図4】
図4は
図1に示した第1のコネクタハウジングの単体の斜視図である。
【
図5】
図5は
図4に示した第1のコネクタハウジングの側面図である。
【
図6】
図6は
図4に示した第1のコネクタハウジングの平面図である。
【
図7】
図7は
図4に示した第1のコネクタハウジングのD矢視図である。
【
図8】
図8は
図1に示した嵌合操作レバーの単品の斜視図である。
【
図12】
図12は
図1に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとが嵌合開始位置に突き合された状態の平面図である。
【
図13】
図13は第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合開始位置への突き合わせによって、第2のコネクタハウジングの仮係止解除手段が嵌合操作レバーの仮係止状態を解除している状態の説明図である。
【
図14】
図14は
図12に示した状態から嵌合操作レバーを回動終了位置に回動させて、第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合が完了した状態の斜視図である。
【
図18】
図18は従来のレバー式コネクタの第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとが対向している状態の平面図である。
【
図19】
図19は
図18に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとが嵌合開始位置に突き合されて、嵌合操作レバーの仮係止状態が解除された状態を示す断面図である。
【
図21】
図21は
図19に示した状態から嵌合操作レバーが回動終了位置に回動させられて、第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合が完了した状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明に係るレバー式コネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0036】
図1〜
図17は本発明に係るレバー式コネクタの一実施形態を示したもので、
図1は本発明の一実施形態のレバー式コネクタの分解斜視図、
図2は
図1に示した第1のコネクタハウジングの平面図、
図3は
図1に示した第1のコネクタハウジングのC−C断面図、
図4は
図1に示した第1のコネクタハウジングの単体の斜視図、
図5は
図4に示した第1のコネクタハウジングの側面図、
図6は
図4に示した第1のコネクタハウジングの平面図、
図7は
図4に示した第1のコネクタハウジングのD矢視図、
図8は
図1に示した嵌合操作レバーの単品の斜視図、
図9は
図8に示した嵌合操作レバーの裏面図、
図10は
図9に示した嵌合操作レバーのE−E断面図、
図11は
図9に示した嵌合操作レバーの斜視図、
図12は
図1に示した第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとが嵌合開始位置に突き合された状態の平面図、
図13は第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合開始位置への突き合わせによって、第2のコネクタハウジングの仮係止解除手段が嵌合操作レバーの仮係止状態を解除している状態の説明図、
図14は
図12に示した状態から嵌合操作レバーを回動終了位置に回動させて、第1のコネクタハウジングと第2のコネクタハウジングとの嵌合が完了した状態の斜視図、
図15は
図14に示した嵌合完了状態のレバー式コネクタの側面図、
図16は
図15のF−F断面図、
図17は
図15のG−G断面図である。
【0037】
この一実施形態のレバー式コネクタ1は、
図1〜
図3に示すように、第1のコネクタハウジング10と、第2のコネクタハウジング20と、略板状の嵌合操作レバー30と、レバー仮係止手段40と、仮係止解除手段50と、レバーロック機構60と、を備えている。
【0038】
第1のコネクタハウジング10は、
図4〜
図7に示すように、複数の端子収容孔11を有した略角柱状の端子収容部12と、この端子収容部12の外周を囲う筒状に形成された外筒部13と、を備えている。外筒部13は、端子収容部12の周囲に、第2のコネクタハウジング20の角筒状の嵌合部(フード部)21が嵌合する隙間14を画成している。
【0039】
また、外筒部13の上部壁13aは、第1のコネクタハウジング10の上部側の外側壁である。この第1のコネクタハウジング10の一外側壁である上部壁13aは、外筒部13の内側に位置する端子収容部12の上部壁12aとの間に、レバー収容空間15を画成している。レバー収容空間15は、嵌合操作レバー30を収容する空間で、コネクタハウジング相互の嵌合方向(
図13では、矢印X2方向)に貫通して形成されている。
【0040】
即ち、本実施形態の第1のコネクタハウジング10は、その一外側壁である上部壁13aの内側に、コネクタハウジング相互の嵌合方向に貫通したレバー収容空間15が画成されている。
【0041】
また、本実施形態の上部壁13aは、嵌合操作レバー30を回動自在に支持するレバー支持孔16が形成されている。また、上部壁13aは、後述する嵌合操作レバー30の操作部33が上部壁13aの後方に露出するように、端子収容部12の上部壁12aよりも嵌合方向に短く形成されている。
【0042】
第1のコネクタハウジング10のレバー収容空間15には、前述のレバー仮係止手段40が装備されている。本実施形態のレバー仮係止手段40は、
図3に示すように、ハウジングの幅方向(
図3では、矢印Y1方向)に延在する当接面で、後述する嵌合操作レバー30の弾性係止片36と係合することで、嵌合操作レバー30を回動初期位置P1に仮係止する。
【0043】
第2のコネクタハウジング20は、
図1に示すように、第1のコネクタハウジング10の外筒部13の内側に嵌合する角筒状の嵌合部21と、この嵌合部21の後端に位置する端子支持部22と、嵌合部21の上壁面21aに突設された嵌合用突起23と、ガイド壁24と、前述の仮係止解除手段50と、を備えている。
【0044】
端子支持部22は、
図1に示すように、端子収容部12に収容されている端子金具と嵌合する複数の端子金具26を支持している。
【0045】
嵌合部21の上壁面21aは、第1のコネクタハウジング10の上部壁13aに対向してレバー収容空間15を画成する第1のコネクタハウジング10の他の外側壁12aの内面と対向する外側面である。この上壁面21aに突設された嵌合用突起23は、後述する嵌合操作レバー30のカム溝35を摺動可能に係合する円柱状のピンである。
【0046】
ガイド壁24は、上壁面21a上に突設されている。このガイド壁24は、コネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って延在している。このガイド壁24は、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20とを嵌合させる際に、
図13に示すように、第1のコネクタハウジング10に形成されたガイド溝17に嵌合して、第2のコネクタハウジング20が嵌合後方に対して傾くことを防止する。
【0047】
第2のコネクタハウジング20に装備される仮係止解除手段50は、
図13に示すように、レバー収容空間15内のレバー仮係止手段40と対向するように、第2のコネクタハウジング20の上壁面21aに立設されたリブである。この仮係止解除手段50は、
図13に示すように、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20とを嵌合開始位置に突き合わせたときに、レバー仮係止手段40に向かって進んで、弾性係止片36をレバー仮係止手段40から外れるように撓み変形させて、レバー仮係止手段40による仮係止状態を解除する。
【0048】
嵌合操作レバー30は、全体として、略板状を呈している。本実施形態の嵌合操作レバー30は、
図8及び
図9に示すように、上部壁13aのレバー支持孔16に回転自在に嵌合する枢軸31を有したレバー本体32と、該レバー本体32の一端に延設された操作部33と、を備えている。
【0049】
レバー本体32は、レバー収容空間15に収容される厚板状で、中央部に枢軸31が突設されている。このレバー本体32は、レバー支持孔16に嵌合した枢軸31を支点として回動可能にレバー収容空間15内に支持される。
【0050】
この嵌合操作レバー30は、
図3に示すように、枢軸31を回動中心として、回動初期位置P1から回動終了位置P2までの角度θの範囲を回動可能に、レバー収容空間15に装備されている。嵌合操作レバー30の操作部33は、当該嵌合操作レバー30を回動操作する際に把持する部分で、レバー収容空間15から外部に延出した状態に装備されている。
図13に示した矢印R2は、嵌合操作レバー30を回動初期位置P1から回動終了位置P2へ回動させるときの回動方向である。
【0051】
この嵌合操作レバー30のレバー本体32は、
図8及び
図9に示すように、第2のコネクタハウジング20の嵌合用突起23が摺動可能なカム溝35と、当該嵌合操作レバー30を回動初期位置P1に仮係止させるための弾性係止片36と、を備えている。
【0052】
カム溝35は、当該嵌合操作レバー30が回動初期位置P1に位置している状態で、
図12及び
図13に示すように、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20とを嵌合開始位置に突き合わせると、第2のコネクタハウジング20上の嵌合用突起23が溝の始端35a(
図9参照)に進入するように、形成されている。また、カム溝35は、当該嵌合操作レバー30を回動初期位置P1から回動終了位置P2側に回転操作すると、溝の始端35aに係合している嵌合用突起23をコネクタハウジング相互の嵌合方向に引き込む。そして、本実施形態のカム溝35は、嵌合操作レバー30が回動終了位置P2に到達したときに、第1のコネクタハウジング10と第2のコネクタハウジング20とを嵌合完了状態にする。
【0053】
弾性係止片36は、
図9に示すように、レバー本体32の外周に沿って延設された弾性片36aの先端に、係合用の突起部36bを備えた構造である。突起部36bは、弾性片36aの撓み変形によって、レバー本体32の中心側に変位可能である。この弾性係止片36は、
図3に示すように、先端の突起部36bを第1のコネクタハウジング10のレバー収容空間15に装備されているレバー仮係止手段40に係合させることで、当該嵌合操作レバー30を回動初期位置P1に位置決めする。
【0054】
レバーロック機構60は、嵌合操作レバー30が回動終了位置P2に到達したときに記嵌合操作レバー30を回動終了位置にロックする機構である。
【0055】
本実施形態のレバーロック機構60は、嵌合操作レバー30に形成されたロック用係止凹部61と、第1のコネクタハウジング10のレバー収容空間15内に装備されたロック用突起62とで構成されている。
【0056】
ロック用係止凹部61は、
図9に示すように、嵌合操作レバー30の一方の表面30aに凹んで形成されている。本実施形態の場合、ロック用係止凹部61が装備される一方の表面30aは、操作部33の裏面(凹部38が形成される面とは逆側の面)である。また、ロック用係止凹部61は、
図9の矢印Y4方向に延在する直線状の溝である。また、ロック用係止凹部61に隣接する位置には、
図9〜
図11に示すように、テーパ面63が装備されている。このテーパ面63は、嵌合操作レバー30を回動終了位置P2に向かって回動させたときの回動方向の先方側に位置している。このテーパ面63は、後述するロック用突起62と当接した際に、ロック用突起62の上に乗り上がり、ロック用突起62をロック用係止凹部61に誘導するガイド面である。
【0057】
ロック用突起62は、嵌合操作レバー30が回動終了位置P2に到達したときにロック用係止凹部61に係合する突起である。ロック用突起62は、第1のコネクタハウジング10の端子収容部12の上部壁12aの表面に突設されている。端子収容部12の上部壁12aの表面は、ロック用係止凹部61が設けられている嵌合操作レバー30の一方の表面30aと対向するレバー収容空間15の壁面である。
【0058】
本実施形態のロック用突起62は、ロック用係止凹部61の形状に相応して、直線状に延在する突条に形成されている。
【0059】
また、本実施形態のレバー式コネクタ1の場合、嵌合操作レバー30を回動終了位置P2にロックするレバーロック機構60は、嵌合操作レバー30の一方の表面30aに凹んで形成されたロック用係止凹部61と、該ロック用係止凹部61を係止するように第1のコネクタハウジング10に装備されたロック用突起62とで構成されている。
【0060】
即ち、嵌合操作レバー30は、レバーロック機構60としては、一方の表面30aにロック用係止凹部61を設けるだけで良く、板厚方向に撓み変位して板厚方向の寸法の増大を招く弾性ロック片が不要なだけでなく、構造の複雑化を招く誤操作防止用枠部も必要とならない。
【0061】
従って、板状の嵌合操作レバー30の構造を単純化すると同時に、当該嵌合操作レバー30の板厚方向の寸法の増大を抑止して、製造コストの低減と小型化とを図ることができる。
【0062】
また、本実施形態のレバー式コネクタ1の場合、嵌合操作レバー30を回動終了位置P2にロックするレバーロック機構60として、嵌合操作レバー30に装備されるロック用係止凹部61は直線状に延在する溝であり、ロック用係止凹部61に対応して第1のコネクタハウジング10に装備されたロック用突起62は直線状に延在する突条である。即ち、レバーロック機構60を構成するロック用係止凹部61とロック用突起62の双方が、直線状の単純な構造となるため、樹脂の射出成形によるこれらの機構の形成が容易になり、レバー式コネクタ1の生産性を向上させることができる。
【0063】
また、本実施形態のレバー式コネクタ1の場合、嵌合操作レバー30を回動終了位置P2に移動させたときに、嵌合操作レバー30上のテーパ面63が第1のコネクタハウジング10側のロック用突起62を嵌合操作レバー30上のロック用係止凹部61に導くため、ロック用突起62とロック用係止凹部61との係合を容易且つ確実にすることができる。
【0064】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0065】
例えば、ロック用係止凹部やロック用突起の具体的な形状は、直線状に限るものではなく、丸形や角形にすることもできる。
【0066】
ここで、上述した本発明に係るレバー式コネクタの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]〜[3]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 一外側壁(13a)の内側にコネクタハウジング相互の嵌合方向に貫通したレバー収容空間(15)が画成された第1のコネクタハウジング(10)と、
前記第1のコネクタハウジング(10)の内側に嵌合する嵌合部(21)と、前記一外側壁(13a)に対向して前記レバー収容空間(15)を画成する前記第1のコネクタハウジング(10)の他の外側壁(12a)の内面と対向する前記嵌合部(21)の外側面(21a)に突設された嵌合用突起(23)と、を備えた第2のコネクタハウジング(20)と、
前記レバー収容空間(15)に回動可能に装備され、前記第1のコネクタハウジング(10)と前記第2のコネクタハウジング(20)とを嵌合開始位置に突き合わせた状態で回動初期位置(P1)から回動終了位置(P2)に回動させると、前記嵌合用突起(23)が摺動可能なカム溝(35)によって前記嵌合用突起(23)を引き寄せて、前記第1のコネクタハウジング(10)と前記第2のコネクタハウジング(20)とを嵌合完了状態にする略板状の嵌合操作レバー(30)と、
前記嵌合操作レバー(30)が前記回動終了位置(P2)に到達したときに前記嵌合操作レバー(30)を前記回動終了位置にロックするレバーロック機構(60)と、
を備えるレバー式コネクタ(1)であって、
前記レバーロック機構(60)は、前記嵌合操作レバー(30)の一方の表面(30a)に凹んで形成されたロック用係止凹部(61)と、このロック用係止凹部(61)が設けられている前記嵌合操作レバー(30)の表面(30a)と対向する前記レバー収容空間(15)の壁面に突設されて前記嵌合操作レバー(30)が前記回動終了位置(P2)に到達したときに前記ロック用係止凹部(61)に係合するロック用突起(62)と、を備えることを特徴とするレバー式コネクタ(1)。
【0067】
[2] 前記ロック用係止凹部(61)は直線状に延在する溝であり、
前記ロック用突起(62)は、直線状に延在する突条であることを特徴とする上記[1]に記載のレバー式コネクタ(1)。
【0068】
[3] 前記嵌合操作レバー(30)の前記ロック用係止凹部(61)に隣接し、前記回動終了位置(P2)への回動時に回動方向の先方に位置する領域には、前記ロック用突起(62)を前記ロック用係止凹部(61)に誘導するテーパ面(63)を備えたことを特徴とする上記[1]又は[2]に記載のレバー式コネクタ(1)。
【符号の説明】
【0069】
1 レバー式コネクタ
10 第1のコネクタハウジング
12a 上部壁(他の外側壁)
13a 上部壁(一外側壁)
15 レバー収容空間
20 第2のコネクタハウジング
21 嵌合部(フード部)
21a 上壁面(外側面)
23 嵌合用突起
30 嵌合操作レバー
30a 一方の表面
35 カム溝
35a 溝の始端
40 レバー仮係止手段
50 仮係止解除手段
60 レバーロック機構
61 ロック用係止凹部
62 ロック用突起
63 テーパ面
P1 回動初期位置
P2 回動終了位置