【文献】
ビール酒造組合国際技術委員会,「“BCOJビール分析法”の1997年度,新設,改訂分析方法」,醸協,1997年,Vol.92, No.5,pp.364-366
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
消費者のニーズが多様化する近年、ビールと同様の香味を有しつつ、アルコール濃度の低い、低アルコールビールテイスト飲料や、実質的にアルコールを含まない、ノンアルコールビール飲料に対する消費者のニーズが高まっている。
【0003】
低アルコールビールテイスト飲料の製造方法としては、例えば、通常の製法により製造されたビールに対して、加水希釈したり、アルコール分を除去することによってアルコール濃度を低下させたりする方法がある。また、発酵工程において、発酵時間や発酵温度を制御することにより、発酵を途中で停止させる方法や、濃度の薄い発酵前液を発酵させる方法もある。しかしながら、これらの方法で製造された低アルコールビールテイスト飲料は、通常のビールと比べて味が淡泊であり、旨味やコク感に乏しく、香味上の改善があった。
そこで、特許文献1又は2には、低アルコールビールテイスト飲料のコク感や香味を改善する方法としてα−グルコシダーゼを添加する方法が提案されている。
【0004】
ここで、ビールと同様のコク味やボディ感が得られる程度にまで、充分な量のイソマルトオリゴ糖(α−グルコシダーゼにより合成される)を製品中に含有させた場合、突出した甘味も付与されることとなる。従って、α−グルコシダーゼを添加して製造された低アルコールビールテイスト飲料は、ビール類としての香味、風味の調和を欠いたり、ドリンカビリティが低くなったりするという問題点があった。例えば、特許文献3には、ビール類としての香味、風味の調和度合の改善を目的に、α−グルコシダーゼを添加して製造される低アルコールビールテイスト飲料の香味改善方法として、有機酸を添加する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、従来、充分なコク味を付与しつつ、ドリンカビリティが高められた低アルコールビールテイスト飲料は知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、充分なコク味を有しつつ、優れた香味を有し、かつドリンカビリティが高められた低アルコールビールテイスト飲料を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、以下の手段により解決することができる。
(1)仕込工程において、α−グルコシダーゼを発酵前液量に対して0.001w/v%以上0.4w/v%以下で添加する工程を含み、最終製品のエキス分が1.0w/v%以上10.0w/v%以下であり、かつ真性発酵度が44.2%以上70%以下である低アルコールビールテイスト飲料の製造方法において、製造工程のいずれかの時点で、
ホップ及び/又はホップエキスを用いて、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0以下になるように調整することを特徴とするアルコール濃度が4v/v%以下である低アルコールビールテイスト飲料の製造方法。
(2)前記最終製品のエキス分が
3.8〜6.3w/v%である(1)に記載の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法。
(3)仕込工程において、α−グルコシダーゼを発酵前液量に対して0.001w/v%以上0.4w/v%以下で添加する工程を含み、最終製品のエキス分が1.0w/v%以上10.0w/v%以下であり、真性発酵度が44.2%以上70%以下であり、アルコール濃度が4v/v%以下である低アルコールビールテイスト飲料のドリンカビリティ向上方法であって、製造工程のいずれかの時点で、
ホップ及び/又はホップエキスを用いて、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0以下になるように
調整することを特徴とする低アルコールビールテイスト飲料のドリンカビリティ向上方法。
(4)前記最終製品のエキス分が
3.8〜6.3w/v%である(3)に記載の低アルコールビールテイスト飲料のドリンカビリティ向上方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充分なコク味を有しつつ、優れた香味を有し、かつドリンカビリティが高められた低アルコールビールテイスト飲料を製造する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について説明する。なお、本発明は本実施形態に限られるものではない。
【0012】
本実施形態に係る低アルコールビールテイスト飲料の製造方法(以下、「本方法」という。)は、通常のビール工程における仕込工程において、α−グルコシダーゼを添加する工程を含む、最終製品のエキス分が1.0w/v%以上10.0以下であって、真性発酵度が30%以上70%以下である低アルコールビールテイスト飲料の製造方法であって、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0以下になるように調整して、当該低アルコールビールテイスト飲料を製造する方法である。
【0013】
本実施形態の低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0w/v%以下になるように調整することを特徴とする。最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0以下であることにより、ドリンカビリティが高められた低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。一方、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0未満である場合には、甘味が過大となり、ドリンカビリティが低くなる。また、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、11.0より高い場合には、苦味が過大となり、ドリンカビリティが低くなる。
【0014】
前記最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)は、1.4以上4.9以下であることが好ましく、1.5以上4.5以下であることがより好ましく、1.8以上4.2以下であることが特に好ましい。これにより、香味とドリンカビリティが顕著に高められた低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。
【0015】
(エキス分)
エキス分は、飲料のアルコール度数が0.005%以上の場合、日本の酒税法におけるエキス分、すなわち、温度15度の時において原容量100立方センチメートル中に含有する不揮発性成分のグラム数をいい、アルコール度数が0.005%未満の飲料においては、脱ガスしたサンプルをビール酒造組合国際技術委員会(BCOJ)が定める「ビール分析法(2004年11月1日改訂版) 7.2 エキス」に従い測定したエキス値(w/v%)をいう。また、最終製品のエキス分(「真性エキス」とも呼ばれる)は、最終製品のアルコール度数が0.5%以上10.0%以下であり、真性エキスが10.0w/v%以下である場合には、振動式密度計により測定することも可能である(「2011年度新設分析法 8.4.3 アルコライザー法」)。
【0016】
エキス分を調整する方法は特に限定されないが、例えば、原料として用いる麦芽など、エキス分をもたらす原料の量を調整する方法、α−グルコシダーゼの添加により調整する方法、発酵・貯酒の条件により調整する方法などが挙げられる。
【0017】
最終製品のエキス分は、1.0w/v%以上10.0w/v%以下である。最終製品のエキス分が、1.0w/v%未満である場合には、充分なコク味を有する低アルコールビールテイスト飲料を得られない。一方、最終製品のエキス分が、10.0w/v%より高い場合には、ビールとしての香味の調和を欠いてしまう。
【0018】
最終製品のエキス分は、3.0w/v%以上9.0w/v%以下であることが好ましく、4.0w/v%以上9.0w/v%以下であることがより好ましく、6.0w/v%以上8.5w/v%以下であることが特に好ましい。これにより、香味とドリンカビリティが顕著に高められた低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。
【0019】
(苦味価)
苦味価(Bitterness Unit;BU)は、ビールやビールテイスト飲料における苦味の度合いを表す指標値である。本実施形態に係る飲料における苦味価は、ASBC(AmericanSociety of Brewing Chemists)が採用するビールの苦味価の公定法(American Society of Brewing Chemists. Methods of Analysis (7th reviseded.), Beer−23A (1976))に従って、飲料から液液溶媒抽出されるイソ−α酸の量に基づいて算出される。すなわち、イソ−α酸の量を調整することで、苦味価を調整することができる。
【0020】
イソ−α酸としては、α酸溶液を煮沸して得られるシス−イソフムロンやトランス−イソフムロン等のイソ−α酸であってもよく、α酸を化学的に変換して得られるρイソ−α酸、テトラヒドロイソ−α酸、及びヘキサヒドロイソ−α酸等であってもよい。
【0021】
イソ−α酸の元となるα酸は、ホップ及び/又はホップエキスから抽出することができる。したがって、本実施形態に係る飲料は、ホップ及び/又はホップエキスを使用して製造されてもよい。苦味価がホップ及び/又はホップエキス由来であることにより、香味とドリンカビリティが顕著に高められた低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。
【0022】
(ホップ、ホップエキス)
ホップとしては、任意の品種を選択することができ、生鮮のホップ、又は乾燥したホップ、例えば、プレスホップ、ホップパウダー、ホップペレットの形態として用いることができる。ホップを添加した後に煮沸を行うことにより、ホップ由来のα酸はイソ−α酸に変換される。
ホップエキスとしては、例えば、ホップの毬花に含まれる成分を溶媒抽出することによって調製されたものを使用することができる。溶媒としては、飲料製造上許容される溶媒、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、グリセリン、地エチルエーテル等を用いることができる。ホップエキスは、抽出されたα酸が、あらかじめイソ−α酸に変換されているものが好ましい。イソ−α酸に変換されていなホップエキスを用いる場合には、ホップエキスを添加した後に煮沸を行う。
【0023】
イソ−α酸の量を調整する方法は特に限定されないが、例えば、仕込工程において、ホップ及び/又はホップエキスの使用量、煮沸時間により調整する方法、仕込工程以降充填工程前において、イソ−α酸を含有する素材の使用量により調整する方法等が挙げられる。
【0024】
苦味価は、最終製品のエキス分(w/v%)に対する苦味価(BU)が、1.0以上11.0以下の範囲になる値であれば、特に限定されないが、例えば、苦味価は5以上50以下であることが好ましい。苦味価が5未満である場合は、低アルコールビールテイスト飲料として好ましくない香味を有する場合がある。一方、苦味価が50より高い場合は、苦味が過大となり、ドリンカビリティが低くなる場合がある。
【0025】
また、苦味価は10以上35以下であることが特に好ましい。これにより、香味とドリンカビリティが顕著に高められた低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。
【0026】
(低アルコールビールテイスト飲料)
本発明においてビールテイスト飲料とは、ビール様(風)飲料とも称され、ビールのような味わいを奏する、つまり、ビールを飲用したような感覚を飲用者に与える飲料を意味している。すなわち、低アルコールビールテイスト飲料とは、アルコール濃度が1.0v/v%以上4.0v/v%以下の範囲である、ビールテイスト飲料を意味している。低アルコールビールテイスト飲料としては、例えば「ビール」、麦芽及び/又は麦を原料とする「発泡酒」、麦芽及び/又は麦を原料としない「その他の醸造酒」等が挙げられる。
【0027】
低アルコールビールテイスト飲料の製造方法は、仕込工程においてα‐グルコシダーゼを添加すること、製造工程のいずれかの時点で、苦味物質を添加すること以外は、ビールや発泡酒を製造するための一般的な方法を採用することができる。具体的には、仕込、発酵、貯酒、濾過、充填の各工程を経て、製造される。
【0028】
(仕込工程)
まず、仕込工程として、発酵原料と、水とを混合し、糖化を行うことにより、発酵前液を調製する。
【0029】
発酵原料としては、大麦麦芽及び/又は小麦麦芽を好ましく使用することができる。大麦麦芽及び小麦麦芽は、それぞれ大麦及び小麦を発芽させることにより得られる。麦芽以外の発酵原料として、例えば、大麦、小麦、コーンスターチ、コーングリッツ、米、こうりゃん等の澱粉原料や、液糖や砂糖等の糖質原料がある。ここで、液糖とは、澱粉質を酸又は糖化酵素により分解、液化して製造されたものであり、主にグルコース、マルトース、マルトトリオース等が多く含まれる。
【0030】
糖化の温度や時間は、適宜決定することができる。例えば、55〜72℃にて30〜90分間保持することにより行うことができる。
【0031】
得られた発酵前液は煮沸される。煮沸方法及びその条件は適宜、決定することができる。煮沸処理前又は煮沸処理中に、ホップ及び又はホップエキスや、香料等を適宜添加することにより、所望の香味を有する低アルコールビールテイスト飲料を製造することができる。
【0032】
本発明においては、煮沸処理前又は煮沸処理中に、ホップ及び/又はホップエキスを添加することが好ましい。ホップ及び/又はホップエキスの存在下で煮沸処理することにより、ホップの風味・香気を発酵前液に移行させることができる。ホップの添加量、添加態様及び煮沸条件は、適宜決定することができる。
【0033】
煮沸した発酵前液を、ワールプールと呼ばれる沈殿槽に移し、煮沸により生じたホップ粕や凝固したタンパク質等を除去しておくことが好ましい。その後、プレートクーラーにより適切な発酵温度まで冷却する。
【0034】
(α−グルコシダーゼ)
α−グルコシダーゼの添加は、仕込工程終了時点までに添加したα−グルコシダーゼによる酵素反応が充分に行われる時点であれば特に限定されるものではない。例えば、α−グルコシダーゼは発酵原料とともに添加されてもよく、糖化の途中に添加してもよいが、発酵原料と水との混合時又は糖化の早い段階が好ましく、発酵原料と水との混合時がより好ましい。
【0035】
このように、仕込工程にα−グルコシダーゼを添加することにより、発酵前液中の発酵性糖質(酵母が資化しやすい糖質)は、非発酵性糖質(酵母が資化しにくい糖質)に転換される。具体的には、グルコース、フラクトース、スクロース、マルトース、マルトトリオース等は、イソマルトオリゴ糖(例えば、イソマルトースやパノース等)に変換される。すなわち、α‐グルコシダーゼを添加しない場合であっても、非発酵性糖質を含む液糖等を添加することにより、発酵前液中の非発酵性糖質の量を調整することも可能である。
【0036】
非発酵性糖質は発酵には利用されないため、アルコール生成量を抑制することができる。その上、低アルコールビールテイスト飲料の短所である淡泊さ、旨味不足、コク不足等を解消し、通常のビールと同様の旨味、コク味を付与することができる。従って、最終製品の真性発酵度(%)は、30%以上70%以下であることが必要である。真性発酵度(%)が30%未満である場合には、甘味が過大となってしまう。一方、真性発酵度(%)が70%より高い場合には、低アルコールビールテイスト飲料を製造することが困難になる。なお、真性最終発酵度とは、発酵前液に含まれる糖質のうち発酵性糖質の占める割合を示している。
【0037】
α−グルコシダーゼとしては、特に限定されることなく、各種生物由来のα−グルコシダーゼを任意に使用することができる。また、その形状も液体、粉末、担体に固定化されたものなど、いずれであってもよい。例えば、市販されているα−グルコシダーゼを用いても良く、また二以上のα−グルコシダーゼを組み合わせて用いることもできる。市販されているα−グルコシダーゼとしては、例えば、α−グルコシダーゼ「アマノ」(天野エンザイム社製)や、トランスグルコシダーゼL「アマノ」(天野エンザイム社製)等が挙げられる。
【0038】
α−グルコシダーゼの添加量は、発酵前の発酵前液中の発酵性糖質の量を考慮して決定すればよいが、例えば、発酵前液量に対して0.001w/v%以上0.4w/v%以下としてもよく、0.005w/v%以上0.1w/v%以下であることが好ましい。
【0039】
(発酵工程)
発酵工程として、冷却した発酵前液に酵母を添加して、発酵タンクに移し、発酵を行う。発酵に用いる酵母は特に限定されるものではないが、通常、酒類の製造に用いられる酵母の中から適宜選択することができる。上面発酵酵母であってもよく、下面発酵酵母であってもよいが、下面発酵酵母であることが好ましい。下面発酵酵母を用いる場合には、例えば、発酵日数は、例えば、5日〜10日であることとしてもよい。
【0040】
(貯酒工程)
貯酒工程として、得られた発酵液を、貯酒タンクで熟成させ、0℃程度の低温条件下で貯蔵し安定化させる。貯酒日数は、例えば、20日〜90日であることとしてもよい。
【0041】
(濾過工程・充填工程)
濾過工程として、貯酒工程後の発酵液を濾過することにより酵母及びタンパク質等を除去して、目的の低アルコールビールテイスト飲料を得ることができる。また、発酵工程以降の工程において、例えば、スピリッツと混和することにより、酒税法におけるリキュール類を製造することもできる。得られた低アルコールビールテイスト飲料は、缶、瓶、樽等の容器に充填されて、最終製品として、出荷される。
【0042】
エキス分及び苦味価の調整は、低ビールテイスト飲料製造におけるいずれのタイミングで行ってもよく、最終製品において、目的の範囲内となればよい。
【0043】
(その他の添加物)
本発明では、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じて、様々な成分を添加してもよい。例えば、甘味料、香料、酵母エキス、カラメル色素等の着色料、コーンや大豆などの植物タンパク質及びペプチド含有物等のタンパク質系物質、食物繊維やアミノ酸などの調味料、アスコルビン酸等の酸化防止剤、各種酸味料を、本発明の効果を妨げない範囲で必要に応じて添加することができる。
【実施例】
【0044】
次に実施例及び参考例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例等に限定されるものではない。
【実施例1】
【0045】
まず、大麦、大麦麦芽に50℃の湯を加え、混合液を得た。得られた混合液に、α‐グルコシダーゼ(「アマノ」天野エンザイム社製)を、発行前液全量の0.1w/v%添加し、65℃で維持することにより、糖化を行った。糖化後の混合液から大麦麦芽の殻皮を除去し、ホップを添加し、煮沸を行った。煮沸終了後、濾過を行い、発酵前液を得た。
次に、得られた発酵前液に、酵母として下面ビール酵母を添加して、アルコール発酵を行った。アルコール発酵後、さらに貯酒、濾過を行うことにより、低アルコールビールテイスト飲料を得た。
得られた低アルコールビールテイスト飲料に、ホップエキスを所定の苦味価になるように添加した後、缶に充填し、「1−1」〜「1−4」の各サンプルを調製した。
各サンプルについて、熟練したパネラー6名により、官能検査を行った。官能検査は、下記評価基準に則って、1〜5点の5段階評価で独立点数付けし、その平均値を算出した。
図1に、サンプルの成分組成と、官能検査の結果を示す。なお、官能検査の結果については、平均値が2以下のものを「×」、3のものを「○」、4以上のものを「◎」で表現した。そして、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「○」以上のものを発明の効果を奏するものと判断した。
【0046】
(ドリンカビリティ)
ドリンカビリティとは、例えば、グラス一杯の発泡性アルコール飲料を飲んだ後に、もう一杯飲みたくなるかどうかといった飲みやすさとして評価された。すなわち、ドリンカビリティが高い飲料は、一杯飲んだ後に、さらにもう一杯飲みたくなるような飲料であるということができる。
5点:ドリンカビリティが非常に高い。
4点:ドリンカビリティがかなり高い。
3点:ドリンカビリティが高い。
2点:ドリンカビリティがやや低い。
1点:ドリンカビリティが低い。
【0047】
(総合評価)
5点:非常に好ましい香味である。
4点:かなり好ましい香味である。
3点:好ましい香味である。
2点:許容できる香味である。
1点:不適な香味である。
【0048】
この結果、「1−1」〜「1−3」に係るサンプルは、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「○」であり、本発明の効果を奏することを確認できた。一方、「1−4」に係るサンプルは、最終製品のエキス分に対する苦味価が、11.0より高くなっていたため、苦味が過大となり、ドリンカビリティが低くなっていた。
【実施例2】
【0049】
実施例1と同様にして、「2−1」〜「2−3」の各サンプルを調製した。
各サンプルについて、実施例1と同様に官能検査を実施した。
図2に、サンプルの成分組成と、官能検査の結果を示す。
【0050】
この結果、「2−1」〜「2−3」に係るサンプルは、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「○」以上であり、本発明の効果を奏することを確認できた。中でも、「2−2」、「2−3」に係るサンプルは、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「◎」であり、好ましい態様であることが確認された。
【実施例3】
【0051】
実施例1と同様にして、「3−1」〜「3−3」の各サンプルを調製した。
各サンプルについて、実施例1と同様に官能検査を実施した。
図3に、サンプルの成分組成と、官能検査の結果を示す。
【0052】
この結果、「3−1」〜「3−3」に係るサンプルは、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「○」以上であり、本発明の効果を奏することを確認できた。中でも、「3−1」、「3−2」に係るサンプルは、ドリンカビリティ、総合評価の評価がともに「◎」であり、好ましい態様であることが確認された。
【0053】
以上に説明したように、最終製品のエキス分に対する苦味価を所定の数値範囲に調節することによって、充分なコク味を付与しつつ、優れた香味を有し、かつドリンカビリティに優れた低アルコールビールテイスト飲料を製造できることが確認された。