特許第6571930号(P6571930)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571930
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】カプラー含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/36 20060101AFI20190826BHJP
   A61K 8/41 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20190826BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20190826BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   A61K8/36
   A61K8/41
   A61K8/34
   A61K8/19
   A61Q5/10
【請求項の数】3
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2014-248090(P2014-248090)
(22)【出願日】2014年12月8日
(65)【公開番号】特開2016-108283(P2016-108283A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113274
【氏名又は名称】ホーユー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】特許業務法人雄渾
(74)【代理人】
【識別番号】100197022
【弁理士】
【氏名又は名称】谷水 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100102635
【弁理士】
【氏名又は名称】浅見 保男
(72)【発明者】
【氏名】早川 理広
(72)【発明者】
【氏名】本間 匠
(72)【発明者】
【氏名】中島 陽子
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 美里
(72)【発明者】
【氏名】山田 春桂
【審査官】 駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−076806(JP,A)
【文献】 特表2009−505975(JP,A)
【文献】 特表2013−512936(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00−8/99
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
染料中間体及び酸化剤を含む酸化染毛剤に用いるカプラー含有組成物であって、以下の成分(A)及び成分(B)を含み、前記成分(A)の配合量に対する前記成分(B)の配合量比[(B)/(A)]は、0.02〜1.06であることを特徴とするカプラー含有組成物。
(A)ベンゼン環にアミノ基とヒドロキシ基が置換されたアミノフェノール類、ベンゼン環に2以上のヒドロキシ基が置換されたフェノール類、ナフタレンにヒドロキシ基が置換されたヒドロキシナフタレン類、及びこれらの塩から選択された1種以上の芳香族化合物Xからなるカプラー


(B)下記一般式(I)で表され、−COOMが芳香族化合物Xの少なくとも1つのヒドロキシ基及び/又はアミノ基のオルト位及び/又はパラ位に置換された化合物又はその塩

X−COOM (I)

[式中、Xは、前記芳香族化合物Xを表し、Mは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【請求項2】
アンモニア、アルカノールアミン、炭酸塩から選択される1又は2種以上のアルカリ剤を含むことを特徴とする請求項1に記載のカプラー含有組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカプラー含有組成物、及び、酸化剤含有組成物を備え、更に染料中間体を含有した酸化染毛剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラー含有組成物及び酸化染毛剤に関するものである。更に詳しくは、本発明は、酸化染毛剤の長期保管による染毛色調の変化を抑制することができるカプラー含有組成物、及び、保存安定性に優れた酸化染毛剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白髪等の毛髪を染める染毛剤として、酸化染毛剤が広く用いられている。酸化染毛剤は、酸化染料を毛髪内に浸透させて、酸化剤を作用することにより毛皮質内に高分子体の色素を沈着させる染毛剤である。
酸化染料は、自身の酸化により発色する染料中間体と、染料中間体との組合せにより種々の色調に調整するカプラーからなる。
【0003】
従来より、酸化染毛剤を長期保管すると染毛色調が変化するという課題があり、その原因としてカプラーの酸化分解が関与していることが知られている。そのため、カプラーを安定化するための種々の方法が検討されている。
【0004】
例えば、特許文献1には、染毛色調の変化を抑制するために、特定のカプラーと酸化防止剤としてシステアミンを含むカプラー含有組成物が記載されている。
特許文献2には、カプラーの安定性を保持する香料成分を配合したカプラー含有組成物が記載されている。
特許文献3には、カプラー等を安定に保存するための安定化剤として、メルカプト炭化水素化合物、チオールアルコール化合物を配合したカプラー含有組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−29754号公報
【特許文献2】特開2007−238573号公報
【特許文献3】特開2008−74760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、カプラー含有組成物を用いる酸化染毛剤において、長期保管による染毛色調の変化が抑制された酸化染毛剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者は、上記課題に対して鋭意検討した結果、化合物Xからなるカプラーを配合したカプラー含有組成物に、化合物Xに、カルボン酸基若しくはその塩、又は、低級アルキル基でエステル化したカルボン酸基が結合した化合物を添加することにより、長期保管による酸化染毛剤の染毛色調の変化が抑制されることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、酸化染毛剤に用いるカプラー含有組成物であって、以下の成分(A)及び成分(B)を含むことを特徴とするカプラー含有組成物である。
(A)化合物Xからなるカプラー
(B)下記一般式(I)で表される化合物又はその塩

X−COOM (I)

[式中、Xは、前記化合物Xを表し、Mは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0009】
本発明によれば、カプラーとして化合物X(成分(A))及び上記成分(B)を含むカプラー含有組成物を酸化染毛剤に用いることにより、保存安定性に優れた酸化染毛剤を提供することができる。
【0010】
本発明は更に、前記成分(A)の配合量に対する前記成分(B)の配合量の比[(B)/(A)]は、0.001〜5.0であるという特徴を有することが好ましい。
この特徴により、さらに保存安定性に優れた酸化染毛剤を提供することができる。
【0011】
本発明は更に、アンモニア、アルカノールアミン、炭酸塩から選択される1又は2種以上のアルカリ剤を含むという特徴を有することが好ましい。
この特徴により、長期保存による酸化染毛剤の染毛色調の変化を抑制するという本発明の効果が顕著に発揮される。
【0012】
また本発明は、上記のカプラー含有組成物と酸化剤組成物を備えたことを特徴とする酸化染毛剤である。これにより、長期保管による染毛色調の変化が抑制され、保存安定性に優れた酸化染毛剤を提供することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、長期間保存しても安定性に優れたカプラー含有組成物を提供することができる。また、本発明により、長期保管による染毛色調の変化が抑制され、保存安定性に優れた酸化染毛剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための最良の形態を含めて説明する。
[酸化染毛剤]
本発明の酸化染毛剤とは、酸化染料を含む染毛剤であり、酸化染料を毛髪内に浸透させて、酸化剤を作用することにより毛皮質内に高分子体の色素を沈着させる染毛剤である。酸化染料は、自身の酸化により発色する染料中間体と、これと反応するカプラーにより構成され、染料中間体及びカプラーの組み合わせや重合度の違いにより種々の色調に調整される。
【0015】
酸化染毛剤は、酸化染料を毛髪内で酸化するため、酸化染料と酸化剤と分離して多剤式として流通する。一般的には、染料中間体、カプラー及びアルカリ剤を含む第1剤、酸化剤を含む第2剤からなる2剤式であるが、染料中間体及びカプラーを酸化剤と分離して流通すればよく、剤の数は限定されない。例えば、上記2剤に加えて、トリートメント、コンディショニング等を含む第3剤を設けてもよく、または、染料中間体、カプラー等を適宜分離して3剤式としてもよい。これらの多剤式の酸化染毛剤は、使用時に混合して用いられる。
【0016】
酸化染毛剤を構成する各剤の剤型は、公知の剤型の中から、その用途や使用目的等に応じて任意に選択することができる。例えば、液体状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、泡状等とすることができ、泡状の場合、エアゾール形態、ノンエアゾール形態のいずれでもよい。また、一部の剤を粉状、粒状とし、使用時に液体状や乳液状の他の剤に溶解させてもよい。
【0017】
[カプラー含有組成物]
本発明のカプラー含有組成物は、上記酸化染毛剤を構成する一つの剤(第1剤)として使用されるものであり、以下の成分(A)及び成分(B)を含むものである。
(A)化合物Xからなるカプラー
(B)下記一般式(I)で表される化合物又はその塩

X−COOM (I)

[式中、Xは、前記化合物Xを表し、Mは、水素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。]
【0018】
〔(A)成分〕
カプラーは、酸化した染料中間体と反応することにより、酸化染料の色調を調整するものであり、(A)成分の化合物Xからなるカプラーとは、任意の化学構造Xを有するカプラーを意味している。本発明に使用するカプラーとしては、特段限定はされないが、例えば、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、ピロガロール、カテコール、ハイドロキノン、1,2,4−ベンゼントリオール、フロログルシン、没食子酸、タンニン酸、没食子酸エチル、没食子酸メチル、没食子酸プロピル、2−イソプロピル−5−メチルフェノール等のフェノール類及びその誘導体、メタアミノフェノール、オルトアミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2−メチル−5−アミノフェノール、2−メチル−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2,4−ジクロロ−3−アミノフェノール、2−クロロ−3−アミノ−6−メチルフェノール、2−メチル−4−クロロ−5−アミノフェノール、N−シクロペンチル−メタアミノフェノール、2−メチル−4−メトキシ−5−(2−ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、2−メチル−4−フルオロ−5−アミノフェノール等のアミノフェノール類及びその誘導体、メタフェニレンジアミン、2,4−ジアミノフェノール、2,4−ジアミノフェノキシエタノール、塩酸2,4−ジアミノフェノキシエタノール、2,4−ジアミノ−5−メチルフェネトール、2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチルアミノ)アニソール、トルエン−2,4−ジアミン、2,4−ジアミノ−5−(2−ヒドロキシエトキシ)トルエン、2,4−ジメトキシ−1,3−ジアミノベンゼン、2,6−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)トルエン、2,4−ジアミノ−5−フルオロトルエン、1,3−ビス(2,4−ジアミノフェノキシ)プロパン、1−メトキシ−2−アミノ−4−(2−ヒドロキシエチル)アミノベンゼン等のフェニレンジアミン類及びその誘導体、ジフェニルアミン等のアリールアミン類及びその誘導体、1−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のヒドロキシナフタレン類及びその誘導体、4−ヒドロキシインドール、5−ヒドロキシインドール、6−ヒドロキシインドール、7−ヒドロキシインドール等のヒドロキシインドール類及びその誘導体、6−ヒドロキシベンゾモルホリン等のヒドロキシベンゾモルホリン類及びその誘導体、3,4−メチレンジオキシフェノール、2−ブロモ−4,5−メチレンジオキシフェノール等のメチレンジオキシフェノール類及びその誘導体、3,4−メチレンジオキシアニリン、1−(2−ヒドロキシエチル)アミノ−3,4−メチレンジオキシベンゼン等のメチレンジオキシアニリン類及びその誘導体、2,6−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルピリジン等のヒドロキシピリジン類及びその誘導体、2−アミノ−3−ヒドロキシピリジン等のアミノヒドロキシピリジン類及びその誘導体、2,6−ジアミノピリジン、2,6−ジメトキシ−3,5−ジアミノピリジン、2,3−ジアミノ−6−メトキシピリジン、2−メチルアミノ−3−アミノ−6−メトキシピリジン等のジアミノピリジン類及びその誘導体、並びに、これらの塩等が挙げられる。
【0019】
(A)成分のカプラーとしては、ベンゼン環に1又は2以上のヒドロキシ基が置換された化合物及びその誘導体又は塩が好ましい。さらに好ましくは、ベンゼン環にアミノ基とヒドロキシ基が置換されたアミノフェノール類、ベンゼン環に2以上のヒドロキシ基が置換されたフェノール類、ナフタレンにヒドロキシ基が置換されたヒドロキシナフタレン類及びこれらの誘導体又は塩である。特に好ましくは、メタアミノフェノール、レゾルシン、1−ナフトールである。
【0020】
(A)成分のカプラーの種類及び配合量は、目的とする染毛色の色調に応じて適宜選択され、その配合量は、好ましくは0.001〜3.0質量%、さらに好ましくは、0.01〜2.0質量%、特に好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0021】
〔(B)成分〕
本発明の(B)成分は、カプラー含有組成物に使用された(A)成分に応じて特定される物質であり、使用された(A)成分のカプラーと同一の化学構造体に、カルボキシル基若しくはその塩、又は、炭素数1〜6のアルキル基でエステル化したカルボキシル基(以下、「カルボキシル基等」ともいう。)が結合された化合物である。なお、(B)成分において、カルボキシル基等が結合する位置は、化合物Xの環構造に直接結合していることが好ましい。
【0022】
(A)成分及び(B)成分の具体例としては、例えば、(A)成分としてメタアミノフェノールを使用した場合には、(B)成分は4−アミノサリチル酸や4−アミノサリチル酸ナトリウム等が挙げられ、(A)成分として1−ナフトールを使用した場合には、(B)成分は1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等が挙げられ、(A)成分としてレゾルシンを使用した場合には、(B)成分は2,4−ジヒドロキシ安息香酸や2,4−ジヒドロキシ安息香酸メチル等が挙げられる。
【0023】
本発明のカプラー含有組成物は、(A)成分のカプラーに加えて、さらに(B)成分を配合することにより、カプラー含有組成物の保存安定性を向上させることができる。
なお、(B)成分を配合することによりカプラー含有組成物の保存安定性を向上させるという本発明の技術思想を鑑みれば、(A)成分と(B)成分における同一の化合物Xとは、化合物Xの有する環状構造が同一であればよく、(A)成分と(B)成分の環状構造に結合した置換基に差違があってもよい。但し、カプラーの環状構造に結合する置換基としてヒドロキシ基、アミノ基は、染毛色調に対する影響が大きいため、これらの置換基については、(A)成分と(B)成分において同一の位置に結合していることが好ましい。
染毛色調の変化をより小さくするという観点から、(A)成分と(B)成分の化合物Xの化学構造体は完全一致であることが特に好ましい。
【0024】
(B)成分の配合量は、好ましくは0.001〜2.0質量%であり、さらに好ましくは0.005〜1.0質量%である。
また、(B)成分は、(A)成分の配合量に応じて設定することが好ましい。すなわち、(A)成分の配合量に対する(B)成分の配合量比[(B)/(A)]は、0.001〜5.0が好ましく、0.005〜3.0がさらに好ましく、0.01〜1.0が特に好ましい。
【0025】
さらには、カプラー含有組成物にアルカリ剤を配合した場合には、アルカリ剤の種類によって特に好ましい[(B)/(A)]比の範囲が異なり、アルカリ剤としてアンモニアのみを配合する場合には、特に好ましい範囲は0.05〜0.22であり、アルカリ剤としてアルカノールアミンを配合する場合には、0.20〜0.70であり、アルカリ剤として炭酸塩を配合する場合には、0.30〜1.00である。
【0026】
〔その他の成分〕
本発明のカプラー含有組成物には、染料中間体、直接染料等の他の染料、アルカリ剤、界面活性剤、油性成分、ビタミン類、又は、その他の任意の成分を配合することができる。
【0027】
〔染料中間体〕
本発明のカプラー含有組成物には、酸化染料として染料中間体を配合することが好ましい。
染料中間体としては、特段に限定はされないが、フェニレンジアミン類、アミノフェノール類、ジアミノピリジン類及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩類の1種又は2種以上を例示することができる。具体的には、p−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−p−フェニレンジアミン、2−β−ヒドロキシエチル−p−フェニレンジアミン、N−β−ヒドロキシエチル−N−エチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2−クロロ−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−メチルアミノフェノール、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、p−アミノフェニルスルファミン酸、2,5−ジアミノピリジン及びそれらの塩類等を例示することができる。
染料中間体の種類及び配合量は目的とする染毛色の濃淡に応じて適宜に決定すれば良く、特段に限定されないが、総量として好ましくは0.001〜10.0質量%、さらに好ましくは、0.01〜5.0質量%、特に好ましくは0.1〜2.0質量%である。
【0028】
〔直接染料〕
本発明のカプラー含有組成物は、酸化染料以外の染料として、更に直接染料を併用することができる。直接染料としては、ニトロ染料、分散染料、塩基性染料、酸性染料等が挙げられる。ニトロ染料としては、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、3−ニトローパラヒドロキシエチルアミノフェノール、4−ニトロ−オルトフェニレンジアミン、4−アミノ−3−ニトロフェノール、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、HCブルーNo.2、HCオレンジNo.1、HCレッドNo.1、HCイエローNo.2、HCイエローNo.4、HCイエローNo.5、HCレッドNo.3、N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−2−ニトロ−パラフェニレンジアミン等が挙げられ、分散染料としては、ディスパーズバイオレット1、ディスパーズブルー1、ディスパーズブラック9等が挙げられ、塩基性染料としては、ベーシックブルー99、ベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックレッド76、ベーシックレッド51、ベーシックイエロー57、ベーシックイエロー87、ベーシックオレンジ31等が挙げられる。酸性染料としては、だいだい色205号、赤色106号等が挙げられる。
【0029】
〔アルカリ剤〕
本発明のカプラー含有組成物には、アルカリ剤を配合することが好ましい。アルカリ剤の種類は限定されないが、例えば、アンモニア、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)、炭酸塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等)、有機アミン類(2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、グアニジン等)、無機アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、塩基性アミノ酸(アルギニン、リジン等)、ハロゲン化アンモニウム(塩化アンモニウム等)、無機系アンモニウム塩(硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸水素アンモニウム等)、有機系アンモニウム塩(乳酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、グリコール酸アンモニウム等)等のアンモニウム塩等を適宜に選択して使用できる。アンモニア、アルカノールアミン、炭酸塩を配合する場合、本発明の効果が得られやすい。炭酸塩を配合する場合には、特に本発明の効果が発揮される。
【0030】
アルカリ剤の配合量は、十分な染毛効果、毛髪損傷や頭皮刺激の低減等を勘案して適宜設定され、好ましくは0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは0.5〜15質量%であり、特に好ましくは1.0〜12質量%である。
【0031】
〔界面活性剤〕
本発明のカプラー含有組成物には、界面活性剤を配合することが好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0032】
カチオン性界面活性剤としては、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化トリ(ポリオキシエチレン)ステアリルアンモニウム、クオタニウム−91(INCI名称)、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミドプロピルエチルジメチルアンモニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウムサッカリン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、N,N−ジ(アシロキシ),N−(ヒドロキシエチル),N−メチルアンモニウムメトサルフェート等が挙げられる。
【0033】
非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテル類、POEアルキルフェニルエーテル類、POE・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、POEソルビタン脂肪酸エステル類、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、脂肪族アルカノールアミド類等が挙げられる。
【0034】
アニオン性界面活性剤としては、セチル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、POEラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のPOEアルキル硫酸塩、ラウリル硫酸トリエタノールアミン等のアルキル硫酸エステル塩、ステアロイルメチルタウリンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、テトラデセンスルホン酸ナトリウム、POEラウリルエーテルリン酸及びその塩、N−ラウロイルグルタミン酸塩類、N−ラウロイルメチル−β−アラニン塩類等が挙げられる。
【0035】
両性界面活性剤としては、2−ウンデシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエチル−N'−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N−ヤシ油脂肪酸アシル−N'−カルボキシエトキシエチル−N'−カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、パーム油脂肪酸アシル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0036】
界面活性剤の種類は、剤型の安定化等の目的で任意に選択され、その配合量は、総量として、好ましくは0.01〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%、特に好ましくは0.5〜5質量%である。
【0037】
〔油性成分〕
本発明のカプラー含有組成物には、油性成分を配合することが好ましい。油性成分としては、炭化水素、ワックス類、油脂、高級アルコール、高級脂肪酸、アルキルグリセリルエーテル、エステル類、シリコーン類等が挙げられる。これらは、その1種類を単独に配合し、又は2種類以上を併せ配合することができる。
【0038】
炭化水素としては、パラフィン、ポリエチレン末、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。又、常温で液状の炭化水素類として、α−オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、ポリブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン等が挙げられる。
【0039】
ワックス類としては、例えばミツロウ(蜜蝋)、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、ホホバ油、ラノリン、鯨ロウ、コメヌカロウ、サトウキビロウ、パームロウ、モンタンロウ、綿ロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、カポックロウ、セラックロウ等を例示することができる。
【0040】
油脂としては、大豆油、オリーブ油、硬化ヒマシ油等のグリセリン系の各種の植物油や、動物油、等が挙げられる。
【0041】
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール(セタノール)、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、2ーヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2ーオクチルドデカノール、デシルテトラデカノール、オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、ラノリンアルコール等が挙げられる。
【0042】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、リノール酸、リシノール酸、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0043】
アルキルグリセリルエーテルとしては、バチルアルコール(モノステアリルグリセリルエーテル)、キミルアルコール(モノセチルグリセリルエーテル)、セラキルアルコール(モノオレイルグリセリルエーテル)、イソステアリルグリセリルエーテル等が挙げられる。
【0044】
エステル類としては、ペンタエリスリトール系の脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2−エチルへキシル、リシノール酸オクチルドデシル、脂肪酸(C10−30)(コレステリル/ラノステリル)、乳酸ラウリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸Nーアルキルグリコール、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ラノリン誘導体等が挙げられる。
【0045】
シリコーン類としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、平均重合度が650〜10000の高重合シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、ベタイン変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。アミノ変性シリコーンとしては、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アミノプロピルジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(アモジメチコン)、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体(トリメチルシリルアモジメチコン)等が挙げられる。
【0046】
油性成分の種類は、剤型の安定化や髪質の向上等の目的で任意に選択され、その配合量は、総量として、好ましくは0.1〜50質量%であり、さらに好ましくは0.5〜20質量%であり、特に好ましくは1.0〜15質量%である。
【0047】
〔ビタミン類〕
本発明のカプラー含有組成物には、ビタミン類を配合することが好ましい。ビタミン類の種類は限定されず、例えば、アスコルビン酸類、トコフェロール類等の脂溶性又は水溶性のビタミン類を任意に選択して使用できる。
ビタミン類は、1種または2種以上を任意の配合量において配合することができる。配合量は、好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.05〜5質量%、特に好ましくは0.1〜3質量%である。
【0048】
〔その他の任意の成分〕
その他の任意の成分としては、例えば、多価アルコール、天然又は合成の高分子、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、防腐剤、キレート剤、安定化剤、pH調整剤、植物性抽出物、生薬抽出物、酸化防止剤、香料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0049】
[酸化剤組成物]
本発明の酸化剤組成物は、上記酸化染毛剤を構成する一つの剤(第2剤)として使用されるものであり、酸化剤を含むものである。酸化剤組成物は、酸化剤を含有する限りにおいて、その組成を限定されず、酸化剤の他に、必要又は有益な任意の成分を含有させることができる。任意の成分としては、上記カプラー含有組成物と同様、界面活性剤、油性成分、フェノキシエタノール等の防腐剤、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等のキレート剤等が挙げられる。
【0050】
酸化剤の種類は特段に限定されず、公知の酸化剤から任意に選択することができる。通常は過酸化水素が用いられるが、その他にも、臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、過酸化物、過酸化尿素、過酸化メラミン、過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化ナトリウム、過酸化カリウム、過酸化マグネシウム、過酸化バリウム、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、硫酸塩の過酸化水素付加物、リン酸塩の過酸化水素付加物、ピロリン酸塩等が例示される。その配合量は、酸化剤組成物の使用目的や剤型に応じて適宜に決定すればよい。
【実施例】
【0051】
以下に、本発明の実施例を比較例と共に説明する。なお、本発明の技術的範囲は、これらの実施例や比較例に限定されない。
表1〜表9に示す実施例及び比較例に係る組成のクリーム状のカプラー含有組成物を、常法に従って調製した。また、表10に示す組成のクリーム状の酸化剤組成物を常法に従って調製した。これらのカプラー含有組成物を酸化染毛剤の第1剤として、また、酸化剤組成物を酸化染毛剤の第2剤として用いた。
【0052】
(評価1:染布試験)
表1〜表9に示す各実施例及び比較例に係る第1剤をそれぞれ表10の第2剤と1:1の質量比で混合して酸化染毛剤を調製した。(i)調製直後のこれらの酸化染毛剤と、(ii)調製後に60°Cで2週間保存した後のこれらの酸化染毛剤とを、それぞれ試験用白布(JIS L0803 染色堅ろう度試験用添付白布)に塗布し、20分間放置した後に水洗いし、乾燥させて染布とした。
各実施例及び比較例に係る上記の(i)と(ii)との酸化染毛剤による染布について、分光測色計(コニカミノルタ社製:CM508d)を用い、L*a*b*表色系(CIE1976)における値を測定した。各例について、調製直後の酸化染毛剤を用いた染布におけるa*b*値(a0,b0)と、60°Cで2週間保存後の酸化染毛剤を用いた染布におけるa*b*値(a1,b1)とを測定し、以下の式1に従い色差ΔE(a,b)を算出した。その値を表1〜9の「ΔE(a,b)60°C・2W」欄に表記した。

ΔE(a,b)={(a1−a0)2+(b1−b0)2}1/2・・・式1

算出したΔE(a,b)が0以上で0.4未満である場合を「5」、0.4以上で0.7未満である場合を「4」、0.7以上で0.9未満である場合を「3」、0.9以上で1.2未満である場合を「2」、1.2以上である場合を「1」として、それらの結果を表1〜9の「ΔE(a,b)の評価」欄に表記した。
【0053】
(評価2:目視での色差評価)
表1〜表9に示す各実施例及び比較例に係る第1剤をそれぞれ上記の第2剤と1:1の質量比で混合して酸化染毛剤を調製した。(i)調製直後のこれらの酸化染毛剤と、(ii)調製後に60°Cで2週間保存した後のこれらの酸化染毛剤とをそれぞれ白色の人毛束に対して塗布し、30分間放置した後にプレーンリンスを施した。その後、シャンプーに次いでトリートメント(ともにホーユー株式会社製プロマスターカラーケアLX、スタイリッシュライン)で処理し、ドライヤーで乾燥した。
そして、上記の(i)と(ii)との酸化染毛剤による染毛処理に係る毛束について、目視により相互間の色差を評価した。評価は、色差を全く感じない場合を「◎」、色差がほぼないと感じる場合を「○」、色差をやや感じる場合を「△」色差をはっきりと感じる場合を「×」として、それらの結果を表1〜9の「目視での色差」欄に表記した。
【0054】
[実施例(1)、比較例(1)]
実施例(1)、比較例(1)は、表1〜表3に示すように、アルカリ剤としてアンモニアのみを配合したカプラー含有組成物について評価した。
実施例(1)1−1〜1−6、比較例(1)1−1〜1−2では、(A)成分のカプラーとしてメタアミノフェノール、(B)成分として4−アミノサリチル酸又は4−アミノサリチル酸のナトリウム塩を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(1)2−1、比較例(1)2−1では、(A)成分のカプラーとして1−ナフトール、(B)成分として1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(1)3−1〜3−2、比較例(1)3−1では、(A)成分のカプラーとしてレゾルシン、(B)成分として2,4−ジヒドロキシ安息香酸又はそのメチルエステル化物を配合したカプラー含有組成物を評価した。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
表1〜表3を見ると、(B)成分を配合しないカプラー含有組成物では、60℃で2週間保管すると製造直後のカプラー含有組成物と比べて染毛色調に変化が生じた。これに対して、(B)成分を配合することにより、60℃で2週間保管したカプラー含有組成物を使用しても、製造直後のカプラー含有組成物を使用した場合と比べて染毛色調の変化が小さくなった。
【0059】
また、(A)成分に対する(B)成分の配合量比[(B)/(A)]は、0.05〜0.22において最も優れた効果が認められた。
【0060】
[実施例(2)、比較例(2)]
実施例(2)、比較例(2)は、表4〜表6に示すように、アルカリ剤としてアンモニア及びモノエタノールアミンを配合したカプラー含有組成物について評価した。
実施例(2)1−1〜1−6、比較例(2)1−1では、(A)成分のカプラーとしてメタアミノフェノール、(B)成分として4−アミノサリチル酸又は4−アミノサリチル酸のナトリウム塩を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(2)2−1、比較例(2)2−1では、(A)成分のカプラーとして1−ナフトール、(B)成分として1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(2)3−1〜3−2、比較例(2)3−1では、(A)成分のカプラーとしてレゾルシン、(B)成分として2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、又は、2,4−ジヒドロキシ安息香酸のメチルエステル化物を配合したカプラー含有組成物を評価した。
【0061】
【表4】
【0062】
【表5】
【0063】
【表6】
【0064】
表4〜6を見ると、実施例(1)と同様に、(B)成分を配合することにより、60℃で2週間保管した後のカプラー含有組成物の染毛色調の変化が抑制されていることがわかる。
また、(A)成分に対する(B)成分の配合量比[(B)/(A)]は、0.20〜0.70において最も優れた効果が認められた。
【0065】
[実施例(3)、比較例(3)]
実施例(3)、比較例(3)は、表7〜表9に示すように、アルカリ剤としてアンモニア及び炭酸水素アンモニウムを配合したカプラー含有組成物について評価した。
実施例(3)1−1〜1−6、比較例(3)1−1では、(A)成分のカプラーとしてメタアミノフェノール、(B)成分として4−アミノサリチル酸又は4−アミノサリチル酸のナトリウム塩を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(3)2−1、比較例(3)2−1では、(A)成分のカプラーとして1−ナフトール、(B)成分として1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を配合したカプラー含有組成物を評価した。
実施例(3)3−1〜3−2、比較例(3)3−1では、(A)成分のカプラーとしてレゾルシン、(B)成分として2,4−ジヒドロキシ安息香酸又はそのメチルエステル化物を配合したカプラー含有組成物を評価した。
【0066】
【表7】
【0067】
【表8】
【0068】
【表9】
【0069】
表7〜9を見ると、実施例(1)と同様に、(B)成分を配合することにより、60℃で2週間保管した後のカプラー含有組成物の染毛色調の変化が抑制されていることがわかる。
また、(A)成分に対する(B)成分の配合量比[(B)/(A)]は、0.30〜1.00において最も優れた効果が認められた。
【0070】
上記実施例及び比較例で使用した第2剤の組成を表10に示す。
【表10】
【0071】
以下に、本発明のカプラー含有組成物を第1剤として利用した酸化染毛剤の処方例を示す。
(処方例1)
処方例1では、エアゾール缶より泡状として吐出される酸化染毛剤を調製した。表11に示した第1剤及び第2剤をそれぞれエアゾール缶に充填し、各剤をブラシ上に泡状として吐出した。なお、各剤は、同時に吐出することにより同量とした。次に、白色の人毛束にブラシで塗布しつつ各剤を混合した。
実施例(1)と同様に目視での色差評価を行った結果、処方例1の酸化染毛剤は、保存安定性に優れることが確認された。
【0072】
【表11】
【0073】
(処方例2)
処方例2では、エアゾール缶よりクリーム状として吐出される酸化染毛剤を調製した。表12に示した第1剤及び第2剤をそれぞれエアゾール缶に充填し、各剤をブラシ上にクリーム状として吐出した。なお、各剤は、同時に吐出することにより同量とした。次に、白色の人毛束にブラシで塗布しつつ各剤を混合した。
実施例(1)と同様に目視での色差評価を行った結果、処方例2の酸化染毛剤は、保存安定性に優れることが確認された。
【0074】
【表12】
【0075】
(処方例3)
処方例3では、ゲルエマルションからなる第1剤を用いた酸化染毛剤を調製した。表13に示した第1剤及び液状の第2剤を1:1の混合比で混合した。実施例(1)と同様に目視での色差評価を行った結果、処方例3の酸化染毛剤は、保存安定性に優れることが確認された。
【0076】
【表13】
【0077】
(処方例4)
処方例4では、ゲル状の第1剤を用いた酸化染毛剤を調製した。表14に示した第1剤及び液状の第2剤を1:1の混合比で混合した。実施例(1)と同様に目視での色差評価を行った結果、処方例4の酸化染毛剤は、保存安定性に優れることが確認された。
【0078】
【表14】
【0079】
(処方例5)
処方例5では、液状の第1剤及び第2剤を用いた酸化染毛剤を調製した。表15に示した第1剤及び第2剤を1:1の混合比で混合した。実施例(1)と同様に目視での色差評価を行った結果、処方例5の酸化染毛剤は、保存安定性に優れることが確認された。
【0080】
【表15】
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明のカプラー含有組成物は、長期間保管しても染毛色調の変化が小さく、保存安定性に優れた酸化染毛剤を提供することができる。