(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面は、本装置の単なる例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定すると見なされるべきではない。これは、本装置が他の同様に有効な実施形態を許容し得るからである。図面に示される要素および特徴は、必ずしも原寸に比例しておらず、代わりに、本装置の例示的な実施形態の原理を明確に示すことに重きが置かれる。
【0020】
以下、添付図面を参照して、本装置の範囲および思想を実施するための詳細な実施形態について詳しく説明する。説明の便宜のため、図面が原寸に比例していないことが理解されるべきである。
【0021】
図1は、本装置の一実施形態に係る呼吸保護マスクの斜視図である。
図2は、
図1の呼吸保護マスクの正面図である。
図3は、
図1の呼吸保護マスクの背面図である。
【0022】
図1〜
図3を参照すると、本装置の1つの実施形態に係る呼吸保護マスク10は、着用者の顔と密に接触するように構成されるシールフェイスピース要素100と、シールフェイスピース要素100と結合されるように構成されるとともに吸気弁500および呼気弁600が装着される弁座200と、シールフェイスピース要素100および弁座200の前部を覆うヨーク300と、呼吸保護マスク10を着用者の頭部に固定するためにヨーク300のループ350に接続されるストラップ400とを含んでもよい。
【0023】
本実施形態の説明では、呼吸保護マスク10に関して、着用者の顔が位置する方向が後(
図1のX軸におけるマイナス方向)として規定され、その反対側の方向が前(
図1のX軸におけるプラス方向)として規定され、着用者の鼻が位置する方向が上(
図1のZ軸におけるプラス方向)として規定され、および、その反対側の方向が下(
図1のZ軸におけるマイナス方向)として規定される。
【0024】
シールフェイスピース要素100は、着用者の鼻および口を覆うことができるサイズを有してもよく、また、着用者の顔と密に接触するように軟質材料から形成されてもよい。一例として、シールフェイスピース要素100は、ゴムまたはシリコーンなどの弾性変形可能な材料から形成されて、弾性材料から成るストラップ400によって所定のレベルまで変形されてもよく、また、着用者の顔と密に接触してもよい。このため、シールフェイスピース要素100の後部は、人の顔形状に対応する湾曲形態を有してもよい。
【0025】
弁座200は、シールフェイスピース要素100の後部でシールフェイスピース要素100と結合されるとともに、吸気弁500および呼気弁600を支持する。具体的には、弁座200は、吸気弁500が結合されるとともに着用者が息を吸うときに空気が通過する吸気ユニット220(
図4)と、呼気弁600が結合されるとともに着用者が息を吐くときに空気が通過する呼気ユニット230(
図4)とを含む。
【0026】
吸気ユニット220は、空気が通過する吸気ポート201を含む。吸気弁500は、吸気ポート201の後部に配置されるとともに、吸気ポート201を通じて呼吸保護マスク10の前部に部分的に露出される。吸気ユニット220は、吸気弁500を支持するように構成される吸気弁支持手段を含む。吸気弁支持手段は、吸気弁500の中心穴510(
図4)内へ挿入される吸気ポート201の支持要素221と、支持要素221の後端部に設けられて吸気弁500が離脱することを防止するように構成されるロック突起222と、支持要素221と吸気ポート201の内周面とを接続して吸気弁500を支持するように構成される少なくとも1つの支持リブ223とを含んでもよい。吸気弁500は、呼吸保護マスク10の前後方向で支持リブ223とロック突起222との間に配置されるため、ロック突起222は、呼吸保護マスク10の前方から見て外側に露出され得ない。以下、吸気弁支持手段の詳細な構造および機能について説明する。
【0027】
吸気弁500は、着用者が息を吸うときに吸気ポート201を部分的に開放するとともに、着用者が息を吸わないときに空気が吸気ポート201を通じてシールフェイスピース要素100内へ導入されることを防止するべく吸気ポート201を塞いでもよい。
【0028】
空気中に含まれる破片や有害物質等を除去するために所定の濾過カートリッジ装置(図示せず)が吸気ユニット220の前端部と結合されてもよい。濾過カートリッジ装置の作用によれば、着用者が呼吸するときに破片や有害物質等が着用者の呼吸器系内へ導入されることを防止できる。
【0029】
呼気ユニット230は、空気が通過する呼気ポート202(
図4)を含む。呼気弁600は、呼気ポート202の前部に配置されるとともに、呼気ポート202を選択的に塞いでもよい。具体的には、呼気弁600は、着用者が息を吐くときに呼気ポート202を部分的に開放するとともに、着用者が息を吸わないあるいは息を吐かないときに空気が呼気ポート202を通じてシールフェイスピース要素100内へ導入されることを防止するべく呼気ポート202を塞いでもよい。呼気弁600は、後方へ突出する挿入突起610を含み、挿入突起610が弁座200内へ挿入されるときに弁座200に固定されてもよい。
【0030】
吸気弁500および呼気弁600は、着用者が息を吸うあるいは息を吐くときに生み出される空気の圧力の変化によって変形され得る軟質材料から形成されるダイヤフラムであってもよく、あるいは、材料、例えばゴムやシリコーンから形成されてもよい。
【0031】
ヨーク300は、シールフェイスピース要素100および弁座200の前面を部分的に覆ってもよく、具体的には、呼気弁600を覆う形状に形成されてもよい。呼気弁600の後面およびヨーク300の後面は、互いから所定の距離を隔てて離間されてもよいとともに、着用者が息を吐くときに呼気ユニット230を通じて排出される空気が呼吸保護マスク10の下側に排出されるように、呼吸保護マスク10の下側に空気排出空間を形成してもよい。
【0032】
ストラップ400が接続されるリング形状ループ350は、ヨーク300の両側に形成されてもよい。ストラップ400が長さ調整部材410を含んでもよい。
【0033】
ストラップ400がループ350に接続される状態下で、着用者は、シールフェイスピース要素100が自分の鼻および口を覆うようにシールフェイスピース要素100を自分の顔と密に接触させ、また、ストラップ400が適切な力をシールフェイスピース要素100に印加するように長さ調整部材410を操作してもよい。したがって、シールフェイスピース要素100が弾性的に変形されて着用者の顔と密に接触してもよく、また、空気が吸気弁500および呼気弁600の作用のみにしたがってシールフェイスピース要素100内へ導入されあるいはシールフェイスピース要素100の内側から外側に排出されてもよい。
【0034】
以下、添付図面を参照して、呼吸保護マスク10の前述した構成要素の詳細な特徴について詳しく説明する。
【0035】
図4は、
図1の呼吸保護マスクの分解斜視図である。
図5は、
図4に描かれるシールフェイスピース要素の背面斜視図である。
図6は、
図4に描かれるヨークの背面斜視図である。
図7は、
図4に描かれる弁座の背面斜視図である。
図8は、
図4に描かれる弁座の側面図である。
【0036】
図4〜
図8を参照すると、呼吸保護マスク10が1つの方法を使用して結合され、その方法では、吸気弁500および呼気弁600が結合される弁座200が、シールフェイスピース要素100と結合されるとともに、ヨーク300が、シールフェイスピース要素100を通じて前方に露出される吸気ユニット220および呼気ユニット230と結合される。
【0037】
本実施形態は、弁座200がシールフェイスピース要素100と結合される前に吸気弁500および呼気弁600が弁座200と結合される場合を例示したが、吸気弁500および呼気弁600の結合順序はこれに限定されない。例えば、吸気弁500および呼気弁600は、弁座200がシールフェイスピース要素と結合された後に、弁座200と結合されてもよい。
【0038】
シールフェイスピース要素100は、着用者の鼻および口を覆うように形成されるシールフェイスピース要素本体110と、シールフェイスピース要素本体110の後部を形成するとともに着用者の顔が密に接触する屈曲部120と、シールフェイスピース要素本体110の上側に設けられる第1の表面130と、シールフェイスピース要素本体110の下側に設けられる第2の表面140とを含んでもよい。
【0039】
シールフェイスピース要素本体110は、その後面が開放するとともに前方へ突出する形状に形成される。弁座200は、シールフェイスピース要素本体110の内側に受け入れられるようにシールフェイスピース要素本体110と結合されてもよい。この場合、弁座200は、第1の表面130および第2の表面140に装着されて固定される。
【0040】
ヨーク300を弁座200に固定しつつ装着できるヨーク装着部112が、シールフェイスピース要素本体110の前面に形成されてもよい。ヨーク装着部112は、ヨーク300の後面の外周形状に対応するように形成されてもよく、また、シールフェイスピース要素本体110の前面が所定の深さだけ押し下げられる階段状の表面の形態を成して設けられてもよい。
【0041】
第1の表面130は、弁座200の吸気ユニット220が形成される上部211と密に接触してもよい。第2の表面140は、弁座200の呼気ユニット230が形成される下部212と密に接触してもよい。この場合、第2の表面140は、第1の表面130よりも後側へ傾けられるように設けられてもよい。したがって、呼気ユニット230の一部がシールフェイスピース要素100の前方へ突出してもよく、また、ヨーク300の下部が呼気ユニット230と結合されてもよい。
【0042】
吸気ユニット220が挿入される第1の穴101が第1の表面130に形成されてもよい。呼気ユニット230が挿入される第2の穴102が第2の表面140に形成されてもよい。吸気ポート201が形成される吸気ユニット220が第1の穴101に挿入されるため、第1の穴101が吸気経路の一部を形成する。また、呼気ポート202が形成される呼気ユニット230が第2の穴102に挿入されるため、第2の穴102が呼気経路の一部を形成する。
【0043】
以下で説明されるように、第1の穴101の外周部は、弁座200の上側結合部229内に挿入されてもよく、また、第2の穴102の外周部は、弁座200の下側結合部237内へ挿入されてもよい。このようにすると、シールフェイスピース要素100の上部および下部の両方を弁座200に強固に結合して固定できる。
【0044】
一方、ヨーク300は、シールフェイスピース要素100および弁座200の前面を部分的に覆うヨーク本体310と、ヨーク本体310の両方の後面に形成されるジョイント320と、ヨーク本体310の両側に形成されるとともにストラップ400が接続されるループ350とを含んでもよい。
【0045】
ヨーク本体310の上部には、第1の穴101および吸気ユニット220に対応する位置に吸気経路301が形成されてもよい。
【0046】
また、ヨーク本体310の上部を弁座200に固定するヨークロック部312が、ヨーク本体310の吸気経路301の近傍に形成されてもよい。ヨークロック部312は、吸気経路301の外周に沿って吸気経路301の中心へ向けて突出する突起の形態を成して設けられてもよく、また、吸気ユニット220に形成される短縁部228に引っ掛けられるときにヨーク本体310の上部を弁座200に固定してもよい。ジョイント320およびヨークロック部312をヨーク固定溝235および弁座200の短縁部228にそれぞれ締結して固定できるため、ヨーク300が二重固定構造を有し、ヨーク300を弁座200に強固に固定できるとともに、外部衝撃が存在する場合であっても、ヨーク300を弁座200から容易に離脱できない。
【0047】
ヨーク本体310は、下部の両側が後方に延びる形状に形成されてもよい。ヨーク本体310の下部の中心は、前方へ突出する形状に形成されてもよい。ヨーク本体310の下部の後方へ延びる部分と、ヨーク本体310の下部の前方へ突出する部分とによって、呼気経路302が形成されてもよい。呼気ポート202を通じて排出される空気は、呼気経路302を通じて呼吸保護マスク10の外側に排出される。
【0048】
ジョイント320は、ヨーク本体310の両方の後面に形成される。ジョイント320は、ヨーク300がジョイント320の周りで回転できるように円柱形状または半球形状を成して形成されてもよい。本実施形態は、ジョイント320が半球形状に形成される場合を例示している。ジョイント320は、ヨーク300の組み付けプロセスにおいて弁座200のヨーク固定溝235内に挿入されてもよい。
【0049】
弁座200は、上部211および下部212を有する座部本体210と、上部211に設けられる吸気ユニット220と、下部212に設けられる呼気ユニット230とを含んでもよい。すなわち、弁座200は、吸気ユニット220および呼気ユニット230の両方を含んでもよい。そのようにすると、呼吸保護マスク10の構成要素の総数を減らしてその構造を簡略化できる。ジョイント320を挿入するために、ヨーク300は一定のレベルに弾性的に変形されてもよい。
【0050】
上部211は、呼吸保護マスク10が着用される状態で吸気ユニット220が空気を呼吸保護マスク10の前後方向に流すことができるように形成されてもよい。上部211の前面は、シールフェイスピース要素100の第1の表面130の後面と密に接触してもよい。
【0051】
また、下部212は、上部211に対して所定の角度を成して後方へ傾けられる形状に形成されてもよい。このようにすると、呼吸保護マスク10のサイズ、具体的には、呼吸保護マスクの垂直長さをより短くなるように形成できる。下部212の前面は、シールフェイスピース要素100の第2の表面140の後面と密に接触してもよい。
【0052】
実施形態は、呼吸保護マスク10が着用される状態で吸気ユニット220および呼気ユニット230の空気連通方向が前後方向である場合を例示しているが、本明細書での前後方向は、
図1のX軸方向だけを意味せず、概念的にほぼ同じレベルで傾けられる方向を含むように理解されてもよい。
【0053】
吸気ユニット220は、上部211から突出する略管形状を成して形成されてもよく、また、前述したように吸気ポート201と吸気弁支持手段とを含んでもよい。吸気ポート201は、上部211を前後方向で貫通する穴であり、着用者が息を吸うときに空気が通過する経路を与える。
【0054】
吸気ユニット220は、自由端部側に形成されて濾過カートリッジ等が接続されてもよい取り付け部226と、取り付け部226の後部に配置されるとともに径方向に増大する直径を有する上側延出部227と、上側延出部227の端部に形成される短縁部228と、上側延出部227と上部211の前面との間に設けられる上側結合部229とを含んでもよい。
【0055】
上側延出部227は、第1の穴101よりも大きい直径を有するように形成されてもよい。弁座200がシールフェイスピース要素100と結合されると、第1の表面130は、上側延出部227との干渉に起因して弾性的に変形されて、その当初の状態に再び戻り、上側延出部227の後方に移動されて、上側結合部229内へ挿入されてもよい。
【0056】
上側結合部229は、第1の穴101の直径に対応するサイズを有してもよく、また、上側延出部227と上部211の前面との間に溝形態を成して設けられてもよい。第1の表面130が上側結合部229内に挿入されると、シールフェイスピース要素100と吸気ユニット220との結合状態、すなわち、弁座200の上部211との結合状態を、特定のレベル以上の外力がシールフェイスピース要素100に印加される前に維持できる。
【0057】
短縁部228は、上側延出部227の後端部に、上側延出部227の外周に沿って形成されてもよい。ヨーク300の後面に形成されるヨークロック部312は、上側延出部227を越えて弾性的に変形されて、短縁部228内へ挿入されてもよい。このようにすると、ヨーク300を弁座200に固定できる。
【0058】
一方、軟質材料から形成される吸気弁500は、吸気ポート201を塞ぐことができるサイズを有してもよく、また、吸気ユニット220と結合されるべき中心穴510を含んでもよい。吸気弁500は、吸気ユニット220の吸気弁支持手段と結合されて弁座200の後方から支持されてもよく、着用者が息を吸うときには、呼吸保護マスク10の内側と外側との間の圧力差に起因して後方へ引き込まれて(呼吸保護マスク10の内側は低圧状態にある)吸気ポート201を開き、また、着用者が息を吐くときには、呼吸保護マスク10の内側と外側との間の圧力差に起因して吸気弁支持手段と密に接触して(呼吸保護マスク10の内側は高圧状態にある)吸気ポート201を塞ぐ。
【0059】
図9は、
図4の弁座の吸気ユニットの吸気弁支持手段の背面図である。
図10は、
図9のI−I線に沿う断面図である。
図11は、
図9のII−II線に沿う断面図である。
【0060】
図9〜
図11を参照すると、吸気弁支持手段は、吸気ポート201の内側に設けられるとともに、前述したように、支持要素221と、ロック突起222と、支持リブ223とを含んでもよい。
【0061】
支持要素221は、吸気弁500の中心穴510内に挿入されて、複数の支持リブ223により支持され、また、吸気ポート201の中心部に配置されてもよい。支持要素221は、その中心軸線が空気連通方向と平行である円柱形状に形成されてもよく、また、中心穴510のサイズに対応する直径を有してもよい。
【0062】
ロック突起222は、支持要素221に挿入される吸気弁500が着用者の呼吸動作中に離脱することを防止し、また、支持要素221の後端部から吸気ポート201の径方向に所定の長さだけ突出する突起の形態を有してもよい。複数のロック突起222は、支持要素221の周方向に設けられてもよい。この本実施形態は、3つのロック突起222がそれらの間に所定の間隔を伴って設けられる場合を例示している。着用者が息を吸うときには、吸気弁500は、後方に移動されて吸気ポート201を開き、ロック突起222によって妨げられて、支持要素221から外れない。
【0063】
支持リブ223は、吸気ポート201の内周面から延びて、支持要素221を支持し、吸気弁500の前方への移動を制限する。複数の支持リブ223が設けられてもよい。すなわち、吸気弁500が支持リブ223の後方に配置され、また、吸気弁500の前面が支持リブ223によって支持される。本実施形態は、3つの支持リブ223がそれらの間に所定の間隔を伴って配置される場合を例示しているが、支持リブ223の数および支持リブの位置が変えられてもよい。
【0064】
支持リブ223は、ロック突起222に対して支持要素221の前方に接続される。したがって、吸気弁500は、ロック突起222と支持リブ223との間で移動できる。
【0065】
また、支持リブ223は、支持要素221の位置から見るときに、前方に向けて尖った楔形状断面を有してもよい。言い換えると、支持リブ223の垂直断面積は、吸気ポート201の前方へ向けて減少する。本実施形態において、垂直断面積とは、
図1のX軸に対して垂直な平面に沿う断面積のことである。そのような形状によれば、空気が吸気ポート201内へ導入されると、支持リブ223に起因する空気の圧力降下が減少して、空気量がより均一に分配され得る。
【0066】
従来、呼吸保護マスクの吸気ポートに設けられる支持リブは、垂直断面積の変化を伴うことなく単純な長方形断面を有するバーの形態を成して設けられたため、支持リブは、空気流中で抵抗として働き、圧力降下および不安定な流れ現象をもたらした。しかしながら、本実施形態の支持リブ223によれば、吸気ポート201を通じて導入される空気が支持リブ223に沿ってスムーズに分散されて移動され得るため、抵抗としての機能が低下し、圧力降下量および不安定な流れ現象が減少し得る。
【0067】
特に、支持リブ223の前端部は、丸くなるように処理されてもよく、垂直断面積の変化量が前方へ向かって増大する部分を含んでもよく、また、支持要素221の位置から見たときに支持リブ223の略流線形の断面が形成されてもよい。この場合には、吸気ポート201を通過する空気の圧力降下量および不安定な流れ現象を更に減らすことができる。
【0068】
また、支持リブ223は、支持要素221から見たときにその断面積が支持要素221から離れるにしたがって増大する形状に形成されてもよい。すなわち、吸気ポート201が前方から見られるときに、支持リブ223の幅が支持要素221へ向かって減少し得る。
【0069】
前述した構造によれば、支持リブ223をより強固に吸気ポート201の内周面に固定でき、また、支持リブは、小さい面積により吸気弁500を効果的に支持できる。
【0070】
一方、支持リブ223は、後方へ開放する溝224を後面に含んでもよい。溝224の深さおよび幅は、溝224を取り囲む射出生成物が一定の厚さを維持するように支持要素221から離れるにしたがって増大するべく形成されてもよい。また、溝224は、支持リブ223の延在方向に沿って延びてもよい。
【0071】
溝224が形成されるため、支持リブ223を構造的に強化することができる。また、着用者が息を吐くときに、吸気弁500が支持リブ223の後面と密に接触する。溝224が形成されると、吸気弁500の一部が溝224内へ移動される現象が生じ得るため、吸気弁500がより確実に支持リブ223と密着できる。
【0072】
一方、呼気ユニット230は、下部212から突出するとともに呼気弁600が重力に起因して離脱しないように形成されるフレーム231と、フレーム231に形成される呼気ポート202と、呼気ポート202を横断する複数の支持リブ232と、呼気弁600の挿入突起610を挿入できる挿入穴233と、フレーム231の両側面に形成されるとともにヨーク300のジョイント320が挿入されるヨーク固定溝235とを含んでもよい。
【0073】
フレーム231は、上端から下端に徐々に増大する突出長さを有するように形成されてもよい。このようにすると、呼気弁600が密に接触する前面を重力の方向または上端へ向かう方向に対して略垂直な方向で形成することができる。すなわち、呼気弁600を重力方向に延びるように配置することができ、あるいは、上端部600aを下端部600bよりも後方に配置させることができる。具体的には、フレーム231は、呼吸保護マスク10が着用される間は前面が前方または後方に傾けられない状態に、あるいは、前面が前方へ傾けられる状態に、形成されてもよい。したがって、呼気弁600は、着用者が息を吸わないあるいは息を吐かない間は、外側からの外力が存在しないと、フレーム231の前面と密に接触できる。呼気弁600が傾けられる状態がこの実施形態で述べられる場合、「後方に傾けられる」とは、呼気弁600の上端部600aが下端部600bの前方に配置されることを意味し、また、「前方に傾けられる」とは、呼気弁600の上端部600aが下端部600bの後方に配置されることを意味する。
【0074】
着用者により吐き出される水分が呼気弁600の後面に集まる場合がある。水分に起因して、呼気弁600の重量が増大する場合があり、また、呼気弁600の自由端部から滴り落ちる場合がある。この場合には、着用者が息を吸わないあるいは息を吐かないときであっても呼気ポート202が開放するという問題が起こり得る。呼吸保護マスク10が着用される環境を考慮すると、着用者の深刻な安全性問題が起こり得る。
【0075】
しかしながら、本実施形態によれば、着用者が息を吐いていないときに、呼気弁600がフレーム231の前面と密に接触する状態を維持できる。したがって、前述した安全性問題を回避できる。
【0076】
すなわち、弁座200の下部212が上部211よりも後方に傾けられるように形成され、また、フレーム231が下端へ向けて更に突出する形状に形成される。この実施形態に係る呼吸保護マスク10は、小さいサイズを有することができ、また、呼気弁600を安定的に動作させることができるようにする。したがって、呼吸保護マスク10の装着性および有用性を高めることができる。
【0077】
呼気弁600は、呼気ポート202を塞ぐことができるサイズを有する軟質材料から形成されてもよい。弾性的に変形されて挿入穴233に挿入される挿入突起610が呼気弁600の後面に設けられてもよい。
【0078】
着用者が息を吸うと、呼吸保護マスク10の内側がその外側よりも低い圧力を有するため、呼気弁600は、吸気弁500と同様に呼吸保護マスク10内へ引き込まれる力を受け得る。しかしながら、呼気弁600は支持リブ232によって支持されるため、呼気弁は、フレーム231の前面と密に接触して呼気ポート202を塞ぐことができる。着用者が息を吐くと、呼吸保護マスク10の内側がその外側よりも高い圧力を有するため、呼気弁600の自由端部(下端部)が挿入突起610に対して押し出され、したがって、呼気ポート202が開放する。そのため、空気を呼吸保護マスク10の外側へ排出できる。
【0079】
ヨーク固定溝235は、フレーム231の両側面に設けられてもよい。溝を形成する突起部の高さは、ジョイント320がヨーク固定溝235にスムーズに案内されるように前方へ向かって減少する。ヨーク固定溝235は、ジョイント320の形状に対応する形状を有してもよく、また、ヨーク300がジョイント320の周りで回転できるように形成される。
【0080】
この実施形態の場合のようにヨーク固定溝235がフレーム231の両側面に設けられると、弁座200の下部を固定するための構造を加えるために弁座200が大きい長さを有する必要がないため、弁座200の垂直長さをより小さくなるように設定できる。
【0081】
一方、吸気ユニット220の上側延出部227および上側結合部229のそれぞれに対応する機能を有する下側延出部236および下側結合部237がフレーム231の後端部に形成されてもよい。
【0082】
具体的には、下側延出部236は、第2の穴102よりも大きい直径を有するように形成される。弁座200がシールフェイスピース要素100と結合されると、第2の表面140は、下側延出部236との干渉に起因して弾性的に変形されて、その当初の状態に再び戻り、下側延出部236の後方に移動されて、下側結合部237内へ挿入されてもよい。
【0083】
下側結合部237は、第2の穴102の直径に対応するサイズを有してもよく、また、下側延出部236と下部212の前面との間に溝形態を成して設けられてもよい。第2の表面140が下側結合部237内に挿入されると、シールフェイスピース要素100と呼気ユニット230との結合状態、すなわち、弁座200の下部212との結合状態を、特定のレベル以上の外力がシールフェイスピース要素100に印加される前に維持できる。
【0084】
以下、前述した構成を有する呼吸保護マスク10の組み付け方法について詳しく説明する。
【0085】
図12は、シールフェイスピース要素と
図4の弁座とが結合される場合の斜視図である。
図13は、シールフェイスピース要素と
図12の弁座とが結合される状態でヨークの下端部が結合される場合の斜視図である。
図14は、シールフェイスピース要素と
図13の弁座とヨークとの結合が完了される状態の断面図である。
【0086】
図12〜
図14を参照すると、吸気弁500が弁座200の後方から吸気ユニット220と結合されるとともに、呼気弁600が弁座200の前方から呼気ユニット230と結合される間に、弁座200がシールフェイスピース要素100と結合される。
【0087】
この場合、第1の表面130が弾性的に変形されて上側結合部229内へ挿入されるとともに、第2の表面140が弾性的に変形されて下側結合部237内へ挿入される。したがって、シールフェイスピース要素100の後面が弁座200の前面と密に接触できる。吸気ユニット220の取り付け部226、上側延出部227、および、短縁部228は、第1の穴101を通過して、前方に露出される。呼気ユニット230のフレーム231、ヨーク固定溝235、および、下側延出部236は、第2の穴102を通過して、前方に露出される。
【0088】
シールフェイスピース要素100と弁座200との結合が完了されると、ヨーク300が弁座200と結合される。具体的には、ヨーク300のジョイント320が最初にヨーク固定溝235内へ挿入される。その後、ヨーク300を上方へ回転させることによって、ヨークロック部312が弾性的に変形され、その後、ヨークロック部312が短縁部228にロックされる。したがって、ヨーク300を弁座200に固定できる。
【0089】
この場合、吸気ユニット220の取り付け部226は、吸気経路301を通過して、前方に露出されるとともに、その後、濾過カートリッジ等と結合されてもよい。
【0090】
前記組み付けプロセス中に任意の手続きで、ストラップ400がヨーク300のループ350に接続されてもよい。
【0091】
前述したように、ボルトまたは溶接などの結合用の別個の装置が必要な締結方法を使用することなく本実施形態に係る呼吸保護マスク10を容易に組み付けることができるため、製造生産性を向上させることができる。特に、弁座200が吸気ユニット220および呼気ユニット230の両方を含むため、言い換えると、吸気ユニット220および呼気ユニット230が1つの構成要素として製造されるため、呼吸保護マスク10を構成する構成要素の総数を減らして、弁座200とシールフェイスピース要素100とを簡単に組み付けることができる。結果として、呼吸保護マスク10の製造生産性を向上させることができる。
【0092】
以下、この実施形態に係る前述した構成を有する呼吸保護マスク10の機能および効果について説明する。
【0093】
前述したプロセスによって組み付けが完了されると、ユーザは、ストラップ400を使用して呼吸保護マスク10を着用できる。
【0094】
呼吸保護マスク10は、着用状態で着用者の鼻および口を塞ぐ。着用者の呼吸にしたがって、吸気弁500および呼気弁600が変形され、空気が呼吸保護マスク10内に流れることができ、あるいは、空気を呼吸保護マスク10の内側から排出することができる。
【0095】
具体的には、着用者が息を吸うと、吸気弁500は、支持要素221へ挿入されつつ後方へ移動し、あるいは、吸気ポート201を開放するように変形され、また、呼気弁600は、フレーム231の前面と密に接触して、呼気ポート202を塞ぐ。したがって、空気は、吸気ポート201を通じて呼吸保護マスク10内に流れることができる。着用者が息を吐くと、吸気弁500は、支持リブ223によって支持される支持要素221へ挿入されつつ移動されて、吸気ポート201を塞ぎ、また、呼気弁600は、フレーム231の前面から離脱されて、呼気ポート202を開放する。そのため、空気は、呼気ポート202を通じて呼吸保護マスク10の外側に排出され得る。
【0096】
前述した機能によれば、呼吸保護マスク10の外側の破片や有害物質等が着用者の気道内ヘ導入されることを防止できる。
【0097】
特に、本実施形態において、支持リブ223は、その垂直断面積が吸気ポート201の前方へ向かって減少する形状を有するため、着用者が息を吸うときに吸気ユニット220で生じる空気の圧力降下および不安定な流れ現象を減らすことができる。したがって、着用者は、労力を殆ど伴わずに十分な量の空気を吸入できるため、容易に呼吸できる。
【0098】
特に、支持リブ223の前端部は、丸くなるように処理されて、略流線形の形状を有するため、空気の圧力降下および不安定な流れ現象をより効果的に回避できる。
【0099】
また、溝224が支持リブ223の後面に形成されると、支持リブ223を構造的に強化することができ、射出プロセスにおける変形を回避できるとともに、吸気弁500を支持リブ223とより確実に密着させて支持できる。
【0100】
図15は、本装置の実施形態に係る呼吸保護マスクの吸気ポートを通過する空気量の変化を示すシミュレーション結果である。
図16は、本装置の実施形態に係る呼吸保護マスクの吸気ポートを通過する空気の圧力の変化を示すシミュレーション結果である。
【0101】
図15および
図16において、左側のシミュレーション結果は、垂直断面積の変化を有さない関連技術における支持リブが適用される呼吸保護マスクのシミュレーション結果である。右側のシミュレーション結果は、その垂直断面積が前方へ向かって減少する形状を有するこの実施形態に係る支持リブが適用される呼吸保護マスクのシミュレーション結果である。
【0102】
図15および
図16を参照すると、実施形態では、吸気ユニット220を通過する所定の速度勾配の空気流がより安定的に分配されて、圧力降下量が更に減少されることが理解され得る。
【0103】
本装置の実施形態が以下に記載される。
【0104】
項目1は、シールフェイスピース要素と、吸気ポートが形成される吸気ユニットおよび呼気ポートが形成される呼気ユニットを含む弁座と、吸気ポートを選択的に塞ぐ吸気弁と、呼気ポートを選択的に塞ぐ呼気弁とを含む呼吸保護マスクであって、吸気ユニットが、吸気ポートの内側に配置されて吸気弁を支持するように構成される支持要素と、吸気ポートの内周面に接続される一端部、支持要素に接続される他端部、および、支持要素から見たときに吸気ポートの前方へ向けて減少する垂直断面積を有する少なくとも1つの支持リブとを含む、呼吸保護マスクである。
【0105】
項目2は、支持リブが、吸気ポートから前方に延びる楔形状を有する、項目1の呼吸保護マスクである。
【0106】
項目3は、支持リブが、丸みのある前端部を有する、項目1または項目2の呼吸保護マスクである。
【0107】
項目4は、支持リブが、垂直断面積の変化量が吸気ポートの前方へ向けて増大する部分を含む、項目1〜3の呼吸保護マスクである。
【0108】
項目5は、支持要素から見たときに、支持リブの断面積が、支持要素から離れるにしたがって増大する、項目1〜4の呼吸保護マスクである。
【0109】
項目6は、後方へ向けて開放する溝が支持リブの後面に形成される、項目1〜5の呼吸保護マスクである。
【0110】
項目7は、溝が支持リブの延在方向に沿って延びる、項目1〜6の呼吸保護マスクである。
【0111】
項目8は、シールフェイスピース要素と、吸気弁が装着される上部および上部よりも後方に傾けられて呼気弁が装着される下部を含む弁座と、下部から突出して呼気弁を支持するように形成されるとともに下端へ向けて増大する突出長さを有するフレームとを含む呼吸保護マスクである。
【0112】
項目9は、呼気弁が密に接触するフレームの前部が、呼気弁が重力の方向に向けて長手方向に延びるように、配置されるように形成される、項目8の呼吸保護マスクである。
【0113】
項目10は、呼気弁が密に接触するフレームの前部が、呼気弁の上端部が下端部よりも後方に配置されるように、配置されるように形成される、項目8および9の呼吸保護マスクである。
【0114】
項目11は、シールフェイスピース要素の前面を部分的に覆うヨークを更に含み、ヨークの後面の下側にジョイントが形成され、ジョイントが結合されるヨーク固定溝が、フレームの両側面に形成される、項目8〜10の呼吸保護マスクである。
【0115】
項目12は、ヨークがジョイントの周りで回転可能に移動でき、ヨークが最初にジョイントを用いて結合された後に回転してヨークの上側が弁座と結合される方法によって組み付けが行なわれる、項目8〜11の呼吸保護マスクである。
【0116】
項目13は、シールフェイスピース要素が挿入される溝である上側結合部と、上側結合部を形成する上側延出部とが弁座に設けられ、上側延出部の端部に形成される短縁部に挿入されるヨークロック部がヨークの後面に形成され、ヨークロック部が弾性的に変形されて短縁部に挿入される、項目8〜12の呼吸保護マスクである。
【0117】
項目14は、弁座がシールフェイスピース要素の後部に結合される、項目8〜13の呼吸保護マスクである。
【0118】
以上、本装置の呼吸保護マスクの詳細な実施形態を説明してきたが、これらは単なる例であり、本装置は、これらの例に限定されず、この明細書中に開示される基本的な考えにしたがって最も幅広い範囲を有するように解釈され得る。当業者は、本装置の範囲から逸脱しない範囲内で開示された実施形態を組み合わせて置き換えることによって、示唆されない形状のパターンを実施してもよい。また、当業者は、この明細書に基づいて開示された実施形態を容易に変更して修正してもよく、また、そのような変更および修正が本装置の範囲内に入ることは明らかである。