特許第6571951号(P6571951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571951
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】火災感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20190826BHJP
   G08B 17/10 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G08B17/00 K
   G08B17/10 K
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-38005(P2015-38005)
(22)【出願日】2015年2月27日
(65)【公開番号】特開2016-162042(P2016-162042A)
(43)【公開日】2016年9月5日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】八武▲崎▼ 雄介
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−217045(JP,A)
【文献】 特開平07−230585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災受信機から延設された感知器回線に接続され、電源供給されるとともに前記感知器回線の電圧を変動させて火災を通知し、外部試験器から試験命令を受信すると試験を行う火災感知器において、
火災感知器の内部に流れ込む電流を制限する電流制限部と、
火災感知器の内部電圧の低下を防ぐ蓄電部と、
前記内部電圧を監視する電圧監視部と、
前記試験命令を受信したときに、前記電圧監視部が前記内部電圧を動作可能電圧以上と判定した場合に試験を行い、動作可能電圧未満と判定した場合に、前記電流制限部の電流制限を緩和させる試験部と、を備えたことを特徴とする火災感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験命令を受信すると、試験を行って試験結果信号を返送する火災感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションなどの共同住宅用の火災報知設備には、住居人が不在の場合でも外部から火災感知器の点検ができるように、外部試験器を接続するための中継装置を火災受信機と火災感知器を接続する感知器回線に介在させたものがある。このような火災報設備では、通常時火災受信機と火災感知器が接続されており、外部試験器が中継装置に接続されると、中継装置により火災受信機と火災感知器の接続が切断され、外部試験器と火災感知器が接続される。外部試験器は、火災感知器と接続されると火災感知器に試験命令を送信し、火災感知器に試験を実行させる(例えば、特許文献1)。
また、一般的に火災感知器はコンデンサ等の蓄電部を備え、ノイズ等の感知器回線の瞬間的な電圧変動、火災検出時等、火災感知器内部の瞬間的な電流増加等で火災感知器の内部電圧が低下しないようにして誤作動や動作停止を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−48419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
火災感知器は、火災受信機と接続されている状態から外部試験器に接続される場合には、火災受信機からの電源供給によって蓄電部が充電されているため、直ちに外部試験器からの試験命令に従って動作することができる。しかしながら、施工中など火災受信機と火災感知器が接続されていない状態から、外部試験器によって火災感知器を試験する場合には、蓄電部が充電されるまで火災感知器が動作しないため、火災感知器の試験に時間がかかってしまっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る火災感知器は、火災受信機から延設された感知器回線に接続され、電源供給されるとともに前記感知器回線の電圧を変動させて火災を通知し、外部試験器から試験命令を受信すると試験を行う火災感知器において、火災感知器の内部に流れ込む電流を制限する電流制限部と、火災感知器の内部電圧の低下を防ぐ蓄電部と、前記内部電圧を監視する電圧監視部と、前記試験命令を受信したときに、前記電圧監視部が前記内部電圧を動作可能電圧以上と判定した場合に試験を行い、動作可能電圧未満と判定した場合に、前記電流制限部の電流制限を緩和させる試験部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、外部試験器から試験命令を受信したときに、火災感知器の内部電圧が低い場合には、電流制限を緩和させて蓄電部を急速充電して内部電圧を急速に上昇させるため、火災感知器を早急に動作させることができ、試験に時間がかからず点検時間を短縮することができる。
また、内部電圧が上昇した後に、急速充電を停止させるため、外部試験器の電池の負担を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る火災感知器およびそれを備えた火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
図2】本発明の実施の形態の変形例に係る火災感知器およびそれを備えた火災報知設備の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る火災感知器30およびそれを備えた火災報知設備1の一例を示す概略構成図である。
火災報知設備1は、建物(例えば、ホテル、マンションなどの集合住宅、オフィスビル、商業施設など)の各部屋に設置される火災感知器30と、火災感知器30の検出結果に基づいた警報を行う火災受信機10とが、建物の共用部に設置される中継装置20を介して感知器回線である受信機側配線50および感知器側配線51によって接続されている。外部試験器40は、火災感知器30を部屋の外から試験するものであり、試験器接続線52を介して中継装置20に接続される。
【0009】
(火災受信機の構成)
火災受信機10は、回線電源部11、火災判定部12および警報部13を備える。
回線電源部11は、図示しない商用電源から供給された交流電圧を例えば直流24Vに変換して、火災感知器30の電源として、感知器回線である受信機側配線50および感知器側配線51によって火災感知器30に供給され通電する。回線電源部11は、トランスおよび平滑回路による電源回路、あるいはAC/DC変換電源装置などである。
ここで、図1において受信機側配線50および感知器側配線51は、1対のペア配線であり、ペア配線の一方には回線電源部11のプラスに、他方はマイナスに接続され、電圧が印加されている。
【0010】
火災判定部12は、受信機側配線50の電圧と火災閾値電圧とを比較し、受信電圧が火災閾値電圧以下となった場合に、火災感知器30が火災信号を発している、つまり火災の発生と判定する。
警報部13は、火災判定部12が火災発生と判定すると、図示しない表示灯やLCD装置等の表示装置とブザーやスピーカ等の音響装置によって火災の発生を警報する。
【0011】
(中継装置の構成)
中継装置20は、試験器検出部21および切替部22を備える。
試験器検出部21は、中継装置20に外部試験器40が試験器接続線52を介して接続されたことを検出する。
切替部22は、感知器側配線51を受信機側配線50または試験器接続線52のどちらかに接続する。切替部22は、通常時に感知器側配線51と受信機側配線50を接続し、火災感知器30を火災受信機10に接続する。そして、切替部22は、試験器検出部21が外部試験器40の接続を検出すると、感知器側配線51と試験器接続線52を接続し、火災感知器30と外部試験器40を接続する。
【0012】
(火災感知器の構成)
火災感知器は、煙感知器、熱感知器、炎感知器等があるが、ここでは火災時に発生する煙を検知して火災を検出する光電式煙感知器を例に説明する。
火災感知器30は、電流制限部31、蓄電部32、電圧監視部33、火災検出部34、状態出力部35および試験部36を備える。
電流制限部31は、火災感知器30に電源供給を開始した直後の突入電流や火災感知器30が火災検出時等の瞬間的な大きな電流によって、感知器側配線51の電圧が急激に変化しないように、火災感知器30の内部に流れ込む電流を制限する。電流制限部31は、感知器側配線51の電圧変動を火災受信機10が火災発生と誤判断しない範囲である通常電流値に抑える通常制限と、蓄電部32を急速に充電するために通常電流値よりも大きい急速電流値に電流制限を緩和させる急速充電制限の二通りの制限を行うことができる。
【0013】
蓄電部32は、感知器側配線51を介して火災受信機10または外部試験器40から供給される電源で充電されて電荷を蓄える。そして、火災感知器30が火災検出時等の瞬間的に大きな電流を必要とする動作を行うときに、電流制限部31によって制限され不足する電流を、蓄電部32が電荷を放出して補い内部電圧の低下を防ぐため、火災感知器30が動作不能になる、あるいは誤動作することがない。なお、蓄電部32は、中継装置20が感知器側配線51への接続を受信機側配線50から試験器接続線52あるいは試験器接続線52から受信機側接続線50に切り替えるときに、火災感知器30に電源が供給されない切り替え中の期間に電荷を放出し、火災感知器30が動作不能になったり、あるいは誤動作したりすることがない容量となっている。
【0014】
電圧監視部33は、蓄電部32の電圧ひいては火災感知器30の内部電圧が、火災感知器30が正常に動作する動作可能電圧以上であるか否かを判定する。電圧監視部33は、所定電圧以上になるまで火災感知器30の動作を禁止して、火災感知器30の誤動作を防ぐ。
火災検出部34は、火災時に発生する煙を検知して火災を検出するものであり、図示しない発光部および受光部を有する。火災検出部34は、火災検出動作として発光部を所定時間毎に発光させる。煙が存在すると煙によって光が散乱され、受光部でその散乱光を受光する。火災検出部34は、受光部の受光した散乱光が所定の受光量を超えたときに火災として検出する。なお、火災感知器30の消費電流は発光部が発光していない時、数十μAであるのに対して、発光部を発光させた時は、数百mAと1万倍程度の電流を流す必要がある。
【0015】
状態出力部35は、火災検出部34が火災を検出したときに、低インピーダンス状態となり、感知器側配線51の線間インピーダンスを低くして、感知器側配線51の電圧を低下させて、火災受信機10に火災の発生を通知する。
試験部36は、感知器側配線51を介して外部試験器40から試験命令を受信すると、火災検出部34に試験を行わせる。試験部36は、火災検出部34の試験結果に基づき、状態出力部35を低インピーダンス状態にして、外部試験器40に火災感知器30の試験結果を返送する。また、試験部36は、外部試験器40から試験命令を受信したときに、火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以下の場合には、電流制限部31を急速充電制限に切り替えて電流制限を緩和させる。
【0016】
(外部試験器の構成)
外部試験器40は、電池41、接続検出部42、試験制御部43および結果表示部44を備える。
電池41は、外部試験器40に電源を供給して外部試験器40を動作させる。また、電池41は、試験器接続線52を介して、火災感知器30に電源供給を行う。
接続検出部42は、試験器接続線52を介して、外部試験器40が中継装置20に接続されたことを検出する。
試験制御部43は、外部試験器40が中継装置20に接続されると、火災感知器30に試験命令を送信する。試験制御部43は、火災感知器30からの試験結果の返送を受信して、試験結果を判定する。
結果表示部44は、LED等の表示灯やLCD装置を有し、試験制御部43の試験結果の判定に基づき、火災感知器30の試験結果を表示する。
【0017】
(火災感知器を含む火災報知設備の動作)
火災感知器30を含む火災報知設備1の動作について説明する。
火災報知設備1は、火災受信機10に電源が供給されると動作を開始する。
火災受信機10に電源が供給されると、回線電源部11から受信機側配線50に電源が供給され、中継装置20の切替部22が受信機側配線50と感知器側配線51を接続し、火災感知器30に電源を供給する。
火災感知器30は、電源が供給されると電流制限部31が通常制限を行い、通常電流値により火災感知器30の内部に電流が流れ、蓄電部32が徐々に充電される。
電圧監視部33は、蓄電部32が充電され火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以上になると、火災検出部34の動作を許可する。
【0018】
火災検出部34は、動作が許可されると、所定時間毎(例えば3秒毎)に発光部を発光させ火災検出動作を行う。発光部を発光させるための電流は、電流制限部31による通常制限よりも多いが、蓄電部32から不足分の電流が供給されるため、火災感知器30の内部電圧は低下せず火災感知器30は誤作動することなく火災検出動作を継続する。また、感知器側配線51の電圧変動が発生しないので、火災受信機10が火災発生と誤判断することがない。蓄電部32は、火災検出動作の合間に充電される。
【0019】
火災検出動作により、火災検出部34が火災の発生を検出すると、状態出力部35が低インピーダンス状態となって、感知器側配線51および受信機側配線50の電圧を低下させ、火災受信機10に火災発生が通知される。
火災受信機10の火災判定部12は、受信機側配線50の電圧が火災閾値電圧以下になると、火災発生と判断し、警報部13が火災発生を警報する。
【0020】
次に、部屋の外から火災感知器30を試験するために外部試験器40が中継装置20に接続されたときの動作について説明する。
中継装置20は、外部試験器40が試験器接続線52を介して接続されると、試験器検出部21が外部試験器40の接続を検出し、切替部22が感知器側配線51への接続を受信機側配線50から試験器側接続線52への接続に切り替える。これにより、感知器側配線51を介して火災感知器30に供給される電源は、火災受信機10から外部試験器40に切り替わる。
火災感知器30は、火災受信機10から外部試験器40に電源の供給が切り替わる期間(例えば10ms間)、火災受信機10および外部試験器40のどちらからも電源が供給されないため、蓄電部32から電流を供給して動作を継続する。
【0021】
外部試験器40は、接続検出部42が中継装置20に接続されたことを検出すると、試験制御部43が試験器接続線52および感知器側配線51の電圧を変動させて複数の矩形波のパルスを組み合わせた試験命令を火災感知器30に送信する。
火災感知器30の試験部36は、外部試験器40からの試験命令を受信すると、電圧監視部33が火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以上と判定している場合に、火災検出部34に試験を行わせる。火災検出部34は、試験動作として、発光部を発光させて発光光量が低下していないか、受光部の受光量が低下していないか等の確認を行う。
【0022】
試験が完了すると、状態出力部35が感知器側配線51の電圧を変動させて試験結果を外部試験器40に返送する。試験結果は、試験正常か試験異常かを複数の矩形波のパルスの組み合わせによって返送してもよいし、正常の場合には感知器側配線51の電圧を所定の値以下に100ms間低下させ、異常の場合には200ms間低下させるようにして、1つのパルスの幅の差によって返送するようにしてもよい。
外部試験器40は、火災感知器30から試験結果を受信すると、試験制御部43が試験結果を判定し、その判定結果に基づき結果表示部44が試験正常または試験異常を表示する。
なお、外部試験器40は、試験命令を送信したにもかかわらず、火災感知器30から試験結果の返送がない場合には、火災感知器30に複数回(例えば3回)試験命令を再送信し、それでも試験結果の返送がない場合には、結果表示部44に試験実施不能を表示する。
【0023】
次に、火災受信機10と中継装置20が接続されていない場合、例えば、火災報知設備1が施工中で火災受信機10が設置されていない、あるいは火災感知器30と中継装置20が部屋に設置されているが火災受信機10と接続されていない場合等に、外部試験器40により火災感知器30の試験を行う場合について説明する。
中継装置20に試験器接続線を介して外部試験器40が接続されると、試験器検出部21が外部試験器40の接続を検出し、切替部22が感知器側配線51と試験器側接続線52を接続して、火災感知器30に電源が供給される。
外部試験器40は、接続検出部42が中継装置20に接続されたことを検出すると、試験制御部43が試験命令を火災感知器30に送信する。
【0024】
火災感知器30は、試験部36が外部試験器40からの試験命令を受信すると、電圧監視部33が火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以上であるか判定する。
しかしながら、前述の火災感知器30が火災受信機10と接続されている状態から火災感知器30の試験を行う場合と異なり、火災感知器30の内部電圧は動作可能電圧未満である。これは、外部試験器40から電源供給を受けるまで火災感知器30の蓄電部32が空の状態だったためである。
【0025】
そのため、試験部36から火災検出部34の試験は実行されない。その代わりに試験部36は、電流制限部31の電流制限を緩和するために通常制限から急速充電制限に切り替え、蓄電部32を急速に充電して、内部電圧を急速に上昇させる。ここで、急速充電制限時の急速電流値は、試験結果の返送がないため外部試験器40が再送信する次の試験命令の受信までに、火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧よりも高くなるように、蓄電部32が充電される電流値となっている。
【0026】
火災感知器30は、外部試験器40から再送された試験命令を試験部36が受信すると、試験部36は、火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以上であると電圧監視部33が判定していることを確認し、火災検出部34に試験を行わせる。そして、試験部36は、電流制限部31を急速充電制限から通常制限に切り替え、電流制限の緩和を解除する。
また、試験部36は、電流制限部31が急速充電制限である場合に、所定時間の経過後に外部試験器40から試験命令を受信できない場合には、電流制限部31を通常制限に戻す。
【0027】
試験が完了すると、状態出力部35が感知器側配線51の電圧を変動させて試験結果を外部試験器40に返送する。
外部試験器40は、火災感知器30から試験結果を受信すると、試験制御部43が試験結果を判定し、その判定結果に基づき結果表示部44が試験正常または試験異常を表示する。
【0028】
上記のように、火災感知器30は、外部試験器40から試験命令を受信したときに、内部電圧が低い場合には、電流制限部31の電流制限を緩和して蓄電部32を急速充電し、内部電圧を急速に上昇させるため、火災感知器を早急に試験動作させることができ、試験に時間がかからず点検時間を短縮することができる。
また、内部電圧が上昇した後に、電流制限部31の電流制限の緩和を停止させるため、外部試験器40の電池41の負担が最小限に抑えられる。
なお、急速電流値は、少なくとも外部試験器40から再送信される試験命令の最終回の受信開始までに、火災感知器30の内部電圧が動作可能電圧以上となる電流値であればよい。また、火災感知器30が急速充電制限に切り替えるタイミングは、外部試験器40からの複数の矩形波のパルスの組み合わせによる試験命令の全てを受信した後ではなく、幾つかのパルスの受信で試験命令と判断できた時点とすることもできるし、最初のパルスのエッジを判断した時点とすることもできる。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態の変形例を示す図である。
本発明の実施の形態においては、試験部36が外部試験器40から試験命令を受信したとき、電圧監視部33が火災感知器30の内部電圧が動作電圧以上と判定しているか否かにより、試験の実行や電流制限部31の電流制限を切り替えていたが、変形例では電圧監視部33を削除し、試験部36が下記の様に動作する。
【0030】
火災感知器30の試験部36は、外部試験器40からの試験命令を受信すると、電流制限部31を緩和するために通常制限から急速充電制限に切り替え、蓄電部32を急速に充電する。試験部36は、所定時間経過後に電流制限部31を急速充電制限から通常制限に戻し、火災検出部34に試験を行わせる。ここで、急速充電制限時の急速電流値および急速充電制限に切り替える所定時間の積は、外部試験器40から再送される次の試験命令の受信までに火災感知器30が動作できる電圧まで内部電圧が上昇する値になっている。
【0031】
上記のように、本発明の実施の形態の変形例では、外部試験器からの試験命令を受信したときに試験部36が電流制限部31の電流制限を緩和して蓄電部32を急速充電し、内部電圧を急速に上昇させるため、火災感知器を早急に動作させることができ、試験に時間がかからず点検時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0032】
1 火災報知設備、10 火災受信機、11 回線電源部、12 火災判定部、13 警報部、20 中継装置、21 試験器検出部、22 切替部、30 火災感知器、31 電流制限部、32 蓄電部、33 電圧監視部、34 火災検出部、35 状態出力部、36 試験部、40 外部試験器、41 電池、42 接続検出部、43 試験制御部、44 結果表示部、50 受信機側配線、51 感知器側配線、52 試験器接続線
図1
図2