特許第6571962号(P6571962)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6571962
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 1/28 20060101AFI20190826BHJP
   F16H 55/22 20060101ALI20190826BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   F16H1/28
   F16H55/22
   B25J15/08 C
   B25J15/08 D
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-62776(P2015-62776)
(22)【出願日】2015年3月25日
(65)【公開番号】特開2016-183680(P2016-183680A)
(43)【公開日】2016年10月20日
【審査請求日】2018年2月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000103792
【氏名又は名称】オリエンタルモーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100107319
【弁理士】
【氏名又は名称】松島 鉄男
(74)【代理人】
【識別番号】100114591
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 英文
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100154298
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100170379
【弁理士】
【氏名又は名称】徳本 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100161001
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 篤司
(72)【発明者】
【氏名】染谷 和志
【審査官】 前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭58−51988(JP,U)
【文献】 特開2004−19774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/28
B25J 15/08
F16H 55/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸に対して出力軸が直交方向になるギヤ機構において、入力段に遊星歯車機構を設け、出力段の方向変換に直交軸歯車機構を設け、前記遊星歯車機構の太陽歯車を入力軸とし、前記遊星歯車機構の内歯車の出力端部直接、直交軸歯車機構の歯車を成形し、該直交軸歯車機構の歯車に噛み合う出力歯車を前記入力軸と直交する出力軸に装着したことを特徴とする多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【請求項2】
前記直交軸歯車機構の歯車に噛み合う出力歯車を複数設け、これら複数の出力歯車を前記入力軸に直交して設けられた複数の出力軸にそれぞれ装着したことを特徴とする請求項1に記載の多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【請求項3】
前記複数の出力軸が、出力方向から見た回転方向がすべて等しく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【請求項4】
前記複数の出力軸にそれぞれロボットハンドを取り付け、前記出力軸の回転に伴ってロボットハンドを操作することを特徴とする請求項2に記載の多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【請求項5】
前記直交軸歯車機構の歯車がフェース歯車であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【請求項6】
前記直交軸歯車機構の歯車がかさ歯車であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊星歯車機構と直交軸歯車機構を用いたギヤ機構に係り、直交軸歯車機構からの出力として1またはそれ以上の追加の動力を取り出すことができる多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のギヤ機構として、特許文献1に記載されているものがある。特許文献1には、原動機から延在したピニオンシャフトの一端にスパーギヤ形式のピニオンを有し、このピニオンは、フェースギヤと噛み合っている。ピニオンが回転することで、フェースギヤを駆動している。ピニオンからフェースギヤの周辺を180°回った位置に非遊動スパーギヤが取り付けられている。この非遊動スパーギヤを支持するシャフトの他端は、補助装置に作動連結されて、シャフトからの動力を受け取るようにすることができる。さらに、複数の非遊動スパーギヤおよびシャフトがフェースギヤの周辺に沿って追加されて補助装置に動力を供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3075483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、フェースギヤに噛み合う遊動ピニオンを回転することでフェースギヤを駆動するため、遊動ピニオンの方向に出力することができない。さらに、遊動ピニオンからフェースギヤは減速となるが、フェースギヤから非遊動ピニオンへは増速となる。つまり、入力となる遊動ピニオンと出力となる非遊動ピニオンの回転速度比は、1:1の関係となり、出力トルクを上げることができないという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、一つの入力軸から直交する一つまたは複数の出力軸が得られ、直交軸歯車機構の歯車部の全周から出力軸を多方向に出すことができる多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、入力軸に対して出力軸が直交方向になるギヤ機構において、入力段に遊星歯車機構を設け、出力段の方向変換に直交軸歯車機構を設け、前記遊星歯車機構の太陽歯車を入力軸とし、前記遊星歯車機構の内歯車の出力端部直接、直交軸歯車機構の歯車を成形し、該直交軸歯車機構の歯車に噛み合う出力歯車を前記入力軸と直交する出力軸に装着したことにある。また、前記直交軸歯車機構の歯車に噛み合う出力歯車を複数設け、これら複数の出力歯車を前記入力軸に直交して設けられた複数の出力軸にそれぞれ装着して複数の個所から出力をとりだすことができる。さらに、前記複数の出力軸が、出力方向から見た回転方向がすべて等しく設定されていることから各方向にそれぞれ同一の出力を取り出すことができる。また、前記複数の出力軸にそれぞれロボットハンドを取り付け、前記出力軸の回転に伴ってロボットハンドを操作して作業ロボットに設定することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、入力段に遊星歯車機構を設け、出力段の方向変換に直交軸歯車機構を設け、前記遊星歯車機構の太陽歯車を入力軸とし、前記遊星歯車機構の内歯車の出力端部直接、直交軸歯車機構の歯車を成形し、この直交軸歯車部の歯車に噛み合う出力歯車を前記入力軸と直交する出力軸に装着したので、直交軸歯車機構の歯車部の全周から出力軸を多方向に出すことができる。遊星歯車機構および直交軸歯車機構により必要な減速(トルクアップ)が得られる。遊星歯車機構の内歯車に直接、直交軸歯車機構の歯車を成形しているので、部品点数の削減を図れ、入力軸方向が小型になる。180°対角の軸は反対方向の動作ができるため、対称的動作が必要な機構を簡単に製造できる。遊星歯車機構の原理に基づいて、遊星歯車は2個または4個など、その他の個数でも良い。また減速比も自由に設定することができる。内歯歯車に設けられた直交軸歯車機構の歯車の歯数および出力歯車の歯数を設定することで、増速、減速、その比率も自由に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態による多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構を示す正面図である。
図2図1のA−A線断面図である。
図3図1の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態による3方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
図5】本発明の他の実施の形態による90°の角度を成す2方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
図6】本発明の他の実施の形態による180°の角度を成す2方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
図7】本発明の他の実施の形態による1方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施の形態による出力軸を180°の角度を成す対角に設置した出力歯車で減速して2方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
図9】モータと減速機を組み付けた実施の形態で、モータの出力軸を太陽歯車とした、多方向自在出力ギヤ機構に組み付けた構造を示す概念図である。
図10図9のB−B線断面図である。
図11図9の多方向自在出力ギヤ機構に2個の爪部材を取り付けた実施の形態を示す斜視図である。
図12図9の多方向自在出力ギヤ機構に4個の爪部材を取り付けた実施の形態を示す斜視図である。
図13図9の多方向自在出力ギヤ機構にガイドレールと駆動ネジ軸を設け、駆動ネジ軸に支持された2個の爪部材をガイドレールに沿って接離自在に移動させる実施の形態を示す斜視図である。
図14図9の多方向自在出力ギヤ機構にガイドレールと駆動ネジ軸を設け、駆動ネジ軸に支持された4個の爪部材をガイドレールに沿って接離自在に移動させる実施の形態を示す斜視図である。
図15図9の多方向自在出力ギヤ機構に移動カムを設け、移動カムにより爪部材を取り付けたテーブルを操作する実施の形態を示す斜視図である。
図16】本発明の実施の形態による8方向に出力を取り出すギヤ機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明の第1の実施の形態を、図1ないし図3を参照しながら詳細に説明する。
図1ないし図3は、本発明の実施の形態による多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構を示したもので、遊星歯車機構100と、直交軸歯車機構であるフェース歯車機構200で構成されている。
【0010】
遊星歯車機構100は、モータなどの駆動源の出力軸から構成される太陽歯車1と、この太陽歯車1と同心状に配置された内歯車兼フェース歯車2と、前記太陽歯車1に噛み合うとともに、前記内歯車兼フェース歯車2の内歯車2bに噛合する3個の遊星歯車3とで構成されている。3個の遊星歯車3は、各遊星シャフト4に遊星軸受5を介して回転自在にそれぞれ支持されている。前記3本の遊星シャフト4は遊星シャフト補強リング6に固定ピン6aで固定されている。遊星シャフト補強リング6と反対側の遊星シャフト4には、遊星カラー13によって遊星軸受5を固定し、さらに、内歯車兼フェース歯車2の内歯車兼フェース歯車軸受7を支持する内歯車軸受ホルダ20に、遊星シャフト4の端面がピン6bで固定されている。これにより太陽歯車1を回転させると、3個の遊星歯車3は、公転しないで自転動作のみとなる。
【0011】
前記内歯車兼フェース歯車2の内歯車2bの外周面は、内歯車兼フェース歯車軸受7によって回転自在に内歯車軸受ホルダ20により支持されている。太陽歯車1による3個の遊星歯車3の自転が、内歯車2bに伝達され、内歯車兼フェース歯車2が回転駆動されるものである。
【0012】
前記内歯車兼フェース歯車2は、フェース歯車機構200のフェース歯車部2aが一体となって構成されており、フェース歯車部2aの周方向90°毎に4個の出力歯車9がフェース歯車部2aの面と直交方向に配置されて、噛み合わされている。この出力歯車9の中心には、フェース歯車部2aの面と平行に配置された出力軸10がそれぞれ締結されており、これら出力軸10は支持部に支持された1対の出力軸軸受11a,11bにより回転自在に支持されている。出力軸10の基端側を支持する出力軸軸受11aはフランジ12に設けられた中空の箱型のケース部12aに支持されている。このケース部12aには4面の壁部に開口穴12bが設けられ、この開口穴12bの内周面に前記基端側の出力軸軸受11aが組み付けられている。出力軸10の先端側を支持する出力軸軸受11bは図示しない出力軸軸受ハウジング22により支持されている。また、各一対の出力軸軸受11aと11bの間には出力軸10に支持された前記出力歯車9がケース部12aの各面に平行にそれぞれ設けられている。
【0013】
次に上記ギヤ機構の作用を説明する。
太陽歯車1の回転により遊星歯車機構100の原理により前記内歯車兼フェース歯車2が減速されて回転する。内歯車兼フェース歯車2の回転によりフェース歯車部2aが周方向に回転し、4個の出力歯車9が出力軸10に支持されてフェース歯車部2aの面と直交する4つの面上を回転する。こうして太陽歯車1から直交する方向で、それぞれ90°ごとに異なる4つの方向に延出された出力軸10から回転出力を得ることができる。各出力軸10の回転方向は、軸の出力方向から見た回転方向が全て等しくなる。
【0014】
図1ないし図3の場合、太陽歯車1の歯数が20、遊星歯車3の歯数が40、内歯車2bの歯数が100とすると、遊星歯車減速機(スター型)の原理により、内歯車兼フェース歯車2は、1/5に減速される。
内歯車兼フェース歯車2のフェース歯車部2aの歯数は120、出力歯車9の歯数は100とすると、フェース歯車部2aから出力歯車9へ1.2倍に増速となり、太陽歯車1から出力歯車9は約1/4に減速される。
【0015】
図4ないし図7は、本発明の他の実施の形態で、出力軸を自由に設定できることを示している。また、図1ないし図3と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
図4の実施の形態では、出力歯車9を3個とし、これら出力歯車9をそれぞれ支持する3本の出力軸10から3方向に出力を取り出すようにしたものである。
図5の実施の形態では、互いに90°角度を変えた出力歯車9を2個とし、これら出力歯車9をそれぞれ支持する2本の出力軸10から90°方向の異なる2方向に出力を取り出すようにしたものである。
図6の実施の形態では、互いに180°角度を変えた出力歯車9を2個とし、これら出力歯車9をそれぞれ支持する2本の出力軸10から180°方向の異なる2方向に出力を取り出すようにしたものである。
図7の実施の形態では、出力歯車9を1個とし、この出力歯車9を支持する1本の出力軸10から1方向に出力を取り出すようにしたものである。
このように出力歯車9の数を1〜4まで、必要に応じて選択することで、1〜4方向に自由に選択、出力することができる。
【0016】
次に図8は、出力軸の回転を減速した実施の形態を示したもので、図1ないし図3と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
図8は、2個の出力歯車9Bを180°異なる対角に配置したもので、出力歯車9Bの歯数Yを内歯車兼フェース歯車2のフェース歯車部2aの歯数Kよりも多くY>Kに設定している。
図1ないし図3の実施の形態の場合、太陽歯車1の歯数20、遊星歯車3の歯数40、内歯車2bの歯数100とすると、遊星歯車減速機(スター型)の原理により、内歯車兼フェース歯車2は、1/5に減速されている。
そして、内歯車兼フェース歯車2のフェース歯車部2aの歯数は120、出力歯車9Bの歯数は180とすると、フェース歯車部2aから出力歯車9Bへ1/1.5倍に減速となり、太陽歯車1から出力歯車9Bは約1/7.5に減速される。
【0017】
図9および図10は、モータの出力軸を太陽歯車1とし、多方向自在出力ギヤ機構に組み付けた例を示している。この場合も、図1ないし図3と同一部分は同符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
20は内歯車兼フェース歯車2の内歯車兼フェース歯車軸受7を支持する内歯車軸受ホルダであり、この内歯車軸受ホルダ20は、フランジ12とともに、出力ギヤケース21の両側開口部を支持している。出力ギヤケース21は角筒状の四面に形成された開口部に前記出力軸10を支持する出力軸軸受ハウジング22がそれぞれ設けられている。この出力軸軸受ハウジング22には前記出力軸10を回転自在に支持する前記出力軸軸受11a,11bの一方軸受11bが内装されている。前記各出力軸10を回転自在に支持する前記出力軸軸受11の他方軸受11aは前記フランジ12の中空部に内装されており、これら一対の出力軸軸受11a,11bの間には前記出力ギヤ9が前記出力軸10に支持されている。内歯車軸受ホルダ20の壁面に形成された開口穴にはモータ部23の回転軸(出力軸)23aによって構成される太陽歯車1が挿入されて、組み付けられている。
【0018】
この場合、モータ部23の駆動によって太陽歯車1が回転すると、前記した実施の形態と同様に、内歯車兼フェース歯車2の回転によりフェース歯車部2aが周方向に回転し、4個の出力歯車9が出力軸10に支持されて回転する。太陽歯車1から直交する方向で、それぞれ90°ごとに異なる4つの方向に延出された出力軸10から回転出力を得ることができる。
【0019】
図11ないし図15は、多方向に自在に出力を取り出すギヤ機構を利用した応用例を示したものである。
いずれも前記した実施の形態の機構を用いたもので、図9および図10の出力軸10から動力を取り出したものである。
【0020】
図11は、ギヤ機構の対角に設けられた出力軸10に爪部材30を装着したものである。一対の爪部材30は腕部となるアーム31の途中に互いに近づく方向に折り曲げた部分32を設けて、アーム31の先端爪部33が互いに同一の円弧上を移動するように構成されている。こうして先端爪部33の互いに対向する面に把持部34を形成し、これら把持部34を互いに接離させることで、搬送物を挟持する電動ハンドを構成している。
【0021】
図12は、ギヤ機構の4か所の出力軸10に図11と同様の爪部材30をそれぞれ装着したものである。これにより、対角となる爪部材30相互が互いに接離することで、4個の先端爪部33が集中したり離れたり移動し、把持部34により搬送物を挟持する電動ハンドを構成することができる。
【0022】
図13は、内歯車軸受ホルダ20の外面に水平方向に延びる長尺の平板状ガイドフレーム41を取り付け、このガイドフレーム41の下面に長手方向に設けられたガイドレール42に摺動自在にガイドブロック43が組み付けられている。ガイドブロック43はガイドレール42に沿って摺動するもので、ガイドブロック43の下面側にはテーブル44が装着されている。テーブル44にはガイドレール42と同方向に延びる駆動ネジ軸45が装着されており、この駆動ネジ軸45の先端は前記ギヤ機構の出力軸10に装着されている。駆動ネジ軸45はテーブル44に装着された駆動ネジナット46に螺合しており、出力軸10の回転に伴って駆動ネジ軸45が回転し、駆動ネジナット46をガイドレール42に沿って移動させるものである。テーブル44の下面にはハンド爪47が装着されており、駆動ネジ軸45の回転に伴ってハンド爪47が往復動操作されるものである。ハンド爪47は対角に設けられており、テーブル44、ガイドフレーム41、ガイドレール42等はカバー48によって覆われている。
この実施の形態では、モータ部23の駆動で、ギヤ機構を作動し、内歯車軸受ホルダ20の両側の出力軸10を駆動する。
これら出力軸10の回転に伴って両側の駆動ネジ軸45が回転し、駆動ネジナット46をガイドレール42に沿って互いに移動させる。駆動ネジナット46はテーブル44に装着されているので、テーブル44がガイドレール42に沿って移動し、ハンド爪47を図示矢印X、X´のように移動させる。180°対角側は、回転が逆となるためハンド爪47の動きは対称的な動きとなりハンド爪47が平行移動できるハンド機構ができる。こうして、ハンド爪47を互いに接離させることにより搬送物の挟持を行い、ロボットハンドとして装置を組み付けることにより作業用ロボットのハンド機構として作業を行うことができる。
【0023】
図14は、図13の機構を90°対角に4方向に設置したものであり、4本のハンド爪47を備えた機構となる。こうして4本のハンド爪47を同時に接離させることにより作業用ロボットのハンド機構として装置に組み付けることができる。
【0024】
図15は、また、別の実施の形態で、ギヤ機構のフランジ12を下面側に配置し、このフランジ12の端面にガイドフレーム51を固定している。ガイドフレーム51の下面側に設けられたガイドレール52に2個のガイドブロック53を組み付け、それぞれテーブル54を支持している。テーブル54の側面には、一端部を出力軸10に取り付けられた移動カム55の他端部に設けられた長穴55aがテーブル案内ピン56に係止されて搖動可能に支持されている。一対の移動カム55は180°の対角に設けられた出力軸10にそれぞれ一端部を装着されており、移動カム55の他端部に形成された長穴55aがテーブル案内ピン56に係止されている。こうして、出力軸10が回転すると、テーブル54に取り付けられたハンド爪57は移動カム55の回動動作に従って図示矢印X,X´のように互いに接離可能に操作され、ハンド機構として動作する。
【0025】
以上のように、上記実施の形態によれば、入力段に遊星歯車機構100を設け、出力段の方向変換にフェース歯車機構200を設け、前記遊星歯車機構100の太陽歯車1を入力軸とし、前記遊星歯車機構100の内歯車に内歯車兼フェース歯車2を用いるとともに、このフェース歯車部2aのフェース歯車に噛み合う出力歯車9を前記入力軸と直交する出力軸10に装着したので、フェース歯車機構200のフェース歯車部2aの全周から出力軸を多方向に出すことができる。遊星歯車機構100およびフェース歯車機構200により必要な減速(トルクアップ)が得られる。遊星歯車機構100の内歯車に直接、フェース歯車機構200のフェース歯車を成形しているので、部品点数の削減を図れ、入力軸方向が小型になる。180°対角の軸は反対方向の動作ができるため、対称的動作が必要な機構を簡単に製造できる。こうして、2本または4本の出力軸に取り付けた2本または4本のハンド爪を同時に接離させることにより作業用ロボットのハンド機構として装置に組み付けて用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、前記実施の形態のみに限定されず、例えば、前記第1の実施の形態では、遊星歯車3には3個の場合について説明したが、遊星歯車減速機構の原理に基づいて、遊星歯車3は、2個または4個等、その他の個数でも良い。また、減速比も自由に設定できる。内歯車兼フェース歯車2のフェース歯車部2aの歯数、出力歯車9の歯数の設定により、増速、減速、その比率も自由に設定できる。
さらに、図4から図7で説明した他の実施の形態では、90°ごとに角度を変えて1方向から3方向に出力を取り出すことができるように構成したが、フェース歯車の中心から放射線状上に3方向、6方向、図16に示す8方向等自由に配置し、出力軸を配置することができる。図16は、8方向に動力を取り出すもので、図1図3と同一部分は同符号を付して説明を省略して示したものである。
なお、直交軸歯車機構としてフェース歯車機構で説明したが、かさ歯車機構など、他の直交軸歯車機構でも構成することができる。
【符号の説明】
【0027】
1 太陽歯車
2 内歯車兼フェース歯車
2a フェース歯車部
2b 内歯車
3 遊星歯車
4 遊星シャフト
5 遊星軸受
6 遊星シャフト補強リング
7 内歯車兼フェース歯車軸受
9 出力歯車
10 出力軸
11 出力軸軸受
100 遊星歯車機構
200 フェース歯車機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16