(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基端から先端へ軸方向に延びるロッドレンズを備え、少なくとも前記先端を被検査物の穴の内部に配置して、前記穴をなす前記被検査物の内面の状態を検査する内面検査装置であって、 前記ロッドレンズは、柱状であって、前記先端側に反射部を有し、 前記ロッドレンズの前記端側に配置され、軸方向に対して所定の角度を有するリング状の光を前記ロッドレンズの前記基端側に入射するリング照明と、 前記ロッドレンズの前記基端側に配置され、軸方向に対して略平行な光を前記リング照明の開口部を通り前記ロッドレンズの前記基端側に向けて入射する同軸照明と、 前記ロッドレンズの前記基端側に配置され、前記反射部からの光を撮像する撮像手段と 前記リング照明および前記同軸照明を制御する照明制御部と、前記ロッドレンズの基端側を固定すると共に、前記リング照明および前記同軸照明とを固定したケーシングと、を有し、 前記反射部は、径方向外側から入射した光を前記基端側へ反射し、 前記照明制御部は、光量設定値に従って、前記リング照明および前記同軸照明の少なくとも一方の光量を複数段階に調節可能である、内面検査装置。
以上
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本願では、ロッドレンズの中心軸と平行な方向を「軸方向」、中心軸に直交する方向を「径方向」、中心軸を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。
【0012】
<1.第1実施形態>
<1−1.内面検査装置の構成>
図1は、本発明の第1実施形態に係る内面検査装置1の斜視図である。
図2は、装置本体20の断面図である。
図1に示すように、内面検査装置1は、装置本体20、操作部30、ステージ40、および制御部50を有する。
【0013】
内面検査装置1は、後述するロッドレンズ21の少なくとも先端を被検査物8の穴81の内部に配置して、穴81をなす被検査物8の内面810の状態を検査する装置である。内面検査装置1は、例えば、電気機器や自動車などの種々の装置を構成する、筒状の部材の内面や、部材の有する穴部の内面を検査する。
【0014】
図1および
図2に示すように、装置本体20は、ロッドレンズ21、リング照明22、同軸照明23、撮像手段24およびケーシング25を有する。ロッドレンズ21、リング照明22、同軸照明23および撮像手段24はそれぞれ、ケーシング25に固定されている。
【0015】
ロッドレンズ21は、中心軸9に沿って軸方向に延びる、円柱状のレンズである。以下では、ロッドレンズ21の両端のうち、ケーシング25に固定される端部を「基端」と称し、穴81の内部に配置される端部を「先端」と称する。本実施形態のロッドレンズ21は、ガラスにより形成される。なお、ロッドレンズ21は、光透過性の高い材料であれば、樹脂などの他の材料により形成されていてもよい。
【0016】
ロッドレンズ21は、その先端側端面から基端側に向かって凹む凹部211を有する。凹部211は、基端側から先端側に向けて径が拡がる円錐形状に形成されている。凹部211を構成するロッドレンズ21の表面は研磨されており、当該表面は反射部212を構成する。反射部212は、径方向外側から入射した光を基端側へ反射するとともに、基端側から入射した光を径方向外側へと反射する。
【0017】
なお、反射部212の円錐形状の母線は、中心軸9に対して45度である。これにより、径方向外側から中心軸9に向かって入射した光は、反射部212において、中心軸9に沿って先端側から基端側へと反射し、ロッドレンズ21の外周面で反射することなくロッドレンズ21の基端側端部へと向かう。
【0018】
また、本実施形態では、凹部211を構成するロッドレンズ21の表面、すなわち、反射部212には、鏡面加工が施されている。これにより、反射部212における反射率を向上できる。また、反射部212は、ロッドレンズ21の最も先端側に配置されている。これにより、被検査物の穴が軸方向に長い場合であっても、奥の方まで検査をすることができる。
【0019】
ロッドレンズ21の基端側の端部は、平面状に研磨された基端面213となっている。基端面213は、中心軸9に対して垂直に配置される。基端面213を含むロッドレンズ21の基端側の端部は、ケーシング25内に配置される。これにより、外部からの光が基端面213からロッドレンズ21へと入射するのが抑制される。
【0020】
リング照明22は、軸方向に対して所定の角度を有するリング状の光を、ロッドレンズ21に入射する照明装置である。リング照明22は、ロッドレンズ21の基端側に配置される。リング照明22は軸方向に見てその中央に、軸方向に貫通する開口部221を有する。リング照明22は、開口部221の中心と、中心軸9とが略一致する位置に配置される。そして、リング照明22は、軸方向に対して所定の角度を有するリング状の光を、基端面213に向かって照射する。ここで、「所定の角度」とは、5度以上90度未満の範囲のうち、一定の範囲を示すものとする。
【0021】
リング照明22から照射された光の少なくとも一部は、
図2中破線で示すように、基端面213からロッドレンズ21へ入射し、ロッドレンズ21の外周面で反射しつつ先端側へ向かって進み、反射部212により径方向外側へと反射する。これにより、リング照明22から照射された光の一部は、反射部212の径方向外側へ向かい、被検査物8の穴81の内面810を照射する。
【0022】
同軸照明23は、軸方向に対して略平行な光をロッドレンズ21に入射する照明装置である。同軸照明23は、ロッドレンズ21の基端側に配置される。同軸照明23は、ハーフミラー231と、光源232とを有する。ハーフミラー231は、ロッドレンズ21と軸方向に重なる位置に配置される、ビームスプリッタである。ハーフミラー231の反射面は、軸方向に対して45度の角度に配置される。光源232は、ハーフミラー231の径方向外側からハーフミラー231へ向けて光を出射する。
【0023】
当該構成により、光源232から照射された光は、ハーフミラー231の反射面で軸方向先端側へと反射する。これにより、光源232から照射された光は、軸方向に対して略平行な光となって、基端面213に向かって進む。ここで、「軸方向に対して略平行」とは、中心軸9に対してなす角が5度未満であるものとする。
【0024】
同軸照明23から照射された光の少なくとも一部は、
図2中二点鎖線で示すように、リング照明22の開口部221を通って、基端面213からロッドレンズ21へ入射し、ロッドレンズ21内を先端側へ向かって進み、反射部212により径方向外側かつ軸方向に対して略垂直な方向へと反射する。これにより、同軸照明23から照射された光の一部は、反射部212の径方向外側へ向かい、被検査物8の穴81の内面810を照射する。
【0025】
撮像手段24は、レンズ241を有するCCDカメラである。撮像手段24は、ロッドレンズ21の基端側に配置され、反射部212からの軸方向の光を撮像する。本実施形態では、撮像手段24のレンズ241は、リング照明22の開口部221および同軸照明23のハーフミラー231に対して、ロッドレンズ21とは反対側に配置される。すなわち、レンズ241は、開口部221およびハーフミラー231を介してロッドレンズ21の基端面213と軸方向に対向する。これにより、撮像手段24は、ロッドレンズ21の反射部212に映った反射部212の径方向外側の映像を、基端面213、開口部221およびハーフミラー231を介して撮像できる。
【0026】
操作部30は、モニタ31および入力部32を有する。モニタ31は、内面検査装置1の各処理に関わる種々の情報(例えば、載置台41の位置情報、撮像データS24、光量設定値S50等)を表示するための部位である。モニタ31には、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置が用いられる。
【0027】
入力部32は、制御部50に対して種々の指令を入力するための部位である。内面検査装置1の作業者は、モニタ31を確認しながら、入力部32を操作することができる。入力部32には、例えば、キーボードやマウスが用いられる。
【0028】
なお、操作部30として、タッチパネル式のディスプレイ等の、モニタ31と入力部32とが一体となった装置が用いられてもよい。
【0029】
ステージ40は、載置台41およびステージ駆動部42を有する。載置台41には、装置本体20が載置される。ステージ駆動部42は、例えば、内部にモータを有する載置台41の移動機構である。ステージ駆動部42は、載置台41のx軸方向(装置本体20の軸方向であり、水平方向)、y軸方向(x軸方向と直交する水平方向)、およびz軸方向(x軸方向およびy軸方向と直交する鉛直方向)の位置を移動させる。
【0030】
本実施形態では、作業者が入力部32を介して制御部50の後述する位置調節部51に指令を入力することにより、位置調節部51からステージ駆動部42に位置調節指令S51が入力される。これにより、ステージ駆動部42は、位置調節指令S51に従って載置台41の各方向の位置を調節する。なお、位置調節部51が、例えば、位置検知センサ(図示せず)からの信号等に基づいて載置台41の各方向の目標位置を算出し、位置調節指令S51を出力してもよい。
【0031】
図3は、内面検査装置1の制御系統を示したブロック図である。
図1および
図3に示すように、制御部50は、装置本体20、操作部30およびステージ40の各部と電気的に接続されている。本実施形態の制御部50は、パーソナルコンピュータにより構成される。
図3中に概念的に示したように、制御部50は、位置調節部51と、照明制御部52と、欠陥検出部53と、欠陥記憶部54と、サンプル記憶部55と、光量設定値決定部56と、設定値記憶部57を有する。これらの各部51〜57の機能は、制御部50としてのコンピュータが、コンピュータプログラムに従って動作することにより、実現される。
【0032】
位置調節部51は、ステージ駆動部42に載置台41の位置を所望の位置に配置させるために、ステージ駆動部42に位置調節指令S51を出力する。位置調節部51は、入力部32から移動指令S32が入力されると、移動指令S32に従って、載置台41の位置を調節する。また、位置調節部51は、検査工程中、反射部212を順次x軸方向に移動させるように、載置台41の位置を調節する。
【0033】
照明制御部52は、リング照明22および同軸照明23を制御する。具体的には、照明制御部52は、後述する光量設定値S50に従って、リング照明22および同軸照明23のオンオフを制御するとともに、リング照明22の光量を複数段階に調節する。なお、本実施形態の照明制御部52は、リング照明22の光量を複数段階に調節できるが、同軸照明23の光量はオンの場合1段階のみである。ただし、本発明では、リング照明の光量を1段階のみとし、同軸照明の光量を複数段階に調節できるようにしてもよい。あるいは、リング照明の光量と同軸照明の光量との双方を複数段階に調節できるようにしてもよい。
【0034】
欠陥検出部53には、撮像手段24から、撮像した撮像データS24が入力される。欠陥検出部53は、撮像手段24が撮影した映像である撮像データS24を解析し、被検査物8の内面810における欠陥位置データS53を検出する。
【0035】
検査工程においては、欠陥検出部53は撮像データS24および欠陥位置データS53を操作部30のモニタ31へ出力する。これにより、モニタ31は、撮像手段24が撮像した撮像データS24と、欠陥検出部53が検出した欠陥位置データS53とを表示する。
【0036】
また、後述する設定工程においては、欠陥検出部53は、検出結果である欠陥位置データS53を欠陥記憶部54へ出力する。なお、設定工程においても、欠陥検出部53が撮像データS24および欠陥位置データS53を操作部30のモニタ31へ出力してもよい。
【0037】
欠陥記憶部54は、光量設定値S50と、当該光量設定値S50における欠陥位置データS53とを組にした検出データS54を記憶する。本実施形態の欠陥記憶部54には、複数組の検出データS54が記憶される。
【0038】
サンプル記憶部55は、予め用意されたサンプル被検査物の欠陥位置を示すサンプルデータS55を記憶する。
【0039】
光量設定値決定部56は、欠陥記憶部54に記憶された検出データS54と、サンプル記憶部55に記憶されたサンプルデータS55とを比較して、光量設定値S50を決定する。そして、光量設定値決定部56は、決定した光量設定値S50を設定値記憶部57へ出力する。
【0040】
本実施形態において、光量設定値S50は、各照明22,23について最大光量に対する割合をパーセントで示したものである。このため、例えば、リング照明22の光量が最大光量の50%であり、同軸照明23の光量が最大光量の100%(すなわち、単なるオン)である場合、光量設定値S50[50%,100%]となる。
【0041】
設定値記憶部57には、光量設定値S50が記憶される。光量設定値S50は、光量設定値決定部56から光量設定値S50が入力された場合や、入力部32に作業者が光量設定値S50を入力した場合に、書き換えられる。検査工程においては、設定値記憶部57に記憶された光量設定値S50に従って、照明制御部52がリング照明22の光量を調節する。
【0042】
上記のように、この内面検査装置1では、検査対象である被検査物8の内面810を照らすための照明として、リング照明22と同軸照明23との2種類の照明を用いている。
【0043】
リング照明22は、ロッドレンズ21の基端面213に対して、径方向外側から径方向内側に向かう方向に光を照射する。すなわち、リング照明22を駆動させると、ロッドレンズ21には、軸方向に所定の角度を有するリング状の光が入射される。被検査物8の内面810を照らすための照明としてリング照明22のみを用いた場合、ロッドレンズ21への入射角度に一定の幅がある。この場合、内面810が様々な角度を含む光で照らされるため、内面810に形成された欠陥の凹凸が小さい場合、当該欠陥の周辺において輝度の変化が生じにくい。したがって、リング照明22のみでは、凹凸の小さい欠陥が検出しにくい。
【0044】
一方、同軸照明23は、ロッドレンズ21の基端面に対して、中心軸9に略平行な光を照射する。すなわち、同軸照明23を駆動させると、ロッドレンズ21には、軸方向に略平行な光が入射される。したがって、被検査物8の内面810が、中心軸9と略垂直な光により照らされる。被検査物8の内面810を照らすための照明として同軸照明23のみを用いた場合、ロッドレンズ21への入射角度にはほとんど幅がない。この場合、内面810が一定の方向を向く光のみで照らされるため、内面810に形成された欠陥の凹凸が小さい場合であっても、当該欠陥の周辺において輝度の変化が生じやすい。したがって、同軸照明23のみであっても、凹凸の小さい欠陥は検出しやすい。
【0045】
しかしながら、同軸照明23のみを用いた場合、内面810に凹凸のない洗浄痕が付着している場合にも、当該洗浄痕の周辺において輝度の変化が生じる場合がある。そのため、同軸照明23のみを用いた場合、洗浄痕などの凹凸のない汚れを、凹凸のある欠陥と見間違える可能性がある。
【0046】
この内面検査装置1では、リング照明22と同軸照明23との両方を同時に用いることにより、上記のような検出もれや誤検出が生じるのが抑制される。特に、この内面検査装置1では、リング照明22と同軸照明23の少なくとも一方の光量を複数段階に調節可能である。これにより、リング照明22と同軸照明23との光量の割合を調節できる。すなわち、この内面検査装置1では、適切な指向性を有する照明を用いて内面検査を行うことができる。したがって、小さな凹凸を検出でき、かつ、誤認識の少ない内面検査を行うことができる。その結果、様々な種類の欠陥の検出精度を向上できる。
【0047】
<1−2.検査工程について>
次に、
図4を参照しながら、内面検査装置1を用いた検査工程について説明する。
図4は、内面検査装置1における検査工程の流れを示したフローチャートである。
【0048】
被検査物8の内面810を検査するときには、まず、被検査物8を内面検査装置1にセットする(ステップST101)。次に、作業者が入力部32を操作して制御部50の位置調節部51に移動指令S32を入力する。これにより、ステージ駆動部42が載置台41のx軸方向、y軸方向、およびz軸方向の位置を調節し、装置本体20と被検査物8の穴81の位置合わせを行う(ステップST102)。このとき、装置本体20の中心軸9と、穴81の中心軸80とを一致させる。また、装置本体20の反射部212を、穴81の入り口付近に配置させる。
【0049】
次に、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST103)。このとき、リング照明22および同軸照明23を駆動させて穴81の内面810に反射部212を介して光を照射し、当該内面810の映像を反射部212を介して撮像手段24が撮像する。装置本体20の先端に備えられた反射部212を穴81の入り口から奥または奥から入り口へと移動させつつ、穴81の内面810の映像を撮像することにより、x軸方向の位置ごとの当該内面810の映像が、撮像データS24として欠陥検出部53に入力される。
【0050】
ステップST103において、リング照明22および同軸照明23の制御は、光量設定値S50に従って、制御部50の照明制御部52が行う。すなわち、照明制御部52は、ステップST103の開始前にリング照明22および同軸照明23をオフからオンに切り替えるとともに、リング照明22の光量を調節する。この検査工程において用いられる光量設定値S50は、後述する設定工程や、その他の方法により予め設定されたものである。
【0051】
続いて、制御部50の欠陥検出部53は、入力された撮像データS24を解析し、被検査物8の穴81の内面810における欠陥位置を検出し、欠陥位置データS53を算出するとともに、欠陥の有無の判定を行う(ステップST104)。そして、モニタ31に、ステップST103において取得した撮像データS24と、欠陥位置データS53と、欠陥の有無の判定結果とを表示する。
【0052】
なお、欠陥の有無の判定は、欠陥検出部53が行わず、作業者が行ってもよい。例えば、モニタ31に表示された撮像データS24および欠陥位置データS53を作業者が視認することにより、作業者が欠陥の有無の判定を行ってもよい。また、制御部50が撮像データS24に対して欠陥位置の特定等の解析を行わず、モニタ31に表示された撮像データS24のみを作業者が視認することにより、作業者が欠陥の有無の判定を行ってもよい。
【0053】
このように、ステップST103〜ステップST104は、ロッドレンズ21の基端側にリング照明22および同軸照明23から光を入射しつつ、ロッドレンズ21の基端側において取得される反射部212の径方向外側の映像に基づいて、被検査物8の内面810の状態を検査する検査工程である。遅くともこの検査工程より前に、すなわち、ステップST103より前に、ステップST103における検査時の光量設定値S50を設定しておく必要がある。
【0054】
欠陥の有無の判定後、被検査物8が内面検査装置1から取り外される(ステップST105)。
【0055】
<1−3.設定工程について>
続いて、
図5を参照しながら、内面検査装置1を用いた光量設定値S50の設定工程の一例について説明する。
図5は、内面検査装置1における光量設定値S50の設定工程の流れを示したフローチャートである。
【0056】
まず、欠陥の位置が既知のサンプル被検査物を内面検査装置1にセットする(ステップST201)。次に、検査工程のステップST101と同様に、装置本体20とサンプル被検査物の穴の位置合わせを行う(ステップST202)。このとき、装置本体20の中心軸9と、サンプル被検査物の穴の中心軸とを一致させる。また、装置本体の反射部212を、サンプル被検査物の穴の入り口付近に配置させる。
【0057】
次に、制御部50の照明制御部52は、リング照明22の光量を0%、同軸照明23の光量を100%となるように駆動させる。そして、この照明状態を維持しつつ、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST203)。
【0058】
このように、ステップST203では、サンプル被検査物の穴の内部に反射部212を配置した状態で、光量設定値S50が所定の[0%,100%]における反射部212の径方向外側の映像の撮像データS24を取得する。
【0059】
続いて、照明制御部52は、リング照明22の光量を25%、同軸照明23の光量を100%となるように駆動させる。そして、この照明状態を維持しつつ、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST204)。
【0060】
このように、ステップST204では、サンプル被検査物の穴の内部に反射部212を配置した状態で、光量設定値S50がステップST204とは異なる所定の[25%,100%]における反射部212の径方向外側の映像の撮像データS24を取得する。
【0061】
続いて、照明制御部52は、リング照明22の光量を50%、同軸照明23の光量を100%となるように駆動させる。そして、この照明状態を維持しつつ、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST205)。
【0062】
さらに、照明制御部52は、リング照明22の光量を75%、同軸照明23の光量を100%となるように駆動させる。そして、この照明状態を維持しつつ、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST206)。
【0063】
そして、照明制御部52は、リング照明22の光量を100%、同軸照明23の光量を100%となるように駆動させる。そして、この照明状態を維持しつつ、制御部50は、位置調節部51によりステージ駆動部42を駆動させて、装置本体20をx軸方向に移動させつつ、撮像手段24による撮像データS24の取得を行う(ステップST207)。
【0064】
このように、ステップST203〜ステップST207では、サンプル被検査物の穴の内部に反射部212を配置した状態で、リング照明22の光量を段階的に変化させつつ、ロッドレンズ21の基端側において取得される反射部212の径方向外側の映像を撮像データS24として取得する。
【0065】
その後、欠陥検出部53は、ステップST203〜ステップST207において取得した各撮像データS24を解析し、各撮像データS24について欠陥位置を検出した欠陥位置データS53を算出する(ステップST208)。そして、欠陥検出部53は、各撮像データS24に対応する光量設定値S50と、欠陥位置データS53とを欠陥記憶部54に出力する。これにより、欠陥記憶部54は、各撮像データS24に対応する光量設定値S50と欠陥位置データS53とを組にした検出データS54を記憶する。
【0066】
そして、光量設定値決定部56は、欠陥検出部53に記憶された検出データS54と、サンプル記憶部55に記憶されたサンプルデータS55とを比較して、適切な光量設定値S50を決定する(ステップST209)。具体的には、光量設定値決定部56は、例えば、サンプルデータS55と最も一致する欠陥位置データS53と組となる光量設定値S50を、適切な光量設定値S50として決定する。なお、光量設定値決定部56は、各欠陥位置データS53との一致率を基準として、何らかの計算に基づいて光量設定値S50を算出するものであってもよい。
【0067】
光量設定値決定部56が決定した光量設定値S50は、設定値記憶部57に記憶される。その後、サンプル被検査物が内面検査装置1から取り外される(ステップST210)。
【0068】
<2.変形例>
以上、本発明の例示的な実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0069】
上記の実施形態では、ロッドレンズの反射部に鏡面加工が施されていたが、本発明はこの限りではない。反射部が、径方向外側から入射した光を一定以上の反射率(例えば、60%)で反射すれば、鏡面加工が施されていなくてもよい。
【0070】
上記の実施形態では同軸照明の光量を一定とし、リング照明の光量を変化させつつ撮像した映像に基づいて、光量設定値が決定された。しかしながら、本発明では、リング照明の光量を一定とし、リング照明の光量を変化させつつ撮像した映像に基づいて、光量設定値が決定されてもよい。また、本発明では、リング照明の光量および同軸照明の光量の双方を変化させつつ撮像した映像に基づいて、光量設定値が決定されてもよい。
【0071】
また、上記の実施形態では、サンプル被検査物の穴の内部に反射部を配置した状態で、撮像した映像に基づいて、光量設定値が決定された。しかしながら、本発明では、検査を行う対象である被検査物の穴の内部に反射部を配置した状態でリング照明および同軸照明の少なくとも一方の光量を変化させつつ撮像した映像に基づいて、光量設定値が決定されてもよい。
【0072】
また、上記の実施形態では、撮像した映像に基づいて、制御部の光量設定値決定部が光量設定値を決定した。しかしながら、本発明では、撮像した映像に基づいて、作業者が光量設定値を決定してもよい。その際、作業者は、モニタに表示された撮像データを確認しながら、入力部を操作して、制御部内の設定値記憶部に、光量設定値を入力すればよい。
【0073】
その他、内面検査装置の細部の形状については、本願の各図面と相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。