(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係るオレフィン重合用触媒、および該触媒を用いる重合方法について具体的に説明する。なお、本発明において「重合」という語は、単独重合のみならず、共重合を包含した意味で用いられることがあり、「重合体」という語は単独重合体のみならず、共重合体を包含した意味で用いられることがある。
【0023】
まず、本発明のオレフィン重合用触媒で用いられる各成分について説明する。
〔オレフィン重合用触媒〕
(成分(A))
成分(A)は、下記一般式(I’)で表される架橋型メタロセン化合物を含む。
【0024】
【化6】
好ましくは、下記一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物を少なくとも1種含むことである。
【0025】
【化7】
本発明において、成分(A)として、一般式(I)および(I’)で表される架橋型メタロセン化合物を複数種用いてもよい。
【0026】
一般式(I)および(I’)中、R
1は一価の基であり、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基である。R
1は、それぞれ独立であり、互いに同一でも異なっていてもよいが、R
1の全てが同時に水素原子ではなく、隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成していてもよい。
【0027】
一価の炭化水素基とは、好ましくは炭素数1以上20以下の炭素と水素からなるアルキル基、炭素数3以上20以下の炭素と水素からなるシクロアルキル基、炭素数2以上20以下の炭素と水素からなるアルケニル基、炭素数6以上20以下の炭素と水素からなるアリール基または炭素数7以上20以下の炭素と水素からなるアリールアルキル基を示す。該炭素数1以上20以下の炭素と水素からなるアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、n−オクチル、ノニル、ドデシル、アイコシル(イコシル)などが挙げられる。該炭素数3以上20以下の炭素と水素からなるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ノルボルニル、アダマンチルなどが挙げられる。該炭素数2以上20以下の炭素と水素からなるアルケニル基としては、例えば、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル基などが挙げられる。該炭素数6以上20以下の炭素と水素からなるアリール基としては、例えば、フェニル、トリル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、プロピルフェニル、ビフェニル、α−またはβ−ナフチル、メチルナフチル、アントラセニル、フェナントリル、ベンジルフェニル、ピレニル、アセナフチル、フェナレニル、アセアントリレニル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニリルなどが挙げられる。該炭素数7以上20以下の炭素と水素からなるアリールアルキル基としては、例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどが挙げられる。
【0028】
一価のハロゲン含有基としては、ハロゲン原子および上記炭化水素基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基などが挙げられる。
【0029】
一価の酸素含有基としては、メトキシ、エトキシ基などが挙げられる。
一価のイオウ含有基としては、チオール、スルホン酸基などが挙げられる。
一価の窒素含有基としては、ジメチルアミノ基などが挙げられる。
一価のリン含有基としては、フェニルホスフィン基などが挙げられる。
一価のホウ素含有基としてはボランジイル、ボラントリイル、ジボラニル基などが挙げられる。
【0030】
一価のケイ素含有基としては、シリル、メチルシリル、ジメチルシリル、ジイソプロピルシリル、メチル−t−ブチルシリル、ジシクロヘキシルシリル、メチルシクロヘキシルシリル、メチルフェニルシリル、ジフェニルシリル、メチルナフチルシリル、ジナフチルシリル、シクロジメチレンシリル、シクロトリメチレンシリル、シクロテトラメチレンシリル、シクロペンタメチレンシリル、シクロヘキサメチレンシリル、シクロヘプタメチレンシリル基などが挙げられる。
【0031】
一価のゲルマニウム含有基または一価のスズ含有基としては、上記ケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウムまたはスズに変換した基などが挙げられる。
隣接する基が互いに結合して脂肪族環を形成する場合の例としては、テトラヒドロインデニル、2−メチルテトラヒドロインデニル、2,2,4−トリメチルテトラヒドロインデニル、4−フェニルテトラヒドロインデニル、4−シクロヘキシルテトラヒドロインデニル、2−メチル−4−フェニルテトラヒドロインデニル、2−メチル−4−シクロヘキシルテトラヒドロインデニルなどが挙げられる。
【0032】
R
1の好ましい基としては、水素原子、炭化水素基およびハロゲン含有基から選ばれる基であり、より好ましくは、少なくとも1つが炭化水素基であり、さらに好ましくは、少なくとも1つが炭素数1以上15以下の炭化水素基であり、残りが炭化水素基または水素原子であり、よりさらに好ましくは、少なくとも1つが炭素数3以上8以下の炭化水素基であり、残りが炭化水素基または水素原子である。R
1の最も好ましい基としては、シクロペンタジエニル基の3位に炭素数3以上8以下の炭化水素基を有し、残りが炭化水素基または水素原子である。炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
【0033】
Q
1は、二つの配位子を結合する二価の基であって、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキリデン基などの炭素数1以上20以下の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基である。
【0034】
二価の炭素数1以上20以下のアルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基およびアルキリデン基の具体例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基、シクロプロピリデン、シクロブチリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ビシクロ[3.3.1]ノニリデン、ノルボルニリデン、アダマンチリデン、テトラヒドロナフチリデン、ジヒドロインダニリデンなどのシクロアルキレン基、エチリデン、プロピリデン、ブチリデンなどのアルキリデン基などが挙げられる。
【0035】
二価のケイ素含有基としては、シリレン、メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジイソプロピルシリレン、ジブチルシリレン、メチルブチルシリレン、メチル−t−ブチルシリレン、ジシクロヘキシルシリレン、メチルシクロヘキシルシリレン、メチルフェニルシリレン、ジフェニルシリレン、ジトリルシリレン、メチルナフチルシリレン、ジナフチルシリレン、シクロジメチレンシリレン、シクロトリメチレンシリレン、シクロテトラメチレンシリレン、シクロペンタメチレンシリレン、シクロヘキサメチレンシリレン、シクロヘプタメチレンシリレン基などが挙げられ、好ましくはジメチルシリレン、ジブチルシリレン、ジフェニルシリレンである。
【0036】
二価のゲルマニウム含有基またはスズ含有基としては、上記ケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウムまたはスズに変換した基などが挙げられる。
二価のハロゲン含有基としては、上記アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキリデン基中やケイ素含有基中の水素原子の1個以上が適当なハロゲン原子で置換された基が挙げられ、例えば、ビス(トリフルオロメチル)メチレン、4,4,4−トリフルオロブチルメチルメチレン、ビス(トリフルオロメチル)シリレン、4,4,4−トリフルオロブチルメチルシリレン基などが挙げられる。
【0037】
Q
1の好ましい基としては、炭素数1以上20以下のアルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキレン基、アルキリデン基、ハロゲン含有アルキレン基、ハロゲン含有置換アルキレン基、ハロゲン含有シクロアルキレン基、ハロゲン含有アルキリデン基、ケイ素含有基またはハロゲン含有ケイ素含有基であり、より好ましい基は、ケイ素含有基またはハロゲン含有ケイ素含有基である。
【0038】
Xは、一価の基であり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基であり、好ましくは、ハロゲン原子、炭化水素基である。Xは、互いに同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
【0039】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基およびリン含有基としては上記R
1として例示したものと同様のものが挙げられる。
Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子である。
【0040】
一般式(I)および(I’)で表される架橋型メタロセン化合物およびその製造方法は本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、その具体例としては、たとえば、特開2006−233208号公報、特開2009−143901号公報、特開2009−144148号公報などに例示したものが挙げられる。
【0041】
本発明においては、一般式(I)および(I’)で表される化合物を単独で用いてもよいし、これらの化合物のうち、化学構造の異なるメタロセン化合物を二種類以上用いてもよい。また、化学構造が同一である光学異性体を1種単独で用いてもよいし、化学構造が同一である光学異性体混合物(例えば、メソ体混合物またはラセミ体混合物)で用いてもよい。
【0042】
一般的に、オレフィン重合用触媒のエチレン系重合体に対する反応性は、エチレン系重合体の分子量が小さくなるにつれて、また末端ビニル基の数が大きくなるにつれて高まり、多くの長鎖分岐を生成することができる。成分(A)は、分子量が比較的低く、また末端ビニル基数の多い重合体を生成できるため、成分(B)により効率的に取り込まれ、従来公知の重合体に対し数多くの長鎖分岐を有するエチレン系(共)重合体を製造できる。また、成分(A)の重合活性に由来して、高い生産性で長鎖分岐を有するエチレン系(共)重合体を製造できる。
【0043】
一般式(I)で表される架橋型メタロセン化合物は、一般式(I’)で表される架橋型メタロセン化合物に比べ、低分子量かつ末端ビニル基の数の多いオレフィン重合体を、高い触媒活性で製造できることから、長鎖分岐を有する重合体の製造においてより好ましい。
【0044】
(成分(B))
成分(B)は、下記一般式(II)、(III)および(IV)から選ばれる少なくとも1種の架橋型メタロセン化合物を含む。
【0047】
【化10】
一般式(II)、(III)および(IV)中、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7は、一価の基であり、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。なお、本明細書において、『互いに同一でも異なってもよい』とは、メタロセン化合物中において同じ番号で記載されている置換基同士が、同一でも異なってもよく、さらに、異なるメタロセン化合物同士においても、同じ番号の置換基同士が、同一でも異なってもよいことを意味する。
【0048】
一価の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デカニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−エイコサニル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンタン−2−イル、2−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、シアミル、ペンタン−3−イル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、3−メチルペンタン−2−イル、4−メチルペンタン−2−イル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、テキシル、3−メチルペンタン−3−イル、3,3−ジメチルブタ−2−イル、ヘキサン−3−イル、2−メチルペンタン−3−イル、ヘプタン−4−イル、2,4−ジメチルペンタン−3−イル、3−エチルペンタン−3−イル、4,4−ジメチルペンチル、4−メチルヘプタン−4−イル、4−プロピルヘプタン−4−イル、2,3,3−トリメチルブタン−2−イル、2,3,4−トリメチルペンタン−3−イルなどの炭素数1以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、アレニル、ブタ−3−エン−1−イル、クロチル、ブタ−3−エン−2−イル、メタリル、エリトレニル、ペンタ−4−エン−1−イル、ペンタ−3−エン−1−イル、ペンタ−2−エン−1−イル、イソペンテニル、2−メチルブタ−3−エン−1−イル、ペンタ−4−エン−2−イル、プレニル、2−メチル−ブタ−2−エン−1−イル、ペンタ−3−エン−2−イル、2−メチル−ブタ−3−エン−2−イル、ペンタ−1−エン−3−イル、ペンタ−2,4−ジエン−1−イル、ペンタ−1,3−ジエン−1−イル、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル、イソプレニル、ペンタ−2,4−ジエン−2−イル、ヘキサ−5−エン−1−イル、ヘキサ−4−エン−1−イル、ヘキサ−3−エン−1−イル、ヘキサ−2−エン−1−イル、4−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル、3−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル、2−メチル−ペンタ−4−エン−1−イル、ヘキサ−5−エン−2−イル、4−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル、3−メチル−ペンタ−3−エン−1−イル、2,3−ジメチル−ブタ−2−エン−1−イル、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル、3−エチルペンタ−1−エン−3−イル、ヘキサ−3,5−ジエン−1−イル、ヘキサ−2,4−ジエン−1−イル、4−メチルペンタ−1,3−ジエン−1−イル、2,3−ジメチル−ブタ−1,3−ジエン−1−イル、ヘキサ−1,3,5−トリエン−1−イル、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル、2−(シクロペンタジエニル)エチルなどの炭素数2以上20以下の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル、プロパ−2−イン−1−イル、プロパルギル、ブタ−1−イン−1−イル、ブタ−2−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イル、ペンタ−1−イン−1−イル、ペンタ−2−イン−1−イル、ペンタ−3−イン−1−イル、ペンタ−4−イン−1−イル、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル、ペンタ−3−イン−2−イル、2−メチル−ブタ−3−イン−1−イル、ペンタ−4−イン−2−イル、ヘキサ−1−イン−1−イル、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル、2−メチル−ペンタ−3−イン−2−イル、2,2−ジメチル−ブタ−3−イン−1−イル、ヘキサ−4−イン−1−イル、ヘキサ−5−イン−1−イルなどの炭素数2以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,5−ジメチルベンジル、クミニル、2,4,6−トリイソプロピルベンジル、4−t−ブチルベンジル、3,5−ジ−t−ブチルベンジル、フェニルエチル、ベンズヒドリル、クミル、2−(4−メチルフェニル)プロパン−2−イル、2−(3,5−ジメチルフェニル)プロパン−2−イル、2−(4−t−ブチルフェニル)プロパン−2−イル、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)プロパン−2−イル、3−フェニルペンタン−3−イル、4−フェニルヘプタ−1,6−ジエン−4−イル、1,2,3−トリフェニルプロパン−2−イル、1,1−ジフェニルエチル、1,1−ジフェニルプロピル、1,1−ジフェニル−ブタ−3−エン−1−イル、1,1,2−トリフェニルエチル、トリチル、トリ−(4−メチルフェニル)メチル、2−フェニルエチル、スチリル、2−(2−メチルフェニル)エチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)エチル、2−(4−t−ブチルフェニル)エチル、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)エチル、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル、3−フェニルプロピル、2−シンナミル、ネオフィル、3−メチル−3−フェニルブチル、2−メチル−4−フェニルブタン−2−イル、シクロペンタジエニルジフェニルメチル、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル、(1−インデニル)ジフェニルメチル、2−(1−インデニル)エチル、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)プロパン−2−イル、(テトラヒドロ−1−インダセニル)ジフェニルメチル、2−(テトラヒドロ−1−インダセニル)エチル、2−(1−ベンゾインデニル)プロパン−2−イル、(1−ベンゾインデニル)ジフェニルメチル、2−(1−ベンゾインデニル)エチル、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル、2−(9−フルオレニル)エチル、2−(1−アズレニル)プロパン−2−イル、(1−アズレニル)ジフェニルメチル、2−(1−アズレニル)エチルなどの炭素数7以上20以下の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、ジメチルシクロペンタジエニル、n−ブチルシクロペンタジエニル、n−ブチル−メチルシクロペンタジエニル、テトラメチルシクロペンタジエニル、メチルシクロペンチル、アリルシクロペンチル、ベンジルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、メチルシクロヘキシル、アリルシクロヘキシル、ベンジルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、メチルシクロヘプチル、アリルシクロヘプチル、ベンジルシクロヘプチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、メチルシクロオクチル、アリルシクロオクチル、ベンジルシクロオクチル、4−シクロヘキシル−t−ブチル、ノルボルニル、ノルボルネニル、ノルボルナジエニル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、7−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−7−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2−イル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、1−(2−メチルアダマンチル)、1−(3−メチルアダマンチル)、1−(4−メチルアダマンチル)、1−(2−フェニルアダマンチル)、1−(3−フェニルアダマンチル)、1−(4−フェニルアダマンチル)、1−(3,5−ジメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリメチルアダマンチル)、1−(3,5,7−トリフェニルアダマンチル)、ペンタレニル、インデニル、フルオレニル、インダセニル、テトラヒドロインダセニル、ベンゾインデニル、アズレニルなどの炭素数3以上20以下の環状飽和および不飽和炭化水素基;
フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、ジュリル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェニル、アリルフェニル、(ブタ−3−エン−1−イル)フェニル、(ブタ−2−エン−1−イル)フェニル、メタリルフェニル、プレニルフェニル、4−アダマンチルフェニル、3,5−ジ−アダマンチルフェニル、ナフチル、ビフェニル、t−フェニル、ビナフチル、アセナフタレニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フェロセニルなどの炭素数6以上20以下のアリール基;などを挙げることができる。
【0049】
上記炭素数1以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基の中で好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ペンタン−3−イル、イソヘキシル、1,1−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、テキシル、3−メチルペンタン−3−イル、ヘプタン−4−イル、2,4−ジメチルペンタン−3−イル、3−エチルペンタン−3−イル、4,4−ジメチルペンチル、4−メチルヘプタン−4−イル、4−プロピルヘプタン−4−イルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、イソプロピル、t−ブチルである。
【0050】
上記炭素数2以上20以下の直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ビニル、アリル、ブタ−3−エン−1−イル、クロチル、メタリル、ペンタ−4−エン−1−イル、プレニル、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル、ヘキサ−5−エン−1−イル、2−メチルペンタ−4−エン−2−イル、2−(シクロペンタジエニル)プロパン−2−イル、2−(シクロペンタジエニル)エチルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、ビニル、アリル、ブタ−3−エン−1−イル、ペンタ−4−エン−1−イル、プレニル、ヘキサ−5−エン−1−イルである。
【0051】
上記炭素数2以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基の中で好ましくは、エチニル、プロパ−2−イン−1−イル、プロパルギル、ブタ−2−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イル、ペンタ−3−イン−1−イル、ペンタ−4−イン−1−イル、3−メチル−ブタ−1−イン−1−イル、3,3−ジメチル−ブタ−1−イン−1−イル、ヘキサ−4−イン−1−イル、ヘキサ−5−イン−1−イルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、プロパ−2−イン−1−イル、プロパルギル、ブタ−2−イン−1−イル、ブタ−3−イン−1−イルである。
【0052】
上記炭素数7以上20以下の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基の中で好ましくは、ベンジル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,5−ジメチルベンジル、クミニル、2,4,6−トリイソプロピルベンジル、4−t−ブチルベンジル、3,5−ジ−t−ブチルベンジル、ベンズヒドリル、クミル、1,1−ジフェニルエチル、トリチル、2−フェニルエチル、2−(4−メチルフェニル)エチル、2−(2,4,6−トリメチルフェニル)エチル、2−(3,5−ジメチルフェニル)エチル、2−(2,4,6−トリイソプロピルフェニル)エチル、2−(4−t−ブチルフェニル)エチル、2−(3,5−ジ−t−ブチルフェニル)エチル、スチリル、2−メチル−1−フェニルプロパン−2−イル、3−フェニルプロピル、2−シンナミル、ネオフィル、シクロペンタジエニルジフェニルメチル、2−(1−インデニル)プロパン−2−イル、(1−インデニル)ジフェニルメチル、2−(1−インデニル)エチル、2−(9−フルオレニル)プロパン−2−イル、(9−フルオレニル)ジフェニルメチル、2−(9−フルオレニル)エチルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、ベンジル、ベンズヒドリル、クミル、1,1−ジフェニルエチル、トリチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−シンナミルである。
【0053】
上記炭素数3以上20以下の環状飽和および不飽和炭化水素基の中で好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、メチルシクロペンチル、アリルシクロペンチル、ベンジルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、メチルシクロヘキシル、アリルシクロヘキシル、ベンジルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、シクロヘプタトリエニル、メチルシクロヘプチル、アリルシクロヘプチル、ベンジルシクロヘプチル、シクロオクチル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、4−シクロヘキシル−t−ブチル、ノルボルニル、2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イル、1−アダマンチル、2−アダマンチル、ペンタレニル、インデニル、フルオレニルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、シクロペンチル、シクロペンテニル、1−メチルシクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1−メチルシクロヘキシル、1−アダマンチルである。
【0054】
上記炭素数6以上20以下のアリール基の中で好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェニル、アリルフェニル、プレニルフェニル、4−アダマンチルフェニル、ナフチル、ビフェニル、t−フェニル、ビナフチル、フェナントリル、アントラセニル、フェロセニルなどが挙げられ、その中でも特に好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェニル、アリルフェニル、4−アダマンチルフェニル、ナフチル、ビフェニル、フェナントリル、アントラセニルである。
【0055】
上記一価のハロゲン含有基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、4,4,4−トリフルオロブチル、ドデカフルオロヘキシル、6,6,6−トリフルオロヘキシル、クロロフェニル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ジ−t−ブチル−フルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ビストリフルオロメトキシフェニル、トリフルオロメチルチオフェニル、ビストリフルオロメチルチオフェニル、フルオロビフェニル、ジフルオロビフェニル、トリフルオロビフェニル、テトラフルオロビフェニル、ペンタフルオロビフェニル、ジ−t−ブチル−フルオロビフェニル、トリフルオロメチルビフェニル、ビストリフルオロメチルビフェニル、トリフルオロメトキシビフェニル、ビストリフルオロメトキシビフェニル、トリフルオロメチルジメチルシリル、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、フルオロフェノキシ、ジフルオロフェノキシ、トリフルオロフェノキシ、ペンタフルオロフェノキシ、ジ−t−ブチル−フルオロフェノキシ、トリフルオロメチルフェノキシ、ビストリフルオロメチルフェノキシ、トリフルオロメトキシフェノキシ、ビストリフルオロメトキシフェノキシ、ジフルオロメチレンジオキシフェニル、トリフルオロアセチル、ペンタフルオロベンゾイル、フルオロフェニルイミノメチル、ペンタフルオロフェニルイミノメチル、トリフルオロメチルフェニルイミノメチル、ビストリフルオロメチルフェニルイミノメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフリル、ノナフリル、トリフラート、ノナフラート、ビストリフリルイミド、トリフルオロメチルフリル、トリフルオロメチルベンゾフリル、トリフルオロメチルジベンゾフリル、トリフルオロメチルピロリル、ペンタフルオロフェニルピロリル、フルオロピリジル、テトラフルオロピリジル、フルオロキノリル、フルオロイソキノリル、フルオロインドリル、トリフルオロメチルインドリル、ビストリフルオロメチルカルバゾリル、トリフルオロメチルイミダゾリル、トリフルオロメチルオキサゾリル、トリフルオロメチルチエニル、トリフルオロメチルベンゾチエニル、トリフルオロメチルジベンゾチエニル、トリフルオロメチルチアゾリル、トリフルオロメチルベンゾチアゾリルなどを挙げることができ、好ましくは、フッ素原子、塩素原子、フルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、トリフルオロメトキシフェニル、ペンタフルオロビフェニル、トリフルオロメチルビフェニル、ビストリフルオロメチルビフェニル、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロフェノキシ、ビストリフルオロメチルフェノキシ、ビストリフルオロメチルフェノキシ、ジフルオロメチレンジオキシフェニル、トリフルオロアセチル、ペンタフルオロベンゾイル、フルオロフェニルイミノメチル、ペンタフルオロフェニルイミノメチル、トリフルオロメチルフェニルイミノメチル、トリフルオロメチルチオ、トリフリル、トリフラート、ノナフラート、ビストリフリルイミド、トリフルオロメチルフリル、トリフルオロメチルベンゾフリル、トリフルオロメチルジベンゾフリル、トリフルオロメチルピロリル、ペンタフルオロフェニルピロリル、フルオロピリジル、テトラフルオロピリジル、トリフルオロメチルインドリル、ビストリフルオロメチルカルバゾリル、トリフルオロメチルチエニル、トリフルオロメチルベンゾチエニル、トリフルオロメチルチアゾリルであり、特に好ましくは、トリフルオロメチル、フルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、ペンタフルオロビフェニル、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロフェノキシである。
【0056】
上記一価の酸素含有基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、アリルオキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、メタリルオキシ、プレニルオキシ、ベンジルオキシ、メトキシメトキシ、メトキシエトキシ、フェノキシ、ナフトキシ、トルイルオキシ、イソプロピルフェノキシ、アリルフェノキシ、t−ブチルフェノキシ、メトキシフェノキシ、イソプロポキシフェノキシ、アリルオキシフェノキシ、ビフェニルオキシ、ビナフチルオキシ、メトキシメチル、アリルオキシメチル、ベンジルオキシメチル、フェノキシメチル、メトキシエチル、アリルオキシエチル、ベンジルオキシエチル、フェノキシエチル、メトキシプロピル、アリルオキシプロピル、ベンジルオキシプロピル、フェノキシプロピル、メトキシビニル、アリルオキシビニル、ベンジルオキシビニル、フェノキシビニル、メトキシアリル、アリルオキシアリル、ベンジルオキシアリル、フェノキシアリル、ホルミル、アセチル、イソブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、ナフトイル、アダマンタンカルボニル、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、ジメトキシメチル、ジイソプロポキシメチル、ジオキソラニル、テトラメチルジオキソラニル、ジオキサニル、メチルカルボネート、フェニルカルボネート、ジメチルジオキサニル、メチルカルボキシラート、エチルカルボキシラート、メトキシフェニル、イソプロポキシフェニル、アリルオキシフェニル、フェノキシフェニル、メチレンジオキシフェニル、フリル、メチルフリル、テトラヒドロフリル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、フロフリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリルなどを挙げることができ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、アリルオキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、プレニルオキシ、ベンジルオキシ、フェノキシ、ナフトキシ、トルイルオキシ、イソプロピルフェノキシ、アリルフェノキシ、t−ブチルフェノキシ、メトキシフェノキシ、ビフェニルオキシ、ビナフチルオキシ、アリルオキシメチル、ベンジルオキシメチル、フェノキシメチル、メトキシエチル、メトキシアリル、ベンジルオキシアリル、フェノキシアリル、ホルミル、アセチル、イソブチリル、ピバロイル、ベンゾイル、ナフトイル、ジメトキシメチル、ジオキソラニル、テトラメチルジオキソラニル、ジオキサニル、ジメチルジオキサニル、メチルカルボキシラート、エチルカルボキシラート、メトキシフェニル、イソプロポキシフェニル、アリルオキシフェニル、フェノキシフェニル、メチレンジオキシフェニル、フリル、メチルフリル、テトラヒドロピラニル、フロフリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリルであり、特に好ましくは、メトキシ、イソプロポキシ、アリルオキシ、フェノキシ、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ジメトキシメチル、ジオキソラニル、メチルカルボキシラート、メトキシフェニル、イソプロポキシフェニル、アリルオキシフェニル、フェノキシフェニル、フリル、メチルフリル、ベンゾフリル、ジベンゾフリルである。
【0057】
上記一価の窒素含有基としては、例えば、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アリルアミノ、ジアリルアミノ、ジデシルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モリホリル、アゼピニル、ホルムアミド、アセトアミド、ピバルアミド、ベンズアミド、ナフトアミド、アダマンタンカルボキシアミド、イミノメチル、イミノエチル、フェニルイミノメチル、フェニルイミノエチル、ジメチルヒドラゾノメチル、ピロリジニルイミノメチル、イミド、ウリル、メチルウリル、ジメチルウリル、グアニジニル、ジメチルグアニジニル、メチルホルムイミダミド、フェニルホルムイミダミド、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、ピロリジニルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、カルバモイルオキシ、N−メチルカルバモイルオキシ、N−ベンジルカルバモイルオキシ、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、ピロリジニルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ、ジメチルアミノメチル、ジベンジルアミノメチル、ピロリジニルメチル、ジメチルアミノエチル、ベンジルアミノメチル、ベンジルアミノエチル、ピロリジニルエチル、ジメチルアミノビニル、ベンジルアミノビニル、ピロリジニルビニル、ジメチルアミノプロピル、ベンジルアミノプロピル、ピロリジニルプロピル、ジメチルアミノアリル、ベンジルアミノアリル、ピロリジニルアリル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、アミノフェニル、シアノフェニル、ジメチルアミノフェニル、ピロリジニルフェニル、ピロリルフェニル、ピリジルフェニル、キノリルフェニル、イソキノリルフェニル、インドリニルフェニル、インドリルフェニル、カルバゾリルフェニル、ジ−t−ブチルカルバゾリルフェニル、ピロリル、メチルピロリル、フェニルピロリル、ピリジル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、インドリル、インドリニル、カルバゾリル、ジ−t−ブチルカルバゾリル、イミダゾリル、ジメチルイミダゾリジニル、ベンゾイミダソリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾオキサゾリルなどを挙げることができ、好ましくは、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アリルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリル、ホルムアミド、アセトアミド、ベンズアミド、イミノメチル、イミノエチル、フェニルイミノメチル、フェニルイミノエチル、ジメチルヒドラゾノメチル、ピロリジニルイミノメチル、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N−ベンジルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、ピロリジニルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル、カルバモイルオキシ、N−メチルカルバモイルオキシ、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、ジメチルアミノメチル、ベンジルアミノメチル、ピロリジニルメチル、ジメチルアミノエチル、ピロリジニルエチル、ジメチルアミノプロピル、ピロリジニルプロピル、ジメチルアミノアリル、ピロリジニルアリル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、アミノフェニル、シアノフェニル、ジメチルアミノフェニル、ピロリジニルフェニル、ピロリルフェニル、カルバゾリルフェニル、ジ−t−ブチルカルバゾリルフェニル、ピロリル、ピリジル、キノリル、テトラヒドロキノリル、イソキノリル、テトラヒドロイソキノリル、インドリル、インドリニル、カルバゾリル、ジ−t−ブチルカルバゾリル、イミダゾリル、ジメチルイミダゾリジニル、ベンゾイミダソリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾオキサゾリであり、特に好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ジメチルアミノフェニル、ピロリジニルフェニル、ピロリル、ピリジル、カルバゾリル、イミダゾリルである。
【0058】
上記一価のホウ素含有基としては、例えば、ボランジイル、ボラントリイル、ジボラニルなどが挙げられる。
上記一価のイオウ含有基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ベンジルチオ、フェニルチオ、ナフチルチオ、メチルチオメチル、ベンジルチオメチル、フェニルチオメチル、ナフチルチオメチル、メチルチオエチル、ベンジルチオエチル、フェニルチオエチル、ナフチルチオエチル、メチルチオビニル、ベンジルチオビニル、フェニルチオビニル、ナフチルチオビニル、メチルチオプロピル、ベンジルチオプロピル、フェニルチオプロピル、ナフチルチオプロピル、メチルチオアリル、ベンジルチオアリル、フェニルチオアリル、ナフチルチオアリル、メルカプトフェニル、メチルチオフェニル、チエニルフェニル、メチルチエニルフェニル、ベンゾチエニルフェニル、ジベンゾチエニルフェニル、ベンゾジチエニルフェニル、メチルスルフィニル、t−ブチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、メシル、ベンゼンスルフォニル、トシル、メタンスルホナート、4−メチルベンゼンスルホナート、チオウリル、メチルチオウリル、ビス(メチルチオ)メチル、チエニル、テトラヒドロチエニル、メチルチエニル、チエノフリル、チエノチエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、チエノベンゾフリル、ベンゾジチエニル、ジチオラニル、ジチアニル、オキサチオラニル、オキサチアニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、チアゾリジニルなどを挙げることができ、好ましくは、チエニル、メチルチエニル、チエノフリル、チエノチエニル、ベンゾチエニル、ジベンゾチエニル、チエノベンゾフリル、ベンゾジチエニル、チアゾリル、ベンゾチアゾリルである。
【0059】
上記一価のリン含有基としては、例えば、フェニルホスフィン基などが挙げられる。
上記一価のケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、シクロペンタジエニルジメチルシリル、ジ−n−ブチル(シクロペンタジエニル)シリル、シクロペンタジエニルジフェニルシリル、インデニルジメチルシリル、ジ−n−ブチル(インデニル)シリル、インデニルジフェニルシリル、フルオレニルジメチルシリル、ジ−n−ブチル(フルオレニル)シリル、フルオレニルジフェニルシリル、4−トリメチルシリルフェニル、4−トリエチルシリルフェニル、4−トリイソプロピルシリルフェニル、4−t−ブチルジフェニルシリルフェニル、4−トリフェニルシリルフェニル、4−トリス(トリメチルシリル)シリルフェニルなどを挙げることができ、好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリフェニルシリル、シクロペンタジエニルジメチルシリル、シクロペンタジエニルジフェニルシリル、インデニルジメチルシリル、インデニルジフェニルシリル、フルオレニルジメチルシリル、フルオレニルジフェニルシリル、4−トリメチルシリルフェニル、4−トリエチルシリルフェニル、4−トリイソプロピルシリルフェニル、4−トリフェニルシリルフェニルであり、特に好ましくは、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、4−トリメチルシリルフェニル、4−トリエチルシリルフェニル、4−トリイソプロピルシリルフェニルである。
【0060】
上記一価のゲルマニウム含有基またはスズ含有基としては、上記一価のケイ素含有基においてケイ素をゲルマニウムまたはスズに変換した基などが挙げられる。
R
2、R
3は、シクロペンタジエニル環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、好ましくは5または6員環であり、この場合、母核のシクロペンタジエニル部分と併せた構造として、インデン、2−メチルインデン、2−メチル−4−フェニルインデン、2−メチルベンゾインデン、4,5,6,7−テトラヒドロインデン、2−メチル−1,5,6,7−テトラヒドロ−s−インダセン、6,7−ジヒドロ−5H−s−インダセン、6,7−ジヒドロ−8H−as−インダセン、1H−ベンズ[f]インデン、5,6,7,8−テトラヒドロ−1H−ベンズ[f]インデン、3H−ベンズ[e]インデン、6,7,8,9−テトラヒドロ−3H−ベンズ[e]インデン、5,7−ジヒドロ−4H−シクロペンタ[e]アセナフチレン、1,1,3−トリメチル−1,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,1,3,6,8,8−ヘキサメチル−8,10−ジヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、1,3,3−トリメチル−3,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,3,3,6,6,8−ヘキサメチル−6,10−ジヒドロ−3H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、6,6−ジメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、6,6,9,9−テトラメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、1,2,2,4−テトラメチル−2,10−ジヒドロ−1H−インデノ[1,2−g]キノリン、1,2,2,4,7,9,9,10−オクタメチル−2,9,10,12−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[1,2−g:5,4−g’]ジキノリン、アズレンなどが挙げられる。
【0061】
一般式(II)中、R
2、R
3およびR
4は、全て水素原子であることが好ましい。一般式(III)中、R
2、R
3およびR
4は、全て水素原子であることが好ましい。一般式(IV)中、R
2、R
3およびR
4は、全て水素原子であることが好ましい。
【0062】
R
5およびR
6は、フルオレン環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、好ましくは5または6員環であり、この場合、母核のフルオレニル部分と併せた構造として、1,1,3−トリメチル−1,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,1,3,6,8,8−ヘキサメチル−8,10−ジヒドロ−1H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、1,3,3−トリメチル−3,9−ジヒドロシクロペンタ[b]フルオレン、1,3,3,6,6,8−ヘキサメチル−6,10−ジヒドロ−3H−ジシクロペンタ[b,h]フルオレン、6,6−ジメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、4,4,7,7−テトラメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、6,6,9,9−テトラメチル−7,8,9,11−テトラヒドロ−6H−ベンゾ[b]フルオレン、1,1,4,4,7,7,10,10−オクタメチル−2,3,4,7,8,9,10,12−オクタヒドロ−1H−ジベンゾ[b,h]フルオレン、1,2,2,4−テトラメチル−2,10−ジヒドロ−1H−インデノ[1,2−g]キノリン、1,2,2,4,7,9,9,10−オクタメチル−2,9,10,12−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[1,2−g:5,4−g’]ジキノリンなどが挙げられ、これらが好ましい構造である。
【0063】
一般式(II)、(III)または(IV)において、R
5およびR
6が、フルオレン環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成しない場合、R
5としては、一価の基であり、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であることが好ましい。この場合、R
6は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、水素原子であることが好ましい。
【0064】
Q
2およびQ
3は、二つの配位子を結合する二価の基であり、それぞれ独立に、炭素数1以上20以下の炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基である。これらの基としては、上記Q
1で挙げたものと同様の置換基が挙げられる。Q
2およびQ
3共に、好ましくは、アルキレン基、置換アルキレン基、アルキリデン基、またはケイ素含有基である。より好ましくは、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのアルキレン基、イソプロピリデン、ジメチルメチレン、ジエチルメチレン、ジプロピルメチレン、ジイソプロピルメチレン、ジブチルメチレン、メチルエチルメチレン、メチルブチルメチレン、メチル−t−ブチルメチレン、ジヘキシルメチレン、ジシクロヘキシルメチレン、メチルシクロヘキシルメチレン、メチルフェニルメチレン、ジフェニルメチレン、ジトリルメチレン、メチルナフチルメチレン、ジナフチルメチレン、1−メチルエチレン、1,2−ジメチルエチレン、1−エチル−2−メチルエチレンなどの置換アルキレン基である。
【0065】
Q
2またはQ
3は、Q
2またはQ
3を含む3〜8員環を形成してもよく、好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、シクロペンタン、シクロヘキサン、シロラン、シリナン環などが挙げられる。
Q
4は、炭素原子、ケイ素原子、ゲルマニウム原子またはスズ原子であり、好ましくは炭素原子またはケイ素原子である。
【0066】
一般式(IV)において、R
7は、一価の基であり、炭化水素基、ハロゲン含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であることが好ましく、炭化水素基またはハロゲン含有基であることがより好ましく、炭素数1以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数7以上20以下の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基または炭素数6以上20以下のアリール基がさらにより好ましい。
【0067】
R
3およびQ
2、R
3およびQ
3、またはR
3およびR
7は、互いに結合して環を形成してもよく、このような環構造としては、飽和5員環、あるいは2環式飽和5員環が挙げられ、具体的には、シクロペンタン環母骨格、オクタヒドロインデン環母骨格、オクタヒドロペンタレン環母骨格などが挙げられる。
【0068】
Xは、一価の基であり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基、リン含有基、ホウ素含有基またはアルミニウム含有基であり、互いに同一でも異なっていてもよい。
【0069】
Xにおいて、上記ハロゲン原子としては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられ、好ましくは塩素原子または臭素原子である。
Xにおいて、上記一価の炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、イソプロピル、s−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンタン−2−イル、2−メチルブチル、イソペンチル、ネオペンチル、シアミル、イソヘキシル、2,2−ジメチルブチル、2,3−ジメチルブチル、3,3−ジメチルブチル、テキシル、4,4−ジメチルペンチルなどの直鎖状または分岐状のアルキル基;
ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、アレニル、ブタ−3−エン−1−イル、クロチル、ブタ−3−エン−2−イル、メタリル、エリトレニル、ペンタ−4−エン−1−イル、ペンタ−3−エン−1−イル、ペンタ−2−エン−1−イル、イソペンテニル、2−メチルブタ−3−エン−1−イル、ペンタ−4−エン−2−イル、プレニルなどの直鎖状または分岐状のアルケニル基もしくは不飽和二重結合含有基;
エチニル、プロパ−2−イン−1−イル、プロパルギルなどの直鎖状または分岐状のアルキニル基もしくは不飽和三重結合含有基;
ベンジル、2−メチルベンジル、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジル、3,5−ジメチルベンジル、クミニル、2,4,6−トリイソプロピルベンジル、4−t−ブチルベンジル、3,5−ジ−t−ブチルベンジル、フェニルエチル、ベンズヒドリルなどの芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基;
シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルボルネニル、1−アダマンチル、2−アダマンチルなどの環状飽和炭化水素基;
フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、ジュリル、2,6−ジイソプロピルフェニル、2,4,6−トリイソプロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、3,5−ジ−t−ブチルフェニル、ナフチル、ビフェニル、t−フェニル、ビナフチル、アセナフタレニル、フェナントリル、アントラセニル、ピレニル、フェロセニルなどのアリール基;
1,3−ブタジエニル、イソプレニル、ピペリレニル、2,4−ヘキサジエニル、1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル、シクロペンタジエニルなど、メタロシクロペンテン基を形成可能な共役ジエン二価誘導体基;などを挙げることができる。
【0070】
上記炭化水素基の中で好ましくは、メチル、イソブチル、ネオペンチル、シアミル、ベンジル、フェニル、トリル、キシリル、メシチル、クメニル、1,3−ブタジエニル、イソプレニル、ピペリレニル、2,4−ヘキサジエニル、1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニルである。
【0071】
Xにおいて、上記一価のハロゲン含有基としては、例えば、フルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、フルオロフェニル、ジフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、ペンタフルオロフェニル、トリフルオロメチルフェニル、ビストリフルオロメチルフェニル、ヘキサクロロアンチモン酸アニオンなどを挙げることができ、好ましくは、ペンタフルオロフェニルである。
【0072】
Xにおいて、上記一価のケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、トリス(トリメチルシリル)シリル、トリメチルシリルメチルなどを挙げることができ、好ましくは、トリメチルシリルメチルである。
【0073】
Xにおいて、上記一価の酸素含有基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、アリルオキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ベンジルオキシ、メトキシメトキシ、フェノキシ、2,6−ジメチルフェノキシ、2,6−ジイソプロピルフェノキシ、2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ、2,4,6−トリメチルフェノキシ、2,4,6−トリイソプロピルフェノキシ、アセトキシ、ピバロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、トリフルオロアセトキシ、過塩素酸アニオン、過ヨウ素酸アニオンなどを挙げることができ、好ましくは、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシである。
【0074】
Xにおいて、上記一価の硫黄含有基としては、例えば、メシル、フェニルスルホニル、トシル、トリフリル、ノナフリル、メシラート、トシラート、トリフラート、ノナフラートなどを挙げることができ、好ましくは、トリフラートである。
【0075】
Xにおいて、上記一価の窒素含有基としては、例えば、アミノ、シアノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ、アリルアミノ、ジアリルアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリル、ピロリル、ビストリフリルイミドなどを挙げることができ、好ましくは、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピロリル、ビストリフリルイミドである。
【0076】
Xにおいて、上記一価のリン含有基としては、例えば、ヘキサフルオロリン酸アニオンなどを挙げることができる。
Xにおいて、上記一価のホウ素含有基としては、例えば、テトラフルオロホウ酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸アニオン、(メチル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、(ベンジル)(トリス(ペンタフルオロフェニル))ホウ酸アニオン、テトラキス((3,5−ビストリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸アニオン、BR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。
【0077】
Xにおいて、上記一価のアルミニウム含有基としては、例えば、(M−ハロゲン原子−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環、あるいは(M−炭化水素基−アルミニウム原子−炭化水素基)四員環を形成可能な、AlR
4(Rは水素、アルキル基、置換基を有してもよいアリール基またはハロゲン原子等を示す)を挙げることができる。なお、Mは、一般式(II)、(III)または(IV)中のMである。
【0078】
一般式(II)、(III)または(IV)において、Mは、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、好ましくはジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、特に好ましくはジルコニウム原子である。
【0079】
Lは、炭素数1以上10以下の直鎖の炭素鎖を有する炭化水素基であり、炭素数1以上3以下の直鎖の炭素鎖を有する炭化水素基であることが好ましい。具体的には、たとえば、メチレン架橋、1,2−エタン架橋、1,3−プロパン架橋、1,4−ブタン架橋、1,5−ペンタン架橋、1,6−ヘキサン架橋、1,7−ヘプタン架橋、1,8−オクタン架橋、1,9−ノナン架橋、1,10−デカン架橋などが挙げられ、好ましくは、メチレン架橋、1,2−エタン架橋、1,3−プロパン架橋、1,4−ブタン架橋である。
【0080】
D
1は、下記一般式(D-a)、(D-b)、(D-c)、(D-d)、(D-e)、(D-g)、(D-h)または(D-i)であり、(D-a)、(D-b)、(D-c)または(D-d)であることが好ましく、より好ましくは(D-a)、(D-b)または(D-c)であり、特に好ましくは(D-a)である。
【0081】
D
2は、下記一般式(D-a)、(D-b)、(D-c)、(D-d)、(D-e)、(D-g)、(D-h)または(D-i)であり、(D-a)、(D-b)、(D-c)または(D-d)であることが好ましく、より好ましくは(D-a)、(D-b)または(D-c)であり、特に好ましくは(D-a)である。
【0082】
D
3は、下記一般式(D-b)、(D-c)、(D-d)、(D-f)、(D-g)、(D-h)または(D-i)であり、(D-b)、(D-c)または(D-d)であることが好ましく、より好ましくは(D-b)または(D-c)であり、特に好ましくは(D-b)である。
【0083】
【化11】
前記一般式(D-b)、(D-c)、(D-d)、(D-e)、(D-f)および(D-g)中、R
8、R
9、R
10、R
11およびR
13は、一価の基であり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ハロゲン含有基、ケイ素含有基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基またはスズ含有基であり、互いに同一でも異なっていてもよく、また、隣接した置換基は互いに結合して環を形成してもよい。これらの基としては、上記R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7で挙げたものと同様な置換基が挙げられる。
【0084】
上記一般式(D-b)中、隣接したR
8は互いに結合して母骨格である不飽和結合を含む3〜8員環を形成してもよく、好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエンなどが挙げられる。R
8は、水素原子または炭化水素基であることが好ましく、水素原子または炭素数1以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基であることより好ましく、さらに好ましくは水素原子またはメチルであり、特に好ましくは全てが水素原子である。
【0085】
上記一般式(D-c)中、Chは酸素原子あるいは硫黄原子であり、好ましくは酸素原子である。R
9は、一価の基であり、炭素数1以上20以下の直鎖状または分岐状のアルキル基、炭素数7以上20以下の芳香族含有直鎖状または分岐状のアルキル基および不飽和二重結合含有基または炭素数6以上20以下のアリール基であることが好ましく、より好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、アリルである。
【0086】
上記一般式(D-d)中、Pnは窒素原子あるいはリン原子であり、好ましくは窒素原子である。R
10同士は互いに結合して窒素原子を含む3〜8員環を形成してもよく、好ましくは5〜6員環であり、この場合の構造として、ピロリジン、ピロール、ピペリジン、モルホリン、インドリン、インドールなどが挙げられる。R
10は、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ベンジル、アリルである。
【0087】
上記一般式(D-e)および(D-f)中、R
11は、一価の基であり、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上20以下の炭化水素基、ハロゲン含有炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、硫黄含有炭化水素基または窒素含有炭化水素基であることが好ましい。R
11は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、一つ以上の隣接基組み合わせにおいて、隣接した置換基は互いに結合して、母骨格であるベンゼン環部分に縮環する5〜8員環の飽和または不飽和炭化水素基を形成してもよく、好ましくは5又は6員環である。このような母核のベンゼン環部分と併せた構造としては、インダセン、インデン、ナフタレン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリンなどが挙げられる。
【0088】
R
11において、上記ハロゲン原子としては、上記と同様であり、好ましくはフッ素原子または塩素原子である。
R
11において、上記炭素数1以上20以下の炭化水素基としては、上記炭化水素基で挙げたものと同様の置換基が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ビニル、アリル、プレニル、フェニルである。
【0089】
R
11において、上記ハロゲン含有炭化水素基としては、上記ハロゲン含有基で挙げたものと同様の置換基が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチルである。
R
11において、上記ケイ素含有炭化水素基としては、上記ケイ素含有基で挙げたものと同様な置換基が挙げられ、好ましくはトリメチルシリルである。
R
11において、上記酸素含有炭化水素基としては、上記酸素含有基で挙げたものと同様の置換基が挙げられ、好ましくはメトキシ、フリル基である。
R
11において、上記硫黄含有炭化水素基としては、上記硫黄含有基で挙げたものと同様の置換基が挙げられ、好ましくはメチルチオ、チエニルである。
R
11において、上記窒素含有炭化水素基としては、上記窒素含有基で挙げたものと同様の置換基が挙げられ、好ましくはシアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピロリル、ピリジル、インドリル、カルバゾリル、イミダゾリルである。
【0090】
上記一般式(D-f)中、R
12は、一価の基であり、酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基またはリン含有基である。これらの基としては、前記R
2、R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7で挙げたものと同様な置換基が挙げられる。R
12は、隣接するR
11と互いに結合して環を形成してもよく、好ましくは3〜8員環であり、より好ましくは5〜6員環である。この場合の構造として、インドリン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、キノリンなどが挙げられる。R
12は、好ましくは酸素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、イオウ含有炭化水素基またはリン含有炭化水素基であり、特に好ましくはメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、フリル、シアノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ピロリジニル、ピロリル、ピリジル、インドリル、カルバゾリル、イミダゾリル、メチルチオ、チエニル、ジフェニルホスフィノである。
上記一般式(D-g)中、R
13は、好ましくはメチル、イソプロピル、t−ブチル、フェニル、トリメチルシリルである。
【0091】
上記L−D
1で表されるフルオレン環4位置換基、および上記L−D
2で表されるシクロペンタジエニル環3位置換基の特に好ましい例は、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、アリル、ω−ブテニル、ω−ペンテニル、ω−ヘキセニル、ω−ヘプテニル、ω−オクテニル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェネチル、2−ビニルベンジル、2−ビニルフェネチル、2−アリルベンジル、2−アリルフェネチルである。ωは置換基の末端を示すものであることから、末端不飽和結合を有していることを意味している。
【0092】
上記L−D
3で表される架橋部置換基の特に好ましい例は、アリル、ω−ブテニル、ω−ペンテニル、ω−ヘキセニル、ω−ヘプテニル、ω−オクテニル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、5−メトキシペンチル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、2−メトキシベンジル、2−メトキシフェネチル、2−ビニルベンジル、2−ビニルフェネチル、2−アリルベンジル、2−アリルフェネチルである。ωは置換基の末端を示すものであることから、末端不飽和結合を有していることを意味している。
【0093】
一般式(II)、(III)および(IV)で表されるメタロセン化合物の製造方法は、本発明の効果を奏する該メタロセン化合物が得られる限り特に限定されず、公知の方法によって製造可能であり、代表的な合成経路の一例を以下に示すが、特に製造法が限定されるわけではない。
【0094】
出発物質である置換シクロペンタジエン化合物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、特開2006−233208号公報、特開2009−143901号公報、特開2009−144148号公報などが挙げられる。
【0095】
置換フルオレン化合物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、「J.Org.Chem.2000,65,3858.」、本出願人によるWO2001/027124号公報、WO2004/029062号公報、WO2006/126608号公報などが挙げられる。
【0096】
上記置換フルオレン化合物の臭素化生成物、ならびに該臭素化置換フルオレン化合物とホウ素化合物のカップリング反応生成物は、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、米国特許第7470759号が挙げられる。
【0097】
一般式(II)、(III)または(IV)で表されるメタロセン化合物の前駆体化合物(配位子)は、置換シクロペンタジエン化合物、前記置換フルオレン化合物、および置換カルボニル化合物あるいはハロゲン化置換ケイ素化合物を原料として用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法として例えば、WO2009/045301号公報ならびに、本出願人によるWO2004/029062号公報および特開2009−143901号公報が挙げられる。
【0098】
一般式(II)、(III)または(IV)で表されるメタロセン化合物は、上記前駆体化合物(配位子)を用いて、公知の方法によって製造可能であり、特に製造法が限定されるわけではない。公知の製造方法としては、例えば、本出願人によるWO2004/029062号公報が挙げられる。
【0099】
以下に本発明にかかる一般式(II)、(III)または(IV)で表されるメタロセン化合物の具体例を示すが、特にこれによって本発明の範囲が限定されるものではない。なお、本発明において、成分(B)として、一般式(II)、(III)および(IV)から選ばれる少なくとも1種のメタロセン化合物を用い、一般式(II)、(III)および(IV)で表されるメタロセン化合物のうち、化学構造の異なるメタロセン化合物を二種類以上用いてもよい。また、化学構造が同一である光学異性体を一種単独で用いてもよいし、化学構造が同一である光学異性体混合物(例えば、メソ体混合物またはラセミ体混合物)で用いてもよい。
【0100】
一般式(II)で表されるメタロセン化合物のうち、便宜上、メタロセン化合物のMX
2(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル環部分、架橋部分の構造(Q
2)、フルオレニル環の1,2,3,5,6,7,8位の置換基(R
4〜R
6)およびフルオレニル環の4位の置換基(L−D
1)の4つに分ける。シクロペンタジエニル環部分の略称をII−α、架橋部分の構造の略称をII−β、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造の略称をII−γ、フルオレニル環の2,3,6,7位置換基の組み合わせ構造の略称をII−δ、フルオレニル環の4位置換基の組み合わせ構造の略称をII−εとし、各置換基の略称を以下の表1〜表5に示す。
【0106】
上記の表記に従えば、シクロペンタジエニル環部分が表1中のII−α−6、架橋部分が表2中のII−β−3、フルオレニル環部分が表4中のII−δ−9、フルオレニル環の4位置換基が表5中のII−ε−6の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZrCl
2の場合は、下記化合物(II−1)を例示している。
【0107】
【化12】
また、シクロペンタジエニル環部分が表1中のII−α−3、架橋部分が表2中のII−β−12、フルオレニル環部分が表4中のII−δ−5、フルオレニル環の4位置換基が表5中のII−ε−8の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がHfCl
2の場合は、下記化合物(II−2)を例示している。
【0108】
【化13】
また、シクロペンタジエニル環部分が表1中のII−α−1、架橋部分が表2中のII−β−17、フルオレニル環部分が表4中のII−δ−13、フルオレニル環の4位置換基が表5中のII−ε−16の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZr(NMe
2)
2の場合は、下記化合物(II−3)を例示している。
【0109】
【化14】
また、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造が表3中のII−γ−8、フルオレニル環部分が表4中のII−δ−19、フルオレニル環の4位置換基が表5中のII−ε−23の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がHf(Me)
2の場合は、下記化合物(II−4)を例示している。
【0110】
【化15】
一般式(III)で表されるメタロセン化合物のうち、便宜上、メタロセン化合物のMX
2(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル環の2,3あるいは4,5位の置換基(R
2,R
3)、架橋部分の構造(Q
3)、フルオレニル環部分の構造およびシクロペンタジエニル環の3あるいは4位の置換基(L−D
2)の4つに分ける。シクロペンタジエニル環の2,3あるいは4,5位の置換基の組み合わせ構造の略称をIII−α、架橋部分の構造の略称をIII−β、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造の略称をIII−γ、フルオレニル環部分構造の略称をIII−δ、シクロペンタジエニル環の3あるいは4位置換基の組み合わせ構造の略称をIII−εとし、各置換基の略称を表6〜表10に示す。
【0116】
上記の表記に従えば、シクロペンタジエニル環部分が表6中のIII−α−2、架橋部分が表7中のIII−β−1、フルオレニル環部分が表9中のIII−δ−10、シクロペンタジエニル環の3あるいは4位置換基が表10中のIII−ε−1の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZrCl
2の場合は、下記化合物(III−1)を例示している。
【0117】
【化16】
また、シクロペンタジエニル環部分が表6中のIII−α−5、架橋部分が表7中のIII−β−16、フルオレニル環部分が表9中のIII−δ−17、シクロペンタジエニル環の3あるいは4位置換基が表10中のIII−ε−20の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がHf(NMe
2)
2の場合は、下記化合物(III−2)を例示している。
【0118】
【化17】
また、シクロペンタジエニル環部分が表6中のIII−α−1、架橋部分が表7中のIII−β−20、フルオレニル環部分が表9中のIII−δ−14、シクロペンタジエニル環の3あるいは4位置換基が表10中のIII−ε−25の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がTiCl
2の場合は、下記化合物(III−3)を例示している。
【0119】
【化18】
また、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造が表8中のIII−γ−1、フルオレニル環部分が表4中のIII−δ−19、フルオレニル環部分が表9中のIII−δ−20、シクロペンタジエニル環の3あるいは4位置換基が表10中のIII−ε−30の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZrMe
2の場合は、下記化合物(III−4)を例示している。
【0120】
【化19】
一般式(IV)で表されるメタロセン化合物のうち、便宜上、メタロセン化合物のMX
2(金属部分)を除いたリガンド構造を、シクロペンタジエニル環部分、架橋部分の構造(R
7−Q
4)、フルオレニル環部分の構造および架橋部分の置換基(L−D
3)の4つに分ける。シクロペンタジエニル環部分の構造の略称をIV−α、架橋部分の構造の略称をIV−β、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造の略称をIV−γ、フルオレニル環部分構造の略称をIV−δ、架橋部分の置換基の組み合わせ構造の略称をIV−εとし、各置換基の略称を表11〜表15に示す。
【0126】
上記の表記に従えば、シクロペンタジエニル環部分が表11中のIV−α−4、架橋部分構造が表12中のIV−β−2、フルオレニル環部分が表14中のIV−δ−1、架橋部分の置換基が表15中のIV−ε−2の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がTi(η
4−1,3−ペンタジエニル)の場合は、下記化合物(IV−1)を例示している。
【0127】
【化20】
また、シクロペンタジエニル環部分が表11中のIV−α−1、架橋部分構造が表12中のIV−β−9、フルオレニル環部分が表14中のIV−δ−7、架橋部分の置換基が表15中のIV−ε−11の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がHfBn
2の場合は、下記化合物(IV−2)を例示している。
【0128】
【化21】
また、シクロペンタジエニル環部分が表11中のIV−α−8、架橋部分構造が表12中のIV−β−16、フルオレニル環部分が表14中のIV−δ−16、架橋部分の置換基が表15中のIV−ε−25の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZr(OiPr)
2の場合は、下記化合物(IV−3)を例示している。
【0129】
【化22】
また、シクロペンタジエニル環と架橋部分の組み合わせ構造が表13中のIV−γ−5、フルオレニル環部分が表14中のIV−δ−18、架橋部分の置換基が表15中のIV−ε−27の組み合わせで構成され、金属部分のMX
2がZrBr
2の場合は、下記化合物(IV−4)を例示している。
【0130】
【化23】
金属部分MX
2の具体的な例示としては、TiF
2、TiCl
2、TiBr
2、TiI
2、Ti(Me)
2、Ti(Bn)
2、Ti(Allyl)
2、Ti(CH
2−tBu)
2、Ti(η
4−1,3−ブタジエニル)、Ti(η
4−1,3−ペンタジエニル)、Ti(η
4−2,4−ヘキサジエニル)、Ti(η
4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Ti(CH
2−Si(Me)
3)
2、Ti(OMe)
2、Ti(OiPr)
2、Ti(NMe
2)
2、Ti(OMs)
2、Ti(OTs)
2、Ti(OTf)
2、ZrF
2、ZrCl
2、ZrBr
2、ZrI
2、Zr(Me)
2、Zr(Bn)
2、Zr(Allyl)
2、Zr(CH
2−tBu)
2、Zr(η
4−1,3−ブタジエニル)、Zr(η
4−1,3−ペンタジエニル)、Zr(η
4−2,4−ヘキサジエニル)、Zr(η
4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Zr(CH
2−Si(Me)
3)
2、Zr(OMe)
2、Zr(OiPr)
2、Zr(NMe
2)
2、Zr(OMs)
2、Zr(OTs)
2、Zr(OTf)
2、HfF
2、HfCl
2、HfBr
2、HfI
2、Hf(Me)
2、Hf(Bn)
2、Hf(Allyl)
2、Hf(CH
2−tBu)
2、Hf(η
4−1,3−ブタジエニル)、Hf(η
4−1,3−ペンタジエニル)、Hf(η
4−2,4−ヘキサジエニル)、Hf(η
4−1,4−ジフェニル−1,3−ペンタジエニル)、Hf(CH
2−Si(Me)
3)
2、Hf(OMe)
2、Hf(OiPr)
2、Hf(NMe
2)
2、Hf(OMs)
2、Hf(OTs)
2、Hf(OTf)
2などが挙げられる。Meはメチル基、Bnはベンジル基、tBuはtert−ブチル基、Si(Me)
3はトリメチルシリル基、OMeはメトキシ基、OiPrはiso−プロポキシ基、NMe
2はジメチルアミノ基、OMsはメタンスルホナート基、OTsはp−トルエンスルホナート基、OTfはトリフルオロメタンスルホナート基である。
【0131】
(成分(C))
成分(C)は、
(c−1)下記一般式(V)、(VI)または(VII)で表される有機金属化合物、
(c−2)有機アルミニウムオキシ化合物、および
(c−3)成分(A)および成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含む。これらの化合物は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0132】
R
amAl(OR
b)
n H
p X
q・・・(V)
一般式(V)中、R
a およびR
b は、それぞれ独立に、炭素原子数が1以上15以下の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
【0133】
M
a AlR
a4・・・(VI)
一般式(VI)中、M
a はリチウム原子、ナトリウム原子またはカリウム原子であり、R
a は水素原子または炭素原子数が1以上15以下の炭化水素基を示す。
【0134】
R
arM
bR
bs X
t・・・(VII)
一般式(VII)中、R
a およびR
b は、それぞれ独立に、炭素原子数が1以上15以下の炭化水素基を示し、互いに同一でも異なっていてもよく、M
b は、マグネシウム原子、亜鉛原子またはカドミウム原子、Xはハロゲン原子を示し、rは0<r≦2、sは0≦s≦1、tは0≦t≦1であり、かつr+s+t=2である。
【0135】
上記一般式(V)、(VI)または(VII)で表される有機金属化合物(c-1)の中では、一般式(V)で示される有機金属化合物が好ましく、一般式(V)で示される有機金属化合物の具体例としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリ2-エチルヘキシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、ジメチルアルミニウムブロミドなどのジアルキルアルミニウムハライド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド、イソプロピルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、イソプロピルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジヒドロフェニルアルミニウムハイドライド、ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジ-n-ブチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジイソヘキシルアルミニウムハイドライド、ジフェニルアルミニウムハイドライド、ジシクロヘキシルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ヘプチルアルミニウムハイドライド、ジ-sec-ノニルアルミニウムハイドライドなどのアルキルアルミニウムハイドライド、ジメチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジイソプロピルアルミニウムメトキサイド、ジイソブチルアルミニウムエトキサイドなどのジアルキルアルミニウムアルコキサイドなどが挙げられる。
【0136】
これら化合物は、1種単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
一般式(VI)の例としては、水素化アルミニウムリチウムなどが挙げられる。
また一般式(VII)の例としては、特開2003−171412号公報などに記載されたジアルキル亜鉛化合物などが挙げられ、フェノール化合物などと組合せて用いることもできる。
【0137】
有機アルミニウムオキシ化合物(c-2)としては、トリアルキルアルミニウムまたはトリシクロアルキルアルミニウムから調製された有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく、トリメチルアルミニウムまたはトリイソブチルアルミニウムから調製されたアルミノキサンが特に好ましい。
このような有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
【0138】
成分(A)および成分(B)と反応してイオン対を形成する化合物(c-3)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報およびUS5321106などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物や、さらにはヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物などを用いることができる。
【0139】
本発明に係るオレフィン重合用触媒では、助触媒成分としてメチルアルミノキサン等の有機アルミニウムオキシ化合物を併用すると、オレフィン化合物に対して非常に高い重合活性を示すだけでなく、固体状担体中の活性水素と反応し助触媒成分を含有した固体担体成分を容易に調製できるため、成分(C)は、少なくとも有機アルミニウムオキシ化合物(c−2)を含むことが好ましい。
【0140】
〔オレフィン重合用触媒の調製方法〕
次に、本発明におけるオレフィン重合用触媒の調製方法について記載する。
本発明に係る第1のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、成分(B)および成分(C)を不活性炭化水素中または不活性炭化水素を用いた重合系中に添加することにより調製できる。
【0141】
各成分の添加順序は任意であるが、好ましい順序としては、例えば、
(i)成分(C)、成分(A)、成分(B)の順で重合系中に添加する方法
(ii)成分(C)、成分(B)、成分(A)の順で重合系中に添加する方法
(iii)成分(A)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(B)を重合系中に添加する方法
(iv)成分(B)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(A)を重合系中に添加する方法
(v)成分(C)を重合系中に添加し、次いで成分(A)と成分(B)を混合接触させた接触物を重合系中に添加する方法
(vi)成分(C)、成分(A)、成分(B)の順で重合系中に添加し、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
(vii)成分(C)、成分(B)、成分(A)の順で重合系中に添加し、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
(viii)成分(A)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(B)を重合系中に添加した後、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
(ix)成分(B)と成分(C)を混合接触させた接触物を重合系中に添加し、次いで成分(A)を重合系中に添加した後、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
(x)成分(C)を重合系中に添加し、次いで成分(A)と成分(B)を混合接触させた接触物を重合系中に添加した後、再度成分(C)を重合系中に添加する方法
などが挙げられる。これらのうち、特に好ましい接触順序としては、上記(i)、(ii)および(v)が挙げられる。
【0142】
本発明に係る第2のオレフィン重合用触媒は、成分(A)、成分(B)および成分(C)に加え、さらに下記固体状担体(S)を含んでなる固体触媒成分(X)を含んでなる。このような触媒としては、たとえば、固体状担体(S)、成分(C)および成分(A)から形成される固体触媒成分(X−A)と、固体状担体(S)、成分(C)および成分(B)から形成される固体触媒成分(X−B)からなるオレフィン重合用触媒、ならびに固体状担体(S)、成分(A)、成分(B)および成分(C)より形成される固体触媒成分(X−C)からなるオレフィン重合用触媒があり、該固体触媒成分(X−C)からなるオレフィン重合用触媒が好ましい。
【0143】
各成分の接触順序は任意であるが、好ましい方法としては、例えば、
(xi)成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、次いで成分(A)を接触させて調製する固体触媒成分(X−A)と成分(C)と成分(S)を接触させ、次いで成分(B)を接触させて調製する固体触媒成分(X−B)を用いる方法
(xii)成分(A)と成分(C)を混合接触させ、次いで固体状担体(S)に接触させて調製する固体触媒成分(X−A)と成分(B)と成分(C)を混合接触させ、次いで成分(S)に接触させて調製する固体触媒成分(X−B)を用いる方法
(xiii)成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、次いで成分(A)と成分(C)の接触物を接触させて調製する固体触媒成分(X−A)と成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、次いで成分(B)と成分(C)の接触物を接触させて調製する固体触媒成分(X−B)を用いる方法
(xiv)成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、次いで成分(A)を接触させ、さらに再度成分(C)を接触させて調製する固体触媒成分(X−A)と成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、次いで成分(B)を接触させ、さらに再度成分(C)を接触させて調製する固体触媒成分(X−B)を用いる方法
(xv)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)を接触させた後に、成分(B)を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xvi)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(B)を接触させた後に、成分(A)を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xvii)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(B)の接触混合物を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法、
(xviii)成分(A)と成分(B)とを混合接触させ、次いで成分(C)と接触、引き続き固体状担体(S)に接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法、
(xix)固体状担体(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(A)、成分(B)の順で接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xx)固体状担体(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(B)、成分(A)の順で接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxi)固体状担体(S)に成分(C)を接触させた後に、さらに成分(C)を接触させ、次いで成分(A)と成分(B)の接触混合物を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxii)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxiii)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(A)と成分(C)の接触混合物を接触させ、さらに成分(B)を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxiv)固体状担体(S)に成分(C)を混合接触させ、次いで成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させ、さらに成分(A)を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxv)固体状担体(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(A)と成分(C)の接触混合物、成分(B)と成分(C)の接触混合物の順で接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxvi)固体状担体(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(B)と成分(C)の接触混合物、成分(A)と成分(C)の接触混合物の順で接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxvii)固体状担体(S)に成分(C)を接触させ、さらに成分(C)を接触させた後に、次いで成分(A)と成分(B)と成分(C)の接触混合物を接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxviii)成分(A)と成分(C)の混合物と成分(B)と成分(C)の混合物を予め混合させ、これを固体状担体(S)と成分(C)の接触物に接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
(xxix)成分(A)と成分(C)の混合物と成分(B)と成分(C)の混合物を予め混合させ、これを固体状担体(S)、成分(C)、さらに成分(C)を接触させた接触物に接触させて調製する固体触媒成分(X−C)を用いる方法
などが挙げられる。
【0144】
成分(C)が複数用いられる場合は、その成分(C)同士が同一であっても異なっていても良い。このうち、特に好ましい接触順序としては、(xi)、(xiii)、(xv)、(xvi)、(xvii)、(xxii)、(xxiii)および(xxiv)が挙げられる。
【0145】
固体触媒成分(X)の調製に用いる溶媒としては、不活性炭化水素溶媒が挙げられ、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0146】
上記接触順序形態を示した各方法において、固体状担体(S)と成分(C)の接触を含む工程、固体状担体(S)と成分(A)の接触を含む工程、固体状担体(S)と成分(B)の接触を含む工程、固体状担体(S)と成分(A)と成分(B)の接触を含む工程においては、成分(G)として(g−1)ポリアルキレンオキサイドブロック、(g−2)高級脂肪族アミド、(g−3)ポリアルキレンオキサイド、(g−4)ポリアルキレンオキサイドアルキルエーテル、(g−5)アルキルジエタノールアミン、および(g−6)ポリオキシアルキレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種の化合物を共存させてもよい。成分(G)を共存させることにより、重合反応中のファウリングを抑制することができ、また生成重合体の粒子性状が改善される。成分(G)の中では、(g−1)、(g−2)、(g−3)、(g−4)が好ましい。
【0147】
成分(C)と固体状担体(S)の接触により、成分(C)中の反応部位と固体状担体(S)中の反応部位との反応により成分(C)と固体状担体(S)が化学的に結合され、成分(C)と固体状担体(S)の接触物が形成される。成分(C)と固体状担体(S)との接触時間は、通常0〜20時間、好ましくは0〜10時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−20〜120℃である。成分(C)と固体状担体(S)との初期接触を急激に行うと、その反応発熱や反応エネルギーにより固体状担体(S)が崩壊し、得られる固体触媒成分(X)のモルフォロジーが悪化し、これを重合に用いた場合ポリマーモルフォロジー不良により連続運転が困難になることが多い。そのため、成分(C)と固体状担体(S)との接触初期は、反応発熱を抑制する目的で、−20〜30℃の低温で接触させる、または、反応発熱を制御し、初期接触温度を維持可能な速度で反応させることが好ましい。また、成分(C)と固体状担体(S)を接触させ、さらに成分(C)を接触させる場合においても同様である。成分(C)と固体状担体(S)との接触のモル比(成分(C)/固体状担体(S))は、任意に選択できるが、そのモル比が高いほうが、成分(A)、成分(B)の接触量を増加でき、固体触媒成分(X)の活性を向上させることができる。
【0148】
好ましい範囲として、成分(C)と固体状担体(S)のモル比[=成分(C)のモル量/固体状担体(S)のモル量]が、通常0.2〜2.0、特に好ましくは、0.4〜2.0である。
【0149】
成分(C)と固体状担体(S)の接触物と、成分(A)ならびに成分(B)との接触に関して、接触時間は、通常0〜5時間、好ましくは0〜2時間であり、接触温度は、通常−50〜200℃、好ましくは−50〜100℃の範囲内である。成分(A)および成分(B)の成分(C)に対する接触量は、成分(C)の種類と量に大きく依存し、成分(c-1)の場合は、成分(c-1)と成分(A)および成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(c-1)/M]が、通常0.01〜100000、好ましくは0.05〜50000となるような量で用いられ、成分(c-2)の場合は、成分(c-2)中のアルミニウム原子と成分(A)および成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(c-2)/M]が、通常10〜500000、好ましくは20〜100000となるような量で用いられる。成分(c-3)の場合は、成分(c-3)と、成分(A)および成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比[(c-3)/M]が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。なお、成分(C)と成分(A)および成分(B)中の全遷移金属原子(M)とのモル比は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP分析法)により求めることができる。
【0150】
次に固体状担体(S)について詳細に説明する。
本発明で必要に応じて用いることができる固体状担体(S)は、無機または有機の化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
【0151】
このうち無機化合物としては、例えば、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物などが挙げられる。これら無機化合物の中でも、多孔質酸化物が好ましい。
【0152】
多孔質酸化物としては、例えば、SiO
2、Al
2O
3、MgO、ZrO、TiO
2、B
2O
3、CaO、ZnO、BaOおよびThO
2などの組成を有する多孔質酸化物、またはこれら組成を含む複合酸化物またはこれら多孔質酸化物の混合物などが挙げられ、具体的には、天然または合成ゼオライト、SiO
2−MgO、SiO
2−Al
2O
3、SiO
2−TiO
2、SiO
2−V
2O
5、SiO
2−Cr
2O
3およびSiO
2−TiO
2−MgOなどの組成を有する多孔質酸化物が挙げられる。これらのうち、SiO
2を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
【0153】
なお、上記無機酸化物には、少量のNa
2CO
3、K
2CO
3、CaCO
3、MgCO
3、Na
2SO
4、Al
2(SO
4)
3、BaSO
4、KNO
3、Mg(NO
3)
2、Al(NO
3)
3、Na
2O、K
2O、Li
2O等の炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、酸化物成分を含有していても差し支えない。
【0154】
このような多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、本発明に好ましく用いられる担体は、粒径が0.2〜300μm、好ましくは1〜200μmであって、比表面積が50〜1200m
2/g、好ましくは100〜1000m
2/gの範囲にあり、細孔容積が0.3〜30cm
3/gの範囲にあることが望ましい。このような担体は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
【0155】
無機ハロゲン化物としては、例えば、MgCl
2、MgBr
2、MnCl
2、MnBr
2などが挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを用いることもできる。
【0156】
粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成される。また、イオン交換性層状化合物は、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能なものである。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。また、これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0157】
また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、粘土、粘土鉱物、また、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl
2型、CdI
2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物等を例示することができる。
【0158】
このような粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト等が挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α-Zr(HAsO
4)
2・H
2O、α-Zr(HPO
4)
2、α-Zr(KPO
4)
2・3H
2O、α-Ti(HPO
4)
2、α-Ti(HAsO
4)
2・H
2O、α-Sn(HPO
4)
2・H
2O、γ-Zr(HPO
4)
2、γ-Ti(HPO
4)
2、γ-Ti(NH
4PO
4)
2・H
2O等の多価金属の結晶性酸性塩等が挙げられる。
【0159】
このような粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物は、水銀圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/g以上のものが好ましく、0.3〜5cc/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×10
4Åの範囲について測定される。
【0160】
半径20Å以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合には、高い重合活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理等、いずれも使用できる。化学処理として具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理等が挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0161】
イオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物であってもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl
4、ZrCl
4等の陽イオン性無機化合物、Ti(OR)
4、Zr(OR)
4、PO(OR)
3、B(OR)
3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)、[Al
13O
4(OH)
24]
7+、[Zr
4(OH)
14]
2+、[Fe
3O(OCOCH
3)
6]
+等の金属水酸化物イオン等が挙げられる。これら化合物は単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。また、これら化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)
4、Al(OR)
3、Ge(OR)
4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基等)等を加水分解して得た重合物、SiO
2等のコロイド状無機化合物等を共存させることもできる。また、ピラーとしては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物等が挙げられる。
【0162】
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよく、またボールミル、ふるい分け等の処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後に用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0163】
有機化合物としては、例えば、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状ないしは微粒子状固体などが挙げられる。有機化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4−メチル−1−ペンテン等の炭素原子数が2〜14のオレフィンを主成分として生成される(共)重合体またはビニルシクロヘキサン、スチレン、ジビニルベンゼンを主成分として生成される(共)重合体や反応体、およびそれらの変成体からなる顆粒状ないしは微粒子状固体などが挙げられる。
【0164】
また、特開平11−140113号公報、特開2000−38410号公報、特開2000−95810号公報、WO2010/55652A1号パンフレットなどに記載された方法で、上記成分(C)を不溶化させて得られる固体成分を、固体状担体(S)として用いることもできる。この場合、上記第2のオレフィン重合用触媒の調製方法における、成分(C)との接触は必須ではない。
【0165】
固体状担体(S)としては、成形時の異物防止の観点から、多孔質酸化物または上記成分(C)を不溶化させて得られる固体成分から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
成分(A)と成分(B)の使用比は、製造したい重合体の分子量および分子量分布などに応じて適宜決定できる。
【0166】
オレフィンの(共)重合には、上記のような固体触媒成分(X)をそのまま用いることができるが、この固体触媒成分(X)にオレフィンを予備重合させ予備重合触媒成分(XP)を形成してから用いることもできる。
【0167】
予備重合触媒成分(XP)は、固体触媒成分(X)存在下、通常、不活性炭化水素溶媒中、オレフィンを導入させることにより調製することができる。反応方式としては、回分式、半連続式および連続式のいずれの方法でも使用することができる。また反応は、減圧、常圧または加圧下のいずれでも行うことができる。この予備重合によって、固体状触媒成分1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましくは0.1〜800g、より好ましくは0.2〜500gの重合体を生成させる。
【0168】
不活性炭化水素溶媒中で調製した予備重合触媒成分(XP)は、懸濁液から分離した後、再び不活性炭化水素中に懸濁させ、得られた懸濁液中にオレフィンを導入してもよく、また、乾燥させた後オレフィンを導入してもよい。
【0169】
予備重合温度は、通常−20〜80℃、好ましくは0〜60℃である。また、予備重合時間は、通常0.5〜100時間、好ましくは1〜50時間である。
予備重合に使用する固体触媒成分(X)の形態としては、すでに述べたものを制限無く利用することができる。また、必要に応じて成分(C)が用いられ、特に(c−1)中の上記式(V)に示される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。成分(C)として式(V)の有機アルミニウム化合物が用いられる場合は、成分(C)中のアルミニウム原子(Al−C)と成分(A)および(B)である遷移金属化合物とのモル比(成分(C)/遷移金属化合物)で、通常0.1〜10000、好ましくは0.5〜5000の量で用いられる。
【0170】
予備重合系における固体触媒成分(X)の濃度は、固体触媒成分(X)/重合容積1リットル比で、通常1〜1000グラム/リットル、好ましくは10〜500グラム/リットルであることが望ましい。予備重合時には、ファウリング抑制または粒子性状改善を目的として、上記成分(G)を共存させることができる。
【0171】
また予備重合触媒成分(XP)の流動性改善や重合時のヒートスポット・シーティングやポリマー塊の発生抑制を目的に、予備重合によって一旦生成させた予備重合触媒成分(XP)に成分(G)を接触させてもよい。この際、使用する成分(G)として、上記(g−1)、(g−2)、(g−3)、(g−4)が好ましい。
【0172】
成分(G)を混合接触させる際の温度は、通常−50〜50℃、好ましくは−20〜50℃であり、接触時間は1〜1000分間、好ましくは5〜600分間である。
固体触媒成分(X)と成分(G)とを混合接触するに際して、成分(G)は、固体触媒成分(X)100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.3〜10重量部、より好ましくは0.4〜5重量部の量で用いられる。
【0173】
固体触媒成分(X)と成分(G)との混合接触は、不活性炭化水素溶媒中で行うことができ、不活性炭化水素溶媒としては、固体触媒成分(X)の調製に用いる溶媒と同様のものが挙げられる。
【0174】
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、予備重合触媒成分(XP)を乾燥して乾燥予備重合触媒として用いることができる。予備重合触媒成分(XP)の乾燥は、通常得られた予備重合触媒の懸濁液から濾過などにより分散媒である炭化水素を除去した後に行われる。
【0175】
予備重合触媒成分(XP)の乾燥は、予備重合触媒成分(XP)を不活性ガスの流通下、70℃以下、好ましくは20〜50℃の範囲の温度に保持することにより行われる。得られた乾燥予備重合触媒の揮発成分量は2.0重量%以下、好ましくは1.0重量%以下であることが望ましい。乾燥予備重合触媒の揮発成分量は、少ないほどよく、特に下限はないが、実用的には0.001重量%である。乾燥時間は、乾燥温度にもよるが通常3〜8時間である。乾燥予備重合触媒の揮発成分量が2.0重量%を超えると、乾燥予備重合触媒の流動性が低下し、安定的に重合反応器に供給できなくなることがある。
【0176】
ここで、乾燥予備重合触媒の揮発成分量は、たとえば、減量法、ガスクロマトグラフィーを用いる方法などにより測定される。
減量法では、乾燥予備重合触媒を不活性ガス雰囲気下において110℃で1時間加熱した際の減量を求め、加熱前の乾燥予備重合触媒に対する百分率として表す。
【0177】
ガスクロマトグラフィーを用いる方法では、乾燥予備重合触媒から炭化水素などの揮発成分を抽出し、内部標準法に従って検量線を作成した上でGC面積から重量%として算出する。
【0178】
乾燥予備重合触媒の揮発成分量の測定方法は、乾燥予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以上である場合には、減量法が採用され、乾燥予備重合触媒の揮発成分量が約1重量%以下である場合には、ガスクロマトグラフィーを用いる方法が採用される。
【0179】
予備重合触媒成分(XP)の乾燥に用いられる不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガスなどが挙げられる。このような不活性ガスは、酸素濃度が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下(体積基準)であり、水分含量が20ppm以下、好ましくは10ppm以下、より好ましくは5ppm以下(重量基準)であることが望ましい。不活性ガス中の酸素濃度および水分含量が上記の範囲を超えると、乾燥予備重合触媒のオレフィン重合活性が大きく低下することがある。
【0180】
上記乾燥予備重合触媒は、流動性に優れているので、重合反応器への供給を安定的に行うことができる。また、気相重合系内に懸濁に用いた溶媒を同伴させずに済むため安定的に重合を行うことができる。
【0181】
〔オレフィン重合体の製造方法(重合方法)〕
次に、本発明に係るオレフィン重合体の重合方法に関して記載する。上記したオレフィン重合用触媒の存在下、オレフィンを重合または共重合することによりオレフィン重合体を得る。本発明では、該オレフィン重合用触媒を用いることで、高い重合活性持って、成型加工性および機械的強度に優れ、数多くの長鎖分岐を有するエチレン系共重合体を効率的に製造できるため、オレフィンとしてエチレンを含むことが好ましい。本発明でのエチレン系重合体は、重合体中のエチレン含量が10モル%以上含まれるものをさす。
【0182】
本発明では、重合は溶解重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できるが、本発明に係る第1のオレフィン重合用触媒下では溶解重合法が好ましく、第2のオレフィン重合用触媒下では懸濁重合法および気相重合法が好ましい。
【0183】
液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体の具体例としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素およびこれらの混合物等が挙げられる。また、液相重合法においては、オレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
【0184】
上記オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、成分(A)および成分(B)は、反応容積1リットル当たり、通常10
-12〜10
-1モル、好ましくは10
-8〜10
-2モルになるような量で用いられる。また、成分(C)が用いられ、特に(c−1)中一般式(V)に示される有機アルミニウム化合物が好まれて使用される。
【0185】
また、上述の固体触媒成分を用いたオレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜170℃、特に好ましくは60〜170℃の範囲である。重合圧力は、通常、常圧〜100kg/cm
2、好ましくは常圧〜50kg/cm
2の条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行うことも可能である。
【0186】
得られる重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、または重合温度を変化させることによって調節することができる。重合時には、ファウリング抑制または粒子性状改善を目的として、成分(G)を共存させることができる。
【0187】
また、本発明において重合反応に供給されるオレフィンは、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、好ましくは炭素数2以上20以下のオレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。炭素数が2以上20以下のオレフィンの具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどのα−オレフィン;シクロペンテン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、2−メチル1,4,5,8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンなどの環状オレフィン;等が挙げられる。また、上記オレフィンの具体例として、例えば、スチレン、ビニルシクロヘキサン、ジエンやアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、無水マレイン酸等;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸等の極性モノマー等も挙げられる。
【0188】
(エチレン系重合体)
本発明のエチレン系重合体は、オレフィン重合用触媒の存在下で、エチレンと炭素数3以上20以下のオレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを共重合する工程を含んで得られる。該エチレン系重合体は、特に限定されないが、通常、下記要件(1)を有し、好ましくは要件(1)と要件(2)〜(5)のいずれか1つ以上を有し、より好ましくは要件(1)〜(5)の全てに示す特性を有している。なお、これらの要件の測定方法は、実施例に記載の通りである。
【0189】
(1)密度が875kg/m
3以上945kg/m
3以下であり、下限は好ましくは885kg/m
3、より好ましくは900kg/m
3であり、上限は好ましくは935kg/m
3、より好ましくは930kg/m
3である。
【0190】
密度が前記下限値以上の場合、エチレン系重合体から成形されたフィルムの表面べたつきが少なく耐ブロッキング性に優れ、密度が前記上限値以下の場合、エチレン系重合体からから成形されたフィルムの衝撃強度が良好となり、ヒートシール強度、破袋強度などの機械的強度が良好である。
【0191】
一般に、密度はエチレン系重合体のα−オレフィン含量に依存しており、α−オレフィン含量が少ないほど密度は高く、α−オレフィン含量が多いほど密度は低くなる。また、エチレン系重合体中のα-オレフィン含量は、重合系内におけるα-オレフィンとエチレンとの組成比(α-オレフィン/エチレン)により決定されることが知られている(例えば、Walter Kaminsky, Makromol.Chem. 193, p.606(1992))。このため、α-オレフィン/エチレンを増減させることで、上記範囲の密度を有するエチレン系重合体を製造することができる。
【0192】
(2)ASTM D1238−89の標準法に準拠し、190℃における、2.16kg荷重でのメルトフローレート[MFR(g/10分)]が、特に限定されないが、0.01〜100g/10分であることが好ましい。下限はより好ましくは0.1g/10分、さらにより好ましくは0.5g/10分であり、上限はより好ましくは50g/10分、さらにより好ましくは30g/10分である。
【0193】
MFRが0.01g/10分以上の場合、エチレン系重合体のせん断粘度が高過ぎず成形性に優れ、例えばフィルムとした場合の外観が良好である。MFRが100g/10分以下の場合、エチレン系重合体の引張強度やヒートシール強度が良好である。
【0194】
(3)190℃における溶融張力[MT(g)]と200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度[η*(P)]との比[MT/η*(g/P)]が、特に限定されないが、6.0×10
-6〜1.0×10
-3であることが好ましい。下限はより好ましくは1.0×10
-4、上限はより好ましくは6.0×10
-4である。
【0195】
MT/η*は、単位せん断粘度あたりの溶融張力を示し、この値が大きいと、せん断粘度の割に溶融張力が大きくなる。すなわち、MT/η*が下限値以上の場合、エチレン系重合体において押出特性とバブル安定性あるいはネックインとのバランスが良好となる。また、MT/η*が上限値以下の場合、エチレン系重合体において高速成形性が良好となる。
【0196】
MT/η*はエチレン系重合体の長鎖分岐含量に依存すると考えられており、長鎖分岐含量が多いほどMT/η*は大きく、長鎖分岐含量が少ないほどMT/η*は小さくなる傾向がある。
【0197】
(4)135℃デカリン中で測定した極限粘度〔[η](dl/g)〕とゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)−粘度検出器法(GPC−VISCO)により測定された重量平均分子量(Mw)とが、特に限定されないが、下記関係式(Eq−1)を満たすことが好ましい。
【0198】
0.48×10
-4×Mw
0.776≦[η]≦2.35×10
-4×Mw
0.776-----(Eq−1)
下限はより好ましくは0.98×10
-4×Mw
0.776、さらにより好ましくは1.10×10
-4×Mw
0.776、上限はより好ましくは2.25×10
-4×Mw
0.776、さらにより好ましくは2.15×10
-4×Mw
0.776である。
【0199】
エチレン系重合体中に長鎖分岐が導入されると、長鎖分岐の無い直鎖型エチレン系重合体に比べ、分子量の割に極限粘度[η](dl/g)が小さくなることが知られている(例えばWalther Burchard, ADVANCES IN POLYMER SCIENCE, 143, Branched PolymerII, p.137(1999))。そのため、本エチレン系重合体においても、極限粘度[η](dl/g)が2.35×10
-4×Mw
0.776以下の場合は多数の長鎖分岐を有しているので、成形性、流動性に優れる。
【0200】
(5)
1H−NMRにより求められる炭素数1000個あたりのビニリデン基含量(個/1000C)が、、特に限定されないが、0.23個/1000C以下であることが好ましく、より好ましくは0.20個/1000C以下である。ビニリデン基含量の下限は、特に限定されないが、通常0.05個/1000Cである。
【0201】
ビニリデン基は、重合系内においてα−オレフィン挿入後にβ水素脱離反応が起こることなどにより生成し、α−オレフィン含量が高くなるほどビニリデン基含量は増加する。ビニリデン基などの不飽和結合が少ないほど、エチレン系重合体において耐候性に優れる。
【0202】
物性値のばらつきを抑制するため、重合反応により得られたエチレン系重合体粒子および所望により添加される他の成分は、任意の方法で溶融され、混練、造粒などを施される。
【0203】
本発明で得られるエチレン系重合体は以下のような方法によりペレット化しても良い。
(i)エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を、押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして、所定の大きさにカットする方法。
【0204】
(ii)エチレン系重合体および所望により添加される他の成分を適当な良溶媒(たとえば、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)に溶解し、次いで溶媒を除去、しかる後に押出機、ニーダー等を用いて機械的にブレンドして所定の大きさにカットする方法。
【0205】
本発明で得られるエチレン系重合体は、本発明の目的を損なわない範囲で、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、核剤、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等の添加剤が必要に応じて配合されていてもよい。
【0206】
本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂や添加剤を含む樹脂組成物は、一般のフィルム成形やブロー成形、インジェクション成形および押出成形により加工される。フィルム成形では押出ラミネート成形、Tダイフィルム成形、インフレーション成形(空冷、水冷、多段冷却、高速加工)などにより得られる。該エチレン系重合体を用いて得られたフィルムは単層でも使用することができるが、多層とすることでさらに様々な機能を付与することができる。その場合には、前記各成形法における共押出法が挙げられる。一方押出ラミネート成形やドライラミネート法のような貼合ラミネート成形法によって、共押出が困難な紙やバリアフィルム(アルミ箔、蒸着フィルム、コーティングフィルムなど)との積層が挙げられる。ブロー成形やインジェクション成形、押出成形での、共押出法による多層化での高機能製品の作製については、フィルム成形と同様に可能である。
【0207】
本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂や添加剤を含む樹脂組成物を加工することにより得られる成形体としては、フィルム、ブロー輸液バック、ブローボトル、ガソリンタンク、押出成形によるチューブ、パイプ、引きちぎりキャップ、日用雑貨品等射出成形物、繊維、回転成形による大型成形品などがあげられる。
【0208】
さらに、本発明で得られるエチレン系重合体、および必要に応じて熱可塑性樹脂や添加剤を含む樹脂組成物を加工することにより得られるフィルムは、水物包装袋、液体スープ包袋、液体紙器、ラミ原反、特殊形状液体包装袋(スタンディングパウチ等)、規格袋、重袋、ラップフィルム、砂糖袋、油物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、プロテクトフィルム、輸液バック、農業用資材等に好適である。また、ナイロン、ポリエステル等の基材と貼り合わせて、多層フィルムとして用いることもできる。
【実施例】
【0209】
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
<(1)成分(A)の合成>
〔合成例1〕
ジメチルシリレン−1−(3−n−プロピルシクロペンタジエニル)−1−(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(以下、成分(A−1)という)は、特許第5455354号公報記載の方法によって合成した。
【0210】
【化24】
【0211】
〔合成例2−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、ジメチルシリルジクロリド2.30mL(19.2mmol)、テトラヒドロフラン15mLを仕込み攪拌した。充分に乾燥、アルゴン置換した50mLの反応器に、ナトリウムシクロペンタジエニド溶液7.50mL(テトラヒドロフラン溶液、2.0M、15.0mmol)、テトラヒドロフラン8.0mLを仕込み攪拌した。このナトリウムシクロペンタジエニド希釈液を、−78℃に冷却したジメチルシリルジクロリド希釈液に滴下し、ゆっくりと室温まで戻しながら19時間攪拌を続けた。反応液の溶媒および未反応のジメチルシリルジクロリドを留去した後、得られた固体にn−ヘキサン15mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、残渣にテトラヒドロフラン10mLを加えた。充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、1−n−ブチル−3−メチルシクロペンタジエン1.93g(14.2mmol)、テトラヒドロフラン25mLを仕込み、n−ブチルリチウム溶液10.0mL(ヘキサン溶液、1.58M、15.8mmol)を氷冷下加え、室温で2時間攪拌した。この溶液を、−78℃に冷却した先程の反応残渣希釈溶液に滴下し、ゆっくりと室温まで戻しながら14時間攪拌を続けた。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、(4−n−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジメチルシランとジシクロペンタジエニルジメチルシランとの70:30混合物(ガスクロマトグラフ質量分析計にて分析)が1.29g得られた。
【0212】
〔合成例2−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例2−1で得られた混合物0.52g、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.35mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液2.60mL(ヘキサン溶液、1.58M、4.11mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で2時間攪拌を続けた。溶媒を留去した後、得られた白色粉体に、ジエチルエーテル18mLを加え白色懸濁液を得た。この溶液を−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.47g(2.03mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら22時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン10mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にジエチルエーテル3mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン5mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(A−2)で示される白色粉末状の化合物ジメチルシリレン−1−(3−n−ブチル−1−メチルシクロペンタジエニル)−1−(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(以下、成分(A−2)という)を0.07g得た。
【0213】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.05(1H,dt,J=3.3and1.8Hz,Cp−H),6.93(1H,dt,J=3.1and1.9Hz,Cp−H),6.36(1H,d,J=2.3Hz,Cp−H),5.95(1H,dt,J=2.7and1.9Hz,Cp−H),5.78(1H,dt,J=2.7and1.9Hz,Cp−H),5.38(1H,d,J=2.3Hz,Cp−H),2.74−2.47(2H,m,Cp−CH
2−),2.14(3H,d,J=0.4Hz,Cp−CH
3),1.57−1.25(4H,m,−CH
2−CH
2−),0.90(3H,t,J=7.2Hz,−CH
3),0.82(3H,t,J=3.6Hz,Si−CH
3),0.70(3H,t,J=3.4Hz,Si−CH
3)ppm
FD−質量分析(電界脱離質量分析法)(M
+):418
【0214】
【化25】
【0215】
〔合成例3〕
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド(以下、成分(A−3)という)は、和光純薬工業より市販されているものを購入し、そのまま使用した。
【0216】
【化26】
【0217】
<(2)成分(B)の合成>
〔合成例4−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、特開2014−196274号公報記載の方法によって合成した2,7−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフルオレン1.11g(3.32mmol)、tert−ブチルメチルエーテル25mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液2.20mL(ヘキサン溶液、1.64M、3.61mmol)を、この溶液へ室温下加えた。室温で15時間攪拌した後氷冷し、Aldrich社より購入した6,6−ジメチルフルベン0.32g(3.00mmol)のtert−ブチルメチルエーテル10mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−1L)で示した2−(シクロペンタジエニル)−2−(9−(2,7−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフルオレニル))−プロパン(以下、配位子(B−1L)という)が0.96g(収率73%)の異性体混合物として得られた。
【0218】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.68−7.28(2H,m,Ar−H),7.24−6.93(3H,m,Ar−H),6.69−6.41(2H,m,C=CH−CH=),6.12−5.84(1H,m,CH=CH−CH
2),4.10−4.00(1H,m,Ar−CH−Ar),3.20−3.02(2H,m,−CH
2−),3.02−2.92(2H,m,Ar−CH
2−),1.77−1.62(2H,m,−CH
2−),1.55−1.44(2H,m,−CH
2−),1.31−1.26(18H,m,−C(CH
3)
3),1.07−0.93(9H,m,−CH
3)ppm
【0219】
【化27】
【0220】
〔合成例4−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例4−1で得られた配位子(B−1L)0.22g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.61mL(ヘキサン溶液、1.64M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。この溶液を−30℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.51mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン8mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン2mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(B−1)で示される橙色粉末状のイソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−(2,7−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフルオレニル))ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−1)という)を0.15g(収率49%)得た。
【0221】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 8.85(1H,d,J=9.1Hz,Ar−H),7.80(1H,s,Ar−H),7.67−7.60(2H,m,Ar−H),7.36(1H,s,Ar−H),6.28(2H,t,J=2.7Hz,Cp−H),5.65(2H,t,J=2.7Hz,Cp−H),3.10(2H,t,J=7.7Hz,Ar−CH
2−),2.42(6H,d,J=3.3Hz,−CH
3),1.90−1.70(2H,m,−CH
2−),1.70−1.55(2H,m,−CH
2−),1.35(18H,d,J=4.6Hz,−C(CH
3)
3),0.99(3H,t,J=7.3Hz,−CH
3)ppm
FD−質量分析(M
+):600
【0222】
【化28】
【0223】
〔合成例5−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した300mLの反応器に、n−ブチルシクロペンタジエン溶液11.70g(テトラヒドロフラン溶液、25wt%、24.0mmol)、テトラヒドロフラン40mLを仕込み攪拌した。この溶液を0℃に冷却し、n−ブチルリチウム溶液16.3mL(ヘキサン溶液、1.60M、26.0mmol)をこの溶液へ加え、室温で2時間攪拌した。この溶液へ塩化マグネシウム1.34g(14.1mmol)を加え、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を氷浴にて冷却した後、アセトフェノン2.33mL(20.0mmol)を加え、60℃のオイルバス中で3時間攪拌した後、室温にて18時間攪拌した。2.0M塩酸水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−2F)で示した6−フェニル−6−(2−メトキシエチル)フルベン(以下、化合物(B−2F)という)が0.51g(収率11%)の異性体混合物として得られた。
【0224】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.42−7.31(5H,m,Ar−H),6.62(0.5H,dd,J=5.3and2.1Hz,C=CH−C),6.46(0.5H,dd,J=5.2and1.3Hz,C=CH−C),6.37(0.5H,dd,J=5.0and1.1Hz,C=CH−C),6.28(0.5H,t,J=1.5Hz,C=CH−C),6.14(0.5H,dd,J=5.2and2.1Hz,C=CH−C),5.84(0.5H,t,J=1.5Hz,C=CH−C),2.49(3H,s,−CH
3),2.43(1H,t,J=7.9Hz,−CH
2−C
3H
7),2.35(1H,t,J=7.7Hz,−CH
2−C
3H
7),1.68−1.20(4H,m,−CH
2−C
2H
4−CH
3),1.00−0.82(3H,m,−C
3H
6−CH
3)ppm
【0225】
【化29】
【0226】
〔合成例5−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した300mLの反応器に、Synthesis 1984, 335.記載の方法によって合成した2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン1.46g(5.24mmol)、tert−ブチルメチルエーテル25mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液3.44mL(ヘキサン溶液、1.60M、5.50mmol)をこの溶液へ加え、室温で18時間攪拌した。この溶液を氷冷し、合成例5−1で得られた化合物(B−2F)1.12g(4.99mmol)のtert−ブチルメチルエーテル10mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をメタノールで洗浄すると、下記式(B−2L)で示した1−(3−n−ブチルシクロペンタジエニル)−1−(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))−1−フェニルエタン(以下、配位子(B−2L)という)が1.21g(収率48%)の異性体混合物として得られた。
【0227】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.75−7.16(10H,m,Ar−H),6.92−6.73(1H,m,Ar−H),6.38−5.90(2H,m,C=CH−C),4.94−4.85(1H,m,Ar−CH−Ar),3.34−2.80(2H,m,C−CH
2−CH=),2.54−2.25(2H,m,−CH
2−C
3H
7),1.67−1.30(4H,m,−CH
2−C
2H
4−CH
3),1.54(3H,s,−CH
3),1.28−1.20(9H,m,Ar−C(CH
3)
3),1.06−0.98(9H,m,Ar−C(CH
3)
3),0.98−0.87(3H,m,−C
3H
6−CH
3)ppm
【0228】
【化30】
【0229】
〔合成例5−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例5−2で得られた配位子(B−2L)0.25g(0.50mmol)、トルエン5mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.63mL(ヘキサン溶液、1.60M、1.00mmol)を室温下加えた後、45℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジエチルエーテル5mLを加えた。この溶液を、0℃に冷却した四塩化ジルコニウム0.11g(0.49mmol)のジエチルエーテル懸濁液にゆっくりと加えた後、室温にて18時間攪拌した。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン10mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサン10mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン10mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(B−2)で示される橙色粉末状のフェニルエチリデン(シクロペンタジエニル)(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−2)という)を0.03g(収率8%)の異性体混合物として得た。
【0230】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 8.10−7.30(10H,m,Ar−H),6.07(0.5H,t,J=2.7Hz,Cp−H),6.06(0.5H,m,Ar−H),6.02(0.5H,m,Ar−H),5.95(0.5H,t,J=2.5Hz,Cp−H),5.72(0.5H,t,J=3.1Hz,Cp−H),5.51(0.5H,t,J=3.0Hz,Cp−H),5.47(0.5H,t,J=2.7Hz,Cp−H),5.27(0.5H,t,J=2.7Hz,Cp−H),2.53(1.5H,s,−CH
3),2.50(1.5H,s,−CH
3),2.48−2.17(4H,m,−CH
2−C
3H
7),1.56−1.18(4H,m,−CH
2−C
2H
4−CH
3),1.38(9H,s,Ar−C(CH
3)
3),0.97(9H,s,Ar−C(CH
3)
3),0.92−0.80(3H,m,−C
3H
6−CH
3)ppm
FD−質量分析(M
+):662
【0231】
【化31】
【0232】
〔合成例6〕
ジフェニルメチレン(η
5−3−n−ブチルシクロペンタジエニル){η
5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)}ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−3)という)は、WO2009/045301号公報記載の方法によって合成した。
【0233】
【化32】
【0234】
〔合成例7−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、塩化マグネシウム1.34g(14.1mmol)、テトラヒドロフラン15mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、ナトリウムシクロペンタジエニド溶液6.00mL(テトラヒドロフラン溶液、2.0M、12.0mmol) を加え、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を氷浴にて冷却した後、J. Am. Chem. Soc. 1991, 113, 9251.記載の方法によって合成した3−メトキシプロピオフェノン1.67g(10.2mmol)のテトラヒドロフラン5mL希釈溶液を加え、50℃のオイルバス中で5時間攪拌した後、室温にて18時間攪拌した。2.0M塩酸水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−4F)で示した6−フェニル−6−(2−メトキシエチル)フルベン(以下、化合物(B−4F)という)が0.75g(収率35%)得られた。
【0235】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.42−7.35(5H,m,Ar−H),6.69−6.61(1H,m,C=CH−C),6.47(1H,dt,J=5.3and1.8Hz,C=CH−C),6.52−6.43(1H,m,C=CH−C),6.14−6.06(1H,m,C=CH−C),3.43(2H,t,J=7.1Hz,−CH
2−CH
2−OCH
3),3.26(3H,s,−CH
2−CH
2−OCH
3),3.19(2H,t,J=7.2Hz,−CH
2−CH
2−OCH
3)ppm
【0236】
【化33】
【0237】
〔合成例7−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、Synthesis 1984, 335.記載の方法によって合成した2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン1.04g(3.74mmol)、tert−ブチルメチルエーテル20mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液2.53mL(ヘキサン溶液、1.60M、4.05mmol)をこの溶液へ加え、室温で2時間攪拌した。この溶液を氷冷し、合成例7−1で得られた化合物(B−4F)0.72g(3.38mmol)のtert−ブチルメチルエーテル15mL希釈溶液を加え、オイルバス中で2時間加熱還流後、室温にて18時間攪拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−4L)で示した1−(シクロペンタジエニル)−1−(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))−3−メトキシ−1−フェニルプロパン(以下、配位子(B−4L)という)が1.46g(収率88%)の異性体混合物として得られた。
【0238】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.72−6.82(11H,m,Ar−H),6.47−5.98(3H,m,C=CH−C),4.97−4.78(1H,m,Ar−CH−Ar),3.15−2.97(3H,m,−OCH
3),2.97−2.25(6H,m,−CH
2−CH
2−OCH
3 and C−CH
2−CH=),1.24−1.12(18H,m,Ar−C(CH
3)
3)ppm
【0239】
【化34】
【0240】
〔合成例7−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例7−2で得られた配位子(B−4L)0.27g(0.55mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.63mL(ヘキサン溶液、1.60M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジエチルエーテル10mLを加えた。この溶液を0℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.11g(0.48mmol)を加えた後、室温にて18時間攪拌した。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン10mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサン10mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(B−4)で示される橙色粉末状のフェニル−2−メトキシエチルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−4)という)を0.12g(収率37%)得た。
【0241】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 8.07−7.41(10H,m,Ar−H),6.41(1H,m,Cp−H),6.27(1H,m,Cp−H),6.08(1H,m,Ar−H),5.88(1H,dd,J=5.4and3.0Hz,Cp−H),5.58(1H,dd,J=5.4and3.0Hz,Cp−H),3.73−3.06(4H,m,−CH
2−CH
2−OCH
3),3.20(3H,s,−OCH
3),1.39(9H,s,Ar−C(CH
3)
3),0.98(9H,s,Ar−C(CH
3)
3)ppm
FD−質量分析(M
+):650
【0242】
【化35】
【0243】
〔合成例8〕
フェニル−3−ブテニルメチレン(η
5−シクロペンタジエニル){η
5−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)}ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−5)という)は、J. Mol. Catal. A: Chem. 2001, 165, 23.記載の方法、および特許第5119160号公報記載の方法によって合成した。
【0244】
【化36】
【0245】
〔合成例9−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した500mLの反応器に、カリウムtert−ブトキシド3.20g(23.1mmol)、テトラヒドロフラン40mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、4−メチルアセトフェノン2.70mL(20.2mmol)を氷冷下ゆっくりと加え、室温で1時間攪拌した。この溶液へ、トリエチルボラン溶液24.0mL(テトラヒドロフラン溶液、1.0M、24.0mmol) をゆっくりと加え、室温で30分攪拌した後、臭化アリル2.10mL(24.8mmol)をゆっくりと加え、室温で13時間攪拌した。反応液を氷浴にて冷却した後、30%過酸化水素水12.0mLと30wt%水酸化ナトリウム水溶液12.0mLとの混合溶液をゆっくりと加え、室温で30分攪拌した後、酢酸エチルで可溶分を抽出し、得られた分画を1.0M塩酸水溶液、水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−6K)で示した1−(p−トリル)−4−ペンテン−1−オン(以下、化合物(B−6K)という)が1.94g(収率55%)得られた。
【0246】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.86(2H,d,J=8.2Hz,Ar−H),7.25(2H,d,J=8.0Hz,Ar−H),6.00−5.81(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.15−4.94(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),3.04(2H,t,J=7.4Hz,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.55−2.43(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.41(3H,s,Ar−CH
3)ppm
【0247】
【化37】
【0248】
〔合成例9−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、塩化マグネシウム1.40g(14.7mmol)、テトラヒドロフラン15mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、ナトリウムシクロペンタジエニド溶液6.00mL(テトラヒドロフラン溶液、2.0M、12.0mmol) を加え、オイルバス中で2時間加熱還流した。反応液を氷浴にて冷却した後、合成例9−1で得られた化合物(B−6K)1.75g(10.0mmol)のtert−ブチルメチルエーテル15mL希釈溶液を加え、50℃のオイルバス中で3時間攪拌した後、室温にて18時間攪拌した。1.0M塩酸水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−6F)で示した6−(p−トリル)−6−(3−ブテニル)フルベン(以下、化合物(B−6F)という)が1.50g(収率67%)得られた。
【0249】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.30−7.15(4H,m,Ar−H),6.61(1H,dt,J=5.3and1.7Hz,C=CH−C),6.56(1H,dt,J=5.3and1.8Hz,C=CH−C),6.47(1H,dt,J=5.3and1.8Hz,C=CH−C),6.13(1H,dt,J=5.3and1.8Hz,C=CH−C),5.88−5.68(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.03−4.89(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.99(2H,t,J=7.7Hz,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.39(3H,s,Ar−CH
3),2.24−2.10(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2)ppm
【0250】
【化38】
【0251】
〔合成例9−3〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、Synthesis 1984, 335.記載の方法によって合成した2,7−ジ−tert−ブチルフルオレン2.42g(8.69mmol)、tert−ブチルメチルエーテル25mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液6.00mL(ヘキサン溶液、1.60M、9.60mmol)をこの溶液へ加え、室温で2時間攪拌した。この溶液を氷冷し、合成例9−2で得られた化合物(B−6F)1.79g(8.04mmol)のtert−ブチルメチルエーテル15mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−6L)で示した1−(シクロペンタジエニル)−1−(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))−1−(p−トリル)−4−ペンテン(以下、配位子(B−6L)という)が3.02g(収率75%)の異性体混合物として得られた。
【0252】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.49−6.94(10H,m,Ar−H),6.35−5.63(4H,m,C=CH−C and −CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.06−4.86(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),4.86−4.69(1H,m,Ar−CH−Ar),2.93−2.57(2H,m,C−CH
2−CH=),2.57−2.24(5H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2 and Ar−CH
3),1.94−1.54(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),1.26(9H,d,J=9.0Hz,Ar−C(CH
3)
3),1.17(9H,s,Ar−C(CH
3)
3)ppm
【0253】
【化39】
【0254】
〔合成例9−4〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例9−3で得られた配位子(B−6L)0.25g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.63mL(ヘキサン溶液、1.60M、1.01mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジエチルエーテル10mLを加えた。この溶液を−78℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.11g(0.46mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にジクロロメタン10mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液を減圧化濃縮した後、n−ヘキサン10mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン5mLを加え、超音波を照射することで、懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルターで濾別し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(B−6)で示される橙色粉末状のp−トリル−3−ブテニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル))ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−6)という)を0.17g(収率36%)得た。
【0255】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 8.04(1H,d,J=9.2Hz,Ar−H),7.98(1H,d,J=8.9Hz,Ar−H),7.71(1H,dd,J=7.9and2.1Hz,Ar−H),7.69−7.63(2H,m,Ar−H),7.57−7.45(2H,m,Ar−H),7.38(1H,d,J=7.9Hz,Ar−H),7.22(1H,d,J=8.0Hz,Ar−H),6.39(1H,dd,J=5.7and3.4Hz,Cp−H),6.26(1H,dd,J=5.6and3.4Hz,Cp−H),6.11(1H,d,J=0.9Hz,Ar−H),6.01−5.78(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.83(1H,dd,J=5.3and3.0Hz,Cp−H),5.56(1H,dd,J=5.4and3.0Hz,Cp−H),5.17−5.01(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),3.27−3.08(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.85−2.64(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.44(1H,s,Ar−CH
3),2.42−2.25(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),1.37(9H,s,Ar−C(CH
3)
3),0.99(9H,s,Ar−C(CH
3)
3)ppm
FD−質量分析(M
+):660
【0256】
【化40】
【0257】
〔合成例10−1〕
充分に乾燥、アルゴン置換した200mLの反応器に、Organometallics 2004, 23, 1777.記載の方法によって合成したオクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレン1.62g(4.20mmol)、tert−ブチルメチルエーテル30mLを仕込んだ。n−ブチルリチウム溶液2.80mL(ヘキサン溶液、1.59M、4.45mmol)をこの溶液へ加えた。室温で17時間攪拌した後氷冷し、J. Mol. Catal. A: Chem. 2001, 165, 23.記載の方法によって合成した6−フェニル−6−(3−ブテニル)フルベン0.87g(4.19mmol)のtert−ブチルメチルエーテル10mL希釈溶液を加え、オイルバス中で1時間加熱還流した。反応液を室温まで冷却した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、n−ヘキサンで可溶分を抽出し、得られた分画を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムをろ過した後、ろ液を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製すると、下記式(B−7L)で示した1−(シクロペンタジエニル)−1−(9−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)−1−フェニル−4−ペンテン(以下、配位子(B−7L)という)が2.01g(収率81%)の異性体混合物として得られた。
【0258】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 7.45−6.85(9H,m,Ar−H),6.36−5.64(4H,m,C=CH−C and −CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.06−4.84(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),4.82−4.65(1H,m,Ar−CH−Ar),2.93−2.56(2H,m,C−CH
2−CH=),2.55−2.12(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),1.79−1.56(10H,m,−C(CH
3)
2−CH
2−CH
2−C(CH
3)
2− and −CH
2−CH
2−CH=CH
2),1.40−0.97(24H,m,−C(CH
3)
2−)ppm
【0259】
【化41】
【0260】
〔合成例10−2〕
充分に乾燥、アルゴン置換した100mLの反応器に、合成例10−1で得られた配位子(B−7L)0.30g(0.50mmol)、トルエン10mL、テトラヒドロフラン0.1mLを仕込み攪拌した。この溶液へ、n−ブチルリチウム溶液0.63mL(ヘキサン溶液、1.59M、1.00mmol)を室温下加えた後、40℃のオイルバス中で3時間攪拌を続けた。この溶液を−30℃に冷却し、四塩化ジルコニウム0.12g(0.51mmol)を加え、ゆっくりと室温まで戻しながら16時間攪拌を続けた。反応液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン5mLを加え懸濁液を調製し、不溶物をガラスフィルター上のセライトで除去した。得られた溶液の溶媒を留去した後、得られた固体にn−ヘキサン5mLを加え−40℃に冷却し、橙色沈殿を晶出させた。不溶物をガラスフィルターで濾別し、得られた溶液の溶媒を留去し、残渣を減圧乾燥することにより、下記式(B−7)で示される赤色粉末状のフェニル−3−ブテニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−7)という)を0.11g(収率29%)得た。
【0261】
1H NMR(270MHz,CDCl
3)δ 8.06(1H,s,Ar−H),8.01(1H,s,Ar−H),7.87−7.80(1H,m,Ar−H),7.66−7.54(3H,m,Ar−H),7.53−7.33(3H,m,Ar−H),6.38−6.30(1H,m,Cp−H),6.24−6.17(1H,m,Cp−H),6.02−5.83(2H,m,Ar−H and −CH
2−CH
2−CH=CH
2),5.73(1H,dd,J=5.3and3.0Hz,Cp−H),5.46(1H,dd,J=5.4and3.0Hz,Cp−H),5.17−5.02(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),3.25−3.07(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.78−2.58(1H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),2.44−2.20(2H,m,−CH
2−CH
2−CH=CH
2),1.82−1.21(32H,m,−C(CH
3)
2−CH
2−CH
2−C(CH
3)
2−)ppm
FD−質量分析(M
+):754
【0262】
【化42】
【0263】
〔合成例11〕
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(2,7−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド(以下、成分(B−8)という)は、特開平4−69394号公報に記載の方法に基づいて合成した。
【0264】
【化43】
【0265】
<(3)固体状担体の調製>
〔調製例1〕
内容積270Lの攪拌機付き反応器を用い、窒素雰囲気下、シリカゲル(富士シリシア化学株式会社製:レーザー光回折散乱法の体積分布の累積50%粒径70μm、比表面積340m
2/g、細孔容積1.3cm
3/g、250℃で10時間乾燥)10kgを77Lのトルエンに懸濁させた後、0〜5℃に冷却した。この懸濁液にメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al原子換算で3.5mol/L)19.4リットルを30分間かけて滴下した。この際、系内温度を0〜5℃に保った。
【0266】
次いで、0〜5℃で30分間接触させた後、1.5時間かけて系内温度を95℃まで昇温して、引き続き95℃で4時間接触させた。その後、常温まで降温して、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにトルエンで2回洗浄した後、全量115リットルの固体状担体(S−1)のトルエンスラリーを調製した。得られたスラリー成分の一部を採取し分析したところ、固体分濃度は122.6g/Lであった。
【0267】
〔調製例2〕
固体状担体(S−2)の調製は、WO2010/55652号公報に記載の方法(予備実験1および実施例5)に準じて実施した。ただし、トリメチルアルミニウムの発火等の安全性に配慮して、当該文献に開示されている条件の約1/6倍の濃度で実施した。
【0268】
具体的には、攪拌装置を有するガラス製反応器に0.5mol/Lに調製したトリメチルアルミニウムのトルエン溶液100mLを装入した。この溶液を15℃になるまで冷却し、これに安息香酸2.18gを溶液の温度が25℃以下になるような速度でゆっくりと添加した。その後50℃で加熱熟成を1時間行った。この時、トリメチルアルミニウムと安息香酸の酸素原子のモル比は、1.40であった。反応液を70℃で4時間加熱し、その後60℃で6時間加熱した後、一度室温まで冷却した。次いで100℃で8時間加熱し、固体成分を析出させた。溶液を30℃以下まで冷却した後、洗浄のためにヘキサン100mLを攪拌下に添加した。30分間静置した後、上澄み液150mLを除去し、さらにヘキサン150mLを攪拌下に添加した。15分間静置した後、上澄み液150mLを除去し、さらにヘキサン150mLを攪拌下に添加した。最後に15分間静置した後、上澄み液180mLを除去し、ヘキサンを総量が42mLになるように添加し、固体状担体(S−2)のヘキサンスラリーを調製した。
【0269】
得られたスラリー成分の一部を採取し、濃度を調べたところ、スラリー濃度:14.2g/L、Al濃度:0.202mol/Lであった。また、得られた固体状担体(S−2)を走査型電子顕微鏡により粒子を観察したところ平均粒子径は6.8μm、比表面積は18.1m
2/mmol―Alであった。
【0270】
<(4)固体触媒成分の調製>
〔調製例3〜10〕
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付き反応器に、トルエン30mL、および調製例1で得られた固体状担体(S−1)スラリー8.2mL(固体分重量1.0g)を装入した。次いで、表16に記載の成分(A)ならびに成分(B)のトルエン溶液(それぞれZr原子換算で0.002mmol/mL)を加え、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘプタンを用いて2回洗浄した後、全量50mLの固体触媒成分(X−1)〜(X−8)スラリーを調製した。
【0271】
〔調製例11〕
充分に窒素置換した内容積200mLの攪拌機付き反応器に、トルエン30mL、および調製例2で得られた固体状担体(S−2)スラリー14.1mL(固体分重量0.2g)を装入した。次いで、表16に記載の成分(A)ならびに成分(B)のトルエン溶液(それぞれZr原子換算で0.002mmol/mL)を加え、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘプタンを用いて2回洗浄した後、全量40mLの固体触媒成分(X−9)スラリーを調製した。
【0272】
【表16】
【0273】
〔調製例12〕
充分に窒素置換した内容積1Lの攪拌機付き反応器に、トルエン200mL、および調製例1で得られた固体状担体(S−1)スラリー245mL(固体分重量30g)を装入した。次に、成分(A)として成分(A−1)0.18mmolならびに成分(B)として成分(B−5)0.56mmolのトルエン溶液(それぞれZr原子換算で0.005mmol/mL)を加え、系内温度20〜25℃で1時間接触させた後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、さらにヘプタンを用いて2回洗浄した後、全量600mLの固体触媒成分スラリーを調製した。
【0274】
前記で得られた固体触媒成分スラリーを10℃まで冷却した後、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DiBAl−H)57mmolを添加した。さらに常圧下でエチレンを系内に連続的に数分間供給した。この間系内の温度は10〜15℃に保持し、次いで1−ヘキセン8.0mLを添加した。1−ヘキセン添加後、系内温度を35℃に昇温し、固体触媒成分に対して重量換算で3等量分のエチレンを重合させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した後、ヘキサンを加えて全量を600mLとした。次に、系内温度を35℃に昇温した後、成分(G)として、ケミスタット(登録商標)2500(三洋化成工業株式会社製)2.2gのヘキサン溶液を添加し、2時間接触させた。その後、上澄み液をデカンテーションにより除去し、ヘキサンを用いて4回洗浄した。次に、グラスフィルターに前記で得られたヘキサンスラリーを移し、ろ過ならびに減圧乾燥によりヘキサンを留去させることで、予備重合触媒成分(XP−10)120gを得た。
【0275】
〔調製例13〕
成分(A)として成分(A−1)0.29mmolならびに成分(B)として成分(B−7)0.44mmolのトルエン溶液(それぞれZr原子換算で0.005mmol/mL)を用いた以外は、調製例12と同様の方法にて予備重合触媒成分(XP−11)を得た。
【0276】
〔調製例14〕
成分(A)として成分(A−1)0.10mmolならびに成分(B)として成分(B−8)0.63mmolのトルエン溶液(それぞれZr原子換算で0.005mmol/mL)を用いた以外は、調製例12と同様の方法にて予備重合触媒成分(XP−12)を得た。
【0277】
<(5)エチレン系重合体の製造>
エチレン系重合体の物性の測定方法を以下に示す。
(1)メルトフローレート(MFR、g/10分)
メルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238−89に従い、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定した。
【0278】
(2)密度(D、kg/m
3)
密度は、JIS K7112に準拠し、MFR測定時に得られるストランドを100℃で1時間熱処理し、更に室温で1時間放置した後に密度勾配管法で測定した。
【0279】
(3)極限粘度(η、dL/g)
極限粘度は、測定サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度η
spを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度η
spを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、下記式(Eq−2)に示すように濃度(C)を0に外挿した時のη
sp/Cの値を極限粘度[η](単位;dl/g)として求めた。
[η]=lim(η
sp/C) (C→0)--------(Eq−2)
【0280】
(4)溶融張力(MT、g)
溶融張力(MT)は、一定速度で延伸したときの応力を測定することにより決定した。測定には、株式会社東洋精機製作所製キャピラリーレオメーター:キャピログラフ1Bを用いた。条件は、樹脂温度190℃、溶融時間6分、バレル径9.55mmφ、押し出し速度15mm/分、巻取り速度24m/分(溶融フィラメントが切れてしまう場合には、巻取り速度を5m/分ずつ低下させる)、ノズル径2.095mmφ、ノズル長さ8mmとした。
【0281】
(5)200℃、角速度1.0rad/秒におけるせん断粘度(η*、P)
せん断粘度(η*)は、測定温度200℃におけるせん断粘度(η*)の角速度〔ω(rad/秒)〕分散を0.01≦ω≦100の範囲で測定した。測定にはアントンパール社製粘弾性測定装置Physica MCR301を用い、サンプルホルダーとして25mmφのパラレルプレートを用い、サンプル厚みを約2.0mmとした。測定点はω一桁当たり5点とした。歪み量は、測定範囲でのトルクが検出可能で、かつトルクオーバーにならないよう、3〜10%の範囲で適宜選択した。せん断粘度測定に用いたサンプルは、神藤金属工業所製プレス成形機を用い、予熱温度190℃、予熱時間5分間、加熱温度190℃、加熱時間2分間、加熱圧力100kgf/cm
2、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kgf/cm
2の条件にて、測定サンプルを厚さ2mmにプレス成形することにより作製した。
【0282】
(6)重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)
GPC-VISCO法による重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)は、ウォーターズ社製GPC/V2000を用い、以下のようにして測定した。ガードカラムはShodexAT−G、分析カラムはAT-806を2本使用し、カラム温度は145℃とし、移動相にはo−ジクロロベンゼンおよび酸化防止剤としてBHT0.3重量%を用い、1.0ml/分で移動させ、試料濃度は0.1重量%とし、検出器として示差屈折計、3キャピラリー粘度計を用いた。標準ポリスチレンは、東ソー社製を用いた。分子量計算は、粘度計と屈折計から実測粘度を算出し、実測ユニバーサルキャリブレーションより重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、比(Mw/Mn)を算出した。
【0283】
(7)ビニリデン基含量(個/1000C)
ビニリデン基含量は、
1H−NMRにより決定した。測定には日本電子(株)社製ECA−500型核磁気共鳴装置を用い、条件は、測定核1H(500MHz)、測定溶媒オルトジクロロベンゼン−d4、試料濃度30mg/0.6mL、測定温度120℃、積算回数1210回とした。ケミカルシフト基準をオルトジクロロベンゼン(6.9ppm)とし、0〜6ppmの範囲に現れるピークの積分総和に対する、ビニリデン基由来ピーク(4.7ppm)の強度積分比より算出した。
【0284】
〔実施例1〕
充分に窒素置換した内容積1Lのステンレス製オートクレーブに、ヘプタン500mLを装入し、系内をエチレン置換した後、トリイソブチルアルミニウム0.375mmol、1−ヘキセン10mLおよび調製例3で得られた固体触媒成分(X−1)を加え、系内の温度を80℃に昇温した。次いで、エチレンを連続的に導入することにより全圧0.8MPaG、80℃の条件で90分間重合反応を行った。濾過によりポリマーを回収し、減圧下、80℃で10時間乾燥することにより、エチレン系重合体を得た。
【0285】
得られたエチレン系重合体に耐熱安定剤としてIrganox(登録商標)1076(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)0.1重量%、Irgafos(登録商標)168(チバスペシャリティケミカルズ株式会社製)0.1重量%を加え、ラボプラストミル(株式会社東洋精機製作所製)を用い、樹脂温度180℃、回転数50rpm.で5分間溶融混練した。さらに、この溶融ポリマーを、プレス成形機(株式会社神藤金属工業所製)を用い、冷却温度20℃、冷却時間5分間、冷却圧力100kg/cm2の条件にて冷却した。該試料を測定用試料として物性測定を行った。結果を表17に示す。
【0286】
〔実施例2〜7〕
固体触媒成分として、調製例3で得られた固体触媒成分(X−1)を、調製例4〜9で得られた固体触媒成分(X−2)〜(X−7)にそれぞれ変更した以外は、実施例1と同様にて、エチレン系重合体を得た。得られたエチレン系重合体を用い、実施例1と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。結果を表17に示す。
【0287】
〔実施例8〕
固体触媒成分として調製例11で得られた固体触媒成分(X−9)を用い、1−ヘキセン添加量を3mLに変更した以外は、実施例1と同様の方法にてエチレン系重合体を得た。得られたエチレン系重合体を用い、実施例1と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。結果を表17に示す。
【0288】
〔比較例1〕
固体触媒成分として調製例10で得られた固体触媒成分(X−8)を用いた以外は、実施例1と同様の方法にてエチレン系重合体を得た。得られたエチレン系重合体を用い、実施例1と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。結果を表17に示す。
成分(A−1)または(A−2)を用いた実施例1〜8は、成分(A−3)を用いた比較例1に比べ、[MT/η*]ならびに[[η]/Mw
0.776]の値が高いことから、長鎖分岐導入量が多く、成形特性に優れることがわかる。
【0289】
【表17】
【0290】
〔実施例9〕
内容積1.0m
3の流動層型気相重合反応器を用いて、表18の重合条件にて反応器内に調製例12で得られた予備重合触媒成分(XP−10)、エチレン、1−ヘキセン、水素、ケミスタット(登録商標)2500(三洋化成工業株式会社製)を連続的に供給し、重合反応物は反応器より連続的に抜き出し、乾燥装置にて乾燥し、エチレン系重合体を得た。
【0291】
得られたエチレン系重合体に、耐熱安定剤として6−tert−ブチル−4−[3−[(2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イル)オキシ)プロピル]−2−メチルフェノール(スミライザー(登録商標)GP:住友化学株式会社製)680ppm、ステアリン酸カルシウム(日東化成工業株式会社製)170ppmを加え、2軸同方向46mmφ押出機(株式会社池貝製)を用い、設定温度200℃、スクリュー回転数300rpm、フィーダー回転数30rpmの条件で溶融混練しストランド状に押し出しカットしてエチレン系重合体のペレットを得た。得られたペレットを測定用試料として物性測定を行った。結果を表18に示す。
【0292】
〔実施例10〕
表18の重合条件で、調製例13で得られた予備重合触媒成分(XP−11)を用いた以外は、実施例9と同様の方法にてエチレン系重合体を得た。
得られたエチレン系重合体を用い、実施例9と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。結果を表18に示す。
【0293】
〔比較例2〕
表18の重合条件で、調製例14で得られた予備重合触媒成分(XP−12)を用いた以外は、実施例9と同様の方法にてエチレン系重合体を得た。
得られたエチレン系重合体を用い、実施例9と同様の方法で測定用試料を作製し、物性測定を行った。結果を表18に示す。
成分(B−5)または(B−7)を用いた実施例9ならびに10は、成分(B−8)を用いた比較例2に比べ、ビニリデン量が少なく、耐候性に優れることがわかる。
【0294】
【表18】