(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スイッチは、前記ハウジングの外面上にて互い離隔し、かつ前記相手側コネクタとの接続時にその外装の一部が同時に接触する部位に、それぞれ前記可動子を設けてなることを特徴とする請求項1,2,3または4に記載のコネクタ。
【背景技術】
【0002】
従来より、各種の電子機器は電子回路基板を備えて構成されており、電子回路基板同士を接続したり、電子回路基板に機能ユニットを接続するために、多数のコネクタが使用されていた。例えば、電子回路基板には予め接続用のコネクタが実装されており、この電子回路基板へデータを書き込む時は、JTAG(Joint Test Action Group)に準拠した市販の機能ユニットであるダウンロードケーブルを、電子回路基板側のコネクタに接続してソフト書き込み作業を行っていた。
【0003】
ソフト書き込み作業の際には、前記ケーブルの接続に加えて、所定のスイッチ操作により書き込みモードに事前に切り替える必要があった。例えば、電子回路基板側の異常検出タイマー(WDT)を書き込みモード中は停止させる必要があり、この停止を基板側のスイッチ操作等で行っていた。このような作業は、余計なスイッチ操作が必要であるなど手順が複雑であり、作業者の熟練度に委ねられているところが多いが、スイッチ操作を戻し忘れるミスも発生していた。
【0004】
このようなコネクタ接続時におけるスイッチ操作の戻し忘れの防止に利用できる従来の技術として、例えば特許文献1には、プリント基板に取り付けるハーネス端子と、このハーネス端子に接続するコネクタを備え、コネクタを接続していない時に短絡する所定のハーネス接続端子間に切換器を設け、コネクタの接続によってハーネス接続端子間を開放するものが開示されている。
【0005】
また、同様の従来の技術として、例えば特許文献2には、コネクタを構成するレセプタクルおよびプラグのいずれかの一方のハウジング内に、1対の対向する金属片で構成したスイッチを配設し、他方のハウジング内に、前記の対向する金属片間に挿入するための導電体で構成したロックキーを配設して、コネクタ接続状態を検出するものが開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前述した特許文献1,2に記載の従来の技術では、いずれも市販の機能ユニット等のケーブルに適用する場合、そのケーブルの先端部にある既存のコネクタを改造して、内部の端子間に切換器を付加したり、別途スイッチを付加したり、さらには短絡配線を施す等の面倒な加工が必要であった。そもそも、市販品の製品に改造を施すとなると、メーカー保証を受けられなくなる等の問題も生じる。
【0008】
また、仮にコネクタに改造を施す場合には、そのハウジングの奥底に加工を施す必要があるから、結局は作り直さなければならず、また、既存の端子のピンアサイン(配列)によっては、ハウジング内部の適所に切換器等を配置することが不可能な場合もある。しかも、ハウジング内部の切換器等の挙動は、外部からは視認することが一切できず、コネクタの接続状態の確認は、あくまで電気的な信号のみに限られていた。
【0009】
本発明は、以上のような従来の技術の有する問題点に着目してなされたものであり、互いに接続するコネクタのうち一方は何ら改造する必要がなく、そのまま継続して利用することができ、簡易な構成でコネクタ同士の接続を確実に検出することができ、使用時における信頼が向上するコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]電子回路に用いられ、相手側コネクタ(3)に対して電気的に接続されるコネクタ(10)において、
本体をなすハウジング(11)と、該ハウジング(11)に設けられた端子(12)と、該端子(12)とは別に前記ハウジング(11)に設けられ、前記相手側コネクタ(3)との接続を検出するための検出部とを有し、
前記検出部は、前記相手側コネクタ(3)との接続時に、該相手側コネクタ(3)の外装の一部と接触して変位することで検出状態となる一方、前記相手側コネクタ(3)を接続していない未接続時は、元の非検出状態に復帰するスイッチ(20)を備え
、
前記スイッチ(20)は、前記ハウジング(11)の外面上にて、前記相手側コネクタ(3)との接続時にその外装の一部と接触する部位に配され、前記検出状態と前記非検出状態とに揺動可能に枢支された可動子(21)を有し、
前記可動子(21)は、基端が揺動中心として、前記ハウジング(11)の外面上の一端側に枢支され、先端が前記相手側コネクタ(3)の接続方向に揺動するものであり、前記先端が前記ハウジング(11)の外面から出た状態に位置する前記非検出状態と、前記ハウジング(11)の外面から出ていない状態に位置する前記検出状態とに揺動するスイッチング動作を行うことを特徴とするコネクタ(10)。
【0012】
[
2]前記可動子(21)の変位を電気的に検出することによって、前記相手側コネクタ(3)との接続を検出することを特徴とする前記[
1]に記載のコネクタ(10)。
【0013】
[
3]前記可動子(21)の変位を光学的に検出することによって、前記相手側コネクタ(3)との接続を検出することを特徴とする前記[
1]に記載のコネクタ(10)。
【0014】
[
4]前記可動子(21)は、その変位を外部より視覚を通じて識別可能な表示部(23)を有することを特徴とする前記[
1],[
2]または[
3]に記載のコネクタ(10)。
【0015】
[
5]前記スイッチ(20)は、前記ハウジング(11)の外面上にて互い離隔し、かつ前記相手側コネクタ(3)との接続時にその外装の一部が同時に接触する部位に、それぞれ前記可動子(21)を設けてなることを特徴とする前記[
1],[
2],[
3]または[
4]に記載のコネクタ(10)。
【0016】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
前記[1]に記載のコネクタ(10)では、本体をなすハウジング(11)に、端子(12)とは別に、相手側コネクタ(3)との接続を検出するための検出部を設ける。この検出部は、相手側コネクタ(3)を接続する時に、該相手側コネクタ(3)の外装の一部と接触して変位可能なスイッチ(20)を備える。
【0017】
スイッチ(20)は、コネクタ(10)に対する相手側コネクタ(3)の接続時に、該相手側コネクタ(3)の外装の一部と接触して変位することで検出状態となる。一方、スイッチ(20)は、コネクタ(10)に相手側コネクタ(3)を接続していない未接続時には、元の非検出状態に復帰する。
【0018】
すなわち、スイッチ(20)は、コネクタ同士の着脱に連動して自然と状態が切り換わるため、相手側コネクタ(3)との接続を確実に検出することが可能となる。ここでスイッチ(20)を、コネクタ同士の着脱に合わせて切り換える必要があるスイッチとした場合、コネクタ同士の着脱とは別にスイッチング操作を行う必要もなく、切り換え操作の戻し忘れを確実に防止することも可能となる。
【0019】
このように、検出部は、一方のコネクタ(10)側に設けたスイッチ(20)だけの簡易な構成により、相手側コネクタ(3)との接続を検出することができる。相手側コネクタ(3)には、スイッチ(20)に係脱して状態を切り換えるための特別な構造は不要であり、単に外装の一部がスイッチ(20)に接触すれば足りる。
【0020】
スイッチ(20
)は、ハウジング(11)の外面上にて、相手側コネクタ(3)との接続時にその外装の一部と接触する部位に配され、前記検出状態と前記非検出状態とに
揺動可能に
枢支された可動子(21)を備え
る。
【0021】
可動子(21)は、基端が揺動中心として、前記ハウジング(11)の外面上の一端側に枢支され、先端が前記相手側コネクタ(3)の接続方向に揺動する。こ
のスイッチ(20)の可動子(21)
は、相手側コネクタ(3)の外装と接触させるために、ハウジング(11)の外面上に設け
られる。従って、ハウジング(11)内部に全ての部品を納めるような製造時の手間も不要となり、しかも、外部からスイッチ(20)が変位する様子を視認することも可能となる。
【0022】
また、前記[
2]に記載のコネクタ(10)によれば、可動子(21)の変位を電気的に検出することによって、相手側コネクタ(3)との接続を検出することができる。具体的には例えば、可動子(21)自体を金属等の導電性材質で形成して、そのまま検出用の回路を開閉する接触子として用いれば良い。
【0023】
あるいは、前記[
3]に記載のコネクタ(10)によれば、可動子(21)の変位を光学的に検出することによって、相手側コネクタ(3)との接続を検出することができる。具体的には例えば、ハウジング(11)に発光素子(4)から発光された光を受光素子(5)に通す光通路を形成して、可動子(21)により光通路を開閉するように構成すると良い。
【0024】
前記[
4]に記載のコネクタ(10)によれば、可動子(21)は、その変位を外部より視覚を通じて識別可能な表示部(23)を有する。これにより、可動子(21)の変位を電気的あるいは光学的に検出することとは別に、可動子(21)が正常に動作しているか否かを、表示部(23)によって補助的に視覚を通じて確認することも可能となり、より確実に相手側コネクタ(3)の接続を検出することができる。
【0025】
前記[
5]に記載のコネクタ(10)によれば、スイッチ(20)は、ハウジング(11)の外面上にて互い離隔し、かつ相手側コネクタ(3)との接続時にその外装の一部が同時に接触する部位に、それぞれ可動子(21)を設けてなる。これにより、2つの可動子(21)の変位に基づいて、相手側コネクタ(3)との接続を検出するように設定し、いずれか一方の可動子(21)の変位だけでは検出しないようにすれば、より正確に相手側コネクタ(3)の正常な接続を検出することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るコネクタによれば、検出部により、一方のコネクタ側に設けたスイッチだけの簡易な構成で、相手側コネクタとの接続を確実に検出することができ、使用時における信頼が向上する。ここでスイッチを、コネクタ同士の着脱に合わせて切り換える必要があるスイッチとした場合、コネクタ同士の着脱とは別にスイッチング操作を行う必要もなく、切り換え操作の戻し忘れを確実に防止することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタとケーブル側コネクタを示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタに未だケーブル側コネクタを接続していない状態を一部破断して示す斜視図(断面のハッチングは省略)である。
【
図3】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した状態を一部破断して示す斜視図(断面のハッチングは省略)である。
【
図4】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタに未だケーブル側コネクタを接続していない状態を示す縦断面図(断面のハッチングは省略)である。
【
図5】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した状態を示す縦断面図(断面のハッチングは省略)である。
【
図6】本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した概略的に示すブロック図である。
【
図7】従来技術と本発明の第1実施の形態に係る基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続する時のスイッチング動作を説明するフローチャートである。
【
図8】本発明の第2実施の形態に係る基板側コネクタにあるスイッチの可動子の変位を示す説明図である。
【
図9】本発明の第2実施の形態に係る基板側コネクタにあるスイッチの可動子を拡大して示す斜視図である。
【
図10】本発明の第2実施の形態に係る基板側コネクタとケーブル側コネクタの接続状態ないし非接続状態を一部破断して示す斜視図(断面のハッチングは省略)である。
【
図11】本発明の第3実施の形態に係る基板側コネクタに未だケーブル側コネクタを接続していない状態を一部破断して示す斜視図(断面のハッチングは省略)である。
【
図12】本発明の第3実施の形態に係る基板側コネクタにあるスイッチの可動子の非検出状態への変位を示す説明図である。
【
図13】本発明の第3実施の形態に係る基板側コネクタにケーブル側コネクタを接続した状態を一部破断して示す斜視図(断面のハッチングは省略)である。
【
図14】本発明の第3実施の形態に係る基板側コネクタの検出部をなすスイッチの可動子の検出状態への変位を示す説明図である。
【
図15】本発明の第4実施の形態に係る基板側コネクタに複数のスイッチを設けた場合の動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面に基づき、本発明を代表する各種実施の形態を説明する。
図1〜
図7は、本発明の第1実施の形態を示している。
本実施の形態に係るコネクタ10は、様々な電子回路に汎用的に用いられ、相手側コネクタに対して電気的に接続されるものである。以下に、電子回路基板1に設けられ、この基板1にデータを書き込む時に使用するJTAG(Joint Test Action Group)に準拠したケーブル2を接続するための基板側コネクタ10に適用した例を説明する。
【0029】
図1に示すように、基板側コネクタ10は、その本体をなすハウジング11と、該ハウジング11に設けられた端子12と、該端子12とは別にハウジング11に設けられ、相手側コネクタとの接続を検出するための検出部とを有している。ここで相手側コネクタとは、ケーブル2の先端部に設けられたケーブル側コネクタ3であり、本実施の形態では、電子回路基板1にデータを書き込む時に基板側コネクタ10に接続して使用する。
【0030】
ケーブル2は、電子回路基板1側に他のコンピュータのUSBポートをインターフェイスで接続し、他のコンピュータから電子回路基板1へデータを書き込むための機能ユニットであり、一般の市販品がそのまま用いられる。また、電子回路基板1には、基板側コネクタ10のほか、図示省略したが各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROM、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等が実装されている。
【0031】
基板側コネクタ10のハウジング11は、合成樹脂等の絶縁性材料から一体成形され、本実施の形態では、横長に延びる長方形の厚板状に形成されている。ハウジング11の上面部には、所定のピンアサイン(配列)で並ぶ複数の雄型の端子(ピン)12が上向きに突設されている。ハウジング11の上面部が、ケーブル側コネクタ3に当接する面となっている。ここでケーブル側コネクタ3も、合成樹脂等の絶縁性材料から一体成形されたハウジング3aを備えている。
【0032】
ケーブル側コネクタ3のハウジング3aは、本実施の形態では、横長かつ縦長に延びる長方形の立方体状に形成されている。ハウジング3aの下面部には、図示省略したが前記各端子12が嵌入して電気的に接続可能な複数の雌型の端子が形成されている。ハウジング3aの下面部が、前記基板側コネクタ10のハウジング11の上面部に当接する面となっている。以下、ケーブル側コネクタ3の外装の一部と表現する場合には、主としてハウジング3aの下面部を指すものとする。
【0033】
基板側コネクタ10のハウジング11には、前記端子12とは別に、ケーブル側コネクタ3との接続を検出するための検出部が設けられている。ここで「接続」とは、基板側コネクタ10側の各端子12がケーブル側コネクタ3側の各端子と電気的に接続し、基板側コネクタ10のハウジング11の上面部に対してケーブル側コネクタ3のハウジング3aの下面部が隙間なく合わさった状態である。
【0034】
本発明の根幹をなす検出部は、ケーブル側コネクタ3との接続時に、該ケーブル側コネクタ3の外装の一部と接触して変位することで検出状態となる一方、ケーブル側コネクタ3を接続していない未接続時は、元の非検出状態に復帰するスイッチ20を備える。かかるスイッチ20は、ケーブル側コネクタ3の外装であるハウジング3aの一部と接触し得るために、ハウジング11の内部に全て埋設されることはなく、少なくとも一部がハウジング11の外面上に表出している。
【0035】
図1〜
図3に示すように、スイッチ20は、前記ハウジング11の上面部にて、ケーブル側コネクタ3との接続時にそのハウジング3aの下面部と接触する部位に配され、検出状態と非検出状態とに変位可能に支持された可動子21を備えている。詳しく言えば可動子21は、その基端が揺動中心として、ハウジング11の上面部の一端側に枢支され、その先端がケーブル側コネクタ3の接続方向である上下に揺動する。ここで可動子21は、ハウジング11内部に枢支された基端より、先端に向かってハウジング11の上面部に沿って延び上がっている。
【0036】
可動子21の先端は、
図2に示すように、ハウジング11の上面部より上方に位置する非検出状態と、
図3に示すように、ハウジング11の上面部より下方に位置する検出状態とに、上下に揺動するスイッチング動作を行う。なお、
図2および
図3では、
図1中の電子回路基板1、ケーブル側コネクタ3、基板側コネクタ10を縦方向に破断して示しているが、断面を示すハッチングは省略している。
【0037】
可動子21は、バネ等の付勢手段によって非検出状態となる上方へ付勢されている。
図4,
図5に示すように、本実施例における付勢手段は、可動子21と同様に小型のバネ22である。このバネ22は、可動子21の傍らでハウジング11内部に支持され、可動子21を通常は上方に延び上がる非検出状態に保持している。ケーブル2との接続時に可動子21は、ケーブル側コネクタ3の下面部と接触して下方へ押され、バネ22の付勢力に抗して検出状態まで下がるように揺動する。
【0038】
可動子21の変位は、例えば電気的に検出することによって、ケーブル2の接続を検出するように構成する。具体的には例えば、可動子21あるいはバネ22を金属等の導電性材質で形成し、これらを回路中で開閉する接触子として兼用し、可動子21の揺動あるいはバネ22の弾性変形が、そのまま接触してON/OFFいずれか一方から他方に切り換わる回路を設けると良い。
【0039】
このように、ケーブル2の接続が電気的に検出された時に、その検出信号が例えば電子回路基板1のCPUへ出力されるように設定すると良い。CPUでは検出信号を入力すると、例えば電子回路基板1にケーブル側コネクタ3を介してデータを書き込む際の所定の特殊動作処理を実行する。また、CPUは、前記検出信号が入力されない時は、前述の特殊動作処理を終了させる。なお、ケーブル2の接続の電気的な検出は、端子12の接続とは関係ないものである。
【0040】
次に、スイッチ20が作動して、基板側コネクタ10に対するケーブル側コネクタ3の接続を検出するまでの流れについて説明する。
図2、
図4に示すように、基板側コネクタ10からケーブル側コネクタ3が取り外されている時は、可動子21の先端は押圧されていないので、可動子21はバネ22の付勢力により、上方に延びる非検出状態にある。よって、可動子21を接触子とする回路から検出信号は出力されていない。
【0041】
図3、
図5に示すように、基板側コネクタ10にケーブル側コネクタ3を取り付ける時は、基板側コネクタ10の端子12にケーブル側コネクタ3の端子を合致させて、ケーブル側コネクタ3のハウジング3aを、基板側コネクタ10のハウジング11に嵌合させる。ケーブル側コネクタ3のハウジング3aの下面部が、基板側コネクタ10のハウジング11の上面部に当接すると、その過程で可動子21の先端は、ハウジング3aの下面部にそのまま下方へ押され、バネ22の付勢力に抗して検出状態まで揺動する。
【0042】
可動子21の検出状態への揺動は、前述したように電気的に検出することにより、ケーブル側コネクタ3との接続を検出することができる。再び、基板側コネクタ10からケーブル側コネクタ3を取り外すと、可動子21の先端は押圧されない状態に戻り、バネ22の付勢力によって元の非検出状態に復帰する。かかる非検出状態への復帰も、前述したように電気的に検出される。
【0043】
以上のようにスイッチ20は、コネクタ同士の着脱に連動して自然と状態が切り替わるため、ケーブル側コネクタ3との接続を確実に検出することが可能となる。また、ケーブル側コネクタ3には、スイッチ20に係脱して状態を切り替えるための特別な構造は不要であり、単に外装の一部がスイッチ20に接触すれば足りる。
【0044】
従って、ケーブル側コネクタ3は、そのまま市販品を改造することなく用いることができる。また、基板側コネクタ10に関しても、スイッチ20の可動子21は、ハウジング11の外面上に表出させる必要があるから、ハウジング11内部に全ての部品を納めるような製造時の手間も不要となる。
【0045】
次に、スイッチ20を、コネクタ同士の着脱に合わせて切り替える必要があるスイッチに利用した例について説明する。かかる切り替えが必要なスイッチとは、例えば、従来の電子回路基板に設けられた異常検出タイマー(WDT)の停止スイッチである。電子回路基板へのデータ書き込み時には、異常検出タイマー(WDT)を停止させる必要があり、この停止を従来は基板側のスイッチ操作で行っていた。
【0046】
最初に比較のために、従来のソフト書き込み作業について、
図7(a)のフローチャートに沿って説明する。ソフト書き込みに際しては、先ず異常検出タイマー(WDT)を停止させるためのスイッチ設定操作を行う(ステップS1)。異常検出タイマー(WDT)に、CPUから一定時間アクセスがないと、基板がリセットされるため、データ登録(ソフト書き込み)時には停止させる必要があった。
【0047】
前記スイッチ設定操作(ステップS1)に基づき、モードが切り替わった場合には(ステップS2でY)、ソフト書き込みを行う際の所定の特殊動作が開始される(ステップS4)。一方、モードが切り替わらない場合(ステップS2でN)、通常動作が行われ(ステップS3)、そのまま処理は終了する。
【0048】
特殊動作が開始されると、その後、電子回路基板1のコネクタ10にケーブル側コネクタ3を接続して(ステップS5)、ソフト書き込みを行う(ステップS6)。かかる作業が終了すると、電子回路基板1のコネクタ10からケーブル側コネクタ3を取り外す(ステップS7)。続いて、最初に行ったスイッチ設定操作を元の設定に戻す(ステップS8)。これにより、前述の特殊動作は完了し(ステップS9)、処理は終了する。
【0049】
次に、スイッチ20を、異常検出タイマー(WDT)の停止スイッチに利用した場合のソフト書き込み作業について、
図7(b)のフローチャートに沿って説明する。ソフト書き込みに際しては、最初から電子回路基板1のコネクタ10にケーブル側コネクタ3を接続する(ステップS11)。
【0050】
かかるコネクタ同士の接続がスイッチ20によって検出されると(ステップS12でY)、ソフト書き込みを行う際の所定の特殊動作が開始される(ステップS14)。コネクタ同士の接続がスイッチ20によって検出されなければ(ステップS12でN)、通常動作が行われ(ステップS13)、そのまま処理は終了する。
【0051】
特殊動作が開始されると、その後、データ登録等のソフト書き込みを行う(ステップS15)。かかる作業が終了すると、電子回路基板1のコネクタ10からケーブル側コネクタ3を取り外す(ステップS16)。これにより、前述の特殊動作は完了し(ステップS17)、処理は終了する。
【0052】
このように、スイッチ20を異常検出タイマー(WDT)の停止スイッチに利用すれば、コネクタ同士の着脱とは別にスイッチング操作(
図7(a)のステップS1,S8)を行う必要はない。すなわち、コネクタ同士の着脱に連動して、停止スイッチも自然と状態が切り替わるため、従来のソフト書き込み作業における停止スイッチの切り替え操作(
図7(a)のステップS8)の戻し忘れを確実に防止することも可能となる。
【0053】
図8〜
図10は、本発明の第2実施の形態を示している。
本実施の形態では、前述した第1実施の形態に係る基板側コネクタ10と基本的な構成は共通するが、可動子21の具体的な構成が一部異なっている。すなわち、可動子21は、その変位を外部より視覚を通じて識別可能な表示部23を有している。なお、
図8および
図10では、
図1中のケーブル側コネクタ3と基板側コネクタ10を縦方向に破断して示しているが、断面を示すハッチングは省略している。
【0054】
詳しく言えば、
図9に示すように、可動子21の基端は円形に形成されており、その外周の一部に表示部23として他の部位と識別可能な塗装が施されている。基板側コネクタ10のハウジング11の一端側には、可動子21の基端を外部から覗くための窓部11aが開設されている。
【0055】
図8において、窓部11aと表示部23との相対的な位置関係は、可動子21が非検出状態にある時は(
図10(a)参照)、
図8(a)に示すように、表示部23が窓部11aから外れた位置にある。従って、窓部11aから表示部23を視認することはできない。一方、可動子21が検出状態にある時は(
図10(b)参照)、
図8(b)に示すように、表示部23がちょうど窓部11aに合致した位置にある。従って、窓部11aから表示部23を視認することができる。
【0056】
これにより、可動子21の変位を電気的(あるいは後述する光学的)に検出することとは別に、可動子21が正常に動作しているか否かを、表示部23によって補助的に視覚を通じて確認することも可能となり、より確実にケーブル側コネクタ3の接続を検出することができる。なお、第1実施の形態と同種の部位には同一符号を付して重複した説明を省略する。
【0057】
図11〜
図14は、本発明の第3実施の形態を示している。
本実施の形態では、前述した第1、第2実施の形態に係る基板側コネクタ10と基本的な構成は共通するが、これらと検出部の構成が異なっている。すなわち、本実施の形態に係る検出部のスイッチ20Aは、その可動子21Aの変位を光学的に検出することによって、ケーブル側コネクタ3との接続を検出するように構成されている。
【0058】
可動子21Aは、前記可動子21と同様に、その基端がハウジング11の上面部に枢支され、その先端がケーブル側コネクタ3の接続方向である上下に揺動するが、ハウジング11の長手方向ではなく短手方向に延び上がるように配されている。可動子21Aは、ハウジング11内部で長手方向に延びる直線状に設けられた長孔である光通路13の途中を遮断するように設定されている。なお、光通路13は、長孔に限らず、直線状に延びる凹溝で構成しても良い。
【0059】
また、ハウジング11には、その一端側に、光通路13の光を発する発光部14が設けられ、その他端側には、光通路13を通過する光を受ける受光部15が設けられている。ここで発光部14は、具体的には例えばLED等から構成され、受光部15は、具体的には例えば光を感知する素子であるフォトダイオード等から構成されている。
【0060】
可動子21Aは、光通路13と直交する平面を備えた板状に形成され、
図12に示すように、光通路13より上方に位置する非検出状態と、
図14に示すように、光通路13の途中を遮る検出状態とに、上下に揺動するスイッチング動作を行う。可動子21Aは、その両面のうち前記発光部14を向く一面側は、導光性材質から形成され、前記受光部15を向く他面側は、非導光性材質から形成されている。なお、可動子21Aも、図示省略したバネ等の付勢手段によって、非検出状態に向かう上方へ付勢されている。
【0061】
図11に示すように、基板側コネクタ10に未だケーブル側コネクタ3を接続していない時は、
図12に示すように、可動子21Aは、光通路13を遮らない非検出常態に維持されている。一方、
図13に示すように、基板側コネクタ10にケーブル側コネクタ3を接続した時は、
図14に示すように、可動子21Aは、ケーブル側コネクタ3のハウジング3aの下面部に押されて、光通路13を遮る検出常態まで揺動する。
【0062】
このように、基板側コネクタ10にケーブル側コネクタ3を接続した時に、可動子21Aが検出状態となって光通路13を遮ると、発光部14から光通路13内に発せられた光は、受光部15に到達することなく、基板側コネクタ10とケーブル側コネクタ3との接続を、光学的に検出することが可能となる。この時、可動子21Aの他面側で遮られた光は、一面側の導光性材質を通じて向きが変えられ、可動子21Aの基端より外部に発光するため、視覚的にも確認することができる。
【0063】
図15は、本発明の第4実施の形態を示している。
本実施の形態では、検出部をなすスイッチ20は、ハウジング11の外面上にて互い離隔し、かつケーブル側コネクタ3との接続時にその外装の一部が同時に接触する部位に、それぞれ可動子21を設けてなる。詳しく言えば、
図15(a)に示すように、ハウジング11の上面部の両端に、それぞれ可動子21が対向するように設けられている。
【0064】
本実施の形態では、2つの可動子21の変位に基づいて、ケーブル側コネクタ3との接続を検出するように設定されている。すなわち、
図15(b)に示すように、2つの可動子21のうち片側いずれか一方のみが検出状態になっても、ケーブル側コネクタ3との接続は検出されず、
図15(c)に示すように、2つの可動子21の両方がいずれも検出状態になって初めて、ケーブル側コネクタ3との接続が検出されるように設定されている。
【0065】
このように、2つの可動子21を備えることにより、いっそう正確にケーブル側コネクタ3の正常な接続を検出することができる。なお、可動子21の数は2つに限定されることなく、必要に応じて3つ以上設けても良い。また、可動子21の配置も、互い離隔し、かつ同時に変位し得る部位であれば、必ずしもハウジング11の上面部の両端に限られるものではない。
【0066】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述したような実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、スイッチの可動子を電気的な接触子とした場合、その交換が容易な構造として、消耗対策を行うと良い。また、可動子やその付勢手段は、左右の取付方向性がない構造とすれば、誤実装を防止することができる。
【0067】
また、前記各実施の形態では、基板側コネクタ10の一例として、電子回路基板1とケーブル2との接続に用いる基板側コネクタとして説明したが、他の機能ユニットにおけるケーブル側コネクタとしたり、あるいは電子回路基板1同士の接続に用いるコネクタであっても良い。
【0068】
さらに、電子回路基板1としては、例えば、各種電子機器に使用されるプリント配線板、フレキシブル回路基板(FPC)、その他パネル等があるが、いかなる種類の基板であっても良い。また、ケーブル2に関しても、電子回路基板1にデータを書き込む時に使用するものに限定されることはない。