(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー順位を形成して電子を捕獲する充電層を有する二次電池の製造方法であって、
前記充電層となる成分が含まれる塗布膜を形成するため、塗布液を塗布する塗布工程と、
前記塗布工程で塗布された前記塗布液を乾燥させて、乾燥後塗布膜を形成する乾燥工程と、
前記乾燥後塗布膜に紫外線を照射して、UV照射後塗布膜を形成する照射工程と、
前記塗布工程、前記乾燥工程、及び前記照射工程を1セットとして、複数セット繰り返して、前記UV照射後塗布膜を複数層形成した後に、前記複数層の前記UV照射後塗布膜を焼成して、複数層の焼成後塗布膜を形成する焼成工程と、
前記複数層の前記焼成後塗布膜に紫外線を照射して、前記充電層を形成する工程と、を備えた二次電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施形態に限定されるものではない。
【0014】
本発明は、充電層に光励起構造変化技術を採用した新たな充電原理に基づく電池(以下、本明細書においては、量子電池とする)の製造方法に関するものである。量子電池は、充放電が可能な二次電池である。
【0015】
光励起構造変化とは、光の照射により励起された物質の原子間距離が変化する現象である。例えば、酸化スズ等非晶質の金属酸化物であるn型金属酸化物半導体が光励起構造変化を生ずる性質を有している。光励起構造変化現象により、n型金属酸化物半導体のバンドギャップ内に新たなエネルギー準位が形成される。
【0016】
(電池の構造)
図1は、本発明による量子電池の断面構造を示す図である。
図1において、量子電池10は、基板12上に、導電性の第1電極14、n型金属酸化物半導体層16、エネルギーを充電する充電層18、p型金属酸化物半導体層20、及び第2電極22がこの順序で積層された積層構造を有している。
【0017】
基板12は、絶縁性の物質でも導電性の物質でもよい。例えば、基板12の材料としては、ガラス基板や高分子フィルムの樹脂シート、あるいは金属箔シート等を使用することが可能である。
【0018】
第1電極14と第2電極22には、導電膜が形成されればよい。例えば、第1電極としては、チタン(Ti)等の金属電極を用いることができる。また、第2電極としては、クロム(Cr)又は銅(Cu)等の金属電極を用いることができる。他の金属電極として、アルミニウム(Al)を含む銀(Ag)合金膜等がある。その形成方法としては、スパッタリング、イオンプレーティング、電子ビーム蒸着、真空蒸着、化学蒸着等の気相成膜法を挙げることができる。また、金属電極は電解メッキ法、無電解メッキ法等により形成することができる。メッキに使用される金属としては、一般に銅、銅合金、ニッケル、アルミ、銀、金、亜鉛又はスズ等を使用することが可能である。
【0019】
n型金属酸化物半導体層16の材料としては、二酸化チタン(TiO
2)、酸化スズ(SnO
2)又は酸化亜鉛(ZnO)等を使用することが可能である。
【0020】
充電層18の材料としては、微粒子のn型金属酸化物半導体を使用することが可能である。n型金属酸化物半導体は、紫外線照射により光励起構造変化して、充電機能を備えた層となる。n型金属酸化物半導体は、シリコーンの絶縁性被膜で覆われている。充電層18で使用可能なn型金属酸化物半導体材料としては、二酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛が好適である。二酸化チタン、酸化スズ、及び酸化亜鉛のうちいずれか2つを組み合わせた材料、あるいは3つを組み合わせた材料を使用することが可能である。
【0021】
さらに、本実施形態では充電層18が複数の塗布膜18a〜18cにより形成されている(つまり、充電層18が複数の塗布膜18a〜18cの積層構造となっている)。ここでは、充電層18が3層の塗布膜18a〜18cにより形成されている例を示しているが、2層又は4層以上の塗布膜が積層された積層構造であってもよい。
【0022】
充電層18上に形成したp型金属酸化物半導体層20は、上部の第2電極22からの充電層18に電子が注入されるのを防止するために設けられている。p型金属酸化物半導体層20の材料としては、酸化ニッケル(NiO)、及び銅アルミ酸化物(CuAlO
2)等を使用することが可能である。
【0023】
なお、本実施形態における基板12上の積層順は、反対でもよい。すなわち、第1電極14を最上層、第2電極22を最下層にした積層構造であってもよい。次に実際に試作した例を示す。
【0024】
(試作例)
基板12はガラスを用いて形成した。このガラスの基板12上に、第1電極14として、チタンの導電膜を、さらに第1電極14上にn型金属酸化物半導体層16として二酸化チタン(TiO
2)をスパッタリング法で形成した。p型金属酸化物半導体層20は酸化ニッケルをスパッタリングにより形成し、第2電極22は、クロムの導電膜により形成した。
【0025】
(充電層18の構造)
充電層18は、絶縁性物質で覆われたn型金属酸化物半導体を光励起構造変化させることによりバンドギャップ中にエネルギー順位を形成して電子を捕獲する。充電層18の構造ついて以下に詳細を説明する。
【0026】
図2は、
図1における充電層18の構造を詳細に説明する図である。充電層18は、絶縁性被膜28としてシリコーンを、n型金属酸化物半導体26として二酸化チタンを使用しており、シリコーンで覆われた二酸化チタンが充填された構造となっている。二酸化チタンが紫外線照射されて光励起構造変化により、エネルギーを蓄えることができる機能を有している。
【0027】
充電層18に使用されるn型金属酸化物半導体26の材料としては、二酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛であり、金属の脂肪族酸塩から製造工程で分解して生成される。このため、金属の脂肪族酸塩としては、酸化性雰囲気下で紫外線を照射すること、又は焼成することにより分解又は燃焼し、金属酸化物に変化しうるものが使用される。脂肪族酸としては、例えば、脂肪族モノカルボン酸や、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸、脂肪族テトラカルボン酸等の脂肪族ポリカルボン酸が使用可能である。
【0028】
より具体的には、飽和脂肪族モノカルボン酸として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ステアリン酸等が挙げられる。不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、アクリル酸、ブテン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、リノレン酸、オレイン酸等の高度不飽和モノカルボン酸が使用可能である。
【0029】
また、脂肪族酸塩は、加熱により分解又は燃焼しやすく、溶剤溶解性が高く、分解又は燃焼後の膜が緻密であり、取り扱い易く安価であり、金属との塩の合成が容易である等の理由から、脂肪族酸と金属との塩が好ましい。
【0030】
絶縁性被膜28には、シリコーンの他、無機絶縁物として鉱油、酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO
2)等でもよく、絶縁性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、酢酸セルロースなどの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタンなどの熱硬化性樹脂でもよい。
【0031】
(充電層18の製造方法)
図3は、充電層18の製造方法の工程を説明するフローチャートである。
【0032】
まず、基板12上に第1電極14とn型金属酸化物半導体層16を形成した基板を用意する。なお、第1電極14とn型金属酸化物半導体層16は、上記したように、スパッタリング法等により形成することができる。そして、n型金属酸化物半導体層16の上に、塗布液を塗布する(塗布工程:S1)。すなわち、充電層18となる成分が含まれる塗布膜18aを形成するため、塗布液を塗布する。具体的には、脂肪酸チタンとシリコーンオイルを溶媒に混合して攪拌し、塗布液を作製する。塗布液には、充電層となる成分が含まれていればよい。次に、用意した基板を回転させながらスピナーにより、塗布液を二酸化チタンの層上にスピンコートする。基板の回転により、0.3〜1μmの薄い層(塗布膜18a)が形成される。この層は、具体的にはシリコーンが被膜された二酸化チタンの金属塩がシリコーン層中に埋められている構造と考えられ、空隙部は存在しない。なお、スピンコート法に限らず、ディップコート法、ダイコート法、スリットコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、カーテンコート法などによって、n型金属酸化物半導体層16上に塗布膜を形成してもよい。なお、塗布工程の前に、紫外線照射などによって、n型金属酸化物半導体層16に対して表面処理を行ってもよい。
【0033】
塗布工程S1の後、基板12に塗布された塗布液を乾燥させる(乾燥工程:S2)。乾燥工程S2により塗布液が乾燥することで、塗布液中の溶媒が揮発して、流動的な塗布液が仮固めされた塗布膜18aとなる。よって、基板12のハンドリングを容易に行うことができる。例えば、基板12をホットプレート上に配置して、所定の温度で、所定時間加熱して、塗布膜中の溶媒を揮発させる。乾燥工程S2は、ハンドリングを容易にするため、塗布膜18aが仮固めできる温度、及び時間で実施すればよい。乾燥方法としては、ホットプレートに限らず、遠赤外線を用いた加熱乾燥や、真空処理による減圧乾燥、熱風循環による乾燥方法を用いることができる。乾燥工程S2は、溶媒を乾燥させ飛ばすために行われる。よって、乾燥温度は、200℃以下とすることが好ましい。乾燥工程S2の後、塗布膜18aは乾いているが、完全には固まっていない状態となっている。乾燥工程S2によって仮固めされた状態の塗布膜18aを乾燥後塗布膜とする。
【0034】
乾燥工程S2を経た塗布膜18a(乾燥後塗布膜)に紫外線(以下、UV光)を照射する(UV照射工程:S3)。UV光を照射することで、塗布膜18aの表面をUV硬化させることができる。例えば、UV照射工程S3では、1〜5分程度の時間、塗布膜18aにUV光を照射している。こうすることで、塗布膜18aの表面状態を硬化することができる。UV照射工程S3によって表面が硬化した状態の塗布膜18aをUV照射後塗布膜とする。
【0035】
UV照射工程S3の後、予め設定された層数の塗布膜(UV照射後塗布膜)の積層が終了しているか否かを判定する(S4)。所定の層数の積層が終了していない場合(S4:NO)、塗布工程S1に戻る。すなわち、予め設定された層数の塗布膜が形成されていない場合、塗布膜を積層する。ここでは、1層目の塗布膜18aの上に、2層目の塗布膜18bが形成される。上記と同様に、塗布工程S1、乾燥工程S2、及び照射工程S3を行う。塗布工程S1、乾燥工程S2、及び、UV照射工程S3を1セットとして、このセットを複数セット繰り返し行って、所定の層数の塗布膜(UV照射後塗布膜)を形成する。ここでは、3層の塗布膜18a〜18cが積層される。
【0036】
所定の層数の積層が終了した場合(S4:YES)、次の焼成工程(焼成工程:S5)に移る。なお、塗布工程S1,乾燥工程S2,及びUV照射工程S3は、それぞれ同じ条件で繰り返し行われていてよいし、異なる条件で行われていてもよい。
【0037】
焼成工程S5では、塗布膜18a〜18c(UV照射後塗布膜)を焼成する。焼成工程S5において基板12の温度を上げることで、塗布膜18a〜18c中の結合状態の構造を変化させることができる。例えば、基板12を熱処理炉に配置して、大気中にて380℃〜400℃、5〜30分間、熱処理を行う。500℃以下で熱処理することで、脂肪酸の分子結合を切ることができる。なお、焼成工程S5での熱処理は、大気加熱処理に限らず、真空加熱やガス雰囲気中での加熱などであってもよい。焼成工程S5の焼成温度は、乾燥工程S2の乾燥温度よりも高温となる。すなわち、焼成工程S5では、基板12を乾燥工程S2中の乾燥温度よりも高温にする。焼成工程によって焼成された塗布膜18a〜18cを焼成後塗布膜とする。
【0038】
なお、焼成工程S5の後、次工程に移行する(次工程:S6)。次工程S6では、例えば、塗布膜18a〜18c(焼成後塗布膜)に紫外線を照射する。この紫外線照射により、塗布膜18a〜18c(焼成後塗布膜)の二酸化チタンの原子間距離を変化させて光励起構造変化現象を生起させる。この結果、二酸化チタンのバンドギャップ内に新たなエネルギー準位が形成される。この新たなエネルギー準位に電子が捕獲されることによりエネルギーの充電が可能となる。
【0039】
例えば、低圧水銀ランプを用いて、紫外線を照度20〜50mW/cm
2で2〜4時間程度照射する。焼成後塗布膜18a〜18cの分子構造に変化が生じ、充電できる層となるまで、紫外線照射を繰り返し行う。このようにすることで、充電層18が形成される。
なお、紫外線光源としては、低圧水銀ランプに限らず、高圧水銀ランプ、キセノンランプを用いることができる。
【0040】
充電層18上にP型金属酸化物半導体層20や第2電極22などを形成することができる。紫外線光源は、波長405nm以下の光を出射するものであることが好ましい。次工程S6での紫外線の照射量は、UV照射工程S3での照射量よりも高くなっている。
【0041】
充電層18が形成された後、上記したように、P型金属酸化物半導体層20、第2電極22を形成する。このようにして、量子電池10が完成する。
【0042】
(効果)
本実施形態にかかる製造方法では、塗布工程S1、乾燥工程S2、及びUV照射工程S3を1セットとして、このセットを繰り返し行い、所定の層数のUV照射後塗布膜を積層する。したがって、充電層18を厚くすることができ、充電容量を向上することができる。
【0043】
さらに、塗布膜を繰り返し積層する際において、本実施形態では、乾燥後塗布膜の表面にUV照射工程S3を行った後、塗布工程S1を行っている。すなわち、UV照射工程S3によりUV硬化(乾燥)された下層のUV照射後塗布膜の上から、上層の塗布膜が成膜される。これにより、上層の塗布膜を成膜する際の、上層の塗布膜に対する下層の塗布膜の剥離、下層の塗布膜の溶解を低減させることができる。よって、上下の塗布膜の膜ムラを防ぐことができる。したがって、均一にUV照射後塗布膜18a〜18cを積層することができ、高性能の量子電池10を製造することができる。
【0044】
また、積層毎にUV照射工程S3を行うことにより、乾燥後塗布膜18a〜18cの表面をUV硬化している。UV照射工程S3の前工程である乾燥工程S2で、完全に塗布膜cの表面を乾燥させる必要がなくなる。よって、乾燥工程S2での温度を電池性能に影響を及ぼす程度の温度まで上げる必要がなくなり、高い電池性能を維持することができる。さらに、乾燥温度は、焼成温度よりも低いため、乾燥工程S2での温度を電池性能に影響を及ぼす程度の温度まで上げる必要がなくなり、高い電池性能を維持することができる。例えば、本実施形態にかかる製造方法では、塗布膜中の結合状態の構造を変化させる焼成温度まで、基板12を繰り返し昇温する必要がなくなる。よって、本実施形態にかかる製造方法では、焼成後塗布膜が複数回焼成温度まで加熱されるのを防ぐことができる。これにより、量子電池10の電池性能の劣化を防ぐことができる。
【0045】
また、本実施形態では、複数層のUV焼成後塗布膜18a〜18cを形成した後で、複数層のUV焼成後塗布膜18a〜18cを一括で焼成している。このようにすることで、製造時間を短縮することができる。例えば、1回の焼成工程S5が4時間であり、3層積層すると仮定する。3回の塗布工程S1の都度、4時間の焼成を行うとすると、焼成工程S5の合計時間は12時間(4時間×3)となる。本実施形態では、3回の塗布工程S1を実施した後、一括で焼成工程S5を実施しているため、焼成工程S5の時間は4時間となる。よって、本実施形態では、焼成時間を8時間短縮することができる。また、UV照射工程S3の時間は1〜5分であり、焼成工程S5と比較して十分に短い。これにより、高性能の量子電池10を高い生産性で製造することができる。
【0046】
もちろん、焼成工程S5を複数回行ってもよい。例えば、1層目と2層目のUV照射後塗布膜を形成した後、第1の焼成工程S5を行い、3層目と4層目のUV照射後塗布膜を形成した後、第2の焼成工程S5を行うようにしてもよい。この場合も、各層のUV照射後塗布膜の形成には、塗布工程S1、乾燥工程S2、及びUV照射工程S3を行うことが好ましい。
【0047】
図4は、具体的な焼成時間の一例を示す表である。
図4では、塗布工程S1毎に焼成を行った製法1と、塗布を複数回行った後、一括して焼成を行った製法2の焼成時間がそれぞれ示されている。
【0048】
2層の塗布膜を形成した場合において、塗布工程S1毎に焼成を行う製法1では、焼成時間の合計時間は8.5時間となる。一方、2層のUV照射後塗布膜を形成した場合において、一括して焼成を行う製法2では、焼成時間は4.5時間となる。
【0049】
2層の塗布膜の形成を2セット繰り返す場合(2層×2)、製法1では焼成時間は、17時間となる。すなわち、合計4回焼成を行うため、製法1の2層の焼成時間(8.5時間)の2倍となる。一方、製法2では、2層のUV照射後塗布膜を一括焼成しているため、2回の焼成を行うこととなる。よって、焼成時間は、製法2の2層の焼成時間(4.5時間)の2倍、すなわち9時間となる。
【0050】
3層の塗布膜を形成した場合において、塗布工程S1毎に焼成を行う製法1では、焼成時間の合計時間は13時間となる。一方、3層のUV照射後塗布膜を形成した場合において、一括して焼成を行う製法2では、焼成時間は5時間となる。3層を一括して焼成する場合、充電層18の厚さが厚くなるため、2層の場合よりも、焼成時間が長くなる。
【0051】
4層の塗布膜の形成を2セット繰り返す場合(4層×2)、製法1では焼成時間は、26時間となる。すなわち、合計6回焼成を行うため、製法1の3層の焼成時間(13時間)の2倍となる。一方、製法2では、3層のUV照射後塗布膜を一括焼成しているため、2回の焼成を行うこととなる。よって、焼成時間は、製法2の3層の焼成時間(5時間)の2倍、すなわち10時間となる。
【0052】
製法2のように、複数のUV照射後塗布膜を形成した後、一括して複数のUV照射後塗布膜を焼成することで、製造時間を短縮することができる。よって、製法2によると生産性を向上させることができる。
【0053】
もちろん、充電層18の積層数は、2層又は3層に限られるものではなく、4層以上でもよい。塗布膜を複数層、すなわち2層以上積層する場合に、上記の製法2は、適用可能である。塗布膜の積層毎に行われていた3〜4時間の焼成工程S5を省略することができるため、製造時間の短縮、及び設備使用時間の削減が可能となる。また、製法2では、一括して複数のUV照射後塗布膜を焼成するため、工程数の削減も可能となる。よって、製法2では、生産性を向上することができ、量子電池の低コスト化に資することができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態の一例を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。