【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (1)販売による公開について ▲1▼ 販売日 平成27年1月6日 ▲2▼ 販売場所 和気産業株式会社(埼玉県さいたま市桜区田島8丁目19番1号) ▲3▼ 公開者 東洋アルミエコープロダクツ株式会社 (2)刊行物等への発表による公開について ▲1▼ 発行日 平成27年1月10日 ▲2▼ 刊行物名 ホームセンターマガジンPaKoMa,vol.205 2015年2月号,21ページ ▲3▼ 発行者 株式会社日宣(東京都千代田区内神田1−12−5 日宣神田ビル4F)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)少なくとも水及び油を透過しない非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、
撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を乾燥重量で0.01〜10g/m2含み、前記疎水性微粒子はa)フッ素を含有する樹脂粒子、b)金属酸化物粒子及びc)表面処理により疎水化された金属粒子の少なくとも1種であり、かつ、
撥水層表面における純水との接触角が140度以上であり、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力がステンレス鋼板に対して15N/25mm以上26N/25mm以下であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが1以上9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする撥水性粘着積層体。
粘着層が、酢酸ビニル・アクリル系共重合体及びポリイソシアネート系硬化剤を含む液状粘着剤により形成された塗膜を乾燥することによって得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
粘着層を介して当該積層体を被着体に貼着するに際し、撥水層の表面の一部に粘着層の一部が重なって直接貼着されるように用いられる、請求項1〜6のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のような粘着テープは、使用時に露出する面は金属箔面となり、また場合によっては金属箔表面に積層されたポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルム面となる。これらの面は水が比較的付着しやすい状態であるため、粘着テープ表面にいつまでも水が付着した状態が続く場合がある。このような状態が継続した場合、細菌等が繁殖して不衛生になるほか、粘着テープに隙間がある場合にはそこから水、油等が浸入するおそれがある。
【0008】
また、例えば特許文献2、特許文献3等に開示されているように、金属箔面に剥離剤層を形成した粘着テープも提案されているが、これは主としてロール状に巻き取られた粘着テープを取り出す際の剥離性を確保するためであり、所望の撥水性を達成できるものではない。
【0009】
このように、従来の粘着テープに対し、高い撥水性を付与すべく、例えば粘着テープの表面に撥水層を形成するという方法が考えられる。ところが、高い撥水性を付与すれば、それだけ自背面に対する粘着力が低下するおそれが生じる。防水、シーリング等の目的で粘着テープを被着体に貼着しようとする場合、貼着された粘着テープ間の隙間を確実になくすために、通常は粘着テープが重なるように貼着される。このような重ね貼りを行った場合、粘着テープが重なる領域(重複領域)では、一方の粘着テープの表面に他方の粘着テープの粘着層が貼着されることになる。すなわち、粘着テープの表面に撥水層を形成すれば、その重複領域においては所望の粘着性が得られなくなる結果、防水、シーリング等の目的が達成できなくなるおそれがある。
【0010】
これを解決するためには、粘着層の粘着力を高めるという方法を採用することも考えられるが、粘着力を高めるとそれだけ糊残りの問題が発生しやすくなる。例えば、流し台と調理台との隙間、あるいは調理台とレンジ等との隙間への油汚れ又は水の浸入を防ぐために粘着テープが隙間部分に貼り付けられるが、ある程度汚れたら定期的に粘着テープの取り換えが行われる。ところが、その粘着力が高ければ、粘着テープを剥がす際、被着体である流し台、調理台、レンジ等に粘着剤が付着したまま残ってしまうことがある。このような糊残りの問題は、粘着力を高めれば高めるほど顕著になる。
【0011】
従って、本発明の主な目的は、表面が高い撥水性を有しつつも、効果的に重ね貼りを行うことができるとともに被着体への糊残りを抑制ないしは防止できる粘着積層体及び粘着テープを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の層構成を採用することにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記の撥水性粘着積層体及びそれを用いた粘着テープに係る。
1. a)非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含み、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする撥水性粘着積層体。
2. 疎水性微粒子が三次元網目状構造からなる多孔質層を形成している、前記項1に記載の撥水性粘着積層体。
3. 撥水層表面における純水との接触角が140度以上である、前記項1又は2に記載の撥水性粘着積層体。
4. 疎水性微粒子が金属酸化物微粒子である、前記項1〜3のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
5. 粘着層が、酢酸ビニル・アクリル系共重合体及びポリイソシアネート系硬化剤を含む液状粘着剤により形成された塗膜を乾燥することによって得られる、前記項1〜4のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
6. 疎水性微粒子として、微粒子の表面にフッ素を含む有機化合物の皮膜が形成されている微粒子を用いる、前記項1〜5のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
7. 粘着層を介して当該積層体を被着体に貼着するに際し、撥水層の表面の一部に粘着層の一部が重なって直接貼着されるように用いられる、前記項1〜6のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
8. 前記の直接貼着された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、前記項7に記載の撥水性粘着積層体。
9. テープ状に加工されて撥水性粘着テープとして用いられる、前記項1〜8のいずれかに記載の撥水性粘着積層体。
10. 前記項1〜9のいずれかに記載の撥水性粘着積層体を用いて防止処理を施す方法であって、水の侵入を防止する部位に粘着層を介して当該積層体を貼着する工程を含む、防水処理方法。
11. 撥水層の表面の一部に粘着層の一部が直接積層されるように用いられる、前記項10に記載の防水処理方法。
12. 直接積層された領域において、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上である、前記項11に記載の防水処理方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、表面に高い撥水性を有しつつも、効果的に重ね貼りを行うことができるとともに被着体への糊残りを抑制ないしは防止できる粘着積層体及び粘着テープを提供することができる。
【0015】
特に、特定の粘着性を有する粘着層を採用するとともに、撥水層として疎水性微粒子により形成された三次元網目構造からなる多孔質層を採用する場合には、接触角140度以上の高度な撥水性が得られると同時に、そのような撥水面にも十分な粘着力が得られる一方で、被着体に対する糊残りも効果的に抑制することができる。
【0016】
このような特徴を有する本発明の粘着積層体及び粘着テープは、例えば防水、防塵、防汚、シーリング、マスキング、補修等の用途に好適に用いることができる。例えば、流し台、調理台、レンジ等の台所廻りの隙間のシーリング、雨どい、エアコン室外機のホース等のひび割れの補修、配管どうしの継ぎ目塞ぎ等に最適である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.撥水性粘着積層体
本発明の撥水性粘着積層体(本発明積層体)は、a)非透過性基材層、b)前記基材層の一方の面の一部又は全部に形成された撥水層及びc)前記基材層の他方の面の一部又は全部に形成された粘着層を含む積層体であって、
(1)前記撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含み、
(2)前記粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下であり、
(3)少なくとも使用時において、前記撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる、
ことを特徴とする。
【0019】
本発明積層体の基本層構成を
図1に示す。
図1に示すように、本発明積層体10は、例えば非透過性基材層11の一方の面(おもて面)に撥水層12が形成されていて、非透過性基材層11の他方の面(裏面)に粘着層13が形成されている。
【0020】
本発明積層体は、これら3つの層を必須としたうえで、本発明の効果を妨げない範囲内において、必要に応じて層間に他の層(例えば接着層、印刷層、帯電防止層等)を介在させることもできる。また、例えば保存・保管のために撥水層及び/又は粘着層の上に剥離可能な保護層(離型紙、離型フィルム等)が積層されていても良い。この場合は、使用時において、前記保護層が剥離され、撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となるようにすれば良い。保護層等が撥水層及び/又は粘着層の上に積層されていない場合は、そのままの状態で、使用時に撥水層及び粘着層がそれぞれ最外層となる。
【0021】
撥水層は、非透過性基材層の一方の面の全面に形成されていても良いし、一部にのみ形成されていても良い。一部にのみ形成される場合の形成パターンも特に限定されず、例えばストライプ状、ドット状、島状等のいずれも採用できる。特に、より高い撥水性を確保するという見地より、撥水層は、非透過性基材層の一方の面の全面に形成されていることが望ましい。
【0022】
粘着層は、非透過性基材層の他方の面の全面に形成されていても良いし、一部にのみ形成されていても良い。一部にのみ形成される場合の形成パターンも特に限定されず、例えばストライプ状、ドット状、島状、枠状等のいずれも採用できる。
【0023】
本発明積層体は、通常は捲回可能なシート状又はフィルム状の形態であり、そのまま粘着シート又は粘着フィルムとして使用できるほか、必要に応じてテープ状に加工して粘着テープ等としても利用することができる。以下においては、本発明積層体を構成する各層について説明する。
【0024】
(1)非透過性基材層
(1−1)非透過性基材層の構成
非透過性基材層としては、少なくとも水及び油を透過しない材料であれば特に限定されない。例えば、合成樹脂、ゴム、金属等からなるシート状、フィルム状又は箔状材料を好適に採用することができる。特に、耐熱性、耐候性等が要求される用途では、前記材料として金属を用いることが好ましい。金属としては、例えばアルミニウム、銅、鉄、ニッケル、錫等のほか、これらの金属を含む合金(例えばステンレス鋼等)等が挙げられる。特に、本発明においては、腐食に強く、軽量で安価なことから、アルミニウムを用いることが特に望ましい。
【0025】
非透過性基材層の厚みは限定的でなく、使用用途に応じて適宜設定すれば良いが、通常10μm〜2mmであれば良く、特に20μm〜100μmであることが好ましい。10μm以上であれば、基材層にピンポール等の欠陥が発生することをより効果的に防止できるとともに、被着体への耐熱性もより確実に付与することができる。また、2mm以下とすることにより、特にテープ状に加工したときの使いやすさ、生産コスト等をより高めることができる。
【0026】
(1−2)非透過性基材層の形成・配置
このような非透過性基材層としては、公知又は市販の材料(シート、フィルム、箔等)を使用することができるほか、公知の製造方法によって作製することが可能である。これらは、そのまま又は通常の加工処理を施した上で本発明積層体の非透過性基材層として利用することができる。例えば、市販のアルミニウム箔をそのまま又は通常の加工処理を施した上で本発明積層体の非透過性基材層として利用することができる。
【0027】
(2)粘着層
(2−1)粘着層の構成
粘着層は、JIS Z0237の粘着力試験における粘着力が15N/25mm以上(好ましくは19N/25mm以上)であり、かつ、JIS Z0237の傾斜式ボールタック(傾斜角30°)におけるボールナンバーが9以下(好ましくは7以下、より好ましくは6以下)という特性を備えている。なお、上記粘着力の上限値は通常26N/25mm程度とすれば良い。また、上記ボールナンバーの下限値は通常1程度とすれば良い。
【0028】
このように、粘着力は高いが初期粘着力は比較的低いという特異な粘着層を採用することにより、撥水層上に直接重ね貼りした場合でも十分な粘着力が得られる一方、剥離する場合には被着体への糊残りを効果的に抑制することができる。すなわち、高い粘着力(特に自背面に対する粘着力)と高い剥離性という互いに相反する特性を兼ね備えた粘着積層体(粘着テープ等)を提供することが可能となる。
【0029】
特に、本発明積層体で使用される撥水層として、後記に示すように、疎水性微粒子による三次元網目構造からなる多孔質層を採用する場合等は、例えば純水との接触角が140度以上という極めて高い撥水性を発現するが、そのような高い撥水面に対しても所望の粘着力を発揮することができる。より具体的には、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上、好ましくは7N/25mm以上という性能を得ることができる。また、JIS Z0237の粘着力試験における20分経過後の粘着力も2.5N/25mm以上という実用上十分な性能を得ることもできる。
【0030】
粘着層を構成する材質としては、公知又は市販の粘着剤から適宜選択することができる。例えば、天然ゴム又は合成ゴムのゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。これらの粘着剤は1種又は2種以上で用いることができる。
【0031】
これらの粘着剤の中でも、本発明において所望の粘着特性をより確実に得られるという見地より、アクリル系粘着剤及びゴム系粘着剤の少なくとも1種が好ましく、特にアクリル系粘着剤がより好ましい。
【0032】
アクリル系粘着剤は、アクリル系モノマーを共重合することにより得られるアクリル系ポリマーから構成されるものである。前記モノマーとしては特に限定されず、例えばアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等が挙げられる。これらエステルとしては、例えばメチルアクリレート、ブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のアクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルが挙げられる。
【0033】
アクリル系モノマーと共重合する成分としては、特に限定されず、公知のアクリル系共重合体で採用されているモノマー等を適宜用いることができる。例えば、酢酸ビニル等を好適な共重合性モノマーとして挙げることができる。すなわち、本発明では、酢酸ビニル−アクリル共重合体を含む粘着層を好適に採用することができる。
【0034】
本発明において、粘着層中のポリマー成分は、架橋構造を有していることが望ましい。粘着剤層中のポリマー成分が架橋構造を有することにより、粘着層に所望の粘着性とともに優れた耐熱性等を付与することができる。
【0035】
架橋構造とする場合、架橋する方法は特に限定されない。例えば、加熱による硬化、UV照射による硬化、硬化剤による硬化等が挙げられ、これらは1種又は2種以上の組み合わせで採用することができる。本発明では、加熱装置、UV照射装置等が不要であり、なおかつ、所望の特性を有する粘着層をより確実に得ることができるという点において、例えば硬化剤による方法を好適に採用することができる。
【0036】
硬化剤(架橋剤)による硬化の場合、所望の架橋効果が得られる限りは硬化剤の種類は特に限定されず、公知又は市販の硬化剤から適宜選択できる。本発明では、特にイソシアネート基を有する硬化剤等が好ましい。従って、粘着層中のポリマー成分として酢酸ビニル−アクリル共重合体等を使用する場合は、例えばポリイソシアネート系硬化剤を好適に用いることができる。すなわち、本発明では、酢酸ビニル・アクリル系共重合体及びポリイソシアネート系硬化剤を含む液状粘着剤により形成された塗膜を乾燥することによって得られる粘着層を好適に採用することができる。
【0037】
粘着層における硬化後のゲル分率は限定的ではないが、通常は10〜40%程度であり、特に10〜35%の範囲にあることが好ましい。この範囲内であれば、被着体への糊残りがより効果的に抑制ないし防止され、かつ、高い粘着力をより確実に得ることが可能となる。
【0038】
粘着層の厚みは、用途、使用方法等に応じて適宜設定することができるが、通常は5μm〜2mm程度とし、特に10μm〜1mmとすることが好ましく、さらに20μm〜200μmとすることがより好ましく、最も好ましくは30μm〜100μmとする。粘着層の厚みを上記範囲内に収めることにより、被着体への糊残りがより効果的に抑制ないし防止され、しかも高い粘着力をより確実に得ることができる。
【0039】
(2−2)粘着層の形成・配置
粘着層の形成方法は、特に限定されないが、通常は液状粘着剤を使用するので、液状粘着剤を塗布する方法を好適に採用することができる。これにより、市販の溶剤型粘着剤等も利用することができる。塗布する方法は限定的でなく、例えばロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、ディッピング、刷毛塗り、スプレー塗装等の公知の方法を採用することができる。塗布を実施した後、必要に応じて乾燥工程等を行っても良い。
【0040】
また、液状粘着剤を塗布する方法により粘着層を形成する場合、例えばa)非透過性基材層上に粘着剤溶液を直接塗布する方法、b)あらかじめ液状粘着剤を用いて粘着シートを作製した後、その粘着シートを非透過性基材層上に積層・貼着する方法等のいずれも採用することができる。
【0041】
(3)撥水層
(3−1)撥水層の構成
撥水層は、撥水成分として一次粒子平均径3〜100nmの疎水性微粒子を含む層から構成される。
【0042】
疎水性微粒子を含む層の形態としては、例えばa)疎水性微粒子が基材層に付着して形成された層(特に、実質的に疎水性微粒子のみからなる層)、b)疎水性微粒子及び有機バインダーを含む層、c)疎水性微粒子、有機バインダー及びワックスを含む層等が挙げられる。
【0043】
これらのうち、本発明では、上記a)が好ましい。この場合、疎水性微粒子は、一次粒子が含まれていても良いが、その凝集体(二次粒子)が多く含まれていることが望ましい。特に、疎水性微粒子により形成された三次元網目状構造からなる多孔質層を撥水層として採用することがより好ましい。すなわち、基材の他方の面には、疎水性微粒子により形成された三次元網目状構造からなる多孔質層が積層されていることが好ましい。このような構造を採用することによって、より高い撥水性を確実に得ることができる。特に、純水との接触角が140度以上という高度な撥水性を発現させることが可能となる。
【0044】
撥水層は、基材の他方の面の全面に形成されていても良いし、一部にのみに形成されていても良い。ただし、前記の通り、基材表面全体にわたって撥水性を得ることができるという見地より、基材の他方の面の全面に撥水層が形成されている方が好ましい。
【0045】
このように、基材の他方の面の少なくとも一部に疎水性微粒子を含む撥水層が形成されているので、優れた撥水性を有する。したがって、撥水層は撥水性を有するので、水が基材表面に接触しても(接近しても)、水の基材への付着が疎水性微粒子(又は疎水性微粒子からなる多孔質層)によって遮られ、なおかつ、はじかれる。このため、水が基材近傍に付着したままの状態とならずに、疎水性微粒子(又は疎水性微粒子からなる多孔質層)にはじかれる。
【0046】
撥水層の厚みは特に制限されないが、通常は0.1〜5μm程度とすれば良く、特に0.2〜2.5μm程度とすることがより好ましい。
【0047】
撥水層に含有させる疎水性微粒子の付着量(乾燥後重量)は限定的ではないが、通常0.01〜10g/m
2とするのが好ましく、0.2〜3g/m
2とするのがより好ましく、0.3〜1g/m
2とするのが最も好ましい。上記範囲内に設定することによって、より優れた撥水性が長期にわたって得ることができる上、疎水性微粒子の脱落抑制、コスト等の点でもいっそう有利となる。撥水層に付着した疎水性微粒子は、三次元網目構造を有する多孔質層を形成していることが好ましく、その厚みは0.1〜5μm程度が好ましく、0.2〜2.5μm程度がさらに好ましい。このようなポーラスな層状態で付着することにより、当該層に空気を多く含むことができ、より優れた撥水性を発揮することができる。
【0048】
また、撥水層の撥水性は、使用態様等に応じて適宜設定することができる。本発明では、特に撥水層と純水との接触角が140°以上であることが好ましく、150°以上がより好ましく、さらには160°以上であることがより好ましい。接触角が140°以上に設定することにより、よりいっそう優れた撥水性を得ることができる。なお、接触角の上限は特に限定されないが、通常は175°程度とすれば良い。
【0049】
撥水層に含まれる疎水性微粒子の一次粒子平均径が通常3〜100nmであるが、好ましくは5〜50nmであり、より好ましくは5〜20nmである。一次粒子平均径を上記範囲とすることにより、疎水性微粒子が適度な凝集状態となり、その凝集体中にある空隙に空気等の気体を保持することができる結果、優れた撥水性を得ることができる。
【0050】
なお、本発明において、一次粒子平均径の測定は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM)で実施することができ、走査型電子顕微鏡の分解能が低い場合には透過型電子顕微鏡等の他の電子顕微鏡を併用して実施しても良い。具体的には、粒子形状が球状の場合はその直径、非球状の場合はその最長径と最短径との平均値を直径とみなし、走査型電子顕微鏡等による観察により任意に選んだ20個分の粒子の直径の平均を一次粒子平均径とする。
【0051】
疎水性微粒子の比表面積(BET法)は特に制限されないが、通常50〜300m
2/gとし、特に100〜300m
2/gとすることが好ましい。
【0052】
疎水性微粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、種々の粒子表面が表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、親水性を有する微粒子であっても、シランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした場合には疎水性微粒子として用いることもできる。このような疎水性微粒子としては、例えばポリフルオロアクリルメタクリレート樹脂のようにフッ素を含有する樹脂粒子、金属酸化物粒子、表面処理により疎水化された金属粒子等が挙げられる。その中でも、より高い撥水性が確実に得られるという見地から、金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
【0053】
金属酸化物粒子は、その表面が疎水性を有するものであれば限定的でなく、例えば酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛等の粒子(粉末)の少なくとも1種を用いることができる。本発明では、特に酸化ケイ素粒子、酸化チタン粒子及び酸化アルミニウム粒子の少なくとも1種が好ましい。
【0054】
これら金属酸化物粒子そのものは公知又は市販のものを使用することもできる。例えば、シリカとしては、製品名「AEROSIL R972」、「AEROSIL R972V」、「AEROSIL R972CF」、「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RY200」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R202」、「AEROSIL R805」、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、(以上、エボニック デグサ社製)等が挙げられる。チタニアとしては、製品名「AEROXIDE TiO
2 T805」(エボニック デグサ社製)等が例示できる。アルミナとしては、製品名「AEROXIDE Alu C」(エボニック デグサ社製)等をシランカップリング剤で処理して粒子表面を疎水性とした微粒子が例示できる。
【0055】
この中でも、疎水性の酸化ケイ素微粒子を好適に用いることができる。とりわけ、より優れた撥水性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性の酸化ケイ素微粒子が好ましい。これに対応する市販品としては、例えば前記「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」(いずれもエボニック デグサ社製)等が挙げられる。
【0056】
(3−2)撥水層の形成・配置
疎水性微粒子を非透過性基材層の表面に直接形成する方法は特に限定されない。ロールコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、ディッピング、刷毛塗り、スプレー塗装、粉体静電塗装法等の公知の方法を採用することができる。非透過性基材層への粘着層の形成後に必要に応じて乾燥工程を行っても良い。また、非透過性基材層への形成に際し、疎水性微粒子を溶媒に分散した分散体を用いて非透過性基材層表面に形成しても良い。すなわち、疎水性微粒子を溶媒に分散した分散体を非透過性基材層表面に塗布・乾燥することにより撥水層を形成する工程を含む方法を好適に採用することができる。
【0057】
この場合の溶媒は特に限定されず、水のほか、親水性溶媒、疎水性溶媒等の有機溶媒が使用できる。有機溶媒としては、例えばエタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルジグリコール、ペンタメチルグリコール等のグリコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素等が使用できる。これらは1種又は2種以上で用いることができる。
【0058】
本発明では、必要に応じて接着層を介して疎水性微粒子を非透過性基材層表面に付着させることもできる。これによって、疎水性微粒子をより強固に非透過性基材層に固定させることができる。
【0059】
接着層としては、公知又は市販の接着剤を使用することができる。例えば、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂等の接着剤等を挙げることができる。より具体的には、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテンポリマ−、ポリエチレン又はポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、その他の熱接着性樹脂のほか、これらのブレンド樹脂、これらを構成するモノマーの組合せを含む共重合体、変性樹脂等を用いることができる。
【0060】
また、ポリウレタン、ポリイソシアネート・ポリエーテルポリオール、ポリイソシアネート・ポリアルキレンエーテル、ポリエチレンイミン、アルキルチタネート等のアンカーコート剤も使用することができる。
【0061】
非透過性基材層表面に接着層として熱可塑性樹脂を形成し、この熱可塑性樹脂の表面を軟化することにより、熱可塑性樹脂中に疎水性微粒子の一部又は全部を埋没させることによっても、非透過性基材層に付着することもできる。また、非透過性基材層表面に熱可塑性樹脂を溶融状態で塗布した後、冷却固化するまでに疎水性微粒子を付与すれば非透過性基材層表面に疎水性微粒子をそのまま付着させることもできる。
【0062】
本発明では、いずれの態様においても、接着層(接着剤)の成分として、微量の分散剤、着色剤、沈降防止剤、粘度調整剤等を併用することもできる。
【0063】
(3−3)フッ素を含む有機被膜を有する微粒子
本発明の他の実施形態として、前記疎水性微粒子として、微粒子(以下、便宜上「下地粒子」という。)の表面にフッ素を含む有機被膜(フッ素含有有機被膜)を形成した微粒子を用いることもできる。この場合、撥水層には、撥水性のみならず、撥油性も付与することが可能となる。
【0064】
前記下地粒子としては、前述の「(3−1)撥水層の構成」にて例示したものと同様のものも使用できる。好適な下地粒子としては、粒径がナノレベルの金属酸化物粒子を用いることができ、特に好適なものとしては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウムが挙げられる。酸化ケイ素としては、例えば製品名「AEROSIL 200」(「AEROSIL」は登録商標。以下同じ)、「AEROSIL 130」、「AEROSIL 300」、「AEROSIL 50」、「AEROSIL 200FAD」、「AEROSIL 380」(以上、日本アエロジル(株)製)等が挙げられる。また、酸化チタンとしては、製品名「AEROXIDE TiO
2 T805」(エボニック デグサ社製)等が挙げられる。酸化アルミニウムとしては、例えば製品名「AEROXIDE Alu C 805」(エボニック デグサ社製)等が挙げられる。
【0065】
上記の有機被膜は、フッ素を含むものであれば特に限定されず、例えばa)樹脂骨格の主鎖にフッ素を含む樹脂、b)ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート樹脂のようにフッ素を含む置換基(フッ化アルキル基等)を側鎖として有する樹脂等のフッ素系樹脂が好ましい例として挙げられる。
【0066】
フッ素含有有機被膜を微粒子の表面に形成する場合、下地粒子(特に酸化ケイ素粒子のような金属酸化物粒子)との親和性に優れるがゆえに比較的密着性の高い強固な有機被膜を当該粒子表面上に形成できるととともに、撥水層に高い撥水性・撥油性をも発現させることができる。
【0067】
フッ素含有有機被膜は、公知のもの又は市販品を使用して形成することができる。市販品としては、例えば、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート樹脂であれば、製品名「CHEMINOX FAMAC−6」(ユニマテック(Japan)社製)、製品名「Zonyl TH Fluoromonomer コード421480」(SIGMA−ALDRICH(USA)社製)、製品名「SCFC−65530−66−7」(Maya High Purity Chem(CHINA)社製)、製品名「FC07−04〜10」(Fluory,Inc(USA))、製品名「CBINDEX:58」(Wilshire Chemical Co.,Inc(USA)社製)、製品名「アサヒガードAG−E530」、「アサヒガードAG−E060」(いずれも旭硝子株式会社製)、製品名「TEMAc−N」(Top Fluorochem Co.,LTD(CHINA)社製)、製品名「Zonyl 7950」(SIGMA−RBI (SWITZ)社製)、製品名「6100840〜6100842」(Weibo Chemcal Co.,Ltd(CHINA)社製)、製品名「CB INDEX:75」(ABCR GmbH&CO.KG(GERMANY)社製)等を挙げることができる。
【0068】
これらの中でも、より優れた撥水性及び撥油性を達成できるという点より、例えばa)ポリフルオロオクチルメタクリレート、b)2−N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、c)2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びd)2,2’−エチレンジオキシジエチルジメタクリレートが共重合したコポリマーを上記フッ素含有有機被膜として好適に採用することができる。これらも上記のような市販品を用いることができる。
【0069】
本発明においては、下地粒子にフッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子におけるフッ素含有量(重量%)を、フッ素含有有機被膜を形成する前の微粒子(下地粒子)の表面積(m
2/g)で除した値(A値)が0.025〜0.180であり、特に0.030〜0.175であることが望ましい。さらには、疎水性微粒子における炭素含有量(重量%)を疎水性微粒子の表面積(m
2/g)で除した値(B値)が0.05〜0.400であり、特に0.06〜0.390であることが望ましい。
【0070】
かかる炭素含有量及びフッ素含有量は、被覆の程度を示す指標となるものであり、その数値が大きいほど被覆量が多いことを示す。本発明では、所定の被覆量(炭素含有量及びフッ素含有量、特にフッ素含有量)に設定することによって、下地粒子の表面への良好な密着性と、優れた撥水性及び撥油性とを達成することができる。フッ素含有量(重量%)を疎水性微粒子の表面積(m
2/g)で除した値が0.025を下回ると所望の撥水性及び撥油性が得られなくなるおそれがある。
【0071】
また、炭素含有量(重量%)を微粒子の表面積(m
2/g)で除した値が0.05を下回ると所望の撥水性及び撥油性が得られにくくなることがある。一方、フッ素含有量(重量%)を微粒子の表面積(m
2/g)で除した値が0.180を超えるとフッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子の製造そのものが困難となる。また、炭素含有量(重量%)を微粒子の表面積(m
2/g)で除した値が0.400を超えるとフッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子が製造しにくくなることがある。従って、本発明では、優れた撥水性・撥油性を達成するためにA値を所定の範囲内に設定し、さらにはより優れた撥水性・撥油性を実現するためにはB値も所定の範囲内に設定することが望ましい。
【0072】
なお、本発明におけるフッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子中の炭素含有量の測定は、(検体)を酸素雰囲気中、800℃以上に加熱して表面疎水基が含有する炭素をCO
2に転じ、微量炭素分析装置により(検体)の表面に存在する炭素含有量を算出するという方法に従って実施する。
【0073】
フッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子中のフッ素含有量は、検体を1000℃の環状炉で焼成し、生成するガスを水蒸気蒸留で回収し、その回収液をイオンクロマトグラフにてフッ素イオンとして検出し、定量する。また、表面積(m
2/g)(比表面積)は、Macsorb (マウンテック製)を用いてBET1点法により求めた。吸着ガスは、窒素30体積%・ヘリウム70体積%のガスを用いた。なお、試料の前処理として、100℃で10分間、吸着ガスの流通を行った。その後、試料が入ったセルを液体窒素で冷却し、吸着完了後室温まで昇温し、脱離した窒素量から試料の表面積を求めた。試料の質量で除して比表面積を求めた。
【0074】
フッ素含有有機被膜を形成してなる疎水性微粒子の調製方法は特に限定されず、微粒子の粒子(粉末)に対して被覆材として、例えば、フッ素系樹脂としてポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート樹脂等のようにフッ素含有有機被膜を形成することができる材料を用い、公知のコーティング方法、造粒方法等に従って被覆層を形成すれば良い。例えば、フッ素系樹脂が液状のポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂であれば、溶媒に溶解又は分散させた塗工液を微粒子にコーティングする工程(被覆工程)を含む製造方法によってフッ素含有有機被膜が表面に形成された疎水性微粒子を好適に調製することができる。
【0075】
上記製造方法では、フッ素系樹脂として、ポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート樹脂の場合であれば、常温(25℃)及び常圧下で液状のものを好適に用いることができる。このようなポリフルオロアルキル(メタ)アクリレート樹脂としては、前記で例示した市販品を使用することもできる。
【0076】
塗工液に使用する溶媒は特に制限されず、水のほか、アルコール、トルエン等の有機溶剤を使用することができるが、本発明では水を用いることが好ましい。すなわち、塗工液としてポリフルオロアルキルメタアクリレート樹脂が水に溶解及び/又は分散した塗工液を使用することが好ましい。
【0077】
上記の塗工液中におけるフッ素系樹脂の含有量は特に制限されないが、一般的には10〜80重量%、特に15〜70重量%、さらには20〜60重量%の範囲内に設定することが好ましい。
【0078】
下地粒子表面に塗工液をコーティングする方法は、公知の方法に従えば良く、例えばスプレー法、浸漬法、攪拌造粒法等のいずれも適用することができる。特に、本発明では、均一性等に優れるという点でスプレー法によるコーティングが特に好ましい。
【0079】
塗工液をコーティングした後、熱処理により溶媒を除去することによってフッ素含有有機被膜が形成された疎水性微粒子を得ることができる。熱処理温度は通常150〜250℃程度、特に180〜200℃とすることが好ましい。熱処理の雰囲気は限定的ではないが、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス(非酸化性)雰囲気が望ましい。また、例えば、必要に応じて、さらに被覆工程及び熱処理工程からなる一連の工程を1回以上実施することができる。これにより被覆量の制御等を好適に行うことが可能となる。
【0080】
2.撥水性粘着積層体及び粘着テープの使用
本発明の撥水性粘着積層体は、そのまま又は所望のサイズ・形状に加工して粘着シート又は粘着フィルムとして用いることができる。また、テープ状に加工することにより、撥水性粘着テープとして用いることできる。特に、テープ状に加工(裁断)したうえでロール状に巻き取ることにより、持ち運びが容易になり、使用したい箇所及びサイズに合わせて所望の長さを取り出して切り取ることができ、簡便に使用することが可能となる。
【0081】
本発明の撥水性粘着テープの製造方法は、本発明の撥水性粘着積層体の構成を備えること以外は、公知の粘着テープと同様の製造方法にて製造することができる。例えば、ロール状の撥水性粘着積層体を準備し、粘着層側を内側にしてロール状(コイル状)に巻き、所望の幅で切断してテープ状とすれば良い。なお、本発明の効果を妨げない範囲内において、必要に応じて、粘着層又は撥水層の表面にセパレーター(剥離紙、剥離シート)を積層しても良い。
【0082】
本発明積層体及び撥水性粘着テープ(以下「本発明積層体」と略記する。)は、その用途は限定されず、基本的には公知又は市販の粘着テープと同様にして使用することができる。例えば、防水、防塵、マスキング、接合、補修等が必要な用途で幅広く用いることができる。また、家庭用又は業務用のいずれにも使用することができる。
【0083】
特に、本発明積層体は、その粘着層が特異な粘着性を有しているので、表面層である撥水層が高い撥水性を有するにもかかわらず、自背面(すなわち撥水層)に対する粘着力に優れている。このため、粘着層を介して当該積層体を被着体に貼着するに際し、撥水層の表面の一部に粘着層の一部が重なって直接貼着されるように用いられる場合であっても、撥水層の表面上に粘着層が直接重なるように貼り合わせても十分な密着性を得ることができる。
【0084】
なお、本発明積層体を重なるように貼り合わせる場合、別々に用意された2つの本発明積層体のうち、一方の撥水層に対し、他方の粘着層が重なり合う場合のほか、1つの本発明積層体を被着体に捲回する場合のように1つの本発明積層体の撥水層と粘着層とが重なり合う場合も包含される。
【0085】
ここに、本発明積層体において、撥水層と粘着層とが重なり合う状態を
図2に示す。被着体20に対して本発明積層体をその粘着層13aを介して貼り付けた後、同じ積層体又は別に用意した積層体を貼り付ける工程において、重なり領域Aができる。すなわち、撥水層12a上の一部に粘着層13bが直接重なるように貼着される一方、残りの粘着層13b(重なり領域A以外の粘着層13b)は被着体20に粘着することとなる。この場合、重なり領域Aでは、撥水層12aと粘着層13bとが直接接触しているが、その領域においても十分な粘着性(密着性)を得ることができる。
【0086】
より具体的には、JIS Z0237の粘着力試験における24時間経過後の粘着力が6N/25mm以上(特に7N/25mm以上、さらには7〜15N/25mm)という高い粘着性を設定することが可能となる。6N/25mm未満では配管等に巻き付けて使用するような重ね合わせた状態での粘着力が弱いため、粘着テープとして使用したときの端部が剥がれやすくなる。上限値は、原則として限定されないが、高すぎる場合は本発明積層体を引き剥がす際に大きな力が必要となり、うまく剥がすことができなくなるおそれがある。
【0087】
また、JIS Z0237の粘着力試験における20分経過後の粘着力は、通常2.7N/25mm以上であり、15N/25mm以下であることが好ましい。2.7N/25mm未満では配管等に巻き付けて使用するような重ね合わせた状態での粘着力が弱いため、粘着テープとして使用したときの端部が剥がれやすくなる。上限値は特に限定的ではないが、高すぎると位置合わせ等で粘着テープを貼り直ししたい場合、引き剥がすのに大きな力が必要となり、うまく剥がすことができなくなるおそれがある。
【0088】
このような特徴を有する本発明の撥水性粘着積層体及び粘着テープは、例えば防水処理を主目的とした用途に好適に使用することができる。例えば、補修用又は台所用の粘着テープとして使用する場合、配管どうしの継ぎ目、キッチンの流し台の水廻りの隙間等を塞ぐために用いたり、屋外用の雨どい、エアコン室外機のホースのひび割れ等の補修にも好適に用いることができる。本発明による防水処理によって、同時に防塵、防汚、防油、シーリング等の少なくとも1つの効果を達成することも可能である。
【実施例】
【0089】
以下に実施例及び比較例を示し、本発明の特徴をより具体的に説明する。ただし、本発明の範囲は、実施例に限定されない。
【0090】
実施例1
(1)撥水性粘着積層体の作製
非透過性基材層として、市販のアルミニウム箔(厚さ50μm、軟質箔)を準備した。このアルミニウム箔の一方の面(消し面)に撥水層を形成した。アルミニウム箔の一方の面(消し面)に熱可塑性樹脂溶液(主成分:ポリエステル系樹脂160重量部+アクリル系樹脂10重量部+溶剤(トルエン+MEKの混合溶剤)40重量部)を乾燥後重量約3g/m
2となるように塗布乾燥(乾燥条件は150℃、10秒)して熱可塑性樹脂層を形成した。
次いで、疎水性微粒子として製品名「AEROSIL R812S」(エボニックデグサ社製、BET比表面積:220m
2/g、一次粒子平均径:7nm)5gをエタノール100mLに分散させてコート液を調製した。このコート液を前記熱可塑性樹脂層の表面に乾燥後重量で0.11〜0.4g/m
2になるようにバーコート方式で付与した後、100℃で10秒程度かけて乾燥させてエタノールを蒸発させた。これによりアルミニウム箔の一方の面に撥水層を形成した。
アルミニウム箔の他方の面に、乾燥後厚さ40μmの粘着層を形成した。片面がシリコーン樹脂で表面処理された離型紙を準備し、この離型紙のシリコーン樹脂が形成された表面に、製品名「サイビノールAT−D50N(サイデン化学社製、アクリル・酢酸ビニル共重合体50重量%、アクリル酸n−ブチル0.3重量%、酢酸ビニル1.4重量%を含む溶剤型粘着剤)」と硬化剤として製品名「サイビノール硬化剤AL(サイデン化学社製、変性ポリイソシアネート44.7重量%、トリレンジイソシアネート0.3重量%含む変性ポリイソシアネート溶液」を100:1.33の重量割合で配合し、適宜溶剤と混合した粘着剤溶液を乾燥後の層厚みが40μmとなるようにコーター機で塗工した。その後、粘着剤溶液が塗工された離型紙を乾燥炉に入れて、100℃、1分間の条件にて溶剤を蒸発させ、離型紙の片面に粘着層を形成した。なお、粘着層のゲル分率は約30%であった。その後、アルミニウム箔の撥水層を形成した面とは反対側の面に離型紙の粘着層が形成された面を貼り付けた。以上のようにして、本発明の撥水性粘着積層体を得た。
(2)撥水性粘着テープの作製
上記(1)で得られた撥水性粘着積層体を幅5.0cmとなるように切断して、本発明の撥水性粘着テープを得た。
【0091】
比較例1
市販されている製品名「キッチンテープ50mm」(東洋アルミエコープロダクツ社製、商品コード2401)を比較例として使用した。なお、本製品は、撥水層が形成されておらず、粘着層は乾燥後の厚みが25μmであり、当該粘着層は実施例の粘着層と異なる粘着剤が使用されている。
【0092】
試験例1
実施例及び比較例で作製された各粘着テープについて、以下の各特性の評価をそれぞれ行った。その結果を表1に示す。
【0093】
(1)粘着力試験
(1−1)ステンレス鋼試験板を用いた試験
JIS Z0237に準ずる粘着力試験(方法1:テープ及びシートをステンレス鋼試験板に対して180°に引きはがす試験方法)を行った。具体的には以下のようにして行った。
実施例及び比較例で得られた粘着テープを25mm幅×125mm長に切断して試験片を準備後、試験片をステンレス鋼板(SUS304)に貼り付けた。そして、貼り付けた試験片の上を2kgのローラーで3往復させて圧着した。その後、20分間放置した後に粘着力試験を行った。
粘着力試験は、試験片を貼り付けた状態のステンレス鋼板を引き剥がし試験機に取り付けて、ステンレス鋼板に対して180°の方向に300mm/minの引張速度で試験片を引き剥がし、引きはがすのに要した最大荷重を測定した。なお、ここで記載しない詳細な条件はJIS Z0237に従うものとする。
【0094】
(1−2)重ね合わせによる試験
JIS Z0237に準ずる粘着力試験(方法1:テープ及びシートをステンレス試験板に対して180°に引きはがす試験方法)を行った。ただし、試験を行うにあたっては、ステンレス試験板の表面に試験片以上の長さに切断した実施例1で得られた粘着テープを貼り付けたうえで、当該粘着テープの撥水層表面上に各試験片を貼り付けるとともに、ローラーによる圧着後の放置時間を20分間及び24時間の2条件で粘着力試験を行った。その他の試験条件は、前記(1−1)の粘着力試験と同様にして行った。
【0095】
(2)ボールタック
JIS Z0237における傾斜式ボールタック(傾斜角30°)を行った。実施例及び比較例で得られた粘着テープの粘着層表面にスチールボール(高炭素クロム軸受鉄鋼材SUJ2)を転がし、静止したスチールボールのボールナンバーのうち、最大のボールナンバーをもって測定結果とした。なお、ここで記載しない詳細な条件はJIS Z0237に従うものとする。
【0096】
(3)撥水性(純水との接触角)
実施例及び比較例で得られた粘着テープの粘着層とは反対側の表面について純水との接触角(25℃)を測定した。具体的には各粘着テープの粘着層とは反対側の表面を試験面とし、接触角測定装置(固液界面解析装置「Drop Master300」協和界面科学株式会社製)を用いて純水(約2〜4μl)の接触角を測定した。測定結果は、N数を5回とし、その接触角の平均値とした。
【0097】
(4)糊残り試験
実施例1及び比較例1の各粘着テープを幅5cm×長さ12.5cmの大きさに切断したサンプルを準備した後、ステンレス鋼板に各サンプルを貼り付けた。次いで、各サンプルが貼り付けられたステンレス鋼板を40℃、湿度70%に設定した恒温恒湿槽に1ヶ月保管した後、各サンプルをステンレス鋼板から引き剥がし、ステンレス鋼板上に粘着層が残っているか否かを目視にて確認した。糊残りが全く認められない場合を「○」とし、僅かな糊残りがある場合を「△」とし、糊残りが目立つ場合を「×」と表記した。
なお、本試験においては、ステンレス鋼板はSUS304を用い、貼り付けた試験片の上を2kgのローラーで3往復させて圧着した。また、各サンプルのステンレス鋼板からの引き剥がしは、前述の粘着力試験の場合と同様にして行った。
【0098】
(5)配管巻付試験
まず、三菱樹脂株式会社製の塩化ビニル製カラー竪樋(品名:JIS管VP、直径:50mm)を20cm以上の長さとなるように切断し、被着体としての竪樋を準備した。次に、実施例1及び比較例1の各粘着テープを幅5cm×長さ2mの大きさに切断したサンプルを準備し、竪樋の一方端から他端に向かって螺旋状に巻き付けながら貼り付けた。なお、貼り付けるにあたっては、下側になる粘着テープと上側になる粘着テープとを2,5cmずらして重ねるようにして貼り付けし(すなわち、下側の粘着テープと上側の粘着テープとが2.5cm分重なるような状態で貼り付けし)、少なくとも竪樋の20cmが粘着テープで貼り付けられた状態となるようにした。このようにして実施例1及び比較例1の粘着テープが貼り付けられた竪樋を、巻き付け初め部分を下にして屋外に設置し、6ヶ月間放置した。6ヶ月放置後の下側の粘着テープの撥水層と上側の粘着テープの粘着層との重なる領域の貼付け状態を目視で確認した。重なる領域において粘着テープの剥がれ、捲れ、浮き等が全く認められない場合を「○」とし、剥がれ、捲れ、浮き等が僅かに認められる場合を「△」とし、剥がれ、捲れ、浮き等が目立つ場合を「×」と表記した。
【0099】
【表1】
【0100】
表1の結果からも明らかなように、特定の粘着性(すなわち、粘着力19.5N/mm及びボールタック6)を有する実施例1は、接触角160度以上という高度な撥水性が得られる一方、重ね合わせ粘着力が比較例1よりも高くなっていることがわかる。しかも、実施例1においては、重ね合わせ粘着力が比較例1よりも高いにもかかわらず、糊残りも効果的に抑制されていることがわかる。
以上のことから、本発明によれば、表面(露出面)が極めて高い撥水性を有しつつも、効果的に重ね貼りを行うことができるとともに被着体への糊残りを抑制ないしは防止できる粘着積層体及び粘着テープを提供できることがわかる。