(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572052
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】電子部品チップの分別方法および分別装置
(51)【国際特許分類】
B07B 13/11 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
B07B13/11 E
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-156329(P2015-156329)
(22)【出願日】2015年8月6日
(65)【公開番号】特開2017-35641(P2017-35641A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年8月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000105350
【氏名又は名称】KOA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大島 篤
【審査官】
宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−021758(JP,A)
【文献】
特開2010−207883(JP,A)
【文献】
特開昭63−042781(JP,A)
【文献】
特開2005−021792(JP,A)
【文献】
特開平09−038521(JP,A)
【文献】
特開平04−267979(JP,A)
【文献】
特開昭62−038282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
角形のチップ本体の端面に設けられた端面電極の表面に外部メッキ層が形成された第1のチップ部品と、前記端面電極の表面に外部メッキ層が形成されていない第2のチップ部品とに分別するための分別方法であって、
表面が粗面化処理された平坦な分別台を傾斜状態に配設し、この分別台上に前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を搭載した状態で該分別台に振動を付与することにより、前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を上下逆向きに移送させるようにしたことを特徴とする電子部品チップの分別方法。
【請求項2】
角形のチップ本体の端面に設けられた端面電極の表面に外部メッキ層が形成された第1のチップ部品と、前記端面電極の表面に外部メッキ層が形成されていない第2のチップ部品とに分別するための分別装置であって、
表面が粗面化処理されて傾斜状態に配設された平坦な分別台と、この分別台に振動を付与する加振装置と、前記分別台の表面中央部に前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を供給するホッパとを備え、前記分別台の表面下端側に表面粗さを滑らかにした非粗面部が形成されていることを特徴とする電子部品チップの分別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チップ抵抗器やチップコンデンサ等の電子部品チップを良品と不良品に選別する電子部品チップの分別方法と、そのような電子部品チップの分別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品チップの一例であるチップ抵抗器は、直方体形状の絶縁基板と、絶縁基板の表面に所定間隔を存して対向配置された一対の表電極と、これら表電極どうしを橋絡する抵抗体と、抵抗体を覆う保護層と、絶縁基板の裏面に所定間隔を存して対向配置された一対の裏電極と、表電極と裏電極を橋絡するように絶縁基板の両端面に設けられた一対の端面電極と、これら端面電極の外表面にメッキ処理を施して形成された一対の外部電極等によって主に構成されている。
【0003】
この種のチップ抵抗器は、回路基板に設けられたランド上に裏面電極を搭載して半田接合することで面実装されることが多いため、通常、ランドに半田接合される外部電極は、半田との濡れ性が良好な外層側のSnメッキ層と、半田食われを防止するバリヤー層として機能する内層側のNiメッキ層との2層構造となっている。これらNiメッキ層やSnメッキ層はバレル法と呼ばれる電解メッキを用いて形成され、バレルに入れられた多数の製品に対し一括してメッキ処理が行われるようになっている。
【0004】
しかしながら、こういった電解メッキをバレルに入れられた多数の製品に施すときに、必ずしも全ての製品に良好な外部電極を形成できるとは限らず、例えば、メッキバレルの隙間への挟まりや製品の浮き上がり等の要因により、メッキ不良の製品が混在してしまうことがある。したがって、メッキ不良のチップ抵抗器が回路基板に実装されないようにするために、メッキ処理後の全ての製品に対して良品と不良品の選別を行う必要がある。
【0005】
そこで従来より、特許文献1に記載されているように、磁性体であるNiメッキ層の磁力を利用して、良品と不良品を分別するようにした分別装置が提案されている。かかる従来の分別装置は、複数個のマグネットを周面に沿って配置したマグネットドラムと、このマグネットドラムとテンションローラ間に巻回されたベルトと、このベルトの下方を循環するコンベアとを備えており、コンベアの移送面に搭載されたチップ部品がマグネットドラムの下方を通過するとき、磁性体からなるNiメッキ層が形成された良品のみをマグネットドラムに吸着させてコンベアから取出し、Niメッキ層が全く形成されていなかったり不十分な厚みの不良品はそのままコンベアに搭載して別経路で搬送するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−38521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載された従来技術は、磁性体であるNiメッキ層の磁力を利用して良品と不良品を分別するという方法であるため、Niメッキ層とSnメッキ層からなる外部電極を有する電子部品チップに適用する場合、磁性体でないSnメッキ層が適正に形成されているか否かを選別することはできない。すなわち、内層側のNiメッキ層が適正に形成されていれば、外層側のSnメッキ層の有無にかかわらず良品として判定されてしまうため、Snメッキ層が形成されていない不良品を良品として誤選別してしまうことになる。なお、外層側のメッキ層としてSnの代わりに磁性体を用いた場合も、この磁性体のメッキ層による磁力か内層側のNiメッキ層による磁力か区別できないため、やはり良品と不良品を正確に選別することが困難となる。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、外部メッキ層が適正に形成されているか否かの選別を確実に行うことができる電子部品チップの分別方法を提供することにあり、第2の目的は、そのような電子部品チップの分別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記第1の目的を達成するために、本発明による電子部品チップの分別方法は、角形のチップ本体の端面に設けられた端面電極の表面に外部メッキ層が形成された第1のチップ部品と、前記端面電極の表面に外部メッキ層が形成されていない第2のチップ部品とに分別するための分別方法であって、表面が粗面化処理された平坦な分別台を傾斜状態に配設し、この分別台上に前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を搭載した状態で該分別台に振動を付与することにより、前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を上下逆向きに移送させるようにした。
【0010】
このように表面が粗面化処理された平坦な分別台を傾斜状態に配設し、この分別台上に第1のチップ部品と第2のチップ部品を搭載した状態で分別台に振動を付与すると、外部メッキ層を有する第1のチップ部品と外部メッキが形成されていない第2のチップ部品の表面状態の違いに応じて、これら第1のチップ部品と第2のチップ部品が分別台の表面を上下逆向きに移動するため、良品である第1のチップ部品と不良品である第2のチップ部品とを確実に分別することができる。
【0011】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明による電子部品チップの分別装置は、角形のチップ本体の端面に設けられた端面電極の表面に外部メッキ層が形成された第1のチップ部品と、前記端面電極の表面に外部メッキ層が形成されていない第2のチップ部品とに分別するための分別装置であって、表面が粗面化処理されて傾斜状態に配設された平坦な分別台と、この分別台に振動を付与する加振装置と、前記分別台の表面中央部に前記第1のチップ部品と前記第2のチップ部品を供給するホッパとを備え、前記分別台の表面下端側に表面粗さを滑らかにした非粗面部が形成されている
【0012】
このように構成された電子部品チップの分別装置では、表面が粗面化処理された分別台を斜めに設置すると共に、この分別台に振動が付与されるようになっているため、ホッパから分別台の中央付近に第1のチップ部品と第2のチップ部品を供給すると、両者の外部メッキ層の有無による表面状態の違いに応じて、第1のチップ部品と第2のチップ部品は分別台の表面を上下逆向きに移動し、良品である第1のチップ部品と不良品である第2のチップ部品とを確実に分別することができる。その際、分別台の下端側に表面粗さを滑らかにした非粗面部が形成されているため、分別台上を下降する一方のチップ部品は下端部に滞留することなく落下することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る電子部品チップの分別方法によれば、外部メッキ層が適正に形成されているか否かの選別を確実に行うことができる。また、本発明に係る電子部品チップの分別装置によれば、外部メッキ層が適正に形成されているか否かの選別を確実に行うことができると共に、選別後の部品を確実に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態例に係る分別装置の斜視図である。
【
図3】分別対象である良品と不良品のチップ抵抗器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、本発明の実施形態例に係る分別装置は、電子部品チップの一例であるチップ抵抗器の製造過程において適用されるものであり、具体的には、チップ抵抗器の外部電極をメッキ処理するときに発生するメッキ不良品を取り除き、良品のチップ抵抗器だけを選別するために用いられるものである。
【0016】
図1と
図2に示すように、この分別装置は、分別対象となるチップ抵抗器が搭載される平坦な分別台1と、分別台1に振動を付与する加振装置2と、分別台1の上方に配置されたホッパ3と、分別台1の上端位置に連設された移送ベルト4と、分別台1の下端位置に配置された回収箱5とを備えており、分別台1は10°〜12°の傾斜角度に設置されている。
【0017】
分別台1の表面の大部分は粗面部1aとなっており、この粗面部1aは例えば♯60(粒度)にてブラスト処理された表面粗さの粗い面である。また、分別台1の下端側は粗面部1aに比べて面粗度の小さい非粗面部1bとなっており、この非粗面部1bはブラスト処理されずに表面粗さが滑らかになっている面である。この分別台1には、下方に配置された加振装置2から45kHz〜50kHzの振動が付与されるようになっている。
【0018】
ホッパ3には分別対象となる第1および第2のチップ抵抗器10A,10Bが混在した状態で収納され、これらチップ抵抗器10A,10Bはホッパ3の排出口3aから分別台1の中央付近に向けて順次供給されるようになっている。
【0019】
分別対象となる製品について説明すると、
図3(a)は第1のチップ抵抗器10Aの断面図、
図3(b)は第2のチップ抵抗器10Bの断面図であり、これら第1のチップ抵抗器10Aと第2のチップ抵抗器10Bの相違点は外部メッキ層が適正に形成されているか否かである。
【0020】
すなわち、
図3(a)に示すように、第1のチップ抵抗器10Aは、直方体形状の絶縁基板11と、絶縁基板11の表面における長手方向両端部に設けられた一対の表電極12と、これら表電極12に接続するように設けられた長方形状の抵抗体13と、両表電極12の一部分と抵抗体13の全面を被覆する絶縁性の保護層14と、絶縁基板11の長手方向両端部に設けられた一対の端面電極15と、これら端面電極15の表面に被着された一対の外部電極16とによって構成されている。外部電極16はバリヤー層と外部接続層の2層構造からなり、そのうちバリヤー層は電解メッキによって形成されたNiメッキ層16aであり、外部接続層は電解メッキによって形成されたSnメッキ層16bである。一方、
図3(b)に示すように、第2のチップ抵抗器10Bにはメッキ不良によってSnメッキ層16bが形成されておらず、最外層にNiメッキ層16aが露出した状態となっている。つまり、第1のチップ抵抗器10Aは適正な外部メッキ層を有する良品であるのに対し、第2のチップ抵抗器10BはSnメッキ層16bが形成されていない不良品である。
【0021】
前述したように、本実施形態例に係る分別装置は、外部電極のメッキ処理後のチップ抵抗器を良品と不良品に分別するために用いられるものであり、
図3に示すような第1のチップ抵抗器10Aと第2のチップ抵抗器10Bがホッパ3に混在した状態で収納される。なお、外部電極16のメッキ処理で内層側のNiメッキ層16aが形成されないことがあるため、第1および第2のチップ抵抗器10A,10Bをホッパ3に収納する前工程で、磁性体であるNiメッキ層16aの磁力を利用して、Niメッキ層16aのない不良品は取り除かれている。すなわち、ホッパ3には、Niメッキ層16aとSnメッキ層16bが適正に形成された良品の第1のチップ抵抗器10Aと、Niメッキ層16aのみが形成されてSnメッキ層16bを有しない不良品の第2のチップ抵抗器10Bが収納される。
【0022】
これらチップ抵抗器10A,10Bはホッパ3の排出口3aから分別台1の中央付近に向けて順次供給されるが、斜めに設置された分別台1の表面は粗面化処理された粗面部1aとなっており、かつ、分別台1には加振装置2から振動が付与されているため、粗面部1aに接触する外部電極の表面状態の違いに応じて、第1のチップ抵抗器10Aと第2のチップ抵抗器10Bは分別台1の粗面部1a上を上下逆向きに移動することになる。
【0023】
すなわち、第1のチップ抵抗器10Aの外部電極に露出するSnメッキ層16bと第2のチップ抵抗器10Bの外部電極に露出するNiメッキ層16aの表面状態を比較した場合、Snメッキ層16bの方が粗くて柔らかであるため、第1のチップ抵抗器10Aは分別台1の上方(
図2の矢印A方向)に向かって進行した後、分別台1の上端から移送ベルト4へと移送される。これに対しNiメッキ層16aの表面状態は滑らかで硬いため、第2のチップ抵抗器10Bは分別台1の下方(
図2の矢印B方向)に向かってへ進行した後、分別台1の下端から落下して回収箱5に収納される。その際、分別台1の下端側は粗面部1aに比べて面粗度の小さい非粗面部1bとなっているため、分別台1の粗面部1a上を下降する第2のチップ抵抗器10Bが非粗面部1bで滞留してしまうことを防止でき、第2のチップ抵抗器10Bを不良品としてスムーズに回収することができる。
【0024】
以上説明したように、本実施形態例に係るチップ抵抗器の分別方法では、表面が粗面化処理された平坦な分別台1を傾斜状態に配設し、この分別台1に振動を付与した状態でチップ抵抗器を搭載すると、最外層にSnメッキ層16bが形成された第1のチップ部品10AとSnメッキ層16bが形成されずにNiメッキ層16aを露出させた第2のチップ部品10Bとの表面状態の違いに応じて、これら第1のチップ部品10Aと第2のチップ部品10Bが分別台1の表面を上下逆向きに移動するため、良品である第1のチップ部品10Aと不良品である第2のチップ部品10Bとを確実に分別することができる。
【0025】
また、本実施形態例に係るチップ抵抗器の分別装置では、表面が粗面化処理された分別台1を斜めに設置すると共に、この分別台1に加振装置2から振動を付与するようになっており、ホッパ3から分別台1の中央付近に第1のチップ部品10Aと第2のチップ部品10Bを供給すると、両者の外部メッキ層(Snメッキ層16b)の有無による表面状態の違いに応じて、第1のチップ部品10Aと第2のチップ部品10Bが分別台1の表面を上下逆向きに移動するため、良品である第1のチップ部品10Aと不良品である第2のチップ部品10Bとを確実に分別することができる。しかも、分別台1の下端側に表面粗さを滑らかにした非粗面部1bが形成されているため、分別台1の粗面部1a上を下降する第2のチップ抵抗器10Bが非粗面部1bで滞留してしまうことを防止でき、第2のチップ抵抗器10Bを不良品としてスムーズに回収することができる。
【0026】
なお、上記実施形態例では、外部電極16の最外層にSnメッキ層16bが形成されたチップ抵抗器を分別対象としていて説明したが、Snメッキ層の代わりにAuメッキ層やCuメッキ層を形成したチップ抵抗器についても適用可能であり、その場合も、AuやCu等からなる外層側のメッキ層とNiやCrなどからなる内層側のメッキ層との表面状態の違いに応じて、第1のチップ部品と第2のチップ部品を分別台1上で上下逆向きに進行させることができる。
【0027】
また、上記実施形態例では、分別対象の製品としてチップ抵抗器を例示して説明したが、本発明に係る分別方法および分別装置は、チップコンデンサ等の他の電子部品チップにも適用可能である。
【符号の説明】
【0028】
1 分別台
1a 粗面部
1b 非粗面部
2 加振装置
3 ホッパ
4 移送ベルト
5 回収箱
10A 第1のチップ抵抗器
10B 第2のチップ抵抗器
11 絶縁基板
12 表電極
13 抵抗体
14 保護層
15 端面電極
16 外部電極
16a Niメッキ層
16b Snメッキ層