特許第6572058号(P6572058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572058
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】電動機の固定子
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/38 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
   H02K3/38 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-161918(P2015-161918)
(22)【出願日】2015年8月19日
(65)【公開番号】特開2017-41964(P2017-41964A)
(43)【公開日】2017年2月23日
【審査請求日】2018年2月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000149066
【氏名又は名称】オークマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 重哉
(72)【発明者】
【氏名】志津 達哉
(72)【発明者】
【氏名】川井 庸市
【審査官】 小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭50−067403(JP,A)
【文献】 特開平02−246304(JP,A)
【文献】 特開2013−046516(JP,A)
【文献】 実開昭54−124904(JP,U)
【文献】 実開平05−048555(JP,U)
【文献】 実開昭54−168502(JP,U)
【文献】 実開昭54−52622(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の電磁鋼板を積層した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内周面に設けられた複数のティースによって形成された複数のスロットと、前記スロットに巻回された巻線と、前記巻線の前記固定子鉄心の軸方向端に形成されたコイルエンドと、前記コイルエンドを覆うモールドとを備えた電動機の固定子であって、
前記モールドにおける、前記固定子鉄心の軸方向端のティース角部近傍の前記コイルエンドの内周面に対応する部分に、前記モールドを補強する帯状の補強材を少なくとも一周分配置しており、
前記補強材は、ガラスクロス織布又は炭素繊維織布である、
とを特徴とする電動機の固定子。
【請求項2】
前記スロットの開口部に挿入され、前記固定子鉄心の軸方向端面から突出する突出部を有する絶縁板を備え、
前記絶縁板の固定子径方向内側面に、前記補強材を接着固定したことを特徴とする請求項に記載の電動機の固定子。
【請求項3】
前記補強材は、前記固定子鉄心の軸方向両端にそれぞれ配置された一対の帯状部と、一対の帯状部を複数個所で互いに連結して、前記複数のスロットに挿入される複数の連結部とが一体形成された梯子形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の電動機の固定子。
【請求項4】
前記スロットの開口部に挿入され、前記固定子鉄心の軸方向端面から突出する突出部を有する絶縁板を備え、
前記絶縁板の固定子径方向外側面と前記コイルエンドの内周面との間に、前記補強材を挟んで固定したことを特徴とする請求項に記載の電動機の固定子。
【請求項5】
前記絶縁板は、前記固定子鉄心の軸方向に少なくとも2分割されていることを特徴とする請求項に記載の電動機の固定子。
【請求項6】
前記絶縁板の前記突出部は、所定の前記絶縁板に設けられていることを特徴とする請求項又は請求項に記載の電動機の固定子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルエンドにモールド注型された電動機の固定子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電動機の固定子について、図10〜12に示す。図10は従来の電動機の固定子の斜視図、図11図10に示す固定子のコア端面の径方向断面図である。図12は、図10に示す固定子の内側から見た内面図で、内部の構造は破線で示す。従来の電動機の固定子は、円環状の電磁鋼板を積層した固定子鉄心1と、固定子鉄心1の内側に設けた複数のティース2によって形成されたスロット6と、スロット6に巻回した巻線4と、巻線4のスロット6からの飛び出し防止のためスロット開口部7に挿入された絶縁板5と、巻線4のコイルエンド9に注型されたモールド3とを備えている。
【0003】
巻線4に交流電流を流すと、固定子に回転磁界が発生し、固定子内側部に所定のギャップを設けて配置した図示しない回転子の磁極と磁気的に作用して回転子が回転する。
【0004】
一方、巻線4に電流が流れ、電気抵抗により巻線温度が上昇し、巻線4の許容温度を越えると電動機が使用できなくなる。そこで、巻線温度の上昇をできるだけ抑えるために、最も温度が高くなるコイルエンド9を熱伝導の良いモールド3で注型することで、固定子の外周に嵌装した図示しない水冷ジャケット等に熱を伝え、冷却するようにしていた。このようにコイルエンドを樹脂等によりモールドした電動機の固定子を特許文献1(段落0005等参照)に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−149053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の電動機の固定子において、巻線に電流が流れると、電流の入切により巻線温度が上昇と下降を繰り返す。すると、固定子鉄心とモールドの線膨張係数の差に起因して発生する熱応力がモールドに加わりクラックが発生するという問題がある。特にクラックが発生し易い場所は、応力が集中するモールドの内側のティース角部であり、ここを起点にしてクラックが発生し、軸方向に伸展する。本発明は、モールドのクラックを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電動機の固定子は、円環状の電磁鋼板を積層した固定子鉄心と、前記固定子鉄心の内周面に設けられた複数のティースによって形成された複数のスロットと、前記スロットに巻回された巻線と、前記巻線の前記固定子鉄心の軸方向端に形成されたコイルエンドと、前記コイルエンドを覆うモールドとを備えた電動機の固定子であって、前記モールドにおける、前記固定子鉄心の軸方向端のティース角部近傍の前記コイルエンドの内周面に対応する部分に、前記モールドを補強する帯状の補強材を少なくとも一周分配置しており、前記補強材は、ガラスクロス織布又は炭素繊維織布である、ことを特徴とする。
【0008】
また、前記スロットの開口部に挿入され、前記固定子鉄心の軸方向端面から突出する突出部を有する絶縁板を備え、前記絶縁板の固定子径方向内側面に、前記補強材を接着固定したことを特徴とする。
【0009】
また、前記補強材は、前記固定子鉄心の軸方向両端にそれぞれ配置された一対の帯状部と、一対の帯状部を複数個所で互いに連結して、前記複数のスロットに挿入される複数の連結部とが一体形成された梯子形状であることを特徴とする。
【0010】
また、前記スロットの開口部に挿入され、前記固定子鉄心の軸方向端面から突出する突出部を有する絶縁板を備え、前記絶縁板の固定子径方向外側面と前記コイルエンドの内周面との間に、前記補強材を挟んで固定したことを特徴とする。
【0011】
また、前記絶縁板は、前記固定子鉄心の軸方向に少なくとも2分割されていることを特徴とする。さらに、前記絶縁板の前記突出部は、所定の前記絶縁板に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電動機の固定子によれば、帯状の補強材を、ティース角部近傍のコイルエンド内周面に一周分配置固定する。帯状の補強材によりティース角部近傍のモールドが補強されるのでクラックの発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。
図2】本発明の第1実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。
図3】本発明の第2実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。
図4】本発明の第2実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。
図5】本発明の第3実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。
図6】本発明の第3実施例で使用する補強材の形状の一部を示す図である。
図7】本発明の第3実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。
図8】本発明の第4実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。
図9】本発明の第4実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。
図10】従来の電動機の固定子の斜視図である。
図11】従来の電動機の固定子のコア端面の径方向断面図である。
図12】従来の電動機の固定子の内側から見た内面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施例について説明する。図1は、第1実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図でモールド3の内部を破線で示す。図2は、第1実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。
【0015】
図1、2において、1は固定子鉄心、2はティース、3はモールド、4は巻線、5は絶縁板、6はスロット、7はスロット開口部、8はティース角部、9は巻線4のコイルエンド、10は帯状補強材、11は絶縁紙である。
【0016】
本実施例の電動機の固定子は、円環状の電磁鋼板を積層した固定子鉄心1と、固定子鉄心1の内側に設けた複数のティース2と、ティース2によって形成されたスロット6と、スロット6に巻回した巻線4と、スロット開口部7に挿入された絶縁板5と、巻線4のコイルエンド9に注型されたモールド3で構成されている。すなわち、図10に示す従来の電動機の固定子と同じ構成である。本実施例では、上記構成に加え、帯状の補強材10が、固定子鉄心1の軸方向端面A、Bのティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に少なくとも1周分配置されて固定されている。なお、帯状の補強材10をコイルエンド内周面に一周分固定してもクラックの発生を防止できない場合には、帯状の補強材10を複数周分固定すると良い。これにより、一周分固定する場合に比べて、モールド3の補強効果が高くなり、クラックを防止することができる。
【0017】
帯状の補強材10は、コイルエンド9の内周面に接着する方法と、モールド注型時に、固定子の内側にモールド3が漏れないように挿入する軸状の治具に巻きつけた状態でモールド注型し、固定する方法とのいずれかによって、モールド3における、固定子鉄心1の軸方向端のティース角部8の近傍のコイルエンド9の内周面に対応する部分に固定されている。
【0018】
帯状の補強材10の材質としては、モールド3を補強するために、モールド3と一体に成型できることが望ましいため、ガラスクロス、炭素繊維等のモールド3が通過可能な材質が使用される。
【0019】
本実施例によれば、帯状の補強材10をクラックの発生し易いティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に配置しモールド3と一体に成型している。このため、巻線4への電流の入切により巻線温度が上昇と下降を繰り返して、固定子鉄心1とモールド3の線膨張係数の差に起因して発生する熱応力がモールド3に加わっても、帯状の補強材10により、ティース角部8の近傍のモールド3が補強されるので、ティース角部8の近傍からのクラックの発生を防止することができる。
【0020】
また、帯状の補強材10を帯状にした理由は、コイルエンド9のモールド3は円環状をしており、温度が変化すると円環状のモールド3が伸びたり縮んだりするため、部分的に補強材を入れても、補強材が入っていない部分の強度が不足しクラックが発生するためである。
【0021】
なお、本実施例では、スロット開口部7に絶縁板5を挿入しているが、オープニング部が狭い場合には、絶縁紙を用いても良い。さらに、図1に示すように、コイルエンド9に帯状の補強材10を直接被せて糸で固定する等の他の補強方法を併用しても良い。
【0022】
次に本発明の第2実施例について説明する。図3は、第2実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。図4は、第2実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。図3、4において、図1、2と同じ構成については、同符号を付してその説明を省略し、相違する構成のみ説明する。
【0023】
本実施例では、図3に示すように、スロット開口部7に挿入された絶縁板12は、固定子鉄心1の端面より突出する突出部12aを有している。帯状の補強材10を、固定子鉄心1の軸方向端面A、Bのティース角部8の近傍のモールド内周面に位置する絶縁板12の突出部12aの固定子鉄心1の径方向内側面に、少なくとも1周分配置し固定する。
【0024】
帯状の補強材10は、絶縁板12の突出部12aの固定子鉄心1の径方向内側面に接着する方法と、モールド注型時に、固定子の内面側にモールド3が漏れないように挿入する軸状の治具と絶縁板12の間に、帯状の補強材10を挿入し、モールド成型時に一緒に固定する方法とのいずれかによって、モールド3における、固定子鉄心1の軸方向端のティース角部8の近傍のコイルエンド9の内周面に対応する部分に固定されている。
【0025】
本実施例によれば、帯状の補強材10を、クラックの発生し易いティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に配置してモールド3と一体に成型している。このため、帯状の補強材10により、ティース角部8の近傍のモールド3が補強されるので、ティース角部8の近傍からのクラックの発生を防止することができる。
【0026】
さらに、本実施例によれば、帯状の補強材10は、固定子鉄心1の端面より突出した絶縁板12により外周側に広がらないように規制されるので、ティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に確実に配置することができる。
【0027】
次に、本発明の第3実施例について説明する。図5は、第3実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。図6は、第3実施例で使用する補強材の形状の一部を示している。図7は、第3実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。図5〜7において、図1、2と同じ構成については、同符号を付してその説明を省略し、相違する構成のみ説明する。
【0028】
本実施例では、上記構成に加え、梯子状の補強材13を用いる。梯子状の補強材13は、第1実施例や第2実施例で固定子鉄心1の軸方向端面A、Bのコイルエンド内周面に使用した帯状の補強材10が、スロット開口部7に挿入した長方形の補強材と一体に形成されたものであり、固定子内周面に少なくとも1周分配置し固定する。
【0029】
図5、6に示すように、梯子状の補強材13は、固定子鉄心1の軸方向両端にそれぞれ配置された一対の帯状部13aと、一対の帯状部13aを複数個所で互いに連結して、複数のスロット開口部7に挿入される複数の連結部13bとが一体形成された梯子形状である。
【0030】
梯子状の補強材13の材質としては、帯状の補強材10と同様に、モールド3を補強するために、モールド3と一体に成型できることが望ましいため、ガラスクロス、炭素繊維等のモールド3が通過可能な材質が使用される。
【0031】
梯子状の補強材13の固定方法については、絶縁板14の表面に接着する方法と、モールド注型時に、固定子鉄心1の内周面にモールド3が漏れないように挿入する軸状の治具と、絶縁板14の間に梯子状の補強材13を挿入し、モールド3の際に固定する方法と、絶縁板14をスロット開口部7から抜いた状態で、まず、梯子状の補強材13を配置し、その後、絶縁板14をスロット開口部7に挿入し固定する方法等がある。いずれの方法によっても、梯子状の補強材13は、モールド3における、固定子鉄心1の軸方向端のティース角部8の近傍のコイルエンド9の内周面に対応する部分に配置される。
【0032】
なお、絶縁板14の表面に接着する方法と、軸状の治具との間に挿入し、モールド3の際に固定する方法は、絶縁板14の内面側に梯子状の補強材13が剥き出しになるので、スロット開口部7も梯子状の補強材13と共に、コイルエンド9と一体にモールド注型すると良い。一方、梯子状の補強材13を配置し、その後で、絶縁板14をスロット開口部7に挿入し固定する方法では、梯子状の補強材13より内面側に絶縁板14が配置されるので、スロット開口部7は必ずしもモールド注型されていなくても良い。
【0033】
本実施例によれば、梯子状の補強材13をクラックの発生し易いティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に配置してモールド3と一体に成型している。このため、梯子状の補強材13により、ティース角部8の近傍のモールド3が補強されるので、ティース角部8の近傍からのクラックの発生を防止することができる。
【0034】
さらに、本実施例によれば、梯子状の補強材13は、スロット開口部7に挿入される部分により、コイルエンド9で、外周側に広がらないように規制されるので、ティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に確実に配置することができる。
【0035】
なお、他の効果として、第1実施例や第2実施例では、帯状の補強材10を固定子鉄心1の軸方向端面A、Bのコイルエンド内面部にそれぞれ配置し固定しているが、本実施例の梯子状の補強材13は一体化されているので、軸方向端面A、Bに一度に配置できるため、梯子状の補強材13の固定に要する工数を削減することができる。
【0036】
次に本発明の第4実施例について説明する。図8は、第4実施例である電動機の固定子の内側から見た内面図である。図9は、第4実施例である電動機の固定子のA面の径方向断面図である。図8、9において、図1、2と同じ構成については、同符号を付してその説明を省略し、相違する構成のみ説明する。
【0037】
本実施例では、絶縁板15を、固定子鉄心1の軸方向長さよりも長く形成し、固定子鉄心1の軸方向端面A、Bから突出させる。すなわち、固定子鉄心1の軸方向端面A、Bから突出する突出部15aを有している。なお、絶縁板15は、軸方向で2分割以上に分割されていてもよい。帯状の補強材10は、この突出した絶縁板15の外周面とコイルエンド内周面の間に挟まれて、ティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に少なくとも一周分配置し固定される。
【0038】
絶縁板15を2分割以上に分割する理由は、スロット6に挿入された巻線4のコイルエンド9が、挿入時のスプリングバックにより固定子の内面側に張り出すため、コイルエンド内周面と絶縁板15の外面が接近し、帯状の補強材10を挿入することが難しいためである。
【0039】
絶縁板15を2分割することによって、絶縁板15をスロット開口部7から軸方向端面A、Bにおいて片方ずつ抜き差しする。そして、まず、A面の絶縁板15をスロット開口部7から抜いた状態で、ティース角部8の近傍に帯状の補強材10を配置し、絶縁板15で帯状の補強材10をクリップするようにしてスロット開口部7に挿入し固定する。A面の絶縁板15を全て挿入したら、次にB面についても、A面と同様の方法で、絶縁板15で帯状の補強材10を固定する。
【0040】
絶縁板15を2分割以上にした場合は、端面から抜き差しする絶縁板15以外は、スロット開口部7に挿入したままにして、スプリングバックでスロット開口部7から固定子の内面側に出てこようとする巻線4を押さえる役割をさせ、残りの2枚でA面、B面の帯状の補強材10を固定するようにしても良い。
【0041】
また、帯状の補強材10の固定については、全ての絶縁板15を使用する必要はなく、複数の絶縁板15のうち所定の絶縁板15にのみ突出部15aを設けて、この突出部15aを使用して行ってもよい。この場合、絶縁板15で帯状の補強材10を固定していない絶縁板15については、絶縁板15の内面側に帯状の補強材10を配置するか、または、絶縁板15(分割の有無は問わない)を固定子鉄心1の軸方向長さよりも短く形成し、固定子端面より突出させないようにしても良い。これにより、絶縁板15で帯状の補強材10を固定する箇所が少なくなるため帯状の補強材10の固定する作業工数を削減できる。
【0042】
本実施例によれば、帯状の補強材10をクラックの発生し易いティース角部8の近傍のコイルエンド内周面に配置してモールドと一体に成型している。このため、帯状の補強材10により、ティース角部8の近傍のモールド3が補強されるので、ティース角部8の近傍からのクラックの発生を防止することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 固定子鉄心、2 ティース、3 モールド、4 巻線、5、12、14、15 絶縁板、6 スロット、7 スロット開口部、8 ティース角部、9 コイルエンド、10、13 補強材、11 絶縁紙、12a、15a 突出部、13a 帯状部、13b 連結部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12