(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1ポートの圧力が前記第3ポートの圧力よりも高く、前記第1ポートの圧力が前記第2ポートの圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、前記第1弁体は前記第1ポートから前記第2ポートへの作動流体の流通を許容し、前記第2弁体は前記第3ポートから前記第2ポートへの作動流体の流通を遮断し、
前記第3ポートの圧力が前記第1ポートの圧力よりも高く、前記第3ポートの圧力が前記第2ポートの圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、前記第1弁体は前記第1ポートから前記第2ポートへの作動流体の流通を遮断し、前記第2弁体は前記第3ポートから前記第2ポートへの作動流体の流通を許容することを特徴とする請求項1に記載の複合弁。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1及び
図2を参照して、本発明の第1実施形態に係るソレノイドバルブ100について説明する。
【0026】
図1に示されるソレノイドバルブ100は、建設機械や産業機械等に設けられ、図示しない流体圧力源からアクチュエータ(負荷)に供給される作動流体の流量やアクチュエータからタンク等へ排出される作動流体の流量を制御する。このソレノイドバルブ100は、メインポート82からサブポート83へ流れる作動流体の流量を制御する一方向流制御弁である。
【0027】
ソレノイドバルブ100は、バルブブロック80に設けられる非貫通の挿入孔81に挿入固定される。バルブブロック80には、一端が挿入孔81の底面に開口し、他端がバルブブロック80の外面に開口して図示しない配管等を通じて流体圧力源であるポンプに接続されるメインポート82と、一端が挿入孔81の側面に開口し、他端がバルブブロック80の外面に開口して図示しない配管等を通じてアクチュエータに接続されるサブポート83と、を有する。
【0028】
ソレノイドバルブ100では、作動流体として作動油が用いられる。作動流体は、作動油に限定されず、他の非圧縮性流体または圧縮性流体であってもよい。
【0029】
ソレノイドバルブ100は、メインポート82とサブポート83との連通開度を変化させる主弁22と、挿入孔81内に固定され主弁22が摺動自在に挿入される中空円筒状のスリーブ12と、メインポート82またはサブポート83から作動油が導かれ、主弁22を閉弁方向に付勢する制御圧室42と、制御圧室42とサブポート83との連通開度を変化させる副弁27と、供給される電流に応じて副弁27を変位させるソレノイド部60と、メインポート82とサブポート83とを選択的に制御圧室42に接続させる複合弁70と、を備える。
【0030】
スリーブ12は、主弁22の外周面を摺動自在に支持する摺動支持部12aと、主弁22が着座するシート部13と、を有する。
【0031】
シート部13の内周には、メインポート82側から順に、円孔状の第1シート部13aと、円錐台状の第2シート部13bと、の2つのシート部が形成される。第1シート部13aの中心軸と第2シート部13bの中心軸とは、スリーブ12の中心軸と一致している。
【0032】
スリーブ12には、第2シート部13bと摺動支持部12aとの間に、スリーブ12内の空間とサブポート83とを連通する連通孔12bが周方向に間隔をあけて複数形成される。
【0033】
シート部13の外周と摺動支持部12aの外周とには、連通孔12bを挟むようにして、それぞれOリング51,52が配置される。連通孔12bとサブポート83との接続部は、スリーブ12と挿入孔81との間で圧縮されるこれら二つのOリング51,52によって封止される。特にシート部13の外周に設けられるOリング51によって、スリーブ12と挿入孔81との間の隙間を通じてメインポート82とサブポート83とが連通することが防止される。
【0034】
主弁22は、円柱状部材であり、一端面22eがシート部13側に位置し、摺動部22cが摺動支持部12aに摺動支持されるようにスリーブ12内に配置される。
【0035】
主弁22の一端面22e側には、第1シート部13aに摺動自在に挿入される円柱状のスプール弁22aが形成され、スプール弁22aと摺動部22cとの間には、第2シート部13bに着座する円錐台状のポペット弁22bが形成される。また、主弁22には、ポペット弁22bと摺動部22cとの間に、主弁22の軸方向に対して垂直な面を有する段部22hが形成される。段部22hには連通孔12bを通じてサブポート83の圧力が作用する。
【0036】
主弁22の一端面22eには、メインポート82に連通する凹部22gがスプール弁22aと同軸上に形成される。スプール弁22aには、一端が第1シート部13aと摺動する面に開口し、他端が凹部22gの内周面に開口する貫通孔22dが周方向に間隔をあけて複数形成される。
【0037】
第1シート部13aにより閉塞される各貫通孔22dは、ポペット弁22bと第2シート部13bとが離れる方向にスプール弁22aが移動するのに伴って、徐々に開口する。つまり、第1シート部13aから露出する各貫通孔22dの面積は、スプール弁22aの移動量に応じて変化する。このように、各貫通孔22dの開口面積を変化させることによって、メインポート82からサブポート83へ流れる作動油の流量を制御することができる。
【0038】
各貫通孔22dは、ポペット弁22bが第2シート部13bに当接するときであっても、第1シート部13aによって完全に閉塞されないように配置される。つまり、各貫通孔22dの開口面積は、ポペット弁22bが第2シート部13bに当接する閉弁位置において最小値となり、ポペット弁22bが開弁方向に変位するにつれて漸次増大する。
【0039】
なお、各貫通孔22dは、ポペット弁22bが第2シート部13bからある程度離れるまで第1シート部13aによって閉塞されるように配置されてもよい。この場合、主弁22がある程度変位するまで作動油の流量をほぼゼロに設定することができる。
【0040】
主弁22の他端面22fは、主弁22と、スリーブ12と、ソレノイド部60と、により画定される制御圧室42に臨んでいる。
【0041】
バルブブロック80は、挿入孔81と平行に形成される第1流路としての摺動孔87と、一端が摺動孔87の底面に開口し他端がメインポート82に接続されるメインポート連通路84と、一端が摺動孔87の側面に開口し他端がサブポート83に接続される第2流路としてのサブポート連通路85と、一端が摺動孔87の側面に開口し他端が制御圧室42に接続される制御圧室連通路86と、をさらに有する。制御圧室連通路86は、スリーブ12に形成されオリフィスとして機能する導入孔41を通じて制御圧室42に連通する。摺動孔87内には、後述する複合弁70の第1弁体71と第2弁体72とが摺動自在に収容される。
【0042】
制御圧室42内には、主弁22とソレノイド部60との間に、メインリターンスプリング24が圧縮して設けられる。
【0043】
メインリターンスプリング24の付勢力は、主弁22を閉弁させる方向に作用する。また、メインポート82の圧力は、主弁22の第2シート部13bにおける断面に相当する第1開弁受圧面S1に作用し、主弁22を開弁させる方向に作用する。また、サブポート83の圧力は、主弁22の段部22hにおける断面に相当する第2開弁受圧面S2に作用し、主弁22を開弁させる方向に作用する。また、制御圧室42内の圧力は、摺動部22cにおける断面に相当する閉弁受圧面S3に作用し、主弁22を閉弁させる方向に作用する。
【0044】
このため、主弁22は、第1開弁受圧面S1に作用するメインポート82の圧力による推力と第2開弁受圧面S2に作用するサブポート83の圧力による推力との合力が、閉弁受圧面S3に作用する制御圧室42内の圧力による推力とメインリターンスプリング24の付勢力との合力を上回ると開弁方向に変位し、下回ると閉弁方向に変位する。
【0045】
主弁22は、さらに、制御圧室42とサブポート83とを連通させる第1連通路23a及び第2連通路23bを有する。
【0046】
第1連通路23aは、一端が他端面22fに開口する非貫通孔であり、その中心軸が主弁22の中心軸に一致するように主弁22に形成される。第2連通路23bは、主弁22の径方向に形成され、一端が第1連通路23aに連通し、他端が主弁22の外周面に開口する。第2連通路23bの他端は、主弁22が軸方向に変位する範囲において、連通孔12bと常に連通するように配置される。
【0047】
主弁22には、さらに、制御圧室42と第1連通路23aとの連通状態を調節することによって制御圧室42内の圧力を制御するパイロット圧制御弁25が設けられる。
【0048】
パイロット圧制御弁25は、サブシート部26dが形成される中空円筒状の圧力補償スリーブ26と、サブシート部26dに着座するサブポペット弁27aが一端に設けられる円柱状の副弁27と、を有する。
【0049】
圧力補償スリーブ26は、第1連通路23a内に摺動自在に挿入される摺動部26aと、制御圧室42に臨むように配置され、摺動部26aよりも外径が大きい鍔部26bと、鍔部26bから摺動部26aにかけて軸方向に貫通して形成される貫通孔26cと、を有する。サブシート部26dは、鍔部26bに開口する貫通孔26cの開口端に形成される。このため、第1連通路23aと制御圧室42とは、サブシート部26dと貫通孔26cとを通じて連通する。
【0050】
鍔部26bと主弁22の他端面22fとの間には、複数の皿バネからなる圧力補償スプリング28が介装される。圧力補償スリーブ26は、圧力補償スプリング28によって主弁22から離れる方向へと付勢される。
【0051】
サブポペット弁27aとサブシート部26dとが当接すると、制御圧室42と第1連通路23aとの連通は遮断された状態となる。一方、サブポペット弁27aがサブシート部26dから離れ、サブポペット弁27aとサブシート部26dとの間に隙間が形成されると、制御圧室42と第1連通路23aとが連通される。このため、制御圧室42内の作動油は、第1連通路23a及び第2連通路23bを通じてサブポート83へと排出される。制御圧室42には、メインポート連通路84及び制御圧室連通路86を通じて作動油が導かれるが、導入孔41によって制御圧室42への作動油の流入が制限されるため、結果として、制御圧室42内の圧力は低下する。このようにして制御圧室42内の圧力は、パイロット圧制御弁25によって制御される。
【0052】
サブポペット弁27aとサブシート部26dとの間の隙間の大きさは、圧力補償スリーブ26に対する副弁27の軸方向における位置を変更することによって調節される。副弁27の軸方向の位置はソレノイド部60によって制御されるので、この隙間の大きさはソレノイド部60によって制御されることとなる。
【0053】
ソレノイド部60は、電流が供給されることにより磁気吸引力を生じるコイル62と、コイル62が外周に設けられる有底筒状のソレノイドチューブ14と、ソレノイドチューブ14とスリーブ12とを連結する連結部材16と、を有する。
【0054】
ソレノイドチューブ14内には、軸心に副弁27が固定され、コイル62が生じる磁気吸引力に吸引される円筒状のプランジャ33と、軸方向に移動自在な円柱状のリテーナ34と、プランジャ33とリテーナ34との間に圧縮して介装されるサブリターンスプリング35と、が設けられる。プランジャ33は、サブリターンスプリング35によって、副弁27の先端に形成されるサブポペット弁27aがサブシート部26dに着座する方向へと付勢される。
【0055】
プランジャ33には、軸方向に貫通する複数の貫通孔33aが形成されており、サブリターンスプリング35が配置されるスプリング室44は貫通孔33aを通じて制御圧室42と連通する。このため、スプリング室44内の圧力は、制御圧室42内の圧力と同等となり、サブリターンスプリング35の付勢力とスプリング室44内の圧力とは、サブポペット弁27aをサブシート部26dへ押圧する方向へと作用する。
【0056】
ソレノイドチューブ14の端部14aには、調節ネジ36が軸方向に貫通して螺着される。調節ネジ36の一端は、スプリング室44内のリテーナ34に当接しており、調節ネジ36が回転されるとリテーナ34の軸方向における位置が変更され、サブリターンスプリング35の付勢力が変化する。このように、調節ネジ36を回転することによって、プランジャ33に作用するサブリターンスプリング35の初期荷重を変更することができる。ソレノイドチューブ14から突出する調節ネジ36の他端は、ソレノイドチューブ14に取り付けられるカバー63によって覆われる。
【0057】
連結部材16は、バルブブロック80の挿入孔81内に挿入される挿入部16aと、ソレノイドバルブ100をバルブブロック80に対して固定するためのフランジ部16bと、を有する。連結部材16は、フランジ部16bの内周面にソレノイドチューブ14が螺合され、挿入部16aにスリーブ12が螺合されることでスリーブ12とソレノイドチューブ14とを連結する。
【0058】
挿入部16aの外周には、シール部材としてのOリング53が配置される。連結部材16と挿入孔81との間で圧縮されるOリング53によって、挿入孔81内と外部との連通は遮断される。このため、挿入孔81内の作動油が外部に漏れることが防止されるとともに、外部から水や粉塵等が挿入孔81内に侵入することが防止される。
【0059】
フランジ部16bにはボルト15が挿通する図示しないボルト孔が複数形成されており、フランジ部16bは、ボルト15を介してバルブブロック80に締結される。連結部材16がバルブブロック80に締結されることによって、ソレノイドバルブ100は、バルブブロック80に対して固定される。
【0060】
次に、
図1及び
図2を参照して、複合弁70について説明する。
【0061】
複合弁70は、第1ポートP1と第2ポートP2とを有する第1流路としての摺動孔87と、摺動孔87から分岐して形成され、第3ポートP3を有する第2流路としてのサブポート連通路85と、第1ポートP1から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、第3ポートP3から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、を有する。第1ポートP1は、メインポート連通路84を通じてメインポート82に接続され、第2ポートP2は、制御圧室連通路86を通じて制御圧室42に接続される。
【0062】
第1弁体71と第2弁体72とは、直線状に形成される摺動孔87に沿って並ぶように直列配置される。なお、摺動孔87は、直線状に限定されず、屈曲部を有していてもよい。この場合も第1弁体71と第2弁体72とは摺動孔87に沿って直列配置される。
【0063】
摺動孔87は、
図2に示すように、第1弁体71が収容される第1摺動孔87aと、第2弁体72が収容される第2摺動孔87bと、を有する。第1摺動孔87aと第2摺動孔87bとは、同軸に形成され、第2摺動孔87bの内径は第1摺動孔87aの内径よりも大きく形成される。摺動孔87の開口端には、プラグ73が取り付けられ、プラグ73の外周には、プラグ73と摺動孔87との間で圧縮されるOリング77が配置される。摺動孔87の開口端は、Oリング77によって封止されるため、摺動孔87内の作動油が外部に漏れることが防止されるとともに、外部から水や粉塵等が摺動孔87内に侵入することが防止される。
【0064】
第1弁体71は、有底円筒状のポペット弁であり、第1摺動孔87aに沿って摺動自在な中空円筒部71aと、第1摺動孔87aに設けられる円錐台状の第1シート部88aに着座する第1弁部71cが形成される頂部71bと、を有する。
【0065】
第2弁体72は、第2摺動孔87bに沿って摺動自在な摺動部72aと、摺動部72aから延出し、第1弁体71の中空円筒部71a内に挿入される支持部72bと、軸方向に貫通する貫通孔72cと、を有する。第1弁体71は、第2弁体72の支持部72bによって摺動孔87に沿って変位するように摺動自在に支持される。
【0066】
第2弁体72は、第1摺動孔87aと第2摺動孔87bとを接続する段部に形成される円錐台状の第2シート部88bに着座するポペット状の第2弁部72eをさらに有する。なお、第1シート部88a及び第2シート部88bは摺動孔87に直接形成されてもよいし、円錐台状のシート面が形成された部材を摺動孔87内に挿入固定してもよい。
【0067】
第1弁体71の中空円筒部71a内には、支持部72bによって第1圧力室78aが区画される。第1圧力室78aには、貫通孔72cを通じて第2ポートP2の圧力が導かれ、第2ポートP2の圧力は、第1弁体71を閉弁させる方向へと作用する。また、第1圧力室78a内には、第1弁体71を閉弁させる方向へ付勢する第1付勢部材としての第1スプリング74が圧縮して収装される。
【0068】
ここで、第1圧力室78aの径D2は、第1圧力室78a内に第1スプリング74を収容し易くするために大きくすることが好ましい。しかし、第1圧力室78aには、貫通孔72cを通じて第2ポートP2の圧力が導かれるので、第1圧力室78aの径D2を第1シート部88aの径D1よりも大きくすると、第1弁体71を閉弁する方向に作用する力が大きくなるため、第1弁体71が開弁しにくくなる。
【0069】
このため、第1圧力室78aの径D2は、第1シート部88aの径D1よりも小さく設定されることが好ましい。換言すれば、第1弁体71の第1弁部71cが第1シート部88aに着座した状態において、第1弁体71を開弁する方向に作用する第1ポートP1の圧力を受ける頂部71bの第1受圧面A1の面積が、第1圧力室78aの圧力を受ける頂部71bの第2受圧面A2の面積よりも大きくなるように第1圧力室78aの径D2は設定される。
【0070】
第1弁体71の中空円筒部71aと第2弁体72の第2弁部72eとの間には円環状の第2圧力室78bが区画され、第3ポートP3の圧力が導かれる。第2圧力室78bの内径は、
図2に示されるように、第1圧力室78aの径D2に等しく、第1シート部88aの径D1よりも小さく設定される。このため、第2圧力室78bの圧力は、第2弁体72を開弁させる方向へ作用するとともに、第1受圧面A1に作用する第1ポートP1の圧力に抗して第1弁体71を閉弁させる方向へと作用する。
【0071】
第2弁体72とプラグ73との間には第3圧力室78cが区画され、第2ポートP2の圧力が導かれる。第3圧力室78c内には、第2付勢部材としての第2スプリング75が圧縮して収装される。第2スプリング75の付勢力と第3圧力室78cの圧力とは、第2弁体72を閉弁させる方向へと作用する。このように、第1スプリング74と第2スプリング75とは、付勢方向がともに摺動孔87に沿った方向となるように配置される。
【0072】
第1弁体71は、第1弁部71cが第1シート部88aから離座したときに、第1ポートP1と第1圧力室78aとを連通させる第1連通孔71dをさらに有する。また、第2弁体72は、第2弁部72eが第2シート部88bから離座したときに、第3ポートP3と貫通孔72cとを連通させる第2連通孔72dをさらに有する。第2連通孔72dは、上記構成に限定されず、第2弁部72eが第2シート部88bから離座したときに、第3ポートP3と第2ポートP2とを連通させる通路であればよく、例えば、第2弁体72の外周面に溝状に形成される通路であってもよい。
【0073】
第2弁体72の支持部72bの外周には、支持部72bと中空円筒部71aとの間で圧縮されるOリング76が配置される。Oリング76によって、支持部72bと中空円筒部71aとの間の隙間を通じて第1圧力室78aと第2圧力室78bとが連通することが防止される。なお、Oリング76,77のはみ出しを抑制するために、Oリング76,77に隣接してバックアップリングを配置してもよい。
【0074】
続いて、複合弁70の作動について説明する。
【0075】
第1弁体71は、第1ポートP1の圧力が第3ポートP3の圧力よりも高く、第1ポートP1の圧力が第2ポートP2の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、第1スプリング74を圧縮して移動して第1シート部88aから離座する。具体的には、第1ポートP1の圧力が第3ポートP3の圧力よりも高い状態において、第1ポートP1の圧力による第1弁体71を開弁させる方向へ作用する力が、第1スプリング74の付勢力と第1圧力室78aの圧力とによる第1弁体71を閉弁させる方向へ作用する力を上回ったときに、第1弁部71cは第1シート部88aから離座する。そして、第1弁部71cと第1シート部88aとの間の隙間、第1連通孔71d、第1圧力室78a、貫通孔72c及び第3圧力室78cを通じて第1ポートP1から第2ポートP2へ作動油が導かれる。
【0076】
第1ポートP1から第2ポートP2へ作動油が導かれることにより、第2ポートP2の圧力が上昇し、第1スプリング74の付勢力と第1圧力室78aの圧力とによる第1弁体71を閉弁させる方向へ作用する力が、第1ポートP1の圧力による第1弁体71を開弁させる方向へ作用する力を上回ると、第1弁体71が第1シート部88aに着座し、第1ポートP1と第2ポートP2との連通が遮断される。このようにして、第1弁体71は第1ポートP1から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容し、その逆流を阻止する。
【0077】
第2弁体72は、第3ポートP3の圧力が第1ポートP1の圧力よりも高く、第3ポートP3の圧力が第2ポートP2の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、第2スプリング75を圧縮して移動して第2シート部88bから離座する。具体的には、第3ポートP3の圧力が第1ポートP1の圧力よりも高い状態において、第3ポートP3の圧力による第2弁体72を開弁させる方向へ作用する力が、第2スプリング75の付勢力と第3圧力室78cの圧力とによる第2弁体72を閉弁させる方向へ作用する力を上回ったときに、第2弁部72eは第2シート部88bから離座する。そして、第2弁部72eと第2シート部88bとの間の隙間、第2連通孔72d、貫通孔72c及び第3圧力室78cを通じて第3ポートP3から第2ポートP2へ作動油が導かれる。
【0078】
第3ポートP3から第2ポートP2へ作動油が導かれることにより、第2ポートP2の圧力が上昇し、第2スプリング75の付勢力と第3圧力室78cの圧力とによる第2弁体72を閉弁させる方向へ作用する力が、第3ポートP3の圧力による第2弁体72を開弁させる方向へ作用する力を上回ると、第2弁体72が第2シート部88bに着座し、第3ポートP3と第2ポートP2との連通が遮断される。このようにして、第2弁体72は第3ポートP3から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容し、その逆流を阻止する。
【0079】
複合弁70は、上述のように作動するので、メインポート82の圧力がサブポート83の圧力よりも高い場合には、メインポート82の作動油がメインポート連通路84、第1弁体71、制御圧室連通路86及び導入孔41を通じて制御圧室42へと導かれる。このとき、制御圧室42からサブポート83への流れは第2弁体72によって遮断される。一方、サブポート83の圧力がメインポート82の圧力よりも高い場合には、サブポート83の作動油がサブポート連通路85、第2弁体72及び導入孔41を通じて制御圧室42へと導かれる。このとき、制御圧室42からメインポート82への流れは第1弁体71によって遮断される。
【0080】
なお、第2ポートP2の位置は、第2弁体72の下流側に限定されず、
図2に破線で示されるように、第2シート部88bの下流側であって、第1圧力室78a及び第3圧力室78cに常時連通可能な位置であればどのような位置であってもよい。この位置に第2ポートP2が設けられる場合、第1ポートP1から第2ポートP2へ導かれる作動油は、第2連通孔72dを流通する。また、このように第2ポートP2の位置を第1ポートP1の位置に近づけることによって、軸方向長さが短くなり、複合弁70を小型化することができる。
【0081】
次に、ポンプから供給される作動油をメインポート82及びサブポート83を通じてアクチュエータへ供給するソレノイドバルブ100の作動について説明する。
【0082】
コイル62に電流が供給されていないときには、サブリターンスプリング35の付勢力によって、プランジャ33が押圧され、副弁27のサブポペット弁27aがサブシート部26dに着座し、制御圧室42は閉塞された状態となる。この状態において、制御圧室42内の圧力がメインポート82の圧力よりも低いと、第1弁体71が開弁する。そして、制御圧室42内にはメインポート連通路84、第1連通孔71d、第1圧力室78a、貫通孔72c、第3圧力室78c、制御圧室連通路86及び導入孔41を通じてメインポート82の作動油が導かれ、制御圧室42内の圧力はメインポート82の圧力と同等となる。この結果、主弁22の他端面22fには、メインポート82の圧力と同等の圧力が作用することになる。つまり、閉弁受圧面S3には、メインポート82の圧力と同等の圧力が作用することになる。
【0083】
ここで、制御圧室42内の圧力が作用する閉弁受圧面S3の面積は、メインポート82の圧力が作用する第1開弁受圧面S1の面積よりも大きく、また、サブポート83の圧力は、メインポート82の圧力と比較して十分に低い。したがって、閉弁受圧面S3に作用する制御圧室42内の圧力による推力とメインリターンスプリング24の付勢力との合力が、第1開弁受圧面S1に作用するメインポート82の圧力による推力と第2開弁受圧面S2に作用するサブポート83の圧力による推力との合力を上回り、主弁22は、シート部13を閉塞する方向に付勢される。このように、コイル62が非通電状態にあるときには、メインポート82からサブポート83への作動油の流れが遮断される。
【0084】
一方、コイル62に電流が供給されると、ソレノイド部60が発生する推力によってプランジャ33がサブリターンスプリング35の付勢力に打ち勝ってコイル62側へと吸引される。そして、プランジャ33とともに副弁27が変位することで、サブポペット弁27aはサブシート部26dから離座し、サブポペット弁27aとサブシート部26dとの間に隙間が形成される。制御圧室42内の作動油は、この隙間を通じて第1連通路23a、第2連通路23b及び連通孔12bを通過しサブポート83へと排出される。
【0085】
メインポート82から制御圧室42への作動油の流入は、導入孔41によって制限されるため、制御圧室42内の圧力は、制御圧室42とサブポート83とが連通することによって低下する。そして、閉弁受圧面S3に作用する制御圧室42内の圧力による推力とメインリターンスプリング24の付勢力との合力と、第1開弁受圧面S1に作用するメインポート24の圧力による推力と第2開弁受圧面S2に作用するサブポート83の圧力による推力との合力と、がバランスするまで主弁22はシート部13を開放する方向へと変位する。この結果、作動油は、貫通孔22dと第1シート部13aとの間、ポペット弁22bと第2シート部13bとの間及び連通孔12bを通じて、メインポート82からサブポート83へと流れる。
【0086】
コイル62に供給される電流が増加されると、サブポペット弁27aはサブシート部26dからさらに離れる。この結果、制御圧室42からサブポート83へと排出される作動油の量が増加し、制御圧室42内の圧力はさらに低下する。そして、制御圧室42内の圧力の低下に応じて主弁22がシート部13を開放する方向へとさらに移動し、スプール弁22aの貫通孔22dが第1シート部13aから露出される面積が大きくなる。この結果、メインポート82からサブポート83へと流れる作動油の流量が増加する。
【0087】
このように、コイル62に供給される電流を増減し、主弁22の変位量を制御することによって、メインポート82からサブポート83へと流れる作動油の流量が制御される。
【0088】
そして、コイル62への通電が停止されると、プランジャ33を吸引する推力が消失するため、プランジャ33は、サブリターンスプリング35の付勢力によってサブポペット弁27aがサブシート部26dに着座する方向へと押圧される。そして、副弁27のサブポペット弁27aがサブシート部26dに着座すると、制御圧室42内には導入孔41を通じてメインポート82の作動油が導かれ、制御圧室42内の圧力は、メインポート82の圧力と同等となるまで上昇する。
【0089】
制御圧室42内の圧力がメインポート82の圧力と同等になると、上述のように、第1開弁受圧面S1に作用するメインポート82の圧力による推力と第2開弁受圧面S2に作用するサブポート83の圧力による推力との合力が、閉弁受圧面S3に作用する制御圧室42内の圧力による推力とメインリターンスプリング24の付勢力との合力を下回るため、主弁22は、シート部13を閉塞する方向に付勢される。この結果、主弁22は、シート部13を閉塞する方向へと変位し、メインポート82からサブポート83への作動油の流れが遮断される。
【0090】
続いて、サブポート83の圧力がメインポート82の圧力よりも上昇する場合について説明する。
【0091】
コイル62への通電が停止され、アクチュエータへの作動油の供給が停止された後に、外部からアクチュエータに作用する負荷が増大するなどして、アクチュエータ内の圧力が上昇すると、アクチュエータと連通するサブポート83の圧力も上昇する。ここで、サブポート83の圧力は、
図1に示されるように、主弁22の段部22hに主弁22を開弁させる方向へと作用している。このため、サブポート83の圧力が制御圧室42内の圧力よりも上昇すると、第1開弁受圧面S1に作用するメインポート82の圧力による推力と第2開弁受圧面S2に作用するサブポート83の圧力による推力との合力が、閉弁受圧面S3に作用する制御圧室42内の圧力による推力とメインリターンスプリング24の付勢力との合力を上回って主弁22が開弁し、作動油がサブポート83からメインポート82へと流出するおそれがある。
【0092】
本実施形態におけるソレノイドバルブ100では、サブポート83から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第2弁体72が設けられることにより、このような現象を抑制することができる。
【0093】
具体的には、サブポート83の圧力がメインポート82の圧力及び制御圧室42内の圧力よりも高くなると、第2弁体72が開弁する。そして、制御圧室42内にはサブポート連通路85、第2連通孔72d、貫通孔72c、第3圧力室78c、制御圧室連通路86及び導入孔41を通じてサブポート83の作動油が導かれ、制御圧室42内の圧力はサブポート83の圧力と同等となる。
【0094】
このように制御圧室42内の圧力はサブポート83の圧力と同等となるので、サブポート83の圧力が上昇したとしても、主弁22を閉弁させる方向に作用する力は、主弁22を開弁させる方向に作用する力を常に上回る。このため、サブポート83の圧力が制御圧室42の圧力よりも高くなったとしても、主弁22は閉じられた状態に維持されるので、作動油がサブポート83からメインポート82へと流出することが防止される。この結果、アクチュエータへの作動油の供給が停止された後に、負荷の増大等によってアクチュエータが変位してしまうことが抑制される。
【0095】
以上の第1実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0096】
複合弁70では、メインポート82から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、サブポート83から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、の二つの弁体が摺動孔87内に直列配置される。このように、二つの弁体を配置するためにそれぞれ別々の通路を設ける必要がないため、二つの弁体を有する複合弁70をコンパクト化することができるとともに、複合弁70を用いたソレノイドバルブ100をコンパクト化することができる。
【0097】
なお、第1実施形態におけるソレノイドバルブ100は、メインポート82からサブポート83へ流れる作動油の流量を制御する一方向流制御弁であるが、メインポート82からサブポート83へ流れる作動油の流量とサブポート83からメインポート82へ流れる作動油の流量との双方を制御することが可能な双方向流制御弁であってもよい。この場合、ソレノイドバルブ100は、作動油が流れる方向に応じて制御圧室42から排出される作動油の排出先をメインポート82またはサブポート83に切り換え可能な弁体をさらに備える。
【0098】
<第2実施形態>
次に、
図3及び
図4を参照して、本発明の第2実施形態に係るソレノイドバルブ200について説明する。以下では、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付し説明を省略する。
【0099】
ソレノイドバルブ200及び複合弁270の基本的な構成は、第1実施形態に係るソレノイドバルブ100及び複合弁70と同様である。ソレノイドバルブ200は、複合弁270が主弁22内に内蔵されている点でソレノイドバルブ100と相違する。
【0100】
ソレノイドバルブ200の主弁22には、第1弁体71及び第2弁体72が摺動自在に収容される第1流路としての摺動孔223が形成される。摺動孔223は、主弁22の凹部22gに開口し第1弁体71が収容される第1摺動孔223aと、第1摺動孔223aに連続して形成され第2弁体72が収容される第2摺動孔223bと、を有する。第2摺動孔223bの内径は第1摺動孔223aの内径よりも大きく形成される。また、第1摺動孔223aと第2摺動孔223bとは、その中心軸が主弁22の中心軸と一致するように形成される。
【0101】
主弁22は、第2摺動孔223bに連続して形成され、他端面22fに開口する固定孔223cをさらに有する。固定孔223cには、第2摺動孔223bを閉塞するプラグ273が螺着固定される。プラグ273の一端は第2摺動孔223b内に挿入され、プラグ273の外周には、プラグ273と第2摺動孔223bとの間で圧縮されるOリング77が配置される。プラグ273は、第1実施形態におけるプラグ73に相当し、第1実施形態と同様に、第2弁体72とプラグ273との間には第3圧力室78cが区画される。
【0102】
プラグ273は、圧力補償スリーブ26の摺動部26aが摺動自在に挿入される摺動孔273aと、圧力補償スリーブ26の貫通孔26cとサブポート83とを連通させる連通孔273bと、を有する。摺動孔273aは、プラグ273の軸心に沿って形成される非貫通孔であり、連通孔273bは、一端が摺動孔273aに連通し、他端がプラグ273の外周面に開口する貫通孔である。
【0103】
主弁22は、第1摺動孔223a内に区画される第2圧力室78bとサブポート83とを連通させるサブポート連通路223dと、連通孔273bとサブポート連通路223dとを連通させる連通路223eと、オリフィスとして機能する導入孔241を通じて、第3圧力室78cと制御圧室42とを連通させる制御圧室連通路223fと、をさらに有する。第2実施形態では、サブポート連通路223dが第3ポートP3を有する第2流路に該当し、第1ポートP1は、凹部22gを通じてメインポート82に接続され、第2ポートP2は、制御圧室連通路223fを通じて制御圧室42に接続される。第2ポートP2の位置は、第2弁体72の下流側に限定されず、
図4に破線で示されるように、第2シート部88bの下流側であって、第1圧力室78a及び第3圧力室78cに常時連通可能な位置であればどのような位置であってもよい。この位置に第2ポートP2が設けられる場合、第1ポートP1から第2ポートP2へ導かれる作動油は、第2連通孔72dを流通する。また、このように第2ポートP2の位置を第1ポートP1の位置に近づけることによって、主弁22の軸方向長さを短くすることができる。
【0104】
複合弁270は、第1実施形態の複合弁70と同様に、メインポート82の圧力がサブポート83の圧力よりも高く、メインポート82の圧力が制御圧室42の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合には、第1弁体71が開弁する。第1弁体71が開弁すると、凹部22g、第1弁部71cと第1シート部88aとの間の隙間、第1連通孔71d、第1圧力室78a、貫通孔72c、第3圧力室78c、導入孔241及び制御圧室連通路223fを通じてメインポート82から制御圧室42へと作動油が導かれる。
【0105】
また、複合弁270は、第1実施形態の複合弁70と同様に、サブポート83の圧力がメインポート82の圧力よりも高く、サブポート83の圧力が制御圧室42の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合には、第2弁体72が開弁する。第2弁体72が開弁すると、サブポート連通路223d、第2圧力室78b、第2弁部72eと第2シート部88bとの間の隙間、第2連通孔72d、貫通孔72c及び第3圧力室78c、導入孔241及び制御圧室連通路223fを通じてサブポート83から制御圧室42へと作動油が導かれる。
【0106】
ソレノイドバルブ200の作動は、制御圧室42内の作動油がサブポペット弁27aとサブシート部26dとの間の隙間から貫通孔26c、摺動孔273a、連通孔273b、連通路223e、サブポート連通路223d及び連通孔12bを通じてサブポート83へと排出される点以外においては、第1実施形態のソレノイドバルブ100の作動と同じであるため、その説明を省略する。
【0107】
以上の第2実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0108】
ソレノイドバルブ200では、メインポート82から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、サブポート83から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、の二つの弁体が主弁22内に形成される摺動孔223内に直列配置される。このように、二つの弁体を配置するために主弁22の外径を大きくして別々の通路を設ける必要がないため、ソレノイドバルブ200をコンパクト化することができる。
【0109】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
【0110】
複合弁70,270は、第1ポートP1と第2ポートP2とを有する摺動孔87,223と、摺動孔87,223から分岐して形成され、第3ポートP3を有するサブポート連通路85,223dと、第1ポートP1から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、第3ポートP3から第2ポートP2への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、を備え、第1弁体71と第2弁体72とは、摺動孔87,223に直列配置され、第1弁体71が開弁すると、作動油は、第2弁体72に設けられる貫通孔72cを通じて第1ポートP1から第2ポートP2へと導かれることを特徴とする。
【0111】
この構成では、メインポート82から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、サブポート83から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、の二つの弁体が摺動孔87,223内に直列配置される。このように、二つの弁体を配置するためにそれぞれ別々の通路を設ける必要がないため、二つの弁体を有する複合弁70,270をコンパクト化することができるとともに、複合弁70,270を用いたソレノイドバルブ100,200をコンパクト化することができる。
【0112】
また、第1弁体71は、摺動孔87,223に形成される第1シート部88aに着座する第1弁部71cを有し、第2弁体72は、摺動孔87,223に形成される第2シート部88bに着座する第2弁部72eを有し、第1弁体71及び第2弁体72は、摺動孔87,223に沿って変位することを特徴とする。
【0113】
この構成では、第1弁体71の変位方向と第2弁体72の変位方向とがともに摺動孔87,223に沿った方向となる。このように二つの弁体71,72の変位方向が同じであるため、二つの弁体71,72の変位方向が異なる場合、例えば変位方向が直交するような場合と比較しコンパクト化することができる。さらに、変位方向が二つの弁体71,72が配置される摺動孔87,223に沿っているため、変位方向が摺動孔87,223に対して所定の角度を有するような場合と比較しコンパクト化することができる。
【0114】
また、摺動孔87,223は、直線状に形成されることを特徴とする。
【0115】
この構成では、第1弁体71と第2弁体72とが配置される摺動孔87,223が直線状に形成される。二つの弁体71,72が一直線上に配置されることになるため、二つの弁体71,72が配置される流路が直線状ではない場合と比較しコンパクト化することができる。
【0116】
また、複合弁70,270では、第1ポートP1の圧力が第3ポートP3の圧力よりも高く、第1ポートP1の圧力が第2ポートP2の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、第1弁体71は第1ポートP1から第2ポートP2への作動油の流通を許容し、第2弁体72は第3ポートP3から第2ポートP2への作動油の流通を遮断し、第3ポートP3の圧力が第1ポートP1の圧力よりも高く、第3ポートP3の圧力が第2ポートP2の圧力よりも所定値以上の差をもって大きくなった場合に、第1弁体71は第1ポートP1から第2ポートP2への作動油の流通を遮断し、第2弁体72は第3ポートP3から第2ポートP2への作動油の流通を許容することを特徴とする。
【0117】
この構成では、第1ポートP1、第2ポートP2及び第3ポートP3の圧力関係に応じて、第1弁体71及び第2弁体72が作動油の流通を許容するか遮断するかがそれぞれ変更される。このように、この複合弁70,270では、各ポートP1,P2,P3の圧力に応じて、作動油の流通状態を変更することができる。
【0118】
また、第2弁体72は、摺動孔87,223に沿って摺動自在な摺動部72aと、摺動部72aから突出し第1弁体71を摺動自在に支持する支持部72bと、を有し、第1弁体71は、摺動孔87,223に沿って摺動自在に設けられ第2弁体72の支持部72bが挿入される中空円筒部71aを有することを特徴とする。
【0119】
この構成では、第1弁体71が第2弁体72の支持部72bによって支持される。このように、第1弁体71と第2弁体72とは、軸方向に隣接して配置されるため、複合弁をコンパクト化することができる。
【0120】
また、複合弁70,270は、第2弁体72を閉弁方向へ付勢する第2スプリング75と、第1弁体71と支持部72bとの間に介装され第1弁体71を閉弁方向へ付勢する第1スプリング74と、をさらに備え、第1スプリング74の付勢方向と第2スプリング75の付勢方向とは、ともに摺動孔87,223に沿った方向であることを特徴とする。
【0121】
この構成では、第1弁体71の付勢方向と第2弁体72の付勢方向とがともに摺動孔87,223に沿った方向となる。二つの弁体71,72の付勢方向が同じであるため、二つの弁体71,72の付勢方向が異なる場合、例えば付勢方向が直交するような場合と比較しコンパクト化することができる。さらに、付勢方向が二つの弁体71,72が配置される摺動孔87,223に沿っているため、付勢方向が摺動孔87,223に対して所定の角度を有するような場合と比較しコンパクト化することができる。
【0122】
また、第2弁部72eは、摺動部72aと支持部72bとの間に設けられており、第1弁体71の中空円筒部71aと第2弁体72の第2弁部72eとの間には、第3ポートP3の圧力が導かれ、第1弁体71を閉弁方向へ付勢する第2圧力室78bが形成されることを特徴とする。
【0123】
この構成では、第3ポートP3の圧力が導かれる第2圧力室78bが第1弁体71の中空円筒部71aと第2弁体72の第2弁部72eとの間に設けられる。このため、第3ポートP3の圧力が第1ポートP1の圧力よりも高いときには、第1弁体71を閉弁させる方向へ付勢する力が大きくなり、第3ポートP3から第1ポートP1への作動油の流出を防止することができる。一方、第3ポートP3の圧力が第1ポートP1の圧力よりも低いときには、第1弁体71を閉弁させる方向へ付勢する力が小さくなるので、第1弁体71の開弁作動に及ぼす影響は小さくなる。
【0124】
また、支持部72bの外周には、支持部72bと中空円筒部71aとの間で圧縮されるOリング76が配置されることを特徴とする。
【0125】
この構成では、支持部72bと中空円筒部71aとの間で圧縮されるOリング76が設けられる。このため、第1ポートP1から中空円筒部71a内に導かれる作動油が支持部72bと中空円筒部71aとの隙間を通じて第3ポートP3へ漏れることを防止することができる。
【0126】
また、第1弁部71c及び第2弁部72eは、円錐台状に形成される第1シート部88a及び第2シート部88bにそれぞれ着座するポペット弁であることを特徴とする。
【0127】
この構成では、第1弁体71及び第2弁体72は、ポペット弁として形成される。このため、各弁体71、72が各シート部88a、88bに着座することにより、各ポートP1〜P3間の作動油の流通を確実に遮断することができる。
【0128】
また、メインポート82とサブポート83との間を流れる作動油の流量を制御するソレノイドバルブ100,200は、メインポート82とサブポート83との連通開度を変化させる主弁22と、上述の複合弁70,270を通じて、メインポート82またはサブポート83から作動油が導かれ、主弁22を閉弁方向に付勢する制御圧室42と、制御圧室42の圧力を制御するソレノイド部60と、を備え、複合弁70,270は、第1ポートP1がメインポート82に連通し、第2ポートP2が制御圧室42に連通し、第3ポートP3がサブポート83に連通するように配置されることを特徴とする。
【0129】
この構成では、第1ポートP1がメインポート82に連通し、第2ポートP2が制御圧室42に連通し、第3ポートP3がサブポート83に連通するように複合弁70,270が配置される。このように、コンパクト化された複合弁70,270がソレノイドバルブ100,200に対して設けられるため、ソレノイドバルブ100,200を小型化することができる。
【0130】
また、複合弁270は、主弁22に内蔵されることを特徴とする。
【0131】
この構成では、メインポート82から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第1弁体71と、サブポート83から制御圧室42への作動油の流通のみを許容する第2弁体72と、の二つの弁体が主弁22内に形成される摺動孔223内に直列配置される。このように、二つの弁体を配置するために主弁22の外径を大きくして別々の通路を設ける必要がないため、ソレノイドバルブ200をコンパクト化することができる。
【0132】
また、複合弁270は、摺動孔223の中心軸が主弁22の中心軸に一致するように主弁22内に設けられることを特徴とする。
【0133】
この構成では、摺動孔223の中心軸が、主弁22の中心軸と一致する。このため、摺動孔223の加工は、主弁22の凹部22g等を加工する際に併せて行うことが可能となる。この結果、摺動孔223の加工精度を向上させることができるとともに加工コストを低減させることができる。
【0134】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0135】
例えば、上記実施形態では、複合弁70,270は、ソレノイドバルブ100,200に適用されているが、これに限定されず、3つのポート間における作動流体の流れを制御する必要があるものであれば、どのような装置にでも適用することができる。