【実施例】
【0026】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0027】
図1は、本発明を適用した作業機100の全体構成を示す。図示の作業機100はチェーンソーを例示しているが、これに限定されない。作業機100は2ストロークエンジン102を有し、エンジン102の出力は遠心クラッチ104を介して刃物106に伝達される。
【0028】
2ストロークエンジン102は従来から周知のリコイルスタータ108を有する。リコイルスタータ108はリコイル操作ハンドル110を有し、作業者がリコイル操作ハンドル110を引き上げる操作を繰り返すことでクランクシャフト102aを強制的に且つ人為的に回転させてエンジンを起動することができる。
【0029】
2ストロークエンジン102の吸気系は、エアクリーナ112、ダイヤフラム式の気化器114、吸入管116とで構成されている。エアクリーナ112で濾過された外気が気化器114を通過することで混合気が生成され、生成された混合気は吸入管116を通じてエンジン102に供給される。
【0030】
なお、エアクリーナ112は、前述した吸気系負圧増大手段であるシャッタを有していない。
【0031】
図2は気化器114を示す。気化器114はチョークバルブを備えていない。このチョークバルブレスの気化器114は、メタリングチャンバ2に通じるスロー系燃料通路4とは別に補助燃料通路6を有している。メタリングチャンバ2に通じる補助燃料通路6を通る燃料の量は電磁弁8によって制御される。電磁弁8は、気化器114に内蔵されている。
【0032】
図2中、参照符号10はアイドルポートであり、12はスローポートである。これらアイドルポート10及びスローポート12は、従来と同様に、スロー系燃料通路4に通じており、また、スロットルバルブ34の近傍に開口している。補助燃料通路6は補助燃料吐出ポート14を有し、補助燃料吐出ポート14はスロットルバルブ34の近傍に配置されている。好ましくは、補助燃料吐出ポート14はアイドルポート10よりも下流側に位置しているのが良い。
【0033】
図2中、参照符号16はメインポートを示す。参照符号INはアイドル調整ニードル弁を示す。参照符号HNはハイスピード調整ニードル弁を示す。ハイスピード調整ニードル弁HNは、従来と同様に、高回転高負荷時にメインポート16から吐出される燃料供給を補助する燃料の量を調整するために設けられている。ハイスピード調整ニードル弁HNによって量の調整が可能な補助燃料はパワーポート(図示せず)から吐出される。
【0034】
気化器114は、従来の気化器の構成と次の点で異なっている。
(1)チョークバルブを備えていない。
(2)補助燃料通路6を有している。
(3)補助燃料通路6に通じる補助燃料吐出ポート14を有し、この補助燃料吐出ポート14は、アイドルポート10の下流側に位置している。
(4)補助燃料通路6を通る燃料の量は電磁弁8によって制御される。
なお、従来の気化器の構成は例えば特許文献4(JP特開昭59−218347号公報)を参照されたい。
【0035】
図示のダイヤフラム式気化器114の基本構成を説明すると次の通りである。チョークバルブレスの気化器114は燃料ポンプ20を備えている。燃料ポンプ20はダイヤフラム22を備えている。燃料ポンプ20は、エンジン本体のクランク室内の圧力変動によってダイヤフラム22を動作させる。このダイヤフラム22の動作によって燃料タンク(図示せず)から燃料を吸い上げる。燃料ポンプ20で吸い上げた燃料は強制的にメタリングチャンバ2に供給される。
【0036】
メタリングチャンバ2は、このメタリングチャンバ2の一側面がメタリングダイヤフラム26で規定されている。そしてメタリングダイヤフラム26の他の面は大気に解放されている。これにより、メタリングチャンバ2内の圧力は大気圧に維持される。
【0037】
気化器114は混合気生成通路30を有し、混合気生成通路30にはベンチュリー部32が形成されている。そして、ベンチュリー部32の下流側にスロットルバルブ34が配設されている。スロットルバルブ34はバルブ回転軸36に固定されている。バルブ回転軸36は混合気生成通路30を横断して延びている。
【0038】
図3ないし
図5は、例えばチェーンソーのハンドル40に配置されたセレクタ42を示す。セレクタ42は、連結ロッド44及びリンク46を介して、バルブ回転軸36に連結されている。作業者がセレクタ42を操作することにより、スロットルバルブ34がほぼ閉じた「アイドル位置」又はスロットルバルブ34が僅かに開いた「ファーストアイドル位置」に位置決めすることができる(
図4、
図5)。
【0039】
なお、セレクタ42は3つの位置を取ることができる。
図3はセレクタ42が「スイッチOFF位置」に位置決めされた状態を示す。この「スイッチOFF位置」を選択したときには、後述する点火装置128への電源供給が停止される。
図4はセレクタ42が「スイッチON位置」に位置決めされた状態を示す。この「スイッチON位置」では、後述する点火装置128への電源供給が可能な状態になる。また、スロットルバルブ34は上記「アイドル位置」に位置決めされる。
図5はセレクタ42が前述した「ファーストアイドル位置」に位置決めされた状態を示す。この「ファーストアイドル位置」では、上述したスイッチON状態が維持されると共にスロットルバルブ34が上記「アイドル位置」の開度よりも僅かに大きく開いた所定の開度となるように位置決めされる。
【0040】
図2に戻って、スロットルバルブ34は、従来と同様に、作業者が操作するスロットル制御トリガ50によって開閉される。気化器114は、特許文献3(USP 5,250,233号)及び4(JP特開昭59−218347号公報)などに開示の加速ポンプ52を好ましくは備えているのが良い。作業者がスロットル制御トリガ50を開き操作すると、これに連動してスロットルバルブ34が開く方向に回転すると共に、このスロットルバルブ34の回転に連動して加速ポンプ52が動作して、エンジン起動時の増量分の燃料が混合気生成通路30に供給される。
【0041】
気化器114はパージポンプ56を有する。パージポンプ56の構成は特許文献1(JP特開2008−64101号公報)に開示のパージポンプと実質的に同じである。パージポンプ56は、外部に露出して位置する可撓性パージ球体58を有する。この可撓性パージ球体58を反復的に押し下げることで燃料タンク内の燃料をメタリングチャンバ2に強制的に供給することができる。
【0042】
図1を参照して、作業機100は、マイコンなどによって構成された電子式コントローラ120を有する。コントローラ120は、2ストロークエンジン102の出力軸に組み込まれた発電機122が発生した電力によって駆動される。そして、この電子式コントローラ120によってエンジン起動時及びエンジン運転中の制御が行われる。コントローラ120には、エンジン温度を検出する温度センサ124及びエンジン回転数を検出する回転数センサ126から信号が入力される。コントローラ120から電磁弁8に制御信号が出力される。
【0043】
電磁弁によって補助燃料を増量制御する従来のチョークバルブレス気化器(特許文献8:JP特開昭57−16240号公報)との対比で、本発明を適用したチョークバルブレス気化器114の特徴は次の通りである。なお、JP特開昭57−16240号公報に開示のチョークバルブレス気化器はフロート式である。
【0044】
(1)気化器114はダイヤフラム式の気化器である。
(2)気化器114は加速ポンプ52を有する。
(3)気化器114はパージポンプ56を有する。
(4)気化器114は、その中に電磁弁8が組み込まれている。
(5)気化器114は、スロー系燃料通路4とは別に補助燃料通路6を有し、補助燃料通路6に電磁弁8が設けられている。
(6)補助燃料通路6に通じる補助燃料吐出ポート14はアイドルポート10の下流側に位置している。
(7)補助燃料通路6を通る燃料の量は、エンジン温度とエンジン回転数に基づいて制御される。
【0045】
なお、作業機100は、好ましくは、アイドル運転時に不用意に遠心クラッチ104が締結状態になるのを抑制する安全装置が組み込まれている。安全装置は、2ストロークエンジン102の点火装置128及び好ましくは気化器114の電磁弁8を制御することによりアイドル運転時のエンジン回転数を所定値に抑制する。すなわち、安全装置は、エンジン回転数の過度な上昇を抑える手段を備えている。この手段の具体例を例示すれば次の通りである。
【0046】
(1)点火装置128への電源供給を停止する失火制御を実行する。
(2)点火タイミングをリタードさせる遅角制御を実行する。
(3)過度に増量した燃料を混合気生成通路に吐出させる。
【0047】
エンジン回転数の上昇を抑えるための上記(1)〜(3)は択一的ではない。例えば(2)と(3)を組み合わせてもよい。
【0048】
図2を参照して、混合気生成通路30には、スロットルバルブ34の近傍に位置するアイドルポート10及びスローポート12並びにベンチュリー部32の近傍に位置するメインポート16などの全て又はその一部を通じて燃料が供給される。
【0049】
第1のエンジン起動方法(図6):
本発明を適用したエンジン102が冷えているときのエンジン起動方法の手順は次の通りである。
(第1ステップ)
パージポンプ56を複数回押し下げて、燃料タンク内の燃料を強制的に吸い上げて気化器114内の燃料供給系(メタリングチャンバ2など)を燃料で満たす。なお、この第1ステップは必ずしも必須ではない。
(第2ステップ)
セレクタ42を「スイッチON位置」にセットする。なお、第1ステップと第2ステップの順番を逆にして、上記パージポンプ56の押し下げ操作の前に、セレクタ42を「スイッチON位置」にセットしてもよい。
【0050】
(第3ステップ)
スロットル制御トリガ50を複数回操作して加速ポンプ52を動作させる。加速ポンプ52を複数回動作させることにより、補助燃料を混合気生成通路30に強制的に供給する。混合気生成通路30に供給された燃料は、混合気生成通路30の壁面に付着した状態になる。
【0051】
スロットル制御トリガ50の好ましい操作回数(例えば5回)を作業機操作マニュアルに記載して作業者に周知を徹底するのがよい。作業者は、エンジン起動時に行うスロットル制御トリガ50の操作に好ましい操作回数があることを知ることができる。
【0052】
なお、従来の作業機では、加速ポンプ52は作業中のスロットル制御トリガ50の加速操作に追従したエンジン動作を実現するために用いられていた。換言すれば、従来、エンジン起動時にスロットル制御トリガ50を操作することが禁止され、作業機操作マニュアルにもその旨の注意書きが記載されていた。すなわち、加速ポンプ52を動作させるということは、過剰な燃料を混合気生成通路30に供給することになりかねない。エンジン起動時に不用意に加速ポンプ52を動作させることは、これに伴って過剰な燃料が混合気生成通路30に供給されると、点火装置128の「濡れ」現象が発生しかねない。点火装置128が燃料で濡れると、エンジンが起動しない現象が発生し易くなる。このことを考慮して、従来はエンジン起動時にスロットル制御トリガ50を操作することを禁止していた。
【0053】
なお、作業中において、加速ポンプ52は、従来と同様に、加速時のエンジン102の追従性を高めることができる。
【0054】
(第4ステップ)
エンジン102が冷えている時には、セレクタ42を「ファーストアイドル位置」にセットする。これによりスロットルバルブ34は僅かに開いた状態になる。
【0055】
(第5ステップ)
リコイル操作ハンドル110を引き上げてリコイルスタータ108によってクランクシャフト102aを強制的に回転させる。この操作はエンジン102が起動するまで反復的に繰り返す。
【0056】
(第6ステップ)
エンジン102が起動したらセレクタ42を「ファーストアイドル位置」から「スイッチON位置」に戻す。これによりスロットルバルブ34は、ほぼ閉じたアイドル位置に戻る。
【0057】
この第1のエンジン起動方法によれば、電磁弁8が例えば固着していたとしても、エンジン102を確実に起動することができる。例えば電磁弁8が固着して補助燃料通路6からエンジン起動時の増量分の燃料を供給できない状態であっても、この増量分の燃料つまり補助燃料が上記第3ステップ(
図6)で実質的に混合気生成通路30に供給されているため、エンジンを起動することができる。
【0058】
なお、この第1のエンジン起動方法(
図6)は、電磁弁8を備えていない気化器、例えば特許文献1〜7に開示の気化器からチョークバルブを省いた気化器を搭載した2ストロークエンジンにも適用できる。
【0059】
すなわち、スロットルバルブ34だけのチョークバルブレス気化器を備えた2ストロークエンジンであれば、気化器が電磁弁8を有するか否かに関わりなく、第1のエンジン起動方法(
図6)を適用することができる。
【0060】
第2のエンジン起動方法(図7):
第2のエンジン起動方法は、電磁弁8の動作に依存している。したがってセレクタ42によってスロットルバルブ34を「ファーストアイドル位置」や「アイドル位置」にセットする操作は必須ではない。
【0061】
(第1ステップ)
パージポンプ56を複数回押し下げて、メタリングチャンバ2を燃料で満たす。
(第2ステップ)
セレクタ42を「スイッチON位置」にセットする。なお、第1ステップと第2ステップの順番を逆にしてもよい。
【0062】
(第3ステップ)
リコイル操作ハンドル110を引き上げる。この操作はエンジン102が起動するまで繰り返す。
【0063】
エンジン102が起動すると、これに伴って発電機122からコントローラ120に電源が供給され、エンジン起動制御が実行される。このエンジン起動制御によって、エンジン温度及びエンジン回転数に基づいて適量のエンジン起動に必要とされる増量した燃料つまり補助燃料が混合気生成通路30に供給される。
【0064】
電磁弁8を使ったエンジン起動制御は、例えばスロットル制御トリガ50を作業者が操作したときに解除される(燃料増量制御解除)。
【0065】
パージポンプ56を使って事前に燃料供給系を燃料で満たしてあるため、基本的に、リコイル操作ハンドル110の操作だけでエンジンを起動できる。すなわち、チョークバルブを備えた従来の気化器では、チョークバルブを閉じて吸気系の負圧を増大させることでエンジン起動時の燃料増量を行っていた。実施例によれば、チョークバルブ無しであってもエンジン102を起動できるだけでなく、このエンジン起動の確実性を向上することができる。
【0066】
図8、
図9は温度センサ124の好ましい設置位置を説明する。上述した温度センサ124は、伝熱性金属で形成されたスリット付きスリーブ130を備えたワッシャ132に固定される(
図9)。
【0067】
図8は、温度センサ124の配置を説明するための図である。参照符号102aは2ストロークエンジン102の出力軸(クランクシャフト)を示す。クランクシャフト102aにはファンロータ136が固定されている。ファンロータ136は、その周面に磁石138が固設されている。
【0068】
電子コントローラ120はファンロータ136の上方に且つこれに隣接して位置決めされている。電子コントローラ120は、下方に延びる鉄心140を有する。鉄心140と上記磁石138は発電機122の主要部を構成する。
【0069】
電子コントローラ120は、2ストロークエンジン102の上部つまりシリンダにベースプレート142を介して固定される。2ストロークエンジン102はシリンダにボス102bを有する。ボス102bはネジ穴を有する。ベースプレート142はボス102bに断熱性スリーブ144を介して固定される。
図8の参照符号146はボルトを示す。
図8から分かるように、温度センサ124(ワッシャ132)はベースプレート142と共にボス102bにボルト止めされる。
【0070】
図8は、ワッシャ132、断熱性スリーブ144、ベースプレート142の順にボス102bにボルト止めした例を図示しているが、この配置例に限定されない。例えば、ボス102b側から順に断熱性スリーブ144、ワッシャ132、ベースプレート142を配置してもよい。また、ボス102b側から順に断熱性スリーブ144、ベースプレート142、ワッシャ132を配置してもよい。
【0071】
伝熱性ワッシャ132をエンジン上部つまりシリンダに実質的に直に配置することでエンジン温度を精度良く且つ実際のエンジン温度の変化に迅速に反応してエンジン温度を検出することができる。また、コントローラ120をエンジン102に搭載するためのボス102bを使って温度センサ124を設置するため、温度センサ124を設置するために別途、ボスなどを用意する必要がない。
【0072】
第3のエンジン起動方法(図10):
(第1ステップ)
パージポンプ56を複数回押し下げて、メタリングチャンバ2を燃料で満たす。なお、この第1ステップは必ずしも必須ではない。
(第2ステップ)
セレクタ42を「スイッチON位置」にセットする。なお、第1ステップと第2ステップの順番を逆にしてもよい。
【0073】
(第3ステップ)
エンジン102が冷えている時には、セレクタ42を「ファーストアイドル位置」にセットする。これによりスロットルバルブ34は僅かに開いた状態になる。変形例として、スロットルバルブ34(セレクタ42)を「ファーストアイドル位置」にセットする代わりに「アイドル位置」にセットしてもよい。
【0074】
(第4ステップ)
リコイル操作ハンドル110を引き上げる。この操作はエンジン102が起動するまで繰り返す。エンジン102が起動すると、電磁弁8による燃料増量制御が実行される。
【0075】
(第5ステップ)
エンジン102が起動したらセレクタ42を「ファーストアイドル位置」から「スイッチON位置」に戻す。このセレクタ42の戻り動作は、スロットル制御トリガ50の操作に連動させるのが好ましい。スロットル制御トリガ50の操作により、電磁弁8による燃料増量制御が解除される。
【0076】
第4のエンジン起動方法(図11):
(第1ステップ)
パージポンプ56を複数回押し下げて、メタリングチャンバ2を燃料で満たす。なお、この第1ステップは必ずしも必須ではない。
(第2ステップ)
セレクタ42を「スイッチON位置」にセットする。なお、第1ステップと第2ステップの順番を逆にしてもよい。
【0077】
(第3ステップ)
スロットル制御トリガ50を複数回(例えば5回)操作して加速ポンプ52を動作させる。加速ポンプ52を複数回動作させることにより、補助燃料を混合気生成通路30に強制的に供給する。
【0078】
(第4ステップ)
エンジン102が冷えている時には、セレクタ42を「ファーストアイドル位置」にセットする。これによりスロットルバルブ34は僅かに開いた状態になる。変形例として、スロットルバルブ34(セレクタ42)を「ファーストアイドル位置」にセットする代わりに「アイドル位置」にセットしてもよい。なお、この第4ステップは省いてもよい。
【0079】
(第5ステップ)
リコイル操作ハンドル110を引き上げる。この操作はエンジン102が起動するまで繰り返す。エンジン102が起動すると、電磁弁8による燃料増量制御が実行される。
【0080】
仮に電磁弁8が固着して補助燃料通路6からエンジン起動時の増量分の燃料を供給できない状態であっても、この増量分の燃料つまり補助燃料が上記第3ステップ(
図11)で実質的に混合気生成通路30に供給されているため、エンジンを起動することができる。
【0081】
(第6ステップ)
エンジン102が起動したらセレクタ42を「ファーストアイドル位置」から「スイッチON位置」に戻す。このセレクタ42の戻り動作は、スロットル制御トリガ50の操作に連動させるのが好ましい。スロットル制御トリガ50の操作により、電磁弁8による燃料増量制御が解除される。
【0082】
チェーンソー、刈り払い機、ヘッジトリマーなどの刃物を備えた作業機において上記第1ないし第4のエンジン起動方法を採用するとき、特に、エンジン起動時にスロットルバルブ34を僅かに開いた「ファーストアイドル位置」に位置決めするとき、エンジン回転数が高くなり、これにより遠心クラッチ104が締結して刃物106が動作してしまうのを回避するのが好ましい。このための安全制御は例えば特許文献5(JP特開2010−151125号公報)に詳しく説明されている。
【0083】
安全制御はエンジン起動時にコントローラ120によって実行される。
図12に例示するフローチャートを参照して説明すると、ステップS1でフラグが「1」であるか否かが判別される。ここにフラグはエンジン起動時に限定して「1」がセットされる。エンジン起動が終わるとフラグは「0」にリセットされる。
【0084】
エンジン起動時では、エンジン回転数(rpm)が検出され(S2)、エンジン回転数が所定値に達すると失火制御つまり点火装置128の点火を停止する制御が実行される(S3、S4)。ここに、所定値は、遠心クラッチ104が締結する回転数よりも低く且つアイドル回転数よりも高い数値に設定される。
【0085】
この安全制御は、作業者がスロットル制御トリガ50を操作するなど作業機が運用状態に移行したときに解除される(S5)。
【0086】
以上、本発明に従う複数の実施例を説明した。作業者が操作するセレクタ42とスロットルバルブ34との機械的な連携機構は、チョークバルブを備えた従来の気化器では周知である。従来の連携機構は、セレクタを操作することで、チョークバルブが全閉位置に位置決めされ、また、スロットルバルブが「ファーストアイドル位置」に位置決めされる。
【0087】
この従来のチョークバルブを備えた気化器を組み込んだ2ストロークエンジンに本発明を適用する場合、チョークバルブの例えば半分を切り欠いて実質的にチョークバルブの機能を失わせればよい。これにより、チョークバルブを備えた従来から周知の気化器の基本構造を使ったチョークバルブレス気化器を作ることができる。また、スロットルバルブとセレクタとの従来の連携機構をそのまま使うことができる。このことは、エアクリーナ112にシャッタを設けた従来の2ストロークエンジンに本発明を適用する場合にも言える。すなわち、シャッタに切り欠きを設けることで、シャッタの機能を実質的に失わせた構成を採用することで本発明を適用することができる。