特許第6572084号(P6572084)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572084
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】X線撮影装置用筺体
(51)【国際特許分類】
   G03B 42/04 20060101AFI20190826BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20190826BHJP
   G01T 7/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   G03B42/04 A
   A61B6/00 300W
   A61B6/00 300T
   G01T7/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-195861(P2015-195861)
(22)【出願日】2015年10月1日
(65)【公開番号】特開2017-68161(P2017-68161A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004743
【氏名又は名称】日本軽金属株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】502444733
【氏名又は名称】日軽金アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】上村 雄介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 俊明
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0109461(KR,A)
【文献】 国際公開第2014/034877(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第103675883(CN,A)
【文献】 特表2014−500962(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0112099(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0217301(US,A1)
【文献】 登録実用新案第3131827(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0032857(US,A1)
【文献】 実開昭59−056600(JP,U)
【文献】 特開2013−040784(JP,A)
【文献】 特開平06−194451(JP,A)
【文献】 特開平09−243792(JP,A)
【文献】 特開2005−024443(JP,A)
【文献】 特開2010−281753(JP,A)
【文献】 特開2013−120851(JP,A)
【文献】 特開2012−211866(JP,A)
【文献】 特開2012−103268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 42/00 − 42/08
G21F 1/00 − 7/06
A61B 6/00 − 6/14
G01T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線照射装置に対向して配置されるX線撮影装置の外枠を構成するX線撮影装置用筐体であって、
X線照射装置から離れた側に位置する背面板を有し、
前記背面板は、アルミニウムを母材としX線を吸収するX線吸収材料を含有するアルミニウム合金製の遮蔽材からなり、
前記X線吸収材料は、タングステンである
ことを特徴とするX線撮影装置用筐体。
【請求項2】
前記背面板から立ち上がる側面板を有し、
前記側面板は、アルミニウムを母材としX線を吸収するX線吸収材料を含有するアルミニウム合金製の遮蔽材からなる
ことを特徴とする請求項1に記載のX線撮影装置用筐体。
【請求項3】
前記遮蔽材は、2枚のスキン材でコア材を挟んだ両面クラッド構造であって、
前記スキン材は、アルミニウム合金製板材からなり、
前記コア材は、アルミニウムとタングステンからなる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のX線撮影装置用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線撮影装置用筺体に関する。
【背景技術】
【0002】
X線検出により画像情報を記録する媒体を収納する筺体などの機器において、X線撮影装置に照射されたX線が背面の外側に漏れるのを防止するために遮蔽体が必要とされている。遮蔽体には、主に、鉛、モリブデンやタングステン等の材料が使用されていた(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−281753
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、それぞれの材料の強度、加工性や使用規制の問題により、さらなる改良が求められている。具体的には、鉛は環境負荷が高いことや強度が低いために材料として単体での使用が困難であり、モリブデンは加工性が低く、部材の大型化が困難であるなどの問題があった。
【0005】
このような観点から本発明は、遮蔽性能を有するとともに強度が高く且つ加工性が良好であるX線撮影装置用筺体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、X線照射装置に対向して配置されるX線撮影装置の外枠を構成するX線撮影装置用筐体であって、X線照射装置から離れた側に位置する背面板を有し、前記背面板は、アルミニウムを母材としX線を吸収するX線吸収材料を含有するアルミニウム合金製の遮蔽材からなり、前記X線吸収材料は、タングステンであることを特徴とするX線撮影装置用筐体である。
【0007】
このような構成によれば、遮蔽材の母材をアルミニウム合金製としたので、強度が低いX線吸収材料や加工性が悪いX線吸収材料を含有させても、強度が高く且つ加工性が良好な遮蔽材を確保できる。さらに、X線吸収材料がタングステンであるため、高い遮蔽性能を確保できる。
【0008】
かかるX線撮影装置用筺体においては、前記背面板から立ち上がる側面板を有し、前記側面板は、アルミニウムを母材としX線を吸収するX線吸収材料を含有するアルミニウム合金製の遮蔽材からなるものが好ましい。このような構成によれば、遮蔽性能をさらに高めることができる。また、背面板と側面板とを一体構造として、曲げ加工で筺体を形成すれば、剛性の高い筺体を容易に製造できる。
【0010】
さらに、前記遮蔽材は、2枚のスキン材でコア材を挟んだ両面クラッド構造であることが好ましい。この場合、前記スキン材は、アルミニウム合金製板材が好適であり、前記コア材は、アルミニウムとタングステンからなるものが好適である。このような構成によれば、加工性、強度、熱放射性に優れた遮蔽材を確保できる。また、ハンドリング性にも優れているため、筐体の加工を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遮蔽性能を有するとともに強度が高く且つ加工性が良好であるX線撮影装置用筺体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を用いたX線撮影装置の使用状態を示した側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を用いたX線撮影装置を示した分解斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した斜視図である。
図4】(a)は図3のA−A線断面図、(b)は図3のB−B線断面図である。
図5】本発明の第二の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した断面図である。
図6】(a)は本発明の第三の実施形態に係るX線撮影装置用筺体の摩擦攪拌加工の状態を示した断面図、(b)は本発明の第三の実施形態に係るX線撮影装置用筺体の曲げ加工後の状態を示した断面図である。
図7】本発明の第四の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した分解斜視図である。
図8】本発明の第五の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した断面図である。
図9】本発明の第六の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した断面図である。
図10】本発明の第七の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第一の実施形態>
本発明の実施形態に係るX線撮影装置用筺体を、添付した図面を参照しながら説明する。本実施形態のX線撮影装置は、ポータブルタイプの撮影装置であって、病院等でレントゲン撮影を行う際に用いられる。図1に示すように、X線撮影装置1は、X線照射装置2の下部に設けられたベッド3上に載置される。X線撮影装置1は、X線照射装置2に対向して配置される。X線撮影装置1の上には被写体となる患者が横になる。
【0014】
図2に示すように、X線撮影装置用筺体10は、X線撮影装置1の外枠を構成する。X線撮影装置用筺体10の内部には、X線の強度分布を検出する二次元の検出面を有するX線検出器5が収容されている。X線検出器5としては、X線フィルムや蓄積性蛍光体シートなどが用いられる。X線撮影装置用筺体10は、平面視矩形形状を呈する箱状であり、背面板11と側面板12と蓋板13とを備えている。
【0015】
背面板11と側面板12は、一体的に形成されるか、あるいは互いに接合されている。背面板11と側面板12とで有底筒状の箱部14を構成している。蓋板13は、箱部14の開口部を覆うように設けられる。蓋板13は、例えばアルミニウム合金材などの金属材からなり、X線の遮蔽性能は備えていない。本実施形態では、X線照射装置2から離れた側に位置する背面板11(底板)と、背面板11の周縁部から立ち上がる側面板12(壁板)の両方が遮蔽材にて構成されている。
【0016】
図4に示すように、遮蔽材は、板状に形成された部材であって、アルミニウムを母材とし、X線を吸収するX線吸収材料を含有するアルミニウム合金からなる。具体的には、遮蔽材は、2枚のスキン材15,15にコア材16を挟み込んだ両面クラッド構造の金属複合材からなる。スキン材15は、アルミニウム合金製板材からなり、コア材16は、アルミニウムとタングステン(X線を吸収するX線吸収材料)からなる。アルミニウムとタングステンはそれぞれ粉末状態のものを混合する。遮蔽材は、スキン材とコア材とを熱間圧延にて一体とすることで形成されている。以下に遮蔽材(遮蔽板)の具体的な構成と製造工程を説明する。
【0017】
遮蔽材を形成するに際しては、まず、アルミニウム合金を圧延してケース状に形成されたスキン材内に、アルミニウム粉末とタングステン粉末とを混合させたコア材を充填する。このとき、タッピングを行いながら、コア材の空隙率を減少させる。その後、他方のスキン材で粉末を覆い、枠材で四周を囲む。その後、予熱、圧延、平坦化の手順で一体に熱間圧延する。最後に枠材を切断して、X線の遮蔽性能を有する遮蔽材が形成される。このような遮蔽材は、タングステンを含有しているので、X線の遮蔽性能を有している。コア材におけるタングステン粉末の混合量を増加すると、X線の遮蔽性能が高くなる。なお、コア材に、ホウ素(B4C)粉末を追加すれば、中性子線の遮蔽性能を付与することができる。また、遮蔽材は、アルミニウムを含有しているので、加工性および耐食性に優れる。さらに、コア材は、アルミニウム粉末とタングステン粉末とを一様に混合させることができるため、均一的な遮蔽性能を得ることができる。
【0018】
以下、背面板11と側面板12との境界部分について説明する。本実施形態では、図3に示すように、四面の側面板12のうち、背面板11の長手方向に延在する一対の側面板12a,12aは、背面板11から連続している。図4(a)にも示すように、側面板12a,12aは、一枚の板状の遮蔽材の両端部を直角に曲げ加工することで形成されている。背面板11と側面板12aとの境界部分は、所定の曲率半径で湾曲している。
【0019】
図3および図4(b)に示すように、背面板11の短手方向に延在する側面板12b,12bは、背面板11の表面(上面)に接合されている。側面板12bの下端面に接着剤が塗布されていて、側面板12bの下端面が、下側に位置する背面板11の表面に貼り付けされている。側面板12bの側端面にも接着材が塗布されていて、側面板12bの側端面が、直交方向に隣り合う側面板12aの表面(内側面)に貼り付けられている。なお、接着に代えて溶接によって接合する場合は、側面板12bのスキン材と背面板11のスキン材とを溶接し、側面板12bの側端部では、側面板12bのスキン材と側面板12aのスキン材とを溶接する。溶接長さは、必要な強度に応じて決定される。
【0020】
<第二の実施形態>
図5に示すように、第二の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、背面板11が遮蔽材にて構成され、側面板12が蔽性能を備えない材料にて構成されている。側面板12は、たとえばアルミニウム合金材などの金属材からなる。なお、側面板12の材質は、前記構成に限定されるものではなく、必要な強度を備えていればスチールなどの他の金属であってもよい。側面板12は、接着または溶接によって背面板11に接合されている。側面板12は、接着または溶接によって隣接する側面板12にも接合されている。
【0021】
<第三の実施形態>
図6に示すように、第三の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、背面板11と側面板12とが遮蔽材にて構成され、摩擦攪拌接合と曲げ加工を組み合わせて背面板11と側面板12とが接合されている。本実施形態では、図6(a)に示すように、まず、三枚の遮蔽材を平に並べ、中央の遮蔽材(背面板11(引出線を仮想線にて図示)を構成する遮蔽材)と両端の遮蔽材(側面板12(引出線を仮想線にて図示)を構成する遮蔽材)との間に突合部20を形成する(図6(a)の右側部分参照)。突合部20では、隣り合うスキン材15同士が当接するとともに、隣り合うコア材16同士が当接している。次に、遮蔽材の突合部20に、回転ツール21を回転させながら挿入した後、突合部20に沿って移動させる(図6(a)の左側部分参照)。すると、回転ツール21の周囲には塑性化領域22が形成される。これによって、隣り合う遮蔽材同士が一体化される。その後、図6(b)に示すように、両端の遮蔽材を、中央の遮蔽材に対して直角になるように曲げ加工する。曲げ加工は、塑性化領域22の幅が広い側(回転ツール21が押し込まれる側)が外側になるように折り曲げる。なお、曲げ加工は、塑性化領域22を冷却する前に行ってもよいし、冷却した後に行ってもよい。
【0022】
<第四の実施形態>
図7に示すように、第四の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、側面板12に形成されたほぞ23が、背面板11の端部の受部24に係止されている。本実施形態では、背面板11と側面板12とが遮蔽材にて構成されている。ほぞ23は、側面板12の下端部に形成されていて、下側が広がった台形形状を呈している。ほぞ23は、側面板12の延在方向に沿って所定の間隔をあけて複数列配列されている。隣り合うほぞ23,23間には、上側が広がった台形形状の空間が形成されている。受部24は、背面板11の端部において、側面板12の延在方向に沿って所定の間隔をあけて複数配列されている。受部24は、隣り合うほぞ23,23間の空間と同等の断面形状(上側が広がった台形形状)を呈しており、ほぞ23,23間に嵌合される。受部24の上側は、スキン材15が切除されていて、背面板11のコア材16と側面板12のコア材16が当接するようになっている。これによって、背面板11と側面板12との接合部分の遮蔽性が高められている。なお、本実施形態において、背面板11が遮蔽材にて構成され、側面板12が蔽性能を備えない材料にて構成されていてもよい。
【0023】
<第五の実施形態>
図8に示すように、第五の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、側面板12に形成されたほぞ25が、背面板11の端部の溝部26に係止されている。本実施形態では、背面板11と側面板12とが遮蔽材にて構成されている。ほぞ25の断面形状は、下側が広がった台形形状を呈している。ほぞ25は、側面板12の延在方向に沿って延在している。溝部26は、背面板11の上面部に形成されている。溝部26の断面形状は、ほぞ22と同等の断面形状(下側が広がった台形形状)を呈している。溝部26には、ほぞ22が嵌合される。溝部26には、ほぞ22が水平方向から挿入される。溝部26の底部は、コア材16に達している。ほぞ25はコア材16にて構成されていて、側面板12から背面板11の内部に入り込んでいるので、背面板11と側面板12との接合部分も高い遮蔽性を有している。
【0024】
<第六の実施形態>
図9に示すように、第六の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、背面板11と側面板12とが外周接続金具27を介して接続されている。外周接続金具27は、断面U字形状を呈しており、背面板11と側面板12,12を外側から覆っている。外周接続金具27は、たとえばスチール製の板材にて構成されている。外周接続金具27の底面部27aには、背面板11がボルトBおよびナットNにて固定されている。外周接続金具27の側面部27bには、側面板12がボルトBおよびナットNにて固定されている。ボルトBおよびナットNは、所定ピッチで複数設けられている。このような構成によれば、背面板11と側面板12とを容易に固定できるとともに、固定強度を高めることができる。
【0025】
<第七の実施形態>
図10に示すように、第七の実施形態に係るX線撮影装置用筺体は、背面板11と側面板12とが内周接続金具28を介して接続されている。内周接続金具28は、断面L字形状を呈しており、背面板11と側面板12との接続部分を内側から覆っている。内周接続金具28は、たとえばスチール製の板材にて構成されている。内周接続金具28は、背面板11の両端部にそれぞれ設けられている。内周接続金具28の底面部28aには、背面板11がボルトBおよびナットNにて固定されている。内周接続金具28の側面部28bには、側面板12がボルトBおよびナットNにて固定されている。ボルトBおよびナットNは、所定ピッチで複数設けられている。このような構成によれば、背面板11と側面板12とを容易に固定できるとともに、固定強度を高めることができる。
【0026】
以上のような構成のX線撮影装置用筺体10によれば、背面板11と側面板12を構成する遮蔽材が、アルミニウムを母材とするアルミニウム合金から構成されているので、X線吸収材料のみで構成されたものよりも強度が高く且つ加工性が良好となる。つまり、遮蔽材は、アルミニウム合金の強度が比較的高いことによって、強度が低いX線吸収材料を混練させても高い強度とすることができる。さらに、遮蔽材は、アルミニウム合金の加工性が良好であることによって、加工性が悪いX線吸収材料を混練させても加工性を良好とすることができる。
【0027】
第一、第三〜第七の本実施形態では、背面板11のみならず、背面板11から立ち上がる側面板12も遮蔽材にて構成しているので、遮蔽性能をさらに高めることができる。また、第一および第三の本実施形態のように、背面板と側面板とを一体構造として、曲げ加工で筺体を形成すれば、筺体の剛性をより一層高めることができる。
【0028】
また、第一〜第七の実施形態では、2枚のスキン材15にコア材16を挟み込んだ両面クラッド構造の遮蔽材を使用しているので、強度を大幅に高められる。スキン材15は、アルミニウム合金製板材からなるとともに、コア材16は、アルミニウムとタングステンからなり、前記遮蔽材は、スキン材とコア材とを熱間圧延にて一体とすることで形成されているので、加工性、強度、熱放射性に優れた遮蔽材を確保できる。また、アルミニウムとタングステンはそれぞれ粉末状態のものを混合しているので、十分に混ざり合っている。したがって、材料に偏りがない一様な均一性能の遮蔽材を得られる。
【0029】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能である。たとえば、前記実施形態では、X線を吸収するX線吸収材料としてタングステンを使用しているが、これに限定されるものではない。たとえば、モリブデンや鉛などの他の材料を用いてもよい。
また、遮蔽材の製造方法は、前記実施形態に限定されるものではなく、他の製造方法で遮蔽材を製造してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 X線撮影装置
2 X線照射装置
10 X線撮影装置用筺体
11 背面板
12 側面板
15 スキン材
16 コア材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10