特許第6572088号(P6572088)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572088
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20190826BHJP
   B60C 15/00 20060101ALI20190826BHJP
【FI】
   B60C15/06 N
   B60C15/06 B
   B60C15/00 K
   B60C15/06 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-199345(P2015-199345)
(22)【出願日】2015年10月7日
(65)【公開番号】特開2017-71294(P2017-71294A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 光太郎
【審査官】 増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−155208(JP,A)
【文献】 特表2002−507516(JP,A)
【文献】 特開2012−046156(JP,A)
【文献】 特開2003−191723(JP,A)
【文献】 特開2012−106531(JP,A)
【文献】 特開平10−329513(JP,A)
【文献】 特開2002−331810(JP,A)
【文献】 特開2013−001223(JP,A)
【文献】 特開昭63−110006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/06
B60C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビードコアを有するビード部と、
スチールコードを有し、前記ビード部において前記ビードコアに巻き上げられるカーカスと、
前記ビード部において前記カーカスの外側に配置され、スチールコードを有する内側チェーハ及び外側チェーハと、を備え、
前記内側チェーハ及び外側チェーハの両端は、自然状態にてタイヤ子午線断面において前記ビードコアの最下端よりも上方に配置されており、
前記内側チェーハ及び外側チェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して互いに逆方向に傾斜して交差しており、
前記内側チェーハ及び外側チェーハのうち一方のチェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して+15°〜+35°の角度を有し、他方のチェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して−40°〜−70°の角度を有する、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記内側チェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して+15°〜+35°の角度を有する、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記内側チェーハの巻き込み側端は、タイヤ子午線断面において前記カーカスの巻き上げ端よりも上方に配置されており、
前記外側チェーハの巻き込み側端は、タイヤ子午線断面において前記ビードコアの最上端よりも下方に配置されている、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記内側チェーハの巻き上げ端と前記カーカスの間には、周囲のゴムよりも硬度の高い緩衝ゴムが配置されており、
前記緩衝ゴムの上端は、前記カーカスの巻き上げ端より上方に配置されており、
前記緩衝ゴムの下端は、前記ビードコアの最下端よりも上方で且つ前記内側チェーハの巻き上げ端よりも下方に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ビード故障及びリム接触部の摩耗を低減する空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
トラックやバスなどに使用される重荷重用空気入りタイヤは、ラジアルタイヤであり、タイヤ軸を中心として放射状に配置されるスチールコードを有するカーカスを有する。カーカスは、ビードコアに巻き上げられる。重荷重用タイヤにおいて、カーカスの張力によりビードコアに回転モーメントが発生し、カーカスの巻き上げ端に応力が集中し、巻き上げ端のセパレーションを伴うビードの故障が発生しやすい。
【0003】
特許文献1では、スチールカーカスの外側に、内側スチールチェーハ及び外側スチールチェーハを配置し、両スチールチェーハのコードを交差させたタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−155208号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
重荷重用タイヤにおいては、ビード部のうちリムとの接触部分(主にリム底面)に生じる応力によって摩耗が発生しやすい。ところが、上記特許文献1を含め、リム接触部の摩耗を低減することについては何ら開示がない。
【0006】
本開示は、このような課題に着目してなされたものであって、その目的は、ビード故障及びリム接触部の摩耗を低減する空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、上記目的を達成するために、次のような手段を講じている。
【0008】
すなわち、本開示の空気入りタイヤは、
ビードコアを有するビード部と、
スチールコードを有し、前記ビード部において前記ビードコアに巻き上げられるカーカスと、
前記ビード部において前記カーカスの外側に配置され、スチールコードを有する内側チェーハ及び外側チェーハと、を備え、
前記内側チェーハ及び外側チェーハの両端は、自然状態にてタイヤ子午線断面において前記ビードコアの最下端よりも上方に配置されており、
前記内側チェーハ及び外側チェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して互いに逆方向に傾斜して交差しており、
前記内側チェーハ及び外側チェーハのうち一方のチェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して+15°〜+35°の角度を有し、他方のチェーハのスチールコードは、前記カーカスのスチールコードに対して−40°〜−70°の角度を有する。
【0009】
このように、内側チェーハ及び外側チェーハの両端がビードコアの最下端よりも上方に配置され、ビードコアがチェーハに包まれており、内側チェーハ及び外側チェーハのコードがカーカスのスチールコードに対して互いに逆方向に傾斜して交差しているので、カーカスの張力により発生する回転モーメントを抑制し、カーカスの巻き上げ端に生じるせん断応力を低減して、端部のセパレーションを伴うビード部の故障を低減できる。それでいて、内側チェーハ及び外側チェーハを上記角度範囲にて交差させると、双方のチェーハのコードの交差角度が直角に近くなり、面方向に対する剛性を確保でき、リムフランジとの接触面の摩耗を低減することが可能となる。また、面方向に対する剛性の確保によって発熱が抑制されるので、ビード部の故障を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示における一実施形態のビード部を示すタイヤ子午線断面図。
図2A】本実施形態において、内側チェーハ、外側チェーハ、及びカーカス4のスチールコードの関係を模式的に示す図。
図2B】特許文献1に記載のタイヤにおいて、内側チェーハ、外側チェーハ、及びカーカス4のスチールコードの関係を模式的に示す図。
図3】本開示における他の実施形態のビード部を示すタイヤ子午線断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態の空気入りタイヤについて、図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示すように、空気入りタイヤは、一対のビード部1と、各々のビード部1からタイヤ径方向RD外側に延びるサイドウォール部2と、両サイドウォール部2のタイヤ径方向RD外側端に連なるトレッド部(非図示)とを備える。ビード部1は、鋼線等の収束体をゴム被覆してなる環状のビードコア1aと、硬質ゴムからなるビードフィラー1bと、を有する。
【0013】
また、このタイヤは、トレッド部からサイドウォール部2を経てビード部1に至るトロイド状のカーカス4を備える。カーカス4は、一対のビード部同士1の間に設けられ、その端部4aがビードコア1aに巻き上げられている。カーカス4は、タイヤの軸を中心として放射状に延びるスチールコードC4と、スチールコードC4を被覆するトッピングゴムと、を有する。すなわち、ラジアルタイヤである。スチールコードC4は、タイヤ子午線断面に沿っている。カーカス4の内側には、空気圧を保持するためのインナーライナーゴム5が配置されている。
【0014】
サイドウォール部2におけるカーカス4の外側には、サイドウォールゴム6が設けられている。また、ビード部1におけるカーカス4の外側には、リム装着時にリム(図示しない)と接するリムストリップゴム7が設けられている。
【0015】
トレッド部におけるカーカス4の外側には、カーカス4を補強するためのベルトと、ベルト補強材と、トレッドゴムとが内側から外側に向けて順に設けられている。ベルトは、複数枚のベルトプライにより構成されている。ベルト補強材は、タイヤ周方向に延びるコードをトッピングゴムで被覆して構成されている。ベルト補強材は、必要に応じて省略しても構わない。
【0016】
ビード部1においてカーカス4の外側には、スチールコードを有する内側チェーハ8及び外側チェーハ9が設けられている。ビードコア1aの径方向内側RD1(下方)を内側チェーハ8及び外側チェーハ9で包んで補強するために、内側チェーハ8及び外側チェーハ9の両端8a、8b、9a、9bは、タイヤをリム組みしていない自然状態にてタイヤ子午線断面においてビードコア1aの最下端(最下端を通る仮想水平線L1)よりも上方(径方向外側RD2)に配置されている。
【0017】
図2Aは、内側チェーハ8のスチールコードC8、外側チェーハ9のスチールコードC9、及びカーカス4のスチールコードC4の関係を模式的に示す図である。図2Aに示すように、カーカス4のスチールコードC4は、周方向CDに直角であり、幅方向WDに沿っている。内側チェーハ8のスチールコードC8及び外側チェーハ9のスチールコードC9は、カーカス4のスチールコードC4に対して互いに逆方向に傾斜して交差している。本実施形態では、内側チェーハ8のスチールコードC8は、カーカス4のスチールコードC4に対して+25°の角度αを有する。外側チェーハ9のスチールコードC9は、カーカス4のスチールコードC4に対して−55°の角度βを有する。勿論、これに限定されない。内側チェーハ8のスチールコードC8は、カーカス4のスチールコードC4に対して+15°〜+35°の角度αを有していればよい。外側チェーハ9のスチールコードC9は、カーカス4のスチールコードC4に対して−40°〜−70°の角度βを有していればよい。
【0018】
本実施形態では、内側チェーハ8のスチールコードC8は、カーカス4のスチールコードC4に対して+15°〜+35°の角度を有するようにしているが、内側チェーハ8と外側チェーハ9とを入れ替えてもよい。すなわち、内側チェーハ8の角度αが−40°〜−70°であり且つ外側チェーハ9の角度βが+15°〜+35°となるようにしてもよい。
【0019】
図2Bは、特許文献1に記載されている内側チェーハ及び外側チェーハの角度を示すものである。内側チェーハのコードC8’及び外側チェーハのコードC9’は、カーカスのコードC4に対して互いに逆方向に傾斜して交差している点で同じであるが、その傾斜角度α’の大きさは同じである。
【0020】
図2A及び図2Bを比べれば、スチールチェーハ8、9のコードC8、C9の交差角度について、図2Bよりも図2Aの方がより直角に近くなる。図2Aでは、交差角度が55°〜105°であり、90°に対する差が−35°〜+15°となる。一方、図2Bでは、交差角度が30°〜70°であり、90°に対する差が−60°〜−20°となる。図2Aの方が、図2Bよりも90°に対する差が少ない範囲に抑えられる。双方のチェーハ8、9のスチールコードC8、C9の交差角度が直角に近くなれば、面方向に対する剛性を確保できるので、リムフランジとの接触部分1cに生じる応力を低減でき、摩耗を低減することが可能となる。さらに、面方向に対する剛性を確保すれば、発熱が抑制されるので、ビード部の故障を低減できる。
【0021】
本実施形態では、内側チェーハ8及び外側チェーハ9のスチールコードC8、C9の交差角度(α+β)は80°であれば、これに限定されない。例えば、交差角度(α+β)は、80°〜100°にすれば好ましい。
【0022】
図1に示すように、内側チェーハ8の巻き込み側端8bは、仮想水平線L1よりも上方であればよいが、タイヤ子午線断面においてカーカス4の巻き上げ端4a(仮想水平線L2)よりも上方(径方向外側RD2)に配置されているのが好ましい。このようにすれば、カーカス4の巻き上げ端4aに作用する応力を内側チェーハ8の巻き込み側端8bに負担させることができ、負荷を分散させ、カーカス4の巻き上げ端4aでのセパレーションを抑制し、ビード部1の故障を低減できる。
【0023】
さらに、図1に示すように、外側チェーハ9の巻き込み側端9bは、仮想水平線L1よりも上方であればよいが、タイヤ子午線断面においてビードコア1aの最上端(仮想水平線L3)よりも下方(径方向内側RD1)に配置されているのが好ましい。このようにすれば、外側チェーハ9の巻き込み側端9bと内側チェーハ8の巻き込み側端8bを離間させることができ、巻き込み側(幅方向内側WD1)における応力を分散でき、ビード部1の故障を低減することができる。
【0024】
図1に示すように、巻き上げ側(幅方向外側WD2)における応力を分散させるために、外側チェーハ9の巻き上げ端9a、内側チェーハ8の巻き上げ端8a、及びカーカス4の巻き上げ端4aが、下方から上方に向けて順に配置されており、各々の巻き上げ端9a、8a、4aは互いに離間している。
【0025】
内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間には、周囲のゴムよりも硬度(JIS A)の高い緩衝ゴム3が配置されている。緩衝ゴム3の上端3aは、カーカス4の巻き上げ端4aよりも上方(径方向外側RD2)に配置されている。緩衝ゴム3の下端3bは、ビードコア1aの最下端(仮想水平線L1)よりも上方(径方向外側RD2)で且つ内側チェーハ8の巻き上げ端8aよりも下方(径方向内側RD1)に配置されている。このようにすれば、緩衝ゴム3でカーカス4の巻き上げ端4aをカバーできる。また、内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間を緩衝ゴム3で離間させることができる。緩衝ゴム3のゴム硬度は周囲よりも5度以上硬い方が好ましい。カーカス4の巻き上げ端4aの変形を抑制するためである。緩衝ゴム3のうち内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間の厚みは、4mm〜6mmが好ましい。
【0026】
本実施形態では、緩衝ゴム3を設けているが、緩衝ゴム3を省略することも可能である。
【0027】
以上のように、本実施形態の空気入りタイヤは、
ビードコア1aを有するビード部1と、
スチールコードC4を有し、ビード部1においてビードコア1aに巻き上げられるカーカス4と、
ビード部1においてカーカス4の外側に配置され、スチールコードC8、C9を有する内側チェーハ8及び外側チェーハ9と、を備え、
内側チェーハ8及び外側チェーハ9の両端8a、8b、9a、9bは、自然状態にてタイヤ子午線断面においてビードコア1aの最下端よりも上方に配置されており、
内側チェーハ8及び外側チェーハ9のスチールコードC8、C9は、カーカス4のスチールコードC4に対して互いに逆方向に傾斜して交差しており、
内側チェーハ8及び外側チェーハ9のうち一方のチェーハ8(9)のスチールコードC8(C9)は、カーカス4のスチールコードC4に対して+15°〜+35°の角度を有し、他方のチェーハ9(8)のスチールコードC9(C8)は、カーカス4のスチールコードC4に対して−40°〜−70°の角度を有する。
【0028】
このように、内側チェーハ8及び外側チェーハ9の両端8a、8b、9a、9bがビードコア1aの最下端よりも上方に配置され、ビードコア1aがチェーハ8、9に包まれており、内側チェーハ8及び外側チェーハ9のコードC8、C9がカーカス4のスチールコードC4に対して互いに逆方向に傾斜して交差しているので、カーカス4の張力により発生する回転モーメントを抑制し、カーカス4の巻き上げ端4aに生じるせん断応力を低減して、端部4aのセパレーションを伴うビード部1の故障を低減できる。それでいて、内側チェーハ8及び外側チェーハ9を上記角度範囲にて交差させると、双方のチェーハ8、9のコードC8、C9の交差角度(α+β)が直角に近くなり、面方向に対する剛性を確保でき、リムフランジとの接触部分1cの摩耗を低減することが可能となる。また、面方向に対する剛性の確保によって発熱が抑制されるので、ビード部の故障を低減できる。
【0029】
内側チェーハ8のコードC8とカーカス4のコードC4との角度差が小さければ、せん断歪みが生じにくい。本実施形態では、内側チェーハ8のスチールコードC8は、カーカス4のスチールコードC4に対して+15°〜+35°の角度を有する。この構成によれば、内側チェーハ8のスチールコードC8は、カーカス4のスチールコードC4に対して−40°〜−70°の角度を有する場合に比べて、せん断歪みを低減してビード部1の故障を低減できる。
【0030】
本実施形態では、内側チェーハ8の巻き込み側端8bは、タイヤ子午線断面においてカーカス4の巻き上げ端4aよりも上方に配置されており、外側チェーハ9の巻き込み側端9bは、タイヤ子午線断面においてビードコア1aの最上端よりも下方に配置されている。
【0031】
このように、内側チェーハ8の巻き込み側端8bは、タイヤ子午線断面においてカーカス4の巻き上げ端4aよりも上方に配置されているので、カーカス4の巻き上げ端4aに作用する応力を内側チェーハ8の巻き込み側端8bに負担させることができ、カーカス4の巻き上げ端4aでのセパレーションを抑制し、ビード部1の故障を低減できる。それでいて、外側チェーハ9の巻き込み側端9bは、タイヤ子午線断面においてビードコア1aの最上端よりも下方に配置されているので、外側チェーハ9の巻き込み側端9bと内側チェーハ8の巻き込み側端8bを離間させることができ、巻き込み側における応力を分散でき、ビード部1の故障を低減することができる。
【0032】
本実施形態では、内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間には、周囲のゴムよりも硬度の高い緩衝ゴム3が配置されており、緩衝ゴム3の上端3aは、カーカス4の巻き上げ端4aより上方に配置されており、緩衝ゴム3の下端3bは、ビードコア1aの最下端よりも上方で且つ内側チェーハ8の巻き上げ端8aよりも下方に配置されている。
【0033】
このように、周囲のゴムよりも硬度の高い緩衝ゴム3がカーカス4の巻き上げ端4aをカバーしているので、カーカス4の巻き上げ端4aの変形を抑制できる。さらに、内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間を緩衝ゴム3で離間させることができるので、カーカス4と内側チェーハ8とに生じるせん断歪みの相互作用を低減でき、セパレーションを抑制できる。
【実施例】
【0034】
本開示の構成と効果を具体的に示すために、下記実施例について下記の評価を行った。
【0035】
(1)ビード耐久試験
空気圧725kPa、荷重2725kgf、速度50km/hの条件にて、直径1700mmのドラム上でテストタイヤを故障するまで走行させた。比較例1の走行距離を100として指数で記載した。数値が大きいほど良好である。
【0036】
(2)リム接触部分の摩耗試験
空気圧850kPa、荷重3000kgfの条件にて、テストタイヤを5万km走行させ、リム接触部分の厚みを測定した。走行開始前の厚みが4mmである。数値が4mmに近いほど、摩耗が少なく良好である。
【0037】
実施例1
図3に示すように、ビード部1のカーカス4の外側に、内側チェーハ8及び外側チェーハ9を配置している。緩衝ゴム3は設けていない。内側チェーハ8のスチールコードC8の角度αは+25°である。外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βは−40°である。
【0038】
実施例2
外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βは−55°である。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0039】
実施例3
外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βは−70°である。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0040】
実施例4
内側チェーハ8のスチールコードC8の角度αは+15°である。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0041】
実施例5
内側チェーハ8のスチールコードC8の角度αは+35°である。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0042】
実施例6
内側チェーハ8の巻き上げ端8aとカーカス4の間には、周囲のゴムよりも硬度の高い緩衝ゴム3が配置されている。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0043】
比較例1
外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βは−25°である。それ以外は、実施例1と同じとした。
【0044】
【表1】
【0045】
表1によれば、比較例1よりも実施例1〜3の方がリム接触部分の摩耗が少ない。外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βを−40〜−70°にすれば、面方向に対する剛性が確保され、リムフランジとの接触部分1cの摩耗を低減できることが理解できる。
【0046】
実施例4、5は実施例1〜3と同様にリム接触部分の摩耗が比較例1に比べて低減されている。内側チェーハ8のスチールコードC8の角度αを+15〜+35°にしても、実施例1〜3とほぼ同じ効果を担保できることが分かる。このことから、外側チェーハ9のスチールコードC9の角度βが−40〜−70°であり、且つ、内側チェーハ8のスチールコードC8の角度αを+15〜+35°であれば、リム接触部分の摩耗を低減できることがわかる。
【0047】
実施例6は、実施例1よりもビード耐久試験の結果が優れている。これは、緩衝ゴム3がセパレーションを抑制しているためと考えられる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0049】
例えば、ビード部1においてスチールチェーハ8、9の外側に、ナイロンコードを有するナイロンチェーハを更に設けてもよい。
【0050】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…ビード部
1a…ビードコア
3…緩衝ゴム
3a…緩衝ゴムの上端
3b…緩衝ゴムの下端
4…カーカス
4a…カーカスの巻き上げ端
8…内側チェーハ
8a…内側チェーハの巻き上げ端
8b…内側チェーハの巻き込み側端
9…外側チェーハ
9b…外側チェーハの巻き込み側端
C4…カーカスのスチールコード
C8…内側チェーハのスチールコード
C9…外側チェーハのスチールコード
図1
図2A
図2B
図3