(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6572094
(24)【登録日】2019年8月16日
(45)【発行日】2019年9月4日
(54)【発明の名称】カプラー内のネジ鉄筋の間隔を測定するための測定治具およびそれを用いた測定方法
(51)【国際特許分類】
G01B 5/14 20060101AFI20190826BHJP
【FI】
G01B5/14
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-211424(P2015-211424)
(22)【出願日】2015年10月28日
(65)【公開番号】特開2017-83276(P2017-83276A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】399009642
【氏名又は名称】JFE条鋼株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】小松 喜美
(72)【発明者】
【氏名】小林 日登志
(72)【発明者】
【氏名】猪砂 利次
(72)【発明者】
【氏名】山田 直人
【審査官】
八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】
特開平10−266464(JP,A)
【文献】
実開平4−36401(JP,U)
【文献】
特公昭34−10087(JP,B1)
【文献】
米国特許出願公開第2005/5467(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00− 3/08
G01B 3/11− 3/56
G01B 5/00− 5/30
E04C 5/00− 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプラーの両側の開口部から夫々ネジ鉄筋を螺合した後に前記カプラーの内部空洞にて、前記ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する鉄筋間隔測定治具であって、前記カプラーに設けられたグラウト注入孔から前記カプラーの内部空洞に挿入され、上端を前記カプラーの外側に残留させて、下端で前記ネジ鉄筋の先端を検出する鉄筋先端検出部材と、該鉄筋先端検出部材の前記上端に装着される挿入方向調整部材と、を有するとともに、前記鉄筋先端検出部材と前記挿入方向調整部材とが単一の平面をなすことを特徴とする鉄筋間隔測定治具。
【請求項2】
前記鉄筋先端検出部材が、前記グラウト注入孔の中心軸に対して傾斜角を有する直線状の線材、あるいは、湾曲した円弧状または放物線状の線材であることを特徴とする請求項1に記載の鉄筋間隔測定治具。
【請求項3】
前記鉄筋先端検出部材が、前記ネジ鉄筋の前記先端と前記グラウト注入孔の中心軸との距離を示す目盛を有することを特徴とする請求項1または2に記載の鉄筋間隔測定治具。
【請求項4】
前記グラウト注入孔が機械加工で設けられたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の鉄筋間隔測定治具。
【請求項5】
カプラーの両側の開口部から夫々ネジ鉄筋を螺合した後に前記カプラーの内部空洞にて、前記ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する鉄筋間隔測定方法において、鉄筋先端検出部材を前記カプラーに設けられたグラウト注入孔から前記カプラーの内部空洞に挿入して前記鉄筋先端検出部材の上端を前記カプラーの外側に残留させ、かつ前記グラウト注入孔の上縁と下縁とに前記鉄筋先端検出部材を接触させて、前記鉄筋先端検出部材の前記上端に装着された挿入方向調整部材を用いて前記鉄筋先端検出部材の挿入方向を調整して前記カプラーの中心軸と前記グラウト注入孔の中心軸とのなす平面内に前記鉄筋先端検出部材を挿入し、前記鉄筋先端検出部材の下端で前記ネジ鉄筋の片方の先端を検出することによって前記ネジ鉄筋の片方の前記先端と前記グラウト注入孔の前記中心軸との距離LA(mm)を測定し、次いで、前記挿入方向調整部材を用いて前記鉄筋先端検出部材を180°回転させて、前記ネジ鉄筋の他方の先端を検出することによって前記ネジ鉄筋の他方の前記先端と前記グラウト注入孔の前記中心軸との距離LB(mm)を測定し、前記LAと前記LBの和を算出することを特徴とする鉄筋間隔測定方法。
【請求項6】
前記鉄筋先端検出部材として、前記グラウト注入孔の中心軸に対して傾斜角を有する直線状の線材、あるいは、湾曲した円弧状または放物線状の線材を用いることを特徴とする請求項5に記載の鉄筋間隔測定方法。
【請求項7】
前記鉄筋先端検出部材に、前記ネジ鉄筋の前記先端と前記グラウト注入孔の中心軸との距離を示す目盛を設けることを特徴とする請求項5または6に記載の鉄筋間隔測定方法。
【請求項8】
前記グラウト注入孔を機械加工で設けることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の鉄筋間隔測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カプラーの両側の開口部から夫々ネジ鉄筋を螺合した後にカプラーの内部空洞にて、ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する測定治具および測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築工事や土木工事において、
図5に示すような、ネジ鉄筋1をカプラー2の両側の開口部から螺合して連結する継手(いわゆる機械式継手)が広く使用されている。そしてネジ鉄筋1を螺合した後、カプラー2に設けられたグラウト注入孔3からグラウト材を注入することによって、ネジ鉄筋1を固定する。このような機械式継手において、ネジ鉄筋1とカプラー2が螺合した部位の長さW(mm)が短すぎると、コンクリートの補強等に使用することによって作用する引張り方向の荷重(以下、引張り力という)に対する機械式継手の強度が低下する。
【0003】
そこで、引張り力に対する機械式継手の強度を十分に維持するための許容範囲としてカプラー2の内部空洞におけるネジ鉄筋1の先端同士の間隔S(mm)の上限値S
MAX(=30mm)が規定されている。ネジ鉄筋1の先端同士の間隔Sの上限値S
MAXの規定は、螺合した部位の長さWの下限値を規定することを意味している。つまり、工事現場にてカプラー2の内部空洞における間隔SがS
MAX値よりも小さくなるようにネジ鉄筋1を捩じ込むことによって、螺合した部位の長さWを十分に確保し、ひいては引張り力に対する機械式継手の強度を十分に維持できる。
【0004】
ところが、ネジ鉄筋1とカプラー2を螺合することによってカプラー2の内部空洞に進入したネジ鉄筋1の先端を視認することは不可能である。
【0005】
この問題を解消するために、ネジ鉄筋1とカプラー2とを螺合した時にS≦S
MAXを満足できるネジ鉄筋1の位置に予めマーク(たとえば塗料による着色等)をつけておき、工事現場にてそのマークの位置までネジ鉄筋1を捩じ込んで機械式継手を得る技術が従来から普及している。しかしこの技術は、ネジ鉄筋1の捩じ込みを停止する位置にバラツキが生じるのは避けられないので、カプラー2の内部空洞におけるネジ鉄筋1の先端位置が一定にならず、ネジ鉄筋1の先端同士の間隔Sが大きく変動し易いという問題がある。
【0006】
特許文献1には、カプラー2のグラウト注入孔3周辺を切取って透明部材を嵌め込み、カプラー2の内部空洞におけるネジ鉄筋1を目視で観察しながらネジ鉄筋1を捩じ込む技術が開示されている。しかしこの技術は、カプラー2に複雑な加工を施す必要があるので、カプラー2の製造コストの上昇、ひいては建築工事や土木工事の施工コストの上昇を招く。
【0007】
特許文献2には、ネジ鉄筋1をカプラー2に捩じ込んで機械式継手を得た後に超音波探触子からネジ鉄筋1に超音波を発信して、ネジ鉄筋1の先端を検出する技術が開示されている。しかしこの技術は、高価な超音波発信器を必要とするので、建築工事や土木工事の施工コストの上昇を招くばかりでなく、超音波探触子をネジ鉄筋1に接触させて超音波を発信し、そのエコーを受信するという一連の作業に長時間を要するので、建築工事や土木工事の工期が長くなるという問題がある。また、ネジ鉄筋1表面に形成されたネジの凹凸に超音波探触子を接触させて超音波を発信するので、ネジ鉄筋1の先端の検出精度が低下して数mm程度の誤差が生じるという問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012-154164号公報
【特許文献2】特開2003-279547号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の技術の問題点を解消し、ネジ鉄筋をカプラーに捩じ込んだ後、グラウト材を注入する前に、簡便な手段で効率良くかつ精度良くネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する測定治具および測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記した課題を解決するために、カプラー内のネジ鉄筋の先端を検出する部材(以下、鉄筋先端検出部材という)をグラウト注入孔から挿入して、カプラーの内部空洞におけるネジ鉄筋の先端の位置を測定する技術について検討した。そして、
(a)鉄筋先端検出部材をグラウト注入孔に挿入し、かつグラウト注入孔の上縁と下縁とに接触させることによって、鉄筋先端検出部材の傾斜角度を確定できる、
(b)カプラーの中心軸とグラウト注入孔の中心軸とのなす平面内に鉄筋先端検出部材を配置してカプラーの内部空洞におけるネジ鉄筋の先端を検出することによって、ネジ鉄筋の先端とグラウト注入孔の中心軸との距離Lを測定できる、
(c)グラウト注入孔を機械加工(たとえばドリル等)で穿孔して設けることによって、距離Lの測定精度の更なる向上を図ることができる
ということを見出した。
【0011】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものである。
【0012】
すなわち本発明は、カプラーの両側の開口部から夫々ネジ鉄筋を螺合した後にカプラーの内部空洞にて、ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する鉄筋間隔測定治具であって、カプラーに設けられたグラウト注入孔からカプラーの内部空洞に挿入され、上端をカプラーの外側に残留させて、下端でネジ鉄筋の先端を検出する鉄筋先端検出部材と、鉄筋先端検出部材の上端に装着される挿入方向調整部材と、を有するとともに、鉄筋先端検出部材と挿入方向調整部材とが単一の平面をなす鉄筋間隔測定治具である。
【0013】
本発明の鉄筋間隔測定治具においては、鉄筋先端検出部材が、グラウト注入孔の中心軸に対して傾斜角を有する直線状の線材、あるいは、湾曲した円弧状または放物線状の線材であることが好ましい。さらに、鉄筋先端検出部材が、ネジ鉄筋の先端とグラウト注入孔の中心軸との距離を示す目盛を有することが好ましい。グラウト注入孔は機械加工で設けることが好ましい。
【0014】
また本発明は、カプラーの両側の開口部から夫々ネジ鉄筋を螺合した後にカプラーの内部空洞にて、ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定する鉄筋間隔測定方法において、鉄筋先端検出部材をカプラーに設けられたグラウト注入孔からカプラーの内部空洞に挿入して鉄筋先端検出部材の上端をカプラーの外側に残留させ、かつグラウト注入孔の上縁と下縁とに鉄筋先端検出部材を接触させて、鉄筋先端検出部材の上端に装着された挿入方向調整部材を用いて鉄筋先端検出部材の挿入方向を調整してカプラーの中心軸とグラウト注入孔の中心軸とのなす平面内に鉄筋先端検出部材を挿入し、鉄筋先端検出部材の下端でネジ鉄筋の片方の先端を検出することによってネジ鉄筋の片方の先端とグラウト注入孔の中心軸との距離L
A(mm)を測定し、次いで、挿入方向調整部材を用いて鉄筋先端検出部材を180°回転させて、ネジ鉄筋の他方の先端を検出することによってネジ鉄筋の他方の先端とグラウト注入孔の中心軸との距離L
B(mm)を測定し、L
AとL
Bの和を算出する鉄筋間隔測定方法である。
【0015】
本発明の鉄筋間隔測定方法においては、鉄筋先端検出部材として、グラウト注入孔の中心軸に対して傾斜角を有する直線状の線材、あるいは、湾曲した円弧状または放物線状の線材を用いることが好ましい。さらに、鉄筋先端検出部材に、ネジ鉄筋の先端とグラウト注入孔の中心軸との距離を示す目盛を設けることが好ましい。グラウト注入孔は機械加工で設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ネジ鉄筋をカプラーに捩じ込んだ後、グラウト材を注入する前に、簡便な手段で効率良くかつ精度良くネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定することが可能となり、産業上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る鉄筋間隔測定治具を用いてネジ鉄筋の先端を検出する例を模式的に示す断面図である。
【
図2】本発明に係る鉄筋間隔測定治具を用いて他方のネジ鉄筋の先端を検出する例を模式的に示す断面図である。
【
図3】本発明に係る鉄筋間隔測定治具の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図4】本発明に係る鉄筋間隔測定治具の他の例を模式的に示す断面図である。
【
図5】ねじ鉄筋の両側にカプラーを螺合した例を模式的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず
図1、2を参照して、鉄筋間隔測定治具を構成する鉄筋先端検出部材が直線状の線材である例について説明する。
【0019】
図1は、
図5中のグラウト注入孔の周辺を拡大して、本発明に係る鉄筋間隔測定治具を用いてネジ鉄筋の先端を検出する例を模式的に示す断面図である。
【0020】
グラウト注入孔3は、カプラー2を鋳造する際に内面のネジ山とともに形成することができる。特に、精密鋳造の技術でカプラー2を製造することによって、十分な寸法精度を有するグラウト注入孔3を形成することができる。また、カプラー2に機械加工(たとえばドリルで穿孔等)を施して設けることによって、グラウト注入孔3の寸法精度の更なる向上を図ることができる。そのグラウト注入孔3に鉄筋間隔測定治具4の鉄筋先端検出部材5を挿入する。ここで、
(A)鉄筋先端検出部材5をグラウト注入孔3の上縁3Tと下縁3Bとに接触させて挿入する、
(B)カプラー2の中心軸7とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす平面内に鉄筋先端検出部材5を挿入する
ことによって、カプラー2の内部空洞にてネジ鉄筋1の先端を精度良く検出することが可能となる。
【0021】
なお、上記(A)において鉄筋先端検出部材5が接触するグラウト注入孔3の上縁3Tと下縁3Bは、グラウト注入孔3の中心軸8を挟んで反対側に夫々配置され、かつカプラー2の中心軸7とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす平面内に配置される。上記(B)は鉄筋先端検出部材5の上端に装着される挿入方向調整部材6を作業員が挟持して、その向きを調整することによって、容易に調整できる。鉄筋先端検出部材5と挿入方向調整部材6とが単一の平面をなすように鉄筋間隔測定治具4を構成することによって、上記(B)の調整を容易に行なうことが可能となる。つまり、挿入方向調整部材6の長さ方向がカプラー2の中心軸7と一致するように調整すれば良い。
【0022】
また、本発明はネジ鉄筋1をカプラーに捩じ込んだ後、グラウト材を注入する前に、ネジ鉄筋の先端同士の間隔を測定するものであるから、鉄筋先端検出部材5をグラウト注入孔3から挿入する時は、カプラー2内のネジ鉄筋1の先端同士の隙間は空洞である。
【0023】
このようにして鉄筋先端検出部材5をグラウト注入孔3からカプラー2の内部空洞に挿入し、鉄筋先端検出部材5の下端をネジ鉄筋1の先端に当接させる。既に説明した通りグラウト注入孔3は良好な寸法精度を有するので、鉄筋先端検出部材5とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす角度θ
A(°)も精度良く保持できる。
【0024】
工事現場では多数の機械式継手についてネジ鉄筋1の先端同士の間隔を測定する必要があるが、同一寸法のカプラー2であれば、カプラー2内に捩じ込まれて螺合したネジ鉄筋1の先端の位置が変動しても角度θ
Aは一定である。したがって、カプラー2の内部空洞に挿入される鉄筋先端検出部材5の長さをグラウト注入孔3の上縁3Tで測定すれば、その測定値に基づいて、鉄筋先端検出部材5とグラウト注入孔3の中心軸8との交点Mから鉄筋先端検出部材5の下端まで長さを幾何学的に求めることができる。そして、その長さと角度θ
Aから三角関数として、ネジ鉄筋1の先端(すなわち鉄筋先端検出部材5の下端)とグラウト注入孔3の中心軸8との距離L
A(mm)を求めることができる。
【0025】
次いで、
図2に示すように、挿入方向調整部材6を用いて鉄筋先端検出部材5を180°回転させて、他方のネジ鉄筋1の先端を検出し、ネジ鉄筋1の先端(すなわち鉄筋先端検出部材5の下端)とグラウト注入孔3の中心軸8との距離L
B(mm)を求める。距離L
Bを求める手順は、
図1中の距離L
Aを求める手順と同じであるから説明を省略する。
【0026】
こうして求めた距離L
Aと距離L
Bの和を算出することによって、ネジ鉄筋1の先端同士の間隔S(S=L
A+L
B)を求めることができる。また、ネジ鉄筋1の先端とグラウト注入孔3の中心軸8との距離L(
図1中のL
A、
図2中のL
B)を示す目盛を鉄筋先端検出部材5に設けて、グラウト注入孔3の上縁3Tで目盛を読み取るようにすれば、その目盛を読み取って得られる距離Lの2方向の測定値(すなわちL
AとL
B)から、ネジ鉄筋1の先端同士の間隔Sを容易に測定できるので好ましい。
【0027】
次に
図3、4を参照して、鉄筋間隔測定治具4の他の例について説明する。
【0028】
図3に示す鉄筋間隔測定治具4は、グラウト注入孔3に嵌め合わせる部材9(以下、注入孔嵌合部材という)に鉄筋先端検出部材5を傾斜させて摺動可能に装着したものである。注入孔嵌合部材9の外径と長さは、グラウト注入孔3の内径と長さに夫々同じである。
【0029】
図3に示す鉄筋間隔測定治具4を用いてネジ鉄筋1の先端同士の間隔Sを測定する場合は、注入孔嵌合部材9をグラウト注入孔3に嵌め込んで、2方向の距離L(すなわちL
AとL
B)を測定する。この場合も、鉄筋先端検出部材5とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす角度θ(すなわちθ
Aとθ
B)は一定であるから、
図1、2の例と同様に距離L
Aと距離L
Bを測定することができ、さらに間隔Sを求めることができる。
【0030】
図3に示す鉄筋間隔測定治具4においても、距離Lを示す目盛を鉄筋先端検出部材5に設けて、注入孔嵌合部材9の上面で目盛を読み取るようにすることが好ましい。
【0031】
図4に示す鉄筋間隔測定治具4は、注入孔嵌合部材9を使用せず、湾曲した線材からなる鉄筋先端検出部材5を使用するものであり、その鉄筋間隔測定治具4をグラウト注入孔3に挿入した例を示す。
【0032】
図4に示す鉄筋間隔測定治具4を用いる場合は、予めグラウト注入孔3からカプラー2に挿入される鉄筋先端検出部材5の長さとネジ鉄筋1の先端の位置との関係を調査(以下、予備調査という)することが好ましい。その予備調査について説明する。
【0033】
予備調査においては、カプラー2の片側の開口部からネジ鉄筋1を螺合し、他方の開口部から物差しを挿入して、ネジ鉄筋1の先端とグラウト注入孔3の中心軸8との距離L
Bを測定する。さらに、湾曲した鉄筋先端検出部材5をグラウト注入孔3の上縁3Tと下縁3Bに接触させ、かつカプラー2の中心軸7とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす平面内に挿入し、鉄筋先端検出部材5の下端をネジ鉄筋1の先端に当接させる。そして、上記の物差しで測定した距離L
Bを示す目盛りを鉄筋先端検出部材5に設ける。
【0034】
そしてネジ鉄筋1の先端の位置を種々変化させて、同様に距離L
Bを測定し、それを示す目盛りを鉄筋先端検出部材5に設ける。目盛りは、グラウト注入孔3の上縁3Tで読み取ることができるように設けることが好ましい。
【0035】
このようにして予備調査を行なって目盛りを設けた鉄筋先端検出部材5を、グラウト注入孔3の上縁3Tと下縁3Bに接触させ、かつカプラー2の中心軸7とグラウト注入孔3の中心軸8とのなす平面内に挿入し、鉄筋先端検出部材5の下端をネジ鉄筋1の先端に当接させて、目盛りを読み取ることによって距離L
Bを測定することができる。
【0036】
次いで、図示を省略するが、挿入方向調整部材6を用いて鉄筋先端検出部材5を180°回転させて、他方のネジ鉄筋1の先端を検出し、ネジ鉄筋1の先端(すなわち鉄筋先端検出部材5の下端)とグラウト注入孔3の中心軸8との距離L
A(mm)を測定する。距離L
Aを求める手順は、
図4中の距離L
Bを求める手順と同じであるから説明を省略する。
【0037】
こうして求めた距離L
Aと距離L
Bの和を算出することによって、ネジ鉄筋1の先端同士の間隔S(S=L
A+L
B)を求めることができる。
【0038】
湾曲した鉄筋先端検出部材5の形状は特に限定せず、円弧状、放物線状、楕円状、サイン曲線状、2次関数曲線状等の湾曲した鉄筋先端検出部材5を使用すれば良い。ただし、湾曲させるための加工を容易に行なうことができる円弧状たまは放物線状の鉄筋先端検出部材5が好ましい。
【0039】
なお、上記の予備調査は、
図1、2に示すような直線状の線材からなる鉄筋先端検出部材に適用しても良い。
【0040】
以上に説明した通り、本発明によれば、鉄筋先端検出部材5と挿入方向調整部材6で構成される簡便な鉄筋間隔測定治具4を用いて、グラウト注入孔3からカプラー2の内部空洞に挿入するという単純な動作で効率良くかつ精度良く、ネジ鉄筋1の先端同士の間隔を測定できる。
【実施例】
【0041】
<実施例1>
2本のネジ鉄筋(軸体の直径48.3mm、ネジ山の高さ4.2mm、長さ300mm)を製造し、カプラー(サイズD51)の両側の開口部から夫々捩じ込んで螺合した。なお、カプラーのグラウト注入孔(直径6mm)はドリルで穿孔して設けた。本実施例ではカプラーのグラウト注入孔からグラウト材を注入していないが、上記のネジ鉄筋をカプラーに螺合したものを機械式継手と記す。
【0042】
得られた機械式継手のカプラーの両側から突出しているネジ鉄筋の長さを夫々測定し、ネジ鉄筋の長さ(=300mm)からその測定値を減算することによって、ネジ鉄筋とカプラーが螺合した部位の長さW(
図5参照)を算出した。こうして両側のネジ鉄筋について夫々W値を算出し、次いでカプラーの長さからW合計値を減算して、ネジ鉄筋の先端同士の間隔S(
図5参照)を算出した。これをS
standardとする。
【0043】
次に、その機械式継手のグラウト注入孔から、
図1に示す鉄筋間隔測定治具を構成する直線状の鉄筋先端検出部材をカプラーの内部空間に挿入して、本発明に係る測定方法で両側のネジ鉄筋についてその先端とグラウト注入孔の中心軸との距離L(
図1、2中のL
AとL
B)を夫々測定し、それを合算することによって、ネジ鉄筋の先端同士の間隔S(
図1、2参照)を算出した。これをS
example-1とする。
【0044】
こうして得られたS
standardとS
example-1を比較すると、誤差は1.2mmであった。既に説明した通り従来の超音波を用いる測定技術では数mmの誤差が生じるのに対して、本発明によれば良好な精度で測定できることが確かめられた。
【0045】
<実施例2>
実施例1と同じ機械式継手のグラウト注入孔から、
図4に示す鉄筋間隔測定治具を構成する円弧状(曲率半径60mm)の鉄筋先端検出部材をカプラーの内部空間に挿入して、本発明に係る測定方法で両側のネジ鉄筋についてその先端とグラウト注入孔の中心軸との距離Lを夫々測定し、それを合算することによって、ネジ鉄筋の先端同士の間隔Sを算出した。これをS
example-2とする。
【0046】
こうして得られたS
standardとS
example-2を比較すると、誤差は1.3mmであった。既に説明した通り従来の超音波を用いる測定技術では数mmの誤差が生じるのに対して、本発明によれば良好な精度で測定できることが確かめられた。
【符号の説明】
【0047】
1 ネジ鉄筋
2 カプラー
3 グラウト注入孔
3T グラウト注入孔の上縁
3B グラウト注入孔の下縁
4 鉄筋間隔測定治具
5 鉄筋先端検出部材
6 挿入方向調整部材
7 カプラーの中心軸
8 グラウト注入孔の中心軸
9 注入孔嵌合部材