(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る折りたたみ式保護帽(折りたたみ式ヘルメット)1は、たとえば、地震等の災害発生時に非常時用の保護帽として使用されるものであり、
図1〜
図5で示すように、左側帽体部3と右側帽体部5とを備えて構成されている。
【0014】
左側帽体部3は中心平面PLの左側に位置しており、右側帽体部5は中心平面PLの右側に位置している。中心平面PLは、折りたたみ式保護帽1の頂上部7(中心でもよい。)を含み左右方向に対して直交している平面である。
【0015】
左側帽体部3と右側帽体部5とは、薄肉の中央ヒンジ部9を介してお互いが接続されている。中央ヒンジ部9の直線状の曲げ線SLは、中心平面PLに対して平行になっているとともに、中心平面PLと曲げ線SLの距離は一定になっている。
【0016】
また、折りたたみ式保護帽1は、中心平面(左右方向中心平面)PLに対して、対称に形成されている(左右対称に形成されている)。また、折りたたみ式保護帽1は、たとえば、中心平面(前後方向中心平面)に対して、対称に形成されている(前後対称に形成されている)。前後方向中心平面(図示せず)とは、折りたたみ式保護帽1の頂上部7(中心でもよい。)を含み前後方向に対して直交している平面である。
【0017】
折りたたみ式保護帽1を側面視すると、
図2や
図4で示すように、左側帽体部3が、複数の平板状のセグメント(剛体とみなせる左側帽体セグメント)11(11A〜11F)を備えて構成されている。
【0018】
これらのセグメント11(11A〜11F)は、複数のヒンジ部(左側帽体ヒンジ部)13(13A〜13D),15(15A,15B)と、1つの切り欠き(左側帽体切り欠き)17とによって区切られている。薄肉のヒンジ部13,15では、直線状の曲げ線SLのところで、お互いに隣接している厚肉のセグメント11が曲がるようになっている(
図6参照)。たとえば、ヒンジ部13Cで区切られているセグメント11Cとセグメント11Dとは、ヒンジ部13Cのところで、セグメント11Cに対してセグメント11Dが相対的に曲がるようになっている。なお、
図6で示す曲げ線SLは、
図6の紙面に直交する方向に延びている。
【0019】
また、折りたたみ式保護帽1を側面視すると、ヒンジ部15(15A,15B)を除く複数のヒンジ部13(13A〜13D)のそれぞれは、左側帽体部3内に位置している所定の部位(たとえば、中央部4もしくは中心)から左側帽体部3の外周まで放射状に延びている。
【0020】
ヒンジ部15Aは折りたたみ式保護帽1の前側で、セグメント11Aとセグメント11Bとを区切っており、ヒンジ部15Bは折りたたみ式保護帽1の後側で、セグメント11Dとセグメント11Eとを区切っている。
【0021】
また、折りたたみ式保護帽1を側面視すると、
図2や
図4で示すように、左側帽体部3のセグメント11Fは、切り欠き17によって前側セグメント11Faと後側セグメント11Fbとに分割されている。
【0022】
また、折りたたみ式保護帽1を側面視すると、切り欠き17の一方側の縁部(中央部4から延びている一方の側の縁部)17aと他方の側の縁部(中央部4から延びている他方の側の縁部)17bとは、お互いを補完する形状になっている。すなわち、切り欠き17の一方の側の縁部(線状の縁部)17aと他方の側の縁部(線状の縁部)17bとを合わせると、一方の側の縁部17aの全長と他方の側の縁部17bの全長とがお互いに接触し、切り欠き17が閉じてほぼ消失するようになっている。
【0023】
なお、縁部17a,17bが必ずしも直線状に形成されている必要は無く、
図2に破線L1で示すように、一部が円弧状等の曲線状になっていてもよいし、全体が曲線状、折れ線状等の形状になっていてもよい。
【0024】
また、折りたたみ式保護帽1を側面視すると、左側帽体部3と同様に、右側帽体部5が、複数の平板状のセグメント(左側帽体セグメントとは別の剛体とみなせる右側帽体セグメント)11(11A〜11F(11Fa,11Fb))を備えて構成されており、これらのセグメント11(11A〜11F)は、右側帽体部5内に位置している所定の部位(たとえば、中央部4もしくは中心)から右側帽体部5の外周まで放射状に延びる複数のヒンジ部(左側帽体ヒンジ部とは別の、直線状の曲げ線のところで曲がる右側帽体ヒンジ部)13(13A〜13D)と、他のヒンジ部15(15A,15B)と、上記所定の部位から右側帽体部5の外周まで延びる1つの切り欠き(左側帽体切り欠きとは別の右側帽体切り欠き)17とによって区切られている(
図2等を参照)。
【0025】
また、左側帽体部3や右側帽体部5の上側の外周部における各セグメント11A〜11Eの縁19(19A〜19E)のそれぞれが、複数の中央ヒンジ部9(9A〜9E)のそれぞれを介して、右側帽体部5の上側の外周部における各セグメント11A〜11Eの縁19(19A〜19E)のそれぞれにつながっている(
図3等参照)。なお、中央ヒンジ部9(9A〜9E)の曲げ線SLは、中心平面PLに対して平行になっている(
図7、
図8等参照)。
【0026】
左側帽体部3の下側の外周部における各セグメント11A,11B,11D,11E,11Fの縁21(21A〜21E)や右側帽体部5の下側の外周部における各セグメント11A,11B,11D,11E,11Fの縁21(21A〜21E)のそれぞれは、使用するとき、折りたたみ式保護帽1の下側の、頭部を入れる開口部になる。
【0027】
収容するときには(たたんだときには)、
図4や
図5で示すように、切り欠き17が開くことで(縁部17aと縁部17bとの間隔が最大になることにより)、左側帽体部3と右側帽体部5とが平板状になるように構成されている。すなわち、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とがお互いに一致し、この厚さ方向から見たときに左側帽体部3の総てと右側帽体部5の総てとがお互いが重なるように構成されている。
【0028】
また、使用するときには(開いたときには)、
図1等で示すように、折りたたみ式保護帽1は、切り欠き17が閉じることで(切り欠き17の一方の側と縁部17aと切り欠き17の他方の側の縁部17bとがつき合わされていることで)、各ヒンジ部(左側帽体ヒンジ部および右側帽体ヒンジ部)13,15のところで各セグメント(左側帽体セグメントおよび右側帽体セグメント)11が山折りされて、左側帽体部3が左側に凸になり、右側帽体部5が右側に凸になることで、半球殻状(椀状)になるように構成されている。
【0029】
半球殻状とは、所定の半径の第1の球から、この第1の球の半径よりも僅かに小さい半径で前記第1の球と中心が一致する第2の球を取り除いた形状の立体を、前記各球の中心もしくはこの近傍を通る平面で2分割したときに形成される一方の立体である。
【0030】
使用するときの折りたたみ式保護帽1は、「半球殻状」に形成されているのであって、完全な「半球殻」形状に形成されているわけではない。すなわち、使用するときの折りたたみ式保護帽1は、着用者の頭部の形状に合うようにするために、左右方向の寸法よりも前後方向の寸法を大きくしている等の形状に形成されている。また、使用するときの折りたたみ式保護帽1の頭部を入れる開口部(淵;下側の端)も、完全な円形ではなく、着用者の頭部の形状に合うようにするために、適宜形状を変化させている。
【0031】
収容するとき(収容状態)においても使用するとき(使用状態)においてもさらに収容状態と使用状態との間の中間状態においても、中央ヒンジ部9の曲げ線SLは、中心平面PLに常に平行なままであって、中心平面PLとの距離は一定になっている。
【0032】
また、折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3と右側帽体部5との間には、左右方向に一定の幅を備えた細長い板状の中央帽体部23が設けられている。
【0033】
中央帽体部23は、この長手方向(たとえば前後方向)の中間部で、複数のセグメント(左側帽体セグメント11や右側帽体セグメント11とは別の剛体とみなせる中央セグメント)23A〜23Eに分割されている。中央帽体部23を複数のセグメント23A〜23Eに分割する分割線は、たとえば、複数本になっており、各分割線のそれぞれは、折りたたみ式保護帽1の前後方向でお互いが離れ、中央帽体部23の幅方向の全長にわたって延びている。
【0034】
中央ヒンジ部23は、
図3で示すように左側中央ヒンジ部9AL〜9ELと右側中央ヒンジ部9AR〜9ERとで構成されており、中央帽体部23の各セグメント23A〜23Eの幅方向の一方の端(左端)のそれぞれには、左側中央ヒンジ部9AL〜9ELが形成されており、中央帽体部23の各セグメント23A〜23Eの幅方向の他方の端(右端)のそれぞれには、右側中央ヒンジ部9AR〜9ERが形成されている。
【0035】
左側帽体部3の上側の外周部における各セグメント11A〜11Eの縁19A〜19Eのそれぞれが、各左側中央ヒンジ部9AL〜9ELのそれぞれを介して、中央セグメント23A〜23Eのそれぞれにつながっている。
【0036】
右側帽体部5の上側の外周部における各セグメント11A〜11Eの縁19A〜19Eのそれぞれが、各右側中央ヒンジ部9AR〜9ERのそれぞれを介して、中央セグメント23A〜23Eのそれぞれにつながっている。
【0037】
収容状態では、折りたたみ式保護帽1は、中央ヒンジ部9のところで、中央帽体部23に対して左側帽体部3がほぼ直角に曲がり、中央帽体部23に対して右側帽体部5がほぼ直角に曲がり、上述したように、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とがお互いに一致するようになっている。
【0038】
また、収容状態では、左右方向で(中央帽体部23の幅方向で)、中央帽体部23の幅寸法の値と、左側帽体部3と右側帽体部5とがお互いに重なった厚さ寸法の値とがお互いに一致しており、中央帽体部23の左端と左側帽体部3の左端面(外面)とがお互いに一致し、中央帽体部23の右端と右側帽体部5の右端面(外面)とがお互いに一致するように構成されている。
【0039】
また、折りたたみ式保護帽1には、使用するときの半球殻状の形状を維持するためのロック部25が設けられている。
【0040】
そして、切り欠き17の少なくとも一部がロック部25で塞がれている。具体的には、収容状態において、切り欠き17の下側の部位がロック部25で塞がれており、切り欠き17の上側の部位が切り欠き閉塞部27で塞がれている。これにより、収容状態で切り欠き17が開いていても、開いている切り欠き17に指が入らないようになっている。
【0041】
ここで、折りたたみ式保護帽1についてさらに詳しく説明する。左側帽体部3は、硬質の合成樹脂で構成されている。
【0042】
折りたたみ式保護帽1の収容状態を側面視すると、
図4で示すように、各ヒンジ部13(13A〜13D)のそれぞれは、左側帽体部3の中央部(前後方向の中央であって上下方向の中央より僅かに下方)4から放射状に延びている。また、ヒンジ部15Aは、左側帽体部3の前側で斜め上下方向に延びており、ヒンジ部15Bは、左側帽体部3の後側で斜め上下方向に延びている。
【0043】
これにより、中央ヒンジ部9Cとヒンジ部13Bとヒンジ部13Cとで囲まれた三角形状(二等辺三角形状)のセグメント11Cが、左側帽体部3の中央部4の上側に形成されている。
【0044】
また、中央ヒンジ部9Bとヒンジ部13Bとヒンジ部15Aとヒンジ部13Aと縁21Bとで囲まれた五角形状のセグメント11Bが、左側帽体部3の前側でセグメント11Cに隣接して形成されている。
【0045】
また、中央ヒンジ部9Aとヒンジ部15Aと縁21Aとで囲まれた三角形状のセグメント11Aが、左側帽体部3の前側でセグメント11Bに隣接して形成されている。
【0046】
また、中央ヒンジ部9Dとヒンジ部13Cとヒンジ部15Bとヒンジ部13Dと縁21Dとで囲まれた五角形状のセグメント11Dが、左側帽体部3の後側でセグメント11Cに隣接して形成されている。
【0047】
また、中央ヒンジ部9Eとヒンジ部15Bと縁21Eとで囲まれた三角形状のセグメント11Eが、左側帽体部3の後側でセグメント11Dに隣接して形成されている。
【0048】
折りたたみ式保護帽1の使用状態を側面視すると、
図2で示すように、ヒンジ部13Aとヒンジ部13Dと縁21Cとで囲まれた三角形状(二等辺三角形状)のセグメント11Fが、セグメント11Bとセグメント11Dとに隣接して、左側帽体部3の中央部4の下側に形成されている。なお、各ヒンジ部13,15、各セグメント11は、前後方向で対称に形成されている。
【0049】
また、折りたたみ式保護帽1の収容状態を側面視すると、
図4で示すように、切り欠き17は、セグメント11Fに形成されており、中央部4を頂点として概ね三角な形状に形成されている。切り欠き17によって、セグメント11Fは、概ね三角な形状に形成されている前側セグメント11Faと、概ね三角な形状に形成されている後側セグメント11Fbとに分割されている。
【0050】
ロック部25は、
図4、
図9、
図10で示すようなロック部構成部材29を備えて構成されている。ロック部構成部材29は、薄い板状で所定の幅W1の円弧状に形成されている。なお、
図4や
図9の紙面に直交する方向および
図10の上下方向がロック部構成部材29の厚さ方向になっている。
【0051】
ロック部構成部材29の中央部には、「コ」字状の切り欠き30が設けられている。これにより、ロック部構成部材29の中央部には、ロック部構成部材29の円弧の方向でロック部構成部材29の厚さ方向に弾性変形する片持ち梁状の弾性アーム31が形成されている。
【0052】
弾性アームの先端部には、一対の爪部33(33A,33B)が設けられており、一対の爪部33の間には凹部(被係止部)35が形成されている。
【0053】
ロック部構成部材29の長手方向(円弧の延伸方向)の一端部(
図9の左端部)には、セグメント11Faに係合する係合部37が設けられている。ロック部構成部材29の長手方向の他端部(
図9の右端部)は、セグメント11Fbに一体的に設けられている。また、ロック部構成部材29の係合部37は、セグメント11Faの被係合部39に係合している。係合部37が被係合部39に係合することで、ロック部構成部材29が円弧の延伸方向に移動するとき、セグメント11Faでガイドされるようになっている。また、ロック部構成部材29は、セグメント11Fの内側に配置されている。
【0054】
そして、折りたたみ式保護帽1が
図4に示す収容用状態にあるときには、
図10(a)で示すように、セグメント11Faとセグメント11Fbとが離れており、切り欠き17が形成されおり、
図4で示すように、切り欠き17の下側の部位が、ロック部構成部材29で塞がれている。
【0055】
図10(a)で示す状態(
図4等で示す収容状態)から、矢印A1の方向に、セグメント11Fbとロック部構成部材29とを移動すると、爪部33Bが係止部41に当接し弾性アーム31が矢印A2の方向に弾性変形する。
【0056】
さらに、セグメント11Fbとロック部構成部材29とを移動すると、爪部33Bが係止部41を乗越え、弾性アーム31が復元し係止部41が凹部35に嵌り込み、
図10(b)で示す状態(
図2等で使用状態)になる。このとき、係止部41が凹部35に嵌り込んでいることで、切り欠きが閉じた状態が保持される。そして、使用状態の形状は保持される。
【0057】
なお、
図10(b)に示す状態から
図10(a)で示す状態に戻す場合には、矢印A3で示す方向に力を加えて弾性アーム31を弾性変形させ、係止部41を凹部35から出した状態で、セグメント11Fbとロック部構成部材29とを矢印A4の方向に移動する。
【0058】
なお、ロック部25をロック部構成部材29を使用することなく構成してもよい。たとえば引っ掛けのフックやパッチン錠、ラチェット機構を用いて構成してもよい。
【0059】
切り欠き閉塞部27は、
図4で示すように、扇形状に形成されており、セグメント11Fbと一体でセグメント11Fbからセグメント11Fa側に突出している。そして、収容状態では、
図4、
図11(a)に示すように、切り欠き17の上側で切り欠き17を塞いでいる。なお、収容状態において、ロック部構成部材29と切り欠き閉塞部27とで切り欠き17がほぼ塞がれており、切り欠き17を指が透過することが防止され、切り欠き17の縁部17aと縁部17bとで指が挟まれないようになっている。
【0060】
なお、
図2で示すような使用状態では、
図11(b)で示すように、切り欠き閉塞部27は、セグメント11Faの内側で、セグメント11Faに重なっている。
【0061】
右側帽体部5も、左側帽体部3と同様構成されており、ロック部25やロック部構成部材29や切り欠き閉塞部27も、左側帽体部3のものと同様構成されている。
【0062】
中央帽体部23は、上述したように、セグメント23Aとセグメント23Bとセグメント23Cとセグメント23Eとに分割されている。
【0063】
セグメント23Aの幅方向左端は、ヒンジ部9A(9AL)を介して、左側帽体部3のセグメント11Aにつながっており、セグメント23Bの幅方向左端は、ヒンジ部9B(9BL)を介して、左側帽体部3のセグメント11Bにつながっており、セグメント23Cの幅方向左端は、ヒンジ部9C(9CL)を介して、左側帽体部3のセグメント11Cにつながっており、セグメント23Dの幅方向左端は、ヒンジ部9D(9DL)を介して、左側帽体部3のセグメント11Dにつながっており、セグメント23Eの幅方向左端は、ヒンジ部9E(9EL)を介して、左側帽体部3のセグメント11Eにつながっている。
【0064】
セグメント23Aの幅方向右端は、ヒンジ部9A(9AR)を介して、右側帽体部5のセグメント11Aにつながっており、セグメント23Bの幅方向右端は、ヒンジ部9B(9BR)を介して、右側帽体部5のセグメント11Bにつながっており、セグメント23Cの幅方向右端は、ヒンジ部9C(9CR)を介して、右側帽体部5のセグメント11Cにつながっており、セグメント23Dの幅方向右端は、ヒンジ部9D(9DR)を介して、右側帽体部5のセグメント11Dにつながっており、セグメント23Eの幅方向右端は、ヒンジ部9E(9ER)を介して、右側帽体部5のセグメント11Eにつながっている。
【0065】
また、左側帽体部3と右側帽体部5とは一体成形されており、
図7で示すように、セグメント23C下側の連結部43を介してお互いがつながっている。
【0066】
また、セグメント23Cを除くセグメント23A,23B,23D,23Eの下側では、左側帽体部3の連結部45と右側帽体部5の連結部47とが重なり、セグメント23A,23B,23D,23Eによって重なりが保持されている。
【0067】
また、分解することで、折りたたみ式保護帽1は、左側帽体部3およびこれにつながっている右側帽体部5と、中央帽体部23の各ヒンジ部23A,23B,23C,23D,23Eとの6つに分解されるようになっている。
【0068】
また、折りたたみ式保護帽1は、左側帽体部3と右側帽体部5と中央帽体部23とが組み立てられた状態では、これらの内部に、発砲スチロール等の衝撃吸収材と内装体(いずれも図示せず)が設けられており、
図2等で示す使用状態ではもちろんのこと、衝撃吸収材と内装体をそのままにしておいて、
図4や
図5で示す収容状態にすることができるようになっている。
【0069】
ところで、折りたたみ式保護帽1は、常態では、
図4や
図5で示す収容状態でカバン内や机の引き出し等の収容場所(保管場所)に保管しておく。災害等の使用時には、
図1や
図2等で示す使用状態にして被ることで頭部を覆う。
【0070】
折りたたみ式保護帽1によれば、収容時に、1つの切り欠き17を開くだけで左側帽体部3と右側帽体部5とが平板状になるので、従来の折りたたみ式保護帽に比べて切り欠きの数が少ない分、かさばることが防止され、常時、カバンやバッグ内に入れて携帯することができ、また、職場や家庭での保管スペースを小さくすることができる。
【0071】
また、折りたたみ式保護帽1によれば、1つの切り欠き17を閉じることで使用するので、従来の折りたたみ式保護帽に比べて切り欠きの数が少ない分、強度の低下が抑えられる。
【0072】
また、折りたたみ式保護帽1によれば、収容状態で平板状になるので(扁平形状になるので)、幅方向(平板の厚さ方向)における寸法を小さくすることができる。これに対して、特許文献1に記載のものでは、収容するときであっても、左側帽体部や右側帽体部が曲面形状になっているので(特許文献1の
図9等参照)、幅方向(特許文献1の
図9の左右方向)における寸法が大きくなっている。
【0073】
また、折りたたみ式保護帽1によれば、地震等の非常時には、素早く簡単に組み立てられ(使用状状態にすることができ)、たとえば、出張の際にはカバンに入れて持ち運ぶことができる。
【0074】
また、折りたたみ式保護帽1によれば、収容状態のときに、左側帽体部3の厚さ方向と右側帽体部5の厚さ方向とがお互いに一致し、左右方向で中央帽体部23の左端と左側帽体部3の左端面とがお互いに一致し、中央帽体部23の右端と右側帽体部5の右端面とがお互いに一致するように構成されている。これにより、収容状態のときに、折りたたみ式保護帽1が平板状になり、かさばらず取扱いがしやすくなる。
【0075】
また、折りたたみ式保護帽1によれば、使用するときの形状を維持するためのロック部25を有し、収容状態で切り欠き17が塞がれているので、収容状態であっても切り欠き17に指を入れてしまうおそれが無くなる。
【0076】
ところで、左側帽体部3や右側帽体部5の形態を、
図12〜
図17で示すように、適宜変更してもよい。
図12〜
図17は、変形例に係る折りたたみ式保護帽1を側面視して概略的に示している。
【0077】
図12で示す1つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、8つのセグメント11と7つのヒンジ部13,15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が6つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。
【0078】
図13で示す2つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13,15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、後方(前方でもよい)に設けられている。
【0079】
図14で示す3つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13,15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、
図13で示す2つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1とは別の箇所で後方(前方でもよい)に設けられている。
【0080】
図15や
図16で示す4つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、6つのセグメント11と5つのヒンジ部13,15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。ただし、各ヒンジ部13や切り欠き17が、線状(たとえば直線状)の中央部4から放射状に延びている。なお、
図15は折りたたみ式保護帽1の収容状態を示しており、
図16は折りたたみ式保護帽1の使用状態を示している。
【0081】
図17で示す5つ目の変形例に係る折りたたみ式保護帽1では、左側帽体部3(右側帽体部5)が、7つのセグメント11と6つのヒンジ部13,15で構成されている。これにより、図示しないが、中央帽体部23が5つのセグメントで構成されている。切り欠き17は、下方に設けられている。ただし、各ヒンジ部13や切り欠き17が、
図15や
図16で示すものとは異なる態様で、線状(たとえば直線状もしは三角形状と解してもよい)の中央部4から放射状に延びている。
図17は、折りたたみ式保護帽1の収容状態を示している。
【0082】
なお、折りたたみ式保護帽1において、中央帽体部23を無くし、左側帽体部3と右側帽体部5とをヒンジ部を介して直接つないでもよい。
【0083】
また、上記説明では、各セグメント11が平板状になっているが、各セグメント11を曲率半径の大きな球面の一部で構成してもよい。これにより、使用状態での折りたたみ式保護帽1の形状がより滑らかになり球殻状に近い形状になる。
【0084】
また、図示していないが、折り畳み保護帽1の内側(左側帽体部3、右側帽体部5、中央帽体部23等の内側)には、保護帽の開口部に沿って着用者の頭部周囲にフィットする帯状のヘッドバンドと、ヘッドバンドから上側に延びたハンモックとが設けられており、ハンモックの下端部の少なくとも4ヶ所が折り畳み式保護帽1に取付けられている。折り畳み式保護帽1に取付けられたハンモックの下端部と同じ部位に耳掛け紐が左右の耳に掛けられるように設けられており、耳掛け紐同士を繋ぐようにあご紐が設けられている。また、上記説明では、前側と後側を設定しているが、逆にしてもよい。